大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも|д゚)チラッ

続き書けたで候。

今回はクロvsアオです。

では、どうぞ( ゚д゚ )クワッ!!


第三百三十四話 模擬試合③

第三者side

 

 

 

倒れた美遊をイリヤとクロで支えながら壁際まで運ぶ。

 

すると美遊が目を覚ました。

 

 

「……勝負はどうなったの?」

 

 

「引き分けだって」

 

 

イリヤが結果を伝える。

 

 

「よく頑張ったじゃない。話によればこの道場で上位に食い込む強さらしいわよ、その子」

 

 

クロが同じく壁際まで運ばれていたナヲに視線を向ける。

 

ナヲはまだ気を失っていた。

 

 

「ミユ凄かったよ。あの高速移動に捕縛魔法」

 

 

「うん。強くなるためにサファイアとたくさん研究したんだ。もう負けたくないから」

 

 

美遊の脳裏では、バゼットに為すすべなくやられてしまったときのことがよぎっていた。

 

美遊は決意する。

 

 

(もっと強くなろう。大切な人達を守れるように)

 

 

美遊の視界にはイリヤとクロが映っていた。

 

そして()()()()()()()()()()()()を思い出していた。

 

 

「クロ、次の試合頑張って」

 

 

「ミユにそう言われたら頑張らない訳にはいかないわねぇ。じゃあ、気合い入れていきますか!!」

 

 

クロは道場の中央へと向かっていく。

 

対戦相手のアオはというと、カナから激励を受けていた。

 

その後、一足遅れて中央へとやって来る。

 

両者は少し離れた距離で睨み合う。

 

 

「準備はいいのかしら?」

 

 

「今、準備します。武装形態……青海(あおみ)

 

 

アオは空色の着物と濃い水色の女袴を着用する。

 

そして居合刀、海神(わだつみ)を装備する。

 

 

「思ってたけど、ここの人達って全員袴なのね」

 

 

「基本的にはそうですね。デザインや色なんかは皆、自分で装飾してるんですよ」

 

 

「へぇ」

 

 

「そういう貴女は、ずいぶんと大胆ですよね……」

 

 

顔を赤くしながらアオは話す。

 

それを見たクロは呆れたように返す。

 

 

「あら?この程度で赤くなってたらオシャレなんてできないわよ?」

 

 

「貴女の露出具合は、この程度で済むものではありません!完全に風紀を乱すレベルです!!」

 

 

「貴女、完全な堅物委員長タイプね。私とはまるっきり真逆だわ〜」

 

 

クロは両手で耳を押さえながら聞きたくないと言わんばかりの姿勢を取る。

 

それを見たアオが声をあげる。

 

 

「決めました!私が勝ったら、貴女のその歪んだ性根を叩き直して上げます!!」

 

 

「慎んでご遠慮させてもらうわ……投影(トレース)

 

 

するとクロは短い詠唱を唱え、両手に黒白の剣、干将(かんしょう)·莫邪(ばくや)を装備する。

 

それを見たアオは眉をひそめる。

 

 

(剣を出した?召喚魔導師でしょうか?)

 

 

「二刀使いですか」

 

 

「まあね」

 

 

するとタイミングを測っていたのか、審判が確認を取る。

 

 

「双方共に準備はよろしいですか?」

 

 

「問題ないわ」

 

 

「大丈夫です」

 

 

二人は頷くと構える。

 

そして審判が合図を出した。

 

 

「それでは……試合始め!!」

 

 

開始と同時にクロが突っ込んでいく。

 

 

「先手必勝!」

 

 

クロは体内に弓兵(アーチャー)のクラスカードを宿している。

 

彼女はそれを核、触媒とすることで現界している状態だ。

 

本来はイリヤの危機において一時的に人格が交代し、彼女の安全を保持するための安全装置であった。

 

もっと簡単に言うと、『stay night』のイリヤスフィール·フォン·アインツベルンになるはずだった存在を、衛宮夫婦によって人工的に改造されたモノがクロエ·フォン·アインツベルンである。

 

英霊エミヤの俊敏な動きと優れた剣技、宝具の投擲や弓による射出で遠距離をもカバーし、更に盾の宝具により防御力も極めて優秀で、非常に汎用性の高い戦闘力を有している。

 

何が言いたいかというと、クロは普通に強い。

 

彼女がいつも強気なのは、そんな戦闘力を有しているからこその自信の表れである。

 

そんな彼女と……

 

 

(この女……強い!)

