続きかけたで候。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
ヒエンside
「ヒエンちゃん、それあちしのセリフよぅっ!全くジョ~~ダンじゃ、なーいわよーーう!!」
《口は災いの元っちゃブル!これからは用心することだねヒエンボーイ!ヒーハー!!》
「チクショー!正論過ぎて反論できねぇ!!」
俺と珍獣コンビが騒いでいると、何やら騒がしいことに気付く。
あー……まあこんだけ騒いでれば目立つよねそりゃ。
すると聞き覚えのある声が。
「何やら騒がしいと思って様子を見に来てみれば、やはり貴方でしたかヒエン……」
リニスである。
額に手を当て呆れた様子で言ってくる。
誠に失敬な反応である。
それと騒がしい=俺という図式はやめなさい。
すると彼女は俺と話しているボンちゃんに気付く。
「おや?そこにいるのはオボン·クレー選手ではありませんか?」
「あらん?ヒエンちゃんのお知り合いかしら?」
「初めまして。この子の使い魔で家庭教師のリニス·オオゾラです」
「これはご丁寧にどうもねん。お察しの通り、あちしはオボン·クレー。こっちはデバイスのイワさんよ」
《よろしくね、リニスガール》
「よろしくお願いします。ほう、イワさんは補助制御型のデバイスですか」
《あら?ヴァナタ、ヴァターシのデバイスの特性が分かるの?》
「ええ、こう見えてもデバイスマイスターですので」
「リニスは俺の魔法の師匠なんだよ」
「だから家庭教師なのねん。……ん?人がぞろぞろ集まって来たわねぇ」
周りを見渡せば、人の視線視線視線。
ちょっとやり辛い。
《……話はここまでにしておいた方がいいっチャブルね。そろそろ行きましょうボン·ボーイ。これ以上ここにいると二人に迷惑がかかるわ》
「そうねぇ。じゃあ二人とも、あちし達はもう行くわ。ヒエンちゃん、予選の決勝で会いましょう。あちしと戦うまで誰にも負けんじゃないわよ?」
「お互いにな」
二人は片手をあげながら去っていく。
オカマなのに去り方が漢らしすぎる……いや、オカマだからこそか?
「ヒエン、皆の所に戻りましょう。クロノとティーダの試合もそろそろ始まります」
「分かった」
俺達も一旦、皆の所へと戻ることにした。
◆◆◆
クロノとティーダのスーパーノービスの試合はすぐに終了した。
さすがは現役執務官と武装隊隊員。
クロノは相手にほぼ何もさせずに完勝した。
相手が射撃魔法を使ってくればその倍の数で迎撃し、砲撃を使ってくればその倍の威力で迎え撃つ。
極め付けは、お得意の捕縛魔法で拘束からの魔力刃
あれはさすがに相手に同情した。
ティーダはというと、終始相手を
幻術魔法を駆使し、その隙をついて双剣双銃で攻めるのだ。
幻術魔法は俺も使用しているのだが、これが意外と使い手が少ない……のだが、ティーダはその少ない内の一人らしい。
フェイクシエルットを数体操りながら、魔力弾と幻影弾で相手を惑わせ、オプティックハイドで姿を消してからのトドメの零距離砲撃。
中でも特に凄かったのが多重弾殻射撃で、相手のバリアや防護フィールドを簡単に突破したのだ。
以前会ったときよりもクロノは全体的な強さが底上げされており、ティーダは幻術と射撃を駆使して戦うことが分かった。
どちらも一筋縄ではいかないようだ。
次からはエリートクラスでの試合が始まる。
二日間の月日を開けてからが本番だ。
クロノとティーダもここから気合を入れてやるようだ。
ハラオウン家の面々や、ナカジマ家の面々も二人のサポートをするために本格的に力を入れていくらしい。
その関係で両家とはまあ、大会期間中はできるだけ会わないようになるだろう。
ホテルに戻ってから皆を交えてミーティングをする。
リニスを中心にこれからのことを話していく。
俺の次の相手は【神童】と呼ばれる天才少年らしい。
僅か十歳であらゆる魔法を使いこなす才能ある若き魔導師だ。
魔力ランクもAAAに迫るそうな。
十歳でそれとか完全になのはさんフェイトさんクラスじゃないですかヤダー。
相手もインターミドル初参加のためこれ以上の情報はない。
完全に未知の相手である。
だが恐れることはない。
頼りになる応援団がここにはいるからだ。
そしてここからは、それぞれの役割を決めて本格的に動き出していく。
