大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

リオオリンピック始まりましたね。
でも甲子園も気になる。

同時進行で見ねば。

では、どうぞ( ゚д゚)ノ


第二十三話 黒き狂犬

ヒエンside

 

 

 

あの後、俺達は気絶したなのはを連れて月村家へと戻った。多少小さなケガはあったもののユーノが回復魔法を使用してくれたおかげで体調も万全となった。

 

気絶したなのはをおぶって連れていったとき皆が驚愕しながら詰め寄ってきた。

 

曰くお前はとうとうやったのかとか、犯罪よ!とか、貴様は死あるのみ!とか。

 

いやいやいや!?

なにお前ら俺が襲った前提で話進めてんの!?

 

俺はもちろん否定した。

 

当然だ。

そんなことをしてみろ。今にも俺に濃密で濃い殺気をガンガンと発し続けているシスコン兄貴から物理的に死を見せられてしまう。というより相手は9歳である。そんなことをすれば社会的に俺はこの世界にいれなくなるだろう。前世では過労死であったが別の意味で死んでしまう。

 

俺はなのはがユーノを探しているときに転んで気絶したということにして皆に話した。これは原作でもなのはが使っていた言い訳なので利用させてもらった。

 

それを話すと皆、素直に信じてくれた。というよりも冗談半分でいっていたようだ。…いや約1名冗談ではないが。

 

俺はなのはを月村家の一室のベッドで眠らせた後、俺も少し休ませてもらった。アルフとの戦いで体力や魔力を結構消費していたからだ。

 

そして夕方になると、なのはが目を覚ました。

 

「これで大丈夫ですよ」

 

「ありがとうございます」

 

「念のために病院にも行ってくださいね」

 

「はい………」

 

ノエルがなのはに軽い治療を施してくれた。最近のメイドは治療までできるのか?いやこの人のスペックが高いだけか。

 

「まったく…ヒエンがそばにいたからいいものの…父さんや母さん、美由希も心配していたぞ」

 

「本当にごめんなさい…」

 

恭也君がなのはに説教している。

俺はある意味で驚いていた。恭也君は基本的にシスコンである。だから基本的になのはには甘いと思っていたのだが…やはり怒るべきところは怒るんだな。

 

「聞いた時はビックリしたけど大事じゃなくてよかったわ」

 

「本当です~」

 

「軽度のものなので安静していればすぐに治りますよ」

 

忍さん、ファリン、ノエルから安堵している雰囲気が漂ってくる。

 

「もう!無茶してんじゃないわよ!」

 

「なのはちゃん…無事で本当に良かった…」

 

「ごめんね…アリサちゃん、すずかちゃん………」

 

「ごめんねじゃないわよ!」

 

「まあまあなのはちゃんも反省してるよ…」

 

アリサとすずかも安堵している。皆には本当に心配をかけていたようだ。

 

『……ごめんねなのは』

 

『ユーノくんが謝る事じゃないよ』

 

ユーノも少し気にしているようだ。

あとでフォローしとくか。

 

その後、俺達は月村家を後にした。

 

俺となのはとユーノ、恭也君はバニングス家の車で送ってもらった。

 

そして車が高町家につくと士郎さん、桃子さん、美由希さんが玄関前で待っていた。

 

「なのは~‼心配したんだぞ~‼」

 

「なのは良かった…」

 

「無理しちゃダメだよなのは」

 

「お父さん、お母さん、お姉ちゃん!」

 

高町家勢揃いである。

ちなみに俺は恭也君の隣で事のなり行きを見守っている。

 

「お店で恭也から電話を受け取った時は心臓が止まるかと思ったわ」

 

「俺なんか居ても立ってもいられなくてだな~…!」

 

「うん…」

 

なのはが沈んだ表情をする。まあ、これだけ心配したと言われれば落ち込みもするか。

 

「ユーノもなのはを助けてくれてありがとね」

 

「…きゅ!」

 

「あとヒエンくんも」

 

俺はついでですか。

 

「無事に帰ってきてくれて良かったわなのは」

 

「うん…」

 

桃子さんがなのはを優しく抱き留める。

 

「次はお父さんの番だぞ!おいでなのは!」

 

「だーめ!まだこうしていたいもの」

 

「えーっとえーっと!!」

 

ふむ。

どうなることかと思ったが円満に終わって良かった良かった。

 

ちなみに俺はこの風景をヒッツにたのんで録画してもらっている。

 

え?なんでかって?

