続き書けたで候。
ある日、友人にオススメのアニメない?と言われたので「衛宮さんちの今日のごはん」をすすめまして。
そしたら案の定、ハマりまして。
そこからその流れでFateシリーズをすすめてみたところ、なんと「Heaven's Feel」から入ってしまい、あまりのギャップの違いに驚いたと愚痴を電話で延々と聞かされましたorz
いや、見る前に調べろよと心の底から言いたかったです。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
翌日、俺は美遊からエーデルフェルト家での仕事の内容を教わっていた。
「これが主な一日の内容です」
「ふむふむ。だいたい分かった」
基本的には月村家でやっていたときと同じである。
午前中に家事や掃除を終わらせてから、午後にその他もろもろやっていくスタイルらしい。
「まあ問題なくできそうだ。向こうでやってた内容とあんまり変わらないし」
「教えることあんまりなさそうです」
「分からないことあったら、その都度質問するよ」
「はい」
そして俺は部屋を見回す。
カラフル猫四匹以外に、誰もいない。
ルヴィア嬢は俺達に留守番を頼んでオーギュスト氏とどこかへ行ってしまったし、凛もバゼットを連れて買い物に出掛けてしまった。
なんでも道を覚えさせることも兼ねているらしい。
そして暇を持て余していた俺は美遊にエーデルフェルト家の仕事の内容を教わっていたという訳だ。
まあ、それも今終わってしまったのだが。
「しかし暇だな」
俺がこれから何をしようか考えていると、ポンっという効果音が聞こえてきた。
見れば白いキツネが俺の目の前にいた。
「きゅー」
「あ、ナハト」
ごめん。
君の存在すっかり忘れてた。
そういえば、
「きゅー」
「あ、そうなんだ」
すると俺の思考がナハトに伝わったのか思念が飛んできた。
やはり世界を越えている影響か、現在リンクが切れているらしい。
しかしこちらに来た直後の時間帯に戻れば、特に問題はないそうな。
「その子は……闇の書事件で出てきた子ですね」
「あ、そういえば記憶の追体験したんだったか」
「はい。他にも凄まじい物を見てしまいましたが……」
すると美遊は目を虚にさせながら言う。
なぜだろう?
そのときなぜか、シンフォギア世界で戦った全裸野郎アダムの姿が脳裏をよぎった。
「そういえばヒエンさんにずっと聞きたいことがあったんです」
「ん?なんだ??」
「どうして貴方は……そんなに戦えるんですか?」
美遊が真剣に尋ねてくる。
「ヒエンさんは今まで数多くのトラブルを解決して、何度も世界を救ってきました」
「いや確かに解決はしてきたけど、何度も世界を救ってきたなんて、そんな大袈裟な……」
「でも結果的にそうなってます」
「うーむ……」
俺は答える。
「……それは一緒に戦ってくれる仲間がいたからだ。仲間の大切さは美遊も分かるだろ?」
「はい……。でも私には、その
「…………」
「どうして……そこまで戦おうとするんですか?一体何が貴方をそこまでさせるんですか?」
「…………」
俺は考える。
美遊が何を意図して、こんな質問をしてきたのかは分からない。
だが下手に誤魔化せる雰囲気ではないのは確かなようだ。
しかし、ぶっちゃけ他の並行世界で戦ってきた原因は、全部アンジェ先輩のせいなのだが。
有り体に言えば、ただ巻き込まれただけと言える。
だが彼女の聞きたい理由も分からんでもない。
俺が戦う理由。
だから今現在の俺が思うことを正直に答えようと思った。
「助けを求められたから……かな。昔、憧れてたんだよ。ヒーローってやつに」
「ヒーロー……ですか?」
「ああ、昔見てた特撮番組でさ、皆の笑顔のために戦う人がいてな。ガキの頃にその人に憧れてたんだよ」
前世で見ていた平成ライダー第一号、仮面ライダークウガの五代雄介その人である。
「あとは俺の目標にしてる人に、少しでも近付くためかな」
「目標にしてる人……ですか?」
「ああ、その人はさ、普段は弱虫で、臆病で、何をやっても失敗ばかりする人でさ、でも誰よりも優しくて、温かくて、争いが苦手な人でもある。それでもいざ戦わなきゃいけないときは、自ら率先して戦っていた。眉間に皺を寄せて、祈るように拳を振るっていた。大切な物を守るために」
俺の目標としている人物、沢田綱吉。
彼のような強い男に憧れていた。
彼のような大切な物を守れる男を目指していた。
彼のような優しい男になりたいと思った。
俺は彼に少しでも近付けているのだろうか?
