大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

やべぇ。
ちょー寒いですね。
朝起きるのが正直つらいっす。

では、どうぞ(*´∀`)つ


第四十一話 母の想い

ヒエンside

 

 

 

「ありがとうございました~」

 

俺は去っていくお客さんに頭を下げる。

 

「注文お願いしま~す」

 

「はいはい。ただいま~」

 

現在俺はウェイターをしている。

 

翠屋。

 

美味しいスイーツがあることで有名な軽食喫茶店である。

 

料理のクオリティが高く、海鳴市では常連となるお客さんが多い。全国から噂を聞いてやってくるお客さんもいるほどだ。

 

ダンディーな店長、美人のパティシエ、美少女ウェイトレス、イケメンウェイター、笑顔の輝く看板娘などなど話題に事欠かない。

 

開店当初は少しハプニングなどもあったが、現在は雑誌でも取り上げられる程全国でも有名なお店である。ちなみにオススメ商品はシュークリームだ。

 

さて、なぜ俺が翠屋で働いているかというとぶっちゃけバイトである。

 

たまに人手が足りないときに、美由希さんや恭也君、なのはからよくヘルプでたのまれる。高1からではあるが手伝っていたので今ではもう慣れたものだ。

 

ホール、ケーキの品出し、レジ打ちなどを主に手伝っている。たまにキッチンで料理を手伝うこともある。…リニスから料理の基礎は徹底的に叩き込まれたのでorz

 

「ヒエンくん大分落ち着いたから今のうちになのはと休憩入っちゃって」

 

翠屋の店長兼マスターの高町士郎さんが俺に声をかける。

 

「はい」

 

俺はお言葉に甘えて裏にある休憩スペースへと足を運ぶ。そこには既に黒いエプロンを机に置き休憩しているなのはの姿があった。

 

俺は空いているイスに座り、なのはに声をかける。

 

「おつかれ~」

 

「あ、おつかれさま!シュークリームあるから食べてね」

 

「おう~」

 

しかし疲れた。

 

翠屋は基本的にお客が多い。特にお昼時が一番大変である。お菓子やスイーツが有名ではあるが、軽食も大変美味しいからだ。俺も学校が終わって立ち寄ることが多い。

 

「ヒエンくん」

 

するとケータイを弄っていたなのはが俺に声をかけてくる。

 

「さっきユーノくんから念話が届いたんだけど、アースラとの打ち合わせ終わったって」

 

「そうなのか。なんだって?」

 

「うん。条件を二つ守るなら大丈夫だって」

 

「条件?」

 

「うん。私たちの身柄を一時的に時空管理局の預かりにすることと、それから指示は必ず守ることだって」

 

「ハムハム…なるほど。うん、わかった」

 

俺はシュークリームを食べながら話す。

 

アースラとの邂逅から翌日…

俺たちは一日話し合い、アースラに本格的に協力することに決定した。

 

だが問題が幾つかある。

 

「それでなのは…学校は本当にいいのか?」

 

「うん。もう決めたから」

 

なのはは笑顔でそう言う。

 

俺達は残りのジュエルシードを集めるためアースラに乗り込むことが決定している。それは一定期間ではあるが、ずっとアースラにいるということだ。

 

つまり学校にいっている暇がない。

 

それだけでなく、なのははまだ家族にこの事を話していない。本人曰く、今日自分で話して説得するらしいが…。必要であれば俺の名前を出すように言っている。

 

まぁ、なのはなら大丈夫だと思うが。

 

俺に関しては全くもって問題ない。現在、俺は一人暮らしであるため家族に迷惑はかけない。そして高校には一身上の都合ということで一ヶ月休むということは事前にいってある。後は書類を出すだけである。

 

あとは俺も来るべき戦いに備えて色々準備を進めなければならない。

 

「あ、休憩時間もう終わりだ」

 

「ほんとだ」

 

壁に立て掛けられている時計を見ると既に15分経っていた。

 

さて、残りの時間も頑張るとしますか。

 

 

 

 

 

 

「ふぃー。これで最後っと」

 

俺は閉店時間になり、お客のいなくなった翠屋のテーブルを拭いていた。

 

終わったー。

俺は腕を上げて伸ばす。

背骨からボキボキボキと勢いよく音がなる。

 

「はぁー」

 

あー

早く着替えてさっさと帰るかー。

 

そして俺はロッカールームにいき私服に着替える。

 

その後、俺はアルバイト仲間の人達に挨拶したあと桃子さんと士郎さんに挨拶するため厨房へと向かう。

 

