大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

最近、『天気の子』のCM見てると、どうも主人公の男の子がSAOのキリト君にしか見えなくなってきてましてね?

作品全然違うけどやっぱりキリト君に似てる気がするっていう。

いや、うん。
ただ言いたいのはそれだけだったので特に意味はないですはい。

さて、気を取り直して今回はvs翼です。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百六十七話 歌い舞い踊る戦姫Ⅷ

ヒエンside

 

 

 

俺は今、街中のど真ん中、正確にはシミュレーターで再現されたS.O.N.Gの訓練スペースにいる。

 

驚くべきはこの世界の技術力の高さである。

 

アースラでも『魔法』を駆使すれば街中などは再現できる。

 

しかしこの世界に魔法は存在しない。

 

その代わり『錬金術』が存在する。

 

この世界の錬金術は『現代の魔法』と呼ばれており、異端技術の一つとして世界各地で秘匿されているらしい。

 

話に戻るがS.O.N.Gの訓練スペースも錬金術によって再現されているのだろう。これも全てエルフナインの尽力の賜物だ。

 

 

「待たせたな」

 

 

すると俺の目の前に一人の女性が現れる。

 

その女性は青髪のポニーテールでスレンダーな美女であった。

 

全体的に細身でスカートから見える細長く綺麗な足も彼女の魅力をより一層際立てている。

 

そんな彼女、風鳴翼は鋭い視線を俺へと向ける。

 

俺は翼に話しかける。

 

 

「いきなり俺と戦いたいだなんて……一体どういう風の吹き回しだ?」

 

 

「なに、昨日(さくじつ)お前の戦う映像を見たとき、私の中の防人(さきもり)としての誇りが触発されてしまってな。何より……私自身一目見たときから大空、お前と全力で戦ってみたいと思っていたのだ」

 

 

「……そいつは光栄だな」

 

 

なぜこんなことになったのか、それは今朝の出来事から語らなければならない。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

「いきますよ!」

 

 

「うおっ!?」

 

 

俺はS.O.N.Gの訓練スペースを借りてリニスと模擬戦を行っていた。

 

リニスの雷が付与された魔力刃をかわし、大きく後方へと飛び退る。

 

そして着地すると同時に右手を向け、炎の銃弾を連射で放つ。

 

 

「甘いっ!」

 

 

だがリニスはそれをかわしながら、右手にもつストレージデバイスを変形させ半分にすると、持ち手が現れる。

 

そして左手に雷が付与された魔力刃、雷の剣(サンダーセイバー)を新たに展開させる。

 

リニスは両手でサンダーセイバーを操り、ヒートカノンを叩き斬っていく。

 

 

「二刀流!?」

 

 

俺は左手も向けて両手でさらにヒートカノンを放つが、リニスの剣撃のスピードもさらに速くなる。

 

まるでどこぞの黒の剣士にも負けぬほどの使い手である。

 

 

「二刀流なんて一体いつ習得したんだ!?」

 

 

「覚えておきなさい!戦いの手札は常に複数用意しておくものです!!」

 

 

「前から使えたってことかよ!」

 

 

俺はこのままでは埒が明かないと知り、速射砲撃ショートバーナーへと切り替える。

 

 

「だだだだだだっっっっっ!!!!」

 

 

だがリニスはショートバーナーをも双剣で切り裂いていく。

 

彼女の展開する魔力刃は薄く鋭い。

 

そのうえリニス自身も武術の達人であるためその力は何倍にも膨れ上がる。

 

 

「ここです!」

 

 

「ちぃっ!?」

 

 

そしてリニスはショートバーナーの僅かな隙をついて高速で俺へと接近する。

 

雷の双剣が俺に迫る。

 

 

形態変化(カンビオフォルマ) 攻撃形態+(モードアタッコ・ピウ) 死炎の両手甲(ドゥミテーナ・ディ・ヒート)!」

 

 

俺は両手の籠手を手甲へと切り替えると、それらの切っ先を受け流していきながら反撃のフレイムアクセルをカウンターで入れていく。

 

が、威力を上手く受け流されているのかダメージは通らない。

 

 

「前にばかり集中していてよいのですか?」

 

 

「なに?」

 

 

すると、急に悪寒を感じたため即座に氷の盾を自分の後方へと展開させると、雷の大剣が刺さっていた。

 

 

雷の大剣(サンダーブレイド)!?」

 

 

