大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

307 / 394
どうも(゜▽゜*)

今回はvsアダム。

響、サンジェルマンと共闘します。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百九十四話 歌い舞い踊る戦姫XXXV

ヒエンside

 

 

 

俺達の目の前には鋭い目でこちらを睨み付けるアダムがいる。

 

その後方には神の力と思わしき光を吸収している自動人形ティキの姿があった。

 

対してこちらは俺と響、サンジェルマンの三名。

 

人数の差でこちらに利があるが、相手はあのアダムだ。

 

油断はできない。

 

するとサンジェルマンがアダムへ話しかけた。

 

 

「神の力は人類の未来の為にあるべきだ。ただの一人が占有していいものではない!」

 

 

「未来?人類の?くだらない!」

 

 

アダムはサンジェルマンの言葉を一蹴すると帽子に炎を纏わせ、こちらへと勢いよく投げ付けてきた。

 

サンジェルマンが迎撃しようと銃を撃つが、頑丈なのか銃弾は弾かれてしまう。

 

 

「はあっ!」

 

 

だが側にいた響が拳で弾き返した。

 

帽子はそのままアダムの元へと戻り、その手に収まる。

 

 

「何故私を?」

 

 

「ワガママだと親友は言ってくれました」

 

 

「ワガママ?」

 

 

サンジェルマンが響に質問する。

 

響もそれに答えるが、恐らく親友というのは未来さんのことだろう。

 

 

「群れるが良い。弱い者同士が!」

 

 

そのときアダムが両手に炎を錬成し、こちらへ放ってくる。

 

俺達はそれぞれ散らばり、炎をかわす。

 

そして俺は移動しながらオーバードライブを発動させて、黒コートを纏うと同時に奴の背後へと回り込み、炎のパンチを放つ。

 

それを奴は軽やかにかわしながら、こちらに蹴りを放ってくる。

 

俺はその攻撃を化剄でいなしながら接近戦を挑む。

 

だがアダムは接近戦にも慣れてるのか、なかなか懐に潜り込ませてくれない。

 

後方から響も攻撃を繰り出し、サンジェルマンも銃で援護してくれるが、奴は軽やかにかわしていく。

 

 

「フッ」

 

 

そして一瞬笑うと、指をパチンとならした。

 

すると俺と響に向けて風のカマイタチが放たれる。

 

俺はグローブの炎の出力を微調整しながら、響は大きく後方に下がることで、それらをかわしていく。

 

だがそのせいでアダムと距離が離れてしまった。

 

しかしその間にマガジンを装填したサンジェルマンが、再び銃撃を放った。

 

当たるかと思われたが、アダムは錬金術で帽子を強化したのか、それらの攻撃を簡単にいなした。

 

 

「くっ!」

 

 

俺達は一旦下がる。

 

 

「誰かの力に潰されそうになってた、あの頃……支配に抗う人に助けられたら何かが変わったのかもしれない」

 

 

すると響が話し始める。

 

 

「そう考えたら……サンジェルマンさんとは戦うのではなく話し合いたいと体が勝手に動いてました」

 

 

「っ!!」

 

 

どうやらさっきの質問の答えらしい。

 

以前から思っていたが、この二人はどこか似ている。

 

過去に苦い思い出があることに加え、どちらも誰かのために戦うことを良しとしている。

 

サンジェルマンが響にムキになるのはこういった同族嫌悪からくるものなのかもしれない。

 

 

「立花響……」

 

 

「っ!」

 

 

「お前が狙うはティキ。神の力へ至ろうとしている人形だ。器を砕けば神の力は完成しない。そして大空氷炎、お前は私と共に局長の相手をしてもらう」

 

 

サンジェルマンはティキを見据えながら話す。

 

 

「この共闘は馴れ合いではない。これはただの……私のワガママだ」

 

 

「ワガママだったら仕方ありませんね!」

 

 

響は不敵に笑う。

 

 

「誰かの為にサンジェルマンさんの力を貸してください!もちろんヒエン君も!」

 

 

「おう」

 

 

そして俺達は再び動き出す。

 

俺はグローブをブースターに、響は背中のブースターをふかせて真っ直ぐにアダムへと向かっていく。

 

 

「行くぞ響!」

 

 

「うん!」

 

 

響は真っ正面から、俺は奴の真後ろから回り込み攻撃を仕掛ける。

 

後方では、サンジェルマンが俺達の攻撃の隙間を縫うように銃弾を放つ。

 

