大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

コラボ:戦姫絶唱シンフォギアAXZ編最終回です。

あ、あと次のコラボの伏線入れてます。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第三百二話 歌い舞い踊る戦姫XLIII

第三者side

 

 

 

アダムの最期は本部でも確認された。

 

 

「これでアダムは……パヴァリア光明結社の思惑は!」

 

 

藤尭がテンション高めに話す。

 

それを見ながら弦十郎は笑って言った。

 

 

「ああ、俺達の勝利だ」

 

 

その言葉を皮切りに本部は歓声に包まれた。

 

だがすぐに気を引き締める。

 

 

「喜ぶのはいいがお前達、まだ事後処理が残っているぞ!まずは響君達の回収、治療の準備、被害状況の確認!やることはたくさんあるぞ!!」

 

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

 

そしてエージェント達は、各々の仕事へと向かっていく。

 

だがその足取りは軽そうであった。

 

 

「ったく……」

 

 

弦十郎は悪態をつきながらもどこか嬉しそうであった。

 

それをリニス達面々も苦笑いで見守るのだった。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

アダムの最期を確認した俺達は座り込む。

 

 

「「はぁ~」」

 

 

俺と響は静かに息をはく。

 

なんとかやりきった。

 

一時はどうなるかと思ったが、乗り越えることができた。

 

 

「やったな」

 

 

「そうだね」

 

 

俺と響は笑い合う。

 

そして俺達は変身を解く。

 

その直後、俺に変化が起きた。

 

 

「い、いでででで!?」

 

 

「ヒ、ヒエン君!?」

 

 

身体中に激痛が走ったのだ。

 

それと同時に身体が発光する。

 

そしてなぜか黒猫フォームになってしまった。

 

それを見た響が驚く。

 

 

「ヒ、ヒエン君が黒猫になっちゃったああぁぁ!!??」

 

 

「ちょ、響!痛い!痛いから!今は身体に触れないでぇええええ!!」

 

 

そして俺達の様子を見に来たであろうサンジェルマンが額に手を当てながら一言。

 

 

「相変わらず騒がしい面子ね……」

 

 

その呆れた表情を見ながら、俺の意識はブラックアウトした。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

夢を見ていた。

 

 

 

どこかの外国の田舎町にでもいるのだろうか?

 

そこで俺は数人の武器を持った集団に囲まれていた。

 

その前衛にいる同い年くらいの槍を持った少女が話す。

 

 

 

『私は天草式十字凄教の魔術師、五和(いつわ)と言います。()()()()()()()()は一体何者ですか?』

 

 

 

場面が変わる。

 

 

 

俺は大きな湖のある橋のような所で、大剣……にしては大きすぎる剣を持つ茶髪の大男と対峙していた。

 

さらに俺の後ろには先程の少女五和と、頭から血を流して倒れ伏す()()()()()()()()がいた。

 

 

 

『貴様……一体何者であるか?いや待て、先程の氷と炎、そうか……貴様が新しく現れたという()()……()()()()()であるか』

 

 

 

場面が変わる。

 

 

 

俺は人がいる街中で幼い金髪少女を抱えていた。

 

前方には茶髪の長髪少女がいる。

 

長髪少女はニヤリと笑う。

 

 

 

『おいおい、フレンダを庇うってのはどういう了見だぁ?第八位よぉ?まさかテメェ、そういうロリコン趣味なのかぁ?まあ、いいわ。テメェが邪魔するってんなら裏切り者のそいつ共々殺すだけ。それとも何?お前の能力、【氷凍炎焔(アイスフレイム)】とやらで私の邪魔をしてみる?』

 

 

 

場面が変わる。

 

 

 

茶髪のチンピラのような少年が、花冠をつけた少女の左腕を踏んでいる。

 

俺はその茶髪のチンピラに敵意を向けていた。

 

 

 

『はっ!まさかテメェがこの件に関わってくるとは予想外だぜ第八位。それともなにか?こいつはお前の女か?だったら……守ってみろよ第八位!!』

 

 

 

場面が変わる。

 

 

 

俺の目の前には白いハチマキをまいた黒髪の少年が、俺に拳を向けていた。

 

 

 

『スゲェなあ!額から炎出すたぁ、根性あんじゃねーか!じゃあ、俺の根性とお前の死ぬ気……どっちが上かケリつけよーぜ!!』

 

 

 

場面が変わる。

 

 

 

赤いドレスを纏った金髪の少女と対峙する。

 

格好を見る限り王族だろうか?

 

金髪の少女は銀色の剣をこちらに向けて話す。

 

 

 

『まさか超能力者まで出張ってくると思わなかったし。でもまぁ、邪魔するっていうなら、聖人級の怪物共々まとめて消すだけだし』

 

 

 

場面が変わる。

 

 

 

俺は雪原の大地で黒い羽根を生やした白色の天使?のような奴と戦っていた。

 

俺は全身から炎を噴き出し、白色の天使も多量の水を纏って戦う。幾度も激突する。

 

 

 

『――――q愚劣rw』

 

 

 

すると突如、周りが暗くなる。

 

 

 

そのとき……

 

 

 

夢が終わるのだと感覚的に理解した。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

アダムを倒してから早いもので三日が経った。

 

というか気付いたら三日経ってた。

 

俺はあの後気絶したらしく、ずっと眠っていたそうな。

 

目が覚めていきなり響と未来さんのドアップの顔を見たときは、心臓が止まるかと思った。

 

どうやら装者達がローテーションで見てくれていたらしい。

 

ただ……何か長い夢を見ていたような気がするのだが、肝心の内容を覚えていなかった。

 

まあ、そんなときもあるだろう。

 

だって夢だし。

 

俺が現在いる場所はメディカルルームなのだが、フィリス先生お手製のカゴの中で眠っていた。

 

タオルってベッドにすると意外と気持ちいいのね。

 

初めて知ったわ。

 

とりあえず、起きて早々やったことはごはん摂取である。

 

響が小皿に牛乳を入れてくれた。

 

ちょっと待って。

 

これ完全に猫用のごはんやん。

 

軽く抗議して米、パンがいいと駄々をこねると未来さんがサンドイッチを持っていたので分けてくれた。

 

ただ食べることはできなかった。

 

なんでかって?

