大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

254 / 394
どうも(゜▽゜*)
続きやっとかけたで候。
ただ文字数が三万超えたっていう。

ちなみに文字数過去最高ですorz
長すぎてヤベェです。
61話丸々ダイジェストで入れたらそんなになってしまいました。

誠に申し訳ない。

あ、あと『遊☆戯☆王』と『賭けグルイ』のコラボ小説、『遊☆戯☆王~賭けグルイな物語~』を投稿したので興味あればぜひ( ̄ー ̄)

といってもまだ一話だけですけど。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百四十一話 クリスマスパーティー 後編

ヒエンside

 

 

 

皆が映像に釘付けになっているのでさらに流していく。

 

映像の俺はプリキュアの三人に連れられ、植物園へとやってきた。

 

そこで互いに自己紹介し、情報交換を行う。

 

少女達は中学二年生の花咲(はなさき)つぼみ、来海(くるみ)えりか、明堂院(みょうどういん)いつきと名乗る。

 

彼女達は『プリキュア』と『砂漠の使徒』について説明をし、俺は自分が魔導師と呼ばれる存在であること、並行世界の地球からやってきたことを伝えた。

 

『プリキュア』と『砂漠の使徒』の戦いは約400年前から続いており、三幹部と呼ばれる者達、デザトリアン、サバーク博士にダークプリキュアについても教えてくれた。

 

そして俺はつぼみの家『花咲フラワーショップ』にて居候としてお世話になることに決まる。

 

つぼみの父親にしてお店の店長である花咲(はなさき)陽一(よういち)さん。

 

つぼみの母親である花咲(はなさき)みずきさん。

 

そしてつぼみの祖母であり、植物園の園長である花咲(はなさき)薫子(かおるこ)さんには大変お世話になった。

 

そこから一週間、特にこれといったトラブルもなく花屋を手伝いながら穏やかな日常を過ごす。

 

しかし、ここで予想外なことが起こる。

 

 

『見つけたぞ』

 

 

仕事終わりに駅に立ち寄るとダークプリキュアと邂逅してしまったのだ。

 

 

『サバーク博士はお前を危険視している。突如現れ……この私を策に嵌めたのだからな。それに貴様には聞きたいことが山ほどある。悪いが貴様のようなイレギュラーには……早々に退場してもらおう』

 

 

俺は奴を連れ、海で戦った。

 

思っていた通り、ダークプリキュアの強さは一線を画していた。

 

強化形態フルドライブを使うことでようやく互角に持ち込めたのだから。

 

俺と奴の一進一退の攻防にモニターを見る皆の目は釘付けになっていた。

 

 

『貴様……最初戦ったときよりパワーやスピードが格段に上がっているな。力を隠していたのか』

 

 

『それはお互い様だろうが。お前もまだ力を隠してるんだろ?』

 

 

そこから互いの必殺技を繰り出すが、引き分けに持ち込まれてしまった。

 

ダークプリキュアは撤退していったが、これを皮切りに俺は『砂漠の使徒』との戦いに巻き込まれることになる。

 

三幹部のサソリーナ、クモジャキー、コブラージャとも邂逅を果たす。

 

だが俺はハートキャッチプリキュアの面々と協力することによって奴らを撃退することに成功していた。

 

そんなとき俺は四人目のプリキュアと出会う。

 

キュアムーンライト……月影ゆりだ。

 

彼女と知り合ったのは初めてコブラージャを見たときだ。

 

そのころは丁度いつきのパートナー妖精ポプリが家出してしまったときだった。

 

ポプリが知り合ったまゆかちゃんという小さな女の子のお母さんがデザトリアンにされてしまったのだ。

 

偶々そこに居合わせた俺は、デザトリアンを相手にしながら時間稼ぎに徹していた。

 

巨大な氷のゴーレムを創作することで対抗していた。

 

そしてなんとか奮闘したこともあって、コブラージャ共々撃退することに成功。

 

なんとか解決に至る。

 

まあその後に繰り広げられた俺とゆりのパンツのくだりや、唐突に始まった戦いには冷ややかな視線と、呆れた視線をいただいた。

 

だが気のせいでなければ高町兄妹、特に美由希さんの目が輝いていた気がする。

 

まあ、ゆりって変身前でもかなり強いしな。

 

っていうか日々鍛えている俺と互角以上の強さってちょっと自信無くすぞこの野郎。

 

そしてその後のつぼみに膝枕をされている俺を見た……特に女性陣、母さんと桃子さん達母親勢はニヤニヤしながらこちらを見ていた。

 

逆になのは達はムスッとした表情でこちらを見ていた。

 

なんだか無性にやりづらいのでさっさと先を進めることにした。

 

それ以降も『砂漠の使徒』は攻めてくる。

 

そんなとき奴らはダークブレスレットというパワーアップアイテムを用意してきた。

 

ダークブレスレットを身につけた奴らはデザトリアンと融合することで更なる強さを身につけたのだ。

 

そのことを目の当たりにした俺達もパワーアップが必要だと認識する。

 

そこでプリキュアパレスというところで試練を受けることになる。

 

その試練の内容が先代のプリキュアを倒すことだった。

 

しかし薫子さんは訳あって戦えなかったのでその相手をコッペ様が代理として引き受けたのだ。

 

ブロッサム、マリン、サンシャインの三人は連携して攻めていく。

 

最初は未熟な面が出ていたこともあってやられていたが、強い心を持って立ち向かう。

 

やがてコンビネーションを駆使してコッペ様を追い詰めることに成功する。

 

そして新技、シャイニングフォルテッシモで勝利を収めた。

 

三人が試練をクリアしたのも束の間、今度は俺が試練を受けることになる。

 

プリキュアと関係のない俺がなぜ試練を受けなければならないのか(はなは)だ疑問だったが、顔には出さず大人しく受けることに……。

 

コッペ様の強さは予め分かっていたので俺はフルパワーで相手をすることにした。

 

コッペ様は青い光弾と念力、それだけでなくプリキュア三人を圧倒するほどの格闘能力で俺を攻める。

 

俺もなんとか食らいつくものの、戦闘経験の差もあって次第に追い詰められていく。

 

だが俺の逆転を狙った策が見事にはまり、コッペ様を倒すことに成功する。

 

そうして見事に試練をクリアした俺達。

 

 

『新たなプリキュア達よ……よくぞ試練を乗り越えました』

 

 

奥へと進んでいくと、歴代プリキュアの意思と呼ばれる者が声をかけてきた。

 

 

『プリキュア達よ……世界の生きとし生ける者達を……皆の心の花を……守って下さい』

 

 

すると目の前の祭壇に光が注ぎ、ある物が置かれる。

 

 

『ハートキャッチミラージュ……貴方達に授けます』

 

 

プリキュアのパワーを引き出すとされるハートキャッチミラージュを手に入れた。

 

そして同時に俺はここであることを知る。

 

それは俺がこの世界に連れてこられた理由だった。

 

それが『こころの大樹の守護』、『砂漠の使徒の壊滅』であった。

 

そして俺は元転生者でありプリキュアであったキュアアンジェことアンジェ先輩と知り合う。

 

もちろん、皆には転生者であることは秘密だ。

 

そして試練を終えた俺達は日常へと戻っていく。

 

プリキュアパレスからの帰り道、つぼみ達はゆりに向かってお礼を言っていた。

 

だがゆり自身、ずっと浮かない顔をしていた。

 

そしてつぼみ達がハートキャッチミラージュでゆりをプリキュアに戻せないか薫子さんに聞こうとしたのだが……

 

 

『なれるわけがないわ!!』

 

 

ゆりの拒絶する声が響く。

 

 

『……ミラージュで私の心の花を見てごらんなさい!』

 

 

ミラージュを覗くと、彼女の心の花と思われるユリの花が枯れていた。

 

そんななか、ゆりはつぼみ達を置いて走り去っていく。

 

そこで俺達はゆりがなぜあんなにプリキュアになることに拒絶するかの理由を知った。

 

彼女は過去に相棒の妖精であるコロンを失っており、自分を責め続けていたのだ。

 

理由を知ったつぼみ達はすぐにゆりの元へと向かい、本心を語った。

 