 

 

アオ·セフィラは普通に打ち合っていた。

 

クロは黒白の双剣で果敢に攻めていく。

 

対してアオは流れに身を任せるように必要最低限の技術と動きだけで対応していく。

 

クロはそんなアオの技量に舌を巻いていた。

 

 

(さすがインターミドルに出るだけあってなかなかやるわね。っていうかヒエンといい、さっきの女剣士達といい、この世界の魔導師ってレベル高くないかしら!?)

 

 

そう内心で愚痴りながらも、自身の周囲に新たな剣を投影して射出する。

 

 

「剣が空中に!?」

 

 

それを見たアオはクロを強引に弾き飛ばすと、後ろに下がりながら射出された剣をかわしていく。

 

 

「好機!」

 

 

クロはチャンスとばかりに新たに剣を投影しながら攻めていく。

 

 

(ヒエンからもらったデバイスのおかげで魔力消費の問題は解決したから全力を出せるのよね!!)

 

 

少年がクロに送ったブレスレット型デバイスには()()()()()()()()しか搭載されていない。

 

その代わり、()()()()()()()()()()()()している。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()で、リンカーコアのような役割を担っているのだ。

 

それによりクロは魔力消費を気にすることなく顕現でき、ペース配分も考えずに済んだことにより、全力を出せる様になったのだ。

 

ただ魔力供給量より、消費量が大きくなる技を使ったらその限りではないが。

 

 

(ヒエンには何かご褒美あげた方が良いかしら?)

 

 

少年にとっては地雷になるようなことを思いつつも、クロは攻撃を続けていく。

 

クロは()()()()()()()()剣を投影しているため、当然非殺傷設定は反映されている。

 

なので剣で物理的に攻撃しても相手に致命傷を負わせる心配はないのだ。

 

 

「そらそら!」

 

 

クロの激しい射出攻撃により、アオは防戦一方であった。

 

 

(くっ……華奢な見た目に反して、パワーやスピードはある上に戦闘技術も一級品!そのうえ、この剣群攻撃……隙がありません!?)

 

 

居合刀で必死に弾く。

 

 

(それにこの剣の数……一体どれだけあるというのですか!?)

 

 

アオはクロの武器の多さに驚いていた。

 

彼女は召喚魔法で武器を転送させていると予想しているが、そうではない。

 

クロは投影魔術により、剣を生み出しているため、彼女の魔力が切れぬ限り、限界数は存在しないのだ。

 

そして応援で見ている者達もクロの強さと戦法に驚いていた。

 

 

『あの女の子もなかなか強いぞ!?』

 

 

『すげぇ!完全な物量戦法!?』

 

 

『最近の女の子って凄くない?』

 

 

それを側で聞いているイリヤ達も少しばかり照れくさくなっていた。

 

照れを隠すようにイリヤと美遊が話す。

 

 

「クロ、結構飛ばしてるね」

 

 

「魔力のペース配分を考えなくていいからのびのび出来るんだと思う」

 

 

するとここでアオが動き出す。

 

 

(これは様子見している場合ではありませんね……)

 

 

「天瞳流抜刀居合……水天一碧(すいてんいっぺき)!」

 

 

刀に魔力を纏わせ、青い斬撃を繰り出し、剣群攻撃をまとめて吹き飛ばしたのだ。

 

 

「やばっ!?」

 

 

クロは大きく後退しながら、水天一碧をかわす。

 

そしてカーボン製の黒い洋弓を投影すると、弓矢を連発する。

 

大砲級の威力を持つそれらは、いかな魔導師といえど当たればひとたまりもない。

 

だがここで予想外な事が起こる。

 

 

「武装換装……小太刀海神(わだつみ)

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「なっ!?」

 

 

クロは咄嗟に身を翻し、アオの一撃を身体を捻ることでなんとかかわすが、そこからアオの怒涛の攻めにより防戦一方となる。

 

 

(この女、一体いつ私の後ろに!?)

