次回に持ち越しです。中途半端にプロローグ終了するとなんか変な感じになったので一応区切りとして卒業させました。
あと、当初は主人公プロローグでは中学2年生でしたが、そうすると原作開始時には高校1年生になってしまうので、勝手ながら中学3年生に変更しました。原作開始時、美由希は高校2年生だったはずなのでどうしても矛盾するので…。
では、どうぞ(*´・∀・)つ
ヒエンside
桜がヒラヒラと舞い落ちる。
俺は私立聖祥大学付属中学校まで続く道をゆっくりと歩く。俺がこの中学に転校してきて早いものでもう1年が過ぎた。
そう。
今日は卒業式である。
◆◆◆
普段は海外にいる両親だが、今日は俺の中学の卒業式ということもあって父も母も学校に来る。
リニスも両親とは既に何回か会っている。2人とも女の子が欲しかったことがあったのか本当の娘のように接している。それに倣ってリニスもお父様、お母様と呼んでいる。最初は少し不安ではあったが仲が良さそうでホッとした。
まぁ、初めて2人に会わせたときに俺がリニスに何かいかがわしいことしたんじゃないのかとか、つい年頃だからやることやったんじゃないのかとか、色々勘違いされたけど…
その時の両親の誤解を解くのは中々大変だった。だってまともに話聞こうとしないんだぜorz
慰謝料がどうのこうのまで出てきたときには本気で焦った。俺は両親からそんなに信用がないのかと絶望し、その日枕を涙で濡らしたのを覚えている。。・゜・(ノД`)・゜・。
まあそんなことはさておき…
両親にはリニスのことを遠い親戚だということにしている。身寄りがなかったのを俺が一緒に暮らそうぜ!と保護したみたいな感じに言っといた。書類方面の問題は、いつもの万能ヒッツさんに任せて偽造しました。
まあなんだかんだありながら今日のこの日を迎えた訳だ。
俺が過去のことを思い返しながら歩いていると、聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。
「ヒエンく~ん」
この声は美由希さんだな。
「おっす。美由希さん」
「おはようヒエンくん」
俺たちは互いに挨拶しあう。今ではすっかり馴染みの光景である。俺はタマに美由希さんと一緒に登校している。通学中に会ったときなどに限るが。
「いや~早いものでもう卒業だねえ」
「うん。なんかあっという間だったよ」
「そうだねえ」
そう考えると何か感慨深いものがある。
「でも高校も同じだし、またよろしくねヒエンくん」
「うん。こちらこそよろしく美由希さん」
俺は卒業したら風芽丘学園(かぜがおかがくえん)に進学する。
この風芽丘学園は俺の前世であった恋愛ゲーム、とらいあんぐるハートに登場する高校である。俺も数回プレイした程度なので細かいことは覚えていないが、かなりの超人達が在籍していた高校だったと思う。
吸血鬼、忍者、超能力者、霊能力者、妖怪、巫女、暗殺者などなど。っていうか今さらながらすげえなこの高校!?よくこんなに凄い奴等が集まってるな!?
あれ?
でも、今思えば俺も魔導師ってやつだからある意味仲間入りしているのでは?
………うん。
考えるのやめよう。
ちなみにパンフレットを見たところ偏差値が高く、スポーツが強い県内では有名な学校と書いてあった。
「そういえば今日なのはから聞いたんだけど、卒業式終わったあとに翠屋でパーティーするんだって」
「そうなんだ?」
「だから今日は卒業式終わっても少し待っててね?」
え?
俺もいっていいの?