 

サイズが大きくて食べられなかったのさorz

 

そういえば俺は今現在、子猫サイズの黒猫であったのを思い出した。

 

子猫って小さいんだよマジで。

 

約30cmくらいしかないんですはい。

 

とりあえず牛乳をチビチビ飲む。

 

だからねお二人さん、そんなにジーっと見ないで。

 

物凄く飲みづらいから。

 

全部飲み終わるとすぐにお腹が膨れた。

 

この黒猫フォーム、意外と燃費がいいらしい。

 

お腹がいっぱいになったので、丁度様子を見に来たリニスに話を聞くことに。……未来さんに抱えられながら。

 

あの戦いの後、全員すぐにメディカルチェックを受けたらしい。

 

やっぱりというか一番の重傷は、やはり俺だった。

 

アダムから受けた数々のダメージに、オーバードライブのリミッターを外し限界ギリギリまで使った魔力、死ぬ気の到達点に至った影響で起こった極度の体力の消耗などなど。

 

死ぬ気モードを解いたことでそれらが一気にぶり返し、指一本動かせなくなったのである。

 

今はもう動かせるけど。

 

あとなぜ黒猫フォームになってしまったかというと、魔力を限界まで使ってしまった副作用らしい。

 

オーバードライブのリミッターを外すと魔力消費量が今までと比べてバカにならないらしく、俺の身を守るために非常防護機能が働いたそうな。

 

要は初めて出会ったときのフェレット状態のユーノみたいになってしまったのだ。

 

でもナハトに改良を頼む前は、オーバードライブを使ってもそんなことは起きなかったのに、なぜそんなことが起こったのかリニスに理由を聞いてみた。

 

リニス曰く、改良前のオーバードライブは、未完成であったため、身体に対する負荷が増大していたらしい。

 

だが改良後のオーバードライブは身体に対する負荷は一切ない代わりに、非常防護機能として黒猫フォームになってしまうそうだ。

 

それは黒猫フォームになることで身体にかかる負荷を必要最低限に抑えるためなのだとか。

 

というかリミッターを外すのは滅多なことがない限りやめなさいと念を押された。

 

なのは達もリミッターを外した副作用でしばらく魔法が使えないのと、反動ダメージで身体が動かせないらしい。

 

まだ俺は身体が動かせる分、マシなのかもしれない。

 

猫だけどな!

 

でも、もうリミッターはなるべく外さない方がいいだろう。

 

マジで(切実。

 

そして皆がいるということでメインルームへ向かうことに。

 

とりあえず俺は響の頭の上でだらけていた。

 

で、つくと全員が揃っていたのだが案の定、反省会という名目で俺はOHANASHIされることになった(白目。

 

なんでや!

 

無事にアダムを倒してんからそれでハッピーエンドでええやん!!

 

と反論するも聞き入れてもらえず。

 

というか黒猫フォームの状態だから今は誰にも逆らえないし。万全の状態ならまだしも。

 

はぁ( ´Д`)

 

話に戻るが主に聞かれたのは一つ。

 

死ぬ気の到達点についてである。

 

 

『俺の全ての細胞がお前を倒すために死を覚悟した』

 

 

と、アダムに言った言葉を皆にしっかりと聞かれていたらしく、説明する羽目になった。

 

といってもぶっちゃけ俺も詳しくは分からんのだが。

 

とりあえず死ぬ気の到達点という名前と、知ってる内容だけを伝える。

 

全身の細胞が死を覚悟することで到達する死ぬ気モードの最終形態、その極致であること。

 

死ぬ気の向こうにある究極の死ぬ気……それが死ぬ気の到達点であると。

 

すると全員がなんだか良く分からないといった表情であった。

 

安心しろ。

 

実は俺も良く分かってない。

 

とりあえず相棒から知識として教えてもらったということにしておく。

 

あとは神の力を吸収したことが何らかのトリガーになったことだけは伝えておく。

 

そしたら再起動したマリアがツッコんできた。

 

曰く、「あんな危険な力を吸収しようだなんて正気の沙汰じゃないわ!何かあったらどうするの!?」とのこと。

 

滅茶苦茶揺さぶりながら。

 

俺も揺さぶられながらも反論した。

 

「あのときは他に手がなかったし、それに神の力に関しても特に問題はなかった。神の力といっても巨大な生命エネルギーであるし、【調和】の能力で無効化できた」と言っておいた。

 

まあ、実はエネルギーが膨大すぎて身体が爆散しそうだったことは言っていない。

 

言ったら確実にぶちギレられるし、なのは達に至っては泣くかもしれない。

 

知らぬが仏という言葉もあるのだ。

 

絶対言わなくていいと思う。

 

主に俺のために(迫真。

 

するとエルフナインが何やら言いたげな雰囲気を醸し出していたのだが、スルーしておいた。

 

いやだって、なんか超直感が『今はやめといた方がいいぞ』みたいにガンガン警鐘ならしてくるんだもん。

 

なので後で話すことにした次第である。

 

そしてまあそこからはいつもの如く、俺の無茶振りな言動から、心配かけさせたことなど女性陣から色々ツッコまれた。

 

ツッコまれすぎて、心が折れそうになった。

 

たぶん今までで一番土下座したと思います(小並感。

 

それはそれでなんか悔しいので、「オメェらだって賢者の石でパワーアップとかいう無茶してるやん」とツッコンでみた。

 

そしたら装者全員、視線を逸らしやがった。

 

おい。

 

ムカついたので、とりあえず全員の頭をペシペシ叩いておいた。

 

あと気になることがあったので司令に聞いてみた。

 

すなわちサンジェルマン達がどこにいるのか……である。

 

あやつらもアダムとの戦いで協力してくれたし、お礼を言っとかないとな。

 

すると予想外な言葉が。

 

 

「サンジェルマン君達は、もう行ってしまったよ」

 

 

「え?」

 

 

マジで?

