大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

334 / 394
どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

お久しぶりですはい。

先週、映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日を見てきました。

見てて思ったんですが、意外と話が重かったことに驚き。

そして敵であるリフレインさんマジハンパネェ。

三組のプリキュアを一人で圧倒してました。

平田さんの敵キャラクールでカッコ良かったです。

あとキュアグレース、マジ応援したくなりました。

不覚にも少しウルッときました。

さてさて、話は変わりますが今回でちょっとプリヤ編終わりです。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第三百ニ十一話 ちょっとプリズマ☆イリヤ 2wei(ツヴァイ)!⑫

第三者side

 

 

 

「あれ……私……なにして……」

 

 

桜は唐突に目を覚ます。

 

 

「いつの間にか着替えてる……」

 

 

起き上がるとパジャマに着替えていることに気付く。

 

部屋は薄暗く、外もまだ明るくはないといった具合だ。

 

周りを見渡すと、桜の隣で毛布をかけて眠っている四人の少女達と女性二人、壁に背を預けて眠っている少年がいた。

 

 

「この人達は……」

 

 

眠っている人物達を見て、桜は思い出す。

 

臓硯の指示により、いつもの蟲達による訓練という名の凌辱を耐えていた桜であったが、その最中にこの少年達が地下室へとやってきたのだ。

 

そして桜はあることに気付く。

 

 

「あれ……お爺様が……いない……?」

 

 

自身の心臓に寄生しているであろう臓硯の蟲の気配がないのだ。

 

 

「……目が覚めたのか?」

 

 

「両儀……さん?」

 

 

そのとき式が目覚めたのか桜に話しかける。

 

 

「安心しろ。あの間桐臓硯とかいう蟲爺は倒した」

 

 

「倒したって……あのお爺様を?」

 

 

「ああ、トドメはそこで寝てる小娘共がさしたがな。それとお前の心臓に寄生してた蟲爺の本体はオレが殺した」

 

 

「一体……どうやって?」

 

 

「オレの眼は有機物無機物問わず、そのモノの死を認識できる。あとはあの蟲爺の死の点を突いて殺した……ただそれだけだ」

 

 

桜は言葉を無くす。

 

滅茶苦茶なことを言っているが、それが真実なのだということは理解した。

 

実際に臓硯の気配がどこからもしないのだから。

 

式は言葉を続ける。

 

 

「それと、その両儀さんっていうのはやめろ。名字で呼ばれるのは、あまり好きじゃないんだ」

 

 

「……じゃあ、式さんと……そう呼ばせてもらいます」

 

 

「そうしろ」

 

 

そこから数分ほど沈黙が続く。

 

桜はなんとなく気まずくなっていたが、式はさほど気にしていないのかすぐにまた寝直した。

 

しばらくして寝息が聞こえてきた。

 

二度寝したらしい。

 

 

「…………シャワー浴びよう」

 

 

桜は気分を入れ替えるためにお風呂場へと向かう。

 

寝ている人物達を起こさないように気を付ける。

 

どうやら桜がいたのは客間の和室であったらしく、そこで寝かされていたようだ。

 

 

(お風呂沸かして、この人達にも入ってもらおう)

 

 

あの地下室に入ったのだから、身体を綺麗にしたいであろうし。

 

それに今は少し心の整理をする時間がほしい。

 

そのあと誠心誠意、お礼を言おう。

 

そのためにも、まずは自分の身なりをしっかり整えることからしなければならない。

 

桜はそう意気込むと、気合いを入れてお風呂場へと向かっていった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

桜がシャワーを浴びて客間へと戻ってくると、女性陣が目を覚ましていた。

 

桜は少し緊張しながらも声をかける。

 

 

「お、おはようございます……」

 

 

「「「「お、おはようございます……」」」」

 

 

「おはよう」

 

 

「おう」

 

 

まず反応したのは四人の少女達。

 

その次に鮮花、最後に式だ。

 

ちなみに少年はまだ眠っている。

 

 

「あの、お風呂の用意ができたので、良ければ皆さんお入りください。ウチのお風呂は無駄に大きいので」

 

 

「「おぉ!!」」

 

 

お風呂と聞いて少し青みがかった髪の少女えりかと、茶髪の少女いつきが声をあげる。

 

 

「だったら貴方も一緒に入りましょうよ」

 

 

と、そこで声をかけたのは鮮花である。

 

桜は戸惑いながらも返事を返す。

 

 

「いえ、私はさっきシャワーを浴びましたので……」

 

 

「まあまあ、そう言わずに。ほら、裸の付き合いって言うじゃない」

 

 