「俺も参加していいの?」
「当然でしょ!アリサちゃんやすずかちゃん、忍さんも来るみたいだし」
「わかった。あ、父さんと母さん、リニスもいっていいかな?」
「全然大丈夫だよ。私、ヒエンくんのご両親1度見てみたかったんだ~」
「いや、何を期待してるのか分かりませんが普通の両親だからね!?」
そんな会話をしながら俺達は学校へと向かっていった。
◆◆◆
俺達3年A組は列をくみながら体育館を行進する。男女別の出席番号順で並ぶため、俺は男子の列の前から2番目だ。名字が大空(おおぞら)だから必然的に前の方になる。ちなみに1番目は相田君(あいだくん)という少年であり、俺は彼と友達である。タマに一緒にゲーセンに遊びにいったり、ファミレスにご飯を食べにいったりなど仲良くさせてもらっている。
話は戻るが、行進しているときにチラリと保護者席の方を見ると父と母、リニスの姿があった。その隣には士郎さんと桃子さんの姿もあった。
どうやら一緒に固まっているようだ。っていうかいつのまに仲良くなったんだか…。たぶん、リニスが紹介したんだろうけど。
すると俺が見ているのに気付いたのか母とリニスが小さく手を振ってくる。父はデジカメを持ってこちらを撮影していた。俺は苦笑いしながら小さく手を振りかえし、前を向く。そして行進を続け、自分の席についた。
しばらく待っていると、3年全員がそろったのか司会の先生が開会の挨拶を始めた。
ヒエンside end
◆◆◆
リニスside
私は今、ヒエンの中学校の卒業式に来ています。彼は少し緊張した面持ちでしたが、まあ大丈夫でしょう。
隣にはヒエンのお父様とお母様、高町夫妻がいらっしゃいます。
それにしても…
早いものであれからもう半年も経つんですね。
私が消えかかっているところを救ってくれたヒエンは…命の恩人です。その恩を返すために私は彼を鍛えていますが半年前に比べ使える魔法も増え、随分強くなりました。まあ、まだまだ私には敵いませんが。
今、私はとても幸せです。こんなにも穏やかに日々を過ごせて。時の庭園にいたときも幸せでしたが…心残りがひとつ。
フェイト…アルフ…そしてプレシア…
フェイトはちゃんとご飯を食べてるでしょうか?アルフはしっかり勉強してるでしょうか?
プレシア…
今でも研究を続けているのでしょうか?どうせまた無茶をしながら研究室にこもっているのでしょうね…。
「リニスちゃんどうかしたの?」
私が考え込んでいるとお母様が話しかけてこられました。
いけない。
私はすぐに何でもないように振る舞う。
「いえ、大丈夫です。少しボーっとしてただけですので」
「そう?辛くなってきたらいつでもいってね?」
「そうだよ?無理だけはしちゃいけないよ?」
お母様は優しい笑顔で私に声をかけ、お父様も構えていたデジカメを戻して私に声をかけてくれる。本当に優しい人達だ。だから突然やってきていた私のことも受け入れてくれたんでしょうか?本当に似た者同士の親子ですね。
「はい。ありがとうございます」
そして私は前を見る。丁度ヒエンが檀上に上がる所だったようです。
「お、ヒエンが卒業証書受けとるみたい!バッチリ撮らないと!」
お父様が卒業証書を受けとるヒエンをデジカメで撮り始めました。
悩むのはまた今度にしましょう。
今はヒエンの卒業式をしっかり見守らないとですね。
リニスside end
◆◆◆
ヒエンside
無事卒業式も終わり、俺は今翠屋へと向かっている。いや俺達かな?俺の後ろでは大空家と高町家の面々が楽しそうに話している。
そういえば、父さんと母さんのことを紹介していなかったのでここで軽く説明しておこうと思う。
父さんの名前は、大空海炎(おおぞらかいえん)。全国、いや世界を飛び回る敏腕商社マンだ。ちなみに外国語も複数話せる。
そして母さん。名前は大空氷夜(おおぞらひよる)。父を支えるために一緒についていく肝っ玉母さんである。ちなみに父さんとは職場恋愛だそうだ。
軽く説明したが俺は前世の記憶を取り戻したとき、2人の写真を見たときに驚いたことがあった。2人は誰かに似てるなぁ~とずっと考えていた時期があった。
2人とも似ていたのだ。
前世の世界であったマンガ、家庭教師ヒットマンREBORN!の主人公沢田 綱吉とヒロイン笹川 京子に。
もう気付いたときには空いた口がふさがらなかった。息子の俺から見ても、父さんと母さんは美形だ。
父さんは勇気があって優しいし、腕っぷしも強い。それに度量も大きいし俺のことを認めてくれている。
母さんは少し天然な所はあるけど優しくいつも俺のことを支えてくれる。そういえば最後まで俺の一人暮らしに反対してたしな。俺が引く気がないと分かってしぶしぶ下がってくれたけど。
