大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

今回は最後に予想外の事実が。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百五十六話 努力する才能

第三者side

 

 

 

その日翠屋は大騒ぎであった。

 

突如、少年と美沙斗が模擬戦をすると言い出したからだ。

 

元々、少年の周りの者達は何かイベント事があれば全力で取り組む。

 

よって翠屋が臨時休業になることも当然の帰結であった。

 

 

『聞こえるか恭也、美由希。今からお前達には私とヒエン君の模擬戦を見てもらう。そしてこの模擬戦で私はある技術を使用する。それをその目にしかと焼き付けろ。完成された御神の剣士の力を……見せてやろう』

 

 

「ある技術って……なんだろうね恭ちゃん?」

 

 

「さあな。だが美沙斗さんのことだ。普通の技術でないことは確かだろう」

 

 

美由希と恭也が話す。

 

その他にもたくさんの者達が今か今かと模擬戦の開始を待ちわびていた。

 

なのは、フェイト、はやて、アリシア、アリサ、すずかの六人娘はもちろん士郎、桃子、居候のフィアッセにバイトに来ていた忍も空中展開されたモニターを見ていた。

 

ちなみに既にフィアッセも少年が魔導師だということは知っている。(恭也と美由希が事前に説明した)

 

 

「だ、大丈夫かなヒエン?美沙斗ってかなり強いよ?」

 

 

「大丈夫です!ヒエン君は誰にも負けません!!」

 

 

なのはが力強く答えたが、隣にいるフェイトが不安そうに言った。

 

 

「……でもヒエン、最近調子悪いよ?私達との模擬戦でも実力出し切れてないみたいだし」

 

 

「う、うぅ……それはそうだけど」

 

 

なのはも思い当たる節があるのか力なく項垂れる。

 

 

「いや、大丈夫だろう」

 

 

だがそれに答えたのは恭也だった。

 

 

「あいつの目を見てみろ」

 

 

そこには美沙斗を力強く睨み付ける額に炎を灯した少年の姿があったからだ。

 

 

『ほう、それが話に聞いていた死ぬ気モードというやつか。本当に額に炎がつくんだね』

 

 

『ええ、それだけ俺も本気だということです。悪いですが美沙斗さん、女性だからといって手加減はしませんよ』

 

 

『ふっ、心配するな。これでも剣士の端くれ、修羅場もそれなりに経験している。言っておくが……私はかなり強いぞ?』

 

 

『……でしょうね』

 

 

「あの美沙斗さん相手に勝つ気満々のようだからな」

 

 

恭也は笑いながら言った。

 

 

『エイミィ合図頼む』

 

 

『はいはーい。それでは二人ともいきますよ?模擬試合……始め!!』

 

 

そして二人は名乗り……

 

 

『時空管理局嘱託魔導師、大空氷炎……いきます!』

 

 

『永全不動八門一派・御神真刀流小太刀二刀術・御神流剣士、御神美沙斗……いざ参る』

 

 

模擬戦を始めた。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

八神家ではヴォルケンリッターの四人が少年と美沙斗の映像を見ていた。

 

映像には少年と互角に戦う美沙斗が映っていた。

 

 

「……信じられない。この人、魔力を使ってないわ」

 

 

「ああ、驚いたことにこの女剣士、素の状態でオオゾラと互角に戦っている。それにまだ本気を出していない」

 

 

シャマルとシグナムが話す。

 

だが気のせいでなければシグナムの目は最高に輝いていた。

 

 

「まだ地球にこれほどの剣の使い手がいたとは……くっ、さっきの駅での戦いといい、なぜオオゾラばかり好敵手に巡り会う!?私も是非手合わせ願いたい!」

 

 

それをアイスを食べながら見ていたヴィータが呟いた。

 

 

「いや、ヒエンも会いたくて会ってる訳じゃねーだろ?あいつ妙に運悪いし」

 

 

それにザフィーラも頷く。

 

 

「……そういう星の元に生まれてしまったのだろう」

 

 

どうやら八神家の中でも少年は運が悪いという認識らしい。

 

 

「そういえばリインフォースはどこいった?」

 

 

