続き書けたで候。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
第三者side
S.O.N.G本部では引き続き、戦いをモニターしていた。
ディバインウェポンと化したティキがビームを放ち、周囲に無差別攻撃を行ったのだ。
その圧倒的な破壊力を前に、誰も言葉が出てこなかった。
数秒経ち、初めに言葉を切ったのは調であった。
「これだけの破壊力……シンフォギアで受け止められるの?」
ディバインウェポンが続けて第二波を放とうとしたとき、咄嗟に響が顔を殴ったことで方向が上へと変わり、ビームは空へと放たれた。
ディバインウェポンのビームはそのまま宇宙までいくと、人工衛星に当たり、爆発した。
人工衛星は流星となり、地球に落ちていく。
本部ではその影響で警報が鳴り響いており、映像も途絶えてしまった。
「周辺防犯カメラからの映像、途絶!」
「司令、シエルジェ自治領から通達。放たれた指向性エネルギー波は米国保有の軍事衛星に命中。蒸発させたと……」
友里と藤尭が報告する。
だがそれらは今、弦十郎が最も知りたい情報ではなかった。
「響君達の状況は!?」
「周辺のカメラはダウンしたままです。急ぎ、別視点からの映像を……」
「司令!各省庁からの問い合わせが殺到しています!」
藤尭が報告しているとき、友里が伝える。
どうやらお偉いさん方が慌てているらしい。
「全て後回しだ!放ってお……『どうなっている?』……あ」
すると通信に割り込んできた相手がいた。
それは弦十郎にとって大変見覚えのある顔であった。
『どうなっていると聞いておる!』
通信の相手は風鳴
「ははっ!目下確認中であり……」
『儚きものが。此度の騒乱は既に各国政府の知るところ。ならば次の動きは自明であろう。共同作戦や治安維持などと題目を掲げ、国連の旗を振りながら武力介入が行われることが何故わからん!?』
「ですが、きっと打つ手はまだあります!その為の我々であり……」
すると突然、通信は終了した。
訃堂がスイッチを切ったのだ。
「今の通信って……」
「この戦いに風鳴宗家が動くということだ」
マリアの疑問に翼が答える。
つまりS.O.N.Gが対応しているこの問題に風鳴訃堂が介入してくるのだ。
「ぬぅ……」
思わず弦十郎は苦悶の声を出す。
「モニター出ます!」
藤尭が声をあげる。
モニターには少年が響を抱き締めている映像が映っていた。
「な、何やってんだあの馬鹿共!?」
思わずクリスは顔を赤くさせながら突っ込む。
『あ、あのヒエン君?そろそろ離れてくれると……た、助かるかなあ……なんて』
『うん?あ、悪い!?』
少年は響をゆっくりと解放する。
『あ、ありがとう……』
『お、おう』
響は顔を赤くさせながらお礼を言う。
少年も顔を赤くさせながら返事をした。
「一体どういう状況なのかしら……?」
マリアが疑問の声をあげるが、誰も分からずじまいであった。
ちなみにこのときのなのはと、フェイトは終始黙ったまま映像を見ていた。……目のハイライトを消しながら。
映像は続き、サンジェルマンがディバインウェポンに攻撃し、次々と全身にダメージを与えていくが……
ディバインウェポンは光り出し、無数の映像と思われるものが具現化する。
そして再び一つになると
「さっきのはヨナルデパズトーリと同じ!」
「なかったことにされるダメージ!」
調とマリアが声をあげる。
再びサンジェルマンが攻撃するが、再度ダメージがなかったことにされてしまう。
「圧倒的な攻撃と絶対的な防御」
「ああ……反動汚染の除去が間に合ったとしたら、どう立ち回ったらいいんだよ……」
翼は少し唖然としたように、クリスは弱気になりながら呟く。
だがモニターに映っている少年は微塵も諦めてはいなかった。
『あんなの一体どうやって倒せば……』
思わず弱気になっている響に、少年は声をかける。
『弱気になるな響。諦めるなんてお前らしくないぞ?』
『ヒエン君……でも』
『いいことを教えてやる。戦いや物事において絶対なんて物は存在しない。どんなに強い相手でも、どんなに強力な攻撃や防御の手段があろうとも、必ず穴はあるし、崩し方も存在する』
少年の言葉に思わずメインルームにいる全員、耳を澄ませる。
