最近、飲み物の消費量が半端ないです。
夏やべえ。
では、どうぞ(*´・∀・)つ
ヒエンside
チュンチュンチュン………
爽やかな朝陽…
小鳥の鳴き声が小さく響く中、俺は目を覚ます。
「ふわあ~」
ねみいー
結構遅くまで動き回ってたからなぁ。
昨日のジュエルシードの思念体との戦いのあと俺はなのはを高町家まで送っていった。
家に着いた直後、恭也君に襲撃されるとは思わなかったが…。まぁ、鍛えていたおかげでなんとか回避できたわけだが。どおりで家に近づくにつれて超直感が警鐘を放っていたわけだ。超直感がなければ俺は今ごろ高町家で朝を迎えていた気がする。
good job超直感。( ゚Д゚)b
そのあと慌てて止めに入った美由希さんのおかげで恭也君は治まってくれた。曰く、こんなに遅く帰ってきたのは、なのはに何か不埒なことをしたのではないか?という考えが頭を巡ったそうだ。
そう考えると既に体が動いていたそうな。
いや怖えぇよ!
このシスコンが!!
それに俺はそんなことをするように見えるのかと軽く絶望していると、今までシュンとしていたなのはが一言。
「お兄ちゃん……遅く帰ってきたなのはが言うのもなんだけど……暴力はいけないと思うの」
その一言を受けた恭也君が沈んだ。
送ってきたのが善意の第三者であったら完全に暴力事件に発展してるからね。ということを懇切丁寧になのはは、恭也君に説明していた。
そんな光景を俺、美由希さん、ユーノは苦笑しながら見ていた。余談だがユーノは無事高町家で引き取られた。
そして俺はなのはを送ったあと我が家に帰ってきたというわけである。お人好し集団の高町家の面々が泊まっていけと何度も言っていたが、丁重にお断りさせてもらった。
だってやることあったし。
なのはの家を出たあと、俺は槙原動物病院へと向かった。病院につくと周りは荒れ放題であった。壁が欠けていたり、地面にヒビが入っていたり、電柱が傾いていたり…。
唯一救いなのは、回りにはまだ人がいないことか。
そんな考えを巡らしつつ俺は念のために結界魔法を使う。その後、別の魔法も発動させる。
すると周りの景色が徐々に戻っていく。俺が発動したのは修復魔法と呼ばれるもので魔力を媒介に壊れたものを元に戻す魔法だ。完全に壊れたものも直せないわけではない。が、その分魔力を多く消費する。今、壊れているのは一部だけなので問題はない。
だが病院を直すのは少しだけにしておく。遠くからパトカーの音が響いてきたからだ。
おそらく誰かが通報したのだろう。それに直しすぎても不自然だ。
そろそろ帰るか…
俺は転送魔法を使い自宅へと帰宅した。
◆◆◆
翌日…
俺は眠い目をこすりながら、魔法の訓練をしているいつもの高台へと向かう。
そこへ着くとまずは簡易的な結界を貼って人が入ってこないようにする。
「さて、やるか」
俺が今からやる訓練は死ぬ気の炎の性質を変えるというものだ。死ぬ気の炎には、剛(ごう)の炎と柔(じゅう)の炎の二つがある。
簡単に言えば剛の炎は威力が高くコントロールが難しい炎であり、柔の炎は威力は低いがコントロールしやすい炎である。
俺は普段、死ぬ気の炎をコントロールするため柔の炎を使っている。だが生半可な攻撃で通用しない敵などと遭遇した場合、柔の炎だけでは厳しいこともあるだろう。そこで剛の炎の出番だ。この炎に変えるだけでも攻撃力は上がる。
「ヒッツセットアップ」
俺はセットアップする。それと同時に死ぬ気モードになる。
今まではバリアジャケット纏ってから死ぬ気の炎を発動させていたが、それだと戦闘などの時に支障をきたす恐れがあるため、今はバリアジャケットを纏うと死ぬ気の炎も発動するように設定している。
さっそく俺は目を閉じる。こういった訓練はイメージが結構左右するからだ。そして脳内で蝋燭をイメージする。柔らかく燃える炎から、力強く猛々しく燃える炎へと。
「………」
ユラユラユラ…
大きく燃える炎をイメージする。
ユラユラユラ…
力強く
ユラユラユラ…
猛々しい
ユラユラユラ…
炎を。
そのとき額の炎の燃える勢いが変わる。
メラメラメラ!
よし!!
俺は右手に炎を纏わせる。そしてその勢いのまま地面を殴った。
ドゴオン!