「主の部屋の掃除をしているぞ」

 

 

「最近あいつ、エプロンと三角巾姿が妙に似合ってきたよなあ」

 

 

ちなみにリインフォースははやての部屋の掃除をしていた。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

ハラオウン家では少年と美沙斗の模擬戦のデータ収集を行っていた。

 

エイミィとクロノが話す。

 

 

「いやー……魔力もなしにあのヒエン君と互角に戦うって」

 

 

「フェイトの話に寄れば、ヒエンの相手をしている女性はなのはのお姉さんの生みの親らしい」

 

 

「ああー……なんだか訳ありっぽいね」

 

 

「人の家庭環境には首を突っ込むもんじゃないぞエイミィ」

 

 

「分かってるよ。それにしても気になるワードが出たね。『気』と『闘気(オーラ)使い』って」

 

 

「僕達の知らないエネルギー体系か……。それにしてもあの馬鹿は……また何かしらのトラブルに巻き込まれたのか?」

 

 

「どうだろうね?ただテレビの映像に映ってたのは確実にヒエン君だよ?」

 

 

「まあなんであれ、この地球で暮らす以上僕達も関わることがあるかもしれない。データ収集は頼んだぞエイミィ」

 

 

「了解~っと」

 

 

エイミィはキーボードを物凄い早さで打ち込んでいく。

 

どうやら記録を取るのと同時に分析も行っているらしい。

 

その様子を離れたところでリンディとアルフが見ていた。

 

 

「クロノとエイミィ……なかなか進展しないわねぇ」

 

 

「クロノってば奥手だからねぇ」

 

 

違う意味でだが。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

さざなみ寮ではフィリスから連絡を受けたリニスが一緒に模擬戦を見ていた。

 

 

「美沙斗さん、元気そうで良かったですが……相変わらず凄まじい戦闘力です」

 

 

「信じられません。あのヒエンを相手に、それも生身でここまで戦うだなんて……」

 

 

「美沙斗さんは小太刀の達人であると同時に『気』の使い手でもありますから。むしろ私としてはその美沙斗さん相手に一歩も引かない戦いをしているヒエン君にびっくりなのですが」

 

 

「そういえばさっき言っていましたね?闘気(オーラ)使いと」

 

 

「はい。一般には知られていませんが裏の世界には武術を極めた【達人】と呼ばれる者達が存在します。その者達に共通していることが皆一様に『気』の使い方をマスターしているということです」

 

 

「達人……」

 

 

リニスの脳裏に太極拳の基礎を叩き込んでくれた老人の姿がよぎる。

 

 

「『気』の素質は全ての人間にあるとされていますが、その力を使いこなせているのは極一部の人間だけです。その使い手を総じて『闘気(オーラ)使い』と呼んでいるのです」

 

 

「そうなのですか」

 

 

(貴方もその『闘気(オーラ)使い』だったのですか?……師父)

 

 

今はどこかへと姿を消した老人を思い浮かべるリニス。

 

思えばあの老人も人間離れした動きをしていた気がする。

 

ちょっと散歩してくると言えば民家の屋根の上を普通に走っていたし、ちょっと旅行に行ってくると言っていたときも普通に高速道路の車の上を跳び移っていた。

 

 

「…………」

 

 

ふと冷静になって気付くリニス。

 

 

(確実に『闘気(オーラ)使い』ですね)

 

 

とりあえずいつか見つけたときに勝手にいなくなった罰として、サンダースマッシャーを食らわせようと誓うリニスであった。

 

 

「あ、決着がついたみたいです」

 

 

見れば、仰向けに倒れそうになる少年を支える美沙斗の姿があった。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

「うっ……」

 

 

目が覚める。

 

そのとき眠っていたのだと自覚する。

 

そして目を開けた瞬間、こちらをジーっと見つめる12個の視線があった。

 

 

「おやすみ」

 

 

俺は目を閉じた。

 

 

「いやいや、どうして眠ろうとするの!?」

 

 

「まだ眠くて」

 

 

「そんなに眠ったら夜眠れなくなるよ!?」

 

 

なのはがツッコミを入れる。

 

最近この子の立ち位置が安定化した気がする。

 