『確かにディバインウェポン、ティキの攻撃力は厄介だ。さっきのビームでこの辺り一帯を一瞬で焼け野原に変えたし、加えてあの巨体、防御力も並じゃない。それにダメージもなかったことにされる』
『だったら……』
『だが弱点がない訳じゃない』
「『弱点?』」
思わず調と、映像の響の声が重なる。
『ああ。見れば奴はあの強大な神の力、ディバインウェポンを全く使いこなせていない。攻撃手段は、肩と口から出したビームだけだし、スピードもまるで大したことはない。あれだけの巨体だ。細かい動作がまだできないんだろうよ』
『言われてみれば……』
『それに……奴の身体の中心を見てみろ』
『中心って、あの赤いクリスタル?』
『あそこにティキがいるだろ?』
『あ、ホントだ!』
「藤尭、映像を回せ」
「了解!」
弦十郎が藤尭にその映像を回すように指示を出す。
するとモニターが変わる。
そこにはディバインウェポンが映っており、確かに赤いクリスタルが存在していた。
その中にはティキの姿があった。
『ディバインウェポンはティキが神の力を吸収した姿。恐らく、あの赤いクリスタルから身体全体に神の力を循環させているんだろう。つまり、あの赤いクリスタルは人間で言う心臓の役割を持っていると考えられる。ということはだ、あそこをぶち抜けば……』
『ディバインウェポンを止められる!?』
『そうだ。そして響……お前にはそれが可能だ』
少年の言葉に皆は息を飲む。
『以前バルベルデで戦ったヨナルデパズトーリ、覚えてるか?』
『うん』
『あいつも神の力を持っていただろう?だけど倒せた。なぜだと思う?』
『私が……やっつけたから??』
『そうだ』
少年の推測に全員思わず納得してしまう。
「おい、それってもしかして?」
「神殺し!?」
クリスとマリアが驚く。
『だから響、お前にはあの赤いクリスタルを壊すことだけに専念してもらいたい』
『任せて!』
すると先程まで不安そうな表情をしていた響の顔には笑顔が戻っていた。
そればかりか少年の顔をジッと見ている。気のせいでなければ目が輝いているように見える。
だが件の少年は響にそんな風に見られているとは欠片も気付いておらず、サンジェルマンと会話していた。
「あの状態のヒエンって本当冷静よね……」
「ああ、ディバインウェポンの力を見ても焦ることなく、その力を正確に見極めようとしている」
「確か死ぬ気モードだったか……ま、まあまあじゃねえか」
「すごい……」
マリア、翼、クリス、調が呟く。
「場慣れだな」
すると弦十郎も呟いた。
「場慣れ……ですか?」
その言葉にはやてが反応する。
「ああ、ヒエン君はこういった突発的状況への対応に慣れているんだ。恐らく、今までも何度か同じ様な状況に巻き込まれたことがあるのだろう。正直あの若さでここまでの
弦十郎の言葉になのはとフェイトも返した。
「ヒエン君は、普段はチャランポランですけど、やる時はやる人ですから!」
「はい。ヒエンは普段はあれですけど、いざとなったら頼りになるんです!」
二人の言葉にメインルームにいる者達は苦笑いしていた。
そしてモニターでは、響がディバインウェポンを止めるべく動き出し、少年とサンジェルマンも響をサポートするために動き出す。
そのときリニスから通信が入った。
『風鳴司令、至急お伝えしたいことが』
「何かあったかリニス君?」
『バルベルデドキュメントを解析したという組織との接触に成功しました。司令と話をされたいとのことなのですが……いかが致しましょう?』
「なに!?分かった。すぐにこちらに繋いでくれ」
『了解しました』
するとモニターにある文章が映る。
「発信源、不明。暗号化され身元も特定出来ません。ですが、これは……」
「解析されたバルベルデドキュメント!?」
友里と藤尭が声をあげる。
『初めまして。S.O.N.Gの皆さん。これは我々が持ちうる限りの資料です。ここにある【神殺し】の記述こそが切り札となり得ます』
「神殺し!? なんでまた……」
クリスが疑問の声をあげるが、緒川が通信先から答える。
『調査部で神殺しに関する情報を追いかけていたところ彼らと接触。協力を取り付けることが出来ました』
