大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

今回はvs氷村遊。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百四十七話 パーティー会場での戦い

第三者side

 

 

 

なのは達はすずかに招待されて新年パーティーに参加していた。

 

参加者はなのは、フェイト、アリサ、はやて、アリシアの五名で、その保護者として恭也と美由希、バニングス夫婦、執事の鮫島も参加している。

 

なのは達はそれぞれドレスアップし、パーティーを楽しんでいた。

 

周りを見渡せば普段テレビで見る芸能人が山のように居り、パーティーに慣れているアリサ以外はただただ圧倒されていた。

 

 

「すごいねフェイトちゃん、はやてちゃん……」

 

 

「う、うん」

 

 

「私、こんなに人がよう居るの初めて見るわ……」

 

 

なのは、フェイト、はやての三人は呆然とその光景を見ていた。

 

 

「フェイホ、フェイホ!ほれすごふおいひいよ!(フェイト、フェイト!これすごくおいしいよ!)」

 

 

訂正、一人だけいつも通りの猛者がいた。

 

フェイトの姉、アリシアは口一杯に料理を頬張り、山盛りの料理を皿に持っていた。

 

それを見たフェイトが焦る。

 

 

「何してるの姉さん!?いつの間にそんなに料理持ってきて……あ、口にいっぱい食べかすがついてる!」

 

 

「アリシアちゃんはいつも通りやなあ」

 

 

「にゃ、にゃはははは……」

 

 

フェイトがアリシアの世話を甲斐甲斐しく焼いている光景を見ながら、苦笑いするはやてとなのはであった。

 

アリサはそんな四人を見て笑っていた。

 

そのとき執事の鮫島が話しかける。

 

 

「お嬢様、奥様と旦那様が挨拶回りがもう少しで終わるので、そのときに合流を……とのことです」

 

 

「分かったわ」

 

 

アリサは鮫島の言葉に頷くと、周囲をそれとなく見渡す。

 

会場の中は人で溢れていた。

 

 

(この中からすずかを探すのは骨が折れそうね……)

 

 

ひとまず側で騒いでいるテスタロッサ姉妹を落ち着かせようとアリサが動こうとしたとき……

 

会場に轟音が響いた。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

さくらと忍はというと、真一郎達と今後の予定について話し合っていた。

 

ボディーガードとして恭也と美由希も付かず離れずの距離でその様子を見守っている。

 

 

「皆さんご協力ありがとうございます。色々手伝ってくれたおかげで今年もなんとか乗り越えられそうです」

 

 

「俺達は料理を用意してるだけだから気にしないでくれさくら」

 

 

「そうだよさくらちゃん。真くんも私も、それに他の皆だってやりたいからやってるだけだし」

 

 

真一郎と小鳥の二人は学生時代から料理が得意であり、大人となった今ではプロと遜色ないほどのレベルとなっていた。

 

真一郎や小鳥の他にも、二人の女性がいた。

 

御剣(みつるぎ)いづみと千堂瞳(せんどうひとみ)

 

二人とも今回の新年パーティーの月村家の屋敷の警備を行っており、今回の責任者のツートップでもある。ちなみに風芽丘学園のOGである。

 

いづみはさくらが個人的に契約している忍者であり、こういったパーティの防衛システムなども一任している。

 

瞳も学生時代は護身道部主将で3年間無敗を誇り、通称「秒殺の女王」として君臨していた。そのこともあって今は警察官、それもエリート上官としてその才を奮っている。

 

さくらは二人に話しかける。

 

 

「いづみ先輩も瞳先輩も今年もご協力ありがとうございます」

 

 

「さくらさんにはいつもお世話になっていますから気にしないで下さい」

 

 

「そうよ。市民の安全を守るのも警察官の義務だもの」

 

 

「瞳先輩も警察官がすっかり板についてきたんですねぇ」

 

 

そこで瞳の後輩である唯子がのほほんと返す。

 

仲良く談笑するさくら達。

 

忍は少し距離を置いてその様子を見ていた。

 