「貴方の悪い癖です。目の前に集中しすぎて周りの警戒が(おろそ)かになってしまう。常に周りを見渡すよう注意しなさい」

 

 

「攻撃されながら言われても……なっ!」

 

 

俺はブリッツアクションで身体を加速させて回避に徹する。

 

時にはシールドを設置して斬撃を受け止め、突破してきたものは手甲で受け流しながら弾き飛ばす。

 

そしてこちらも反撃として新魔法で攻撃する。

 

 

吹雪の人形(ブリザードロイド)!」

 

 

すると俺の形を模した氷の人形が十体程現れ、リニスを包囲する。

 

 

「この魔法は見たことがありませんね」

 

 

「新技だ!」

 

 

このブリザードロイドはカテキョーの鈴木アーデルハイドの技をパクったもとい、参考にしたものである。

 

彼女の死ぬ気の炎は『氷河』の属性を持つ。

 

カテキョー原作では自身の戦闘力と同じ氷の人形を五百体操っている。

 

俺の場合僅か十体、彼女の50分の1であるが気にしてはいけない。

 

というか五百体など魔力が持たんわ。

 

 

「いけぇ!」

 

 

するとブリザードロイド達はリニスへと攻撃を仕掛ける。

 

 

「ふっ!」

 

 

リニスが双剣で攻撃することでブリザードロイドの身体が欠ける。

 

だが……

 

 

「欠けた身体が元に戻った?」

 

 

このブリザードロイドには利点がある。

 

それがこの再生力だ。

 

氷の人形であるため攻撃されても一切ダメージはない。

 

現時点では再生力に魔力を費やしているため十体しか出せないが、その魔力が尽きるまで何度でも戦うことができる。

 

他には幻影であるフェイクシルエットは相手を惑わすことが目的であるため三十体が限界で、分身である炎の分身(ファイアイバター)は実体を保つことに重きを置いているので四体が限界だ。

 

それらをうまく操ることで相手を翻弄するのだ。

 

 

「この氷の人形達……地味に厄介ですね」

 

 

「地味言うな!」

 

 

そして本体の俺はというとチェーンバインドでリニスを捕らえようとする。

 

 

「そういうところが地味に嫌らしいのです!」

 

 

「だから地味言うな!」

 

 

ちょっと動きを止めて、その間に皆でリンチしようとしているだけだ!

 

 

「ならば一気に破壊するまで!」

 

 

リニスはチェーンバインドを切り裂くと、二本のデバイスに魔力を纏わせ魔法を発動させる。

 

 

「サンダーレイジ!」

 

 

広域攻撃魔法サンダーレイジでブリザードロイドを全て吹き飛ばす。

 

だがこれでリニスの()()()()()()()

 

 

「はぁあああ!!」

 

 

そして俺は死炎の外套(マンテッロ・ディ・ヒート)を展開させたままサンダーレイジへと突っ込む。

 

リニスは目を見開き驚く。

 

そしてサンダーレイジを突破すると、黒衣のマントを解除し、リニスに炎の拳を放つ。

 

 

「くっ!?」

 

 

リニスが双剣でガードしようとしたところで、俺は拳をピタリと止める。

 

 

「フェイント!?」

 

 

「その通り。くらえ!ヒートバーナーフルパワー!!」

 

 

そして手を開き、零距離で砲撃を放った。

 

 

 

ドォオオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

爆発音が大きく響く。

 

すると煙が晴れ、リニスの姿が確認できた。

 

見たところダメージを受けた様子は見られない。

 

恐らくあの一瞬で防御魔法を発動させたのだろう。

 

リニスは魔力刃を解除すると服をパンパンと払いながらこちらへ近付いてくる。

 

それを見た俺もバリアジャケットを解除し、死ぬ気モードも解く。

 

 

「今のは流石にヒヤッとしましたよ」

 

 

「ヒヤッとしただけかよ……」

 

 

さすがは大魔導師の元・使い魔。

フルドライブを使いこなせてようやく互角かい。

 

 

「大分安定して力が出せるようになってきましたね。これならどんな相手が来ようともすぐにやられることはないでしょう」

 

 

「うん」

 

 

「特訓の成果もしっかりと出ています。超直感は安定していますし、戦闘後の疲労なども特に見られません。今の貴方ならオーバードライブもしっかりと使いこなせるでしょう」

 

 

「え?じゃあ!?」

 

 

「はい。オーバードライブの使用を許可します」

 