だがアダムはまるでスケートをするかの如く、空中を滑るようにかわしていく。

 

 

「思い上がったか?どうにか出来ると……。三人でなら」

 

 

響が鋭い連撃を繰り出すが、アダムは蹴りで響の拳を受け止めていく。

 

そしてそのまま後方へ飛び、空中に浮かぶ。

 

響もバーニアを吹かせてジャンプし、跳び蹴りを繰り出す。

 

再びかわすアダム。

 

その間に俺は奴の真上から、炎を纏った踵落としをお見舞いする。

 

 

「そう思ってるからこうして攻めているんだ」

 

 

だが紙一重でかわされる。

 

俺は響の方をチラリと見ると、響もこちらを見ていたのか目が合う。

 

俺達は互いに頷き合う。

 

俺はグローブから放つ炎の噴射で態勢を立て直し、響も木に着地して態勢を整える。

 

そして三度(みたび)突っ込んでいく。

 

アダムはサンジェルマンの銃弾を余裕を持ってかわしていた。

 

俺も砲撃魔法や射撃魔法、捕縛魔法などで援護したいが、如何せん高速で動き回っているためそんな隙がないのだ。

 

それに下手をすれば響の動きも阻害しかねない。

 

だからここは共に近接戦闘でアダムを追い詰めるしかない。

 

俺と響がアダムに迫る。

 

するとアダムが木に着地した時、サンジェルマンの弾から錬金術が発動する。

 

その効果もあって、()()()()()()()()()()()

 

ここだ!!

 

 

「響!」

 

 

「了解!」

 

 

俺の一声で意図を理解したのだろう。

 

響は右腕のバンカーを伸ばすとエネルギーをチャージする。

 

俺も形態変化を使い、籠手を手甲に変化させ、炎エネルギーをチャージする。

 

そして共に高速で迫った。

 

 

「「せぇーの!!」」

 

 

 

ドガァアアアアアアンン!!!!!!

 

 

 

「ぐぁあああ!?」

 

 

俺と響の渾身の一撃が炸裂する。

 

 

「ふっ」

 

 

その様子を見たサンジェルマンがニヤリと笑う。

 

だが呆けている暇はない。

 

俺はティキへと視線を向ける。

 

相も変わらず神門(かむど)からもたらされる光を吸収していた。

 

 

「響、今のうちに!」

 

 

「分かった!」

 

 

響はティキを見ると、バーニアを吹かせて真っ直ぐに突っ込んでいく。

 

 

「立花響!」

 

 

するとサンジェルマンが空中に足場となる錬成陣を錬成する。

 

響はその上を跳んで進んでいく。

 

そしてティキの元までもう少しでたどり着くというところで……

 

 

「させはしない!好きに!」

 

 

「がはっ!」

 

 

戦線復帰したアダムが響に風の斬撃を放つ。

 

 

「響!?」

 

 

俺は吹き飛んでくる響を受け止める。

 

 

「僕だけなんだよ、触れて良いのは!ティキのあちこちに!」

 

 

「メロリンズッキューーーン!!」

 

 

敵の阿呆二人が何か言っているがシカトする。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

「うん。ありがとう」

 

 

俺は響をソッと降ろすと前を見据える。

 

俺達の側にいつの間にか来たのか、サンジェルマンもいた。

 

 

「あいつ、中々しつこい。吹き飛ばしてもすぐに復帰してくる」

 

 

「うん。あのティキって子に近付けない……」

 

 

「腐ってもパヴァリア光明結社のトップというだけはあるわね……。さすがは統制局長といったところかしら?」

 

 

俺達がそれぞれの印象を述べる。

 

その間にもティキは力を吸収しているのか、彼女の身体が赤く輝く。

 

 

「このままじゃ……」

 

 

「フッ」

 

 

俺達の焦る様子を見て機嫌が良いのか一笑するアダム。

 

すると何を思ったのか、サンジェルマンがアダムに話しかけた。

 

 

「ですが局長、ご自慢の黄金錬成はいかが致しましたか?」

 

 

ん?

