大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

やっと続き書けたで候。

少し体調崩してました。

早くても二週間に一回のペースで投稿するかもしれないですはい。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百九十一話 歌い舞い踊る戦姫XXXII

第三者side

 

 

 

ビルの屋上に佇むサンジェルマン。

 

 

「73800、73801」

 

 

白い花を手向ける。

 

落ちていく花が風に吹かれて散っていく。

 

それらの花は()()()()()()()()()()()()()()放ったものだ。

 

 

「母を亡くしたあの日から置いていかれるのは慣れている……。それでもすぐにまた会える。私の命はその為にあるのだから……」

 

 

カリオストロ……プレラーティ……

 

 

二人はサンジェルマンの前から居なくなった。

 

 

 

パチパチパチ

 

 

 

「っ!」

 

 

サンジェルマンが後ろを向くと、アダムとティキの姿があった。

 

手を叩いているのはティキの方だ。

 

 

「ありゃまあ、死ぬのが怖くないのかなー?」

 

 

「理想に殉じる覚悟など済ませてある。それに、誰かを犠牲にするよりずっと……」

 

 

「きゃはは!何?それが本心?」

 

 

「だから君は数えてきたのか。自分が背負うべき罪の数を……。おためごかしだな」

 

 

サンジェルマンは錬金術師になったその日から、神の礎として犠牲、生け贄にしてきた命をずっと数えてきた。

 

己が背負うべき罪の数として。

 

そして、その膨大な罪を犯した罪人は物憂いげに言う。

 

 

「人でなしにはわかるまい」

 

 

彼女はもう止まれない。否、止まる訳にはいかない。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

「「「「「お世話になりました!」」」」」

 

 

俺達は調(つき)神社の宮司(ぐうじ)さんにお礼を言う。

 

 

「良かったら、調神社にまたいらっしゃい。この老いぼれが生きてる間に」

 

 

「神社ジョーク……笑えない」

 

 

宮司さんの言葉に調がツッコミを入れる。

 

なかなか辛辣ですね。

 

 

「皆さんにこれを」

 

 

すると宮司さんが人数分のお守りをくれた。

 

お守りには可愛らしいウサギが描かれている。

 

 

「わあ」

 

 

「かわいい……」

 

 

「ありがとうございます~」

 

 

魔法少女三人娘が嬉しそうに笑う。

 

他の面々も微笑んでいる。

 

かくいう俺も少し嬉しい。

 

あ、そうだ。

 

元の世界に戻ったら八束神社のお守りのデザインの変更を相談してみようかな?

 

もちろん絵のデザインは久遠で。

 

久遠なら普段から八束神社にいるし、マスコットキャラクターとしても最適である。

 

元の世界に戻ったらさっそく那美さんに直談判してみよう。

 

するとマイクロバスの側で話している翼達の声が聞こえてくる。

 

俺はコソッと近付き、聞き耳をたてる。

 

どうやら通信機で話しているらしく、相手は風鳴司令のようだ。

 

 

「では、あの錬金術師の向かう先には……」

 

 

『鏡写しのオリオン座を形成する神社、レイポイントの一画が存在している』

 

 

「ますます絵空事とは言えないわけね」

 

 

『対策の打ちどころかもしれないな』

 

 

話の内容は昨日のプレラーティが向かっていた方向についてのことらしい。

 

奴が向かっていた先には狙っていたのか、はたまた偶然かは分からないが、神出づる門に関係のある神社があったようだ。

 

そのプレラーティも翼・調・フェイト三人の活躍もあって無事撃破することに成功した。

 

残る敵はサンジェルマンと、統制局長アダム・ヴァイスハウプト。

 

どちらも一筋縄ではいかない猛者共だ。

 

特にアダムと再び相対したとき、正直、小道冷火の姿では厳しいものがある。

 

そろそろ元の姿で合流するときのことも考えておいた方が良さそうだ。

 

 

「「「「「ありがとうございました!」」」」」

 

 

するとお礼を言い終えた面々がマイクロバスへと乗り込んでいく。

 

とりあえずパヴァリア光明結社の狙いはこの数日で分かってきたし、今はやれるべきことをやるべきだろう。

 

そして俺達は調(つき)神社を後にした。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

翌日、いつものようにエージェントの仕事をしているとき、ミーティングの時間になったので俺はメインルームへと足を運ぶ。

 

 

「来たな。では放課後ブリーフィングを始める。映像頼む」

 

 

既に俺以外の面子は揃っていたようで、到着と同時にブリーフィングが始まった。

 

友里さんが映像を展開する。

 

 

「調神社所蔵の古文書と伝承。錬金術師との交戦から敵の次なる作戦は、 大地に描かれた鏡写しのオリオン座・・・」

 

 

モニターには調神社で見た古文書が映される。

 

 