そんなの決まってるじゃないか。

 

大きくなったなのはをからかうためさ(゜▽゜*)

 

まあそれはともかく俺はそれらを見届けた後再び車に乗る。

 

すると高町家の面々の視線が俺を捉えた。

 

あれ?

貴方達自分達の世界に入ってたんじゃないのかよ!?

 

「お前はまた何か失礼なことを考えているだろう?」

 

「ソ、ソンナコトナイヨ」

 

恭也君が失礼なことを言ってくる。

 

ってかまたって何さ?

それじゃ俺が四六時中アホなことしか考えてないみたいじゃないか。

 

それとあれだな。

基本的に高町家の面々の前では下手に考え事をしない方がよさそうである。勘が鋭いというレベルを越えている逸材が多すぎる。…そう考えると俺自身のスキル超直感に自信がなくなってくる。いや超直感には何度も救われているからもっと自信を持とう。というかもっと使えるようにならないと駄目だな。

 

「ヒエンくんもありがとうね。なのはを守ってくれて」

 

「俺からも礼を言うよ。ありがとう」

 

桃子さんと士郎さんが御礼を言ってくる。

 

いやあの俺、おぶって帰ってきただけなんですけど…

 

「今度、翠屋でサービスするよ」

 

「これよかったら食べて」

 

士郎さんから翠屋のサービス券を、桃子さんからはシュークリームをいただいた。

 

帰ってヒッツと一緒に食べよう。

 

するとなのはから念話が届く。

 

『ヒエンくん後で電話してもいい?』

 

『おう。大丈夫』

 

なのはは俺の返答に満足したのかニコッと笑い家に入っていった。

 

そして余談であるが相変わらずバニングス家の執事鮫島さんはジェントルマンであった。俺も将来はあんな雰囲気の大人になりたいものだ。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

俺は家に帰った後、軽くつまめるものを食べようと思いチャーハンを作り食べた。そしてデザートとして桃子さんからもらったシュークリームをヒッツと一緒に食べていると俺の携帯から着信音が鳴る。

 

画面を見てみると、そこには「高町なのは」という文字が表示されていた。

 

俺は携帯を手に取り電話に出る。

 

「はい。もしもし?」

 

「あ、もしもし。こんな夜遅くにごめんね?」

 

「別に大丈夫。それよりどうした?」

 

「あのね?ちょっと相談したいことがあって」

 

そこで俺は納得した。

今日はなのはとフェイトが邂逅したのだからそれ関連の事に決まっている。

 

「うん。あの金髪の女の子のことなんだけど…」

 

「ああ、ユーノから聞いたよ」

 

「ごめんね?あの子に……負けちゃった。それにジュエルシードも取られちゃった…」

 

「それも聞いた。でもこんなこと言うのもあれだけど気にしちゃダメだぞ?」

 

「うん…」

 

こんなときは何て言えばいいのだろう?

女の子を慰めるって難しい…

 

「このままジュエルシードを集めていったらまたあの子と戦うことに…なるよね?」

 

「あっちもジュエルシードを集めているならまた戦うことにはなるだろうな」

 

「そうだよね…」

 

なのはは少し黙ってしまった。

はぁ、しゃーない。

 

「怖いか?」

 

「ううん、怖くないの。それよりまたあの子と戦うことになるかもしれない事がなんだか悲しいような…寂しいような……そんな複雑な気持ち…」

 

この子は優しい子だ。

自分と同い年くらいの女の子と戦うことに抵抗感を感じているのだろう。だがそんな心構えではこの先ジュエルシードを集めることなど出来はしない。

 

 

「そうか。だったらやめるか?」

 

 

だからこそ焚き付ける。

 

 

「………」

 

「………」

 

「……やめないよ」

 

「どうして?」

 

「ジュエルシード集め、最初はお手伝いでやってたけど今はもう違うの」

 

 

俺は黙って耳を傾ける。

 

 

