続き書けたで候。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
第三者side
「ここが天瞳流道場……」
「大きい……」
「へぇ〜結構本格的なのね」
イリヤ達は現在、ミッドチルダ南部、抜刀術天瞳流第四道場へと足を運んでいた。
今回イリヤ達がここへ来た目的は、少年の次の対戦相手であるアオ·セフィラについて調べるためである。
要は敵情視察だ。
《道場の作りはいかにも日本風って感じですねぇ》
《ここの創設者が地球の日本出身だったのでしょう》
ルビーとサファイアも興味津々といった具合だ。
「ヒエンさんには日頃からお世話になってるから、こういう所で役に立たないと!」
「今のところ借りしかないものね」
「こういうの結構楽しいし、私は結果オーライだけどねぇ」
イリヤ、美遊、クロの三人は話しながら階段を上がっていく。
《しかし御三方共、敵情視察といってもどうするんです?》
ルビーが質問する。
「そこはほら、見学に来たとか言えばいけるんじゃないかな……」
「そうなると思って既に連絡してある」
「え!?ミユいつの間に!?」
「さすが仕事早いわねぇ」
美遊の手には通信機があり、それで既に道場の方へ見学にいくと連絡していたようだ。
「ヒエンさんから、『イリヤはきっと行き当たりばったりで行動するだろうからフォロー頼む』って言われてる」
「えぇ!?何その悪い方向への絶大な信頼感!?」
「私も『イリヤは100%トラブルに巻き込まれるだろうからフォローよろしく』って言われてるわ」
「ええぇぇ!?クロも言われてるの!?ひどいよヒエンさーん!!」
イリヤがわーんと泣き叫びながら少年へと抗議の声を叫ぶが、ただ虚しく木霊するだけだった。
そうこうしている内に階段を上り終えたイリヤ達は、道場内へと入っていく。
道場内は門下生がいるのか袴姿で動き回っていた。
中にはイリヤ達より幼い子もおり、竹刀を振っている。
「ふぇええ……すごぉ〜い」
イリヤが圧倒されていると、クロが先へと促す。
「こんなところでボケッとしてないで、さっさと受付行くわよ」
「あ、待ってよぉ!」
受付では美遊が丁度名前を書いているところであった。
イリヤは美遊の書いている文字を見る。
ミッド語であるため全く読めなかった。
「ミユ、ミッドチルダの文字もう覚えたの?」
「ヒエンさんから一通り教わったから。法則さえ分かればこの程度すぐに覚えられる」
「さすがミユ……」
美遊は超天才である。
彼女は小学五年生にして、数学者が解くような問題も既に解ける程の超天才である。
ミッド語を覚えることなど、彼女にとっては造作もないことであった。
少年がミッド語を教えていたときも、理解するまでに三十分もかからなかった。
ちなみに言うと、少年がミッド語を完全に理解するまで軽く三ヶ月はかかっている。
天才は凡人とは頭の出来が違うのだ。
美遊が受付を済ませると、担当の若い女性が道場内を案内してくれる。
丁度剣道教室を開いているのか、指導を受けている生徒達がいた。
初心者からベテランまで幅広く教えており、中には年配の人物もおり、老若男女問わず盛況であった。
イリヤ達がしばらく見学していると、目的の人物を発見する。
「イリヤ、あの青い髪の人……あの人がアオ·セフィラ」
美遊の言葉にイリヤが反応する。
「え、どこどこ!?」
「ほら、あそこで指導してる人よ」
クロが指を差して教える。
イリヤがムムムッと目を細めて見ると、道場の端の方で後輩らしき人物に教えている青髪の端正な顔立ちの女性が見えた。
「うわあ……綺麗な人……」
青い髪を
年齢は15·6歳くらいであろうか?