 

 

クロはアオの攻撃を双剣で捌きながら、先程のことについて考える。

 

 

(私が認識できない程のスピードで回り込んだ?いや、あり得ない。それなら何かしらの予兆があるはず。それを私が見逃すはずがない)

 

 

クロには、というより英霊エミヤには千里眼と心眼の能力が備わっている。

 

千里眼は『鷹の目』と呼ばれる視覚能力で、高速で移動する相手でも4km以内の距離なら正確に狙撃できるし……

 

心眼は修行や鍛錬によって培った洞察力であり、窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す能力である。

 

そのクロのエミヤの眼を持ってしても、先程のアオに回り込まれた原因が分からなかった。

 

 

「このまま考えてても埒が明かないわね!なら戦法を変えようかしら!!」

 

 

「何かする気ですね?させません!!」

 

 

(攻撃スピードがさらに上がった!?)

 

 

アオの小太刀を振るう速さが上がる。

 

クロも負けじと、干将·莫耶で対抗するが、両手に持つ二刀が遂に弾き飛ばされた。

 

 

「これで終わりです!やぁあああ!!」

 

 

そしてアオの小太刀がクロに迫ったとき……

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

「なっ……」

 

 

アオは目を見開く。

 

なんとクロの手には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだから。

 

 

「なら、また弾き飛ばすだけ!!」

 

 

両者は再び高速で剣戟(けんげき)を繰り出していく。

 

アオはクロの双剣を何度も弾き飛ばす。

 

 

「ふふっ」

 

 

だがクロは弾き飛ばされる度に不敵に笑い、また両手に双剣を出す。

 

そして何度か同じ攻防を繰り返すと、両者は互いに後方へと下がった。

 

 

「32回……32回、貴女のその剣を弾き飛ばしましたが、まだストックがあるのですね……」

 

 

「あら?律儀に数えてたのね」

 

 

「それに歳の割にやけに戦い慣れている。まるで歴戦の戦士と相対している様です」

 

 

「褒め言葉として受け取っておくわ。そういう貴女だってまだ隠し玉があるんじゃないの?」

 

 

「それはお互い様です!」

 

 

再び両者が動き出す。

 

クロが先に仕掛ける。

 

クロは手に持つ干将·莫耶を投げ付ける……が、アオはそれらを弾き飛ばす。

 

 

「何度やっても同じです!」

 

 

「さて、それはどうかしら!」

 

 

そしてクロは再度、干将·莫耶を出すと投げ付け、アオは再び弾き飛ばす。

 

そのままクロの懐に潜りこもうとしたとき、突如悪寒を感じ、横へと弾けるように跳ぶ。

 

すると、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「これは……!?」

 

 

干将·莫耶は互いに引き合う性質を持つ夫婦剣である。

 

それらを二対投影し、投擲と斬撃を重ね当てる必中不可避のコンビネーション技がクロにはあるのだ。

 

 

「山を抜き、水を割り、なお墜ちることなきその両翼……」

 

 

クロはアオが態勢を立て直す際の隙をついて彼女の背後へと転移し、斬りかかる。

 

 

鶴翼三連(かくよくさんれん)!」

 

 

クロは攻撃が当たると確信する。

 

 

(もらった!)

 

 

しかしそうは問屋が卸さなかった。

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

クロは一瞬呆ける。

 

アオに当たるはずだった一撃は虚しく空を切る。

 

そして気が付けば、強烈な攻撃を食らっていた。

 

 

「がはっ……」

 

 

「天瞳流小太刀術……夕凪(ゆうなぎ)

 

 

アオの双撃を食らうとクロは壁際まで吹き飛ぶ。

 

 

「「クロ!?」」

 

 

イリヤと美遊が叫ぶ。

 

クロはなんとか起き上がると、先程の攻撃でアオの消えた理由に検討をつけていた。

 

 

「いったあ〜……なんて攻撃するのよ。でも驚いたわ。まさか貴女が()()()()()()()使()()()だったなんて……」

 

 

「それはこちらのセリフです」

 

 

アオが真っ直ぐ見ながら話す。

 

 

「まさか貴女も短距離転移(ショートジャンプ)の使い手だとは思いもしませんでした」

 

 

「ショートジャンプ……それが貴女の能力の名前?」

 

 

「はい。名前の通り、短距離であれば何度でも転移することができます。制限があるとすれば、長距離は不可能だということくらいでしょうか」

 