 

『コロンのこと……聞きました。ゆりさんの悲しい思い出を……』

 

 

『あたし達……ゆりさんの心の花を蘇らせたいんです!もう一度!!』

 

 

『僕達に……ゆりさんの心の力にならせて下さい!!』

 

 

つぼみ、えりか、いつきの本心を聞いたゆりは呆れたように笑い、言った。

 

 

『貴方達って本当お節介ね……』

 

 

そして彼女達は仲直りすることができた。

 

それから翌日……

 

こころの大樹に変化があった。

 

ミラージュで大樹の様子を覗くと一つの光の塊がフヨフヨと浮いていたのだ。

 

その塊を見たゆりが大きな声をあげる。

 

 

『コロン!?』

 

 

なんとその光の塊はコロンであった。

 

そこで薫子さんがある提案を出した。

 

 

『ゆりちゃん。こころの大樹に行きなさい。これはただ……一度だけの奇跡……コロンにゆりちゃんの想いを伝えるのよ』

 

 

だが厄介事は突然やって来る。

 

 

『『わぁああ!!ダークプリキュアですぅ!!』』

 

 

なんと間の悪いことにダークプリキュアが植物園へと攻めてきたのだ。

 

映像の俺は相棒を()()()()()()()()()()()()()ゆりに預けると、ダークプリキュアの元へと向かい、さっそく戦いを挑む。

 

 

『お前がここに来た目的はなんだ?』

 

 

『月影ゆりはどこにいる?』

 

 

『それを聞いて素直に答えるとでも思っているのか?』

 

 

『ふん。ならば力づくで教えてもらうまでだ』

 

 

ダークプリキュアは右手に赤黒いエネルギーを収束させると俺に向けて放つ。

 

だが俺はそれを片手で弾き飛ばした。

 

 

『やれるものならやってみろ』

 

 

そして俺達は激突した。

 

その映像を見ているなのは達が何か言いたげな視線を向けてきたが、スルーしておく。

 

一方のゆりはというとコロンと再会し、今までの自分の中の気持ちを伝えていた。

 

 

『私……愚かだったのよ。何でも一人でできるって……自分の力を過信し過ぎたんだわ!!』

 

 

『ムーンライト!それは違う!!』

 

 

だがゆりの言葉をコロンは否定する。

 

 

『君は命を懸けて人間のこころの花を守るプリキュアの任務の重さを……誰よりも理解していた。だから……全てを自分が引き受け……一人で戦おうとしたんだ。誰も傷ついて欲しくない……傷つくのは自分一人でいいってね……』

 

 

『え?』

 

 

『君は優しいんだ……僕は分かっていたよ』

 

 

『コロン……』

 

 

『自分を認めるんだよムーンライト……自分の優しさを……仲間への思いやりを……今の君はブロッサム達と触れあって仲間の大切さ、ありがたさが分かった筈だろう?それなら君はもう一度砂漠の使徒と戦うことができるよ』

 

 

『む、無理よ!だって……』

 

 

ゆりはポケットから半分に欠けたプリキュアの種を出す。

 

 

『それは今の君の心の形だよ。僕を失い、ダークプリキュアに破れた傷付いた君の心の形だ。君が皆と共に戦いたい……世界を守りたい……と願えば君はまたキュアムーンライトになれるよ』

 

 

するとコロンの側にココロポットが現れる。

 

 

『だからまたプリキュアになりたいと……こころの大樹に願いを伝えるんだ』

 

 

そのとき……

 

 

『『『きゃああああああ!!??』』』

 

 

『ち!?三人とも無茶はするな!!』

 

 

ダークプリキュアにボロボロにやられている俺達が映し出される。

 

 

『素直に月影ゆりを差し出せば良いものを』

 

 

『それで、はいそうですかと素直に応じるとでも?』

 

 

『魔導師……貴様もそんな奴らを庇わなければ、無駄にダメージを食らうこともなかったのではないか?』

 

 

『ほっとけ』

 

 

そしてブロッサム達が立ち上がる。

 

 

『ゆりさんは……いつでも私達を守ってくれました!』

 

 

『今度は私達が!』

 

 

『ゆりさんを守る!』

 

 

そしてなんとか持ち直した俺達は、四人の力を合わせたシャイニングヒートフォルテッシモでダークプリキュアを打ち破る。

 

だがそれが奴を本気にさせた。

 

 

『ふざけるなあああああああああああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!』

 

 

奴の両目は黄金色へと変わり、更なるパワーアップを果たす。

 

それを見た俺もフルパワーになり対抗する。

 

 

大爆発の加速(ビッグバンアクセル)!!』

 

 

『ダークパワーフォルテッシモ!!』

 

 

激突するオレンジの球体と、赤黒いエネルギー。

 

だが激突を制したのは赤黒いエネルギーであった。

 

俺は吹き飛ばされるが、ダークプリキュアはさらに俺の吹き飛ぶ方向に回り込むと、ゼロ距離でエネルギー弾を放ってきた。

 

 

『グフウッ!?』

 

 

そのあまりの威力に俺は再び吹き飛ばされ、少し吐血する。

 

受け身を取り、なんとか体勢を立て直す。

 

このときはコッペ様との戦いで疲労とダメージが蓄積していたこともあって打ち負けてしまったのだ。

 

万全の状態であればもう少しいい勝負ができたかもしれない。

 

そして追い詰められたと思った瞬間……

 

俺達の前に白い竜巻のようなものが吹き荒れる。

 

その中から白い光のワンピースを着たゆりが現れる。

 

その手にはココロポットがあった。

 

 

『『『ゆりさん!!!!』』』

 

 

皆が喜んでいる中、俺は皮肉げに言った。

 

 

『遅かったな』

 

 

『安心しなさい。自分の不始末は自分でキッチリつけるわ。だから貴方は……ゆっくりそこで休んでいなさい』

 

 

そしてゆりはダークプリキュアと向き合う。

 

 

『貴様……もしや……』

 

 

『勇気……愛……友情……優しさ……悲しみ……喜び……たくさんの気持ち……皆の心……』

 

 

ゆりは語りかけるように話す。

 

そしてプリキュアの種を構えて言った。

 

 

『私は戦う。皆の心のために!!』

 

 

そのときココロポットに入っているこころの種が分解されると粒子になり、ゆりの持つプリキュアの種が修復される。

 

ゆりはそのままココロポットのコンパクト型のケースに自身のプリキュアの種を装填した。

 

 

『プリキュア・オープンマイハート!』

 

 

するとゆりは舞うように変身していく。

 

そして変身を終えた彼女は目の前の敵に告げた。

 

 

『月光に冴える一輪の花、キュアムーンライト!』

 

 

キュアムーンライトが華麗に復活した。

 

 

「「「「「わあああ……きれい」」」」」」

 

 

映像を見ている六人の少女達は顔を赤くさせる。

 

まあ確かにプリキュア自体、皆美少女だからな。

 

特にゆりは身長も高く、スタイルもいい。

 

どうしても目を引くことになる。

 

そして始まるムーンライトとダークプリキュアの戦い。

 

激しく攻め立てるダークプリキュアに対してムーンライトは華麗に受け流していく。

 

映像を見る限り、ムーンライトの方が一枚上手であり、次第にダークプリキュアを追い詰めていく。

 

相変わらず凄まじい強さである。

 

もし闘えば……全力でやれば負けることはないとは思うが、勝てるかどうかも分からない。

 

そしてムーンライトの蹴りを食らったダークプリキュアは広場の噴水に落ちるが、突如現れたクモジャキーによって受け止められる。

 

他にもサソリーナや、コブラージャも現れる。

 

そこからはサソリーナvsブロッサム、クモジャキーvsマリン、コブラージャvsサンシャイン、ダークプリキュアvsムーンライトの四対四の対決となる。

 

俺はダメージと疲労で動けなくなっていたので回復しつつ、それぞれのサポートに入っていた。

 

そのかいもあって四人とも善戦していた。

 

だが途中動けない俺が狙われたことによってピンチに陥ったが、ダークプリキュアを倒したムーンライトの助太刀によって事なきを得た。

 

