大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

今回はvsカリオストロ戦。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百八十七話 歌い舞い踊る戦姫XXVIII

第三者side

 

 

 

とあるホテルの一室……

 

 

 

そこでは先の戦いで傷ついたプレラーティが、治癒の術を施されて眠っていた。

 

その様子をカリオストロは静かに見守る。

 

 

「…………」

 

 

そんななかカリオストロはある事を思い出していた。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

ホテルの最上階にて、惑星観測型自動人形(オートスコアラー)のティキはプールに浮かびながら、天井に満天の星空を投影していた。

 

その光景を他所に、話をする人影が二つ。

 

パヴァリア光明結社の幹部サンジェルマンと、統制局長アダム・ヴァイスハウプトである。

 

二人の話し声が聞こえる。

 

 

『……順調にいっているようだね。祭壇設置の儀式は』

 

 

『はい。ですが中枢制御の大祭壇設置のための生命エネルギーが不足しています』

 

 

『じゃあ生け贄を使えばいいんじゃないかな?あの二人のどちらかを』

 

 

『は?』

 

 

『十分に足りる筈さ。祭壇設置の不足分はね。完全な肉体より錬成される生命エネルギーならば』

 

 

『……局長。貴方はどこまで人でなしなのかっ!』

 

 

『選択してもらおうか。君の正義を』

 

 

(……そういうことね)

 

 

そしてその二人の会話を、カリオストロは物陰から聞いていた。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

「プレラーティの修復は?」

 

 

「順調よ。時間は少しかかるけど」

 

 

すると奥の部屋からサンジェルマンが現れる。

 

彼女はプレラーティの布団をソッと掛け直す。

 

 

「同じ未来を夢見た仲間を……」

 

 

その表情は少し辛そうであった。

 

 

「そうね。仲間を傷つける奴は許さない。あーしも腹を括ったわ」

 

 

カリオストロは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それはプレラーティから渡された()()()であった。

 

(のち)にこの通信機が``重要な役割``を果たす事になる。

 

そしてカリオストロはサンジェルマンと、プレラーティの様子を見て、覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

「七つの惑星と七つの音階。星空はまるで音楽を奏でる譜面のようね!」

 

 

「始めようか。開闢(かいびゃく)の儀式を」

 

 

深夜になる時間帯、サンジェルマン達はとある(やしろ)に足を運んでいた。

 

それはとある儀式を行うためだ。

 

この儀式を行わなければ神の力を顕現する準備を行うことができないのだ。

 

するとサンジェルマンは(おもむろ)に上半身をはだけさせてアダムへと背を向ける。

 

美しいその肌色は艶やかであった。

 

アダムが右手を向けると、サンジェルマンの背中に小さな円形の紋様が刻まれる。

 

 

「うぅっっ!」

 

 

サンジェルマンは痛みに耐える。

 

その様子をカリオストロが心配げに見守っていた。

 

するとアダムはサンジェルマンの耳元で小さく呟いた。

 

 

「そろそろ選ばなくてはね?捧げる命はどちらなのかを」

 

 

サンジェルマンは答えない。否、答えられない。

 

 

「さあて、シンフォギアだよ。気になるのは」

 

 

だがアダムはその事に()して気にした様子も見せず、話を切り出した。

 

それにカリオストロが答える。

 

 

「あーしが出るわ。儀式で動けない人と負傷者には任せられないじゃない?」

 

 

「あるのかなあ……何か考えでも……?」

 

 

「相手はお肌に悪いくらいの強敵。もう嘘はつきたくなかったけど、搦め手でいかせてもらうわ」

 

 

カリオストロは不敵に笑いながら一つの()()()()()()()を構えた。

 

そこには特殊なアルカ・ノイズを生み出す鉱石が入っていた。

 

そして彼女は動き出す。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

一方S.O.N.G陣営ではクリスがバルベルデ大使館を訪れていた。その付き添いとして翼も同行している。

 

初めは渋っていたクリスであったが、ソーニャとステファン姉弟が何度も面会を求めてきたこともあって根負けし、会うことを決意したのだ。

 

四人は飲み物を頼む。

 

