大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

今回でちょっとプリヤ編終わらそうと思ったのですが、思った以上に長くなったので分割します。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第三百ニ十話 ちょっとプリズマ☆イリヤ 2wei(ツヴァイ)!⑪

第三者side

 

 

 

つぼみ達はある光景を見て全身に鳥肌を立たせていた。

 

 

『な、ななななな、なにあれえぇ!?』

 

 

えりかが吼える。

 

つぼみ達の視線の先には、数多の蟲の軍勢と戦う少年と、二人の女性の姿があった。

 

 

『無理です無理です無理です無理です無理ですううぅぅぅ!!!!!!』

 

 

『す、凄い……』

 

 

『まさか蟲使いが相手なんてね……』

 

 

つぼみは半泣きになりながら首を横にブンブンと振り、いつきは圧倒されながら、ゆりは冷静に相手の分析を行っていた。

 

少年と女性二人は上手く立ち回り、即席とは思えない程のコンビネーションで蟲達を仕留めていく。

 

 

『あのナイフ使いの人、かなりの使い手です』

 

 

『そうね。どういう原理か分からないけど、あの蟲達を一撃で葬ってる』

 

 

特にいつきとゆりの二人は武道の有段者であるからか、両儀式の特異性にもいち早く気付いていた。

 

そして戦いは佳境へと入る。

 

少年と女性二人は、翅刃虫(しじんちゅう)と呼ばれる戦闘蟲(せんとうむし)達を相手に奮闘の末、全て倒すことに成功する。

 

しかし、それは間桐臓硯の罠であった。

 

 

『まずいわね……』

 

 

『あぁ!?囲まれてます!?』

 

 

『さすがにあれはヤバイっしょ!?』

 

 

『さっきの数倍はいるよ!?』

 

 

なんと庭を埋め尽くす程の規模の蟲が少年達を囲んでいたのだ。

 

その数、およそ数千。

 

その蟲達が一斉に少年達に襲い掛かる。

 

だが少年は氷のシェルターを展開させて防御すると同時に、襲い掛かってくる蟲達を一気に凍らせていく。

 

 

『おぉ!さすがヒエンさん!!』

 

 

えりかが感心する声をあげる。

 

少年は冷静にそれらに対処する。

 

だが相手の間桐臓硯は予想外の手に打って出た。

 

 

『あ、あれは……!?』

 

 

『そんなんありっ!?』

 

 

『蟲達が一つになって……』

 

 

『巨大化したっ!?』

 

 

なんと全ての蟲を一つにして巨大な翅刃虫を召還したのだ。

 

少年は巨大翅刃虫を凍らせて動きを封じようとする。

 

しかし巨大翅刃虫は自らの身体を切り離すことによって、少年のファーストエディションから逃れてしまった。

 

そして空中から加速して、少年達のいる地面に突撃する。

 

そのとき、巨大な轟音が鳴り響く。

 

その攻撃の強さに頑丈にできているはずの氷のシェルターに亀裂が入っていた。

 

それを見たつぼみ達は決意する。

 

 

『皆さん!ヒエンさんを助けにいきましょう!!』

 

 

『待ってました!!』

 

 

『そう言うと思ってたよ』

 

 

『やっとあの男に借りを返せるのね……』

 

 

四人は猫の姿からプリキュアの姿へと戻ると、ハートキャッチミラージュを虚空より取り出す。

 

 

「皆!いきますよ!!」

 

 

そしてハートキャッチミラージュにパワーアップの種を装填する。

 

四人のプリキュアは、祈り始める。

 

 

「「「「鏡よ鏡、プリキュアに力を!!」」」」

 

 

全員の姿が白色の衣装に変わり、羽衣を身に着けた天女のような姿へと変化する。

 

 

「「「「世界に輝く一面の花、ハートキャッチプリキュア!スーパーシルエット!!」」」」

 

 

そして四人はスーパーシルエットになると猛スピードで少年の元へと向かう。

 

見れば巨大翅刃虫は、再度同じ攻撃を繰り出そうとしていた。

 

四人はそのままハートキャッチミラージュを上へと放つ。

 

 

「「「「花よ、咲き誇れ!プリキュア!ハートキャッチオーケストラ!!」」」」

 

 

四人の呼びかけに応えるように、目を閉じた特大の女神のシルエットが、巨大翅刃虫の後方に姿を現わす。

 

そして四人の叫びに呼応するように、特大の女神はエネルギーが凝縮された愛の拳を巨大翅刃虫に振り下ろした。

 

