大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百九十七話 歌い舞い踊る戦姫XXXVIII

ヒエンside

 

 

 

ティキは俺が頭を踏み潰した影響で完全に機能を停止し、物言わぬ鉄屑人形と成り果ててしまった。

 

すると俺の側にサンジェルマンがやって来る。

 

 

「ティキ……」

 

 

ティキの残骸を見て状況を察したらしく、こちらに視線を向けてくる。

 

 

「…………」

 

 

俺は何も言わない。

 

ティキを破壊したことに罪悪感なんて微塵も感じないし、むしろ破壊した方が正解だったとも思っている。

 

だがあまり良い気はしなかった。

 

俺は(まゆ)を見ながらサンジェルマンに話しかける。

 

 

「あれ……どう思う?」

 

 

「……本来ならあり得ない。生まれながらに原罪を背負った人類が神の力を宿すことなど」

 

 

え?

何言ってんのこの子?

まるで意味が分からないんだけど??

 

もしかしてあれか?

 

バラルの呪詛関連か?

 

そういえば原罪がどうとか言ってたな……。

 

ぶっちゃけ良く分からんが、サンジェルマンの言葉からして人間が神の力を扱える訳がないと言いたいのか?

 

 

「……響が神の力を纏うことは予想外ってことか?」

 

 

「ええ」

 

 

サンジェルマンは一言だけ答える。

 

するとヘリコプターや車のエンジン音が聞こえてきた。

 

どうやらS.O.N.Gのエージェント達が到着したらしい。

 

俺はサンジェルマンに視線を向ける。

 

 

「これからどうするんだ?」

 

 

「決まっている。局長……アダム・ヴァイスハウプトを倒す。それが私にできる唯一の償いだ」

 

 

償い……

 

それは今まで革命の礎として犠牲、生け贄としてきた命への贖罪なのだろう。

 

つまり目的は俺達と同じって訳だ。

 

 

「サンジェルマン、お前さえ良ければ俺達と一緒に戦わないか?」

 

 

「共闘しろ……そういうことか?」

 

 

「そうだ」

 

 

「馴れ合いはしない」

 

 

やっぱりそうくるか。

 

だがそれは予想の範囲内だ。

 

だから別方面から攻める。

 

 

「勘違いするなよサンジェルマン。俺もお前と馴れ合う気なんて更々ない。だがこのままアダムと戦っても、正直勝ち目は薄い」

 

 

「だから私を利用すると?」

 

 

「そうだ。俺は奴を倒すためにお前を利用する。お前も奴を倒すために俺を利用する。持ちつ持たれつの関係ってやつだ」

 

 

アダムは強い。

 

俺がオーバードライブ状態を展開したままでも攻めきれない程に。

 

俺のオーバードライブは、安全性を上げるかつ長期戦を見越して、以前より出力が制限されている。

 

だがそれでも響達、シンフォギア装者のイグナイトともタメを張れるレベルである。

 

しかしそれでも……攻めきれないのが現状だ。

 

 

「それに俺はお前を認めた訳じゃない。お前が俺を終生敵と見なしているように、俺もお前のことを認めない。いや、認めたくない。だがこのままアダムを野放しにしておけば、罪のない人達や、無関係な人々が巻き込まれることになる。だから俺はお前を利用する。アダムを倒すためにお前を使ってやる」

 

 

「……良いでしょう。そういうことなら、私も貴方を利用させてもらう。使ってあげる」

 

 

「契約成立だな」

 

 

俺とこいつの関係は一種のビジネスパートナーのようなものかもしれない。

 

さて、次は響のことだが、現時点で俺達に出来ることはほぼ皆無といっていい。

 

ここは専門家に任せるしかない。

 

 

「サンジェルマン、この後俺達はS.O.N.Gの本部に行くことになると思う。お前にもついてきてほしいんだが?」

 

 

「馴れ合いはしない……と言いたいところだけどそうも言ってられないようね」

 

 

「助かる」

 

 

すると一台の車が俺達の前に止まる。

 

乗っていたのはリニスと緒川さんだ。

 

 

「ヒエン!」

 