口火を切ったのはステファンであった。

 

 

「今日の夕方の便で帰るんだ。でもその前に()()()を伝えたかった」

 

 

ステファンは自分の右足に視線を向ける。

 

そこには()()()()があった。

 

 

「ああ」

 

 

「述後の経過もいいからすぐにリハビリも始められるって」

 

 

「そうか」

 

 

クリスはコーヒーを飲みながら淡々と答える。

 

 

「内戦のない国ってのをもう少し見てみたかったけど、姉ちゃんの帰りを待ってる子達も多いからさ」

 

 

ステファンがソーニャに視線を向ける。

 

そこに翼が捕捉情報を伝える。

 

 

「彼女は雪音のご両親の意志を継いで、家や家族を失った子供達を支援しているそうだ」

 

 

「え?」

 

 

クリスは思わずソーニャに視線を向ける。

 

ソーニャは何か思うところがあるのか目を閉じていた。

 

 

(パパとママの意志を継いで……)

 

 

思い出すのは笑いながら歌う二人の両親。

 

父である世界的ヴァイオリニストの雪音雅律(まさのり)と、母である声楽家のソネット・M・ユキネ。

 

この二人はNGO活動の一環として娘のクリスと共に南米を訪れていた。

 

内戦のある地域であったが、二人が歌っている場所では笑顔が溢れていた。

 

クリスとソーニャは、そんな二人の歌が大好きであった。

 

だがあるとき、運悪くソーニャの運んだ支援物資の中に爆弾が紛れ込んでおり、その爆弾によってクリスの両親は命を落としてしまったのだ。

 

ソーニャが気付いたときには時既に遅く、間一髪爆発に巻き込まれそうになっていたクリスを助けることしかできなかった。

 

 

(分かってた……。()()()()()()()()()のせいじゃないって。だけど、なのに……)

 

 

クリスはソーニャを見る。

 

そして意を決して話しかけようとしたとき……

 

 

 

爆発が起こった。

 

 

 

「取り込み中だぞ!?」

 

 

「アルカ・ノイズ!?」

 

 

大使館の壁が爆発すると、崩壊した壁からアルカ・ノイズの大群が押し寄せてきた。

 

 

「二人は早く避難を!」

 

 

「分かったわ!」

 

 

「うん!」

 

 

翼の指示にソーニャとステファンは頷き、部屋を出ていく。

 

 

「ムシャクシャのぶつけどころだ!」

 

 

クリスと翼の二人はギアを纏い、交戦する。

 

中には逃げ遅れている人もいるため外で戦う。

 

そのとき二人に向けて青いエネルギー弾が飛んでくる。

 

二人はすぐに迎撃し、相手を見据える。

 

 

「ノコノコと(おび)きだされたわね」

 

 

そこには襲撃に来たであろうカリオストロの姿があった。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

「ふむ。こんなものでしょうか?」

 

 

俺はエージェントとしての仕事をしていた。

 

今までのアルカ・ノイズの被害状況をまとめていたのだ。

 

こう見ると、ここ最近はパヴァリア光明結社の襲撃が異常に多い。

 

 

「いよいよ本格的に動き出してきましたか」

 

 

奴らの目的は神の力を使っての月遺跡の掌握、そしてバラルの呪詛の解呪。

 

問題はその力の源である神の力をどのように集めるのか。

 

司令達の推測によれば、地球の命とも呼べるレイラインから抽出される生命エネルギーを使って神の力を顕現させようとしているとのことだが……。

 

その方法は未だに謎のままだ。

 

 

「完全に後手に回っていますね」

 

 

だがそれも仕方のないことだ。

 

奴らの居場所が分かればこちらから攻めることもできるだろうが、撤退するときに転移ジェムを使われてしまうためどうしても追跡は困難を極める。

 

 

「まあ、できることをコツコツやっていくしかないですね」

 

 

とりあえずはご飯にでもいきますか。

 

 

 

 

 

 

俺が食堂へ向かっていると、見覚えのある後ろ姿があった。

 

 

「あ、フィリス先生」

 

 

「え?あ、ヒエ……冷火ちゃん、お疲れ様です」

 

 