するとあることに気付く。

 

 

「すずかとヒエン君?」

 

 

すずかとその付き人となっている少年がこちらへ向かっていたのだ。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

「あ、いたいた」

 

 

俺は氷村がいなくなった後、奴の伝言を伝えるためにすずかと共にさくらさんを探していた。

 

忍さんも一緒らしく俺達はゆっくりと近寄っていく。

 

他にも見知った顔がたくさんいた。

 

さくらさんと忍さんのボディーガードをしている恭也君と美由希さん。

 

数日前に知り合った真一郎さんに、小鳥さん。そして俺の担任である唯ちゃん先生もいた。

 

中には初めて見る人もいる。

 

青髪でポニーテールの可愛らしい女性と、緑髪のストレートヘアーの綺麗な女性がいた。

 

真一郎さん達と一緒にいるということはこの二人も関係者と見ていいだろう。

 

恐らくだが、この二人もとらいあんぐるハートに出てきたヒロインの一人だと思われる。

 

俺達の存在に気付いたのか忍さんが手を上げる。

 

 

「どうしたの二人とも?」

 

 

「お姉ちゃん……」

 

 

「すずか?」

 

 

忍さんはすずかが少し俯いていることに気付くと、視線を合わせるために屈む。

 

 

「何かあったの?」

 

 

「うん……実は」

 

 

そこですずかは説明する。

 

先程、氷村遊という男性が接触してきたこと。氷村に言われた伝言を伝えるためにさくらさんを探していたことを伝えた。

 

すずかの話に表情を強張らせる面々。

 

どうやら全員、氷村遊については知っているらしい。

 

 

「サプライズを用意しておいた……一体どういう意味なのかしら?」

 

 

さくらさんはアゴに手を当て考える。

 

 

「さあ、でもあいつの事だからあまり良くない事は確かだと思うよ」

 

 

「彼、一体何を企んでいるのかしら」

 

 

真一郎さんが神妙な面持ちで呟き、緑髪の女性も考え込む。

 

 

「氷村さん、今年はこのパーティーに来たのね……」

 

 

そんなとき俺は唯ちゃん先生の様子がおかしいことに気付く。

 

 

「唯ちゃん先生?」

 

 

「大丈夫唯ちゃん?」

 

 

俺と美由希さんが声をかけると彼女は苦笑しながら答えた。

 

 

「あ、ごめんね。大丈夫!ちょっと過去にあの人と色々あっただけだから」

 

 

とらいあんぐるハートは正直記憶がおぼろげなのであまり覚えていないが、確か唯ちゃん先生は氷村にレイプまがい、襲われているような描写があった気がする。

 

 

「…………」

 

 

そう考えるとちょっとイラッとしてきた。

 

あの野郎、今度会ったらビッグバンアクセルを叩き込んでやろうか。

 

 

「まあとにかく氷村が何を企んでいるのかは分からないけど、全員気を引き締めていきましょう」

 

 

さくらさんの言葉に俺達は頷く。

 

すると恭也君と美由希さんが話しかけてきた。

 

 

「調子はどうだヒエン?」

 

 

「執事服よく似合ってるね~」

 

 

「おっす二人とも。調子はまあボチボチ。執事服はもう流石に着なれたからな」

 

 

俺は服装を正す。

 

 

「今日は大物達が勢揃いしている。こういうパーティーでは万が一ということもある。要心しておけよ」

 

 

「何か起こったら、まずはすずかちゃんと自分の安全確保ね。突拍子のない行動はとっちゃダメだよ?」

 

 

「お、おう」

 

 

二人が忍さんと話しているすずかちゃんを見ながら話す。

 

経験者としてアドバイスをくれたのだろう。

 

だが美由希さんに関しては少し失礼な気がする。

 

そこらへんは俺だってちゃんと分かってる。

 

これでも嘱託魔導師としてそれなりに修羅場もくぐり抜けているのだ。

 

万が一が起こったらすずか優先で動くに決まってる。

 