 

「おお!」

 

 

「ただし!今までと違い長時間の活動を目的としているので、エネルギー出力に制限(リミッター)をかけています」

 

 

「リミッター?」

 

 

「はい。防衛システムであるナハト自身が貴方のリミッターになることによって強すぎる力の反動を抑えているのです」

 

 

「な、なるほど」

 

 

「ですが気を付けてください。今の貴方ではフルパワーは持って10分。それ以上の使用は身体を壊してしまいますのでくれぐれも使用は控えて下さい」

 

 

「分かった」

 

 

「とはいってもナハトの許可がなければ外せない仕様になっていますが……」

 

 

「そ、そうなのか……」

 

 

だがオーバードライブが遂に使えるのだ。

 

これほど嬉しいことはない。

 

実を言うと、この世界に来るちょっと前にナハトによってオーバードライブの改良は既に終わっていた。

 

最後の仕上げとしてリニスと相棒、フィリス先生らがチェックしてくれたことによって遂にオーバードライブシステムが完成したのだ。

 

後は俺がそれを使いこなせるだけの器があるかどうかの確認だけであった。

 

それが今日の模擬戦である。

 

そもそも俺のオーバードライブは簡単にいえば、Strikersの大人なのはのブラスターモードのようなものだ。

 

彼女のオーバードライブも限界を超えた強化を目的としたものとなっている。

 

大人なのははブラスターを三つのリミッターをかけることによって使いこなしていた。

 

段階的に解放することでエクセリオンモードと同等以上の出力を得ることが可能なのだ。

 

まあ三つ目のリミッターは反動が凄まじく後遺症も残る程であったので、Strikersの最終決戦で一度使用されてからは使われていない。

 

さすがに俺は後遺症が残る程の強化は考えていない。

 

死ぬ気の炎で魔法強化もできるし、下手な強化は身を滅ぼすだけだ。

 

つーかそんなことしたらリニスとフィリス先生に殺される。

 

 

「す、すごおぉぉぉぉいい!!!!」

 

 

そのとき大きな声が響く。

 

視線を向ければ入り口に装者達となのは達がいた。

 

そして大きな声を出したと思われる響が俺の方へと勢いよく近付いてきた。

 

 

「ヒエン君凄いよ!思わず手に汗握って見ちゃったよ!!」

 

 

「うん、興奮してるのは分かったから、まずは離れようか」

 

 

っていうか文字通り汗かいてる手を握られてんだけど!?

 

あと近い!良い匂いする!!

 

 

「朝から騒がしいと思って様子を見に来てみれば……」

 

 

「あんな心踊る戦いをしていたとはな!私も防人として負けられん!!」

 

 

「そういうことじゃねえよ!?」

 

 

クリスと翼が朝から漫才をしている。

 

仲がよろしいことで。

 

 

「見応えあったデース!」

 

 

「うん。凄かったよね」

 

 

切歌と調がこちらにキラキラした視線を向けてくる。

 

ちょっと照れる。

 

 

「魔導師同士の戦いには少し興味があったけれど、想像していた以上に迫力があるわね。なのは達も模擬戦はよくするの?」

 

 

「はい!暇があればよくしてます!!」

 

 

「模擬戦は自分の足りない物を自覚するのに最適なんです」

 

 

「私もなのはちゃんとフェイトちゃんによく相手してもらってます~」

 

 

マリアとなのは達も仲良く話している。

 

はやてに至っては昨日の件もあったから心配していたのだが、どうやら杞憂だったようだ。

 

あと響よ。

そろそろ離れてくれない?

 

 

『ヒエンさん、リニスさん模擬戦お疲れ様です』

 

 

そのときエルフナインの声が響く。

 

彼女にはオペレーターとして模擬戦のデータ取りをしてもらっていたのだ。

 

 

『データは取れましたのでOKです。ヒエンさんはこの後フィリス先生の整体があるのですぐに受けに行って下さい』

 

 

「却下で」

 

 

『えぇ!?きゃ、却下ですか!?』

 

 

エルフナインの驚く声が響く。

 

 

「いやだってあの人、笑顔で両手ベキボキならしながら迫ってくるし。見る人が見れば新手の変態と勘違いするほどの迫力があるんだぞ?」

 

 

『でもフィリス先生は良い人です!僕、フィリス先生にマッサージしてもらってから身体の調子がすこぶるいいんです!だからヒエンさんも絶対受けた方がいいですよ!!』

 

 

「いや俺の場合、マッサージじゃないから。整体という名の人体実験だから。だってあの人の整体受けてたら身体から骨中の音が鳴り止まないんだぞ?」

 

 

ずっとゴキゴキボキボキいってるんだぞ?