そんな俺達大空家と、高町家の面々は歩いているが道行く人々が、こちらを二度見している。
そりゃそうですよね。
高町家も負けず劣らず美形な人ばっかりですもん。っていうか両家の夫婦のイチャイチャオーラが半端ない…
あー
無性にブラックコーヒーが欲しいぜorz
そんなこんなで翠屋にたどり着く。
そして一番先頭にいた俺がお店のドアを開けた。のだが開けた瞬間に、腹部に強烈な衝撃が迸った。
「グフッ!?」
悶絶してしまいそうな痛みが俺に襲い掛かる。呻き声を出してしまったがなんとかこらえ、後ろに倒れることだけは阻止する。
そしてこの出来事に何度か遭遇しているので心当たりのある人物に声をかけた。
「こ、こんにちは…な、なのはちゃん」
「ヒエンくんいらっしゃいなの!」
毎度ドアを開けるときに警戒しているのだが、このなのはの抱きつき攻撃だけはいつまでたっても慣れない。
「もう皆来てるから座って座って!」
なのはは俺の手を取り、奥の席へと案内する。そして何やら後ろから生温い視線を感じたので見てみると…
両家の親がニヤニヤしながらこっちを見ていた。
俺はとりあえず見なかったことにし、案内された席に座る。すると父さん、母さん、リニスがこちらにやってきた。
「元気な子だなあ」
「ふふっ。かわいらしいね」
父さんと母さんが話しかけてきた。
「なのはちゃんのこと?」
「あの子、なのはちゃんて言うんだ。うん、可愛い名前だね」
母さんがニコニコしている。あ、これ…なのはのこと大分気に入ったみたいだ。
「確か初めての友達でしたっけ?」
リニスが話を振る。
「友達?」
「うん。俺が丁度こっちに引越してきて数日たったころかな。公園でなのはちゃんと知り合ったんだ」
そして俺はなのはと知り合った経緯を皆に話した。
「へえぇ~じゃあお互いに初めての友達ってわけだ」
「うん」
「そのようなことがあったのですね」
「いい子と知り合ったんだね~」
「まあ、それからは高町家の皆さんにはよくしてもらってるよ」
「ヒィくんの一人暮らし、どうなるかちょっと心配だったけど…これなら大丈夫かな?」
母さんが俺に心配げな顔を向けるが、すぐに笑顔になる。
「それにリニスちゃんもいるしね?」
話を振られたリニスは少し驚いていたが表情を引き締める。
「お任せください。私はヒエンの家庭教師です。しっかり教育しておくのでご安心下さいお母様」
「ふふっ。リニスちゃんになら任せて安心だね」
「はい。これまでどおり逐一、連絡は致しますので」
この2人は話が合うのか仲が良い。母さんとリニスの2人で買い物などにもよくいっていることもある。
「ヒエン」
俺が母さんとリニスの話しているのを見ていると父さんが話しかけてきた。
「うん?なに?」
「すまない。お前の側にいてやれなくて」
「何いってんのさ?俺のワガママで一人暮らしまでさせてもらってるのに」
そうだ。
俺のワガママを聞いてもらってるのに、怒られこそすれ謝られるのは違うはずだ。
「そうじゃないよヒエン。俺が言いたいのは本来なら、家族は一緒に住むものだってこと。だけど俺の仕事で母さんも父さんも外国にいるからヒエンには辛い思いをさせてるなって」
「仕事なら仕方ないよ。確かに淋しいときもあったし、しんどいときもあったけど大丈夫だよ俺は。リニスもいるし一人じゃないし。それに頼りになる友人もいっぱいいるしさ」
「そうか」
父さんは俺に優しげに笑いかける。これは納得してくれた…のかな?
「それにこいつもいるし」
俺はかばんからヒッツを出す。
「ガァウ」
「ヒッツもヒエンのことよろしくたのむな~」
父さんはヒッツを優しく撫でる。ヒッツはガウウウ~といいながら気持ち良さそうにしている。っていうか本当に撫でられるの好きですねヒッツさん。
「ヒッツちゃんこっちおいで~」
母さんがヒッツに呼び掛ける。ヒッツは母さんのところにトテトテと近寄り、膝の上で丸くなり寝てしまった。
「あらら、寝たか」
まあ今は春だからポカポカで気持ちいいもんな。
あ、ちなみに遅くなったがヒッツのことは俺が拾った猫ということにしている。母さんも父さんもヒッツを本当に可愛がっている。今ではすっかり我が家のマスコットだ。
「皆さん~」
しばらく家族で話していると翠屋に女性の声が響き渡る。
声の主を見てみると恭也君のガールフレンドの月村忍さんがマイクを持ちながら注目を集めていた。ちなみに忍さんとは、翠屋ですずかちゃんと話しているときに知り合った。
「今からヒエンくんと、美由希ちゃんの卒業記念パーティーはじめまーす。主役の二人は中央にきてくださーい」
え?中央?