 

 

「私たちに手心を加える必要もないのに何故あのバカ火力を開帳しないのかしら?」

 

 

「言われてみれば……」

 

 

そうだ。

 

なぜ奴は()()()()()使()()()()()

 

奴の黄金錬成の破壊力は、スターライトブレイカー程ではないものの、風鳴機関を一発で吹き飛ばす威力があるにも関わらず。

 

それなのに使用しないのは、まさか……。

 

 

「天のレイラインからのエネルギーチャージは局長にとっても予定外だったはず。門の解放に消耗し、()()()()()()()()()()()のが見て取れるわ!」

 

 

「そういうことか」

 

 

つまりは奴にも余裕はないと。

 

ならこれはチャンスだ。

 

 

「……二人とも話は聞いてたな?」

 

 

「ああ」

 

 

「はい!」

 

 

そして俺と響は再び視線を合わせ、頷き合う。

 

響は右腕のパーツを変形させ、俺も右腕の籠手を再度手甲へと変化させる。

 

 

「嫌われるぞ。賢すぎると」

 

 

そしてサンジェルマンが銃を撃つ。

 

弾丸が狼に変化し、アダムへと迫る。

 

対してアダムはというと、帽子に炎を纏わせ手裏剣の如く投げ付ける。

 

狼と帽子がぶつかり合う。

 

そして爆発が起こる。

 

 

「っ!?」

 

 

その爆発の中から俺と響が突撃する。

 

 

「「せぇーの!!」」

 

 

俺と響の同時攻撃が再びアダムへと炸裂する。

 

 

「くっ!?」

 

 

アダムは右手で俺の拳を、左手で響の拳を受け止める。

 

 

「「おおおおおおおお!!!!!!」」

 

 

俺と響の叫び声が木霊する。

 

二人がかりでアダムを押さえ込む。

 

ジリジリと奴を後ろへと押していく。

 

アダムも余裕がないのか、苦悶の表情で俺達を押し返そうとする。

 

そしてその隙をあの錬金術師が見逃す筈がなかった。

 

 

「ていやあああああああっ!!」

 

 

銃剣を展開したサンジェルマンがアダムの左腕を一刀両断した。

 

 

「ぐわあああっ!!」

 

 

アダムは右手で斬られた箇所を押さえる。

 

 

「今だ、立花響!ティキが神の力へと至る前に!!」

 

 

「はい……っ!?」

 

 

響が何度目かとなるティキへの突撃を行おうとしたとき、またまたアダムが立ちはだかる。

 

 

「こいつまだ……」

 

 

そして俺はある箇所に注目する。

 

奴の()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「やっぱり人間じゃなかったか」

 

 

それを見て俺は納得する。

 

あのときの違和感はやはり間違いではなかったのだ。

 

 

「この目で見るまでは(にわか)には信じられなかったが、錬金術師を統べるパヴァリア光明結社の局長が、まさか……」

 

 

「人形だった!?」

 

 

「やっぱりあんたは、自動人形(オートスコアラー)だったかアダム」

 

 

すると奴は憤怒の表情で怒り出した。

 

 

 

 

 

 

「また言ったな?またこの私を……人形と言ったなあああぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

それに呼応するようにティキも怒りを(あらわ)にさせる。

 

 

「許さない!アダムをよくも、痛くさせるなんてぇぇぇ!!」

 

 

「何が!?」

 

 

ティキの身体から赤い光が放たれる。

 

 

「光が……生まれる!?」

 

 

そして目を開いていられない光量が辺りを包む。

 

思わず顔を庇う。

 

数秒過ぎると光は収まった。

 

だが目を開けた瞬間、俺達の目の前には信じられない光景が映っていた。

 

 

「こい……つは……?」

 

 

「っ……!」

 

 

「あぁ……」

 

 

それは一言で言えば、巨大な人魚のようであった。

 

だが美しいイメージを持つ人魚とは外観は程遠く、どちらかと言えば不気味さを醸し出していた。

 

 

神力顕現(しんりょくけんげん)。持ち帰るだけのつもりだったんだけどね、今日のところは」

 

 

『「ごめんなさい……あたし、アダムがひどいことされてたから、つい……」』

 

 

「仕方ないよ、済んだことは。だけどせっかくだから……」

 

 

そのとき()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

すると巨大な姿……神の力を纏ったティキが動き出す。

 

 

 

 

 

 

「知らしめようか、完成した神の力を。ディバインウェポンの恐怖を!」

 

 

 

 

 

 

俺達の前に神の力を司る巨大兵器が立ち塞がった。

 




次回は神の力を司る兵器、ディバインウェポンとの戦い。

抵抗する主人公と響、サンジェルマン。

次第に圧倒的な攻撃に追い詰められるかと思われたが、主人公と響の攻撃を受けたディバインウェポンの様子が……。

では、また(・∀・)ノ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。