 

 

「それに足ツボマッサージなんぞ受けようもんなら激痛で痛いのなんの。それを見てるフィリス先生なんて恍惚な表情して笑ってるし。あのロリ先生絶対Sだよ」

 

 

整体受けるようになってから気付いたけどフィリス先生って筋肉フェチなのよな。

 

 

「うん。あんな変態チックな性癖があるから未だに彼氏の一人もできないんだなきっと」

 

 

「余計なお世話です!あと私は彼氏ができないんじゃありません!あえて作らないだけです!!秘技、矢沢家秘伝笑いのツボ!!」

 

 

「!?」

 

 

するとフィリス先生が俺の背後に急に現れる。

 

これはあれか!?透明化(インビンジブル)というやつか!?

 

そして俺は首元のツボを押され……

 

 

「ふはははは!あははははははははは!!なんだこれ……笑いがとまら……あははははははははは!!」

 

 

笑いが止まらなくなった。

 

っていうか超直感で感知出来なかったぞ。

 

たぶん喋るのに夢中になってたせいで気付けなかったか。

 

死ぬ気モードなら普通に対応できてた筈。

 

 

「響ちゃん、そのままヒエン君を医務室まで連れてきて下さい」

 

 

「は、はい!」

 

 

そして俺は響に連れられながら医務室へと連行されてしまった。

 

ちなみに他の面子はこの様子を唖然と見ていたそうな。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

フィリス先生の地獄の足つぼマッサージと、整体を乗り越えた俺は響と共に艦内を歩いていた。

 

昼飯を一緒に食べていたのだ。

 

今は自由時間なのか各々好きなように過ごしている。

 

そして今は彼女の親友についての話を聞いていた。

 

 

「でね?未来(みく)ってね、料理もできるし勉強もできるし、そのうえ気遣いもできる滅茶苦茶良い子なんだー。自慢の親友で、私にとっての陽だまりだからねー」

 

 

「ヘエェー。ソウナンダー」

 

 

嫁ですね分かります。

 

番組でも公式認定されてるしね。

 

だがその惚け話を延々と聞かされるこちらの身にもなってほしい。

 

無性にブラックコーヒーが欲しいです。

 

しかしこの子、ことあるごとに俺に関わろうとしてくるのはなぜなのだろう?

 

もしかして俺のこと好きなの?

 

いやないな。

 

まだ会って数日しか経ってないのにそんな簡単に人を好きになる訳がないだろう。

 

それに響に手を出せば嫁の393が黙ってないから。

 

下手したら物理的に殺られちゃうから。

 

 

「日本に帰ったら私達の町を案内してあげるよ!」

 

 

「お、おう。できれば美味しいご飯屋とか教えてもらえるとありがたい」

 

 

外食好きなんです。

 

 

「任せて!こう見えてもグルメには自信があるんだよ!私の行きつけのお好み焼き屋さん教えてあげる!!」

 

 

フラワーですね分かります。

 

フラワーというのは、シンフォギア第一シリーズと第二シリーズに出てきたお好み焼き屋さんである。

 

そこの店主であるおばちゃんのお好み焼きが大変美味しそうなのだ。

 

そして二人で歩いていると前から翼がやってきた。

 

翼は俺達に気付くと話しかけてくる。

 

 

「おお、立花に大空、丁度良かった。探してたんだ」

 

 

「どうかしたんですか翼さん?」

 

 

「午後から大空達の歓迎会をしようということになってな。今、皆で手分けして準備を行っている所なのだ」

 

 

「そうだったんですか!」

 

 

「ああ。今、雪音達が会議室で準備をしているから立花もそこへ向かってくれ」

 

 

「分かりました!じゃあヒエン君また後でね!!」

 

 

「おうー」

 

 

俺は手を上げて響を見送る。

 

なんというか彼女を一言で例えれば天真爛漫である。

 

あれはモテる。

 

間違いない。

 

そして勘違いする男を増産させる。

 

と、冗談はさておき俺はあることが気になったので、今度は俺が翼に話しかけた。

 

 

「なのは達は何をしてるか知ってるか?」

 

 

「高町達ならエルフナインの研究室にいる。デバイスだったか、それにエルフナインが興味を持ってな」

 

 

「なるほど。デバイスを見せてるのか」

 

 

それになのは達とエルフナインは年が近い。意気投合するのも時間の問題だろう。

 

 

「大空、この後時間はあるか?」

 

 

「うん?全然空いてるけど??」

 

 

翼が何やら神妙な顔で話してくる。

 

どうかしたのか?