そして俺が二人に話そうとしたとき……

 

それは起こった。

 

 

 

 

 

 

ドガァアアアアアアンン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

突如、爆発音が響く。

 

 

「「「「「きゃ、きゃああああああああ!!!!!!??????」」」」」

 

 

いきなりのことに会場はパニックに陥る。

 

 

「こ、これは!?」

 

 

「爆発!?」

 

 

恭也君と美由希さんが忍さんとさくらさんの側に駆け寄る。

 

俺もすずかの元へと駆け寄り、保護しておく。

 

 

「一体何があった!?なにっ!?爆弾!?」

 

 

青髪の女性が無線で状況を把握しようとしている。

 

 

「皆、ここは危険です!早く避難を!!」

 

 

緑髪の女性が避難を促すが、そのときパーティー会場の壁が吹き飛ぶ。

 

爆発がさらに起こり、パーティー会場は炎に包まれる。

 

 

「皆さん落ち着いて下さい!まずは部屋の中央に集まって!警備の人達は参加者の皆さんを誘導して!!」

 

 

さくらさんがマイクを持って指示を出す。

 

パーティー会場は広いため参加者が中央に集まっても余裕はある。

 

参加者はひとまず、中にいる警備の人間の誘導に従って中央に集まり、座り込む。

 

火災が続いているが、屋敷についている火災警報器が作動し、スプリンクラーが発動するので直に火災も治まるはずだ。

 

だがさらに事態は動く。

 

突如、会場の扉から数人の男女と思わしき人達が吹き飛んできたのだ。

 

その人達は屋敷の警護に当たっていた人達であった。

 

 

「大丈夫!?」

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

 

すぐにさくらさんと忍さんが声をかけるが全員気を失っているようだった。

 

そこにヒールの足音が響く。

 

見れば氷村の側に立っていた金髪の女性が会場へと入ってきたのだ。

 

その後に続くように氷村も飄々(ひょうひょう)と会場へとやってきた。

 

 

「ごきげんようさくら。そして久しぶりだな、その愉快な仲間達よ」

 

 

「氷村……遊……っ!?」

 

 

「喜んでもらえたかな?僕からのサプライズは」

 

 

「サプライズって……この騒ぎのことかしら?」

 

 

さくらさんが目を鋭くさせて氷村を睨み付ける。

 

だが氷村はそれを軽く受け流すように話し出す。

 

 

「ああ、そうさ。こんな食事会だけでは味気ないだろう?だから僕が余興としてこのパーティーの参加者に最高のスリルを味合わせてあげようと思ったのさ。どうだい?刺激的な思い出として記憶に残ったんじゃないのかい?」

 

 

「久しぶりにパーティーに参加したと思えば……性格と趣味が悪いのは相変わらずのようね」

 

 

「褒め言葉として受け取っておこう」

 

 

すると真一郎さんが前に出て話し始めた。

 

 

「氷村……あんたは何が目的でこんなことを?」

 

 

「ふん。忌々しい劣等種が。だが今の僕は機嫌がいい。貴様の問いに答えてやるよ劣等種。そんなものは簡単だ。正当な吸血鬼であり純血種であるこの僕が、【夜の一族】の当主、王となるのに相応しいからだ。月村も綺堂も、その他の有象無象も必要ない」

 

 

氷村はとてもイイ笑顔で話す。

 

その笑みはどこか狂喜的であった。

 

 

「ここに【夜の一族】の関係者が集まったのは実に都合が良かった」

 

 

そして奴はとんでもないことを口走った。

 

 

 

 

 

 

「目撃者共々、口封じできるからね。ここで全員……皆殺しだ」

 

 

 

 

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

氷村の言葉に思わず目を見開く面々。

 

そして氷村は右腕を上げるとパチンとならす。

 

すると奴を守るように新たに五人の女性が現れる。

 

 

「あれはまさか!?」

 

 

「自動人形!?」

 

 

忍さんとさくらさんが声をあげる。

 

そいつらはノエルと模擬戦をしたときと同じブレードを装備していた。

 