「いや、あの……」

 

 

「じゃあ、さっそくお風呂場にレッツゴー」

 

 

「ちょ、ちょっと~!?」

 

 

だがそこは猪突猛進を地で行く女性、黒桐鮮花。

 

桜の反論など聞くはずもなく、あっという間に連れていった。

 

残された式とつぼみ達であったが、式が話しかける。

 

 

「お前達はどうする?」

 

 

「え、えっと、お、お供させていただきます!!」

 

 

つぼみは少し緊張した様子であったが、なんとか返事を返す。

 

そして式は未だに眠っている少年に視線を向ける。

 

 

「こいつは……どうするか」

 

 

するとオレンジの小ライオンと、白い狐がポンッという効果音と共に現れる。

 

 

「ガァウ」

 

 

「きゅー」

 

 

「……こいつのことは任せろって言ってるのか?」

 

 

二匹は肯定する。

 

 

「そうか。じゃあ任せた」

 

 

そして式は二人の後を追っていく。

 

 

「あ、ええと……そうだ。毛布だけでも」

 

 

つぼみ達はというと、お風呂場に行く前に一枚の毛布を少年へとかけると、その後を急いで追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

間桐の屋敷のお風呂は想像以上であった。

 

脱衣場も広く、洗面所とトイレも完備しており、お風呂も旅館顔負けの大きさと広さとなっている。

 

普段、桜は一人用のお風呂を使っているのだが、人数が多いということで多人数用のお風呂を沸かしたのだ。

 

ちなみに普段から、ちゃんと彼女が掃除しているのでピカピカである。

 

そしてつぼみはというと、この世界で知り合った女性達のスタイルの良さに圧倒されていた。

 

 

(お、お三方とも……な、なんという綺麗な体つき!?)

 

 

桜は全体的に肉付きが良くバランスのとれたスタイルであり、式は均整のとれた綺麗なプロポーションであった。

 

そして最後の鮮花はというと、大きかった。

 

何がとは言わないが、ひたすらに大きかった。

 

言葉にすれば、超乳と呼ばれるほどの大きさであった。

 

服越しでも大きいのは分かっていたが、解放された胸は圧倒的であった。

 

 

(鮮花さんって着痩せするタイプだったんですね……。そ、それよりも、鮮花さんが歩く度に……プルンプルン揺れています……っ!?)

 

 

それはまるで器から出したプリンの如く、ひたすらに揺れていた。

 

それを見たつぼみは圧倒されていたが、他の面々も似たような驚愕の表情であった。

 

 

『うっひょおおおお!三人とも凄いスタイル!!』

 

 

『うわあ~三人とも綺麗だなあ』

 

 

『タイプは違うけど、それぞれ女性として完成された美しさね』

 

 

それも視線だけで会話できる程に。

 

そして七人は湯船に浸かる。

 

 

「「「「「はぁ~」」」」」

 

 

つぼみ、えりか、いつき、ゆり、鮮花はついゆったりとした声を出す。

 

それほどお風呂というのは気持ちが良いのだ。

 

式と桜も気持ち良さそうに入っていた。

 

するとここで鮮花が話を切り出す。

 

 

「ねぇねぇ、良い機会だし、皆で自己紹介しない?」

 

 

「お!良いですねぇ!!」

 

 

鮮花の提案にえりかが賛同する。

 

 

「じゃあ、言い出しっぺの法則で私からかしら?私は黒桐鮮花よ。魔術師やってるわ」

 

 

「「「「「魔術師!?」」」」」

 

 

つぼみ達と桜は驚く。

 

 

「あれ?桜ちゃんはともかく、貴方達はヒエン君から何も聞いてないの?」

 

 

「私達、訳あって猫になっていたので……その、彼からは何も聞いてないんです」

 

 

鮮花の質問にゆりが答える。

 

 

「あ、そういえばそうだったわね……。まあ、今はそのことはいいか。じゃあ次、式」

 

 

「……両儀式」

 

 

式は無愛想に呟くように答えた。

 

 

「ちょっとあんた、もうちょっと愛想良くしたらどうなのよ。もう一児の母でしょうが。そんなんじゃ、奥様方とのご近所付き合いも上手くいかないわよ?」

 

 

「……余計なお世話だっての」

 

 

鮮花の言葉につぼみが反応する。

 

 

「式さん、結婚してらっしゃるんですか!?」

 

 

心なしか目が輝いている。

 

 

「あ、ああ……」

 

 

「私の兄さんがこいつの婚約者なのよ」

 

 

そして他愛もない話で盛り上がると、次につぼみ達の番となる。

 

 