 

 

「これから世界を巡って旅をするそうだ。時間をかけて、今まで命を奪ってしまった人達への贖罪(しょくざい)として、人助けをするらしい」

 

 

「そうなんですか……」

 

 

司令の話では、サンジェルマンに付き従う形でカリオストロとプレラーティもついていったらしい。

 

まあ奴らは不老長寿で強いし、心配はいらないだろう。

 

でもせめてお礼くらいは言いたかったな。

 

 

「ああ、そういえばヒエン君に彼女達からこれを渡すように頼まれていたんだ」

 

 

すると司令は俺に手紙らしき物を渡してきた。

 

俺はそれを口に加えて受け取る。

 

だが気付く。

 

これじゃ読めねぇと。

 

俺は周囲に助けを求める。

 

 

「だれは、こへほんへ?」(誰か、これ読んで?)

 

 

「あ、じゃあ私が」

 

 

すると近くにいた調が、俺が加えていた手紙を読む。

 

 

「じゃあ読みますね」

 

 

そこにはこう書かれていた。

 

これから世界を巡って、今まで命を奪ってしまった人達への贖罪の意味を込めた旅をすること。

 

自身の錬金術を人の役に立つために使用すること。

 

そして俺達への謝罪と、感謝の言葉が書かれていた。

 

最後に『この借りは必ず返すわ……』で締めくくられていた。

 

なんともまあ、あいつらしい手紙であった。

 

だがカリオストロとプレラーティ、テメェらはダメだ。

 

俺への【童貞坊や】呼びだけは絶対に許さない。

 

おかげで読んでいた調、聞いていた響達が顔を赤くさせてんダルルオォォ!

 

だからねなのはさん達……そんな無垢な目で「童貞ってな~に?」って聞いてくるんじゃありません。

 

なんとか「君達にはまだ早い」で納得してもらった。

 

だって動物の交尾で説明しようとしたら、クリスとマリアにスゲェ形相で睨まれるんだもの……(震え声。

 

とりあえず今度奴らに会うことがあったら、ビッグバンアクセルを叩き込もうと心に決めた俺であった。

 

でもまあ、手紙の内容を知った響となのは、フェイトの安心したような顔がとても印象的であった。

 

 

 

────────

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────

 

 

 

「それでは改めて……」

 

 

「「「「「ハッピーバースディ!」」」」」

 

 

「デース!」

 

 

「「「おめでとうございま~す」」」

 

 

そしてなぜか俺は今、クリスの部屋で響の誕生パーティーにお呼ばれしていた。

 

ちなみになのは、フェイト、はやての三人も参加している。

 

冷火はエルフナインの研究を手伝っているため、今はいない。

 

っていうかここってリディアン音楽院っていう女子校の寮よね。

 

男なのにいいのかと聞いたら、今は猫だから大丈夫らしい。

 

ノリが軽すぎて逆に軽く引きました。

 

 

「あはは!」

 

 

パーン!パーン!といったクラッカーの音が響く。

 

 

「17歳おめでとう、響」

 

 

「ありがとう。とんだ誕生日だったよ。でも皆のおかげでこうしてお祝い出来たことが嬉しい」

 

 

響は嬉しそうに話す。

 

 

「まあまあ、堅苦しいのは無しですよ。主役はこちらにデース」

 

 

「おおーっ!すっごーい!!」

 

 

切歌に背中を押されて向かった響の前には、色鮮やかなトマト料理があった。

 

まるでお店に出される高級料理のようであった。

 

マジ美味しそう。

 

 

「これどうしたの!?」

 

 

「はい!調が頑張ってくれました」

 

 

「これ、調ちゃんが!?」

 

 

マリアに背中を押される調。

 

 

「違う違う!皆が一緒に……」

 

 

「調」

 

 

「だって、松代で出会ったおばあちゃんから夏野菜をたくさんいただいたから……」

 

 

調が顔を赤くさせて遠慮がちに言う。

 

調さんマジ大和撫子。

 

俺と結婚して下さい。

 

あと松代のおばあちゃん、トマトサンキューデェス(。・ ω<)ゞ

 

 

「月読が作り、立花が平らげるのなら……後片付けは私が受け持つとしよう」

 

 

すると翼がそんなことを言い出した。

 

いや、無理だろ。

 

実は翼さん、片付けが物凄く苦手なのである。

 

マネージャーの緒川さんが、彼女の下着も片付けなければならないほど苦手なのである。

 

 

「いやー、先輩。出来もしないことを胸張って言うと後で泣きを見ますって……」

 

 

クリスも同じ意見のようである。

 

というか張る胸ない……「なんだオオゾラ?言いたいことがあるなら言ってもいいんだぞ??」……お、おう。

 

本人から許可が出たので、俺は翼の前にピヨピヨと飛んで鼻をペシペシ叩きながら言った。

 

 

「見栄張らなくてよろし」

 

 

「別に見栄など張っていない!私を見くびってもらっては!!」

 

 

すると翼がムキになってきたので、俺は落ち着かせるように提案する。

 

 

「なら俺も手伝う」

 

 

俺の言葉に翼が目を点にさせる。

 

 

「その姿でどうやって手伝うというのだ?」

 

 

「こうやって」

 

 

俺は浮遊魔法フローターの応用で洗剤とスポンジを浮かせて、自身の周りでクルクルと動かす。

 

さらに小皿やハシなどを浮かせてお手玉のようにする。

 

 

「ほっ!はっ!よっ!」

 

 

「こら、遊ばないの」

 

 

「サーセン」

 

 

マリアに注意された。

 

仕方がないので元に戻しておく。

 

すると輝いた目でこちらを見ている三人の女の子が。

 

黒鉄色のショートカットの安藤創世(あんどうくりよ)さん、長い金髪が特徴的な寺島詩織(てらしましおり)さん、ツインテールの板場弓美(いたばゆみ)さんの三人である。

 

三人とも響と未来さんのクラスメートである。

 

二人の友人ということもあって、三人ともかなりの美少女である。

 

当然、なのは達とも邂逅した彼女達であるのだが……そのリアクションが凄かった。

 

驚愕一択である。

 

実は弓美さんがアニメオタクのため、【魔法少女リリカルなのは】のことを知っていたのだ。

 

当然弓美さんと仲のいい創世さんと、詩織さんもその知識はあった。

 

その関係で俺達も軽く自己紹介することになったのだ。

 