フィリス先生、今ヒエン君って言いかけたね。

 

 

「フィリス先生、気を付けてください」

 

 

「わ、分かってます!ちょっとウッカリしてただけです!!」

 

 

「そのウッカリが困るのですが」

 

 

「うぅ……」

 

 

俺はジト目でフィリス先生を見る。

 

フィリス先生は罰が悪そうに顔を俯かせた。

 

 

「す、すいません。そ、それより冷火ちゃんはどこへ行こうとしていたんですか?」

 

 

「はぁ。私は仕事が一段落ついたので食堂にご飯を食べに行こうかと」

 

 

「それなら一緒に行きましょう。丁度貴方に伝えたいことがあったのです」

 

 

「伝えたいことですか?」

 

 

「話はご飯を食べながらにしましょう」

 

 

そして俺とフィリス先生は食堂へと足を運ぶ。

 

ちなみに俺はカレーライス、フィリス先生は日替わり定食だ。

 

俺達は席の端っこへと座る。

 

俺は周りを見渡す。

 

 

(監視の目はないみたいだな……)

 

 

俺が新人エージェントとして赴任してから監視の目をつけられている。

 

勿論、気付かないフリをしているが。

 

俺はカレーを食べながら、向かい側に座るフィリス先生に話を振る。

 

 

「それでフィリス先生、話というのは?」

 

 

「はい。前におこなった健康診断の結果をお伝えしようかと」

 

 

「ああ、そういえばそんなこともありましたね」

 

 

「はい。結果だけ伝えますと冷火ちゃん、貴方の魔力ランクは遂にSランクを突破しました」

 

 

「ぶっ!?」

 

 

俺は飲んでいた水を吹きそうになる。

 

 

「そ、それは本当ですか!?」

 

 

え、マジ?

 

あの元大魔導師と元管理局の英雄、現地上のエースと同じSランクになっちゃったの?

 

俺、まだ人間やめたつもりないんですけど。

 

 

「事実です。より詳細に言えば冷火ちゃんがAAAランク、ヒッツ君がAランク。二人合わせてギリギリSランクですね」

 

 

「え、相棒と?」

 

 

あ……(察し

 

もしかしてあれか。

 

この世界に来た初日に相棒にイマジンストーンと、プリズムフラワーを食べさせてパワーアップさせたからか。

 

 

「一応リニスさんにこのことを相談してみたのですが、意外な意見が返ってきまして」

 

 

「意外な意見……ですか?」

 

 

「はい」

 

 

何を言ったんだあの山猫。

 

 

「それはそうと冷火ちゃん、貴方は将来のことをどう考えていますか?」

 

 

「え?将来のことですか?」

 

 

「はい」

 

 

いきなり話の内容が変わったことに驚くが、フィリス先生は真剣な表情で聞いてくるので素直に答える。

 

 

「正直、まだ特には。大学にいくとは思いますが」

 

 

「そうですか。一つ聞きたいのですが、管理局に入局することは考えているのですか?」

 

 

「……一応、選択肢の一つとして考えてはいます」

 

 

「なるほど。実は先程言ったリニスさんの意見というのがですね、『Sランクになったことは、しばらく伏せておいた方が良い』と言われまして……」

 

 

「ん?さっきの質問とリニスの意見にどういう関係が??」

 

 

俺は首を傾げる。

 

 

「はい。率直に言いますと冷火ちゃん、貴方は管理内世界でかなり注目されています」

 

 

「私が?」

 

 

え?

なんで??

 

 

「考えても見てください。貴方はPT事件の黒幕である元大魔導師プレシア・テスタロッサの捕縛、闇の書事件では背後で動いていた元管理局の英雄ギル・グレアムをも捕らえ、目覚めたリインフォースさんも結果的に単独で撃破しました。はっきり言ってこの二つの事件は貴方の力なくしては解決しなかったでしょう」

 

 

「そんなことは……」

 

 

「そしてこのことは、既に管理局上層部の耳にも届いているでしょう。ここまで言えば私の言いたいことが分かるのではないですか?」

 

 

「……もしかしてその管理局上層部に手駒として利用される恐れがあると?」

 

 