そんなとき、サファイアがポツリと呟いた。
《まるでヒエン様のようですね》
その言葉を聞いた俺は、言葉が出てこなかった。
美遊も続く。
「そうだね。特に眉間に皺を寄せてのところはそっくりだと思う」
俺はなんとか言葉を返す。
「そんなに俺、眉間に皺寄せてるか?」
「はい」 《はい》
「即答かよ」
サファイアは続ける。
《ヒエン様はもう立派なヒーローになられています。それはあなた様の戦ってきた軌跡を辿れば一目瞭然です。それに美遊様達のピンチにもいち早く駆けつけて下さったではありませんか?ですので、もっと自分に自信を持ってください》
なんつーか、ここまで真っ直ぐ言われると、物凄く小っ恥ずかしい。
「あ、ありがとう」
とりあえず火照った顔をなんとかせねば。
ルビーにバレたら絶対にめんどくさいことになりかねん。
そこから俺達は皆が戻るまで他愛ない話で盛り上がった。
◆◆◆
買い物から戻った凛がテンション高く愚痴る。
「本当あんたって魔法使いなのね。今思えば、並行世界の移動って私が研究してる第二魔法じゃないのよ!」
「いきなりどうしたんだよ……」
「いえ、あんたのことを大師父に報告した方がいいのかしらって思ってね」
「おいやめろ」
TYPE-MOON、型月の世界には魔法使いは五人あるいは四人いるとされている。
型月での魔法の扱いは、いかに資金や時間を注ぎ込もうとも絶対に実現不可能な「結果」をもたらすものを指して「魔法」と呼ぶ。
俺の世界の「魔法」はどちらかと言えば「超科学」のように扱われているので、この世界とは根本的に扱いが違うのだ。
そんな中で並行世界からやってきた魔導師を名乗る俺が表に出てみろ。
ゼルレッチの爺さんに、絶対に目をつけられるに決まっているだろうが。
そんなことになったら、めんどくさいことになるのは目に見えている。
それにここはプリヤの世界とはいえ、モブには厳しいと評判の型月世界の一つだぞ?
もしかしたら『空の境界』とか『月姫』のヤバイ奴らだって存在するかもしれないのだ。
いや確実に存在するだろう。
俺の世界でも『リリなの』と、『とらハ』が混ざっているのだ。
こっちの世界も混ざっているかもしれない。
それに情報なんてどこから漏れるか分からない。
そんな奴らに目をつけられたら絶対ヤバイことになるに決まってんでしょうがああぁぁ!!??Σ(゜Д゜)
「ヒエン、遠坂凛と貴方のことを振り返って話していたら、貴方は色々おかしいという結論に至りました」
「どうしてそうなった?」
バゼットが神妙な表情で語る。
ってかお前ら魔術師の方が色々とおかしいから。
だから俺がおかしいみたいに言うんじゃない。
「いえ、貴方の世界には興味深い対象が多いです。退魔師に妖怪、精霊に超能力者、吸血鬼に自動人形、魔導師に
「ねぇ、人をまるで侵略者みたいに言うのやめてくれない?興味ねーわ、そんなもの欠片も興味ねーわ。そんなことしてる暇あったら、部屋に閉じこもって積みゲー消化するわ」
「それもそれでどうなのよ……」
俺達があーだこーだ言い合っていると、ルヴィア嬢が戻ってきた。
「皆、揃っていますわね。今から屋敷の方に向かいますわよ」
なんか屋敷に向かうことになった。
ちなみにカラフル猫達は、ホテルでお留守番である。
◆◆◆
「しかし見事に潰れたものね」
エーデルフェルト家について最初の一言を切ったのは凛であった。
ちなみに俺以外、全員私服になっている。
俺?
俺だけ執事服です。
替えの服持ってなかったから、執事服そのまま借りてるんです。
「宝石や研究資料のほとんどは地下にあるから大した問題はないわ」
ルヴィア嬢が工事風景を見ながら話す。
「家などいくらでも建て直せばいい。しょせん日本での仮住まいなど、使い捨てですわ」
「アンタそれ、日本のお父さん方に言ってみなさいよ」
ただしお金持ち故の発言であるが。
全くもって凛の言う通りである。
全国の企業戦士に謝れ。
でも俺は今、エーデルフェルト家で雇ってもらっている立場なので、そんなことは口が裂けても言えない。
長いものには巻かれるしかないのである。
っていうか、エーデルフェルト家って潰れたの昨日だよね?
もう工事してんのかよ?
早くね?
「もう工事始まってるんだね」
すると聞き覚えのある声が。
「本当にぺしゃんこになっちゃったのねー。あははははははははは」
「お、奥様!笑うところではありません……!」
「やほーい」
「お見舞いに来ましたー」
そこには二人の女性と、クロ、イリヤの姿があった。
そして二人の女性の姿を見た俺のテンションは内心うなぎ登りである。
(アイリさんと、セラさんだー!?)