 

「乗ってください。本部へお連れします」

 

 

「はい。あとサンジェルマンも一緒に行きます」

 

 

俺の言葉に二人は一瞬目を見開くが、すぐに元の表情に戻る。

 

 

「分かりました」

 

 

そして俺達は配備された車に乗り、S.O.N.G本部へと向かった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

俺達はリニスと緒川さんと共に潜水艦内を歩いていく。

 

ちなみに俺もサンジェルマンも変身を解除し、私服に戻っている。

 

そしてある空き部屋へと案内される。

 

そこには皆が揃っていた。

 

なのは達魔導師組に、響を除いたシンフォギア勢、風鳴司令とフィリス先生、そして俺の構築体(マテリアル)である冷火がいた。

 

先に反応したのは、なのは達であった。

 

 

「「「ヒエン(君)(兄ちゃん)!!」」」

 

 

三人が一斉に駆け寄ってきて、抱きついてきた。

 

何気に抱きつく力が強くて、お腹付近が少し痛い。

 

俺は三人に謝る。

 

 

「あー、三人とも心配かけてすまなかったな」

 

 

「もう!本当だよ!!」

 

 

「心配した……」

 

 

「ホンマ相変わらずやで……兄ちゃん」

 

 

三人が各々反応する。

 

その後、シンフォギア勢もやってくる。

 

 

「息災で何よりだオオゾラ」

 

 

「なんとかな」

 

 

翼と話し……

 

 

「事情はおっさんから聞いたぞ。お前、特別任務じゃなくて入院してたんだってな?」

 

 

「あ、ああ。(分身が)入院してた」

 

 

クリスと話し……

 

 

「ヒエン、後で話があるわ」

 

 

「……全力で遠慮します」

 

 

マリアと話し……

 

 

「お兄さん、あのときは助けてくれてありがとうデース」

 

 

「元気そうで良かったぞ、切歌」

 

 

切歌と話し……

 

 

「聞きましたよ?病院抜け出したって」

 

 

「……緊急事態だったから仕方なかったんです」

 

 

調と話した。

 

すると風鳴司令もやってきた。

 

 

「久し振りだな」

 

 

「ご無沙汰してます」

 

 

一応、ヒエンとして会うのは久し振りの設定なので話を合わせておく。

 

 

「本来なら、病院を抜け出したことについて問い詰めなければならないが、事情が事情であるし、その事は不問とする。それにもう隠す意味もないのでな、ヒエン君の事情は、ここにいる全員理解している」

 

 

「……お世話をおかけします」

 

 

俺は頭を下げる。

 

俺はアダムにやられてからずっと入院していることになっていた。

 

それを表面上は、身内や仲間、敵に知られないようにするためのカモフラージュとして、特別任務に出ているという設定で姿を隠していた。

 

だが実際には皆に隠れて、新人エージェント小道冷火として、()()()()()()()()()()

 

俺はチラリと冷火の方を見る。

 

こちらをジッと見つめていた。

 

そしてそのことについては、リニスとフィリス先生の二人にだけ既に説明している。

 

あとは皆にも説明しないといけないのだが、先にサンジェルマンのことだけ言っとくか。

 

 

「あー、皆さんに報告しておきたいことが。既に察していると思いますがここにいるサンジェルマンと、一時的に共闘関係を結ぶことになりました」

 

 

「……局長、アダム・ヴァイスハウプトを倒すためにそこの大空氷炎と契約したわ」

 

 

「それは私達に協力すると?」

 

 

マリアの質問にサンジェルマンが答える。

 

 

「私は貴方達と馴れ合うつもりはない。ただ目的が同じというだけ」

 

 

「……ということです」

 

 

俺が間に入るように会話を繋げる。

 

なんでだろう?