いいことである。

 

他の皆は俺となのはのやり取りを慣れたような感じで見ていた。

 

そのとき……

 

 

 

グゥー

 

 

 

腹の虫がなった。

 

こんなときでもお腹は減る。

 

 

「ほらもう夕ごはんの時間だから皆で食べよう?」

 

 

「はい」

 

 

俺は起き上がり、移動する。

 

というかいつの間にか高町家に移動されていたようだ。

 

リビングへ行くと皆が揃っていた。

 

見れば美沙斗さんもいた。

 

 

「大丈夫かい?一応、峰打ちだから特に傷痕などは残らないと思うが」

 

 

「大丈夫です。バリアジャケットで保護もしてましたし」

 

 

「魔力というのは気よりも便利なんだな……」

 

 

「まあ使い勝手はいいですよ?」

 

 

美沙斗さんの隣が空いてたので失礼する。

 

机の上には色とりどりの料理が並んでいた。

 

フィアッセさんが来てから高町家の料理のレパートリーが格段に増えている。

 

桃子さんもフィアッセさんの料理の知識を吸収し、フィアッセさんも桃子さんの料理の知識を吸収しているのだろう。

 

お互い切磋琢磨しているようだ。

 

そして料理を美味しくいただいた。

 

 

 

 

 

 

食べ始めて少し経ったとき、美由希さんが話し始めた。

 

 

「それでお母さん、お母さんが言ってた目に焼き付けろって言ってた技術は『気』だったの?」

 

 

「そうだよ。恭也と美由希、二人には『気』の基礎を一ヶ月で叩き込む。私はそのために日本に帰って来た」

 

 

「お母さんが日本に帰って来た理由は分かったけど……でも急にどうして?」

 

 

「……その理由は後で話すよ」

 

 

美沙斗さんは少し声のトーンを落としながら食事を再開した。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

そして食べ終わった後、美沙斗さんがフィアッセさん、士郎さんも交えて理由を話してる間、俺は縁側でゆっくりさせてもらっていた。

 

高町家の庭は綺麗に整っている。

 

それをジッと見ながら考える。

 

 

「…………」

 

 

俺は美沙斗さんに負けた。

 

だが今までとは違う負け方であった。

 

あのときは自分が()()()()精一杯のことをして負けた。

 

全てを出しきったからか負けても清々しかった。

 

 

「不安とか嫉妬とか、そんな()()()()()()()感じてる場合じゃないよな」

 

 

美沙斗さんのおかげで色々吹っ切れた気がする。

 

 

他の皆が優秀だからなんだ?

 

 

「俺は俺でやれることを精一杯やればいい」

 

 

他の皆が天才だからなんだ?

 

 

「凡人には凡人のやり方がある」

 

 

他の皆の方が才能があるからなんだ?

 

 

「それ以上に努力して才能なんてねじ伏せればいい」

 

 

天才とか才能の差とか、嫉妬だとかそんな()()()()()で悩む必要なんてない。

 

 

「俺は俺だ」

 

 

 

パチイィィィィィンン!!!!!!

 

 

 

頬を叩いて気合いを入れる。

 

ただ……

 

 

「いってえぇぇ」

 

 

勢いよく叩きすぎてほっぺが腫れてしまった。

 

 

「あはははははは。君は本当に面白いな」

 

 

すると見られていたのか美沙斗さんが笑いながらやってきた。

 

 

「……話は終わったんですか?」

 

 

「ああ、全て話したよ。()()()についても」

 

 

「そうですか」

 

 

()()()とはもちろん『(ロン)』の支部に攻めいることだ。

 

俺がマフィアの支部に攻めることはなのは達には言ってない。

 

当然だ。

そんなことを言えば反対されるのは目に見えている。

 

だがだからといってこのまま放っておけば、俺を狙っている輩が知り合い達を人質にとってしまうかもしれない。

 

そんなことは絶対に許してはいけない。

 

だから早目にこちらから仕掛ける。

 

 

「……迷いは晴れたようだね」

 

 

「俺が悩んでることに気付いてたんですか?」

 

 

「まあね。戦いを通して不安や、嫉妬、焦燥の感情が伝わってきたから」

 