アイリスフィール・フォン・アインツベルンさんと、ホムンクルスのセラさん。
アイリさんは「Fate/zero」で初登場するイリヤの母であり、セラさんは「Fate/stay night」で初登場するイリヤに仕えるメイドである。
ちなみにもう一人イリヤに仕えるメイドのリズさんもいる。
というかイリヤとアイリさんが一緒に平和に暮らしているところを見ると、Fateファンとしては嬉しくて仕方がない。
転生者で良かったーー!!!!ヾ(@゜▽゜@)ノ
「なんでもボイラーの爆発事故があったとか……ささやかですがお見舞いを……」
「すみません……」
セラさんからの暑中見舞いを受け取る美遊。
なんというかどちらも苦労人オーラが滲み出ている気がする。
「ルヴィアさん、怪我はもう大丈夫なの?」
「おかげさまで……と言うべきかしら。あの程度の損傷を引きずるほどヤワではなくてよ」
するとイリヤが小声でルヴィア嬢に話しかける。
怪我自体は俺が治したので問題ないぞ。
そして俺はバゼットに近付き、肘でつつく。
俺の意図が分かったのだろう。
バゼットは戸惑いながら謝罪する。
「そ、その、その節はどうも申し訳ありませんでした……」
ルヴィア嬢は呆れたように返す。
「交換条件として、八枚目のカードを無事封印できればそれで良いですわ」
「あ、ありがとうございます……」
なんだかバゼット、性格が丸くなってる気がするな。
誰のせいだ。
俺のせいですね。
すいません。
「そういや昨日、ミユ達はどこに泊まったの?まさか野宿?」
するとクロが質問する。
「ルヴィアがそんなことするわけないでしょ」
「新都の方にホテルを借りてて……しばらくはそこで寝泊まりするつもり」
凛か小言を言い、美遊がしっかり答える。
するとルヴィア嬢も答えた。
「一棟丸ごと貸し切ろうとしたのに断りやがりましたので、オーギュストに株を買い占めるように頼んだところですわ」
「なんでこんなバカが金持ってるのかしら!!」
まさかの部屋の貸し切りではなく、ホテルの買い占めである。
いやいやいや。
ホテルなんて一体いくらすると思ってんだ。
数千億は下らないだろ。
「そんなわざわざホテルなんてとらなくても、皆ウチに泊まればいいのにねぇ」
「「「えっ!?」」」
「!!」
するとアイリさんが後ろからイリヤを抱き締めながら言う。
俗にいうあすなろ抱き、正式名称は後ろ抱きと言う。
っていうかとんでもない提案したよ、この人。
「おっ、奥様!いくらなんでも五人は……!ぶっちゃけ今でもそうとうキツキツなんですよ!?」
「あららーだめなの?」
セラさんが思わずアイリさんを止める。
そして何気に俺とバゼットも人数に勘定されていることに驚きである。
「どうぞお気遣いなく。私は実家が別にあるので大丈夫です。ルヴィアもホテルの方が気を遣わないでしょうし…………ルヴィア?」
凛は断るが、隣のルヴィア嬢の様子が何やらおかしい。
顔を赤くさせ、口を半開きにして小刻みに震えている。
うん。
あれは絶対ロクなこと考えてないな。
「いけません!まだ早すぎます!お義母様!!」
「何がよ!?」
案の定、ルヴィア嬢は暴走する。
が、そこに凛がすかさずツッコミを入れる。
「というか順番が逆でしてよ!お義母様ッ!!」
「だから何の話してんのよアンタはーッ!!」
「でも本人達の同意の上であるならば、多少本来の手順と異なってもそれはそれでー!!」
「ああもういいから黙れ!永遠にー!!」
そして凛がルヴィア嬢をどこかへと連れていった。
一気に静かになったな。
どうしてくれるこの空気。
まさに嵐のような二人である。
「それよりさっきから気になっていたのだけど、そちらのお二人は初めてね?」
するとアイリさんが、端の方でジッとしていた俺とバゼットに注目する。
空気を察してか、イリヤが簡単に紹介してくれた。
「えっと、紹介するね。こちらの女性がバゼットさん、バゼット・フラガ・マクレミッツさんに、隣の男性がヒエンさん、大空氷炎さん」
「よろしくお願いいたします」
「よろしくお願いします」
バゼットと俺は頭を下げる。
「っ!……あらあらこれはご丁寧に。私はアイリスフィール・フォン・アインツベルンよ。皆からはアイリって呼ばれてるわ」
「アインツベルン家に仕えているメイドのセラと申します。こちらこそよろしくお願いいたします」
二人が自己紹介をしてくれた。
だが気のせいでなければ、バゼットの名前を聞いたときにアイリさんは一瞬反応していた。
その反応からして何かしらで魔術の世界に関わっているのだろう。
まあ、俺には関係ないけど。
「良ければ一緒に、お昼ごはんなんてどうかしら?」
するとアイリさんがお昼ごはんに誘ってきた。
バゼットが答える。
「申し訳ありませんが、私はこの後予定が立て込んでいまして」
「あら残念。それじゃ貴方は?」
今度は俺の方に来た。
いやこれちょっと、いきなり初対面の家族にご飯お呼ばれするってハードル高過ぎるから。
という訳で俺はイリヤの方に向き、様子を伺う。
イリヤが少しでも嫌そうにしたら、断る口実ができる!!
