Infinite possibility world ~ ver Servant of zero   作:花極四季

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作者:私はリアルが忙しいから投稿速度が遅いので勘弁して下さい。
読者:嘘をつけ!リアルが忙しいなんてずーっと言ってきたじゃないか!だけどいつもいつも忙しいって言ってばかりじゃないか!
作者:そんなことありません!
読者:八日と九日と十日のときと、十二日と十三日のときも僕はずっと!待ってた!
作者:な、なにを……?
読者:クリスマスプレゼント(という名の最新話の投稿)だろ!!
作者:ああっ……!?(クリスマスは二十四と二十五じゃなかったっけ)
読者:アホの子ルイズちゃんもだ!作者のリアルが忙しくなくなるのも待ってた!あんたはクリスマスプレゼントの替わりに、読者を放置してリア充生活を見せつけるのか!?
作者:そんな相手いないっ……。


第十四話

遠征任務をアンリエッタに頼まれてから次の日の朝。

ルイズちゃんとギーシュと共に移動用の馬を用意し、いざ出発しようとした矢先、ギーシュが頼み事をしてくる。

 

「すまないが、僕の使い魔を連れて行ってもいいだろうか」

 

「アンタの使い魔って、ジャイアントモール?」

 

「ああ。紹介しよう、ヴェルダンデ!」

 

ギーシュが使い魔の名を呼ぶと、それは地面から現れた。

モグラだ。それもでっかい奴。

よくちっちゃい動物が巨大化すると怖いなんて話を聞くけど――うん、可愛い。

目はくりくりしてるし、鼻をふんふんと鳴らしている仕草もいい。

 

「ああ、ヴェルダンデ!僕のヴェルダンデ!」

 

ギーシュは猫かわいがりするが如く、ヴェルダンデに抱きつきこれでもかと言わんばかりに撫でる。

その中に混じりたい、が流石に人様のものであると同時に、ルイズちゃんの手前恥は晒せない。僕は頼れる兄になると決めたんだ。

 

「ヴェルダンデとやらを連れて行くのは構わんが、大丈夫なのか?」

 

主についてこれるのかとかさ。

 

「そうよ!アルビオンは空にあるのに、ジャイアントモールなんて連れていける訳ないじゃない!」

 

あ、そうなの。空にあるのね。

そういえばタバサ先生との授業で習ったような、そうでないような。

ふと気付くと、ルイズちゃんがジャイアントモールに目をつけられている。

それに対し少し怯えた様子を見せるルイズちゃん。モグラとか苦手なのかな。

取り敢えず、フォローする為に二人の間に割って入ろうとした時、一陣の風が吹く。

局地的な突風が、ヴェルダンデと僕達との距離を遠いものとさせる。

こんな都合の良い展開、有り得ない。もし有り得るとすれば――――

 

「誰だ!僕のヴェルダンデにこんなことをする奴は!」

 

「すまない。許嫁が襲われそうになっている様子だった為、つい加勢してしまった」

 

声が空から落ちてくる。

見上げると、そこには見たくなかった顔があった。

そう、あの似合わない髭をこさえた赤魔導士だ。

 

「ワルド……?」

 

ルイズちゃんがぽつりとそう漏らす。知り合い?

疑問を覚えている内に、ワルドと呼ばれた髭は地上に降り、こちらへと近づいてくる。

いや、正確にはルイズちゃんに。

 

「久しぶりだね、僕のルイズ」

 

……僕のルイズ、だぁ?

言うに事欠いてこの髭は、何と言ったのか。

 

「すまないが、何者か答えてもらおうか」

 

ルイズちゃんを庇いながら髭にそう突きつける。

 

「おおっと、済まない。僕はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。『閃光』の二つ名を持つスクウェアメイジで、トリステイン魔法衛士隊グリフォン隊隊長を勤めている。この度、アンリエッタ女王の命により密書の奪還の任を賜り、この場に来た次第である」

 

うわ、なんか凄いスペック高そうな肩書きの羅列ですね。

しかもそれが仲間とか……SRPGで言うところの最初から上級職で最終的にしっかりと育てたキャラにスペックで負けたり、せいぜいハードモードでは仕方なしに使われる程度のキャラなんだろうな。

普通のゲームみたいにパーティから外せたら良いのに……。

 

「ふむ。それは理解した。それと、先程我が主のことを僕のルイズなどと呼んでいたが、その意図は何だ」

 

「それは僕達が許嫁だからさ。使い魔君」

 

許嫁……だと……この髭が、ルイズちゃんの。

認めない!お父さ――じゃなくて、お兄さん認めませんよ――!!