「えっと、次は私達ですね。改めて、初めまして。花咲つぼみと申します。で、こちらが仲間の……」

 

 

「来海えりかで~す!」

 

 

「明堂院いつきです」

 

 

「月影ゆりです」

 

 

各自、順番に自己紹介していく。

 

 

「その、それでですね?私達はその、プリキュアという物をやってまして……」

 

 

「プリキュア……ですか?」

 

 

桜が首を傾げる。

 

 

「超簡単に言えば、悪者から世界を守るヒーロー的なことをやってるんでえぇす!!」

 

 

えりかがテンション高く言う。

 

 

「はぁ~、皆さん若いのに凄いんですねぇ」

 

 

桜も段々と慣れてきたのか、精神的余裕が出てきたらしく、ノホホンと会話に参加する。

 

えりかは桜との会話をリードするようにこれまでの自分の成功(たん)もとい、自慢話をしていく。

 

彼女は普段から、つぼみという大人しめの文科系女子との会話に慣れているため、必然的にタイプの似ている桜とも仲良くなることに成功していた。

 

桜もえりかのようなタイプと話すのは初めてであったが、聞き上手であったことから仲良くなるのにそう時間はかからなかった。

 

えりかは自分のことを話していく。

 

実家が服屋を営んでいること、ファッション部という自分が立ち上げた部活の活動をしていることなど、普段の私生活中心に話す。

 

そこにつぼみや、いつき、ゆりといった仲間も話に加わり、盛り上がりを見せる。

 

鮮花と式も興味深そうに話を聞いていた。

 

そして遂に桜の番となる。

 

 

「最後は私ですね……。私は、間桐桜……です。えっと、その……皆さんに言いたいことがあって……」

 

 

桜は言葉を振り絞るように呟いた。

 

 

「助けていただいて……どうもありがとうございました」

 

 

桜は話す。

 

 

「正直、助けられた今でもまだ信じられません。あのお爺様がいなくなっただなんて……」

 

 

ここで鮮花が質問する。

 

 

「その、桜ちゃんのことを聞いてもいいかしら?……話したくなかったら、別に話さなくてもいいんだけど」

 

 

「いえ、別に私は……大丈夫、とは正直言い難いですけど……その、今から話す内容は、あの地下室を見てもらったら分かると思うんですけど……あまり良い内容ではありませんので」

 

 

桜はつぼみ達の方を見て話す。

 

その意図を察したつぼみ達は、桜へと話しかける。

 

 

「……桜さん、気遣っていただいてどうもありがとうございます。ですが、私達にも貴方のことをどうか話していただけませんか?私、桜さんのことが知りたいです」

 

 

「うん、私も知りたい」

 

 

「僕もです」

 

 

「貴方さえ良ければ、聞かせてほしいわ」

 

 

つぼみ、えりか、いつき、ゆりの四人は力強い目線で桜を見る。

 

桜はつぼみ達の視線に少したじろぐも、ゆっくりと話し始めた。

 

 

「……実は私、穢れてるんです」

 

 

そして桜は話す。

 

間桐家が魔術師の家系であり、幼少の頃に間桐の家に養子に出され、魔術回路を持たない兄・慎二に代わる間桐の後継者とされていたこと。

 

彼女の保護者、間桐臓硯の手により、刻印虫による訓練、実際には凌辱行為で魔術回路を弄りまわされた結果、身体中に小さな蟲達が存在していること。

 

 

「そのお爺様の蟲達による訓練で身体の中をいじくり回された私は、精神を守るために心を閉ざしました。今思えば、防衛本能だったんでしょうね。毎日毎日、あの地下室での蟲達の凌辱行為に慣れていった私は、いつの間にか痛みも苦しみも、何もかも感じなくなっていました」

 

 

それらの訓練は当時の幼い桜、年端もいっていない少女にとっては、心身共に過酷すぎるものであった。

 

臓硯による地下室での地獄の日々は、次第に彼女から抵抗の意志すら奪っていった。

 

そして十一年という長期に渡る過度な訓練の結果、彼女の髪や瞳の色は青みがかったものに変化し、それと同時に心も深く閉ざしてしまったのだ。

 

桜は続ける。

 

 

「そして兄さんも魔術師として才能のある私が気に入らなかったのでしょう。時たま強姦まがいのことも受けていました。間桐の後継者として、間桐の長男としてのプライドを持っていた兄さんから、私はその権利を奪ってしまったから……」

 

 

臓硯に見放されていることを知った慎二は、そのコンプレックスから桜に性的暴行を含む虐待を仕掛けるようになり、当初抵抗していた桜も最終的には受け入れていた。

 

