やっと続き書けたで候。
そしてご挨拶をば。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
早いものでこの作品もいよいよ四年目に突入という。
やべぇ。
完結はいつになるのやら。
ではさっそく今年初の投稿、どうぞ( *・ω・)ノ
少し短いです。
ヒエンside
轟音が鳴り響く。
巨大な巨人の氷の足を造形することにより、司令を踏み潰した。
俺は少し離れた場所に着地すると様子を見る。
氷がスゥーッと消え、段々と土煙が晴れていく。
すると大きく陥没した地面が見えてくる。
そこにはうつ伏せに倒れた司令の姿があった。
「…………」
司令の反応はない。
俺はいつでも動けるように構えておく。
しかし数秒経っても反応はない。
(まさか……死んだか?)
「いや、あり得ないですね……」
あれだけ頑丈な司令が、ただ踏み潰されただけで命を落とすとは思えない。
気を失っているのだろう。
正直、やり過ぎた感は否めないが、こちらも手加減する余裕などまるでなかった。
ガラッ
すると物音が聞こえる。
司令がゆっくりと起き上がる光景が見えた。
「いや~!きいたきいた!!」
そして……
俺はあまりのことに絶句する。
(オーバードライブで強化した攻撃を食らって……ピンピンしているだと!?)
司令は身体の調子を確かめるように、右腕をグルグルと回しながら話す。
「この勝負は君の勝ちだ冷火君。久しぶりに良い一撃をもらった。咄嗟に化勁で衝撃を逃がしたが、受けきれなかったよ」
見れば司令のジャージが所々破けていた。
タイタンフィートを受け流し切れなかったために、衝撃を分散させることが出来なかったのだろう。
だが思う。
あの超重量級の攻撃を受けて「きいた」の一言で済ませる司令がいかに規格外かを。
この人を倒すには受け流し切れない程の一撃を放つか、受け流す暇がない程の連続攻撃を繰り出すしかないだろう。
加えて頑強な防御力を突破する力も必要となる。
闇の書事件で目覚めたリインフォースもよく似た感じであったが、戦ってみた感想としては司令の方が圧倒的に強く感じた。
今の俺が司令に勝つには、オーバードライブのフルパワー状態で集束打撃ソーラーアクセルを最大パワーで放つ尚且つ連撃で繰り出すか、ブレイカークラスの砲撃を最大出力で放つかの二択であろう。
いや、下手すればそれでも勝てないかもしれない。
もしも……もしもだ。
俺の目の前に司令のような超人級の敵が突如として現れたら……
俺はどうすればよいのだろう?
「どうした?」
俺が考え事をしていると司令が話しかけてくる。
「いえ……なんでもありません」
俺はそれをやんわりと断るが、司令は俺の頭にグワシッという効果音が聞こえてきそうな勢いで手を置いた。
「君が一体何に悩んでいるかは分からんが、これだけは覚えておけ。俺達は君を全力で支える。だから困ったときは俺達を……大人を頼れ」
本当にこの人は……
なんというか……凄い人だ。
俺とは心の器も人間レベルも違いすぎる。
さすがOTONAだ。
だけど、だからこそ納得したこともある。
多くの人が風鳴司令を慕っている訳を。
頼れと言われて悩みが一気に吹き飛んだ気がした。
そうだ。
悩んだって仕方がない。
いつも通り、俺なりにできることを全力でやっていけばいいのだ。
それで足りなければ周りの大人に頼ればいい。
今はありがたくそうさせてもらおう。
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司令との組手が終わると本格的に訓練が開始された。
つまりあの模擬戦は前座だったということになる。
それにしても……前座にしては、やたらと気合いが入ってたのは気のせいですかねぇ!?
