続き書けたで候。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
ヒエンside
「そのまま……風穴開けたるわァ!!!!」
ボンちゃんがボロボロの俺にトドメをさそうとしたとき……
ブーッッッ!!!!!!
丁度、第二ラウンド終了のブザーがなった。
ピタリと俺の眼前で攻撃をやめるボンちゃん。
そのまま俺を攻撃していれば、恐らくボンちゃんの反則負けとなっていただろう。
攻撃されないで済んだ少しの安堵感と、攻撃された方が良かったかもしれないという少しの残念感が、俺の心に同時に飛来した。
「命拾いしたわねェ」
そしてボンちゃんはモード・ボンバルディエを解除して、レッドコーナーへと戻る。
「首の皮一枚繋がったか……」
俺もフラフラした足取りでブルーコーナーへと戻り、備え付けのイスに座る。
直後、美由希さんがすぐに水を頭からかけてくれた。
冷たくて気持ちがいい。
そのまま白いタオルを被せられる。
新たに受け取った水を少し口に含み、飲み込む。
すると美由希さんが何やら驚いた表情で呟く。
「ヒエン君、その傷跡……」
「ん?あー……」
見れば上半身が裸のため、身体に刻まれた小さな無数の傷跡が目立っていた。
背中には二つの刺し傷もある。
かつて戦ったセイバーオルタや、ギル・グレアムとの激闘でついた傷だ。
他にもプレシアや久遠、デューンやリインフォース、イレインやアダムなどにつけられた傷跡も目立つ。
隠してたのがバレたか。
「まあ、あんまり気にしないでくれ」
「うん……」
俺は誤魔化すように水を飲み干し、ペットボトルを潰す。
すると、タイミングを見計らっていたのか、恭也君が厳しい表情で問うてきた。
「……一体どうするつもりだ?試合を見る限り、お前の動きを完全に見切ったと言っているのもあながち嘘ではなさそうだ。だが、肝心のお前自身はまだあのオカマの動きに慣れていない。このままではほぼ……いや、確実に次ラウンドでやられてしまうぞ?」
俺は短く答えた。
「切り札を使う」
俺の答えに恭也君は目を見開く。
「オーバードライブ……とやらか?」
「ああ。それしかもう手がない。悔しいが、今の俺じゃ確実にボンちゃんに勝てない。だから……
すると恭也君と美由希さんは安心したように笑う。
「心が折れていなさそうで安心したぞ」
「うんうん。どんな逆境でも絶対諦めないのがヒエン君の取り柄だもんね」
俺は二人の言葉に苦笑いしつつ、回復に専念する。
「相棒、
「ガゥ!ガアァァァウ!!」
ヒエン・オオゾラ
インターバル回復+24500
LP500→25000
俺のバリアジャケットが完全に修復され、傷も回復する。
相棒はそんじょそこらのデバイスではない。
なんせメイドイン女神様のため、処理能力、耐久力共にピカイチなのだ。
だが全回復はそう何度も使える代物ではない。
相棒自身にかかる負荷が凄まじいのだ。
だからここぞと言うときにしか使えない。
そして、今がまさにその時であった。
「じゃあ、行ってくる」
「頑張って」
「勝ってこい」
インターバルが終わり、いよいよ運命の第三ラウンドが始まる。
◆◆◆
『第三ラウンドゴングですっ!』
第三ラウンドが始まると、ボンちゃんが再度攻めてきた。
「あれだけ受けたダメージ、丸々なかったことにするなんて、アンタも中々セコいわねェい!でもまあ、このラウンドでさっさと決めればいいだけの話なんだけどねェん!!」
「ぬっ!?」
「アン!ドゥ!!クラァ!!!」
俺はボンちゃんの高速の乱打を必死に捌いていく。
しかし、徐々にライフポイントは減っていく。
しかも、前のラウンドよりも受けるダメージが大きい。
ヒエン・オオゾラ
LP25000→24000→23000→22000
するとボンちゃんは右手を向けて、魔法を発動させた。
「フェザーロック!」
「くっ……バインド!?」
俺は青色の羽根を模した輪っかで身体を拘束されてしまい、身動きが取れなくなる。
「隙あり!
