大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも|ω・`)ノ ヤァ

続き書けたで候。

今回はイリヤvsカナです。

では、どうぞ( ゚д゚ )クワッ!!


第三百三十ニ話 模擬試合①

第三者side

 

 

 

「ハ、ハレンチですっっっ!!!」

 

 

三人の格好を見たアオが吠える。

 

その様子を見たイリヤはどこか遠い目をしていた。

 

 

(やっぱり私達の格好って変だよねぇ。どう見てもコスプレにしか見えないもん)

 

 

アハハハハ……と静かに笑いながら、段々目が虚ろになっていくイリヤ。

 

その様子に気付いたルビーが声を上げる。

 

 

《もう!何、死んだ魚のような目をしてるんですかイリヤさん!魔法少女たる者、この程度の観衆に負けてどうしますか!むしろここにいる全員悩殺するくらいの勢いでないと!!》

 

 

「別に誰もそこまで求めてないよ!?」

 

 

ルビーの言葉につい突っ込むイリヤ。

 

だが実はそんなこともなかった。

 

少なくとも道場内にいた男の中には、何人かロリコンに目覚めてしまった者もいる。

 

まあ、それを知る術はイリヤ達にはないのだが。

 

すると顔を赤くさせているアオを先輩のカナが諌める。

 

 

「まあまあ、落ち着いてアオちゃん。貴女だって小さな頃はよく似た格好……「わぁああああああ!!何を言うんですかあぁぁぁぁぁ!!!!」……きゃん!?」

 

 

そのとき師範代が壁にめり込む。

 

犬神家の一族横版みたいになっている。

 

流れるように魔力付与で強化されたビンタを食らったことにより、カナは螺旋状に回転しながら壁にめり込んだのである。

 

凄まじきアオ·セフィラである。

 

ちなみにこれを見ていた男性陣は端の方で震え上がっていた。

 

妹のナヲが姉を壁から引き剥がす。

 

カナは頭から血を流しながら微笑む。

 

 

「もう〜アオちゃんってば、恥ずかしがり屋なんだから〜」

 

 

そこにイリヤがすかさず突っ込む。

 

 

「いやいやいや!どう見ても恥ずかしがり屋で済むレベルのケガじゃないんですけど!?普通に頭から血出る程の重傷なんですけど!?っていうか微笑んでないでさっさっと治療して下さいぃ!!」

 

 

 

数分後……

 

 

 

頭に包帯を巻いたカナが話す。

 

 

「まあ、色々あったけど天瞳流チームvs魔法少女チームの模擬試合を始めたいと思います!」

 

 

「魔法少女チームってそのまま……」

 

 

イリヤがガックリと肩を落とす。

 

ナヲと美遊がイリヤを慰めるように肩に手をポンと置いた。

 

 

「私こういう道場破りみたいな展開に憧れてたのよ〜」

 

 

「ああ……そういえばいつも言っていましたね」

 

 

のほほんと言うカナに、アオが思い出したように呟く。

 

 

「こういった試合はあまりしないんですか?」

 

 

美遊の質問にアオが答える。

 

 

「この近辺にはウチ以外の道場がありませんので、他流試合などもできないんです」

 

 

「そうなんですか」

 

 

「だから私も正直、ワクワクしています」

 

 

アオがクロの方を見て微笑む。

 

クロも不敵に笑いながら言った。

 

 

「上等じゃない。吠え面かかせてやるわ。負けても後で文句言わないでよね?」

 

 

「そちらこそ、せいぜい油断せぬように。言っておきますが、私はかなり強いですよ?」

 

 

両者共に楽しそうであった。

 

 

「それじゃ、あの二人は最後だから私達も相手を決めちゃいましょうか」

 

 

「姉さん」

 

 

「ナヲちゃん、もう決まったの?」

 

 

「私はこの子と戦ってみたい」

 

 

ナヲは美遊の方に指を差す。

 

美遊も答える。

 

 

「私は別に構いません」

 

 

「あれ?ということは、私の相手は……」

 

 

すると一人残ったイリヤの相手は必然的に……

 

 

「私ね」

 

 

師範代のカナとなった。

 

 

「勝ち目ゼロォ!?」

 

 

イリヤの叫びは虚しく道場内に木霊するだけであった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

イリヤとカナは向かい合っていた。

 

 

「ううう……どうしてこんなことに……」

 

 

イリヤは項垂れる。

 

彼女の前にはニコニコ顔のカナがいた。

 

 

「そんなに落ち込まないでイリヤちゃん。貴女に足りない物は自信よ」

 

 

「自信……ですか?」

 

 

「剣士としての勘かしら?なぜかは分からないけど、貴女には私との戦闘経験が必要だと思ったの。これから先、ここでの経験がきっと生きるときがくるわ。だからお願い……貴女の今出せる全力でこの試合に望んでほしいの」

 

 

(カナさんの雰囲気が……!?)