俺が厨房へ向かうと士郎さんと桃子さんは明日の仕込みを行っていた。

 

「お疲れ様です桃子さん士郎さん」

 

「おつかれさま~」

 

「おつかれ!」

 

桃子さんが輝かんばかりの笑顔で、士郎さんがクールな笑顔でこちらを向いた。

 

眩しすぎるこの笑顔…。

 

と冗談はともかく俺は挨拶をしてから、帰ろうとした。

 

「あ、待ってヒエンくん!」

 

すると桃子さんに引き留められる。

 

「今日は夕御飯食べていかないの?」

 

「すいません。今日はちょっと用事があるので…」

 

「……そう。またいつでも食べにきなさい」

 

桃子さんが俺の手を取り、ウルウルした目でこちらを見てくる。

 

えーと

これはあれだろうか。

 

もしかして断られるとは思ってなかったからちょっとショック受けたみたいな感じだろうか?

 

俺は高町家にて、タマに夕飯など御馳走になっている。しかし今日ばかりは、夕飯を御馳走になるわけにはいかない。

 

少し罪悪感が湧くが、今日はなのはが事情を説明するのだ。だとしたら部外者の俺が居るわけにはいかない。ちなみになのはは小学生ということでもう既に自宅へと帰っている。

 

「えっと…また御馳走になりに来ますので」

 

「ええ。無理はしちゃだめよ?」

 

「は、はい」

 

桃子さんは俺に非常に心配そうな表情を向ける。俺は溜まらず士郎さんに助けの視線を向けるが、士郎さんは仕込みに夢中なのかこちらに気付いていなかった。

 

「あ、これ持って帰りなさい」

 

と桃子さんが持ってきてくれたのはシュークリームだった。

 

「ありがとうございます」

 

本当に桃子さんには頭が上がらない。この人、ことあるごとに俺のことを気遣ってくれるので基本的にお世話になりっぱなしなのだ。

 

「気を付けてね~」

 

「はーい。失礼しま~す」

 

俺は頭を下げて自宅へと徒歩で帰った。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

なのはside

 

 

 

なのはは翠屋の手伝いを終え自宅へと戻っていた。

 

しばらくして母の桃子と、父の士郎が帰ってきた。

 

なのははユーノを肩にのせ、出迎えに向かう。

 

「お帰りなさい~お母さんお父さん」

 

「「ただいまなのは~」」

 

桃子と士郎は笑顔でなのはに返す。

 

「ちょっと待っててね。すぐにごはん作るから」

 

「あ、私も手伝う!」

 

するとなのはは気付く。

 

「あれ?今日はヒエンくんいないんだね?いつもお店手伝ってくれたら食べて帰るのに」

 

なのはは何気なくそれを言うと、桃子が勢いよく振り返る。…若干涙目で。

 

「今日は予定があるからって断られちゃったのよー!」

 

「キュ!?」

 

「お、お母さん急にどうしたの?」

 

なのはとユーノは母の勢いに少し引きながらも質問する。それに答えたのは士郎だった。

 

「いつも美味しそうに料理を食べてくれるヒエンくんがいないから少しむくれててね…」

 

「そ、そうなんだ。そういえばヒエンくんってお母さんの料理、物凄く味わって食べてるもんね」

 

「あの子は美味しそうに食べてくれるから、料理を作る桃子も作りがいがあるんだよきっと」

 

「な、なるほど」

 

なのははヒエンが夕御飯を断った理由に少し覚えがあった。

 

(きっと私のこと気遣ってくれたんだ)

 

なのはは今日、家族にアースラでの活動のことを説得するつもりだ。もちろん魔法のことは伏せて。ヒエンはそれを見越して夕御飯を断ったのだ。

 

しかし今は今でやるべきことがある。

 

まずは断られたことに意外とショックを受けている母を慰めなければ夕御飯にありつけない。

 

「お母さん!ヒエンくんならまた今度食べに来てくれるよ!いつもあんなに美味しそうに食べてたんだから!!」

 

「そうよね!私の考えすぎよね。私の料理もう食べたくないからって思っちゃった」

 

「そんなことあるわけないよ桃子。桃子の料理は世界一美味しいんだから」

 

「あなた…」

 

「桃子…」

 

「にゃ、にゃははは…」

 

「キュ~」

 

相変わらずの母と父になのはとユーノは苦笑いしながら見守っていた。

 

 

 

 

 

 

夕御飯を食べ終わったなのはは皿洗いを手伝っていた。

 

 

 

ジャー

 

 

 

「ありがとうねなのは」

 

