続き書けたで候。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
「ふぃ~」
シャワーを浴び終わった俺はバスタオルで身体をふきながら風呂場から出る。
もちろん、ズボンははいている。
上半身は裸であるが。
俺はそのまま冷蔵庫までいき、冷やしてあったスポーツドリンクを飲む。
リビングに目を向ければ、興味津々でニュースを見ている相棒と猫達の姿があった。
ニュースの内容は、東京スカイツリーがもう少しで完成するとのことであった。
「スカイツリーが完成したらギネスに認定されるかもしれないのか」
俺の前世の世界でも東京スカイツリーは、ギネス認定されていた。
そう考えると並行世界というのはやはり面白いと思う。
自分の知ってる世界と似て非なる世界。
歩んできた歴史は大まかには同じでも細部が異なるのだから。
そういえば俺の前世の世界も何かしらのアニメやドラマ、又は映画や漫画の世界だったのだろうか?
まあ、今となっては確認する術なんてないんだが。
すると俺の声に気付いた猫達が表情をギョッとさせる。
「そんなに驚かなくても、何もしないってば」
俺は呆れたように返す。
すると相棒からある思念が届く。
「ガァウ……」
「うん?ああ、気にするなって。別にこんなのなんてことないよ」
相棒の視線の先には、俺の身体に刻まれた小さな無数の傷跡があった。
背中には二つの刺し傷まである。
かつて戦ったセイバーオルタや、ギル・グレアムとの激闘でついた傷だ。
「ガゥ……」
「傷が増えてるって?ああ、これは多分あれだ。アダムと戦ったときの傷だな」
「ガゥガゥ」
「あのときは仕方なかっただろ。神の力で完全体になったアダムに対抗するにはなりふり構ってられなかったしな。あそこで俺達が負けてたら……たぶん響達の世界は奴に支配されてただろうし」
そう考えれば奴に勝てたのは本当に奇跡だったと思う。
あのとき死ぬ気の到達点に至った俺と、黄金のシンフォギアを纏った響の二人係でも全力パワーのアダムと互角だったのだ。
ギリギリの勝利であった。
すると四匹の猫達がこちらに近寄ってくる。
「「「「ニャ~……」」」」
「な、なんだ?」
四匹ともこちらをジーっと見上げてくる。
「あ、分かった。腹減ったんだな」
俺は戸棚へと向かう。
「確かここら辺に……あったあった」
キャットフードを見つけると皿を四つ用意し、中に入れる。
水も用意し、猫達の前に置く。
相棒とナハト用のキャットフードを拝借したのだ。
俺も黒猫フォームで食べたことがあるのだが、これが意外といけるのである。
栄養価も高いし、味のレパートリーも豊富なのだ。
「ほら食ってみろって。旨いぞ~」
「「「「ニャ~!!」」」」
なんだか怒りと呆れの感情がこの猫達から伝わる。
え?
最近の猫ってこんなに感情表現豊かなの?
「ニャ」
すると水色の猫がスンスンと鼻を動かし、キャットフードの匂いを嗅ぐ。
そして一口食べた。
その直後、目を見開いたと思ったら勢いよく食べ始めた。
そりゃそうよ。
そのキャットフード、それなりに良い値段するからな。
美味しくない訳がない。
するとその様子を見た他の猫達も仕方ないとばかりに、イソイソと食べ始める。
その間に俺は相棒に気になっていたことを聞くことにした。
「なあ相棒、アダムが言ってたカストディアンにアヌンナキってどういう意味だと思う?」
「ガゥ?」
相棒が首を傾げる。
「これだよ、これ」
俺はアダムと戦ってる映像を空中モニターに出す。
『降臨は間もなくだ、カストディアンの。それまでにこの力を完全に物にしなければならない。アヌンナキに対抗し、超えるだけの力を!!』
その映像には異形の怪物と化したアダムと戦う俺と、響の姿が映っていた。
そこからはなのは達の協力もあって、阿吽の呼吸で攻めてアダムを倒した。
アダムは呟く。
『砕かれたのさ、希望は今日に。絶望しろ、明日に……未来に!フフフフ……ハハハハ……ハーッハッハッハッハ!!』
そして爆散した。
「ご丁寧に意味深な言葉まで残していくっていう」
俺は腕を組みながら考える。
「カストディアンの意味は分からないけど、アヌンナキは確か神々を意味してる言葉だった筈。ということは、カストディアンもそういった意味の言葉なのかもしれない。それにしても……このアダムがそこまで警戒しなきゃいけない程の相手か」
「ガゥ」
「奴は『間もなくカストディアンが降臨する』と言っていた。考えられる言葉から推察するに奴が戦おうとしていた相手は……神様……とか?」
「ガウゥ」
「その可能性は高いよな。そう考えれば降臨するなんて言い方をしたのにも納得できる。それに神の力やバラルの呪詛なんて物が存在するんだ。神様の一人や二人実在しててもおかしくない……か」
まあ俺もその神様に助けてもらって転生者として生きている訳ですが。
「ガァウ?」
「どうするんだって?そりゃここまで関わったんだ。最後までやらないと気が済まないよ。まだパヴァリア光明結社の残党も残ってるみたいだし。それに……」
俺はモニターを操作する。
そこには全身から炎を出す俺が映っていた。
「もしも……もしもだ。神様なんて超常の存在と戦うなんてことになったら、今のままじゃ確実に勝てない。早くこの力を完全に使いこなせるようにならないと……」
するとご飯を食べ終えたのか猫達四匹が足元に寄ってくる。
「「「「ニャー……」」」」
「妙に人懐っこいな、お前ら」
とりあえず四匹を撫でてみる。
顎の下を撫でると、気持ちいいのか猫達はリラックスしている。
猫というのは顔や背骨周りにツボが集中しているため、手のひらを毛並みに沿って動かしてあげるだけでもマッサージ効果がある。
すると四匹はハッと気が付くと、俺から即座に距離を取る。
「はいはい、ツンデレツンデレ」
俺は黒Tシャツを着る。
そこには【ホンマになんでやねん】と書かれている。
俺の部屋着のお気に入りTシャツである。
すると相棒が肩の上に乗ってくる。
「ガゥ」
「分かってるよ。今はインターミドルだよな」
あれ?