そしてムーンライトの肩の上には一匹の妖精がいた。

 

ジュエルシードの力で蘇ったコロンである。

 

だがジュエルシードに関してはここにいる皆には知られる訳にはいかないので秘密にしておく。

 

皆が勢い良くこちらを見てきたが、コロンが蘇った理由に関しては、奇跡が起きたということにしておいた。

 

余談ではあるが、俺がピンチに陥っているときの映像を見たフィリス先生と、石田先生がそのときの傷の様子を必要に聞いてきたが、もう治ってるからということで強引に納得させた。

 

そしてその後は、つぼみ達にはコロンが蘇った理由や俺の過去話をしたが、今回は関係ないので割愛しておいた。

 

それから数日後……

 

つぼみ達の通う明堂学園の文化祭『明堂祭』が開かれた。

 

そこで俺はある伝説の少女達と邂逅することになる……と同時に新たな黒歴史を刻む羽目になった。

 

そう。

ファッションショーという名の女装地獄である。

 

俺は花咲家と来海家の人達と共につぼみ達のクラスがやっている喫茶店へと向かった。

 

そこで俺はお茶をご馳走になってから相棒と久遠と共に学園祭を楽しんでいた。

 

そんなとき俺は一人の迷子の少年、九条ひかる君と出会う。

 

どうやら一緒に遊びに来ていた姉ひかりとはぐれたらしく、一人でベンチに座っていたのだ。

 

放っておけなくなった俺は、彼と一緒に行動することにした。

 

そして美術部の展示会に寄ったとき、俺は初めてハートキャッチプリキュア以外のプリキュアと邂逅することになる。

 

それが美翔舞という少女であった。

 

舞は迷子になったひかる君を探していたらしく、すぐにひかりに連絡を取ってくれた。

 

無事ひかる君をひかりの元に帰すことに成功した俺はお礼として彼女達からお茶をご馳走になっていた。

 

……つぼみ達のクラスの喫茶店で。

 

そこでつぼみの機嫌がなぜか悪くなったのだが、未だに原因は良く分かっていない。

 

 

「……なんでつぼみはこのとき機嫌が悪かったんだろうなー」

 

 

「ヒエン様、さすがにそれは鈍感すぎるかと」

 

 

「おおう!?ノエル!?」

 

 

するといつの間にかノエルが俺の後ろにいた。

 

気配をまるで感じなかったぞ。

 

 

「鈍感?」

 

 

「はい。ヒエン様はもう少し女心というものを学ぶべきかと」

 

 

「それ、つぼみにも同じ事言われたぞ」

 

 

とりあえず俺は先を進めることにした。

 

そこからトイレに行きたくなったひかる君を連れて戻ってきたときに、プリキュアオールスターズの面々と出会った。

 

彼女達とは大食い対決を行って親睦を深めた。

 

結果は俺の惨敗であったが……orz

 

その後はももかに家庭科室に呼び出され、ファッションショーに出るための服を見せてもらった。

 

 

 

黒いゴシックドレスが飾ってあった。

 

 

 

その瞬間、俺は窓から逃亡した。

 

が、当然ながらラスボスこと月影ゆりが俺の前に立ちはだかった。

 

ゆりとの話し合いの末、決闘をして俺が負ければ女装してファッションショーに……勝てば出なくてもよいことになった。

 

が、俺はゆりに決闘で負けてしまった。

 

改めて勝負の映像を見るが、ゆりの放つ貫手(ぬきて)のスピードは尋常じゃない程に早い。

 

残像が見えるって……本当に人間か怪しいものである。

 

っていうか、今思えば俺あいつに負け越してるんだよな。

 

次会うときは完膚なきまでに叩きのめしてやんよ!

 

女装の恨み、晴らさでおくべきか!!Σ(゜Д゜)

 

という訳で次へと進む。

 

映像に映っていたのはなつかしきヒエちゃんもとい、キュアヒートの原型の姿であった。

 

 

「アリサちゃん……あの姿って」

 

 

「も、もももも……もしかして……あ、あいつが!?」

 

 

「と、父さん!?」

 

 

「あ、ああ。もしかしていや、もしかしなくてもあの少女は……」

 

 

「ヒエン君だった!?」

 

 

女装姿の俺の映像を見たとき、すずかとアリサ、恭也君、士郎さん、美由希さんが何やら慌てていたが、このときの俺は気付いていなかった。

 

 

「キャー!ヒエン君かわいいー!!」

 

 

「これは……いいわね」

 

 

「我が家でメイドとして雇おうかしら」

 

 

「忍……ナイス名案よ」

 

 

「姉さんずるいわよ」

 

 

「鮫島……確かこのまえ新しく買ったドレスがあったわよね?」

 

 

「サイズを合わせておきます奥様」

 

 

そして順番に桃子さん、リンディさん、忍さん、春菜さん、桜さん、ジョディさん、鮫島さんが恐ろしいことを言っている。

 

特にメイドとして雇うというのと、ドレスを着せるというのは聞き逃せない……が恐らく逃れることはできないだろう。

 

 

「ヒエン様……お気を確かに」

 

 

側にいるノエルが慰めてくれる。

 

俺の顔はかなり死んだような表情となっているようだ。

 

あー……貝になりたい(切実

 

 

「ガァウ」

 

 

俺の代わりに相棒が映像を続ける。

 

ヒエちゃんとなった俺は花澤さんボイスを駆使して司会をすることになった。

 

そして軽音楽部の歌が始まろうとしたとき、奴が現れた。

 

大幹部(笑)のコブラージャである。

 

 

『悪いけどそのステージ……この僕がいただくよ!!』

 

 

そして奴は司会をしていた俺に気付くと、とんでもないことを言い出した。

 

 

『君は……()()()()()()()()()?僕の美しいステージを邪魔するというのなら容赦はしないよ?』

 

 

というか今思ったけど俺がプリキュア(仮)にならなきゃいけない原因って全てはこいつから始まったんじゃないのか?

 

そうだ。

全ての元凶はこいつだ。

 

だがもうコブラージャはサンシャインによって倒されている。

 

この形なき怒りはどこへぶつければいいのか……。

 

はぁ( ´Д`)

 

そして奴は精神の疲弊でこころの花が枯れている俺と軽音楽部のボーカル二人をデザトリアンにしようとスナッキーを差し向けたが、俺の体術によって即座に沈められた。

 

しかしコブラージャは、一瞬の隙をついてボーカルの二人をカラオケ型デザトリアンに変えてしまった。

 

俺達はそれに対処するために動き出す。

 

マリンがカラオケ型デザトリアンを蹴り飛ばし、外へと吹き飛ばすと同時に、俺はコブラージャへと戦いを挑む。

 

俺は女装姿のままであるがバリアジャケットのデザインを変えることで対応した。

 

そして激突の末、戦いの舞台は校庭へと移り、なんとか俺達はカラオケ型デザトリアンを倒すことに成功する。

 

その後はコブラージャが俺の名前を聞いてきたので、俺はアンジェ先輩が言うがままに答えてしまった。

 

 

『大空を包容する一輪の花……キュアヒート!』

 

 

黒歴史誕生の瞬間である。

 

 

「「「「「ブーーーッ!!」」」」」

 

 

すると俺の映像を見たヴォルケンリッターが飲み物を吹き出していた。

 

さらに俺の顔は死んでいく。

 

 

「ヒエンさん……だ、大丈夫です!物凄く可愛いですから!!」

 

 

するとファリンがフォローを入れようとして褒めてくれる。

 

けどねファリン。

 

それフォローちゃう……トドメや。

 

そしてその後のファッションショーもなんとか乗り切り、俺の魔の学園祭は終わりを告げたのである。

 

それから五日が経ったある日……

 

ここから砂漠の使徒による地球侵略が本格化してくる。

 

突如、宇宙からの侵略者デザートデビルが飛来してきたのだ。

 

その強さはデザトリアンと比べる間でもなく強く、プリキュア四人でも力を合わせねば勝てないほどの強敵だった。

 

そして砂漠の王デューンからの宣戦布告まであった。

 

 