応援団の皆には、基本的に俺の対戦相手になりそうな人物達の情報収集と、俺のトレーニングの補助、スパーリングの相手を頼んでいる。
大会期間中、相手の情報があるのとないのとでは全く違う。
情報があればあるほど対策も練られるし、こちらが有利になっていく。
俺の応援団の人数は、比較的多いので情報収集には持ってこいだろう。
本人達も随分と乗り気であるし、楽しんでくれている。
こうして【チームヒエン】が本格的に始動することとなった。
あと今日知り合ったボンちゃんとの賭けについて話したら全員から総ツッコミをされた。
特になのはとフェイト、つぼみとゆりの四人から『オカマは絶対にダメ!!』と念を押された。
あまりの迫力にいつの間にか土下座していた(震え声。
ちなみにフェイトとアリシアのテスタロッサ姉妹に、クロノのサポートはしなくていいのか聞いたら、インターミドルは俺のサポートをすると最初から決めていたらしく大丈夫とのこと。
その代わりエイミィは当然として、アルフとユーノがクロノのサポートをしている。
うーむ。
なんかこう、身内というか仲良くしてる人達と会わないようにするっていうのもなんだか変な感じである。
だけど戦うならお互いに全力で戦いたいし、これでいいのかもしれない。
この二日間俺はケガをしない程度にトレーニングしつつ、なのはとフェイト相手に模擬戦を繰り返す。
恐らく相手の少年は二人と同じく天才型だ。
どういったタイプの魔導師かは分からないが、付け入る隙があるとすればどんな戦い方をするのかをすぐに見極めるのが鍵となるだろう。
そして二日間はあっという間に過ぎ、試合当日を迎えた。
◆◆◆
「「ついにやってきましたっ!!エリートクラスの会場ッッ!!!!」」
アリシアとえりかが元気よく言う。
朝からテンション高いね君達。
「はしゃいじゃダメだよ、姉さん」
「えりかもですよ」
そんなアリシアとえりかを、フェイトとつぼみがなだめる。
それにしてもフェイトとつぼみさん、声質似てるね(意味深。
俺はそんな四人を横目に会場を見回す。
「選考試合とは比べ物にならないほどお客さんがいるな」
俺の呟きに冷火が答える。
「エリートクラスからはテレビ放送もされるみたいですし、無理もありませんよ」
テレビ放送かぁ。
そう考えるとちょっと緊張してくるのよなあ。
今日からインターミドルが本格的に始まると言っても過言ではない。
ここからインターミドルでは、1ラウンド4分4ラウンドで戦う。
戦闘はライフ制で、双方ともに初期数値は固定されている。
1回戦は12000であり、そこから勝ち上がっていく事にライフも上がっていく。
攻撃がヒットした際にダメージ算出され、ライフが0になると敗北する。
又、棄権や負傷により試合が続けられなくなった場合もTKO勝利となる。
そしてインターミドルの試合では、『クラッシュエミュレート』というシステ厶があり、受けた攻撃によって『打撲・骨折・脳震盪・火傷・感電』などといった身体ダメージが表現されるようになっている。
実際に傷を負ったような痛みを感じたり、身体の動きが鈍るといった状況が再現されるのだ。
『ボディ蓄積ダメージ』というのもあり、こちらは%で表示され、主にフットワークなどに影響を及ぼす。
ボクサーの試合をイメージしてもらえば分かりやすいと思う。
クラッシュエミュレートや、ボディ蓄積ダメージは、ラウンド間のインターバルである程度回復可能となっているが、その回復量には個人差があり、完全に術者とデバイスの回復能力に依存するものとなっている。
勿論、その試合で負ったダメージは試合が終わるとキチンと解除されるので安心だ。
ただ、ごく稀にクラッシュエミュレートを貫通するほどの攻撃を行う選手もいるため、その状態でダメージを負うと、実際に骨折したりすることもある。
なので攻撃力のある選手と戦うときは注意が必要だ。
俺達は会場に入ると、入口付近で分かれる。
セコンドのリニスと共にエリートクラスの控え室へ行く。
控え室には他の選手もおり、コーチと話している選手もいれば、ストレッチをしている選手、瞑想をしている選手もいた。
しかし気のせいでなければ、全員からチラ見されている気がする。
物凄くやり辛いんですけど……これあれだよね?