 

 

「単刀直入に言う。私と戦ってほしい」

 

 

「は?」

 

 

なにやら空気が怪しくなってきたぞ?

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

という訳で冒頭に至る。

 

話を聞くと、どうやら俺は翼に既にロックオンされていたらしい。

 

俺の戦う姿が防人の自分と被ったようだ。

 

そしてその俺と戦うことで自分の力を確かめたいとのこと。

 

まあ、理屈は分からんでもないが。

 

というかどこからか話を聞き付けた黒服のエージェント達に至っては、トトカルチョでどちらが勝つか賭けている始末である。

 

おい、それでいいのかエージェント。

 

 

『二人とも戦闘準備お願いね』

 

 

「分かりました」

 

 

「了解しました」

 

 

オペレーターの友里さんから放送が入る。

 

 

「セットアップ、スピリットフォーム改」

 

 

俺はバリアジャケットへと換装し、死ぬ気モードとなる。

 

そして翼もシンフォギア、天羽々斬(アメノハバキリ)を構え、聖詠を唱えた。

 

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

 

その瞬間翼は、青を基調とした装甲を纏っていく。

 

脚部にはスラスターのようなものがついており、高速戦闘を前提とした装備なのだろう。

 

そしてその手には翼のアームドギアであろう長い日本刀があった。

 

 

「ふっ!はあ!!」

 

 

翼は日本刀を振るいながら鮮やかに決めた。

 

 

「…………」

 

 

俺はその光景に思わず見惚れてしまう。

 

っていうか常々思っていたのだがシンフォギア装者って格好がエロくね?

 

しかも全員が美少女であるから、正直言って目のやり場に困るのだが。

 

翼に至っては美脚だし。

 

 

「む、どうかしたのか?」

 

 

「……いやなんでもない」

 

 

すると俺がジッと見ていたのに気付いたのか翼が話しかけてくる。

 

 

『ふふふ。ヒエン君も男の子ねぇ』

 

 

だが友里さんには声音からしてバレテーラ。

 

俺は首をブンブンと振り、頬を叩く。

 

パチンッといった音が響く。

 

意識を切り替えろ。

 

 

『二人とも準備はできたみたいね。それじゃいくわよ……模擬戦開始!!』

 

 

「風鳴翼ッ!いざ、推して参る!!」

 

 

「大空氷炎……受けて立つ!!」

 

 

そして模擬戦が始まった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

先手は翼からであった。

 

 

「はあっ!!」

 

 

日本刀に青いエネルギーを纏わせるとそのまま一閃。

 

斬撃が俺へと迫る。

 

それを俺はラウンドシールドで受け止める。

 

 

 

ガキンッッッ!!!!!!

 

 

 

甲高い音が響くが翼の攻撃を防ぐことに成功する。

 

 

「♪~」

 

 

すると翼は歌い始め、刀を振るい斬撃の連撃を繰り出してくる。

 

そしてラウンドシールドを破壊してしまう。

 

それと同時にこちらへと突っ込んできた。

 

俺は後ろに下がりながら翼の攻撃をかわし、その動きを分析していく。

 

 

(刀の切り返しが早い。少しでも気を緩めればすぐにやられる)

 

 

シグナムにも負けず劣らずの腕の良さだ。

 

俺と年はそう変わらないのに既に達人クラスといっても過言ではない。

 

俺は両手から炎を噴射し、真上へと飛ぶ。

 

 

「上へ飛んだ!?」

 

 

そしてビルの壁に足をつけると、立ち止まっている翼へとストレートバーナーを放つ。

 

すると翼は刀を変形させ、大剣を構えると上へと斬撃を放った。

 

 

 

蒼ノ一閃(あおのいっせん)

 

 

ストレートバーナーと、蒼ノ一閃が激突し爆発が起こる。

 

辺りが煙に包まれている間に俺はある魔法を発動させる。

 

 

「人数が増えた!?」

 

 

俺はフェイクシルエットを使い、幻影を15体呼び出し、翼へと攻撃を仕掛ける。

 