そういえば……
「インターミドルで思い出したけど、プリキュアの皆もこっちの世界に来るんだっけ?」
「ガァウ」
「あぁー……ハートキャッチの面子だけ先に来るんだ。あとは交代しながら来ると」
「ガゥガゥ」
「そっか。言われてみればそうだよな。オールスターズって人数多いしな。宿の問題があるか」
すると玄関のドアが開く。
冷火が帰ってきたらしい。
「ただいま戻りました、お兄様」
「おかえりー」
冷火はビニール袋をテーブルに置くと、四匹の猫に視線を向ける。
「あら?可愛い猫ちゃん達ですね」
「相棒の友達なんだってさ」
「そうなんですか。じゃあ、ナハトも挨拶しなさいな」
冷火の肩の上にいる白いキツネもとい、ナハトが猫達に恐る恐る近付いていく。
「きゅ~……」
ナハトさんどうやら人見知り、いや猫見知りらしい。
すると冷火は空中モニターの映像に気付く。
「アダムとの戦いの映像ですか?」
「ああ。こいつの言ってた言葉がどうも気になってな」
「強かったですもんね」
そして冷火は何を思ったのかモニターを操作すると、俺のこれまでの戦いの映像を見始めた。
今見ているのは闇の書事件についてである。
俺がプリキュア世界から帰って来てヴィータと戦っているシーンだ。
「確か闇の書事件は、プリキュア世界から帰って来た直後に巻き込まれたのが始まりでしたか」
「ああ。まさか並行世界から帰ってソッコーで巻き込まれるとは思わなかった」
そして映像は続く。
仮面の男達や、ヴォルケンリッターとの激闘。
夜天の書の管制人格として目覚めたリインフォースとの戦い。
「お兄様……改めて映像を見返しましたが無茶しすぎです。ずっと戦い通しではないですか」
「いやこのときは、はやての命も懸かってたっていうのもあるし、下手すれば世界が滅亡してたかもしれないんだから仕方ないだろ」
「……ちなみに世界の命運を懸けた戦いに今まで何度巻き込まれたのですか?」
うーむ……事件の規模で考えたらPT事件、プリキュア世界での砂漠の使徒との戦いに闇の書事件、シンフォギア世界でのパヴァリア光明結社との戦い……。
「四回……かな」
「巻き込まれ過ぎですっっ!!」
「いやまあ、うん。否定はしない」
「ちなみに並行世界から応援に来るプリキュアの皆さんは、このことを知っているのですか?」
「いや、言える訳ないだろ。お人好しが服着て歩いてるような女の子達だぞ?帰ってすぐに事件に巻き込まれたなんて知ったら絶対関わってくるに決まってる。というか説明がめんどくさ……ゲフンゲフン……ややしこいだろ」
「今、めんどくさいと言いかけましたね」
「…………」
「……話しておいた方が良いと思いますが」
「いいか冷火、世の中にはこんな言葉があるんだ。……バレなきゃいいんだよおおぉぉ!!」
「「「「ニャー!!」」」」
その瞬間、猫達がなぜか襲いかかってきた。
「何事!?」
俺は咄嗟にかわし、リングバインドで猫達を拘束する。
猫達は空中で止まった。
ニャーニャー言いながらこちらに鳴いてくる。
なんか怒ってる?
すると冷火は猫達を観察すると呟いた。
「……そういうことですか」
「え?何が??」
「いえ、なんでもありません。お兄様、お兄様が今まで関わってきた事件を全て見せてもらってもよろしいですか?考えたら私、お兄様のことについて何も知りません」
「え?まあ、いいけど」
こうして俺達は今まで関わってきた事件を少し振り返ることにした。
ヒエンside end
◆◆◆
第三者side
『……バレなきゃいいんだよおおぉぉ!!』
モニターに映る少年の映像を見たとき、オールスターズの面々は頬をひくつかせていた。
特に少年と関わりの多かったひかりと舞は、ハイライトの消えた目でモニターを見つめていた。
「舞さん……」
「ええそうね。ひかりさん……」
二人は同時に呟いた。
「「OHANASHIしないと」」
なお、パートナー妖精達はその様子を見て震えていたという。
次回は少し振り返りつつ、インターミドルに挑戦する選手達についての情報に触れます。
では、また(・∀・)ノ