「がっ!?」
その隙を突かれて、爪先を使った回し蹴りで攻撃されてしまう。
ヒエン・オオゾラ
LP22000→18500
『ヒエン選手!第二ラウンドに続いて第三ラウンドもオボン・クレー選手に終始押されている!!このまま終わってしまうのかああぁぁぁ!?』
モロに顔面に受けてしまった俺はリング外へ吹き飛ぶが、グローブから放つ炎の逆噴射でなんとか空中に留まる。
「はぁ……はぁ……はぁ……やっぱり俺の動きは見切られてるか」
(そのうえ、身体強化が凄まじいからそれが矛にも盾にもなってやがる……)
ボンちゃんの身体は頑丈だ。
それ故に、その身体自体がそのまま凶器となる。
俺の攻撃がヒットしてもライフポイントが中々減らないのは、魔力のほとんどを身体強化に注ぎ込んでいるからだろう。
俺はゆっくりとリング内に着地する。
「ボンちゃん、お前は強いよ。正直、このまま戦って勝てるとも思えない。だから……切り札を切ることにした」
「切り札……ですって?」
「ああ。本当は都市本戦まで温存しておくつもりだったんだけどな……残念ながら、そうも言ってられなくなった」
ボンちゃんは警戒しているのか、構えたまま動かない。
「それじゃ、いくぜ」
そして俺は自身の切り札、オーバードライブをこのインターミドルで初披露した。
「
ドォオオオオオオンン!!!!!!
すると、俺を中心に激しい魔力流の嵐が吹き荒れる。
俺は
これはボンゴレ
《リング内の基準魔力値オーバー。リング外周防護フィールドの強度をエマージェンシーレベルに強化します。セコンド及びレフェリーは衝撃余波に注意してください》
オーバードライブを展開した影響で、会場が揺れると非常アナウンスが発動した。
実況者も驚いているようだ。
『な、な、な、なんという魔力波動の強さだああぁぁ!ヒエン選手!!まだこんな奥の手を隠していたあああぁぁぁ!!!!』
そして目の前にいるボンちゃんを睨み付ける。
ボンちゃんは冷や汗をかいていた。
「驚いたわ……まさかそんな隠し玉を持ってるなんてねェ……」
「言っておくが、この状態の俺は、さっきまでとは一味も二味も違うぞ?」
「そんなの見れば分かるわよぅ。それと、その
「……まあな。あと一つ忠告しておいてやる。全魔力を防御に回した方がいいぞ?」
そして俺はボンちゃんへ、さっそく攻撃を仕掛けた。
「っ!?」
ボンちゃんが俺の接近に気付くと、ガードを固める。
それを俺は、
「ごはっ!?」
オボン・クレー
LP25000→22000
ボンちゃんが真上へと吹き飛ぶ。
「なめんじゃないわよぉう!