それと同じく周囲に50発の幻影の魔力弾を設置し、放った。

 

 

「はあ!!」

 

 

「くっ!?」

 

 

翼は大剣で魔力弾を切り裂こうとするが、幻影であるためすぐに消える。

 

 

「消えた……幻影か!?」

 

 

その間にも俺の幻影体、幻影弾が翼を翻弄していく。

 

 

「ならば全て破壊するまで!」

 

 

すると翼は大剣を掲げ、エネルギーを収束し、真上へと放った。

 

 

 

千ノ落涙(せんのらくるい)

 

 

上空から大量の剣が具現化し、広範囲で落下していく。

 

するとその剣に当たった全ての幻影が消えていく。

 

 

「ちっ!?」

 

 

それは翼に攻撃を仕掛けようとしていた俺にも及ぶ。

 

思わず俺は立ち止まり左手を上げてラウンドシールドを展開し、ガードする。

 

迫る剣群はまさに上空から降る千の涙の様であった。

 

 

(だがそれ単体の破壊力は大したことはない!)

 

 

しかしそれ故に俺の居場所が翼にバレてしまう。

 

 

「そこか!」

 

 

翼は短刀を取り出すとこちらへと放つ。

 

俺はそれをかわすが突如、身動きがとれなくなる。

 

 

「なに……動けない……だと!?」

 

 

見れば俺の影に短刀が刺さっていた。

 

 

 

影縫(かげぬ)

 

 

 

「忍法・影縫い……捕らえたぞ大空!」

 

 

すると翼はアームドギアを上空へと投擲(とうてき)すると跳躍し、アームドギアを巨大化させるとそのアームドギア事、俺へと蹴り飛ばしてきた。

 

 

 

天ノ逆鱗(てんのげきりん)

 

 

 

巨大化されたアームドギアが俺へと迫る。

 

その大きさはフェイトのバルディッシュ:ザンバーフォームいや、ヴィータのグラーフアイゼン:ギガントフォルムに匹敵する程の大きさであった。

 

 

「おおおおお!!」

 

 

俺は咄嗟に全方面に氷のトゲを展開すると刺さった短刀を吹き飛ばす。

 

 

「……っ動ける!」

 

 

すると身体の金縛りは解け、動けるようになる。

 

見れば巨大アームドギアはすぐそこまで迫っていた。

 

もう防御や回避が間に合うタイミングではない。

 

 

(なら迎撃するしかない!)

 

 

形態変化(カンビオフォルマ) 攻撃形態(モードアタッコ) 死炎の手甲(ミテーナ・ディ・ヒート)!」

 

 

俺はエネルギーを最大限にまで収束させると技を放った。

 

 

灼熱の加速(バーニングアクセル)!」

 

 

 

ドガァアアアアアアンン!!!!!!

 

 

 

両者の技が激突し、大爆発が起こる。

 

 

「くっ!?」

 

 

「ぐわっ!?」

 

 

翼と俺は吹き飛ぶ。

 

が、俺はグローブで姿勢を制御すると爆発の中を突っ込み、空中にいる翼の元へと突貫する。

 

そして炎のパンチを放った。

 

 

「この爆発の中を突っ込んで!?……ぐっ!?」

 

 

翼は俺の攻撃を刀でガードするがそのまま吹き飛んでいく。

 

そして俺は追撃として新魔法、ヒートスマッシャーを放った。

 

このヒートスマッシャーはストレートバーナーの上位互換であり、エネルギーをさらに一点集中させることで攻撃力を上げた砲撃魔法だ。

 

 

「ぐあぁ!?」

 

 

ヒートスマッシャーを食らった翼は地面へと吹き飛んでいく。

 

煙が晴れると、膝をついている翼の姿があった。

 

俺が彼女に追撃できたのは機動力の差だ。

 

彼女達、シンフォギア装者は基本的に()()()()()()としている。

 

しかし身動きの取れない()()()()()()()()()()ようだった。

 

基本的に空戦魔導師は空中戦に慣れている。

 

その差であった。

 

しかし彼女とて幾度もの戦場(いくさば)を駆け抜けてきた防人。

 

多少の差などものともしないだろう。

 

だが俺とて今まで幾度もの戦いを乗り越えてきた。

 

そう簡単に勝ちを譲る訳にはいかない。

 

俺は膝をつく翼に敢えて強めの言葉を投げ掛ける。

 