「はい。クロノ君やリンディ提督の話によれば、上層部に関してあまり良い噂を聞かないとか。貴方はただでさえ周りから注目されています。そこに魔力ランクがSランクを超えたと報告すればどうなると思います?恐らくですが、上層部はどんな手を使ってでも貴方を管理局へと引きずり込むでしょう」

 

 

俺は黙る。

 

 

「貴方が自分の意志で管理局に入局するのであれば、私達も何も言いません。上層部が手を出せないように手を尽くすだけです。ですが、そうでないのなら真剣に貴方の将来を考えて欲しいのです。冷火ちゃん、貴方は貴方が思っている以上に周りから注目されているのですよ?」

 

 

「そ、そうだったんですか……」

 

 

なんだか思った以上に重い話だったんだが。

 

管理局上層部といえば最高評議会の脳髄共が思い浮かぶが、それ以外にもヤバイ奴らがいそうだ。

 

今後そういった奴らからの接触もあるかもしれない。

 

元の世界に戻ったら用心しなければ。

 

そして俺達はご飯を食べ終わる。

 

 

「さて話も終わりましたし、私はメディカルルームに戻りますね」

 

 

「あ、はい」

 

 

「では」

 

 

フィリス先生はオボンと食器を流し台に持っていくと、食堂を出ていった。

 

俺は食後のお茶を飲みつつ、ボーッとしていた。

 

すると……

 

 

 

ビーッ!ビーッ!!ビーッ!!!

 

 

 

突如、警報音が鳴り響く。

 

 

「また襲撃ですか」

 

 

俺は今はもう慣れた警報音を聞くとメインルームへと向かう。

 

飯を食べ終わった後で助かったよ本当。

 

俺がメインルームへとつくと、クリスと翼を除く他の面子は既に揃っていた。

 

 

「来たか冷火君」

 

 

「状況は?」

 

 

俺は司令に話しかける。

 

 

「バルベルデ大使館にパヴァリア光明結社が現れた。狙いはクリス君と翼だ」

 

 

「司令!」

 

 

「分かっている。他の装者達はすぐに二人の援護へ向かえ!なのは君達と冷火君も頼めるか?」

 

 

「お任せを」

 

 

「「「任せてください!」」」

 

 

そして俺達はヘリでバルベルデ大使館へと急行する。

 

見るとクリスと翼が大勢のアルカ・ノイズを相手にしながら、カリオストロと戦っていた。

 

しかしクリスがカリオストロの攻撃を正面から食らい、追い詰められる。

 

俺達はすぐにヘリから飛び降りる。

 

装者達はギアを纏い、なのは達もバリアジャケットに換装する。

 

 

「アイスメイク……大鷲(イーグル)!」

 

 

俺は氷のワシを造形すると、アルカ・ノイズへ向かわせる。

 

クリスの方はマリアと響が、翼の方には切歌と調が向かっていったので心配ないだろう。

 

俺はなのは達と共にアルカ・ノイズの迎撃に専念する。

 

 

「クリスちゃん大丈夫!?」

 

 

「遅ぇんだよバカ……」

 

 

「すまない、月読!暁!」

 

 

「タマには私達だって!」

 

 

「そうです!ここからが逆転劇デス!!」

 

 

ここに六人の装者、三人の魔導師、一人のエセ錬金術師と合計十人が勢揃いした。

 

見たところカリオストロは一人だけで来ている様だが、その表情に焦りは見られない。

 

むしろ余裕すら感じる。

 

俺はその事に違和感を感じた。

 

 

(なんだ?一体何を企んでる?)