別の並行世界の地球からやってきたこと、魔導師という存在であること、アニメの世界は実は存在することを話すとテンション爆上がりであった。

 

この世界でリリカルなのはは、A`s(エース)まで放送している。

 

今年からStrikers(ストライカーズ)が放送するため全員見るそうな。

 

久しぶりに俺も見たいわ。

 

あ、あと俺の存在も普通に受け入れてくれた。

 

俺が存在することでアニメと色々違ってるよと伝えたら、三人から後で話を聞かせてほしい!と滅茶苦茶言われたので話すことになってしまった。

 

とりあえず遂にあれの出番だな(ゲス顔。

 

ちなみに、なのは達は現在車イスである。

 

まだ身体が満足に動かせないらしい。

 

なのは達はまだ幼い故、リミッター解除後の反動ダメージが凄まじいのだ。

 

冷火はピンピンしていたが。

 

まあマテリアルだしね。

 

一度、魔導プログラムとして戻してデータ更新すればなんともないらしい。

 

そして、そんなこんなで始まった誕生日会。

 

調のトマト料理がガチでおいしかった。

 

黒猫状態なので小さめにしか食べれないのだが、そこは気を遣ってくれた未来さんがトマトをチビチビ食べさせてくれた。

 

ただ恍惚した表情でこっちを見るのはやめてほしい。

 

ちょっと恐怖を感じた。

 

他にも相棒やナハト、久遠にミニッツ達もトマト料理を食べまくった。

 

なのは達も響達がフォローしてくれていたようで、楽しそうに過ごしていた。

 

そして食事が終わるとゲーム大会。

 

ぷよぷよの対戦ゲームみたいなものをした。

 

クリスが一番弱かったとです。

 

え?

 

一番強かったのは誰かって?

 

未来さんでした。

 

なんというか他を寄せ付けない強さでした。

 

さすが393。

 

周りをミックミクにしていた。

 

俺はというと子猫だからデキナカッタヨ。

 

身体が小さすぎてボタンが押せないんだよorz

 

あとは俺と相棒達ミニーズの宴会芸が火を吹いた。

 

いつもの如く、炎の輪をくぐり、氷の動物達も作った。

 

一番喜んでもらえたのが本人の氷のフィギュアである。

 

記念にお土産として渡した。

 

彼女達の笑顔は0円(プライスレス)。Σd(・∀・´)

 

新ネタの髭ダンスもウケた。

 

加トチャンケンチャンどうもありがとう。

 

そして楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。

 

とりあえず、ひとまず食べた物は片付けることに。

 

翼は宣言通り、食器を洗っていく。

 

俺も彼女の頭の上に乗り、魔法で手伝う。

 

しかし翼の洗った後の食器の積み方がヤバかった。

 

いや、ヤバイを通り越してむしろ芸術的ですらあった。

 

なんでハシの上にお椀と皿が乗るんですかねぇ!?

 

その後はまあ、俺達の世界での出来事を話すことになった。

 

そこで役に立ったのが兼ねてより製作していた映画版【魔法少女リリカルなのは】【魔法少女リリカルなのはA`s】である。

 

まさかの二本立て。

 

そしてこのときのために、実は翼に新曲を収録してもらっていた。

 

え?

 

何をかって?

 

そんなの魔法少女リリカルなのはの主題歌と、挿入歌に決まってんダルルオォォ!!Σ(゜Д゜)

 

実に四曲。

 

まさかの新曲1位~4位を総なめである。

 

曲は心の中にいる相棒を通して記憶をサルベージした。

 

あと作詞作曲はHIENで登録してます。

 

印税ガッポガッポである。

 

が、恵まれない子供達に全額寄付した。

 

ちなみに映画には、実は俺も登場してる。

 

いやだって、そうでないとプレシアとリインフォース助けられた理由説明できないしね、うん。

 

あと番外編として【魔法少女プラズマフェイト】と、【魔法騎士ヴォルケンはやて】も上映した。

 

とりあえず大好評だったとだけ言っておこう。

 

後でなのは達からハイライトの消えた目でOHANASHIされる羽目になったけど……。

 

反省も後悔もしていない!!

 

 

 

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────

 

 

 

「あぁ~良い風だー」

 

 

俺はベランダに出て夜風に当たる。

 

少しはしゃぎすぎたので火照った体温を下げるには丁度いい。

 

それにしても女性比率が高過ぎてワロタ。

 

まさかの1:13という数の暴力である。

 

こんなにも馴染めたのは、正直黒猫フォームのおかげだと思う。

 

元の姿であれば、どこかぎこちなかったであろうことは想像に難くない。

 

そしてベランダの手すりに立っていると、響が一人で出てきた。

 

咄嗟にミラージュハイドを使ってしまった俺は悪くないと思う。

 

すると響はどこかもの憂いげに夜空を見上げていた。

 

何か悩み事だろうか?

 

 

「はい……」

 

 

「っ!」

 

 

すると未来さんが響に麦茶を渡す。

 

 

「さすが未来!気が利くったらありゃしない」

 

 

「うふふ」

 

 

全く持ってその通りだと思います。

 

 

「エルフナインちゃんも来られたら良かったのにね」

 

 

「そうだね。まだ調べ物があるからって」

 

 

「残念」

 

 

「うん」

 

 

でもあっちはあっちで確か祝勝会も兼ねたプチお祝い会やってた筈。

 

あとで冷火に聞いてみよう。

 

すると響が静かに話し始める。

 

 

「例えば、さ」

 

 

「?」

 

 

「どこかの悪い奴が誰かを困らせているのなら、きっとこの拳で何とか出来る」

 

 

「…………」

 

 

「だけど、お互いがお互いの正義を信じて拳を握りしめている戦いは簡単に解決なんか出来ない……」

 

 

「響……」

 

 

「昨日までは出来た。でも明日に私は正義を信じて握りしめられるのかな……?」

 

 

そうか。

 

彼女にとって今回の戦いは、特にサンジェルマンとの戦いには思うことがあったのだろう。

 

俺達の前に敵として立ちはだかったサンジェルマンは、己の信じる正義のために戦っていた。

 

だがそれは響も同じだ。

 

だからこそ激突した。

 