地面が5メートル程陥没した。
ふむ。
軽く殴っただけなんだが前に試したときよりも威力が上がってる。だが魔力の量を上げればコントロールも厳しくなっていくな。魔力運用をもっと鍛えないと。
座禅でもしようかな?
俺は右手の炎を解除する。
「まあ、今はこんなものかな」
そして俺は今度は別の訓練も開始した。
◆◆◆
キーンコーンカーンコーン…
「あぁ~やっと昼飯か~」
四時間目終了のチャイムがなる。今は一時間の昼食タイムとなる。
「ヒエンくん弁当一緒に食べない?」
そこへ同じクラスの美由希さんがやってくる。
「うん。どこで食べる?」
「ここで食べるつもり。亜衣と美羽も一緒だよ」
「了解」
俺は美由希さんの席の近くにいくと、彼女の友人の亜衣さんと美羽さんも既に一緒にいた。
「遅い~ヒエッチ」
「まあまあ亜衣ちゃん落ち着いて~」
俺をヒエッチといった女性が佐藤亜衣(さとうあい)さん。身長145cmの茶髪ミニマム少女で、性格は明るく社交的である。ショートヘアで活発な印象がある女の子だ。
その亜衣さんを宥めていたのが北 美羽(きた みう)さん。身長170cmでスタイル抜群なのほほん少女である。同じく茶髪なのだがロングヘアで落ち着いた印象のある女の子だ。
美由希さんはこの2人とよくつるんでいる。
3人はクラスの中でも、トップクラスに可愛いので男子の間でかなり人気だ。
美由希さんは大人しそうな見た目で文系少女のようであるが、気さくで温厚でしっかりしているし
亜衣さんは背が小さいが、それを補う元気さと活発さがあるし
美羽さんはのほほんとしているが、優しい雰囲気を纏っており皆を支えようとする心の優しい子である。
このまるで性格が違う三人を見ていると漫才みたいで面白いのだが、なぜか美由希さん経由で俺もこのグループに混じっている。誘ってくれるのは有りがたいのだが、おかげでクラス中からの嫉妬の視線で胃が痛い。
「ごめんごめん。遅くなって悪かったよ」
「ぶう~」
亜衣さんが子供のように頬を膨らます。
「そんなことより早く食べよう~私お腹すいちゃった」
「そうだね。私もお腹すいたし、ほら亜衣もいつまでも膨れてないで早く食べよう」
「分かったよぅ~」
2人が宥めてくれたおかげで亜衣さんの機嫌が治った。
良かった良かった。
そして俺は持ってきていたカバンからコンビニで買った弁当とお茶を出す。
それを見た美由希さんが一言。
「またコンビニ弁当?」
「へ?」
「いつもそんなの食べてたら体に悪いよ?ちゃんと食べてるの?」
「食べてる食べてる!こう見えて一人暮らししてるし、料理もある程度できるよ。でも毎日作るのは……ほら……めんどくさいといいますか」
男なら分かってくれる人も多いはず!
毎日作るのは…ちょっときついです。
ラクしたいです。
「そういえばヒエッチ、一人暮らしだったっけ?」
「すごいね~ヒエンくん」
「まぁ慣れだよ慣れ」
最初は厳しいと思っていたが、慣れればそうでもない。掃除や洗濯、料理など全部自分でしなければならないが。
「………」
美由希さんは何か考え事をしているようだ。俺は気にせずコンビニ弁当を食べ始める。
「決めた!」
美由希さんが突如叫び出す。
決めたって何を?
「明日から私がお弁当作ってきてあげる!」
ガタタッ‼
すると後ろの方からイスが倒れるような音が聞こえる。俺は気づかないフリをし会話を続ける。
「えーと、急にどして?」
「だって今はリニス、外国にいってるんでしょ?だからラクしようとしてコンビニ弁当ばっかり食べてるんじゃないの?」
バレトルヤナイカーイ
「なんか面白そう!」
「そうだね~」
すると今まで話を聞いていた二人まで話に混じってきた。
「じゃあ私たちも作ってこようよ美羽!」
「うん。楽しそう!」
ガタタタッ‼
さっきよりもイスの倒れる音が多くなった気がする。
俺は気づかないフリを必死に続ける。
というよりどうしてそうなった!?