 

無性に胃が痛いわ。

 

 

「それと……貴方達にこれを渡しておきましょう」

 

 

するとサンジェルマンがUSBメモリーを取り出し、エルフナインへと投げ付ける。

 

 

「これは?」

 

 

「ラピス・フィロソフィカス、賢者の石についての研究データが入っているわ。何かの役には立つでしょう」

 

 

「ほ、本当ですか!?賢者の石の詳細なデータがあれば、反動汚染の除去が短期間で終わります!ありがとうございます!!」

 

 

エルフナインはお礼を言うと、作業に取りかかるために部屋を出ていった。

 

さて、あとは冷火のことに関して言わなければならない。

 

ああ、言いたくない。けど、言わなければ始まらない。

 

 

「あと他にも皆に言っておきたいことが……冷火」

 

 

「はい、お兄様」

 

 

「「「「「「「お兄様!?」」」」」」」

 

 

皆が俺と冷火を交互に見る。

 

その目は驚愕に満ちていた。

 

そして俺は紹介する。

 

 

「俺の構築体(マテリアル)、小道冷火です」

 

 

「改めてご挨拶を。お兄様の妹の小道冷火です」

 

 

おい、いつから妹になった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

小道冷火

 

 

 

それは俺がS.O.N.Gのエージェントとして活動していた時のもう一つの名前。

 

しかしこれからのパヴァリア光明結社との決戦、特にアダムとの戦いが近いことを悟った俺は冷火のままでは勝ち目がないことに焦りを覚え、そのことを相棒とナハトに相談した。

 

そして相談した結果、冷火を魔導プログラムとして実体化させることにした。

 

そうすれば俺も男として活動できるし、何より戦力も増える。

 

という訳で構築体(マテリアル)として構築したのだ。

 

主にナハトが先導して動き、相棒がそのサポートとして動く。

 

前例として守護騎士プログラムであるヴォルケンリッターもいるし、データ構築はこの二匹に任せたのだ。

 

主に俺が使ってたプリキュアフォームの戦闘データを中心に、俺の人格データやその他もろもろも織り込んで構築したらしい。

 

まあその影響か、俺はプリキュアフォームになることはできなくなった。

 

実に喜ばしいことである。

 

え?

 

で、俺は何かしたのかって?

 

何も出来る訳ないじゃない。

 

言わせんな恥ずかしい。

 

マテリアルの存在は、俺の前世の世界でPSPのゲームで登場している。

 

魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE - THE BATTLE OF ACES -通称『BOA』と、魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE - THE GEARS OF DESTINY -通称『GOD』である。

 

そこに登場するのが三名。

 

 

星光の殲滅者(シュテル・ザ・デストラクター)

 

 

雷刃の襲撃者(レヴィ・ザ・スラッシャー)

 

 

闇統べる王(ロード・ディアーチェ )

 

 

の三名である。

 

 

ここで軽くマテリアルの紹介でもしておこうか。

 

 

シュテルは『理』のマテリアルであり、なのはに似ている。

 

髪型はショートカットで衣装に赤と黒が多く、言葉遣いもなのはより更に丁寧で落ち着いている。

 

が、なのはよりも物騒な言葉をよく使う。

 

なのはが魔王であるなら、シュテルは冥王であろうか。

 

 

続いてレヴィの紹介へ行こう。

 

 

通称アホの子。

 

『力』のマテリアルであり、フェイトに似ているが、髪と衣装に青が多い。

 

一人称は「僕」であり、フェイトと比べて明るくハキハキとよく喋る。

 

簡単に言えば外見がフェイトで、性格がアリシアといったところか。

 

言葉遣いも歳相応で子供っぽく、魔法は全て漢字読みになっている。

 

そしてカレー大好き。

 

たぶん三人の中で俺と最も気が合うと思われる。

 

 

最後にディアーチェ。

 

 

『王』のマテリアルである。

 

はやてに似ているが、衣装は黒が多く、帽子はかぶっていない。

 

一人称は「我」で、自らを「王」と呼ぶ。

 

他者を「下郎」「塵芥」、はやてのことは「子烏」と呼ぶ。

 

果てしなく某金ぴかサーヴァントとキャラが被るのではないかと思うが、そこは心配ない。

 

この王様、実ははやてと同じく、料理もプロ級に上手く、家事もお手のもの。

 

キャラ的にはツンデレを地で行く。

 

『理』と『力』のマテリアルが自由奔放なため、実は一番気苦労が多い可哀想な子。

 

まあ、まとめ役だから仕方ないね。

 

 

あと前から疑問に思ってたんだけど、なんでなのはから『理』のマテリアルが生まれたんだろう?