まずは相手と話をしよう、分かり合おうと努力し、必死に呼び掛ける響。

 

数多の犠牲や生け贄の果てに、自らが手を取り合うことなど決して許されないと思い、拒絶するサンジェルマン。

 

二人は考え方がまず違う。

 

しかし根本的には人を助けたいと願っている。

 

その想いは同じである。

 

そしてそんな自らの正義を信じる者同士の二人は、激しく戦いあった。

 

そんな響の悩みに親友の未来さんはどう答えるのだろうか。

 

 

「そんなのわからないよ」

 

 

まさかの即答であった。

 

 

「未来?」

 

 

さすがの響もキョトンとしている。

 

 

「だけどね……響が自分を信じられなくても私は響と繋いだ手は離さない」

 

 

「っ!!」

 

 

「何があっても握りしめているから」

 

 

「っ……うん……未来がそう言ってくれるなら……」

 

 

そして部屋の中に戻ろうとする未来さんは、振り返り一言。

 

 

「おかえりなさい、響」

 

 

響も笑顔で返す。

 

 

「ただいま、未来」

 

 

すると様子を見に来た切歌が二人に言った。

 

 

「トランプ始めるデスよ!」

 

 

「うん!」

 

 

お前ら、あんなに遊んだのにまだ遊ぶつもりか……(戦慄。

 

まあそれはそれとて、響の先程の悩みは一朝一夕で解決するものではない。

 

だが未来さんは言った。

 

 

『繋いだ手は離さない。何があっても握りしめている』と。

 

つまりそれは何があっても最後まで響の側にいるということ。

 

響の帰る場所で在りつづけるということだ。

 

 

 

()()()()()

 

 

 

それこそが未来さんの信じた正義なのだろう。

 

まぁ今はとにかく、無性にブラックコーヒーが飲みたいです。

 

俺は静かに部屋へと戻ると、誰にもバレない所でミラージュハイドを解除する。

 

そして誰か手の空いてる人物にブラックコーヒーを入れてもらえるように頼もうと思った。

 

俺達の誕生日会は、まだまだこれからだ。

 

 

 

────────

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────

 

 

 

誕生日会が終わり、皆が寝静まった後、頭に一つの声が響く。

 

 

『ヒエン……聞こえますかヒエン……』

 

 

「ん?」

 

 

『私です。アンジェです』

 

 

『ああ、アンジェ先輩?』

 

 

俺は思念で話しかける。

 

 

『どうしたんですかこんな夜更けに?』

 

 

俺はアクビをする。

 

眠いっす。

 

 

『このような時間に申し訳ありません。ですがどうしてもお伝えしなければならないことがありまして。此度は本当にお疲れ様でした』

 

 

『あ、ありがとうございます……』

 

 

『貴方の記憶を見させてもらいましたが、無事()()()()()()()()()()()ようですね』

 

 

『え?』

 

 

ちょっと待って。

 

 

『な、なんでアンジェ先輩が死ぬ気の到達点について知ってるんですか!?』

 

 

俺がつい思念を荒げるが、アンジェ先輩は冷静に返す。

 

 

『その理由はまた追々説明します。私が言いたいのは一つだけです。死ぬ気の到達点を()()()()()()()()()()()()ようになってほしいのです』

 

 

『は、はあ』

 

 

『ですが今の貴方では、自由にその能力を引き出すことができません。しかしきっかけを得たことでようやくスタートラインに立つことができました』

 

 

『スタートライン……ですか』

 

 

『はい。私のお願いは、死ぬ気の到達点を貴方に極めて欲しいのです。その力は、これからの貴方にとって必要不可欠な力となりますから』

 

 

『マジですか』

 

 

死ぬ気の到達点が必要不可欠……ねぇ。

 

 

『それってもしかして、いつか言われてた俺が大きな争いに巻き込まれるってことに関係してます?』

 

 

『……はい』

 

 

やっぱりか。

 

 

『その内容をお聞きする訳には……』

 

 

『申し訳ありませんが、今は何があっても話す訳にはいきません』

 

 

『そ、そうですか』

 

 

なんだか確固たる意志を感じる。

 

そんなに言いたくないのか。

 

 

『あ、そうそう。話は変わりますが、元の世界に戻ったらインターミドルの大会に出るのですよね?』

 

 

『あ、はい。そうですね』

 

 

『実は、コロンがプリキュアの皆さんに貴方がインターミドルの大会に出ることを伝えたら是非とも応援に来たいと言っているのですが……』

 

 

『あ、そうなんですか?俺は別に大丈夫ですが……』

 

 

『そうですか。なら皆さんにもそうお伝えしときますね』

 

 

『はい。お願いします』

 

 

ということはプリキュアオールスターズ全員俺の世界に来るのか?

 

仮に19人全員来ると考えると、泊まるところとかなんとかしないとな。

 

ううーむ。

 

ここはアリサとすずかに相談してみるかなあ。

 

 

『あとリニスとずっと相談していたのですが、インターミドルの予選が始まるまでに仕上げという名の地獄の訓練が待っているので頑張って下さいね?』

 

 

『……はい?』

 

 

しかし俺の悩みは、アンジェ先輩のその一言で吹き飛んだ。

 

 

『私も貴方のために特別メニューを考えたので楽しみにしておいて下さいね。いやー、リニスと貴方のことについて話し合っていたら、時間が過ぎるのが早い早い』

 

 

そういえば頻繁に相棒がリニスの肩の上に乗ってるのを見たことがあったが、もしかしてアンジェ先輩と話し合ってた?

 

この世界に来た初日に二人は言い争いをしていたけど、まさかそこから交流していたとは思わなかった。

 

っていうかずっとスルーしてたけど、俺にとって聞き捨てならない言葉が聞こえてきたのですが!?