 

 

カナの発する雰囲気が一変する。

 

優しいのほほんとした雰囲気から、日本刀のような鋭い雰囲気へと変化する。

 

 

「武装形態……黒嵐鎧(こくらんがい)

 

 

カナは黒い着物に、蝶を思わせる白い羽織を纏う。

 

そして頭の左右に蝶の髪飾りをつけ、居合刀を装備すると武装が完了する。

 

イリヤはその姿に、思わず息を飲む。

 

 

(都市本戦常連組の選手は、あのヒエンさんでも苦戦するほどの相手……少なくともバゼットさんクラスの人と戦うと思った方が良い)

 

 

イリヤは顔をブンブンと振り、気合を入れる。

 

 

(なげいていても仕方ない!今はやれる事をやるしかない!!)

 

 

すると二人の間、中央に門下生が審判として入ることになった。

 

ルール説明がされる。

 

試合はフル装備で1ラウンド一本勝負。

 

ライフ計測はナシで、決着はKOかギブアップのみ。

 

審判は確認を取る。

 

 

「双方共に準備はよろしいですか?」

 

 

「はい」

 

 

「いつでも」

 

 

イリヤとカナは返事をする。

 

 

「それでは……試合始め!!」

 

 

ついに試合開始の合図がなされた。

 

先手はイリヤからであった。

 

 

「いくよルビー!」

 

 

《アイアイサー!》

 

 

砲射(フォイア)!!」

 

 

イリヤはまず様子見で魔力弾を放つ。

 

だが、カナはそれを軽やかにかわす。

 

 

散弾(ショット)!!」

 

 

今度は無数の魔力弾が迫るが、カナは微笑むと目をつむる。

 

すると驚くべきことに目を閉じたまま、彼女は魔力弾をかわし始めたのだ。

 

端の方で試合を見てる美遊とクロも驚く。

 

 

「なんて人……目をつむったまま攻撃をかわしてる……」

 

 

「完全に気配だけでかわしてるわね……」

 

 

するとアオが説明する。

 

 

「カナさんは周囲の気配や、流れを読むのに長けているんです。視界に入らない相手の位置や、数を完璧に把握したり、相手が次の瞬間に何をするか先読みしたりすることもできます。さらに目を閉じると、その精度は格段に増します」

 

 

「さすが都市本戦常連組ともなると、化け物染みてるわね……」

 

 

クロが呆れた声音で話す。

 

一方イリヤはというと、タイミングを見計らって次の攻撃を繰り出していた。

 

ステッキを勢い良く、振り抜く。

 

 

斬撃(シュナイデン)!!」

 

 

するとカナは閉じていた目を開け、居合い刀の(つか)に手をかける。

 

そして一閃した。

 

 

「天瞳流抜刀居合……天月(てんげつ)·(かすみ)

 

 

凄まじい早さで放たれた抜刀術は、魔力斬撃を消し飛ばした。

 

 

(ここだ!)

 

 

だがそれを()()()()()()イリヤは次の手に打って出る。

 

 

収束砲射(フォイア)!!!」

 

 

一点集中に高めた魔力砲がカナに放たれる。

 

攻撃直後の硬直を狙った一撃であったが、カナは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「うそっ!?」

 

 

《鞘を強化することで防具として機能させたんですよ!》

 

 

「今度はこっちからいくわね……桜花(おうか)!」

 

 

《了!》

 

 

カナの居合い刀、桜花に魔力が纏われる。

 

 

「天瞳漣月(れんげつ)

 

 

すると強力な魔力斬撃が放たれる。

 

 

「きゃあ!?」

 

 

イリヤは悲鳴をあげながらもなんとかかわす。

 

その様子を見たカナは今度は広範囲に斬撃を繰り出す。

 

 

「ひゃああああ!?」

 

 

イリヤは素早い動きで魔力斬撃から逃れる。

 

 

「良い反射神経……」

 

 

「動体視力と空間把握能力も中々の物です。その二つがあるからこそ、ああしてカナさんの攻撃を上手くかわせている」

 

 

ナヲとアオが絶賛する。

 

しかし美遊とクロは複雑な表情で見る。

 

 

「いえ、あれはかわすのが上手いというより……」

 

 

「逃げるのが上手いのね。相変わらず幸運値は最大ねぇ」

 