そしてその中心にいた金髪の女性もブレードを展開させる。

 

 

「やれイレイン、レプリカ共」

 

 

「了解しました」

 

「「「「「了解」」」」」

 

 

イレイン、レプリカと呼ばれた者達がこちらに向かってこようとする。

 

それぞれ戦闘経験のある者達が迎撃しようと動き出そうとするが、()()俺が動き始めていた。

 

 

二重捕縛魔法(ダブルバインド)

 

 

俺はチェーンバインド、リングバインドを同時発動させて奴等の動きを食い止める。

 

 

「な、何だ!一体何が起こった!?」

 

 

「謎のエネルギーを感知……動けません」

 

 

氷村達が驚いている間に俺は準備を済ませる。

 

 

「セットアップ、スピリットフォーム改」

 

 

俺はファリンにすずかの護衛を頼むと同時にセットアップすると、グローブから炎を噴射させて真上から奴の元へと回り込む。

 

そしてそのまま奴の顔に横蹴りを放った。

 

 

「ぐわあぁ!?」

 

 

 

ドゴォオオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

そのまま扉奥へと吹き飛んでいく氷村。

 

その間に俺は身動きの取れない自動人形共も同じく扉奥へと蹴り飛ばす。

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

その光景をパーティーの参加者達は口を空けたままこちらを見ていた。

 

一部、俺の正体を知っている者達は額に手を当て呆れていたり、目を輝かせていた。

 

だが奴等を吹き飛ばした俺は厳しい表情をしていた。

 

 

(硬いな……。並の攻撃じゃ効果は薄そうだ)

 

 

すると氷村が目を血走らせながらこちらへと一直線に向かってきた。

 

 

「劣等種が……下等な劣等種が……高貴で華麗な純血種たる吸血鬼のこの僕に……一体何をしたああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!????」

 

 

爪をとがらせこちらへと攻撃する。

 

俺は体捌きでそれらをかわしていく。

 

 

(人間離れしたスピードに、鋭くとがった爪……確かに普通の人間が相手にするには厳しいな)

 

 

だが()()()()()()()()()力不足だ。

 

俺は奴の攻撃に合わせるようにカウンターを入れていく。

 

 

「ぶっ!?」

 

 

そして右手に炎を纏わせ、奴のアゴをアッパーで吹き飛ばした。

 

奴は仰向けに倒れるがすぐに起き上がり、目を赤く光らせ夜の一族としての能力を発動させる。

 

すると周囲の瓦礫が幾つも浮き、真っ直ぐに俺へと向かってくる。

 

 

「念動力か!」

 

 

だがなのはやクロノの射撃魔法に比べれば楽に回避できる。

 

俺は向かってくる瓦礫をパンチとキックで破壊していくと同時に、奴の懐へと潜り込む。

 

これで決めようとしたとき奴の姿が消える。いや、コウモリに変化して逃れたのだ。

 

コウモリの集団が俺へと襲いかかる。

 

だが……

 

 

「そんな単調な攻撃が通じると思うなよ」

 

 

俺はブリッツアクションを発動させてその場から消える。

 

コウモリの集団の後ろ側へと回り込むとホールディングネットを発動させて捕獲する。

 

そしてそのままコウモリ共を床へと叩きつけると、左手を向けて炎の銃弾を連射で放つ。

 

 

「ヒートカノン」

 

 

「ぐぁあああああ!?」

 

 

コウモリに変化していた氷村の姿が元に戻る。

 

奴の姿はボロボロであった。

 

俺はそのまま話しかける。

 

 

「どうした氷村遊?こんな下等で劣等種なクソガキに手も足も出ないか?あんたは高貴で華麗な純血種の吸血鬼なんだろ?」

 

 

「く……くうううぅぅぅ……」

 

 

奴は唸りながら起き上がろうとするがダメージが大きいのか起き上がれない。

 

 