もしかしなくても絶対に注目されてるよね?
はぁ……死ぬ気化しとこ。
通常状態だと緊張して試合どころじゃねえし。
そして待つこと十数分、いよいよ予選2組の試合時間となった。
「準備はいいですか?」
「おう」
リニスの言葉に答えると同時に俺はセットアップし、バリアジャケットに換装する。
グローブとグリーブの様子を確認するが特に問題はない。
「ガゥ」
すると俺の肩に相棒が現れる。
俺は相棒に向けて言った。
「勝つぞ」
「ガゥ!」
俺達はリングへと向かった。
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『皆様お待たせしました。予選2組エリートクラス1回戦選手入場です。レッドコーナーからは初参戦フレッシュルーキー、参加選手最年少!【神童】カイト·マーク選手!』
茶髪の小柄な丸眼鏡をかけた美少年がコーチと思われる金髪美女と共に入場してくる。
カイト選手は、黒いカンフースーツの上に白いマントのようなものを羽織り、木の杖を持っている。
周りを見れば彼の応援団なのだろうか、キレイな美少女達が大勢応援している。
「頑張って〜!」
「カイト君愛してる〜!」
「かわいい〜!」
カイト選手は応援団に手を振りながら笑顔で応える。
続いては、俺の入場だ。
『ブルーコーナーからは同じく初参加!オリジナル戦技「
「ヒエン君頑張れー!」
「ファイトだよ〜!」
「気合い入れなさい〜!」
俺もリニスと共に入場しながら、応援団の方に手を振る。
とりあえず名前がないと不便なので、俺の扱う格闘戦技はヒートアーツで登録している。
俺達はリングに上がり、互いに視線をかわす。
カイト選手はこちらに優しい笑みを向ける。
第一印象としては、紳士的な少年だ。
身長は140センチくらいの小柄で、なのは達とそう変わらない。
だが彼は【神童】と呼ばれる程の天才魔導師だ。
油断は禁物だ。
俺は目を閉じ、精神を集中させ、死ぬ気モードになる。
すると、会場から驚きの声が上がる。
『な、なんとヒエン選手の額に炎がついたー!?雰囲気も少し変わったようだぞ!?』
実況も驚いている。
すると、実況席にスタッフと思われる人物が耳打ちする。
『ふむふむ。大会本部の情報によれば、ヒエン選手の額に炎がついているこの状態は、簡単に言えば潜在能力を解放している状態とのことです。なのでルール上、特に問題はありませんので、このまま続行していきます』
実はボンちゃん達と別れた後に、大会本部から事情説明のために呼び出されていたのだ。
最初は何かルール違反をしているのではないかと少し疑われていたのだが、特に何かした訳ではないのと、死ぬ気モード時の身体検査を受けたときに魔力検査でも何も出なかったのでなんとかなった。
実況は続ける。
『一回戦は4分4R規定ライフは12000!どちらも初参加選手の戦い!果たしてこの対決はどちらに軍配が上がるのか!!』
俺とカイト選手は構える。
『今、戦いのゴングが……鳴りました!!』
そしてゴングがなった。
「やるよ、マジックワンド」
《Yes.My Master.》
先手はカイト選手からであった。
「
《Thunder Arrow.》
《Ice Arrow.》
《Fire Arrow.》
《Wind Arrow.》
雷·氷·炎·風の効果を宿した弓矢が形成される。
「おいおい……冗談きついぜ……」
だが、
なんせ百はあろうかという弓矢に、既に包囲されていたのだから……。
カイト選手は申し訳なさそうに言う。
「ごめんね炎のお兄さん、いきなりで悪いけど……もう終わりだよ」
そしてそれらの弓矢が、俺へと一斉に放たれた。
ついに始まったエリートクラス一回戦。
しかしいきなりピンチに。
どう攻めるのか?
では、また(・ω・)/