「ちょっと待とうか3人とも」
てか本当に待ってくださいお願いします。このままでは俺の胃がストレスでマッハである。
「そんなことをしたら俺が死んでしまいます」
主にクラス中の男子からの物理的視線に。
だが俺のその発言を3人は別の意味で捕らえたようで
「「「ほう…」」」
空気が一瞬で凍った。
あ、地雷踏んだ。
「それはどういうことなのかなヒエンくん~??」
「ヒエッチ?私たちの弁当はそんなに食べたくないってことなのかなあ?」
「まだ食べてもいないのにちょっとそれは失礼じゃないかなあ~」
3人とも笑顔だが目が笑ってない。
気のせいでなければゴゴゴゴ…というオーラまで見える。とりあえず俺ができる行動は一つしかないだろう。
「スイマセンデシタ」
精一杯の謝罪だ。
◆◆◆
「っていうことがあったんだ」
「へぇ~ふ~ん、そうなんだ~」
放課後、俺はなのはとユーノと例の高台で落ち合っていた。なのはの魔法の訓練をするためである。
それはそうとなのはさんや?
さっきから妙に視線が痛いのですが…
ジト目やめてください。
俺がそう言うとなのはは
「はぁ~」
露骨に溜め息をついた。
いや、なんでさ?
「別に深い意味はないよ。ヒエンくんは相変わらずヒエンくんなんだなあって」
え?
それどういうこと?
まるで意味がわからんぞ!
「気にしない気にしない。そんなことより!」
なのははユーノに目配せをする。そして2人はうんっと互いに頷きあった。
2人ともまだ1日しかたってないのに息ピッタリだね。
「ヒエンさん!魔法を使える訳を教えてください!」
「そうなの!」
「ああそういうこと」
まあいつまでも秘密ってわけにもいかんしね。
そして俺は魔法との出会いを2人に話し始めた。
「というわけさ」
俺は2年前に突然、魔法が使えるようになったという呈で話した。勿論、前世の記憶云々は話していない。
「「………」」
「でなのはちゃんは見たことあると思うけどこいつが俺のデバイス。でてこい相棒」
すると俺の頭の上にヒッツがポフンと出てくる。
『ガァウ!』
「ユーノは初めましてだよな?こいつが俺のデバイスのヒート・スピリッツ。通称ヒッツだ」
ヒッツはユーノの姿を確認すると彼に近寄っていく。大きさ的に言えばヒッツはユーノと同じくらいか?ユーノはビクッとなっていたがヒッツは彼の周りをクルクルまわり、鼻をピクピクさせ匂いを嗅ぐ。
そして満足したのか俺の頭の上に戻ってきた。
「えっと?」
ユーノは少しポカンとしていた。恐らくヒッツの行動の意味が分からないのだろう。
「大丈夫だよ。ユーノの匂いを覚えただけだから」
「あ、そうなんですか」
そして俺はさっきから黙っているなのはへと目を向ける。するとなのはは、レイジングハートと何か話していたようだ。
「なのはちゃん?」
「ヒエンくんあのね、もしかしてヒッツってロストロギア?」
「うん?」
そうか。
俺のデバイス、ヒッツは俺の魂から作られた存在。ならばある意味、ロストロギアと思われてもおかしくない。
「うーん、たぶん?」
「た、たぶん?」
「いやそんなこと考えたことなかったから。それにもし、こいつがロストロギアだとしても俺の家族であることに変わりはないよ」
「そうだよね。ごめんね変なこときいて」
「いや別にいいよ。お前も気にしてないだろ?」
『ガァウ!』
「ありがとう2人とも」
なのはは笑顔でそういった。俺とユーノ、ヒッツは優しくそれを見る。
「あ、あとそれともう1つ聞きたいことがあったの!」
「なにかな?」
「あのときの額の炎ってなんなの?」
「あ、それ僕も気になってました!」
あー
そりゃそうだよな。
普通の魔導師なら額に炎を灯しながら戦う奴なんていないもんな。
「あれは死ぬ気の炎っていって俺に宿る能力?みたいなものかな」
「能力?もしかしてレアスキルですか!?」
「レアスキルってなんなのユーノくん?」
「普通の人が持っていない稀少な能力のことを言うんだよなのは」
ユーノは少し興奮気味でなのはに話す。俺は死ぬ気の炎について簡単に説明した。
「死ぬ気モードになると、思考がクリアになったり、炎の出力によって魔法の威力もアップしたりするんだ」
「へぇ~なんだかすごいの~」
なのはが目をキラキラさせながらこちらを見てくる。
まあ今はこれくらいの説明でいいだろう。俺もまだ自分の手札についてはあまりひけらかしたくないし。
「それよりそろそろ魔法の訓練しないか?」
「あ、そうですね!なのは準備できてる?」