とりあえず行ってみるか。
俺が中央にいくと美由希さんは既に来ていた。忍さんは俺達2人が来たことを確認するとマイクを手渡す。
「じゃあ主役の2人から何か挨拶よろしく。まずは美由希ちゃんから」
「あ、はい。えーと、今日はこのようなパーティーを開いてもらってありがとうございます。えと、高校いっても色々頑張っていくのでこれからもよろしくお願いします」
美由希さんは挨拶を終えるとペコリとお辞儀をし、そしてマイクを俺に渡してきた。俺はそれを受けとる。
…が
何を言えばいいか全く考えてなかった。
…どうしよう
おおう…
こっちを期待の眼差しで見ている小学生3人組の顔がつらい。っていうかなんで恭也君と忍さんはニヤニヤしてんですかねえ!?俺が上がり症なのを知ってこうしたのか!絶体確信犯だなこのやろう。
とりあえず俺はこの状況を打破するため話し始める。
「え、えー本日はお、お日柄もよく、えーこのような盛大な、パーティを開催していただき、ま、誠にありがとうございます。えー、高校でも色々がんばっていくのでよ、よろしくお願いしましゅ!」
…………やっ、やっちまったあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!
最後の最後で噛むってどうよ!?
幼稚園児でもこんなミスしねえよ!!
チラリと周りを見回してみると、なのはは俯いて笑いを我慢し、アリサは大笑いしている。すずかは苦笑している。そして両親二人も苦笑していた。リニスに至っては念話でファイトです!と送ってくる始末である。他の皆様からも同情的な視線が痛かった。
俺は無言で少し笑いを我慢している忍さんにマイクを渡した。
「ふふふっ。まあ面白いものも見れたし、それじゃ乾杯といきましょうか!皆さん、グラス持ってください。それじゃヒエン君と美由希ちゃんの卒業を祝ってカンパーイ!」
「「「「「「カンパーイ!」」」」」」
こうして翠屋での卒業記念パーティーが始まった。そこから俺は翠屋の全メニューを焼け食いしたのは言うまでもない。
◆◆◆
翠屋での卒業記念パーティーも終わり、俺は自宅のマンションへと帰ってきた。かなり飲み食いしたのでお腹も満腹だ。
父さんと母さんは、高町夫妻そしてリニスとまだ飲むようで居酒屋へと向かっていった。俺はまだ学生ということもあって月村家の車で先に送ってもらったというわけである。
俺は自分の部屋に戻る。そして荷物を置くとなぜか夜風を無性に浴びたくなったので窓を開けた。冷たい風が俺の頬を冷やしてくれる。
いよいよ高校1年生だな。なのはも今年で小学2年生となる。原作開始は確か、なのはが小学3年生の4月だったはずだ。つまり原作開始まであと1年しかないわけだ。
俺は原作に備えて力をつけてきた。
なんのために?
それは勿論死なないためだ。
だがそれ以外にも俺にはこの海鳴市で過ごすに当たって考えていたことがある。
それは悲劇を食い止め、原作以上にハッピーエンドにすること。
勿論、俺一人でできることなんてたかが知れているだろう。原作以上にハッピーエンドにすることなど並大抵のことではできないはずだ。むしろそれ以上にひどくなる可能性だってあるかもしれない。
だが俺はそれでも物語を見ていてどうしても納得できない部分があったのは確かなのだ。
これは俺のワガママだ。だから後悔しないためにも今以上の努力をして力をつけなければならない。
そのためにも俺の力の源、死ぬ気の炎の力をもっと使いこなせるようにならないといけない。
幸いにも俺には頼りになる相棒もいるし、鍛えてくれる家庭教師もいる。これ以上とない環境だ。
俺はヒーローにはなれない。
だけど大切な人達を守れる強い男にはなりたい。
「ヒッツ」
「ガァウ」
ヒッツが俺の肩に現れる。
「相棒、俺はもっと強くなる。だからこれからも力を貸してくれるか?」
「ガァウ!」
「ありがとな」
俺は海鳴市の夜景を見ながらもっと強くなることを誓うのだった。
次回から本当に原作開始どわああああ!!!!!!!ε=┌(;・∀・)┘