 

「それに私自身もどこか兄さんを求めていたのかもしれません。体内に入れられた刻印虫の影響で常に魔力不足の状態になっていますから……それを解消するために他人から魔力を摂取しないといけません。その手っ取り早い方法として、体液摂取があります。魔力は体液に溶けやすいので、それを摂取して魔力を補給する訳です。一番魔力供給効率が良いのは精液を摂取する事、つまり性行為をする事です」

 

 

刻印虫は宿主の快楽中枢を刺激する事で性行為による魔力補給を強制的に行わせる性質があるのだ。

 

 

「……間桐の親戚の複数人と半強制的に性行為を行なわされたこともありました。でも性行為をしないと苦しみ続けなければいけないとはいえ、多少は私自身の意志で性行為を望んでいた節もありました」

 

 

そして桜は天井を見上げながら呟く。

 

 

「だから私は……助けられる価値のない……ふしだらな女なんです」

 

 

その目からは一筋の涙が流れる。

 

つぼみ達は、桜の語った過去話に絶句する。

 

ある程度覚悟していたとはいえ、桜の過去は、あまりにも悲惨で、あまりにも過酷であった。

 

いつの間にか桜は泣いていた。

 

見ていられなくなったつぼみは、桜の手を取る。

 

 

「そんなことありません!!」

 

 

「つぼみ……さん?」

 

 

つぼみの声に桜は驚く。

 

 

「桜さんは凄い人です!幼い頃から蟲達の凌辱にもずっと耐えて……お兄さんや親戚の人達からの強姦もずっと我慢して……ずっと堪えてきて……それでも自分を見失いませんでした!!」

 

 

「そうだよ!桜さんは凄いよ!!私だったらとっくの昔にリタイアしてるだろうし……」

 

 

「うん。僕も桜さんは、心が強いと思います」

 

 

「ええ、貴方は凄くて、強い女性よ。何て言ったって、あのお爺さんの理不尽に今日まで耐え抜いたのだから」

 

 

桜は唖然とする。

 

罵倒されて当然だと思っていた。

 

貶されても仕方がないと思っていた。

 

 

「な、なんで……?」

 

 

だからこそ分からなかった。

 

なぜこの人達は自分を凄いと言うのか。

 

なぜ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「どうしてそんなことを言うんですか?私は……身体の中に蟲は何匹もいるし、複数の男の人と何度も性行為をして、関係を持った穢らわしい女なんですよ……?そんな女のどこが凄いんですか……?どこが強いんですか……?」

 

 

するとそこで鮮花が桜を抱き寄せる。

 

 

「桜ちゃん……もういい、もういいのよ」

 

 

「え……?」

 

 

鮮花は桜の頭を優しく撫でる。

 

 

「貴方は今まで十分頑張った、十分耐えた。そしてこの家にはもう貴方を縛る者は誰もいない。分かる?()()()()()()()()?」

 

 

「じ……ゆう……?」

 

 

「そう。だからね?」

 

 

そして優しく鮮花は告げた。

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

 

 

 

 

その言葉はなぜか桜の心にストンとはまった。

 

 

「あ……」

 

 

(そっか……私、自分のことが許せなかったんだ……)

 

 

すると途端に涙が止まらなくなる。

 

 

「ああ……ああ……」

 

 

(もう……我慢しなくて……いいんだ……)

 

 

しゃくり声をあげる。

 

 

「あ……ああ……あああぁぁぁあぁぁぁあ!!!!!!」

 

 

(もう……自分を殺さなくて……いいんだ……)

 

 

この日、桜は声をあげて泣いた。

 

つぼみ達も、泣く桜を見てもらい泣きしていた。

 

鮮花は桜が泣き止むまで、ずっと彼女の頭を撫でていた。

 

 

「…………ふっ」

 

 

そして式はというと、そんな桜を見てどこか満足げな表情で見守るのだった。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

「ん?朝か??」

 

 

ふと目が覚めた俺は腕をほぐそうと、後ろに手を向ける。

 

しかし壁であったため、伸ばすことかできなかった。

 

なんとか腕をほぐそうと、今度は前に手を伸ばすと突然、両手に柔らかい感触があった。

 

 

「ん?柔らかい??」

 

 

効果音にすると、むにゅりといった感じである。

 

それを無意識に俺は()()()()()()()()()()

 

 

「ちょっ……」

 

 

「あ、あの……」

 

 

すると()()()()()が聞こえた。

 

 

「え?」

 

 

俺か寝ぼけ眼で前を見ると、顔を赤くさせた二人の女性が目の前にいた。

 