 

「ふーん」

 

 

すると審判が確認を取る。

 

 

「まだやれそうですか?」

 

 

クロは答える。

 

 

「当然!まだまだやれるわ!!」

 

 

(とはいっても結構良いのもらったから、正直フラフラなのよね。全く……厄介な能力持ちに当たっちゃったわ。でも、相手の能力が分かればやりようなんていくらでもあるわ)

 

 

クロが中央の開始線に戻ると、試合が再開される。

 

 

「楽しい勝負でしたが、これでもう終わらせます!」

 

 

アオはショートジャンプを繰り返しながら、クロへと迫る。

 

 

「天瞳流小太刀術……朝凪(あさなぎ)!」

 

 

すると四方八方から青い斬撃が繰り出される。

 

 

「なんて攻撃してくるのよ!?」

 

 

そしてクロも転移魔術を発動させ、攻撃をかわすと、新たに剣を投影しながら、アオに攻撃していく。

 

道場内は青い斬撃と、数多の剣が行き交うキルゾーンとなっており、道場の中央に立っている審判は涙目になっていた。

 

あまりの試合に応援している者達も顔を引きつらせる。

 

と、ここでクロが勝負を仕掛ける。

 

新たな剣を投影し、弓矢へと形を変えていく。

 

 

「これならショートジャンプでも関係ないわ。赤原を往きなさい、緋の猟犬!赤原猟犬(フルンティング)!!」

 

 

クロが放ったのは北欧の英雄ベオウルフが振るったとされる魔剣、フルンティング。

 

これは射手が健在かつ狙い続ける限り、標的を襲い続ける効果を持つ追尾型魔剣であり、一度射出されると射手が健在な限り、弾かれようとも標的を追尾し続ける。

 

 

「これは……私の所に……!?」

 

 

案の定、その効果はすぐに出る。

 

アオはショートジャンプでフルンティングをかわすものの、後を追いかけられる。

 

そしてかわしきれないと判断したアオは小太刀で迎撃しようとするが、それこそがクロの狙いであった。

 

小太刀が弓矢と化した魔剣に触れた瞬間、大爆発が起こる。

 

 

壊れた幻想(ブロークン·ファンタズム)

 

 

これは魔力の詰まった宝具を爆弾として相手にぶつけ破裂させる技能であり、宝具によっては本来の威力を越えたダメージを与えることも可能である。

 

しかしこれを使用するということは、切り札を自ら破壊する事と同義であり、まず使われることのない手段である。

 

投影を可能とするクロだからこそ、何度も使える一撃必殺の技である。

 

しかし……何事にも例外はある。

 

 

「天瞳流弓術……鳴り(おと)

 

 

一筋の魔力矢がクロの身体にヒットした。

 

 

「がっ!?」

 

 

クロは吹き飛び、倒れる。

 

魔力矢はキュイイイイと螺旋状に回転しており、その名の通り鳴いているような音が聞こえた。

 

クロは仰向けに倒れながらも、なんとか視線を前に向けると、息を乱しながらも立っているアオの姿があった。

 

 

「あれ食らって立ってるとか、一体どういう耐久力してんのよ……」

 

 

「ふぅ……ふぅ……ふぅ……咄嗟に防御魔法を展開したおかげで耐えれました。さすがに危なかったですが……」

 

 

見れば小太刀は弓へと変わっていた。

 

ブロークン·ファンタズムを耐え抜いた後、放ったのだろう。

 

クロは力なく笑う。

 

 

「参った……わね。身体がもう……動かない……わ」

 

 

「貴女はとても強かったです。ですが、今日の勝負は私の勝ちです」

 

 

「そう……みたいね。ああ……悔しいなぁ」

 

 

「良い勝負でしたよクロエさん。また戦いましょう」

 

 

「覚悟……してなさい。次は絶対に……私が……勝つんだから……」

 

 

「ええ、約束です」

 

 

そしてクロは力尽きたのか、気絶してしまった。

 

 

「勝者!アオ·セフィラ!!」

 

 

最後の模擬試合の勝者は、アオ·セフィラであった。




次回は主人公サイドに。

高町兄妹が主人公の特訓のために地球から駆けつけた。

そしてオールスターズとプリヤ組の顔合わせも。

では、また∠(`・ω・´)

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