 

「……そんなことがあるんですね」

 

 

なんというか無性に恥ずかしいぞこの野郎。

 

 

「昔ね、私も君と同じような悩みを抱えていたことがある」

 

 

「美沙斗さんが……ですか?」

 

 

俺は胡散臭げに見る。

 

 

「む……その顔は信じられないって顔だね」

 

 

「あんな超人的な動き見せられれば、そりゃあねぇ」

 

 

ブリッツアクションより早く動くって人間離れな動きしておいて、そりゃねぇっすよ。

 

 

「少し昔話をしようか。君が知ってるかは分からないが、御神流にはもうひとつ流派があるんだ」

 

 

「流派……ですか?」

 

 

「ああ。表を御神流、裏を不破流といって二つの一族で構成されていたんだ」

 

 

「へぇ」

 

 

「それで私と兄さんは不破に所属していてね?昔はよく兄さんにしごかれたものだ」

 

 

美沙斗さんは懐かしむ様に話す。

 

 

「だけど当時から私は物覚えが悪くて、昔の兄さんといつも比べられてた」

 

 

「…………」

 

 

「小さな頃から兄さんは天才だった。私が一週間かけてできるようになった技を僅か一日で修得していたり、既に自分だけの技を作っていたり、私にはできないことをどんどんとやっていたようだ。成長して大きくなって対人訓練ができるようになっても、組手ではいつも負けていたよ」

 

 

まさに今の俺と同じ状況じゃないか。

 

 

「当然、嫉妬だっていっぱいした」

 

 

「…………」

 

 

「だけどある人が言ってくれたんだ。『他人なんて意識するな。お前はお前だろ』って」

 

 

「それって……」

 

 

「私の旦那、静馬さんがそう言ってくれたんだ」

 

 

御神静馬。

 

とらハ3で天才剣士と名高い美沙斗さんの旦那さんである。

 

その強さは士郎さん以上らしいが、美沙斗さんとはどちらが強いのだろうか?

 

まあこの世界じゃもう亡くなっているだろうが。

 

 

「だから私は気にしないことにした」

 

 

「…………」

 

 

「それからは自分の限界を極め続けるためだけに剣を振るい続けた。そのかいあって……ついに目標だった士郎兄さんにも勝つことができたんだよ」

 

 

「そう……だったんですか」

 

 

「ヒエン君、君はまだ若い。またいつか悩む日が来るかもしれない。だが覚えておくといい。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「努力は……裏切らない……」

 

 

「君には君だけの才能がある。それは努力する才能だ」

 

 

努力する才能……。

 

 

「本当にダメなのは何もかも諦めて全てを投げ出してしまうことだ。だが君は悩みながらも努力を続けていた。それは誰にもできることじゃない。君にとって……誇るべきことだよ」

 

 

「……ありがとう……ございます」

 

 

俺は美沙斗さんの言葉が照れ臭く、ついそっぽを向いてしまった。

 

 

「それに私はどうやら君のことがいたく気に入ってしまってね。また悩んでることがあったら連絡して来なさい。できる限り力になろう」

 

 

すると美沙斗さんは懐から何かを取り出す。

 

それは名刺であった。

 

名刺には名前と所属先、連絡先が書いてあった。

 

 

「美由希がお世話になっているんだ。()()()()で力になろう」

 

 

ん?

そのとき俺は美沙斗さんの言葉に()()()()()()()

 

 

「あの、一つ質問しても?」

 

 

「うん?なんだい??」

 

 

「その……旦那さんは今は?」

 

 

すると予想外の言葉が帰って来た。

 

 

 

 

 

 

「今は外国でお母様達と一緒に活動しているが……それがどうかしたか?」

 

 

 

 

 

 

あるえぇぇ!?

 

どういうこと!?

 

一族皆亡くなってるんじゃないのおおおおおおおぉぉぉおぉぉぉ!!!!????

 

俺は予想外の解答につい頭を抱えるのだった。

 




次回は時間が飛んでフィアッセさんのチャリティーコンサート。

(ロン)』からの刺客も次々と送られてくる。

では、また(・∀・)ノ

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