「私が自分の意思でやりたいと思ってるからやってるの。『自分なりの精一杯』じゃなくて…『本当の全力』で!」

 

 

俺はその言葉を聞いたときこの子らしいなと思った。そして俺も手伝わない道理はなかった。

 

 

「そうか。だったらジュエルシード集め皆で全力全開で集めないとな」

 

「うん!だからヒエンくんにお願いがあるの!」

 

「どういう?」

 

「ヒエンくん私もっと強くなりたい」

 

「強く?」

 

「さっきユーノくんとも話してたんだけどね、模擬戦少し早めにできないかな?」

 

「あ、ああ。俺はいつでもいいけど」

 

「私には足りない物が多いの。基本も知識も経験も何もかも」

 

「………」

 

「ユーノくんからは魔法の基本や応用、レイジングハートからは戦い方、戦術を学ぶの。だからヒエンくんには戦闘訓練をつけてほしいの」

 

「やるからにはハードにいくぞ?」

 

「私決めたから!全力全開で挑むって」

 

「そうか」

 

そこから俺達は明日以降の予定を話し合った。そしてある程度予定が決まったあと、俺はふと気になることを聞いてみた。

 

「そういえばジュエルシードって今いくつなんだ?」

 

「えーっと、今手元にあるのは5つだよ」

 

確か…

ユーノが最初に持ってた1つ。

なのはと最初に倒したジュエルシードの思念体で3つ。プールのお化けとの戦いで1つ。

 

「あと16個か」

 

「じゃあまた明日よろしくね」

 

「ああ、じゃあおやすみ」

 

「うん。おやすみ~」

 

そして俺は電話を切った。

 

「風呂入るか。ヒッツ風呂はいっぞ~」

 

「ガウウ」

 

今日は色々あって疲れたし、早目に寝よう。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

翌日…日曜日。

 

俺はかなり疲れが溜まっていたのか昼頃まで寝てしまった。

 

昼飯を食べたあと、俺は腹ごなしのトレーニングに出た。直になのはと模擬戦をしなければならないが、俺もまだまだ若輩者。

 

今日は基礎トレや魔力運用を中心とした基本メニューにするつもりである。なので普段利用している高台ではなく、タマに利用しているとある神社の人気のない岩場で座禅を組んでいた。

 

俺がなぜ座禅を組んでいるかというと…

 

これは己の中のリンカーコアから流れる魔力の流れを自覚し循環させる修行だからである。

 

魔力運用を上手く仕上げていけば、魔法を使用する際の魔力の消費も少なくなる。

 

デバイスで魔法を使用すると基本的に余程のことがなければ失敗することはない。だがずっとデバイスに頼りきりではいつまでたっても成長できない。だからこそ自分自身の魔力を自分だけの力で操ることができるようになれば、基礎能力もアップするというわけだ。

 

魔力の圧縮や集束、放出が自由にできるようになれば戦略の幅も広がるしな。

 

だがこの修行、バカにしてはいけない。この魔力を自覚するというのが意外と難しい。俺も最初は分からなかったがしばらくリニスから指導を受けることである程度できるようになったほどだ。

 

俺は体に魔力を纏い、放出する。

 

「スゥーハァー」

 

目を閉じ深呼吸し、集中力を高める。そして手のひらを開き、魔力を手に集める。すると手のひらにオレンジの魔力が集まった。俺はそれをさらに圧縮させ回転させる。

 

気分はNARUTOの螺旋丸だ。

 

ゴオオオオと魔力が勢いよく周る。そしてある程度行ったところで魔力を解除する。すると手のひらにあった魔力の塊は霧散していった。

 

「ふぅ~」

 

あぁ~疲れた。

正直言うと、あの螺旋丸もどきは実戦ではまだまだ使えない。まず圧縮するまでにかなり時間がかかるし、維持するのにもかなりの集中力を要するからだ。

 

(まだまだだなぁ~こんなんじゃリニスに何を言われるか)

 

今は諸事情により外国に行っている我が使い魔のことを考える。

 

正直、今リニスがいなくて助かったかもしれない。あの猫ちゃん、冷静に見えて本能で動くこともタマにあるからな。

 

フェイトとアルフが関わっているとなれば絶対とはいえないが、ややこしくなるに決まってる。

 

と軽いトレーニングを終えたとき…

 

 

 

「キャアアアアアアア!!!」

 

 

 

と女性の悲鳴が神社内に響いた。

 

 

 

おいおいマジかよ!?