『我が名はデューン……砂漠の王。こざかしきプリキュア共よ。お前達が如何なる努力をしようとも私を止めることはできない。見るがいい……』

 

 

デザートデビルを倒した所からアンテナが出ると、映像が投影される。

 

そこには緑の惑星が映っていた。

 

すると何か巨大な種のようなものが宇宙船から緑の惑星に撃ち出され、数秒後……その緑の惑星は一瞬で砂漠と化した。

 

 

『その星の全ての緑を枯れさせる砂漠の種……デザートデビルだ。君達にもプレゼントしよう。直に地球へ到達する。そして全ての緑を枯らし、全ての人間のこころの花を枯らし、こころの大樹をも枯らしてくれる』

 

 

デューンの宣戦布告によって危機感を(つの)らせた俺達はさらなるパワーアップのために再びプリキュアパレスへと足を運んだ。

 

俺はこのとき別行動を取っていたため、いなかったが……。

 

そして四人はさらに強くなるために最後の試練に望む。

 

その試練の内容が自分自身と向き合うことであった。

 

自分達の持っている暗い心の象徴ミラージュと向き合い、過去の自分を認め、受け止めなければならないのだ。

 

マリン、サンシャイン、ムーンライトは順調に試練をクリアしていく。

 

しかしただ一人、ブロッサムだけが時間がかかっていた。

 

しかもタイミング悪く、デューンの放ったデザートデビルがプリキュアパレスの近くへとやってきたのだ。

 

即座に迎撃に出る三人。

 

だが思っていた以上にデザートデビルは強く、三人は追い詰められていく。

 

そしてもうダメだと思ったとき、試練をクリアしたブロッサムが現れる。

 

そこからプリキュア達の総攻撃が始まる。

 

フォルテウェイブとフォルテッシモの連続攻撃でデザートデビルの身体を突き抜ける。

 

だが奴はすぐに再生してしまう。

 

それを見たブロッサム達はハートキャッチミラージュを転送させ、構えた。

 

ブロッサムはパワーアップの種を受け取り……

 

 

『皆!いきますよ!!』

 

 

ハートキャッチミラージュに装填した。

 

四人のプリキュアは、祈り始める。

 

 

『『『『鏡よ鏡、プリキュアに力を!!』』』』

 

 

そして全員の姿が白色の衣装に変わり、羽衣を身に着けたような姿へと変わっていく。

 

白の長手袋を装着し、ティアラとイヤリングを装着している。 全体的に白色をメインとしたコスチュームへと変わり、背中にハートの虹色オーラが出現していた。

 

その姿はまるで天女のようであった。

 

 

『『『『世界に輝く一面の花、ハートキャッチプリキュア!スーパーシルエット!!』』』』

 

 

続けて四人はそのままハートキャッチミラージュを上へと放つ。

 

 

『『『『花よ、咲き誇れ!プリキュア!ハートキャッチオーケストラ!!』』』』

 

 

四人の呼びかけに応えるように、目を閉じた巨大な女神のシルエットが姿を現わす。

 

そして四人の叫びに呼応するように巨大な女神のシルエットから、デザートデビル目掛けてエネルギーが凝縮された愛の拳が振り下ろされた。

 

 

『『『『ハアアァァ!!!!』』』』

 

 

四人が叫びながらタクト、タンバリンを回し、デザートデビルを浄化させていく。

 

 

『ウォオオオオオ~~』

 

 

そしてデザートデビルは浄化され、静かに消滅していった。

 

 

「ヒエン様はこのとき何をされていたのですか?」

 

 

映像を見ていたノエルが話しかけてくる。

 

このとき俺はジュエルシードの力を使ってこころの大樹の偽物を生み出していた。

 

だが俺がジュエルシードを保有しているのは秘密なのでそこだけはぼかしておかなければならない。

 

 

「デューン対策でこころの大樹の偽物の用意してたんだよ」

 

 

「そんなことが可能なのですか?」

 

 

「魔力捻り出して、気合いと根性でどうにかした」

 

 

「そ、そうですか……」

 

 

若干引いているようだが気にしないでおこう。

 

今の俺に失うものなど当の昔にないのだからな(白目

 

こうしてスーパーシルエットへとパワーアップを成功させたつぼみ達。

 

だがあるとき覚悟を宿したサソリーナが強襲してきた。

 

生徒会役員の生徒のこころの花を回収し、校舎型デザトリアンを生み出した。

 

俺達は力を合わせて立ち向かっていく。

 

しかしサソリーナは三倍のダークブレスレットで強化している影響か、以前戦ったデザートデビルをも超える強さを持っていた。

 

負けじと俺達も必殺技を放つが、意図も簡単に打ち消されてしまう。

 

そしていよいよ追い詰められたと思ったそのとき、無理な強化がたたってか、サソリーナが苦しみ始めたのだ。

 

それを見た俺はサソリーナを苦しみから解放するため、デザートデビル対策で生み出した新たな技、ダブルヒートバーナーを放った。

 

そして見事サソリーナの浄化に成功する。

 

苦しみから解放されたサソリーナのこころの花、カタクリの花は空高く舞い上がり持ち主の元へと戻っていった。

 

それから約一ヶ月、クモジャキーやコブラージャから数えるほどの襲撃はあったものの、比較的穏やかな日常を過ごしていた。

 

そんな秋から冬の移り変わりに入ったとき、つぼみ達は休日を利用してファッションショーが行われるフランスへと赴いていた。

 

俺はというと、その休みを利用して他のプリキュア達にデューン対策の協力を取り付けるために、連絡をよく取っていた舞と三日間一緒に出掛けていた。

 

その合間合間に観光をしたり、舞も有名な所を色々案内してくれた。

 

その映像が流されるが、これ端から見ると……

 

 

「完全にデートですね」

 

 

「ごほっ!?」

 

 

思わず飲んでたジュースを吹いた。

 

周りからニヤニヤした視線をいただく。

 

 

「ヒィ君って結構モテるんだね。血は争えないみたいだよ、お父さん……」

 

 

「母さん、なんでそんなに声が低くなっているのかな……」

 

 

視界の端で何やら両親が揉めているが知らない。

 

なのは達からの視線がいよいよブリザード級に冷たくなっているのも知らないったら知らない。

 

だがここで空気が一気に物理的にも冷たくなる。

 

強烈な殺気を秘めた映像が流されたのだ。

 

那美さんに抱かれた久遠がそのときのことを思い出したのか、ガタガタと震えだした。

 

 

「「「「「…………っっ!!」」」」」

 

 

他の人達も思わず表情を強張らせる。

 

 

『やぁ、やっと見つけたよ……魔導師君』

 

 

デューンが俺の前に現れたのだ。

 

 

『砂漠の王……デューン』

 

 

『あははは。僕のことは知ってたんだね?キュアフラワーからでも聞いていたのかな?』

 

 

『……俺に一体何のようだ?』

 

 

『そう警戒しないでくれたまえ。サバークから報告を受けていた君という存在に……魔導師というものに興味があっただけさ』

 

 

『…………』

 

 

『だんまりかい?』

 

 

『話がしたいなら……もっと別の場所にいこうぜ』

 

 

画面の俺は転送魔法を発動させて街中から浜辺へと移動した。

 

 

「なんという殺気の持ち主だ……」

 

 

「ああ。あいつはヤベェぞ。つーかプリキュアなんてテレビの中の絵空事だと思ってたが、実在すんのかよ!?」

 

 

シグナムとヴィータが呟く。

 

 

「……か、身体の震えが止まらないわ」

 

 

「ああ、映像越しでも伝わるほどの強烈な殺気だ」

 

 

やはりデューンはヴォルケンリッターから見てもとんでもない実力の持ち主らしい。

 

 

『おお、すごいね。今のが魔法かい?』

 

 

『転送魔法だ。駅前から浜辺に移動した』

 

 

そして俺はセットアップし、額の炎とグローブを燃え上がらせる。

 

 

『おお……怖い怖い。僕はただ話がしたいだけなんだけどね』

 

 

『ぬかせ。そんなドデカイ殺気をこっちに向けている時点で戦う気満々だろうが』

 

 

『へぇ。こっちに場所を移したのは無関係な人間を巻き込まないための配慮……という訳かい?』

 