「神出づる門より神の力を創造することと推測して間違いないだろう」

 

 

「現在、神社本庁と連携し、拠点警備を強化すると共に周辺地域の疎開を急がせています」

 

 

「うむ」

 

 

司令と緒川さんが話す。

 

氷川神社群周辺地域では戦闘の危険性を考えてその地域の住民の疎開が急ピッチで行われている。

 

 

「レイラインを使ったさらに大規模な儀式……一体どんな怪物を作るつもりなの?」

 

 

「門から出づる、怪物を超えた神……」

 

 

マリアと翼が神妙そうに呟く。

 

思い出されるのはバルベルデで戦った不死身の怪物、ヨナルデパズトーリ。

 

正直あれを超える怪物が相手となると……

 

 

「どうにかなる相手なのか?」

 

 

「でも、どうにかしないと」

 

 

困惑するクリスと響。

 

そこに司令が一言。

 

 

「どうにか出来るとすれば、それは【神殺しの力】だな」

 

 

「神殺し?」

 

 

「デスか?」

 

 

司令の言葉に調と切歌が反応する。

 

 

「神と謳われた存在の死にまつわる伝承は世界の各地に残されている」

 

 

「前大戦期のドイツでは優生学の最果てに神の死にまつわる力を収集した、と記録にあります」

 

 

司令の情報を友里さんが補足する。

 

 

「だったら……」

 

 

「残念ながら、それは……手がかりになるかもしれないバルベルデドキュメント、及び戦時中の資料を保管した旧風鳴期間本部は、統制局長アダム・ヴァイスファウプトにより消失しました」

 

 

ま・た・あ・い・つ・か。

 

奴が余計な事さえしなければ、今頃は神殺しの情報があったかもしれないのに。

 

決めた。

 

今度会ったとき、奴の股間にフルパワーのソーラーアクセルを叩き込む。

 

でも神殺しってなんかこう中二心をくすぐるよね。

 

 

「だが、あまりに周到な一連の動きは考えようによっては誰にも悟られぬよう、神殺しの力を隠蔽してきたとも言い換えられないだろうか?」

 

 

「つまり……切り札の実在を証明しているのかもしれない?」

 

 

「うむ」

 

 

マリアの言葉に司令が頷く。

 

 

「神殺しが……」

 

 

「存在する……?」

 

 

他の面々も驚いているようだった。

 

司令が緒川さんに声をかける。

 

 

「緒川!」

 

 

「了解です。調査部のみならず各国機関とも連携し情報収集に務めます」

 

 

「頼んだぞ」

 

 

そして緒川さんは調査のために動き出した。

 

あ、これ後で俺も手伝わないといけないパターンのヤツだ。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

ブリーフィング後、俺達は夕食を食べるために食堂へと赴いた。

 

え?

仕事??

 

とりあえず今日のノルマはもう終わってるので問題ない。何かあれば指示があると思いますしおすし。

 

というわけで夕食をさっさと頂く。

 

ちなみに選んだメニューはコロッケ定食です。

 

 

「神の力に対抗する神殺しの力……」

 

 

マリアが呟く。

 

その視線は響へと向く。

 

響はカツ丼定食を頼んでいるようだった。

 

ガッツキ系女子ですねわかります。

 

 

「まさか……ガングニールに?」

 

 

「その可能性は私も考えた。が、ドイツ由来とはいえガングニールに神殺しの逸話は聞いたことはない」

 

 

マリアの疑問に翼が答える。

 

確かガングニールって、オーディーンのグングニルがモチーフだったっけ?

 

ううむ。

神話とかの歴史はあまり詳しくないから良く分からん。

 

 

「今んとこ、あたしらにできることは待つことだけ。ギアの反動汚染が除去されるまでは……」

 

 

クリスがスープを飲みながら静かに話す。

 

 

ギアの反動汚染。

 

 

賢者の石、ラピス・フィロソフィカスの力を愚者の石で中和させた際に生じたギアへの障害。

 

対消滅バリアコーティングによって結果が出たはいいものの、予想出力数値より誤差が出た影響で、ギアに負荷が生じ、それがバグとなってシンフォギアの機能不全を引き起こしてしまったのだ。

 

エルフナインが超特急でギアをメンテナンスしているが、現在戦える装者は響と切歌だけというのが現状だ。

 

 

「デェェェェス!!」

 

 

「むぐっ!?」

 

 

そのとき、いきなり切歌がクリスの前に出てきた。

 

その影響でクリスは食べ物を喉に詰まらせる。

 

見てて思ったけど切歌ってクリスのこと大好きだよね。

 

すると楽しそうな顔をした切歌が口を開いた。

 

 

「皆さんに提案デェス!2日後の13日、響さんのお誕生日会を開きませんか?」

 

 

「えーっ!?今言う?今言うの?」

 

 

切歌の提案に響が苦笑いする。

 

良いじゃない誕生日。

 

俺の一発芸が火を吹くぜ。

 

すると調が申し訳なさそうに話す。

 

 

「もしかして迷惑だった?」

 

 

「いやいや、嬉しいよ。だけど今はこんな状況で、戦えるのも私と切歌ちゃんだけだからさ……」

 

 

だが響はこんな大変な状況だからか、少し遠慮している。

 

しかし俺としてはそんな響の反応に内心驚いていた。

 

 

(響が……あの響が……遠慮しているだと!?)