するとイリヤ達の視線に気付いたのか、アオ·セフィラがやってきた。
「ご見学の方々ですか?」
「は、はいぃ!」
イリヤは緊張しながら話す。
実を言うと、イリヤ達はかなり目立っていた。
それはイリヤ、美遊、クロの三人が秀でて可愛らしいのと、普段道場の方に見学者が来ることは稀だからである。
するとクロが先陣切って話を切り出す。
「一応確認のために聞くけど、貴女がアオ·セフィラでいいのかしら?」
「クロ!?」
イリヤが驚くが、クロは気にせず話し続ける。
「はい、私がアオ·セフィラですが……どこかでお会いしましたか?」
アオ·セフィラは怪訝な様子で返事をする。
するとクロは不敵に笑いながら言う。
「いいえ、私達も貴女と会うのは初めてよ。ここまで来たらもう隠す必要もないから単刀直入に言うわね。私達、貴女の偵察に来たの」
「それは……まさか」
「ええ、そのまさかよ。私達、貴女の次の対戦相手であるヒエン·オオゾラの関係者なの」
クロの言葉で道場にいた人達が一斉にイリヤ達の方を向く。
「ヒエン·オオゾラ選手……今、話題の注目若手選手ですね。先日、都市本戦出場選手であるテル·ボーさんに勝利したという」
アオ·セフィラは話す。
「魔力変換資質『炎熱』と『凍結』の使い手で、徒手空拳と多種多様な魔法を使いこなすオールラウンダー。中でも厄介なのがグローブから放つ炎の高速移動に、相手の戦術にはまっても即座に対応するその順応性。そんな方の関係者が私の偵察とは……光栄です」
「……ずいぶん詳しいのね」
「ヒエン選手の試合はテレビで何度も放送されていますから、嫌でも目に止まります。注目選手なら尚更です」
「そう」
「ここへ来たのはそのヒエン選手の指示ですか?」
「いいえ、ヒエンは今貴女を倒すために特訓しているわ。ここへ来たのは、私達が貴女の偵察を自分の意志で申し出たからよ」
「自分の意志で……?」
「まあ、そこらへんはプライベートなことだからあまり言うつもりはないわ。私が言いたいのは一つだけ。私と今から模擬戦してみない?」
「それは構いませんが……」
アオ·セフィラはクロの姿を見て言い淀む。
クロはその視線の意味を理解したのか、意味ありげに笑う。
「あら?この期に及んで相手の心配?ご心配なく。こう見えても私、そこそこ強いから。少なくともここにいる人達に負ける気はしないわ」
クロの挑発染みた言葉に周囲の者は眉をひそめる。
美遊はその様子をジッと見守り、イリヤは内心かなり慌てていた。
(ちょっとおぉ!?なにさっそくケンカ売っちゃってくれてるのおおぉぉぉ!!??)
そんな慌てるイリヤを尻目にルビーとサファイアは小声で話す。
《これは少し面白くなってきましたねぇ、サファイアちゃん》
《面白がっちゃダメよ姉さん。きっとクロ様はヒエン様のために相手の戦闘データを手に入れようとしてるのよ》
クロは言葉を続ける。
「まあ、自信がないのなら無理にとは言わないわ。ただ一つだけ言わせてもらうとするなら私より強いわよ、ヒエンは」
するとアオ·セフィラは言う。
「いいでしょう。その挑戦受けて立ちます」
そのとき、一人の女性の声が響く。
「その面白そうな話、私達も混ぜてもらっていいかしら〜?」
一同が目を向けると、そこには二人の女性がいた。
一人は白い袴姿に、蝶を思わせる羽織を纏い、髪の長い美しい女性であり……
もう一人はピンクの着物を着て、サイドテールの髪型の感情が掴みにくいミステリアスな美少女であった。
「カナさん、ナヲちゃん」
「貴女は確か……」
「初めまして可愛らしい挑戦者さん。天瞳流抜刀術師範代のカナ·モルフォンです。この子は妹のナヲ·モルフォン、よろしくね」
ナヲと呼ばれた少女は一礼する。
一方のクロはというと楽しそうに笑う。
「都市本戦常連組の一人ってわけね。面白いじゃない。それならこっちも自己紹介しないといけないわね。私はクロ、クロエ·フォン·アインツベルン。あっちのミステリアス美少女がミユ·エーデルフェルト、そしてその側で口を空けてポカーンとしてるのがイリヤスフィール·フォン·アインツベルン、妹よ」
美遊は一礼するが、イリヤはクロの紹介に納得できないのか噛み付く。
「ちょっと何よその紹介は!?誰が口空けてポカーンとしてるのよ!それにいきなり道場の人達に喧嘩を売るなぁ!失礼でしょ!あと、姉は私です!ドサクサに紛れて姉ポイント稼ごうとすんなー!!」
そしてクロにドロップキックをかました。
「ぶへぇ!?」
クロは女の子としては出してはいけない声を出す。
すぐに起き上がるとイリヤへと突っ込んでいく。
「いきなり何すんのよバカイリヤ!あんたが緊張して言い出せないから私が代わりに言ってあげたんじゃない!ビビってたくせに威張るな!あと姉は生まれた順で私ですぅ!!」
「なによー!!」
「なんなのよー!!」
突如として始まった姉妹喧嘩に、美遊は額に手を当てて呆れる。
そして呆然としているアオ·セフィラに頭を下げる。
「お騒がせしてすいません……」
「いえ、それはいいんですけど……それよりあれ止めなくていいんですか?」
《はいはい。ここはルビーちゃんにお任せを!シークレットデバイス!ハリセンモード!!》
そしてルビーは勢いよく振りかぶる。
《お二人とも!ちょーっと!落ち着いて下さい!!》
「「ぎゃあ!?」」
スパアアアン!という気持ちの良い音が道場内に響く。
二人は頭にタンコブを作りながらうつ伏せに倒れる。
「とにかく二人が目覚めるまで待ってましょうか」
「お世話おかけします……」
美遊は申し訳なさそうに頭を下げた。
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数分後、二人は目を覚ます。
それを確認したカナ·モルフォンが話を切り出す。
「二人とも大丈夫?」
「あ、はい。ちょっと痛むけど大丈夫です」
「……も、問題ないわ」
その様子に苦笑いしながら、彼女は話を進める。
「えーっと、本命のクロちゃんとアオちゃんの試合はトリにするとして……イリヤちゃんとミユちゃんも戦えると思って大丈夫なのかしら?」
「えっと私は……《全く問題ありませんよね!イリヤさん!!》……ア、ハイ。マッタクモンダイアリマセン」
「私も問題ありません」
イリヤは戦えないと咄嗟に言おうとしたが、ルビーが代わりに答えたことにより逃れられなくなってしまった。
言わずもがな、美遊もやらない理由はなかった。
「それじゃ三人にこれを渡しておくわね」
三人が渡された物は簡易的なデバイスであった。
「この防護装備セットを胸に押し付けると、インターミドルと同じクラッシュエミュレートの効果が展開されるの。だからよっぽどの事がない限りケガをする事はないわ」
三人は言われた通り、防護装備セットを胸に押し付けると、そこから薄い魔力フィールドが発生し、三人の身体をそれぞれ包み込んだ。
「いけたみたいね。三人とも自分のデバイスは持ってきてる?」
「私達は持ってますけどクロは……」
「問題ないわ」
するとクロが左手につけているブレスレットを周囲に見せる。
「クロ、それは?」
「ヒエンにもらったのよ。簡易的なストレージデバイスらしくてね?