 

「どうした翼?お前の強さはその程度なのか?だとしたら……この俺に勝つことはできないぜ」

 

 

「はぁ……はぁ……言ってくれる!」

 

 

すると翼の目に鋭さがさらに宿る。

 

 

「確かに機動力は大空、貴方の方が上かもしれない。だが戦いはそれだけではない!何より……我が身は常在戦場の意志の体現!この程度で諦める程、柔ではない!!」

 

 

そして翼は力強く告げた。

 

 

 

 

 

 

「防人の生き様、覚悟を見せてあげる!その姿、貴方の胸にしかと焼き付けなさい!!」

 

 

 

 

 

 

翼は胸についてるシンフォギアのマイクユニットの両サイドに装備された2()()()()()()()()()()()

 

 

「おい……まさか」

 

 

俺はその光景を見て冷や汗をかく。

 

そして翼はある機能を発動させた。

 

 

「イグナイトモジュール!抜剣ッ!」

 

 

《ダインスレイフ》

 

 

するとシンフォギアから電子音が鳴ると翼は胸元からギアを取り外し、天に掲げる。

 

ギアは空中で静止し、続いて翼の胸へと刺さる。

 

 

「はぁあああ!!」

 

 

そのまま翼は黒と青を基調とした邪悪な目のような紋様が入ったアーマーを纏う。

 

見た目だけでも鋭く攻撃的なフォルムである。

 

 

(やはりイグナイトか!?)

 

 

イグナイト……正式名称はイグナイトモジュール。

 

その仕組は極悪な呪いを持つとされる魔剣ダインスレイフの欠片をシンフォギアに組み込むことで圧倒的な力を得ることができる。

 

敢えて呪いを発動させることで暴走状態とし、それを意志の力で制御することで莫大なエネルギーのみを引き出すのだ。

 

これが初登場したのがGXのときであり、当時苦戦していた自動人形(オートスコアラー)や、黒幕であるキャロルですら圧倒した戦闘力を発揮している。

 

 

「いくぞ!」

 

 

そして強化を終えた翼はこちらへと攻撃をしかける。

 

 

(さっきより格段に早い!?)

 

 

 

蒼ノ一閃(あおのいっせん)

 

 

 

俺は額の炎の質を柔から剛へ切り替えると、迎え撃つ。

 

咄嗟にクロスガードで斬撃を受け止めるが、吹き飛ばされてしまう。

 

 

「ぐおっ!?」

 

 

(剛の炎でも受け止めきれないだと!?)

 

 

「くらえ!」

 

 

そしてこちらへ接近していた翼が追撃をしかける。

 

 

「風鳴る刃、輪を結び、火翼を以て斬り(すさ)ぶ。月よ、(きら)めけ!」

 

 

 

風輪火斬(ふうりんかざん)月煌(げっこう)

 

 

 

翼は二刀を連結させ、青い焔を纏ったアームドギアを回転させると、そのまま一閃した。

 

 

「があ!?」

 

 

俺はその攻撃を食らい、大きく吹き飛ぶ。

 

さらなる追い討ちとして蒼ノ一閃が放たれた。

 

俺は防御する間もなくそのまま壁へと激突し、うつ伏せに倒れる。

 

 

「ごほっ……ごほっ……なんてパワーだ。さっきと違いすぎる……」

 

 

俺はなんとか起き上がる。

 

数発食らっただけなのにもう息が上がっている。

 

 

「はぁ……はぁ……イグナイトモジュール……凄まじいパワーアップだな」

 

 

「本気を出せ大空。お前に奥の手があることは既に分かっている。でなければ……今の私に勝つことはできないぞ」

 

 

「……さっきの仕返しか?だが確かにその通りだ」

 

 

そして俺はあの機能を……

 

オーバードライブを使うことを決意した。

 

 

「使わせてもらうぞナハト。オーバードライブ……スピリッツフォーム改!」

 

 

 

ドォオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

すると俺を中心に激しい魔力流の嵐が吹き荒れる。

 

俺は黒コートを身に纏うと目の前にいる翼を睨み付ける。

 

確かに以前に比べてオーバードライブの出力は制限されていた。だがイグナイトにはこれでも十分渡り合える。

 

 

「いくぞ!」

 

 

「こい!」

 

 

そして俺達は高速で激突する。

 

 

「おぉおおおおおおお!!」

 

 

「はぁあああああああ!!」

 