 

イリヤは悪運がとても強い。

 

今までの激しい戦いを生き延びてきたことで、それは証明されている。

 

今回の模擬試合も例外ではなかった。

 

本人としてはたまったものではないが。

 

 

「なんであんな自在に斬撃を飛ばせるの〜!?」

 

 

《居合刀を振るうスピードが目で終えないほど早いんですよ!それに威力をある程度抑えることで連撃を可能としています!!》

 

 

イリヤはカナの周りを空中浮遊で飛びながら斬撃から逃れていく。

 

 

「それならこっちも威力のある攻撃をすれば……」

 

 

イリヤはタイミングを測る。

 

 

「ここ!極大斬撃(マクスィマール·シュナイデン)!!」

 

 

縦一閃で放ったピンク色の斬撃がカナへと迫る。

 

 

「天瞳流抜刀居合……紅花輪転(べにはなりんてん)

 

 

するとカナは前方に向けて流れる様な足運びで、刀を円状の軌跡を描きながら斬り付けた。

 

極大斬撃(マクスィマール·シュナイデン)と、紅花輪転(べにはなりんてん)が衝突する。

 

しかし弾き飛ばされたのは極大斬撃(マクスィマール·シュナイデン)の方で、そのまま紅花輪転(べにはなりんてん)がイリヤへと迫る。

 

 

「ルビーお願い!」

 

 

《防御魔法発動します!スターシールド!!》

 

 

イリヤ達の前に巨大な五芒星型の盾が形成される。

 

これはルビーがラウンドシールドの術式を改造したものである。

 

なんとか防御するものの、スターシールドにヒビが入っていく。

 

 

「くっ……ダメ……抑えきれない……」

 

 

そして盾を突破され、イリヤは斬撃を食らってしまう。

 

 

「きゃあああ!?」

 

 

なんとかステッキで受け止めるものの、受け止めきれずに吹き飛ばされてしまった。

 

イリヤはなんとか起き上がる。

 

 

「な、なんて威力……」

 

 

《ダメです!出力が違いすぎて話になりません!!》

 

 

イリヤの放つ斬撃の強さが小銃クラスであるとしたら、カナの放つ斬撃の強さは大砲クラスである。

 

そもそも元々の強さにも差があるため、この結果も仕方のないことと言える。

 

すると試合を見ていたクロと美遊が大声をあげる。

 

 

「しっかりしなさいイリヤ!()()貴女じゃ、どう足掻いたってその女に勝てる訳ないでしょ!だから……()()を使いなさい!!」

 

 

「イリヤ!()()()()()を使って!!」

 

 

カナは追撃をかけず、イリヤの様子をジッと見守る。

 

二人の実力差は明確であった。

 

その実力差をどう埋めるのか、イリヤが何をするのか、試合を見ている道場の者達も興味があった。

 

 

「そうだ。()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

 

《でもそんな方法どこに……》

 

 

するとイリヤはカードホルダーから()()()()()()を取り出す。

 

 

《イリヤさん!限定展開(インクールド)では……》

 

 

限定展開は英霊の()()()()()()()()()である。

 

これでも出力は上がるが……

 

 

限定展開(インクールド)じゃない」

 

 

イリヤの考えているのはもう一段階先の領域だ。

 

 

(()()()()()()……クロがやってみせた二度のあのときの感覚!!)

 

 

「できる気がする。ううん……きっとできる!!」

 

 

過去に二度、イリヤは()()()()()()()()()()()()使()()()()()()

 

どちらも弓兵(アーチャー)であったが、そのときの感覚を彼女は覚えていた。

 

その先こそがクラスカードの真の領域。

 

 

「私はカードを使える!!」

 

 

そしてイリヤは叫んだ。

 

 

 

 

 

 

夢幻召喚(インストール)!!」

 

 

 

 

 

 

イリヤは光に包まれる。

 

 

 

光が収まったとき、そこには一人の()()()がいた。

 

 

 

「クラスカード……『剣士(セイバー)』!!」

 

 

 

それはセイバー·リリィと呼ばれるアーサー王の力を宿した姫騎士の姿である。

 

 

 

()()()()()()()()()

 

 

 

それこそがクラスカードの真の使い方である。

 

 

 

「カナさん!勝負はこれからです!!」

 

 

 

姫騎士は、『花舞剣士(リーフフェンサー)』と対峙する。

 

 

 

「これは……私も本気を出さなきゃいけないみたいね」

 

 

 

そして両者は正面から激突した。




次回は、姫騎士vs花舞剣士。

では、また∠(`・ω・´)

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