正確には俺に胸を鷲掴みにされている鮮花さんと桜さんの姿があった。

 

 

「おうふ」

 

 

朝から予想外の光景に眠気なんぞ簡単に吹き飛んでしまった。

 

というかお二人とも、胸のサイズが凄まじい。

 

鮮花さんはメロンでも積んでいるのかといった質量があり、とんでもなく柔らかい。

 

桜さんは小ぶりのスイカくらいはありそうな質量で、こちらは少し弾力があって跳ねっ返りが素晴らしい。

 

サイズにすると鮮花さんはJカップ、いやKカップくらいはありそうだ。

 

桜さんもFカップはありそうな気がする。

 

って違う。

 

落ち着け、俺。

 

なに二人の胸の分析をしているんだ。

 

一刻も早く謝らなければ……と思いつつも、抗えないのは男の(さが)なのか、両手が二人の胸から離れない。

 

すると……

 

 

「何をやっているんですかヒエンさん……」

 

 

急に悪寒が走る。

 

この感覚は知っている。

 

俺が目を向けると、そこには女王つぼみ様が降臨なさっておいでであった(動揺。

 

そして例の如く、目のハイライト消えていた(震え声。

 

 

「とりあえず、さっさっとお二人のお胸から手を放しましょうか?」

 

 

この後、滅茶苦茶土下座した。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

久し振りのつぼみのガチの説教を受けた後、俺は間桐家のお風呂をいただいた。

 

間桐家のお風呂……

 

一言でいうと、スゲェッス。

 

二言付け加えると、マジハンパネェッス。

 

三言付け加えると、超ヤベェッス。

 

語尾が退化するほど、入り心地が良かった。

 

だからあのときの女性陣からのまるで養豚場の豚を見るような冷ややかな視線なんてなかった。

 

なかったといったら、なかった。

 

そうそう。

 

桜さんのこれからについて鮮花さんから簡単に聞いた。

 

とりあえず桜さんの処遇は、伽藍の洞で一時的に預かることになったらしい。

 

というか、鮮花さんがそう決めたらしい。

 

どうやら俺の知らない所で女性陣の交流を深めていたらしく、仲が良くなっていたのだ。

 

桜さんもとりあえずは気持ちが落ち着くまでは、伽藍の洞でお世話になることに納得しているようだった。

 

俺も手伝えることは手伝うと告げておいた。

 

そのときの「ありがとうございます」と言った彼女の表情は、何か憑き物が落ちたかのような明るい表情だった。

 

すると彼女からある質問をされた。

 

曰く、「どうして私の事を助けてくれたんですか?」である。

 

そんなの決まってる。

 

なので俺は一言で答えた。

 

 

「友達だから」

 

 

すると桜さんはプッと小さく笑った。

 

笑う箇所なんて欠片もなかった気がするが、何かが彼女の琴線に触れたらしい。

 

桜さんが言うには、事前に式さん達から俺が以前話してた桜さんを助ける理由を聞いていたらしい。

 

それで全く持ってその通りに答えたからおかしかったそうな。

 

まあ、今は彼女が元気でいてくれて良かった。

 

とにもかくにも、これで俺達の間桐家での戦いは幕を閉じたのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

あの間桐家での戦いから一週間の月日が過ぎた。

 

当初は凛やルヴィア嬢、アイリさんの反応を伺っていたのだが、どうやら間桐家での戦いのことは知らないらしい。

 

ハートキャッチオーケストラのことも特にテレビやラジオでも報じていなかったことから、間桐家の認識阻害の結界は完璧に作用していたようだ。

 

ルビーや、サファイアも特には騒いでいなかったことから、気付いていない。

 

まあ、バレていないのは正直助かった。

 

あれからの事後処理は、伽藍の洞の面々がやってくれていた。

 

桜さんを保護してくれたり、魔術関連のゴタゴタも少しあったようだが、鮮花さんと、橙子さんが裏で手を回してくれたようだ。

 

そして数日過ぎて心の整理ができた桜さんがまずやったことは、警察への間桐臓硯の捜索願いと、兄:慎二への報告だった。

 

臓硯は書類上では桜さんの保護者であるので、奴が存在しないことはいずれバレる。

 

ということで警察への捜索願いは、世間を誤魔化すためのカモフラージュだ。

 

そして兄:慎二への報告は、思ったよりスムーズにいったらしい。

 

桜さんがゆっくり、「お爺様が亡くなりました」と伝えると、慎二は震える声で「……本当か?」と聞いてきたそうだ。

 

慎二にとって間桐臓硯は、恐怖の象徴であった。

 