まあ、気を取り直してここからは
司令曰く……
「調君と切歌君のユニゾンは強力。だからこそ、その分断が予想される。ギアの特性だけに頼るな!いかなる組み合わせであっても歌を重ねられるように心を合わせるんだ!」
とのこと。
確かに切歌と調のユニゾンは強力だ。
それもファウストローブを纏ったカリオストロとプレラーティを撤退させるほどに。
だがそれは既に敵にも知られている。
次に奴らが攻めてきたとき、切歌と調が分断されることを危惧した司令は、他のペア同士でもユニゾンができるようにその精度を上げる訓練を課したのだ。
確かに愚者の石の効果でイグナイトは使用することができるようになった。
だがそれだけで勝てるほどパヴァリア光明結社は甘くない。
奴らのファウストローブはイグナイトをも凌駕しているのだから。
だからこそ、イグナイトとユニゾンの効果を合わせれば、奴らに勝つことは理論上は可能となる。
だが所詮は理論上である。
その可能性を少しでもあげるために装者達はペアを変えてトレーニングに取り組むのだ。
俺達はというと実戦形式でそれぞれのペアの相手となる。
主に俺、なのは、フェイトの三人が仮想敵として立ち塞がる。
はやては接近戦は苦手なので今回は見学だ。
そして訓練を始めることになったのだが、一つだけ言いたい。
なんで俺はいつまでも黒天女姿のままでいないとダメなんですかねええぇぇ!?
俺が司令との模擬戦を終え、黒天女姿を解除すると、外野からブーイングが飛んできたのだ。
「もっと見たい!」とか、「あと少しだけ、あと少しだけデェス!」とか、「もうちょっと……ほんのもうちょっとだけ」とか。
外野からの強い要望により、もう少しだけこの格好でいなければならなくなったのだ。
まあ、なんだかんだ言いつつ、スピリッツシルエットの試運転ができるのはこちらとしてもありがたいのだが。
「甘い!お二人とも動きが段々と雑になっていますよ!そこをつかれると、致命的な隙になりますっ!!」
俺はクリス&マリアのペアの攻撃をかわすと、隙を突いて
それを食らい二人は吹き飛んでいく。
スピリッツシルエットを発動させているため、パワーも跳ね上がっている。
「くそったれ。容赦ねぇな……」
「はぁ……はぁ……はぁ。氷の錬金術で近距離、中距離、遠距離すべてに対応できるからか、全く隙がない。それにファウストローブで冷火自身のパワーも跳ね上がってる……」
二人は膝を付いて息を切らせる。
さすがに最初からそううまくはいかないか。
俺は感じたことを言う。
「お二人とも互いに遠慮しすぎです。合わせるとはそういうことではありません。お互いの動きを常に感じとり、臨機応変に動くのです」
「頭じゃ分かっちゃいるんだがよ……」
「中々上手くいかないものね……」
二人が珍しく弱音を吐く。
ふむ。
二人には常日頃からお世話になっているし、恩返しも兼ねてここは俺が一肌脱いでみるか。
「仕方がありません。少し荒療治になりますが、アイスメイク……
そう言いながら、俺は
二人は突然のことに目を点にする。
「「ヘ?」」
「安心してください。この攻撃を食らっても多少痛い程度です。ではお二人とも、今から
俺は良い笑顔で言う。
時間がないのだ。
ここはリニス式訓練法でやるしかない。
「すこ~し辛い訓練になりますが、これを乗り越えたとき、互いに嫌でも合わせられるようになっていると思うので……頑張って乗り越えて下さいね?」
そのときのクリスとマリアのひきつった顔は記憶に新しい。
そしてトレーニングルームからは二人の叫び声が木霊するのだった。
安心しろ二人とも。
俺の時の方がもっとキツかった(白目)。
ちなみに他のペア(翼・調チーム、響・切歌チーム)にもしっかりと同じ目に合ってもらいました(ゲス顔)。
こんな感じで一通り装者達に付き合い、彼女達を色んな意味でボロボロになるまでしごいた。
その甲斐もあって、僅か一日で装者達のコンビネーションは格段に良くなった。
あとこれだけは言っておく。
決して八つ当たりじゃないよ(目そらし)。
◆◆◆
訓練の翌日、エルフナインの尽力のおかげで強化版のシンフォギアが遂に完成した。
そしてこの日は、右足の義足治療のために来日していたステファン少年と、その姉のソーニャ氏が日本からバルベルデ共和国に帰国する日でもある。
二人は帰る前にクリスに面会を求めてきたのだ。
クリスとその付き添いとして翼がバルベルデ大使館で彼らと会うこととなる。
だがそんな時に限って、何かが起こるものだ。
そこにカリオストロとアルカノイズが強襲してきたのだ。
次回、カリオストロとのバトル。
原作よりも激しくなる予定ですはい。
では、また(・∀・)ノ