「?」
だがイリヤは少し首を傾げるだけであった。
いや、可愛いけど!?
はぁ。
このまま黙っておくのもあれなので、素直にお言葉に甘えることにする。
「えっと、よろしくお願いします」
アインツベルン家で、昼ご飯をいただくことになった。
ちなみにバゼットの予定とは、魔術協会への経過報告の連絡だそうな。
昨日はバタバタしてたから連絡する暇がなかったらしい。
それなら仕方ないな。
ルヴィア嬢達はあのままどこかへ行ってしまったので、連絡はバゼットに頼んでおいた。
アインツベルン家にお邪魔することになった。
なんというか、普通の一軒家である。
俺的には、はやての家と少し雰囲気が似ている気がする。
「さあ、入って入って~」
「お邪魔します」
「お、お邪魔しま~す」
イリヤがドアを開けてくれるので、美遊の後に続くように入っていく。
すると出迎えてくれた人物が二人。
「お、来たか」
「歓迎~歓迎~」
赤毛の少年衛宮士郎氏と、もう一人のメイドのリズさんである。
更なるFateシリーズの原作キャラ達の登場に、内心は最高にハイである。
「と、あの、良かったらこれを……シュークリームです」
そして俺はお土産に用意していた翠屋のシュークリームをセラさんへと渡す。
「ご、ご丁寧にどうも……」
翠屋のシュークリームは大変美味しいので、お土産には最適なのだ。
「ヒエンさんいつ出したの!?」
家に入る前に、ちょこっとね。
というかイリヤ、一々律儀にツッコまんでもいいのよ?
精神的に疲れるよ?
「「こ、これは……
すると箱の中身を見たセラさんと士郎氏が声を上げて驚く。
え?
どうしたの?
「あの!このシュークリームは一体どこで手に入れたのですか!?」
「君!このシュークリームを作った人に会わせてほしいんだ!!」
そして二人揃って俺の肩に手を置き、ユサユサと揺さぶってきた。
い、いかん。
意識が……
「ちょ、ちょっと落ち着……」
「このシュークリームは凄まじいのです!私と士郎が味の再現をしようとしても、未だに完全にはできない程に!!」
「そうなんだ!カリカリ・サクサクのシュー生地に、絶妙な甘さのクリーム加減!それでいて次の日にはしっとりもっちりに変わっている食感!まるで計算尽くされたかのように完璧で……どれも超一流でなければ作れないものなんだ!!」
「いやだから、少し落ち着……」
「これほど食べ手のことを考えて作られたシュークリームを私は見たことがありません!これを作られた方は一体どれだけ試行錯誤したのでしょうか……私ごときでは想像もできません!!」
「俺もだ!このシュークリームには食べ手への熱い想いが込められている!このシュークリームには……人々を笑顔にする力があるんだ!!」
「……お、落ち着……」
「このシュークリームを初めて食べたときの衝撃は凄まじい物でした。これが真のスイーツなのかと……思わせられる一品でした」
「それだけじゃない。このシュークリームにはお菓子作りいや、料理作りの極意が所々に隠されている。俺達はこのシュークリームから多くの物を学ばせてもらった……。料理には、まだまだ遥かな高みが存在すると教えてもらった……。俺達はまだまだ学びたい。このシュークリームを作った人になら、それを教えてもらえるかもしれないんだ。だから頼む!!」
「「このシュークリームを作った人に、ぜひ会わせてほしい(のです)!!」」
うん。
二人の気持ちは良く分かった。
だけど無理なんだ。
チーン…………
この世界に翠屋はないからorz
しかし料理好きの二人にここまで言わせるとは……
桃子さん、マジパネェッス。
そして俺の意識は少しずつフェードアウトしていったのだった。
次回は、衛宮君と昼ごはんの材料、男二人で買いにいくの巻。
しかし主人公も衛宮君も幸運Eであるため、何も起こらない訳がない。
では、また(・∀・)ノ