 

「そ、そんなの昔の話じゃないですか。親同士が勝手に決めた承認の証すらない縁談ですのに」

 

「それでも、僕にとってはれっきとした縁談であり、互いに愛し合っていた事実もある」

 

そう言って、ルイズちゃんに視線を向ける。

ワルドの反応にに対し、ルイズちゃんは不安そうな表情で僕を見上げる。

……ははーん。成る程ね。

さっきルイズちゃんはワルドの話を昔の話と切り捨てていた。

ということは、仮に彼女がワルドを好いていた時期があったとはいえ、それも所詮過去の話。

このシチュは昔の男に言い寄られている現彼女と彼氏の僕、のようなものだろう。

僕が彼氏、なんて烏滸がましいにも程があるが、あくまで状況説明ということでひとつご勘弁をば。

 

「そのことはいいだろう。ともあれ、僕達は女王に重要任務を任された身。この場で言い争いをしていてはいつまで経っても辿り着けない」

 

「……そうだな」

 

悔しいがワルドの意見は尤もだ。

だが、覚えていろよ。僕は絶対お前を認めない!というか髭を剃れ。

 

「諸君、出発だ!」

 

剣を掲げながらのワルドの宣言と共に、僕達の旅は始まった。

 

 

 

 

 

時を消し飛ばしまして、現在如何にも足場の悪いちょっとした崖を馬で歩いています。

出発の際、ルイズちゃんはワルドのグリフォンに乗ることになった。

昔話に花を咲かせたいという理由だった為、流石にそればかりは僕の我が儘だけではどうにもならないということで、ルイズちゃんの一存に任せたところ、高度は違えど並走していれば会話は出来るということで、結局僕の馬に乗っている。

明らかにワルドから僕へ敵対心が向けられていたが、スルーする。ああいうのは下手にちょっかい出すと面倒になるだけだからね。

まぁ、ルイズちゃんに固執するのも分かる。可愛いし、良い子だし、嫌われる要素がないもん。

とはいえ、何年前の縁談か知らないけど、ずっと会っていない相手を未だに好きだと言っている彼は一途なのか女々しいだけなのか……。

何にせよ、面倒な手合いであることはわかる。ルイズちゃんとしてはその気はもうないだろうし、それでも言い寄ってくる辺り自分のことしか考えていないことが良く分かる。

やっぱり認められんな。うん。

 

「む?」

 

パラパラと言う音が聞こえたから、その方向へと振り向く。

崖から石が落ちてきている。

こういう時のパターンって、大抵崖崩れが起きたり、上に誰かいたりとかするんだよなぁ。

……案の定、いた。崖の上に、弓を構えたご一行様が。

 

「避けろ!」

 

咄嗟にそう指示を出し、ルイズちゃんを抱えて馬を盾にするように身を潜める。

ギーシュもどうやら避けることには成功したらしいが、思いも寄らぬ伏兵に驚き戸惑っている。

どうにかして反撃に徹したいが、相手は崖の上。しかも精度は低いとはいえ、遠距離からの迎撃もある。

なら、使うか?メルフォース――第六の真空の剣を。

しかし、可能なのか?

如何にこの世界では僕でもテンコマンドメンツを扱えるとはいえ、エクスプロージョンからすっ飛ばしていきなりメルフォースを使えるのか。

一通りにでも試していなかったことが悔やまれる。

というか、何故試さなかったんだろうと自分でも分からない問題に苦悩していると、突風の音と同時に悲鳴が上がる。

見上げると、そこにはシルフィードに乗ったキュルケとタバサ先生が弓兵を蹴散らしている姿があった。

何だろう、人間がぽんぽんと吹き飛ぶ様は、まるで某鬱で有名な剣と魔法のRPGみたいな構図だなぁ。ブレスじゃなくて魔法で一掃してるけど。

 

「ハーイ、ご一行様」

 

キュルケは地上に降りると気軽そうに手を振る。

 

「キュルケにタバサ、何故君達がここに?」

 

身を潜めていたギーシュがおもむろに立ち上がり、質問する。

 

「貴方達が馬でどこかに行くところを見つけちゃったから、ついてきたのよ」

 

「ついてきたって……これは遊びじゃないのよ!?」

 

「私にはそんな事情は関係ないわ。そもそも貴方達が何をしようとしていたのかなんて知らないし、何をするか知らないけど機密性を重んじる割には随分と堂々と旅立っていたようだけど」

 

ルイズちゃんの怒りも意に介した様子もなく、平然とキュルケは言葉を返す。

うむ、キュルケの言い分は尤もだ。

曲がりなりにも沢山の人間がいる学院の前で、あれほど堂々とした立ち回りをしておきながら隠密任務なんて言えないわな。

でも、それで良かったのかもしれない。

正直初めての遠征任務でこれだけの戦力というのは心許なかった。

どんなことが起こるか分からない状況下でも、仲間は多ければ多いほど危険は少なくなる。

本来なら加勢することはないメンバーなのかもしれないが、この上手い具合に進んだ状況を利用しない手はない。

 

「そ、それは……いえ、そんなの理由にならないわ!今からでも遅くないから戻りなさい!」

 

「折角加勢してあげたっていうのに、感謝の言葉ひとつなしに追い返すの?無粋というか礼儀がなっていないと言うか……」

 

「そんなの知らないわよ!」

 

何だか険悪な雰囲気。

ルイズちゃんからしても友達を危険な目に遭わせたくなくて必死なのだろう。

 

「少しいいかな、お嬢さん」

 

その言い争いの中に、ワルドが割って入る。

 

「あら、いい男」

 

いい男……なのか?