 

 

俺はカリオストロの言動に注意する。

 

 

「そうよね。逆転劇はここからよねぇ!!」

 

 

すると奴は二つの鉱石を取り出すとこちらへ投げつけた。

 

俺は咄嗟に側にいたなのはを抱えると、その場を離脱する。

 

 

「これは!?」

 

 

「はっ!?」

 

 

「あっ……」

 

 

「翼さん!?」

 

 

「調!?」

 

 

「フェイトちゃん!?」

 

 

だが俺の近くにいた翼・調・フェイトの三人と、響・切歌・はやての三人が消えてしまった。

 

 

「フェイトちゃん!?はやてちゃん!?」

 

 

抱えてるなのはが焦るように二人の名前を呼ぶが、なんの反応もない。

 

これは前に司令が言っていた亜空間の檻に閉じ込められてしまったのだろう。

 

俺はなのはを降ろすと、カリオストロを睨み付ける。

 

 

「ふふっ。紅刃(こうじん)シュルシャガナと、碧刃(へきじん)イガリマのユニゾン……プレラーティが身をもって教えてくれたの。気を付けるべきはこの二人って」

 

 

「そりゃまた随分と……」

 

 

「私達もナメられたものね」

 

 

クリスとマリアの声音が少し低くなる。

 

あー……これは二人ともイラッとしてる。

 

しかし数が減ったとはいえ、未だにこちらの方に人数の利がある。

 

コンビネーションを駆使すればカリオストロを撃破することも不可能ではない。

 

それに亜空間に閉じ込められたフェイト達に関しては、心配していない。

 

この程度でやられるほど、あの子達は弱くない。

 

 

「はぁああああ!」

 

 

「でやぁあああ!」

 

 

そしてカリオストロの青色のエネルギー弾と、クリスの赤色のエネルギー弾が激突する。

 

その間にマリアがこちらに話しかけてきた。

 

 

「冷火!なのは!貴方達は大使館にいるアルカ・ノイズの対処をお願い!まだ逃げ遅れた人がいるみたいなの!!」

 

 

「「了解しました!!」」

 

 

俺となのはは大使館の破壊された壁から中へ入ろうとする。

 

 

「行かせないわよ!」

 

 

だがカリオストロが青いエネルギー弾を放ってくる。

 

 

「「!?」」

 

 

俺となのはは咄嗟に防御しようとするが……

 

 

「はぁあああ!」

 

 

マリアがカリオストロへと斬りかかった。

 

 

「二人とも!急いで!!」

 

 

「「ありがとうございます!!」」

 

 

マリアの援護でカリオストロの攻撃をやり過ごした俺達は、大使館の中へと足を踏み込む。

 

中にはまだ数体のアルカ・ノイズが残っていた。

 

 

「アクセルシューター……シュート!」

 

 

氷魔剣(アイスブリンガー)!」

 

 

なのはは射撃魔法アクセルシューターで、俺は両手に造形した氷魔剣(アイスブリンガー)でアルカ・ノイズに攻撃する。

 

中にいたアルカ・ノイズは全滅した。

 

見れば大使館の中には車椅子に乗った褐色の少年と、車椅子を押している若い褐色の女性が残っていた。

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

 

なのはが二人に話しかける。

 

 

「た、助けてくれてありがとう。この子の車椅子が挟まって動けなくなって」

 

 

見れば車椅子の車輪が、地面のヒビ割れによってできた溝に挟まっていた。

 

俺達は車椅子を持ち上げ、溝から出すことに成功する。

 

 

「さあ早く避難を!」

 

 

「え、ええ」

 

 

「あ、ありがとう」

 

 

二人はお礼を言い、出口へ向かおうとする。

 

しかし気のせいでなければ、あの褐色の少年、こっちを見て顔を赤くしてたような?

 

すると轟音が響く。

 

見ればクリスがこちらへ吹き飛んできた。

 

俺は咄嗟にクリスを受け止める。

 

 

「お、お前ら!まだこんなところにいたのか!?」

 

 

クリスは二人に気付くと声をあげる。

 

クリスの反応からしてこの二人は知り合いらしい。

 

だとすれば、この二人が件のステファン少年と、ソーニャ氏であろう。

 

 

「ごめんねぇ、巻き込んじゃって。すぐにまとめて始末してあげるから」

 

 

すると崩壊した壁からカリオストロがやってくる。

 

奴の相手はマリアがしていた筈。

 

 

「マリアさんはどうしたんです!?」

 

 

俺は声を張り上げる。

 

 

「あの三色団子のピンクちゃん?今は外で寝てるわよ~」

 

 

そしてカリオストロは両手にエネルギー弾を収束させていく。

 

 