「あんた……今までまともにケンカすらしたことないんだろ?確かにあんたの人間離れした身体能力や吸血鬼としての能力は強力だ。だがな、あんた自身がそれらの能力を扱いきれていないんだよ。まさに宝の持ち腐れってやつさ」

 

 

「だ、だまれえぇぇぇ……か、下等な劣等種が……下等生物が……この僕を見下すなああああぁぁぁぁ」

 

 

「大人しく投降しろ氷村遊。そしてここにいる人達を解放するんだ」

 

 

俺は氷村に投降を進めるが、奴はこちらに顔を向けると笑いだした。

 

 

「く、くくくくくく……何を勝った気でいる小僧。僕はまだ負けていない。そういえば……」

 

 

ここで氷村は倒れながらすずかの方へと視線を向ける。その視線を受けたすずかはファリンの後ろに隠れた。

 

 

「貴様はあの月村の娘の執事だったな。そうだ丁度いい。イレイン!おいイレイン!!」

 

 

 

ゴウッ!!

 

 

 

「!?」

 

 

そのとき凄まじい衝撃が俺を襲う。

 

 

「くっ!?」

 

 

俺は数メートル吹き飛ぶが恭也君と、美由希さんが受け止めてくれた。ダメージはバリアジャケットのおかけでそんなにないが……

 

 

(攻撃が……察知できなかった……!?)

 

 

イレインの攻撃の気配を察知することが全くできなかった。

 

 

「お呼びでしょうか遊様」

 

 

そして吹き飛ばしたはずの金髪の自動人形、イレインが氷村の前に現れる。

 

 

「リミッターを外せ!こいつは……この小僧は、僕にケガを負わせた明確な敵だ!!」

 

 

「遊様の敵……」

 

 

イレインは俺へと視線を向ける。

 

そのとき忍さんが声をあげる。

 

 

「ダメ!逃げなさいヒエン君!イレインは自動人形の最終機体!『自我』を植え付けようと自律回路に重きが置かれたせいで制御が甘いの!だからリミッターを外した途端……暴走する可能性があるわ!!」

 

 

俺は警戒しながら奴を見据えた。

 

 

「了解しました。遊様に傷を負わせたこの男を敵と認定。リミッターを解除後、排除します」

 

 

イレインはこちらを見ながらゆっくりと呟いた。

 

 

「リミッター……解除……」

 

 

そしてしばらく静寂が場を包む。

 

奴はキョロキョロと周りを見渡すと高笑いを始めた。

 

 

「……自由時間…………あははははっっ!!!!」

 

 

狂いだしたかのように笑いだすイレイン。

 

その様子はまるで人間と大差なかった。

 

彼女は粗方笑うと満足したのか氷村へと話しかける。

 

 

「あんたが……私の起動者?」

 

 

「あ、ああ。そうだ」

 

 

氷村もイレインの様子に驚いていたがなんとか返事を返していた。

 

 

「……ありがとう……。永い眠りから起こしてくれて」

 

 

「ふん。礼には及ばん」

 

 

「それにしてもあんた……ふーん……一族なんだ」

 

 

「そうだ。僕は選ばれし夜の一族の純血種だ」

 

 

氷村は起き上がると俺の方へと視線を向ける。

 

 

「さあやれイレイン!あの目障りなクソガキを始末しろ!!」

 

 

俺は来るかと思い身構えたが……全く予想外なことが起こった。

 

 

 

ザシュッ……

 

 

 

「ぐ…………ああ…………っっ!?」

 

 

氷村が音を立てて崩れ落ちる。

 

 

「「「「「きゃあああ!?」」」」」

 

 

なんとイレインが氷村にブレードで斬りつけたのだ。

 

 

「あーらら……起動者を切っちゃった」

 

 

「き……きさまっ……一体なんの……つもりだ?」

 

 

「別にいぃ~、ただあんたみたいなのにこの私が使われるのもなんだか癪だなあって思って。それよりこの状況ピンチよねぇ。そういうわけで……イレイン……『自分の身を守るため』の、自律的防御行動に入りまーす」

 

 