 

 

『……地獄の訓練?』

 

 

『はい。地獄の訓練です♪』

 

 

どうやら俺に平穏な時間は訪れない様だ。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

響の誕生日会から数日、俺はようやく元の姿に戻ることができた。

 

いや魔力自体は徐々に回復してたんだけど、完全回復するまでに時間がかかってしまったっていう。

 

なのは達も今ではすっかり回復している。

 

そして観光と称して響達の住んでる街を案内してもらった。

 

俺としては一番行きたかったお好み焼き屋さん【ふらわー】に行けて大変満足している。

 

まあ、最初に響に連れられて二人で入ったときに彼氏と勘違いされたときは少し焦ったが。

 

響の慌てようと言ったら面白いの一言である。

 

ただあそこまで否定されると男としては少し悲しいケドネ(遠い目。

 

あと松代のおばあちゃんの所にも約束通り、野菜の収穫を手伝いにいかせてもらった。

 

他の野菜も瑞々しくて大変素晴らしかった。

 

まあ、そんなこんなで俺達はこの世界を巡りに巡って観光しまくったのだ。

 

だがいつかそんな時間にも終わりは来るわけで……

 

そしてとうとうお別れの時が、迫ってきたのだ。

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

「皆、準備はいいか?」

 

 

「「「うん」」」

 

 

「ええ」

 

 

「OKです」

 

 

「大丈夫です」

 

 

俺達は纏めた荷物を持ち上げる。

 

そして振り返った。

 

そこにはシンフォギア装者の皆に、協力してくれたS.O.N.G.の人達がいた。

 

 

「皆さん、お世話になりました」

 

 

俺達は頭を下げる。

 

実に約一ヶ月俺達はこの世界でお世話になっている。

 

まあ、アンジェ先輩から帰ったら地獄の訓練が待っていると聞かされている俺は大変憂鬱であるが。

 

 

「元気でね?」

 

 

「無茶するんじゃないぞ」

 

 

友里さんと、藤尭さんが声をかけてくれる。

 

 

「……もう行っちゃうんだね」

 

 

「寂しくなるな」

 

 

「中々楽しかったぜ」

 

 

響、翼、クリスが話してくれる。

 

 

「もっといっしょにいたいデース……!」

 

 

「まだ案内したいところもいっぱいあるのに……」

 

 

「こら二人とも、そんなこと言ったらヒエン達が帰りづらくなっちゃうでしょ?」

 

 

寂しそうに話す切歌と調を、マリアが宥める。

 

見れば隣にいるなのは達も涙ぐんでいた。

 

 

「ほら、話したいことあるなら今の内に言ってこい」

 

 

「「「うん……」」」

 

 

俺は三人の背中を押す。

 

三人はそれぞれお世話になったであろう人達に最後の挨拶に言った。

 

するとエルフナインがこちらに近寄ってきた。

 

 

「あのヒエンさん、これを受け取って下さい」

 

 

そして何か紙袋のような物を手渡された。

 

 

「中見てもいいか?」

 

 

「どうぞ!」

 

 

何やらテンション高めなエルフナインを横目に、俺は紙袋に入っている物を取り出す。

 

そして頬を引くつかせた。

 

 

「あのエルフナインさん、これは?」

 

 

「僕特製、最強魔導師養成ギブスです!!」

 

 

そこには巨人の星に出てきそうな養成ギブスなる物が出てきた。

 

 

「冷火さんから、ヒエンさんが最強の魔導師を目指していると聞いて急ピッチで仕上げました!それは僕の持ってる全ての錬金術の知識を駆使して作った最強のギブスです!身体が大きくなっても伸縮自在のゴムでどんな体格の人でも使えますし、たとえ月日が過ぎても錆びることは決してありません!そして何より常に自分に負荷をかけられるように重力装置も搭載しているのです!!」

 

 

「なにその技術の無駄遣い!?」

 

 

重力装置が搭載されている養成ギブスなんて聞いたことねぇよ!?

 

 

「まあ、その重力は容量の関係で10倍までしか引き上げることができなかったんですが……」

 

 

「十分だよ!?」

 

 

そして俺達がギャーギャーワーワー騒いでいると、エルフナインは俺の袖をクイクイッと引っ張ってきた。

 

 

「あのヒエンさん……」

 

 

「どうした?」

 

 

何やら辛そうな顔をしているが、どうしたのだろう?

 

 

「あのヒエンさんが吸収した神の力……「少しいいだろうか?」……あ、司令」

 

 

すると司令が声をかけてきた。

 

 

「済まないなエルフナイン君。少しヒエン君を借りる」

 

 

「あ、はい」

 

 

そして俺は司令に連れられ、メインルームの端の方へと移動する。

 

どうしたんだろう?

 

すると司令は急に頭を下げてきた。

 

 

「改めて礼を言わせてくれ。我々と一緒に戦ってくれてありがとう」

 

 

「あ、いえ。困ったときはお互い様ですし」

 

 

俺は困ったように返答する。

 

実際に困っているのは事実である。

 

 

「いや、君達には本当に世話になったんだ。これでもお礼はしたりないくらいだ」

 

 

「あ、いやその分、観光とかはそちら持ちでしたし」

 

 

そうなのだ。

 

なんせ俺達の観光したお金など全部S.O.N.G.が負担してくれたのだ。

 

こっちも頭が上がらない。

 

 

「君達は命懸けで戦ってくれた。これでも本来なら全然足りないよ」

 

 

「あははは……」

 

 

秘技、困っときの愛想笑い。

 

たいていはこれでなんとか乗り切れる。

 

 

「済まない、話が脱線してしまったな。君を急に呼び出したのは伝えたいことがあったからなんだ」

 

 

「伝えたいこと……ですか?」

 

 

なんだろう?

 

 

「実はな、俺も転生者なんだ」

 

 

「……ああー」

 

 

「その反応だと気付いていたようだな」

 

 

「いや、アンジェ先輩と知り合いっていう時点である程度の予想はついてましたし」

 

 

それに転生者はその性質上、物語の出来事に巻き込まれやすくなる。

 

翼に連れていってもらったお見舞い、彼女の相方である()()()()()()()()()()()と知った時点で司令が転生者であることは確信に至ったしな。

 

天羽奏さんとは、翼の相方であり、前ガングニールの装者なのだが、今は()()()()()()()()()()()()()()()()()らしい。

 

まあ、司令が彼女の死ぬ運命を変えたのだが。

 

なんせこの司令、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「そうか。それとこれは先輩としての忠告なんだが、転生者であるからといって全てを自分一人で背負うことは止めた方がいい。いかに特別な力を持っている転生者といえど、一人で出来ることなど限られているのだからな」

 

 

「忠告感謝します」

 

 

ええ。

それはもう重々承知しておりますとも。

 

すると司令は笑いながら俺の頭を撫でてきた。

 

 

「困ったことがあったらいつでもこの世界に来るといい。俺でできることなら、なんでも協力してやるさ。なんなら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

あの人類最強のOTONAが味方になってくれるなんて、これほど心強いことはない。

 

ん?