 

「「「「ハアアァァ!!!!」」」」

 

 

四人は叫びながらタクト、タンバリンを回し、巨大翅刃虫を浄化していく。

 

 

「ぎいゃあぁぁぁああああ!?!?」

 

 

醜悪な叫び声、断末魔が洋館内に響く。

 

巨大翅刃虫は浄化され、側で見ていた間桐臓硯も当然影響を受ける。

 

ゾンビのように身体をボロボロと崩し、空気に溶けるように静かに消え去った。

 

少年はあまりのことに呆然としているようだった。

 

四人は少年の後方に静かに着地する。

 

四人を代表してつぼみが少年に声をかける。

 

 

「お久しぶりです、ヒエンさん」

 

 

少年が驚いたような表情でこちらを見ているのが印象的であった。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

俺はあまりの出来事に、状況を未だに理解できないでいた。

 

 

「な、なんでお前らがここに……?」

 

 

「あー……説明するより見せた方が早いかも」

 

 

「そうだね」

 

 

えりかといつきが話すと四人がパアァァ……と光ると、見覚えのある猫四匹となった。

 

それを見て全て合点がいった。

 

 

「……なるほどな。やたらとカラフルな猫だとは思ってたが、お前達だったのか」

 

 

「はい、そういう事です」

 

 

四人は元に戻ると、頷く。

 

 

「……あの、そろそろ説明してほしいんだけど」

 

 

すると、後ろにいる鮮花さんと式さんがジト目でこちらを見ていた。

 

 

「すいません」

 

 

俺は簡潔に説明する。

 

この子達は、別の並行世界で世界を守るために共に戦った仲間であること。

 

そして猫の姿となって俺と共にこの世界に来ていることを話した。

 

 

「そうか。こいつら、どおりで見覚えがあると思ったら、お前の記憶に出て来た奴らか」

 

 

式さんが呟く。

 

 

「はい、と、今はこんなことしてる場合じゃなかった。相棒、家の中に桜さんがいるか確認してくれ」

 

 

「ガゥ」

 

 

俺は肩の上にいる相棒に指示を出す。

 

桜さんが基本的に間桐の家で過ごしていることは、幹也さんの調査により既に把握済みだ。

 

つまり彼女は確実にこの洋館のどこかにいるということになる。

 

そして俺達と臓硯との戦いの音を聞いても、一切出てくる気配がなかったことから、()()()()()()()()()()()()のだろう。

 

そもそも間桐家の敷地全体に結界が構築されているため、外に戦闘音が漏れることはないし、この辺りに近付かなければ、戦闘を見られていることもないと思う。

 

先程放たれたハートキャッチオーケストラの特大女神様のシルエットに関しても大丈夫だとは思う……たぶん。

 

そういえば話は変わるが、彼女の家族として他にも兄の慎二がいるのだが、この世界の彼は桜さんより五歳年上になっており、既に家を出て、一人暮らしをしているようだ。

 

まあ正直、今はいなくて助かった。

 

色々騒がれても迷惑だからな。

 

相棒はジッと洋館の中を見回すと、俺に思念を送ってきた。

 

 

「ガァウ」

 

 

「……分かった、ありがとう」

 

 

とりあえず、俺は式さんと鮮花さんの二人に話を切り出す。

 

 

「……橙子(とうこ)さんによれば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()って話でしたよね?どうやらその()()()()()()()()()()みたいです」

 

 

「こんな深夜帯に地下室……きな臭いわね」

 

 

「……さっさと行くぞ。要は、あの()()()()()()()()()ってことでいいんだろ?」

 

 

「はい」

 

 

臓硯のことだ。

 

身体の方は消滅したが、本体の方はまだ桜さんの心臓に寄生しているはず。

 

そして俺はハートキャッチプリキュアの四人に向き直り、言う。

 

 

「……悪い。ここから先は俺達だけで行く。四人は先にホテルに戻っていてくれ」

 

 

「いえ、私達もついていきます」

 

 

俺はつぼみ達に厳しい視線を向ける。

 

 

「……助けてくれたことには感謝する。だがここから先は恐らく、お前達が思ってる以上に惨たらしい現実と向き合うことになる。興味本位でついてくると、確実にトラウマ物になるほどのな」

 

 

間桐の地下室といえば、有名なあの蟲蔵だ。

 

だとすれば、この先は確実に女性陣達にトラウマ物の光景と成り得るはずだ。

 

 