 

俺の炎の拳と、翼の刀が激突する。

 

市街地の真ん中でぶつかり合った影響で大きなクレーターができた。

 

 

「おらあ!」

 

 

「はぁあ!」

 

 

翼の刀を受け流し、蹴りを放つ。

 

逆に翼は刀を変形させ、小刀の二刀流で迎え撃つ。

 

基本的に素手と刀では刀の方が有利だが、逆に接近しすぎると刀は不利になる。

 

翼もそれを分かっているのだろう。

 

だから短刀に変えたのだ。

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

翼の斬撃が俺を捉える。

 

しかし俺も負けじとブリッツアクションを発動させて翼の後ろへと回り込むと、背中を思いっきり殴った。

 

 

「くっ!?」

 

 

一進一退の攻防を繰り広げる。

 

そして何度目かの激突をした後、互いに距離を取った。

 

 

「「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ」」

 

 

俺は翼に話しかける。

 

 

「つ、翼……そろそろ決着をつけないか?」

 

 

「そ、そうだな。私のイグナイトももう限界が近い。決着をつけよう」

 

 

どうやら彼女も同じ事を思っていたようだ。

 

 

「なら互いの最強技で決めよう」

 

 

「望む所だ」

 

 

そして俺は心の中にいるピッツを手甲へと憑依させる。

 

 

形態変化(カンビオフォルマ) 死炎の手甲(ミテーナ・ディ・ヒート)ver Sera」

 

 

「♪~」

 

 

翼も歌を歌い、刀身へとエネルギーを収束させていく。

 

それは今までの歌と何かが違っていた。

 

もしや絶唱というやつなのかもしれない。

 

思いきったことをする奴だ。

 

 

「いくぞ!」

 

 

「こい!」

 

 

互いに駆け出した。

 

 

「「いざ、勝負!!」」

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待ちなさああああああぁぁぁああああああぁぁぁぁい!!」

 

 

 

 

 

 

だがマリアの一喝によって俺達の模擬戦は容赦なく中断された。

 

 

「マ、マリア!?」

 

 

あ、そういえば歓迎会あるんだった。

 

すっかり忘れてたよ。

 

そしてそこから翼と俺、双方共にやりすぎだと怒られたのは当然の帰結であった。

 

ちなみに俺と翼の模擬戦は記録されていたので後で皆で見返すらしい。

 

あと歓迎会の料理は美味しかった。

 

特にケーキが美味しかったですマル。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

「ってなことがあってね?」

 

 

「そ、そんなことがあったんだ……」

 

 

現在、響は親友の小日向未来(こひなたみく)に今回のことについて報告していた。

 

バルベルデ共和国であったときのことや、パヴァリア光明結社の錬金術師のことと、異世界の来訪者達のこと。

 

そして未来は響の話を聞いていて驚いたことが一つだけあった。

 

 

(あの響から……あの響から……男の人の名前が出た……!?)

 

 

その人物は異世界から来た一人の少年らしい。

 

年は響より一つ上の高校三年生。

 

響曰く、ハチャメチャな人。

 

だが気のせいでなければ響は実に楽しそうにその人物の話をしている。

 

未来としては気が気でなかった。

 

突如として親友から語られる謎の少年の存在が浮上したのだから。

 

だがこれだけは言える。

 

響は少なからずその少年のことを意識している。

 

 

「今度、ヒエン君に街を案内してあげるって約束したんだ~」

 

 

「ねぇ響、私もその案内についていってもいいかな?」

 

 

「ほえ?うん!全然いいよ!二人でヒエン君を案内してあげよう!!」

 

 

(それにしても、もう名前で呼んでるなんて……よっぽど意気投合したのかな)

 

 

「私も早くそのヒエンさんに会ってみたいな~」

 

 

(色んな意味で……ね)

 

 

「あははは。良い人だから未来もきっとすぐに仲良くなれるよ!」

 

 

「そうだといいな~」

 

 

(響は私が守らなきゃ!まずは、そのヒエンさんがどんな人かを見極めないと。もしも、もしも響に害を及ぼすような人だったら……)

 

 

未来はある決意をする。

 

 

(どんな手を使っても……響の貞操は……私が守る!!)

 

 

勘違いを加速させる乙女がここに爆誕した。

 

少年の明日はどっちだ?

 




次回は……ううむ。
パヴァリア光明結社の局長出せたら出したいです。

では、また(・∀・)ノ

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