あれ?

そういえば……また気になる言葉を聞いたような。

 

 

「あの、司令?響達がそっちの世界に行くって……え?司令、響達、俺達の世界に来れるんですか?」

 

 

「アンジェから何もきいていないのか?ヒッツ君のプリズムフラワーと言ったか。装者達のシンフォギアにその欠片を組み込んだことで装者限定ではあるが、そちらの世界にいけるようになったらしいぞ」

 

 

「えぇー!?」

 

 

あれ?

それもう相棒のアドバンテージ何もなくね?

 

 

「ただ回数制限は年に一度や二度いければいい方らしいが」

 

 

「あ、そうですよね」

 

 

そんなに異世界やら、並行世界にポンポン行けるわけないよね(現実逃避。

 

 

「と、どうやら他の者達は、話は終わったようだな」

 

 

見れば全員こちらを見ていた。

 

そろそろ行くか。

 

そして俺の肩に相棒が現れる。

 

相棒は大きく咆哮をあげる。

 

すると相棒の四肢に巻かれている虹色の防具が光を帯びる。

 

俺達の目の前に虹色のオーロラが現れる。

 

 

「それじゃいこうか、皆」

 

 

「「「うん」」」

 

 

「そうですね」

 

 

「行きましょう」

 

 

「お兄様達の世界、楽しみです」

 

 

そして皆は再びお礼を言ってから、虹色のオーロラをくぐっていく。

 

俺も後に続こうとする。

 

 

「あのヒエンさん!助けてくれてありがとうございました!!」

 

 

すると未来さんが大きめの声でお礼を言ってきた。

 

それを皮切りに装者達も言ってきた。

 

 

「ありがとうー!」

 

 

「達者でな」

 

 

「元気でやれよ?」

 

 

「また会おうデース!」

 

 

「お元気で」

 

 

「またね」

 

 

そして俺も振り返って言った。

 

 

「良かったらインターミドルの応援に来てくれ。また会いにくるからそのときに打ち合わせでもしよう」

 

 

俺の言葉に全員苦笑いする。

 

 

「結局、また来んのかよ」

 

 

「ああ、また二週間後に来る。じゃあな」

 

 

そして俺は皆に片手を上げて虹色のオーロラをくぐっていった。

 

オーロラをくぐり終えると、シンフォギアの世界に来る前にいた病室であった。

 

振り返ると、もうオーロラはなくなっていた。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

少年達が元の世界に戻る数日前にまで時間は遡る。

 

エルフナインはあるレポートを見ていた。

 

それは融合症例第一号、立花響についてのレポートと、神獣鏡(シェンショウジン)についてのレポートである。

 

そこにはこう書かれていた。

 

 

【融合症例第一号 立花響について。

 

当時、我々特異災害対策機動部二課による『ネフシュタンの鎧』起動実験(「Project:N」)の遂行中に起こった事故『ライブ会場の惨劇』にて、対象はガングニール装着であった天羽奏でと特異災害(ノイズ)との戦闘に巻き込まれ生死をさまようほどの重傷を負う。

 

その際に、ガングニールの破片が対象の心臓付近に食い込み、摘出不可能になるが、生命に問題はなく通常生活を続ける。

 

その後、再びノイズの襲撃に見舞われた際、ガングニールとの融合体(適合者)として覚醒する事となった。

 

またこの時が、我々との初接触と記録されている。

 

特異災害対策機動部二課の装者イレギュラーナンバーとして所属する事となった対象は、体内に埋め込まれたガングニールの破片からのエネルギー還元とシンフォギア化を繰り返し、その結果、破片が体内で固着・融合状態が昂進していく事となる。

 

体内に広く侵食したガングニールの破片は、対象の肉体を変質させ、爆発的なエネルギー出力や特異な回復力等、常人を大きく逸脱したパワーの源として機能させた。

 

更に、発せられた膨大なエネルギーで、対象の代謝機能は爆発的に加速し、戦闘で失った左腕を再生させる等、様々な超常事象を引き起こした。

 

特に顕著に現れた事象は、異常なまでの高温発熱と放熱現象、所謂スポンティニアス・コンバッション(Spontaneous Combustion)である。

 

これは対象の肉体が、聖遺物に侵食されたことである種の反応炉と化し、常温下での核融合を可能にしたと推察される。】

 

 

 

【artefact神獣鏡(シェンショウジン)

 

Federal Institutes of Sacrist(通称F.I.S.)が所有していた。

 

鏡の聖遺物の欠片である。

 

元来は、日本国の皆神山にて発掘されたアーティファクトと推測される。

 

フィーネによって米国に持ち込まれた後、機械的に加工され、F.I.S.保有の大型ヘリ『エアキャリア』に組み込まれていた。

 

組み込まれた主な要因は神獣鏡の持つ特性の一つである『ウィザードリィステルス』を用いて、機体を不可視化し、振動、その他シグナルの一切を低減・遮断、それによって我々の索敵行動から身を隠すことにあった。

 

だが、神獣鏡の最も特異な特性は他にある。

 

『凶祓い』、古来より施された術式や呪いを退ける能力である。それは鏡の持つ最も端的な特徴が、光を反射し、そこに『あるべき本来のカタチ』を映し出すことにあるからだとされる。

 

その威力は強大で、フロンティア事変では、効果増幅を利用し、超常の術式で封印されていた海中のフロンティアを解放、浮上させたことが確認されている。

 

これをシンフォギアとして機能させた際、低スペック且つ、鏡の特性から派生した隠形や分身等、いくつかの機能がオミットされるものの、圧倒的な可視光がもたらす光起電力効果、および、ビーフェルド・ブラウン効果により、他のシンフォギアには無い飛行機能イオノクラフトをも実現させている。

 