 

どう見ても『力』でしょ。

 

『理』は明らかにフェイトでしょ。

 

だって考えてみ?

 

なのはさんって基本的に砲撃よ?

 

力でゴリ押しよ?

 

どう考えても『力』のマテリアルじゃね?

 

 

「ねぇ、なんだか失礼なこと考えてない?」

 

 

「イエ、ナンモカンガエテネーデスヨ」

 

 

なのはからのジト目に顔を逸らしながら、皆に説明を終える。

 

冷火は俺の人格データを元に生成した魔導プログラム、マテリアルであること。

 

動けない俺の代わりに新人エージェントとして情報収集してもらっていたこと。

 

そして皆のカバーをするように頼んでいたことを話した。

 

俺は真実を織り混ぜつつも、嘘の情報も入れていく。

 

いやだってこうしないと俺死んじゃうし。

 

皆とお風呂に入ったことがバレたら社会的にヤバいし。

 

響の裸を見たなんてバレたら393にミックミクにされるし。

 

ちなみに実は冷火を構築した理由が、ほぼ五割はお風呂関係であることは俺だけの秘密である。

 

そしてこれを聞いた皆の反応はというと、納得である。

 

どうやら冷火と話しているときに、デジャブみたいなものを感じていたらしく首を傾げていたそうな。

 

その理由が俺と似ていたからだそうだ。

 

そりゃそうだ。

 

だって途中まで喋ってたの俺だもの。

 

本人だもの。

 

するとフェイトが話しかけてきた。

 

 

「そうだったんだ。私てっきり冷火さんがヒエンだと思ってたよ」

 

 

その言葉を聞いたとき、動き出しといて良かったと思った俺である。

 

フェイトにはバレるのも時間の問題だったらしい。

 

まあバレたとしても口止めをお願いしてただろうけど。

 

 

「一つ気になっていたんだが、冷火君の戸籍情報や、配属情報はどうしたんだ?確かアメリカ合衆国から派遣されてきたとなっていたが」

 

 

「ああ、それは国連やアメリカのホームページにハッキングして、情報操作をチョイチョイと行ったので問題ないです」

 

 

「ハッキングですって!?ちょっとどういうことか説明しなさい!!」

 

 

「ハイ!調子に乗ってすみませんでした!!」

 

 

マリアの一喝で条件反射的に頭を下げる。

 

そしてこれまでのことを説明した。

 

するとまた説教された。

 

なんでやねん。

 

これリニスと相談して決めたことだったんだけどな。でもリニスのこと言ったら余計にややこしくなるな。

 

仕方ない。

 

黙って怒られてやろう。

 

 

『リニス、貸し一つだからな』

 

 

『ありがとうございます。借りはすぐに返します』

 

 

俺がリニスに念話で伝えると、返事が返ってきた。

 

そして全て話し終えると、時刻は既に月が昇る時間帯となっていた。

 

 

「今回はここまでにしよう。響君についてはまた後日話し合うこととする。皆は休んでくれ」

 

 

司令がそう締めくくると、解散となった。

 

サンジェルマンはというと、監視付きで部屋を与えられるらしい。

 

行動するときはエージェント又は装者が側につく。

 

俺も自室へと行き、休むためにベッドに寝転がる。

 

 

「響……」

 

 

思い出すは繭となってしまった響のこと。

 

サンジェルマンは言っていた。

 

人間が神の力を纏うことは本来ならあり得ない……と。

 

だが実際に響は神の力を纏った。

 

そこには必ず原因となる理由がある筈。

 

それに神の力を纏った奴らは例外なく、強力な力を発揮する。

 

下手をすればその状態の響と戦わなくてはならない。

 

 

「なんとか助けないとな」

 

 

俺は必ず助けると誓って眠りについた。




次回は神の力を纏った響が遂に目覚める。

そして主人公達は響を元に戻すために動き出す。

では、また(・∀・)ノ

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