何百年も生きるマキリの蟲の翁は、魔術回路を持って生まれることができなかった慎二を無能とののしっていたからだ。

 

そして間桐兄妹は何度か直接会ったようで、二人が最初にした事は、臓硯が完全に消滅したかの確認であった。

 

お互いに考えられる可能性をつぶし合って家の中を探し回ったようで、臓硯が完全に消滅したと確信したときは、思わず二人一緒に涙を流したらしい。

 

そして、時間をかけてゆっくりと話し合った。

 

驚くべきことに、桜さんは間桐家を継ぐことにしたようだ。

 

慎二には魔術師に必須の魔術回路がないので、魔術師になることはできない。

 

そんな慎二がこれからのことについて冷静に話が出来たということは、Fate原作の彼を知る俺からしたら完全に予想外であった。

 

彼も彼で色々考えることがあったのかもしれない。

 

まあ、過去に桜さんに強引に迫ったことは許せないが……。

 

そこは彼女が既に許しているので他人の俺が言えることなど何もない。

 

そして慎二は大学に行っているため忙しいが、できる限り家のことを手伝いにくるらしい。

 

桜さんが間桐を継ぐことに関して、裏からサポートすることを選んだようだ。

 

彼女曰く、こう言われたとのこと。

 

 

 

『お前は魔術の修行に集中して、家のことは僕に全部任せろ。お前トロいんだから、そういうのは長男の僕の仕事だ。それと……今までごめん』

 

 

 

と、桜さんが嬉しそうに話していた。

 

まるで昔に戻ったみたいだと喜んでいた。

 

普通の兄妹みたいなやりとりができて、思わず一緒に涙も零れたと言っていた。

 

臓硯というしがらみがなくなったことで、間桐兄妹の関係も良い方向に転んだようだ。

 

桜さんはそのまま伽藍の洞に出入りしており、橙子さんの魔術指導を受けている。

 

鮮花さんも妹弟子が出来たと喜んでいた。

 

 

これらが主に起こった出来事だ。

 

ここからは俺達のことについて語ろうか。

 

あれからつぼみ達にはカラフル猫に戻ってもらい、猫生活を続けてもらっている。

 

俺も執事生活を続けながら、インターミドルに向けての身体作りを行っている。

 

そして俺もトレーニングの途中で何度か、伽藍の洞に出入りさせてもらっている。

 

いや、なんかここ居心地いいんだもの。

 

勿論、差し入れは忘れない。

 

そのおかげか、式さんの娘の未那ちゃんとも仲良くなり、伽藍の洞の社員である瓶倉光溜(かめくらみつる)さんともよく話すようになった。

 

ってか光溜さんってあれやん。

 

正直、内容はあまり覚えていないが、確か未来福音に出てた人やん。

 

石田さんボイスでやたらとエエ声の人である。

 

そんなある日、未那ちゃんの父親でもある幹也さんが忙しそうに書類をまとめていたので、暇潰しに手伝ったら、ここで働かないかとガチでスカウトされた。

 

書類仕事は地上本部や、アースラでもよく手伝っていたのでお手の物である。

 

まあ、丁重にお断りさせていただいたが。

 

で、ある時、未那ちゃんが連れていきたい所があると言ってきたので、大人しくついていった。

 

そこは歓楽街の裏路地であった。

 

その先には一人の女性がいた。

 

観布子(みふね)の母と呼ばれている的中率100%の占い師さんなそうな。

 

未那ちゃんとは仲が良いようで、楽しそうに話していた。

 

さっそく俺も占ってもらうことになったのだが、観布子(みふね)の母は息を飲んでこちらを見る。

 

それはまるで有り得ない物を見るかのような目だった。

 

俺は首を傾げる。

 

 

「……まさかあんたみたいな存在に会うとはね。今まで長年占い師をしてきだが、摩訶不思議なこともあるもんだ」

 

 

なんかいきなり摩訶不思議扱いされた件について。

 

ちょっと失礼すぎちゃう?

 

 

「こんなこと言いたかないが、あんた……よく生きてたね。ここに来るまでにも相当な事件や事故に巻き込まれてるみたいだけど、正直いつ死んでもおかしくなかったよ」

 

 

「え、えぇ!?」

 

 

母の言葉に未那ちゃんが驚く。

 

まさかこの人、本当に俺の過去が見えているのか?