いや、素材は悪くないんだろう。髭があまりにも似合っていないだけで。

そう考えると、あまりにも不憫だなと思う。

本人は似合っていると思っているのだろう。その予想もあり、ワルドに対する評価が哀愁を誘うものとなっていく。

ぶっちゃけると、ルイズちゃんに付きまとう女々しい男という評価に加え、可哀想な奴という評価も追加されたということだ。

ついでにキュルケの趣味の悪さも追加しておこう。

なんかキュルケがワルドをナンパしているけど、欠片も靡くことなく婚約者がいるなどと再びのたまいやがった。

 

「兎に角、君達は帰った方がいい。ルイズの言うとおり、ここからは遊びでは済まない」

 

「……いや、私としては彼女達の同行を推したい」

 

「ヴァルディ!何を言って――」

 

「この旅がこの国の命運を分かつものだと言うのならば、任務達成の為の仲間は多いに越したことはない。彼女達のことは信頼できるし、何より実力だってある。足手まといになることはない」

 

「さっすが、ダーリン話が分かるぅ!」

 

そう言いながら、あろうことか腕に抱きついてきたキュルケ。

……ふぅ、冷静になろう。

こんなことで何度も心を乱されてはいけなごめんなさい無理です勘弁して下さい。

なーんでこうもこっちの女性は大胆かなぁ。お国柄なの?この世界特有の風潮なの?死ぬよ?僕が。

そして案の定、ルイズちゃんがキュルケを引きはがさんと暴れる。

タバサ先生は我関せずとシルフィードの上で本を読んでいるし。

ていうか、その格好――パジャマ?なんか可愛いですね。

 

「ふむ、使い魔君がそこまで推すのであれば、同行を許可してもいい。ただし、自由行動は控えるように。今回のように敵がいつ襲ってくるかも分からない」

 

そういえば、ワルドは空にいた筈なのに何で崖上の敵に気が付かなかったんですかねぇ……。

これじゃあ魔法衛士隊グリフォン隊隊長(笑)だね。

 

「あ、そういえば放置しっぱなしだったわね。あの野盗達」

 

「ただの野盗なのか、それともこちらが何者かを理解した上で放たれた斥候なのか。どちらにせよ問いただす必要があるな」

 

「その役目、僕がやろう。先程は役に立てなかったからね」

 

ギーシュが進んでそう申し出る。

正直、有り難かった。ぶっちゃけそう言うこと出来る気がしないし、したくもない。

 

「ギーシュはどこでも役に立たないんじゃないかしら」

 

「そ、そんなことはない!僕は彼に敗北してから僕なりに修練を重ねてきたんだ!」

 

「そんなんじゃ足りないなんてレベルじゃないでしょうけどね……」

 

まぁ、言っちゃあ何だがギーシュはいわばチュートリアルでの戦闘要員のようなものだったから、弱いのは仕方ないんだよ。

これから頑張ればいい。弱いキャラほど成長率は良いって相場は決まっているから。

 

そんなこんなでギーシュとワルドが尋問を終え、彼らがただの物盗りだということが発覚する。

彼らの処遇は今夜の宿を得る町、ラ・ロシェールの警邏隊に任せることにした。

その旨を伝えるべく、ワルドはいち早くラ・ロシェールへと先行していく。

僕達も向かおうとした時、ルイズちゃんが僕の服の袖を掴む。

 

「……ヴァルディ。私は別にワルドのことは好きでも何でもないわ。誤解しないで」

 

「安心しろ。最初から誤解はない」

 

「そ、そう。それならいいのよ」

 

念を押すように告げられた事実に素直に答えると、ルイズちゃんは安堵の息を吐く。

これはつまり、ワルドの魔の手から護って欲しいということだろうか。

期待されている。信頼を預けられている。その事実が僕の気分を高揚させた。

男なら誰でも憧れる、女の子に頼られるというシチュ。これが燃えずにいられるだろうか。

そんな意気揚々とした感情を抱きながら、僕達は改めてラ・ロシェールへと急いだ。

 




そんなこんなで、25日ということもあり即興で書き上げたよ。だけど内容が短いから近日中に続きを上げる予定。
暁の作品を優先すると言ったばかりだけど、一応のメインはこっちなのにこういう日に投稿しないのは何か間違っていると思ったので。やっぱりこうなったね。

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