 

 

だってあの猪突猛進娘がだよ?

 

どんな攻撃も拳一つで叩き落とすあのイケメン女子がだよ?

 

最速で最短でまっすぐに一直線にぃ!を地で行くあの漢前女子がだよ?

 

ビックリだわ。

 

マジビックリだわ。

 

俺と接するときもそれくらい謙虚でいてほしいんですがね。

 

最近抱きつかれることが当たり前になってきたせいか、理性が段々持たなくなってきたんだよね(切実

 

 

「せっかくのお誕生日デスよ」

 

 

「そうだけど……」

 

 

()()()()()()()()()だからお祝いしないとデスね!」

 

 

「え?」

 

 

切歌の言葉に疑問を感じた響であったが、クリスが遮る。

 

 

「困らせるな。お気楽が過ぎるぞ」

 

 

「お気楽……」

 

 

クリスの言葉に切歌が落ち込む。

 

 

「あたしのお気楽で困らせちゃったデスか?」

 

 

「え?いやあ、そんなことないよ!ありがとう」

 

 

少し空気が気まずくなった。

 

近くで食事をしているなのは達も心配そうに様子を見守っていた。

 

うむ。

ここは俺の力で少し場を和ませてあげようではないか。

 

 

「別にいいんじゃないですか?お誕生日会」

 

 

俺はコロッケを食べながら発言する。

 

 

「冷火?」

 

 

切歌がこちらを見る。

 

 

「はぁ?こんな大変なときに何言ってんだ?そんなことしてる場合じゃねぇだろ」

 

 

クリスの言うことも分からんでもない。

 

だが俺から言わせたら構えすぎるのも問題だ。

 

 

()()()()()()()()()()……ですよクリスさん」

 

 

俺は続ける。

 

 

「今まで幾度もの戦いを乗り越えてきた皆さんなら分かると思いますが、シンフォギアの力の源は感情や想いの(たかぶ)りです。つまり精神的に不安定だとその力が大きく半減してしまいます」

 

 

皆が俺の言葉に耳を傾ける。

 

 

「しかも今はパヴァリア光明結社との決戦を控えた大切な時。その上で聞きます。皆さん、そんな()()()()()()()()で奴らと戦うつもりですか?」

 

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

 

六人共に黙る。

 

 

「そしてクリスさん、貴方は身をもってその大変さを体感している筈ですよ?」

 

 

「うっ……」

 

 

クリスは思い当たる伏があるのか気まずそうな顔をする。

 

 

「なので私は切歌さんの誕生日会の案に賛成です。いつまでも考え事をしていては気が滅ってしまいますからね」

 

 

俺はお茶をズズズッと飲みながら一息つく。

 

 

「ふう。それに皆さん、日々頑張っているんですから、タマには羽目を外してもバチは当たりませんよ」

 

 

「でもよ……」

 

 

まだ納得しないか。

 

ならば……

 

 

「あーあー、ステファンさんと、ソーニャさんのときは苦労したなあ~」

 

 

俺はわざとらしく大きな声で言う。

 

 

「カリオストロと戦ってるときのフォローなんて大変だったなあ~」

 

 

「ああー!もう、分かったよ!あたしが悪かったよ!!」

 

 

するとクリスは髪をかきむしりながら話す。

 

 

「分かればいいんですよクリスさん。あ、あと言っとくと別にクリスさんのことを悪く言ってる訳じゃありませんからね?クリスさんは切歌さんに、気を抜くなって言いたかったんですよね?」

 

 

「……ああ」

 

 

「クリス先輩……」

 

 

クリスが切歌に向けてぶっきらぼうに答える。

 

それを皆、苦笑しながら見守っていた。

 

少し悪いことしたかな?

 

いやでもこのまま微妙な空気になられるのも面倒くさいし、これで良かった筈!

 

そして俺はクリスと話す切歌に視線を向ける。

 

 

(それにしても、()()()()()()()()()……ね)

 

 

切歌が誕生日に関して何かしらの強い想いがあるのは分かった。

 

まあそこらへんは、おいおい聞いていけばいいか。

 

 

 

 

 

 

しかしその日の夜……

 

俺達は神の力を巡る激しい戦いに巻き込まれることになる。

 




次回は原作で言う第10話の中盤辺り。

では、また(・∀・)ノ

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