「うん!」

 

なのはは背が小さく、水道に手が届かないので踏み台を使い皿を洗う。それを母の桃子が布巾で拭いていた。

 

するとジャージに着替え終えた士郎と恭也がリビングに来ていた。

 

「さて…じゃあ桃子、なのは…お父さん達はちょっと出かけてくるからな」

 

「今日は久しぶりに公園で稽古をつけてもらってくるよ」

 

「おつかれさま。少し遅くなるの?」

 

「いつもよりは…でも早めに戻るよ」

 

「そう」

 

「気を付けて行ってきてね。お父さんお兄ちゃん」

 

「おう」

 

なのはは士郎と恭也に元気よく声をかける。

 

「さていくか!久し振りだからな~ビシビシいくぞ!」

 

「ああ…!」

 

「あ、待って待って…!私も見学!」

 

そこへ長女の美由希がやってくる。

 

「来るなら早くしろよ?」

 

「うん……ちょっと待っ……」

 

 

 

ガンッ!

 

 

 

「あいたぁぁ…!」

 

しかしおちょっこちょいなのか勢いよく顔から壁に激突してしまう。

 

「……美由希…相変わらずだな?おまえは…」

 

「うう…っ」

 

なのはと桃子はその様子が可笑しく二人は顔を見合わせて笑ってしまう。

 

というよりも公園で鍛練をするというのは警察に引っ掛からないのかというのが少し疑問に残るが…

 

気にしてはいけない気がする。

 

 

 

「さ……これでおしまい、と」

 

「うん。おつかれさまお母さん!」

 

皿を片付け終えた桃子はエプロンをしまう。そしてなのはに向き合った。

 

「で…なのは?何か相談したい事があるんじゃない?」

 

「えっ…!」

 

「お手伝い中ずっと考え事をしてたでしょう?お顔に書いてある…」

 

桃子はなのはの顔を見ながら、優しく諭す。

 

「お母さんにはお見通し…。言いにくい事なの?」

 

「……ええと……」

 

なのはは顔を俯かせる。

 

桃子はそんななのはを優しく見守る。

 

「お母さんとなのはだけの秘密…約束するわ」

 

「……うん…」

 

 

 

そしてなのはと桃子はリビングに移り、話を始めた。

 

なのはは話す。

ユーノと出会ってから今日までのこと。魔法やユーノの正体…ジュエルシードの事はできるだけ伏せ、言える限りの事を話した。

 

そしてそのために少し家を空けないといけない事も話した。

 

「もしかしたら…危ないかも知れない事なんだけど…大切な友達と一緒に始めた事……最後までやり通したいの」

 

「………うん…そうね……」

 

「みんなに…お母さんにも……その……心配かけちゃうかもしれないんだけど…」

 

「それはもう…!いつだって心配よ……?」

 

 

 

ビクッ

 

 

 

なのはは少し驚くが、桃子は身を乗り出してなのはへ、自分の大切な娘へ少し大きめの声で話す。

 

「お母さんはお母さんだから……なのはの事がすごく心配!……この間もユーノくんを捜して追いかけて…気を失って倒れて忍ちゃんの家で介抱されたっていうし……。それに近頃朝や夜の外出も多いでしょう…?近所の動物病院では謎の爆発事故もあったし…」

 

「それはあの…その……!」

 

「なのはがどっちにするか迷ってるなら危ないことはダメよ…って言うと思うけど。だけどね…」

 

桃子は一度姿勢を正し、なのはの目を真っ直ぐに見る。

 

「なのはが何かに…一生懸命に頑張ってるって事…お母さん知ってたわ…。それになのははちゃんと決めてるでしょ?お友達と始めた事…最後までちゃんとやり通すって…」

 

「………」

 

「なのはが会ったその女の子と……もう一度話をしてみたいって…」

 

「うん……!」

 

桃子は優しげに笑い、なのはの頭を優しく撫でる。

 

「じゃあ……いってらっしゃい……後悔しないように。お父さんとお兄ちゃん、お姉ちゃんはお母さんがちゃんと説得しといたげる。…ねっ」

 

「うん……!ありがとうお母さん!!」

 

なのはは涙を浮かべながら桃子にお礼を述べた。そしてなのはは伝えていないことがあったことを思い出す。

 

「あ、お母さん…あの…なのは言うの忘れてたんだけど一人じゃないんだよ?」

 

「どうしたの?」

 

「実は…」

 

 

 

なのはside end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

俺は家に帰ってから、パソコンと向かい合っていた。それは俺の奥の手である、あるシステムを安定させるためのプログラムを組んでいたからだ。

 