 

『さぁな。相棒、久遠の側にいてやれ』

 

 

『ガァウ』

 

 

俺は新武装の新グローブに切り替え、構える。

 

対してデューンは両手を広げて半笑いでこちらを眺めるだけだった。

 

そして始まる俺とデューンの戦い。

 

俺が高速で動きながら近接戦闘を挑むが、奴は俺の動きを見切っているのか完璧にかわしていく。

 

きりがないと判断した俺は魔法を使用するが、奴はその魔法をも笑いながら対処する。

 

隙を見てバーニングアクセルを奴に叩き込むが地力が違いすぎるのか、片手で呆気なくガードされてしまう。

 

そして互いに高速戦闘を繰り出すが終始俺が押されていた。

 

 

『グフゥッ!?』

 

 

 

ドォオオオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

激突の末、俺は浜辺に吹き飛ばされるが、すぐに起き上がり横へと飛ぶ。

 

すると赤いオーラを纏ったデューンが笑いながら飛び蹴りを放っていた。

 

体勢を立て直した俺は、再度技を放つがやはり打ち負ける。

 

その後、隙をつかれて強烈な赤い砲撃が放たれるが、防御形態を取ることでなんとかやり過ごす。

 

しかしこのままでは敗けるのも時間の問題だった。

 

そこで俺はオーバードライブ程の出力はないものの、フルドライブを限界以上に解放することでデューンに対抗した。

 

そのかいもあって初めてデューンに攻撃をクリーンヒットさせることができた。

 

そこからは互いに一歩も引かずに攻撃を繰り出すが、現状不利なのは俺であった。

 

俺の攻撃よりもデューンの放つ攻撃の方が重いのだ。

 

起死回生の一手として俺はブリッツアクションで加速しながらデューンの周りを動き回り、最大パワーのバーニングアクセルを叩き込んだ。

 

その一撃を食らったデューンは遠くまで吹き飛んでいった。

 

勝利を確信した俺であったが……

 

 

 

『やれやれ……まさか一撃もらうとは』

 

 

 

奴はまだピンピンしていた。

 

そして俺は反撃として至近距離から強大なエネルギー弾を浴びて海岸まで吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

ドゴォオオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

『ぐ……ちく……しょう……』

 

 

そのままうつ伏せに倒れてしまう。

 

なんとか起き上がろうとするが身体が動かなかった。それでも動かそうとした途端、腹に激痛が走った。

 

 

『があああ!?』

 

 

俺の叫び声が会場に響く。

 

なのは達はビクリと震える。

 

 

「このとき確かアバラが折れたんだよな……」

 

 

俺は呟く。

 

その呟きをノエルが聞いていた。

 

 

「重傷ではないですか……」

 

 

「それだけ強かったんだよ」

 

 

映像は続く。

 

 

『もう限界のようだね』

 

 

目の前には顔が少し腫れたデューンがいた。

 

 

『こ、殺すなら……さっさと殺しやがれ……』

 

 

『…………』

 

 

デューンは手をかざすが……

 

 

『やめだ』

 

 

俺に背を向けた。

 

 

『今、ここで君を倒したところでなんの面白味もない。それに言っただろう?ここには暇潰しにきただけさ』

 

 

『俺を見逃す……のか?』

 

 

『まさか。僕は戦力が整い次第、また力を取り戻しにやってくる。そうだな。期間は約一ヶ月といったところか。そのときには、プリキュアもろとも全員立ち塞がるものは……叩き潰す』

 

 

『…………』

 

 

『そのときに……君がどう行動するか見物だよ魔導師君』

 

 

デューンはテレポートで消え去った。

 

 

『……………………ち、ちく……しょう……』

 

 

そして俺はダメージの限界で意識を失った。

 

映像はそこで一端終了した。

 

 

 

 

 

 

閑話休題(ちょっときゅうけい)

 

 

 

 

 

 

映像が終わると、なのは達が詰め寄ってくる。

 

 

「「「「「ヒエン(君)(さん)(兄ちゃん)(お兄ちゃん)!!」」」」」

 

 

「あー……」

 

 

なんと説明したらいいものか。

 

だがそこにノエルが割って入る。

 

 

「皆様の言いたいことは分かりますが、ここは穏便にお願い致します」

 

 

「でもノエル……」

 

 

「お嬢様も落ち着いてください。ヒエン様は少しお疲れですので話は観賞会が終わってからでお願いします。ファリン、お嬢様達のこと頼むわよ?」

 

 

「任せてください!」

 

 

ノエルは俺の乗った車イスを押すと別口のドアから出ていく。

 

そして別の部屋に移動するとホットコーヒーを入れてくれた。

 

 

「どうぞお飲みください」

 

 

「ありがとう」

 

 

俺は小さなテーブルに置かれたコーヒーをゆっくり持つと、時間をかけて飲む。

 

 

「あ、おいしい」

 

 

心がちょっとほっこりした。

 

 

「落ち着きましたか?」

 

 

「うん」

 

 

するとノエルが話しかけてきた。

 

 

「あの映像のことですが……」

 

 

「……信じられないと思うけど全て本当のことだ」

 

 

「にわかには信じがたい話ですが……証拠もありますものね。キュアヒートという」

 

 

「ゴフッ!!――(゚Д゚; )→ グサッ!!」

 

 

精神的に追い詰めるのはダメだと思うぞノエルよ。

 

だがノエルはダメージを受けた俺をスルーして話しかけてきた。

 

 

「……あのキュアヒートのことですが、あれがヒエン様であるとしたらすずかお嬢様いえ、月村家の事情については既にご存知なのですか?」

 

 

「……知ってる」

 

 

「それでは忍様から話があると……「記憶は残す方向で」……かしこまりました」

 

 

「っていうかもう事情知ってるし、そういうのめんどくさいからもういいって伝えといてくれ」

 

 

「……かしこまりました」

 

 

なんかノエルが呆れてるが……まあいいや。

 

俺がコーヒーを飲み終えると、ノエルがカップを下げる。

 

そして車イスを再び押し始めた。

 

 

「では戻りましょう」

 

 

「おう」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

会場へ戻ると皆の視線が一気にこちらに向いた。

 

めちゃくちゃやりづらいが、もう少しの我慢だ。

 

相棒は俺が戻るのを確認すると映像を再開させた。

 

どうやら俺が病院に運び込まれてから後のことらしい。

 

 

『おばあちゃん!』

 

 

フランスから戻ったであろうつぼみ達が病院に大急ぎでやってくる。

 

そして病室で眠る俺を見るやいなや、つぼみは目に涙を溜めた。

 

えりかや、いつき、妖精達も眠っている俺を見て泣きそうになっていた。

 

ゆりやコッペ様も辛そうな表情をしていた。

 

自分で言うのもなんだが所々包帯で巻かれている姿が痛々しい。

 

 

『全治三週間らしいわ。アバラ骨にヒビが入ってる上に全身打撲、打ち身も所々にあるって』

 

 

『ヒエンさんに……ヒエンさんに一体何があったんですか!?』

 

 

『デューンよ』

 

 

『『『『……え? 』』』』

 

 

薫子さんの言葉に全員驚く。

 

 

『ヒエン君はデューンにやられたの』

 

 

『デューンって「砂漠の使徒」の親玉の!?』

 

 

いつきが大声をあげる。

 

 

『そうよ。植物園を出たときに海岸から急にデューンの気配を感じたの。私は急いで向かったわ。そしたら……』

 

 

『彼が倒れていたんですね……』

 

 

『ええ』

 

 

皆は話を一端終わらせるとそのまま帰路についた。

 

そこから皆が順番交代で俺の看病に来てくれていた。

 

話を聞いた花咲家の面々や、ご近所さん、オールスターズの少女達もお見舞いに来てくれていた。

 

だが眠る俺の姿を見ると、皆、一様に悲しそうな表情をしていった。

 

そして一週間後、俺は目を覚ます。

 

実を言うと、そのときのことはあまり覚えていない。

 

起きたのはいいけど、意識自体は朧気(おぼろげ)だったからな。

 

 

『ヒエンさん分かりますか!?私達がわかりますか!?』

 