更に立花響の親友、小日向未来に纏わせた際、精神構造を大いに利用する形で、あるべき姿を映し出す力が強勢に顕現し、聖遺物由来の力を分散消滅させ、対シンフォギアに圧倒的優位機能を有した。

 

尚、この『凶祓い』の光芒の人体に与える影響は、実際に曝された立花響、及び小日向未来のメディカルチェックの結果、特に見当たらなかったが、動向を眺入る事とする。】

 

 

 

「これは……そうか!だから響さんは!!」

 

 

「何かわかったのか?」

 

 

すると弦十郎が話しかける。

 

 

「あくまでも仮説ですが、響さんが何故神の力の依代となり得たのか。その理由が分かりました」

 

 

「っ!?」

 

 

「曰く、原罪を背負う人類には神の力を手にすることは出来ない……とのことですが、この原罪とは魂に施されたバラルの呪詛……」

 

 

モニターの画像が神獣鏡に切り替わる。

 

 

「おそらくはあの日、魔を払う神獣鏡の輝きに飲み込まれることで、響さんの呪いは解かれた」

 

 

「つまり、浄罪されたというわけか」

 

 

「もしかすると響さんが融合者から適合者へ急速に至った謎も説明出来るかもしれません」

 

 

「っ!? ちょっと待て。神獣鏡の輝きに呑まれたのは、響君一人ではないぞ……!!」

 

 

弦十郎の視線の先には、()()()()()がモニターに映っていた。

 

 

(しかし分からないのは、なぜヒエンさんが神の力を吸収してもなんともなかったのか……。神殺しの能力を持つ響さんですら姿()()()()()()()()()()()())

 

 

エルフナインは思考する。

 

 

(ヒエンさんは死ぬ気の炎、【調和】の能力で無効化したと言ってたけど、膨大な生命エネルギーの塊である神の力全てを無効化できるとは、僕にはとても思えない。何か……ヒエンさん自身に……強烈な秘密が隠されているような気がしてならない)

 

 

エルフナインは首を振る。

 

 

「いけない、いけない。集中しないと」

 

 

「エルフナイン君、この事はまだ響君達には伏せておいてくれ」

 

 

すると弦十郎が提案する。

 

 

「はい。まだ情報が確定した訳ではありませんからね」

 

 

「ああ、よろしく頼む」

 

 

弦十郎は思考する。

 

 

(それに気になることもまだまだあるしな……)

 

 

弦十郎の脳裏にはある二つの言葉がよぎっていた。

 

 

 

カストディアン……アヌンナキ……

 

 

 

どうやらこの世界には、まだまだ見えない脅威がいるようだ。

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

響達は少年達を見送った後、行きつけのお好み焼き屋さん、ふらわーへとやってきた。

 

響が勢いよく入っていく。

 

 

「おばちゃーん!来たよー!!」

 

 

「あらあら、大勢で来たんだねぇ。それはそうと響ちゃん、今日はあの彼氏君は一緒じゃないんだねぇ」

 

 

「ふぇ!?」

 

 

おばちゃんの言葉に思わず顔を赤くさせる響。

 

 

「ここのところ毎日一緒に来てたのに……」

 

 

「ちょっとおばちゃーん!?ヒエン君はそんなんじゃないってばー!?」

 

 

その言葉を聞いたとき、一緒に来た女性陣はニヤニヤとしていた。

 

 

「へえ。お前あいつと二人で来てたんだなあ。それも何度も……」

 

 

「クリスちゃん!?」

 

 

「響も中々やるわね」

 

 

「マリアさんまで!?」

 

 

すると隣に座っていた未来が、何やらジト目で響を見ていた。

 

 

「ふーん。響、ヒエンさんとそんなことしてたんだ」

 

 

「え?いや~その、ヒエン君には街を案内するって約束してたからさ~。あははははは!」

 

 

響は愛想笑いをする。

 

しかし妙な汗をかいてしまっていた。

 

 

「でもその案内、確か私も一緒に行くっていってなかったっけ~?」

 

 

「え?……あっ!?」

 

 

「思い出した?」

 

 

「ご、ごめん未来~!」

 

 

「ふーんだ。響なんて知らない」

 

 

そんな二人の様子を周りは温かく見守っていた。

 

 

 

皆は笑い合う。

 

 

 

これが彼女達の守りたかった日常の風景だ。

 

 

 

皆は笑い合う。

 

 

 

これが彼女達の望んでいたいつもの風景だ。

 

 

 

皆は笑い合う。

 

 

 

これが彼女達の大切にすべき普段の風景だ。

 

 

 

彼女達はこれからも迫り来る脅威、未知の敵などと戦うかもしれない。

 

 

 

しかし彼女達は一人ではない。

 

 

 

なぜならその胸に宿る歌を信じて……

 

 

 

一緒に戦う心強い仲間がいるからだ。

 

 

 

彼女達は歌い舞い踊る戦姫。

 

 

 

シンフォギア装者なのだから。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

???side

 

 

 

どこかの()()()研究所。

 

 

「あははははは!ついに完成だ!最強の戦闘機人の誕生だ!!」

 

 

そこにいるのは紫の髪色をした研究者、ジェイル・スカリエッティ。

 

 

彼はある培養液に入っている()()を見ていた。

 

 

その青年は額に()()()が灯っていた。

 

 

「フフフフ!!ハハハハ!!アーハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!!!」

 

 

ジェイル・スカリエッティの笑い声が研究所に木霊する。

 

 

その笑い声で青年の目がうっすらと開くのだった。

 




~祝~

コラボ:戦姫絶唱シンフォギアAXZ編、堂々完結!!

製作期間約11ヶ月。話数43話。
話数はプリキュア編より少ないけど、まさか一年近くもかかると思わなんだ!?Σ(゜Д゜)

あと色々伏線はりました(震え声。

次回からようやくインターミドル編、後編に入ります。

あとインターミドルの選手でONE PIECEのボンちゃんを出そうかと考えています。

その名もオボン・クレー。

設定としてはONE PIECEのボンちゃんに憧れたオカマがオカマ拳法を極めるために出場する……みたいな感じです。

なんで出すんだって?

え?気分ですが何か??

では、また(・∀・)ノ

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