「お前達も見ただろう?俺達が戦っていた、あの蟲使いを」

 

 

俺は説明する。

 

 

「奴の名は間桐臓硯。自分自身を構成する全てを蟲へと変え、五百年もの時を生きながらえてきた、正真正銘の妖怪だ。俺達がここに奴と戦いに来た理由……それは奴に利用されている孫娘、間桐桜さんを助けにきたからだ。そして俺の予想が正しければ、この先の地下室で桜さんは大量の蟲達に凌辱されている

 

 

俺の説明に誰かが息を飲む。

 

 

「その上でもう一度聞くぞ?本当についてくる気か?」

 

 

俺は威圧するように彼女達に問い掛ける。

 

だが俺は内心では、彼女達がどう答えるかは分かっていた。

 

あのプリキュア世界での砂漠の使徒との戦いを乗り越え、精神的にも強くなった彼女達ならば……

 

 

「大丈夫です。ヒエンさんの足を引っ張るつもりはありません。ただ私達も関わってしまった以上、最後まで見届けたいんです。だから……お願いします」

 

 

必ずついてくると言うだろう。

 

 

「……分かった。なら、もう何も言わないよ」

 

 

俺は様子を見守っていた式さん達に声をかける。

 

 

「お待たせしました」

 

 

「……いいのか?」

 

 

「ええ。彼女達も覚悟が出来てるようなので」

 

 

「そうか」

 

 

そして俺達は相棒先導の元、間桐家の洋館へと入っていった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

洋館の中は薄暗い。

 

相棒の案内の元、廊下を歩く。

 

しばらく歩いていると、地下室への入り口が見つかった。

 

地下室からは風が吹いてくるが、悪臭も一緒に漂ってくるため、あまりの臭いについ鼻を押さえてしまう。

 

 

「酷い臭いだな。相棒頼む」

 

 

「ガゥ」

 

 

俺は相棒に全員の身体を覆うように簡易版魔力フィールドを展開させる。

 

臭いがなくなると、鮮花さんが感心するような声をあげる。

 

 

「臭いがなくなった……何かしたの?」

 

 

「ここにいる皆に、臭いだけ防ぐ簡易版のバリアを展開しました」

 

 

「へぇー。魔法って便利ねぇ」

 

 

「……行くぞ」

 

 

式さんが先に階段を降りていく。

 

俺達も後を追うように降りる。

 

 

「なんかお化け屋敷みたいなところだねぇ……」

 

 

「そ、そうですね……えりか、離れないで下さいね?」

 

 

「分かってるってば」

 

 

プリキュアの四人も後から降りてくる。

 

今更ながら、別世界の人間同士が一緒にいるというのは不思議な感覚だ。

 

そして俺達は階段を降りていくと、広い空間に出る。

 

周りを見渡せば、石造りで作られているのか古くさい印象を受ける。

 

さらに下に降りていく階段があったので降りていくと、目的の人物、間桐桜さんがいた。

 

だが、俺達はあまりの光景に言葉を無くしていた。

 

 

 

 

 

 

なんと彼女は、魔方陣の真ん中で、丸裸のまま、大量の蟲達に群がられていたのだから。

 

 

 

 

 

 

それを見た俺の行動は早かった。

 

グローブから炎を噴出し、桜さんの近くに高速移動すると、群がっている蟲達を炎で消し飛ばしていく。

 

そして俺の接近に気付いた幾つかの蟲達がこちらに来ようとするが……

 

 

「遅い」

 

 

そのときには既に消し飛ばしていた。

 

俺は蟲を全滅させると、仰向けに倒れる桜さんに近寄る。

 

そして炎の物(ファイアオブジェクト)で出した白いバスタオルをかけた。

 

予想していたとはいえ、胸糞悪い。

 

 

「…………っ!」

 

 

彼女は虚ろな目でこちらに気付くと、目を見開く。

 

 

「……どうして、貴方がここにいるんですか?」

 

 

「今は何も喋るな」

 

 

とりあえず俺は衰弱してるであろう彼女をゆっくりと抱き起こし、頭を膝の上に乗せる。

 

すると、式さん達が遅れてやってくる。

 

桜さんは訳が分からないといった感じで呟く。

 

 

「両儀さん……まで……なぜここに?」

 

 

「……とりあえずお前はそのまま寝てろ。すぐに済ませる」

 

 

式さんはナイフを構えると、直死の魔眼を発動させる。

 