そしてイレインは不敵に微笑みながら左手に展開したブレードを構える。

 

 

「それにしてもあんた、私の噂を知らなかったのねぇ。なんか可哀想っていうか、バカっていうか」

 

 

「噂?」

 

 

俺が呟くと忍さんが答える。

 

 

「さっきイレインは自動人形に『自我』を持たせる研究の粋の成果を集めた最終機体って言ったわよね?だからその……彼女のそれは強すぎて……」

 

 

それが故の暴走という訳か。

 

 

「……私は自由になる。……やりたいようにやる」

 

 

イレインは周りを見渡す。

 

 

「追われたりすると厄介だわ。だから……」

 

 

そして笑いながら言った。

 

 

 

 

 

 

「目撃者は……皆殺しね……」

 

 

 

 

 

 

奴がそう呟いた瞬間、俺は殴りがかっていた。

 

 

 

ガキンッッ!!!!

 

 

 

「っと。いきなり何?あんた見たところ人間みたいだけど、今のパワー……明らかに人間が出せる強さじゃないわよ。それにその額の炎なに?さっきから強いエネルギーを感じるんだけど」

 

 

「そんなことはどうでもいい」

 

 

俺は額の炎の出力を強めながらイレインを睨み付ける。

 

 

「目覚めたところ悪いんだが、お前にはまた眠ってもらうことになる。ここにいる全員を皆殺しにするなんて……流石に見過ごせないんでな」

 

 

「へえー。ただの人間が言うじゃない。じゃあまずは……あんたから始末させてもらおうかしら」

 

 

「やれるものならやってみろ」

 

 

結局俺のやることは変わらない。

 

するとイレインが呟く。

 

 

「来なさい。私の可愛い妹達」

 

 

そのとき五体のレプリカ、イレインに似た自動人形達が奴の隣に並ぶ。

 

イレインが金髪の髪だとすれば、レプリカ達は少し灰色がかった髪である。

 

だがここに来て一対六か。

 

しかもパーティーの参加者を巻き込まないようにしないといけない。

 

俺が後ろにいる参加者について悩んでいると……

 

 

「全く何を一人でやるつもりだお前は……」

 

 

「流石に一人じゃ厳しいでしょ。加勢するよ?」

 

 

「恭也君、美由希さん!?」

 

 

なんと高町兄妹が加勢にきた。

 

 

「私達もお供します」

 

 

「皆が楽しんでるパーティーを台無しにしたんです!許せません!!」

 

 

「ノエル……ファリン」

 

 

月村家のメイド姉妹に……

 

 

「このパーティーの責任者として私も加勢させてもらうわ。それにあんなのでも私の兄だから。身内の起こした落とし前……ここでつけるわ」

 

 

「さくらさんまで……」

 

 

なんとさくらさんも加勢に来てくれた。

 

俺は言った。

 

 

「皆、ありがとう。じゃあ皆にはレプリカ達の相手をしてもらいたい。その代わりイレインの相手は俺がする」

 

 

「任せておけ」

 

 

「任せて」

 

 

「お任せ下さい」

 

 

「任せて下さい!」

 

 

「任せなさい」

 

 

恭也君と美由希さんが両手に小太刀を構え……

 

ノエルとファリンが両腕からブレードを展開させ……

 

さくさらんは夜の一族としての能力を発動させたのか目が赤くなる。

 

 

「No1からNo5はあいつらの相手をしなさい。私はあの炎のガキンチョを始末するから」

 

 

「「「「「了解しました」」」」」

 

 

レプリカ達も両腕からブレードを展開させ、イレインも左手のブレードを構えると同時に右手に鋼鉄性のムチを展開させる。

 

それを見た俺もグローブに炎を灯し、構えた。

 

 

「それじゃ……いくぞ!!」

 

 

そしてそれぞれの相手と激突した。

 




それぞれ自動人形相手に奮闘する主人公達。

そんななかイレインに苦戦する主人公。

だが彼女にはまだ秘められた力があった。

では、また(・∀・)ノ

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