「え?それって……」
「そう。これで
それを聞いたイリヤは苦笑いする。
「ヒエンさんって、私達に過保護だよね」
「ええ。本当……呆れるほどお人好しなんだから」
実を言うと、少年はクロのためにクロ専用のデバイス作製をある人物に依頼しているのだが、サプライズで驚かせようとしているため、周囲には秘密にしていたりする。
カナ·モルフォンはその様子を微笑ましそうに見守っていた。
それに気付いたクロがぶっきらぼうに話しかける。
「……なによ」
「いえ、二人の様子を見てたらヒエン選手は優しい人なんだなあって思って」
すると美遊が答える。
「ヒエンさんは命の恩人なんです」
「命の恩人?」
「事情があって詳しくは話せませんが、ヒエンさんに助けてもらったことがありまして」
「そうだったの……」
「はい。それで私達、ヒエンさんに何かお返しができればと思ってインターミドルのお手伝いを……」
そのとき美遊の視界は突如として真っ暗になる。
続いて顔全体に柔らかい感触があった。
突然のことに美遊の身体は硬直する。
だがその原因はすぐに分かった。
「三人ともなんて可愛いのかしら……!!」
カナ·モルフォンが三人を抱き寄せていたのだ。
美遊はなんとか脱出しようと試みるが、カナ·モルフォンの力は意外と強く脱出できなかった。
そして気付く。
呼吸ができないことに。
美遊は戦慄する。
(この胸の大きさ……ルヴィアさんに負けてない!?)
「「「もがもがもが……」」」
三人が胸をタップして動けないことを伝えるが、肝心のカナ·モルフォンは全く気付かない。
(いけない……意識が……)
そして今度は美遊も巻き込まれ、三人は意識を失った。
道場内は盛り上がっていた。
一種のイベントの如くなっており、見物人で溢れていた。
するとカナ·モルフォンが取り仕切る。
「さてと、じゃあ三人も無事目を覚ましたことだし模擬試合を始めましょうか」
「姉さん反省してるの?」
「カナさん……?」
「ごめんなさい」
妹と後輩の迫力に押されて、頭を躊躇なく下げる師範代がそこにいた。
「全く……どうもお見苦しいところをすいません。それでは三人とも準備はよろしいですか?」
「「「はい/ええ」」」
イリヤはルビーを構え、美遊はサファイアを構え、クロはブレスレット型のストレージデバイスを構えた。
「それじゃ、やりますか!」
イリヤの合図で三人は変身する。
「「コンパクトフルオープン!鏡界回廊最大展開!!」」
《鏡像転送準備完了!万華鏡回路解放!》
イリヤと美遊を白く淡い光が優しく包む。
イリヤは全体的に少し淡いピンク色の衣装を纏い、ミユは紫色の衣装を纏う。
そしてそれぞれのカレイドステッキ、マジカルルビーとマジカルサファイアを構えた。
「「魔法少女プリズマイリヤ&ミユ推参!」」
クロはというと……
「じゃあ私は普通に……セットアップ!」
赤い
「「「「「…………」」」」」
道場内に居た者は三人の姿に唖然としていた。
そう。
三人とも露出が多い上に格好が派手なのだ。
その姿はまさに魔法少女といっても過言ではなかった。
そしてその中でも一番に反応したのがアオ·セフィラである。
顔を真っ赤にし、口をアワアワとさせながら大声で言った。
「ハ、ハレンチですっっっ!!!!」
そのとき道場内が少しだけ揺れたそうな。
アオ·セフィラのモデルは、ラブライブの園田海未ちゃんです。
ナヲ·モルフォンのモデルは、鬼滅の刃の
次回は戦闘回です。
アオさんにラブアローシュートという名の射撃魔法を使ってもらう予定で……うわなにをするくぁwせdrftgyふじこlp