とりあえず俺は声の聞こえた方まで走っていく。

 

 

 

するとそこには…

 

 

 

黒く禍々しい雰囲気を纏った大きな狂犬がいた。

 

 

 

そして俺はハッする。

黒い狂犬の前に一人女性が倒れているのを発見した。

 

 

 

「ヴォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

まずい!

俺は即座にリングバインドを発動し黒い狂犬を拘束する。それと同時に肉体強化を行い女性の側まで行き急いで保護する。

 

黒い狂犬は暴れまわっているがバインドを壊すことはできていない。その隙に俺は女性を木陰にそっと下ろした。

 

そして再び黒い狂犬の前に踊り出た。

 

「はぁ。これって間違いなくジュエルシード……だよなあ」

 

というかこの景色見覚えがあるぞ…

はい。どうみてもアニメ第2話ででてきた黒い犬さんです。本当にありがとうございます。

 

でも確かこやつ、魔法初心者だったなのはに10分ほどでやられた記憶しかない…のだが

 

 

 

「ヴォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

奴の咆哮により周囲の空気がプルプルと振動しているような錯覚に陥る。

 

というか原作なのはとユーノすげぇな。

この威圧感を前に普段と変わらずに話してたんだから。

 

目の前の20代くらいの女性はショックで気絶していたというのに…。

 

「セットアップ」

 

俺はセットアップしバリアジャケットを装備し、死ぬ気の炎も発動させた。そして結界魔法、封時結界を使う。範囲はこの神社内でいいだろう。

 

俺は一瞬、なのはとユーノに連絡を入れようか迷ったが2人は昨日のフェイトとの戦いで休んでいる。俺が連絡を入れれば必ず来るだろうが、今日ばかりはしっかり休ませてやりたい。

 

なのでここは俺一人でやるしかない。

 

それに急がないと異変を察知したフェイトとアルフがやってくるかもしれないしな。

 

俺は両手に炎を灯し前を見据える。

 

「ヴォアアア!」

 

黒い狂犬はこちらを完全にターゲットとして認識したようだ。リングバインドはすでに破壊されており、こちらの様子を伺っている。

 

俺は真っ直ぐ奴の目をみ、狂犬も俺の隙を伺うように見てくる。

 

そして狂犬が動き出した。

 

「ヴォア!」

 

奴は勢いよく飛び上がり俺に鋭い牙を向けてくる。俺はバックステップでそれをかわす。

 

ボゴオン!

 

そのとき奴の攻撃が石段に直撃し、地面が大きく陥没した。

 

マジっすか…

 

あいつ石、噛み砕いちゃったよ。

どういう顎してんだ?

 

俺はその様子を見て少し唖然としたがすぐに動き出す。

 

炎の剣(ファイアエッジ)

 

炎の剣を作り出し、狂犬に斬りかかる。だがそれが当たることはなかった。なぜなら俺の作った剣が牙で受け止められたのだから。

 

「はあ!?」

 

俺は驚いた。

がそのとき超直感が警鐘を放つ。

そして俺は即座に後退した。

 

そして後退したあと前を見ると、なんと黒い狂犬が俺のファイアエッジを食べていたのだ。

 

おいおいお前はどこの妖精のドラゴンスレイヤーだコノヤロウΣ(゜Д゜)

 

このままではまずいと雰囲気で察知した俺は射撃魔法を展開する。

 

火炎の銃弾(フレイムバレット)verショットガン!」

 

俺は射撃魔法フレイムバレットverショットガンを放つ。5つの球体から出される螺旋回転したスフィアの破壊力は凄まじい。

 

 

 

ドゴオオオン!

 

 

 

見事直撃した。

だがなぜか超直感の警鐘は未だに収まらない。

 

煙が晴れてくる。

 

そこにいたのは更に体が大きくなった黒い狂犬の姿だった。

 




黒い狂犬パワーアップフラグ。

さあどうなるのか?

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