 

 

「あんたが生き残ったのは、その意志の強さと、悪運のおかげさ。あんたにもなんとなく覚えがあるんじゃないのかい?」

 

 

言われてみればそうだ。

 

PT事件でプレシアにやられて撤退したときは転送先が()()はやての家であったり……

 

セイバーオルタに追い詰められたときは()()なのはとイリヤ達が駆けつけてくれたり……

 

プリキュア世界でデューンに敗北したときも()()見逃されたし……

 

闇の書事件ではリインフォースや、ナハトヴァールに追い詰められたが、()()仲間達が加勢に間に合ったし……

 

今までピンチに陥ったときは、何かしらの助けや運が絡んで、なんだかんだ言って無事であった。

 

 

「気を付けな。あんたはこれからも何かしらのトラブルや(いさか)いに巻き込まれることになる。それはもしかしたら、世界中をも巻き込む大きな争いに発展するかもしれない」

 

 

(大きな争い……か)

 

 

前にアンジェ先輩が言ってたことか。

 

ここまで言われたら何かしらの争いに巻き込まれることは確定だろう。

 

ただそれがなんなのかは現時点では全く分からないが。

 

 

「ただそう悲観することはない。あんたには支えとなる者達が多く出来るとも出ている」

 

 

支え……仲間か?

 

 

「……他には何が出ていますか?」

 

 

「そうさね。あんたには未来を変える力がある。だが定められた運命を変える事は容易じゃない。だから、気張りな。辛いことがあっても、逃げ出しちゃいけないよ。逃げ出した瞬間、あんたは後悔することになる。どんなに辛い現実であっても、キチンと向き合いな」

 

 

「現実と……向き合う……」

 

 

「あと、常に自分に正直に生きな。そうすればあんたは豊かな人生を歩むことができる。ただ、一人であまり抱え込まないことだ。心が辛くなったら問答無用で仲間に頼りな。あんたの頼みなら仲間達は喜んで手を貸すだろうよ。……私の言えることはこれくらいかね」

 

 

「その……色々ありがとうございます。おかげで自分のやるべきこと、方針が分かった気がします」

 

 

「そりゃ良かった。こっちとしても貴重な体験をさせてもらった礼だ。代金はいらないよ」

 

 

そして俺達は裏路地を後にする。

 

途中、未那ちゃんが何か言いたげな雰囲気を出していたが、こっちを気遣ってくれているのか何も聞かないでいてくれた。

 

その気遣いが、今は少しありがたかった。

 

お礼として頭を撫でる。

 

目を細めて気持ち良さそうに撫でられる感じは、まるで子猫を彷彿とさせた。

 

そして二人で歩いていると、なんと学校帰りのイリヤ達と鉢合わせた。

 

どうやら友達と帰っていたらしく、こちらを驚いたように見ていた。

 

イリヤの友人である桂美々(かつらみみ)さん、嶽間沢龍子(がくまざわ たつこ)さん、栗原雀花(くりはらすずか)さん、森山那奈亀(もりやまななき)さんの四人である。

 

そこにイリヤ、美遊、クロの三人を加えた七人の個性的な面子だ。

 

イリヤが俺と未那ちゃんの関係を聞いてきたが、未那ちゃんは俺とイリヤ達の方を見るとニヤリと笑い、言った。

 

 

「恋人です!」

 

 

その瞬間、驚き声が響いた。

 

思わず未那ちゃんの頭をチョップした俺は悪くない。

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

イリヤ達と未那ちゃんは年が同じらしく、すぐに仲良くなった。

 

知り合った経緯を説明すると、イリヤ達は妙に納得したようであった。

 

なんでも士郎が未那ちゃんのことをアインツベルン家で言っていたらしい。

 

その際に何らかの失言をしてしまったらしく女性陣に折檻されたそうな。

 

まあ、そんなことはどうでもいい。

 

そして未那ちゃんはというと、美々さんと特に意気投合していた。

 

この二人からは腐女子の匂いがする(戦慄。

 

そんなこんなで女子小学生八人と流れでお茶することになり、俺の恋愛関係について根掘り葉掘り聞かれることになってしまった。

 

しかし現役JSの意見は厳しかった。

 

満場一致で「子供ねぇ」である。

 

その日、俺は枕を濡らした。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「ようやく相棒の魔力が溜まったな」

 

 

「ガァウ」

 

 

「きゅー」

 

 

そして数日経った頃、ようやく相棒の魔力が溜まり、異世界転移出来ることになった。

 

ルヴィア嬢と凛にそのことを話すと、二人からは許可をもらえたので準備が出来次第、今日中にでも転移出来ることに。

 

イリヤ達にも教えると興奮しながら準備をし始めた。

 

 

「やっと帰れるな~。お前達もずっと猫のままで悪かったな」

 

 

「「「「ニャー」」」」

 

 

カラフル猫達四匹も嬉しそうに鳴く。

 