「うん。いつでもOKだよ!ね?レイジングハート?」
《その通りです》
「じゃあまずは基本的な説明からするね?」
ユーノの魔法講義が始まった。なのはには基礎的なことから教えている。才能があるとはいえ、まだまだなのはは素人。まずは基礎を固めていかなければならない。
そしてユーノの魔法講義が終わったあとユーノ、レイジングハート、そして俺の3人で話し合った。
ジュエルシードが散らばっているということで時間がないので、長所を伸ばしつつ基礎を固めていくことで決定した。
なのはは射撃、防御の魔法が最も優れており飛行の適性もある。数が少ない典型的な砲撃魔導師である。ユーノが捕縛、補助魔法について。レイジングハートが攻撃魔法、防御魔法について指導する。そして俺はなのはの演習相手となることになった。
だが訓練初日ということで今日は基礎的な魔法の訓練だけだ。
と思っていたのだが…
「わあ~すご~い」
すごい笑顔で飛んでらっしゃいます。
「いくよレイジングハート!」
そしてなのはは杖をかざす。
《シュートバレット》
なのはは初めて使った魔法、シュートバレットを数発放つ。桜色の球体は大きく旋回し、なのはの元にまで戻ってくる。
そしてなのはは、右手を前方につきだし防御魔法を発動させた。
《プロテクション》
桜色のバリアがシュートバレットを防いだ。
《お見事ですマスター。さあ最後の仕上げといきましょう》
「うん、分かった!」
なのはは杖を上空へとかざす。するとなのはの足元に円形の形をしたミッドチルダ式の魔方陣が現れる。
《ディバインバスター》
レイジングハートの先端に桜色の光が集められていく。
「ディバイ~~ンバスターーー!!!」
なのはの代名詞、ディバインバスターが上空へと放たれた。桜色の魔力の残滓がキラキラと舞い落ちる。
す、すごい威力だ…。
俺のフレイムバスターより威力は上かもしれない。
というか優秀なインテリジェントデバイスがあるとはいえ僅か一日でこんなに魔法を使いこなして…そのうえ空まで自由自在に飛ぶとは。
俺、飛ぶのに一ヶ月はかかったんだが。
やっぱりすごい才能だ。
これはウカウカしてられない。
「えへへ。どうかなヒエンくん!ユーノくん!」
なのはが嬉しそうにこちらにやってくる。俺は肩に乗っているユーノと共になのはに賛辞の言葉を送る。
「すごいよなのは!やっぱりなのはには魔法の才能がある!」
「ああ、正直一日でここまでできるなんて思ってなかった。基礎を固めるだけでも格段に伸びると思う」
「ありがとう!」
なのはは嬉しそうだ。褒められて嬉しいのだろう。そこに…
《ヒエン少しよろしいでしょうか?》
レイジングハートが念話で俺に話しかけてきた。
珍しいな…
『どうしたレイジングハート?』
《貴方にお願いがあります》
『お願い?』
《はい。ヒエン、マスターに足りないものは何か分かりますか?》
『ああ、それは圧倒的に実戦経験が不足していることだ。なのはちゃんは才能があるとはいえ、まだまだ原石の状態。そのために俺と実戦形式の訓練をするんだろ?経験を積ませるために』
《はい、そうです。仮想訓練でも経験を積むことはできますが、実戦に勝る経験はありません。なので貴方には徹底的にマスターに勝ってほしいのです》
《徹底的に?》
どういうことだ?
《マスターはまだ魔法の危険性というものを把握できていません》
『なるほど。そういうことか…』
《はい。だから貴方には勝つことでそれを教えていただきたいのです。私はデータに基づいたアトバイスや助言などはできますが、そういった体験などは実際に経験することでしか得られませんから》
「分かった。やるからには全力を尽くすよ」
《お願いします》
つまりレイジングハートは、なのはにこう言いたいのだ。
魔法はテレビアニメや漫画みたいなものではなく、実際に人を傷つける可能性があるということを。
なのははまだ9歳だ。
そんなことを想像しろという方が酷だろう。ユーノは魔法と共に暮らしてきたのかその危険性は嫌でも把握しているだろうが。
俺はユーノにもレイジングハートと念話で話したことを伝えた。ユーノもどうやら同じことを考えていたらしく、賛成してくれた。
まぁ、まずはなのはが基本が出来るようになってからだけど。だがこのペースなら二・三日でいけるだろう。そう考えるととてつもない成長スピードだけどな。
とりあえず俺は簡単に抜かれないように気合い入れていかないとな…
今思えばなのはの世界って、不思議的存在が多すぎる気がする。
ではまた( ・∀・)ノ