 

『…………』

 

 

 

ギュッ

 

 

 

『『『『…………っっ!!』』』』

 

 

見ると画面の俺は、手を握る彼女達の手をしっかりと握り返していたらしい。

 

つぼみ達の目に涙が溜まる。

 

 

『うえーん!よかったよおー』

 

 

『えりか泣きすぎです!でも目が覚めて本当に良かった……』

 

 

『うん……そうだね』

 

 

『ええ……本当に』

 

 

そしてまた眠ったようだ。

 

翌日には意識がしっかりしており、普通に話すことができた。

 

そこから俺は映像つきでつぼみ達に何があったかを話した。

 

砂漠の王デューンが暇潰しとして俺に勝負を挑んできたこと、戦力が整い次第潰しにくると言っていたこと、約一ヶ月後に再び攻めてくることを伝えた。

 

そこから三週間が立ち、俺は無事退院することができた。

 

月日は既に十二月に入り、本格的な冬に突入していた。

 

その頃になると、ゆっくり運動していたこともあって鈍っていた身体も少しずつだが戻るようになっていた。

 

まずは感覚を取り戻すことだけに集中する。

 

それからはつぼみの母であるみずきさんの妊娠が発覚したり、花屋の仕事を手伝おうとしてくれたえりか達とてんやわんやしたり……

 

懸念していたデューンの動きに注意しながら……

 

俺は日々を過ごしていた。

 

そしてクリスマス前日のクリスマスイブに事態は動き出す。

 

それはまゆかちゃんという女の子が『プリキュアに会えますように』という短冊を広場のクリスマスツリーにつったことが事の発端となる。

 

まゆかちゃんはよく友達に嘘をついてしまうことがあるらしい。

 

しかしそれは友達が欲しいという気持ちの裏返しであった。

 

そのことに気付いていたつぼみは、まゆかちゃんにプリキュアに会わせてあげるという約束をした。

 

しかしそんな日に限ってトラブルというものは起きる。

 

約束の17時前になると突如、デザトリアンの襲撃があったのだ。

 

つぼみ達は後ろ髪を引かれながらも現場へ向かおうとする。

 

そこで俺の出番である。

 

俺はまゆかちゃんに悲しい思いをさせないために断腸の思いで再びキュアヒートとなった。

 

そのとき映像を見ていたある一角(奥様方の集まり)から歓声が上がったのは気のせいだと信じたい。

 

そして俺の登場で盛り上がる子供達。

 

だがある一人の女の子の言葉で俺は驚くことになる。

 

 

『あ、思い出した~!お姉ちゃん学園祭で見たことある~!!幻のプリキュア~!!』

 

 

『幻のプリキュアって?』

 

 

『知らないの?お姉ちゃんのことだよ。お姉ちゃん、滅多に現れないプリキュアだから幻のプリキュアって呼ばれてるんだよ~。出会ったら幸せになれるって皆言ってた~』

 

 

改めて聞いて思った。

 

もう一生、幻のままでいいと思う(切実

 

キュアヒートの正体を知ったら小さな女の子達なんぞ阿鼻叫喚、間違いなしだろう。

 

あと今さらではあるが、俺の心の花は『オレンジの花』であった。

 

そんなこんなで子供達と戯れていた俺であったが……

 

 

「『ハッハッハッハッハッハ!!コノツリーヲタオセバ、サゾヤオオクノココロノハナガ、カレルダロウ!!』」

 

 

突如、雪だるま型デザトリアンが現れた。

 

クモジャキーとコブラージャの声が聞こえることから二人で融合しているようだ。

 

俺は子供達を庇うように戦うが、子供達は震えて動けなくなっていた。

 

万事休すかと思われたが、そこに意外な助っ人が現れた。

 

そう。

薫子さんが変身したキュアフラワーである。

 

まさかの幻と伝説のプリキュアの共闘である。

 

ポケモンで言えば、ミュウとミュウツーで共闘するようなものだ。

 

そして俺達の奮闘もあって雪だるま型デザトリアンを倒すことに成功する。

 

その後、ブロッサム達と合流し、まゆかちゃんも友達と仲良くすることができた。

 

これで解決だと思ったそのとき……

 

再び奴が現れた。

 

 

『フフッ。久しぶりだねぇキュアフラワー。それに元気そうで良かったよ魔導師君』

 

 

『デューン!?』

 

 

俺は直ぐ様、フラワーを庇うように前へと出る。

 

そして少し会話をした後、戦いが始まる。

 

プリキュア四人と共に果敢に攻めていくが、やはりこちらの動きを見切っているのか奴に致命傷を与えられない。

 

俺は四人がスーパーシルエットになるための時間を稼ぐために防御に徹する。

 

だが奴は俺の狙いに初めから気付いていた。

 

直後、高密度のエネルギー弾をマリンとサンシャインに当てると続いてムーンライト、ブロッサムへと放ち、四人をあっという間に倒してしまう。

 

加えて俺も奴に裏拳で森の中へと吹き飛ばされてしまった。

 

残されたフラワーとコッペ様もデューンに立ち向かうが、瞬殺されてしまった。

 

動けるのは俺、ただ一人。

 

そこで俺はついに完成した切り札、オーバードライブを発動させる。

 

俺は黒いロングレザーコートを纏い、デューンと再び相対する。

 

皆が倒されたからか身体中にフツフツと何かが込み上げてくるような感覚があった。

 

それは怒りだった。

 

 

『デューン……お前は少しやり過ぎた。悪いがもう……容赦はしない』

 

 

俺は奴の視界から消え、後ろに回り込む。

 

 

『な、消えただと!?』

 

 

『後ろだ』

 

 

そこから攻撃を繰り返しデューンを追い詰めていく。

 

そしてダブルヒートバーナーで一気に決めようとしたとき……

 

 

『動くな』

 

 

突如、聞こえてきた声に俺は動きを止めた。

 

目を向けるとそこには仮面を着けた銀髪の男が黒いエネルギー弾を薫子さんの方へと向けていた。

 

 

『お前は?』

 

 

だが俺の質問には答えずに、仮面の男はデューンに声をかけた。

 

 

『デューン様……お迎えに上がりました』

 

 

『サバークか』

 

 

デューンはバインドを破壊すると、サバークの方へと歩いていく。

 

そして薫子さんを抱き上げた。

 

 

『おっと、おかしな真似はするなよ魔導師の男……奴らを傷つけたくなければな』

 

 

『ち……』

 

 

皆の方を向くと、ダークプリキュアが側で控えていた。

 

すると上空から巨大な要塞、惑星城が現れる。

 

デューンは俺の方を見ると言った。

 

 

『この屈辱は忘れないよ魔導師君。色々と覚悟しておくことだ』

 

 

薫子さんを連れ惑星城にワープしていった。

 

 

『…………』

 

 

惑星城が完全に見えなくなってから一先ず俺は気絶してる皆を植物園へと運んだ。

 

その後バリアジャケットを解除し、休む。

 

回復効果のある結界も展開させることで全快できるようにしておいた。

 

その間に軽く妖精達と今後の方針を話し合う。

 

薫子さんが連れ去られてしまったが、すぐそばには使い魔のピッツがついている。

 

そのおかげで惑星城の詳細な位置は分かっていた。

 

後は奴が本格的に動き出したのと同時に待機しているオールスターズに合図を出し、俺はデューンの所へと向かうだけだった。

 

そして二時間ほど経つと……奴が動き出した。

 

それを感じ取った俺は久遠を連れて惑星城へとさっそく転送魔法で飛ぶ。

 

つぼみ達は妖精達に任せて、相棒も植物園に残って皆のサポートをするよう命じていた。

 

そして俺が飛んで数秒後、妖精達がつぼみ達を急いで起こし始めた。

 

 

『『起きるですぅ!!』』

 

 

植物園で眠っていたつぼみ達は、妖精達の大きな声で目を覚ます。

 

 

『どうしたのよコフレ~、そんな大きな声出してさ~…………ふわぁ』

 

 

『えりか!暢気(のんき)にあくびなんてしてる場合じゃないですぅ!いよいよデューンが動き出すですぅ!デザートデビルがやって来るですうぅぅぅ!!』

 