「まずい!?なのはさん、防御を!」

 

 

「はい!」

 

 

俺はすぐになのはに指示を出すが、それよりも先に動き出した人物がいた。

 

 

「う、うぉおおおおおおあああぁぁああああぁぁあ!!!!」

 

 

ステファン少年だ。

 

 

「な、なにを!?」

 

 

するとステファン少年は力ずくで立ち上がると、転がっていた棒をカリオストロへと蹴り飛ばした。

 

 

「ヤケのヤンパチ!?」

 

 

カリオストロが驚くがさすがの反応速度なのか、棒を弾き飛ばした。

 

しかしその隙を見逃さなかったクリスとなのはが、カリオストロへ攻撃を仕掛ける。

 

 

「合わせろなのは!」

 

 

「はい!」

 

 

赤色とピンク色のエネルギー弾が、カリオストロに襲いかかる。

 

 

「危ないわねぇ!」

 

 

カリオストロは咄嗟に後ろへと飛び、外へと脱出した。

 

クリスはというと、行動を起こしたステファン少年に怒鳴っていた。

 

 

「なんのつもりだ!?」

 

 

「クリスがあのとき助けてくれたから、俺も今クリスを助けられた!」

 

 

だがステファン少年はそれに怯むことなく、力強く答える。

 

 

「え?」

 

 

その力強さにクリスは呆気に取られる。

 

 

「無くした足は……過去はどうしたって変えられない!だけどこの瞬間は変えられる!きっと未来だって!!」

 

 

ステファン少年はクリスを恨んではいない。

 

むしろ感謝している。

 

なにせ自分の命を救ってくれたのだから。

 

 

「ステファン……」

 

 

ステファン少年を支えているソーニャ氏も驚いている。

 

ちなみに様子を見守っている俺達も驚いている。

 

 

「姉ちゃんもクリスも!変えられない過去に囚われてばかりだ!!」

 

 

ステファン少年の言葉にソーニャ氏とクリスは何も言い返せない。

 

そしてステファン少年はここぞとばかりに二人に問いかけた。

 

 

「俺はこの足で踏み出した!姉ちゃんとクリスは!?」

 

 

するとステファン少年は車椅子に自身の手を置く。

 

それに習うようにソーニャ氏と、クリスも手を置いた。

 

 

「これだけ発破かけられて……いつまでも足をすくわせてばかりじゃいられねぇじゃねえかっっっ!!!!」

 

 

クリスの顔に笑顔が戻る。

 

ステファン少年とソーニャ氏も笑っていた。

 

もうこの三人は大丈夫だろう。

 

俺は隣で嬉しそうにしているなのはに声をかける。

 

 

「行きましょうなのはさん。クリスさんはもう大丈夫です。今はマリアさんの援護にいかなければ!」

 

 

「はい!」

 

 

そして俺達は勢いよく外へと出る。

 

 

「それそれそれ!」

 

 

「くうぅぅっ!?」

 

 

外ではマリアが一人でカリオストロと戦っていた。

 

だがカリオストロの猛攻に防戦一方であった。

 

俺は奴の後方から近寄り、二本の氷魔剣で斬りかかる。

 

 

「見えてるわよ!」

 

 

しかし俺の攻撃は呆気なく防がれる。

 

 

「はああぁぁ!」

 

 

俺は二刀流で攻めていくが、相変わらず受け流すのが上手く、攻撃が全く当たらない。

 

 

「貴方の動きは見切ったわ!」

 

 

「くっ!?」

 

 

そして俺はカウンター攻撃で腹を蹴られ、吹き飛ばされる。

 

咄嗟に後ろへ跳んで威力を軽減したものの、凄まじい威力である。

 

 

《Hammer Bullet.》

 

 

するとなのはのハンマーバレットがカリオストロに炸裂する。

 

しかし、奴はその一撃をしっかりと防いでいた。

 

なのははさらにハンマーバレットの数を増やし、カリオストロへと放つが、カリオストロも青いエネルギー弾で相殺させる。

 

 

「行くわよ冷火!」

 

 

「はい!」

 

 

その間に俺とマリアが左右同時に攻める。

 