するとある一つの槍の絵が載っている画像が映る。
「これは!?」
『かつて神の子の死を確かめるために振るわれたとされる槍……。遥か昔より伝わるこの槍には凄まじき力こそ秘められていたものの、本来、神殺しの力は備わっていなかったと資料には記されています』
「それなのに、どうして?」
『二千年以上に渡り、神の死に関わる逸話が本質を歪め変質させた結果であると……』
「まさか哲学兵装!?先のアレキサンドリア号での中心にあったという……」
『前大戦時にドイツが探し求めたこの槍こそ……』
するとモニターにはこう書かれていた。
GUNGNIR
「ガングニールだとぉ!?」
そのときメインルームに声が響く。
『行け!立花響!!』
『響!そのままぶっ飛ばせ!!』
『はああああああああああっ!!』
『「アダムを困らせるなぁぁぁぁっ!!」』
響の拳と、ティキのディバインウェポンの拳がぶつかり合う。
だが打ち勝ったのは響であった。
『「あああああああっ!!」』
ディバインウェポンの右腕が崩れる。
ティキは無数の映像を投影してダメージをなかったことにしようとするが……できなかった。
『「きゃあああああ!?」』
「ディバインウェポン、復元されません!」
友里が状況を伝える。
「効いてるわ。まさか本当に?」
「神殺しの哲学兵装……」
マリアとクリスが話しているとき、メインルームの扉が開く。
そこには治療を終えた切歌がいた。
「切ちゃん!」
調が駆け寄る。
切歌は笑顔で返す。
思った以上に元気そうだ。
『バルベルデから最後に飛び立った輸送機……その積み荷の中に大戦時の記録が隠されていたのです』
「あの時の無茶は無駄では無かったのデスね……」
バルベルデでカリオストロとプレラーティの最初の襲撃を受けたとき、切歌と調は航空機を逃がすために身体を張ったことがあった。
その航空機の中にバルベルデドキュメント、神殺しの資料があったのだ。
つまり彼女達のこの行動が反撃への一歩となっていたのだ。
「教えて欲しい。君の国が手に入れた機密情報を何故我々に?」
弦十郎の疑問に通信先の謎の人物は答える。
『歌が聞こえたって……』
「歌?」
『先輩が教えてくれたんです。あの時、燃え尽きそうな空で歌が聞こえたって』
実は響達は第三シリーズのGXの第一話にて、マリア・切歌・調の母とも呼べるナスターシャ教授の遺体を回収したスペースシャトルを宇宙で助けたことがあった。
そのときの響の歌声を聞いた宇宙飛行士が、この通信先の謎の人物の先輩なのだ。
『そんなの私も聞いてみたくなるじゃないですか!』
「ふっ。そうか」
弦十郎は笑って答えた。
『八方極円に達するはこの拳!如何なるものも破砕は容易い!!』
そのとき右手をドリルに変形させた響が、勢い良くティキへと迫る。
『うおおおおおおおおおおおおおっ!!』
そして、響のガングニールがティキに炸裂した。
『きゃああああああああああああっ!!』
ティキの上半身と下半身が分断される。
「ここ一番でやっぱり!」
「バッチリ決めてくれるのデス!」
なんとか勝負を決めた響達。
だがここから予想外な出来事が起こる。
『何……?これ?』
なんと神の力が響の身体に集まっていき……
『どうしたの?……えっ?』
響が苦しみ出す。
『あ……うわあああああっ!!』
そして光り出し、黒く赤い斑点がある
「おい!?何やってんだよ!?」
あまりの展開に他の者達も声が出なかった。
第三者side end
◆◆◆
ヒエンside
俺は
(一体何が起きた?)
思考がまとまらない。
あまりにも予想外なことが起こりすぎて、精神的動揺が隠せない。
「台無しだ……僕の千年計画が……それでも神の力をこの手に!」
アダムは小さく呟くと、姿を消した。
俺はしばらく繭を眺めていた。
繭からは鼓動音のようなものが聞こえてくる。
すると……
「アダムどこ?どこにいったの?抱きしめて?私を抱きしめて?もうどこいったの?アダムのイケズウゥ……」
上半身だけが残っているティキがわめいていた。
なぜだろう?
こいつを見てると無性にイライラしてくる。
気が付いたら俺はティキの頭を踏み潰していた。
先に言っておくとラスボス戦は、原作より難度ルナティックです。
では、また(・∀・)ノ