しかしボンちゃんは態勢を立て直すと、砲撃を放ってくる。
だが、
ヒエン・オオゾラ
LP18500→18300
ダメージを食らうが、大したことはない。
そしてビッグバンアクセルを食らわせる。
「がはっ!?」
オボン・クレー
LP22000→16000
俺はそのままボンちゃんの吹き飛ぶ先へ回り込み、踵落としをお見舞いした。
「がはぁ!?」
オボン・クレー
LP16000→13000
さらに追撃をかける。
「ヒートバーナー」
オーバードライブで強化されたヒートバーナーがボンちゃんに炸裂する。
オボン・クレー
LP13000→7000
『今度はヒエン選手がオボン・クレー選手を押している!オボン・クレー選手、急激にパワーアップしたヒエン選手の動きについていけないようだ!!』
俺は腕を回しながら調子を確かめる。
オーバードライブは久しぶりに使ったが、問題なく作動している。
そもそもオーバードライブ自体、身体にかなりの負荷がかかる自己ブーストのため、長時間の連続使用には不向きであるが、この試合だけの使用なら問題ない。
一日で使える回数は限られているため、使いどころは考えなければならないが。
ボンちゃんがダウンから復帰する。
しかし、既に息が上がっていた。
「ア、アンタ、滅茶苦茶よぅ。まさかガードの上から攻撃してくるなんて……そのうえ砲撃にも突っ込んでくるなんて正気じゃないわ」
「動きが読まれてるなら、
「そうみたいねェ。だったらあちしも全力でいかせてもらうわ。イワさん!!」
《任せな!ヒーハー!!》
オボン・クレー
LP7000→17000
ボンちゃんの傷が回復する。
イワさんには回復機能もついてるのか。
「モード・ボンバルディエ!」
回復直後、ボンちゃんも切り札を使用した。
背中についていた白鳥がボンちゃんの両足に装着されると同時に、ボンちゃん自身も魔力で強化されていく。
魔力集束で周囲の魔力を両足に集中、処理しきれない余剰魔力は身体強化に全て回したか。
その証拠に、先程の魔力集束とは比べ物にならないくらいのビリビリとした威圧感を感じる。
イワさんが補助制御型のデバイスだからこそ使える荒業か。
オーバードライブを展開させているからといって、油断していると痛い目を見そうだ。
ならば俺も覚悟を決めよう。
「
形態変化を用いて、両手の
完全近接戦闘用モードで、俺も迎え撃つ。
『オボン・クレー選手も切り札であるモード・ボンバルディエを使用した!果たしてこの試合、どちらに軍配が上がるのか!?』
「行くわよぅ!!」
「来い!!」
そして俺達はリング中央で激突した。
「
「
再びボンちゃんのボンバルディエと、俺のバーニングアクセルがぶつかり合う。
「ぬらあぁぁぁ!!」
「おぉおおおお!!」
オボン・クレー
LP17000→15500
ヒエン・オオゾラ
LP18300→16800
技が互いに相殺される。
その影響で両者共にダメージを受ける……が、気にせず攻撃を仕掛ける。
「うらぶれ
「
ボンちゃんと俺は連続攻撃を繰り出す。
「アン!ドゥ!!クラァ!!!」
「っ!!」
オボン・クレー
LP15500→14000→12500
ヒエン・オオゾラ
LP16800→15300→13800
互いにノーガードでやり合う。
「アン!ドゥ!!オラァ!!!」
「っ!!!!」
オボン・クレー
LP12500→11000→9500
ヒエン・オオゾラ
LP13800→12300→10800
両者の蹴りが、拳が、互いを傷つけていく。
「ぶはぁ!?」
「ごふっ!?」
オボン・クレー
LP9500→8000→6500
ヒエン・オオゾラ
LP10800→9300→7800
すると、遂に俺とボンちゃんの攻撃がクラッシュエミュレートを貫通し始めた。
「ぬらあ!!!!」
「おああ!!!!」
オボン・クレー
LP6500→5000→3500
ヒエン・オオゾラ
LP7800→6300→4800
互いに口から血を吐き出しながら、戦い続ける。
「ガフッ……」
「ゲフッ……」
オボン・クレー
LP3500→2000
ヒエン・オオゾラ
LP4800→3300
そしてボロボロになりながら、
「
「
オボン・クレー
LP2000→0
ヒエン・オオゾラ
LP3300→0
互いの技が交差し、ライフポイントがゼロとなる。
「…………」
「…………」
静寂が場を支配する……。
「…………」
「…………」
一瞬や永遠にも思える時間が経過する……。
「…………か」
そして……
「完敗……よぅ……」
ボンちゃんが
予選決勝戦決着。
次回から都市本戦に入ります。
ダイジェスト風にやっていくのでそんなかからんとです。
では、また( `・∀・´)ノ