マリアの短剣と、俺の氷魔剣がカリオストロへと向かう。

 

 

「はっ!甘いのよ!!」

 

 

だが奴は俺達の同時攻撃をそれぞれ片手だけで対応する。

 

 

「凄まじい反応速度ですね。だがこれで!」

 

 

「ええ!動きは止まった!!」

 

 

《Restrict Lock.》

 

 

そのときカリオストロが捕縛される。

 

 

「なっ!?これって!?」

 

 

《Hyperion Smasher.》

 

 

「ハイペリオーン……スマッシャー!」

 

 

そして魔力チャージを完了させたなのはのハイペリオンスマッシャーが決まった。

 

だがこのとき、俺達は少しばかり油断していた。

 

土煙の向こう側から、突如として放たれた巨大な青いエネルギー弾を察知できなかったのだから。

 

 

「……っ(シールド)!」

 

 

俺は咄嗟に氷の盾を展開させるが、防ぎきれずにくらってしまう。

 

それは側にいたなのはとマリアも同様であった。

 

 

「くっ!?」

 

 

「「きゃああああ!?」」

 

 

俺達は倒れる。

 

そこにはこちらにゆっくりと歩いてくるカリオストロの姿があった。

 

 

「良い攻撃だったけど……あーしを満足させるにはこれじゃあ足りないのよねぇ。三人とも良く頑張ったけど……これでトドメよ」

 

 

そしてカリオストロが仕掛けようとしたとき……

 

 

「やらせるかよっ!」

 

 

クリスが赤色のエネルギー弾を放ちながら俺達を庇うように現れた。

 

そんなクリスにマリアが一言。

 

 

「遅い!だけど良い顔してるから許すっ!でしょ二人とも!!」

 

 

俺達に同意を求めてくるマリア。

 

 

「はい!」

 

 

「そうですね」

 

 

なのはと俺は同意する。

 

 

「でも本音を言えば、もっと早く来てほしかったですけどね」

 

 

けどやっぱりこういう時って少し水差したくならない?

 

差したくなるよね。

 

 

「もうっ!冷火さん!!」

 

 

「貴方はイチイチ水を差さないの!!」

 

 

「ったく、オメーはいつも生意気なんだよ」

 

 

なのはとマリアが少しお怒り気味に、クリスは呆れ気味に返す。

 

だが俺は謝らない。

 

 

「後でピンチになったお詫びとして、私達になにか奢って下さい」

 

 

「っは!そんなんで良ければいくらでも奢ってやるよ!!」

 

 

「何をゴチャゴチャとー!」

 

 

するとカリオストロが動き出す。

 

 

「おいマリア!昨日の()()、この本番でぶつけられるか?」

 

 

「良いわよ!そういうの、嫌いじゃない!!」

 

 

その間にも、カリオストロは大きなハート型のエネルギー弾を展開させる。

 

 

「来るぞ!あとなのはに冷火!お前らも隠し球使えよ!!」

 

 

「分かりました!」

 

 

「了解です」

 

 

そしてこちらへ撃ち込んできた。

 

 

「そおぉぉりゃっっっっ!!!!」

 

 

その瞬間、俺達は自身の切り札を使用した。

 

 

 

 

 

 

ドガァアアアアアアアアン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

俺達は爆発に巻き込まれる。

 

カリオストロは完全に勝ったと思ったのだろう。

 

 

「え?」

 

 

だが奴は目を点にさせて驚く。

 

奴の視線の先にはイグナイトを使用したクリスにマリア、フルドライブ2(セカンド)を発動させているなのはに、オーバードライブを展開した俺がいたのだから。

 

 

「イグナイト!?ラピス・フィロソフィカスの輝きを受けてどうして!?それにあの子達もパワーアップしてる!?」

 

 

「昨日までのシンフォギアと思うなよ!!」

 

 

俺達は一斉に攻めていく。

 

愚者の石の効果が出ているのか、イグナイトは解除されていない。

 

これならいける。

 

クリスとマリアが正面から、なのはは真上から、俺は奴の後ろから回り込むように攻めていく。

 

するとカリオストロは両手の拳にパンチンググローブのようなものを展開させると、俺達四人を同時に相手していく。

 