リニスからは相棒のメンテナンスを行うためにデバイスマスターになるための最低限の知識を叩き込まれた。…思い出すだけでもあの二年間は地獄であった。修行が終わってから座学の授業……ほぼ毎日死んでたなぁorz

 

俺は少し遠い目をしながら、システムの改良を行う。まずは自分の戦闘データを入力し、その数値をデバイスの出力データと照らし合わせる。そして自分の魔力データを入力し、使うための魔法データをプログラムとして入力する。

 

あとはそれらを自分の使いやすいようにデータを改良し軽くしていく。勿論、相棒にも手伝ってもらっている。そのおかげか約5割、半分は完了している。

 

そしてキリがいいところで休憩しようとしたとき…

 

 

 

プルルルルル…

 

 

 

「うん?電話?」

 

俺は電話まで向かい、受話器を取った。

 

「はい。大空です」

 

「もしもしヒエンくん?」

 

この声は…

 

「桃子さん?」

 

「ごめんなさいねこんな夜遅くに」

 

「いえいえ。それよりどうしたんです?」

 

まぁ、大体予想はつくが。

 

「今日、なのはに助けたい友達がいるって相談されたわ」

 

「あ、やっぱり」

 

「やっぱりってことはヒエンくんは知ってたのね?」

 

「はい。事前に相談されていたので」

 

「そう。だから今日の晩御飯断ったのね?」

 

「う…すいません」

 

「いいのよ?別に怒ってるわけじゃないから。それよりヒエンくんになのはのことでちょっとお願いがあってね?」

 

「はい」

 

「あの子のことどうかよろしくお願いします。なのはは、ああ見えて結構無茶するところがあるから心配でね…」

 

「大丈夫です。俺も詳しいことはちょっと色々あって言えないですが、なのはに関しては任せてください。無茶なこととかは絶対にさせませんので。あの子にケガなどないように絶対に守ります」

 

「うふふ。ありがとうね。でも貴方も無茶しちゃだめよ?ヒエンくんも私たちにとっては家族みたいなものなんだから」

 

その言葉に不覚にも俺は泣きそうになった。両親が外国に行ってて一人暮らしをしている状態ではあるが…正直、寂しさを感じるときもある。

 

だからこそ俺は本当の家族のように迎えてくれる高町家にお邪魔していたのかもしれない。言っておくが父さん母さんが嫌いなわけではない。むしろ誇りにすら思っている。…まぁ両親には恥ずかしくて言えないが。タマには素直になることも大切かもしれない。

 

「じゃあ夜遅くにごめんなさいね。もうすぐ23時になるから早めに寝ないとだめよ?」

 

「はい。もうすぐ寝ようと思ってましたから」

 

「じゃあね。おやすみなさい」

 

「はい。おやすみなさい」

 

俺は受話器を置く。

 

そうか。

なのはは桃子さんに話したか。

 

まぁ、まずは風呂入ってから考えるか。

 

「相棒~風呂いくぞ~」

 

『ガウ!』

 

俺は着替えを持って風呂場へと向かった。

 

 

 

お風呂に入ったあと、自室へと戻ってくるとケータイが光っていた。

 

俺はケータイを手に取り画面を見る。どうやらなのはからメールが届いていた。

 

メールの内容はこうだった。

 

『夜遅くにごめんね。今日、お母さんに相談したの。事情を説明してなんとか認めてもらえることできたよ。それとユーノくんがアースラと連絡をとってくれてね、本格的に動き出すのは明後日の朝からってことになったの。詳しいことはまた明日電話するね?じゃあまたね。おやすみなさい。なのは』

 

なるほど。

明後日からね。

とりあえず返信送っとこ。

 

「了解。詳しいことは明日聞くよ。おやすみ~と」

 

俺は返信したあと、ベッドに入る。

 

ここからは本格的に物語の佳境に入る。生半可な覚悟ではやっていけないだろう。だからこそ全力で挑まなくてはならない。

 

俺は決意を新たに眠るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やべぇ。目が冴えて眠れねぇ」

 

色々、台無しだった。

 




桃子さんってめちゃくちゃ綺麗ですよね。

っていうか娘のことを本当に大切に思ってるっていうことが伝わってくる。

普通は9歳の娘を見送るなんてできない気がする。それはある意味でなのはのことを信じていたからなんだろうなあと考えてみたり。

まさに理想の人妻って感じ。
ちょっと士郎さんが羨ましいぞコノヤロウ( ; ゜Д゜)

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