 

「あ、そうだ。()()()()()()()()()()()()()()()()と」

 

 

そして俺はエーデルフェルト家を出て、向かい側にあるアインツベルン家へと向かう。

 

チャイムを押すと、セラさんが出た。

 

 

「は~い。ああ、ヒエンさん、どうされましたか?」

 

 

「すいません。士郎いますか?」

 

 

「士郎なら部屋にいますが、呼んできましょうか?」

 

 

「あ、よろしいですか?」

 

 

「はい。では少々お待ちを」

 

 

セラさんは士郎を呼びに一旦、家に入る。

 

しばらくすると士郎が出てきた。

 

 

「おお、ヒエン。どうかしたのか?」

 

 

「あ、悪い。ちょっと話したいことあるんだけど、少しいいか?」

 

 

「ん?ああ、別に良いぞ」

 

 

そして俺と士郎は少し道を歩いていく。

 

 

「実は桜さんのことなんだけどな?」

 

 

「桜?」

 

 

「あの子のこと、ちょっと気にかけてやってほしいんだ」

 

 

「……何かあったのか?」

 

 

「俺も詳しいことは知らないけど、少し身内でゴタゴタがあったみたいでさ。本人は平気そうにしてるけど、まだ空元気っぽいから」

 

 

「なるほどな。それで俺か」

 

 

「ああ、気分転換にデートにでも誘ってやれ」

 

 

「なっ!?」

 

 

すると士郎は顔を赤くする。

 

俺は呆れたように士郎を見る。

 

 

「お前、どれだけピュアなんだよ。今のご時世、デートって単語だけで顔赤くする奴なんて逆にレアだぞ?」

 

 

「う、うるさいな!ちょっとビックリしただけだ!!」

 

 

「へいへい」

 

 

そして軽い世間話をして別れた。

 

まあ、これだけ言ってれば桜さんのことを気にかけてくれるだろう。

 

俺も荷物をまとめるためにエーデルフェルト邸に戻る。

 

リュックとこちらの世界のお土産を持ったら準備完了だ。

 

一時間後、エーデルフェルト邸の庭で待っていると準備を終えたイリヤ達が少々興奮気味で近寄ってくる。

 

 

「ヒエンさん!」

 

 

「おお、お前ら準備はバッチリか?」

 

 

「うん!」

 

 

「OKです」

 

 

「バッチリよ!」

 

 

イリヤ、美遊、クロの三人は元気よく答える。

 

 

「よし、ならそろそろ行くか」

 

 

俺は両肩に相棒とナハトを乗せ、カラフル猫達四匹も近くにいることを確認すると、見送りに来ていた凛、ルヴィア嬢、オーギュスト氏、バゼットの方に視線を向ける。

 

 

「じゃあ皆、行ってきます」

 

 

「イリヤ達のこと頼んだわよ」

 

 

「しっかり楽しんでらっしゃいな」

 

 

「お気をつけて」

 

 

「お土産よろしくお願いしますね」

 

 

四人の見送りを受けた後、相棒に頼んで虹色のオーロラを展開してもらう。

 

この世界に来る前の自分のいた場所を思い出す。

 

俺のマンションの屋上だ。

 

するとイリヤ達が話す。

 

 

「なのはちゃん元気かなあ」

 

 

「きっと元気だと思う。あの子とイリヤは似てるから」

 

 

「前に二人が言ってたビームの魔法少女の子ね」

 

 

なのはか。

 

あの子は元気である。

 

元気すぎるくらいである。

 

そう思いながらオーロラをくぐる。

 

あれ?

 

ちょっと待てよ?

 

このままオーロラくぐったらやばくね?

 

確か思い描いた場所に行く性質があったような……

 

そして俺達がくぐった先には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にゃ?」

 

 

一糸纏わぬ姿のなのはがいた。

 

より正確に言えば、シャワーを浴びているなのはがいた。

 

 

「……え?」

 

 

俺は思わず目を点にさせる。

 

なのはは最初はキョトンとしていたのだが、段々と状況を理解してきたのか顔を赤くさせる。

 

それに反して俺は冷や汗をダラダラと流す。

 

 

「にゃ……」

 

 

なんとか状況を打開したかったが、いかんせん時間が足りなさすぎた。

 

そして現実は非情であった。

 

 

「にゃああああああああ!!!!!!」

 

 

「キャー!?Σ(゜Д゜)」

 

 

最後に見た俺の視界全体にはピンク色しかなかった。

 




次回、いよいよ地区選考会スタートです。

並行世界の仲間達は徐々に集まる予定です。

では、また(・∀・)ノ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。