それを見たつぼみ達が焦るが、鮮花さんが式さんの能力を説明したのか、すぐに大人しくなった。

 

俺は式さんに頼む。

 

 

「式さん、お願いできますか?」

 

 

「ああ、任せろ。生きているのなら神様だって殺してみせる」

 

 

すると、式さんによって目にもとまらぬ速さで振り抜かれたナイフが、一瞬で桜さんの左胸へと吸い込まれていく。

 

ナイフは寸分違わず、桜さんの心臓を貫く。

 

人が刺されるのは初めて見たが、はっきり言って心臓に悪すぎる。

 

後ろにいるプリキュアの四人も思わず小さな悲鳴をあげていた。

 

そしてしばらくしてから式さんはナイフを引き抜き、ビュンビュンとニ・三回振ってから腰へと戻す。

 

不思議なことに血は全く出ておらず、傷もない。

 

 

「済んだぞ。あの蟲爺の本体は殺した」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

すると桜さんは体力の限界が来たのか気絶してしまった。

 

 

「とりあえず、上に一旦、出ましょうか」

 

 

そして俺は桜さんを横抱きで抱え、階段を昇っていく。

 

他の皆もちゃんと後ろをついてくる。

 

地下室を出ると、一息つく。

 

 

「はぁ……って、休憩してる場合じゃない。まずは桜さんに服を着せないと……」

 

 

俺の呟きにつぼみが反応する。

 

 

「あ、それなら私達に任せて下さい。この家のどこかに桜さんの部屋があるでしょうし、お洋服取ってきます」

 

 

「なら、私達はどこか休めるところ探しましょうか。こんな時間に出歩く訳にもいかないしね」

 

 

という訳で俺達は二組に別れて行動することになった。

 

プリキュア組が桜さんの服の調達、俺達(俺、式さん、鮮花さん)は休める部屋を探すことに。

 

適当にぶらつくと大きな和室の部屋を発見する。

 

鮮花さんが押し入れを開けると、中に布団が置いてあったので、とりあえずそれを敷いて桜さんを寝かせることに。

 

しばらくすると、つぼみ達が女性用の部屋着を持ってやってきたので、服の着せ替えは女性陣に任せることにする。

 

俺は邪魔をしないように廊下にて待機しておく。

 

やることもないので、目を閉じて洋館全体の気配を探ることにする。

 

超直感の感覚を全開にして集中する。

 

生き物一匹残らず、怪しげな動きをしていないか全力で探す。

 

そして、しばらくして目を開けた。

 

 

(臓硯の野郎が、別の蟲に魂を転移させた可能性を危惧して、気配を色々探ってみたが、その心配もなさそうだ)

 

 

あの生への執着が強い蟲爺なら、それくらいのことを平気で仕出かすであろう。

 

しかし、気配を探ってもなんの反応もなかったことから、無事倒すことに成功したようだ。

 

俺は窓から見える月を見上げながら思考する。

 

 

(当初の目的である臓硯は無事に倒せた。後は桜さんの身の上をどうするかだが……橙子さんに後ろ楯になってもらうか、ルヴィア嬢に保護を頼むかの……二択だな)

 

 

桜さんをこのまま一人にしておけば、その存在を知った他の奴らに狙われるかもしれない。

 

ここで勝手に助けて、はいさようならとはいかない。

 

アフターケアも万全にしてからでなければ、とてもじゃないが心配だ。

 

すると、服を着せ終わったのか女性陣が和室から出てくる。

 

だが、プリキュア組の四人は自分の身体を触りながら、なぜか呆然としていた。

 

 

「な、何もかも……違いすぎますうぅぅ……」

 

 

「胸囲の格差社会……」

 

 

「桜さん、すごいスタイルだったよね……」

 

 

「あれは目測で85……いや下手すればそれ以上も……」

 

 

今は下手に話しかけない方が良いと、俺の超直感がそう言っている。

 

なので、鮮花さんと式さんの二人の方へと近寄る。

 

すると俺の接近に気付いた鮮花さんが話を切り出した。

 

 

「式とも話し合ったんだけどね、とりあえず今日はこのままここに一泊しようってことになったわ。桜ちゃんを放ってはおけないし。貴方はどう思う?」

 

 

「俺もそれでいいと思います」

 

 

「それじゃ決まりね」

 

 

今日のところはこのまま間桐家に一泊することに。

 

しばらくは事後処理に奔走することになりそうだ。




次回でちょっとプリヤ編本当に終わり。

では、また(・∀・)ノ

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