 

コフレの言葉に四人の意識が一気に覚醒する。

 

 

『デューン……あ、おばあちゃんは!?』

 

 

『そういえばあたし達あのあとデューンにやられて……』

 

 

『どうなったんだろう?』

 

 

『植物園に運ばれたみたいだけど……』

 

 

つぼみ、えりか、いつき、ゆりはそれぞれ声をあげるとコロンが説明する。

 

 

『皆、今は混乱してるだろうけど手短に話すよ。皆がデューンにやられた後、ヒエンがここに運んでくれたんだ。そして肝心のデューンは……キュアフラワーを惑星城で拐っていってしまったんだ』

 

 

『おばあちゃんが!?』

 

 

つぼみが大きな声をあげる。

 

 

『だが安心してほしい。ヒエンが言うにはキュアフラワーはちゃんと無事だから』

 

 

『よ、良かった……』

 

 

すると続いてゆりが話しかける。

 

 

『でコロン……その彼はどこへいったのかしら?見当たらないのだけど』

 

 

『あー……えっとだね……』

 

 

コロンが言いづらそうにしているとき、植物園に突如光り輝く魔法陣が現れる。

 

 

『え!?なになに!?』

 

 

突然のことにうろたえるえりか。

 

光が収まるとそこには俺に呼ばれたオールスターズの面々が揃っていた。

 

 

『み、みんな!?』

 

 

『『『『え、えっと……』』』』

 

 

それぞれのリーダー四人組が助けを求めるように、各メンバーに視線を向ける。

 

そこでメンバーを代表してほのかがつぼみ達に話しかける。

 

 

『ヒエンさんからもうすぐ世界中に放たれるデザートデビルを倒すために力を貸してほしいって聞いてたんだけど……そういえば肝心のヒエンさんはどこに?』

 

 

『え!?そうだったんですか!?私達は知りませんでしたが……』

 

 

つぼみが他の三人に視線を向けるが、三人も首を横に振る。

 

 

「あー……このときつぼみ達にも簡単に伝えとくべきだったなー」

 

 

このときはコロンに伝えとくよう言っといたんだが、なんか無性に言いづらそうにしてるし。

 

そこらへんはもうちょっとうまくやるべきだったな。

 

するとシプレ&コフレが大声を出した。

 

 

『『もうすぐデザートデビルがやってくるですううううぅぅぅ!!』』

 

 

その直後……

 

 

 

ドゴオオオオォォォォンン!!!!!!

 

 

 

突如凄まじい光が彼女達を襲う。

 

 

『『『『キャァァアア!?』』』』

 

 

光が収まってから全員で外へ出ると、そこには巨大な悪魔のような怪物デザートデビルが五体現れる。

 

大きさは40mはある巨体であった。

 

 

『ひとまず……』

 

『話はまた後ってことで……』

 

『今はとりあえず……』

 

『あのデカブツを……』

 

『倒しましょう!!』

 

 

ピンク色リーダー五人組は互いに頷き合うと、各自の変身アイテムを取り出し、それぞれの敵へと向かっていった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

外に出たなぎさとほのかは、互いに頷きあうとメップルとミップルが変化した変身アイテムであるハートフルコミューンに手をかざす。そして手を取り合って同時に叫んだ。

 

 

『『デュアル・オーロラ・ウェーブ!!』』

 

 

二人の身体をオーロラが包み、なぎさが黒を主体とした衣装に、ほのかが白を主体とした衣装に変わっていく。

 

 

『光の使者!キュアブラック!』

 

『光の使者!キュアホワイト!』

 

 

『『ふたりはプリキュア!!』』

 

 

そしてホワイトとブラックの二人はデザートデビルへと指を差し告げた。

 

 

『闇の力の僕達(しもべたち)よ!』

 

『とっととお家に帰りなさい!』

 

 

それを見ていたひかりも、変身アイテムであるタッチコミューンを手に持ち、掛け声を放つ。

 

 

『ルミナス!シャイニングストリーム!』

 

 

するとひかりの身体を優しい光が包み込んでいく。

 

神々しい光を纏いながらピンクを基調にした衣装を纏ったシャイニールミナスがその姿を現した。

 

 

『輝く命、シャイニールミナス!光の心と光の意志、(すべ)てをひとつにするために!』

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

『いくよ舞!』

 

 

『うん!』

 

 

二人のパートナー妖精であるフラッピとチョッピがクリスタルコミューンに変化する。

 

咲と舞は先端のクリスタルを回し、手を繋いで同時に叫んだ。

 

 

『『デュアル・スピリチュアル・パワー!!』』

 

 

二人の身体を薄い光が包み、咲は赤紫色を主体とした衣装に、舞は銀白色を主体とした衣装に変わっていく。

 

 

『花開け大地に!』

 

『羽ばたけ空に!』

 

 

そして二人は花鳥風月をモチーフにしたプリキュアへと変身する。

 

 

『輝く金の花!キュアブルーム!』

 

(きら)めく銀の翼!キュアイーグレット!』

 

 

『『ふたりはプリキュア!!』』

 

 

イーグレットとブルームの二人はデザートデビルに指を差し告げた。

 

 

『聖なる泉を(けが)す者よ!』

 

『アコギな真似はお止めなさい!』

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

『みんな、変身いくよ!』

 

 

『『『『イエス!』』』』

 

 

のぞみの合図に一同は頷く。

 

そして変身アイテムであるキュアモを手に取り、ボタンを押し同時に叫んだ。

 

 

『『『『『プリキュア・メタモルフォーゼ!』』』』』

 

 

のぞみ、りん、うらら、こまち、かれんの身体をピンク、赤色、黄色、緑色、青色とそれぞれの色をモチーフにした蝶の光が五人をプリキュアへと変えていく。

 

 

『大いなる希望の力、キュアドリーム!』

 

『情熱の赤い炎、キュアルージュ!』

 

『はじけるレモンの香り、キュアレモネード!』

 

『安らぎの緑の大地、キュアミント!』

 

『知性の青き泉、キュアアクア!』

 

 

『『『『『希望の力と未来の光! 華麗に羽ばたく5つの心! Yes!プリキュア5(ファイブ)!!』』』』』

 

 

名乗りを上げた五人に続き、くるみも変身アイテムであるミルキィパレットを手に、タッチペンでボタンを押して叫んだ。

 

 

『スカイローズ・トランスレイト!』

 

 

するとくるみの身体を青いバラの光が包み込み、紫を基調にした衣装を纏った青いバラの戦士ミルキィローズが現れた。

 

 

『青いバラは秘密の印、ミルキィローズ!』

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

『いくよ皆!』

 

 

『『『ええ!/うん!/はい!』』』

 

 

ラブの指示で、美希、祈里、せつなは変身アイテムであるリンクルンを構え、叫んだ。

 

 

『『『『チェインジ・プリキュア・ビートアップ!』』』』

 

 

するとラブ、美希、祈里、せつなの身体を桃色、青色、黄色、赤色の光が四人の姿をフルーツをモチーフにしたプリキュアへと変わっていく。

 

ラブはレモン色にツインテール、美希は薄い紫色のサイドテールに、祈里は山吹色のウェーブがかかったセミショートに、せつなは淡いピンク色のロングヘアーに変化した。

 

 

『ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!』

 

『ブルーのハートは希望のしるし!つみたてフレッシュ、キュアベリー!』

 

『イエローハートは祈りのしるし!とれたてフレッシュ、キュアパイン!』

 

『真っ赤なハートは幸せの証!()れたてフレッシュ、キュアパッション!』

 

 

『『『『レッツ、プリキュア!!』』』』

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

そしてつぼみ達も変身アイテムであるココロパフュームを構えた。

 

 

『皆、いきますよ!』

 

 

『『『了解!』』』

 

 

そしてつぼみ、えりか、いつき、ゆりは光のワンピースに包まれ、それぞれのこころの種を装填した。

 

 

『『『『プリキュア・オープンマイハート!』』』』

 

 

つぼみ、えりかはココロパフュームを互いに吹きかけ、いつきも自身の身体に吹きかけていく。ゆりも舞うように光を纏う。

 