驚くべきは奴の戦闘センスだ。

 

マリアの蛇腹剣を受け流し、なのはとクリスのエネルギー弾をボクサーのように素早く動き、回避する。

 

そして俺の死角からの武器攻撃も脅威の反射神経でかわす。

 

やりづらくて仕方ない。

 

というか武器戦闘は少し苦手だ。

 

俺もグローブを纏えれば……纏うか。

 

 

「アイスメイク……魔王の前腕甲(ヴァンブレイス)

 

 

俺は両手に氷の装甲を纏うとカリオストロに殴りかかる。

 

俺のグローブと奴のグローブがぶつかり合う。

 

 

「見た目に反して凄いパワーじゃない!」

 

 

「褒め言葉として受け取っておきます!」

 

 

すると真上からなのはの射撃魔法が炸裂する。

 

 

「シュート!」

 

 

「うっ!いったいわねえぇぇ!!」

 

 

そしてこの日初めてカリオストロに攻撃を当てることができた。

 

カリオストロは全方面にエネルギー弾を展開させるが、俺達には当たらない。

 

次第に奴の顔からは焦りの感情が色濃く感じられた。

 

 

「ラピスの輝きを封じた上にユニゾン……こんなのサンジェルマン達にやらせる訳には!」

 

 

俺達は休まず攻めていく。

 

ユニゾンの効果により、クリスとマリアの攻撃力もどんどんと上がっている。

 

そしてクリスがガトリングガンでさらに攻めるが、カリオストロは再びハート型のエネルギー弾を収束。

 

それを一気に解放した。

 

 

「やらせる訳にはああぁぁあ!!!!」

 

 

解放されたエネルギーが俺達を襲うが、それになんとか耐える。

 

 

「高出力のエネルギー!?まさか、相討ち覚悟で!?」

 

 

マリアの言葉からも分かる通り、カリオストロは自身の命を捨てることも辞さない覚悟で挑んでいる。

 

生半可な覚悟では勝てない。

 

 

 

 

 

 

「あーしの魅力は爆発寸前っっ!!」

 

 

 

 

 

 

するとカリオストロは青色のエネルギーを拳に収束させると、それを解放し、空高く飛び上がる。

 

それを見たなのはもカートリッジを2発ロードすると、レイジングハートの先端にエネルギーを収束させる。

 

先端部分から桜色の翼が現れ、(くれない)の魔力刃が展開された。

 

 

《ACS Stand by.Strike Flame.》

 

 

「エクセリオンバスターA.C.S……ドライブ!」

 

 

そして爆発的な加速を得て、カリオストロへと突っ込んでいく。

 

上空で幾度も激突する青色と桜色の光。

 

その激突音は凄まじく、下にいる俺達の元にもその音は聞こえる程だ。

 

 

「あーしは負けられない!負ける訳にはいかないのよ!まずはおちびちゃん!貴方からやっつけてあげる!!」

 

 

「く、くううぅぅぅ!!!!」

 

 

だが次第になのはが押されていくのが分かる。

 

このままでは押しきられてしまうかもしれない。

 

 

「冷火!乗りなさい!!」

 

 

するといつの間にかマリアとクリスは互いのアームドギアを合体させて、戦闘機のような形状のアーマーに変形させていた。

 

無性に色々突っ込みたいが、今はなのはの援護に向かうのが先だ。

 

そして俺はマリアの前に座らされると、戦闘機は発進する。

 

俺達はカリオストロの後方から突っ込んでいく。

 

 

「なっ!?後ろから!?」

 

 

俺達の接近にカリオストロが気付き、咄嗟に青色のエネルギー弾をシールドのように展開させるが、もう遅い。

 

俺達は前後から挟むようにカリオストロに一撃を与えた。

 

 

 

Change †he Fu†ure ver ACS.

 

 

 

「そ、そんな……あああぁぁぁ…………あああぁぁああああ!!!!????」

 

 

 

そして巨大な爆発音と共にカリオストロの断末魔が響くのだった。

 




次回はプレラーティに動きが。

原作とは違った展開になるかも。

では、また(・∀・)ノ

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