そして四人とも自身の色をモチーフにしたワンピースを身に纏うと、勢い良く名乗った。

 

 

『大地に咲く一輪の花、キュアブロッサム!』

 

『海風に揺れる一輪の花、キュアマリン!』

 

『陽の光浴びる一輪の花、キュアサンシャイン!』

 

『月光に冴える一輪の花、キュアムーンライト!』

 

 

『『『『ハートキャッチプリキュア!!』』』』

 

 

そして変身を完了させたプリキュア達が一斉に名乗った。

 

 

 

『『『『『全員集合!プリキュアオールスターズ!!』』』』』

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

「…………」

 

 

映像を見ていたが思った。

 

なんか圧倒される。

 

周りの大人達も唖然としていた。

 

っていうか幼女六人組なんぞ目の輝き具合が半端ではないのだが。

 

まあ、九歳ってまだまだ子供だもんね。

 

アリシアに至っては実際は肉体年齢は六歳だが、フェイトと同じ学年ということで書類上は九歳となっている。

 

しっかり飯食って寝て健康的な生活を送ればすぐに大きくなると思うから別に問題はないと思う。

 

映像に戻るが、プリキュアオールスターズは、希望ヶ花市にはびこっていたデザートデビルをあらかた片付けた後、ミニッツ達のサポートもあって世界中に放たれたデザートデビルを一気に倒していった。

 

そしてその数分後……

 

世界中である放送が流される。

 

 

『人間共よ……お前達の地球は我々「砂漠の使徒」によって征服された。海も川も森も、お前達人間も……全て砂に埋もれるがいい』

 

 

画面に映るデューンは勝利を確信したのか、大きな声で笑い始めた。

 

 

『ククククク……ハッハッハッ。アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!!!!』

 

 

笑い続けるデューンにそれぞれ厳しい目を向けるプリキュア達。

 

しかしそこで彼女達全員、次の瞬間には目を点にさせていた。

 

 

『ずいぶんごきげんじゃないかデューン……力を取り戻してハイにでもなったか?』

 

 

俺の登場である。

 

 

『ハッハッハッハ…………なに?』

 

 

そしてモニターを見ていた全員、こっちをすんごい顔で見ていたが俺は無我の境地でモニターを見続ける。

 

 

『貴様は……魔導師!?』

 

 

『こころの大樹を滅ぼして……デザートデビルも降下させ地球への侵攻もできて……そのうえキュアフラワーへの復讐もできて……気分がいいか?』

 

 

『なぜ貴様がここにいる?』

 

 

『お前がキュアフラワーを狙っていることは分かっていたからな。だからキュアフラワーの側には、常時俺の使い魔をつけていた』

 

 

そのとき遠目ではあるが、薫子さんの横姿が映される。彼女の肩の上にはピッツと久遠が乗っていた。

 

 

『そのおかげでキュアフラワーの居場所は最初から分かっていた。あとはお前が動き出すタイミングを見計らって、転送魔法でこの場所にやってきたって訳だ』

 

 

『転送魔法ね。相変わらずなめた真似をしてくれる。よほど死にたいとみえる』

 

 

『そっちこそ力を取り戻したからか、ずいぶん上から目線じゃないか。さっきまで俺にやられていた人物とは思えないな』

 

 

『あのときは封印された状態だったからね。力が出しきれずにいたのさ。今の私はあのときより……格段に強いぞ?』

 

 

デューンは半笑いになりながら余裕を見せるように大きく手を広げ……

 

俺はデューンを変わらず、睨み付けていた。

 

 

『そうみたいだな。あのときよりも感じられるパワーが半端じゃない。今の俺じゃ、お前に触れることもできなさそうだ。だから限界を超えさせてもらう。限界突破(リミットブレイク)……オーバードライブ……』

 

 

俺はオーバードライブを発動させ、黒いロングコートを纏った。

 

その姿にデューンは楽しげに笑う。

 

 

『あのときの姿か、丁度いい。あの時の貴様を……いままさに……叩き潰したいと思っていたところだ』

 

 

『光栄だな。だが調子に乗るなよ、砂漠の王。なんでもかんでもお前の思い通りになると思ったら大間違いだ』

 

 

『その言葉そっくりそのまま返そう、魔導師。今は地球を守っていたこころの大樹も枯れ、砂漠の種であるデザートデビルも世界中にばらまかれた。これでもまだ言えるかい?たかだか人間風情が……「砂漠の使徒」に勝てると?本当にそう思っているのかい?』

 

 

このときのデューンのドヤ顔にはイラッときていたからな。ついムキになって言い返したんだよな。

 

 

『勝てるさ』

 

 

すると画面の俺にカメラが映る。

 

今気付いたけど、めっさドアップじゃない。そりゃ戦いが終ってから日本人ってバレるわ。

 

 

『地球には……最後の希望が残ってる。まだ「プリキュア」がいる』

 

 

俺の言葉を聞いたデューンはさらに笑う。

 

 

『アッハッハッハッハッハ!これは傑作だ!君の頼みの綱がプリキュアだったとは……だがもう終わりさ。プリキュアがこっちにやってくる頃には地球の砂漠化はもう完了している。見たまえ……この青い色も』

 

 

『まだ気付かないのか?』

 

 

『…………なに?』

 

 

そのとき通信の音声が映像越しに聞こえてきた。

 

 

『デューン様!デザートデビルの数が物凄い勢いで減っています!!』

 

 

『なに!?』

 

 

デューンは大きな声をあげる。

 

 

『それが……プリキュアです!!プリキュアが世界各国に現れ、デザートデビルを倒して回っています!!』

 

 

『プリキュア……だと?バカな……プリキュアは奴ら以外にいるはずが!?それになぜ地球に生命がまだ存在している!?こころの大樹は枯らしたはずだ!?』

 

 

『だから言っただろう。お前の思い通りにはならない……と』

 

 

『貴様が原因か魔導師!?一体何をした!?』

 

 

『逆に聞くがデューン……お前がこの地球にくることが分かっているのに、お前の狙いが分かっているのに……俺がなんの対策をしていないとでも思ったか?』

 

 

『…………どういう意味だ?』

 

 

『お前にも分かるように言ってやる。お前が枯らしたものは本当にこころの大樹か?プリキュアはお前が知ってる人間以外に本当に他にいないと思ったか?』

 

 

その言葉を聞いてデューンの顔色が変わった。

 

 

『まさか……全て貴様が仕組んだのか?』

 

 

『さぁな。そこまで答えてやるほど俺もお人好しじゃない。どうしても答えてほしかったら……答えさせてみろよ砂漠の王様』

 

 

俺はグローブに炎を灯し、構える。

 

 

『サバーク……映像はそのままにしておけ。決めたよ魔導師君。まずはプリキュアからと思っていたが……気が変わった。全世界の人間が見ている前で……君をなぶり殺しにしてあげよう』

 

 

対してデューンも身体に赤いオーラを纏わせ、構えた。

 

 

『上等だ。あんたには色々借りがあるからな。それも全部まとめて返してやるよ。デューンあんたは、いや貴様は……死ぬ気でぶっ飛ばす!!』

 

 

『それはこちらのセリフさ。ここまでコケにされたのは生まれて初めてだ。せいぜいあがけ……人間!!』

 

 

そして俺は薫子さんを転送魔法で惑星城の端の方へと転移させた後、デューンに戦いを挑んだ。

 

俺とデューンの戦いは当初互角であった。

 

奴が最初は遊んでいたというのもあるだろうが、俺もオーバードライブの試運転をするためだったという意味では同じような状況だったといえる。

 

そして奴は楽しげに話しかけてくる。

 

このとき俺は奴と戦うことでオールスターズがデザートデビルを倒す時間を稼ぐのと、やがて来るであろうブロッサム達が幹部と戦う時間を稼ぐ狙いもあったので奴の口車に喜んで乗った。

 

だが奴の口から語られるのはとんでもない内容の話ばかりだった。

 

俺は質問した。

 

 

『……なぜお前はそこまで地球にこだわる?』と。

 

 

奴は返答した。

 

 

『地球は僕の憎しみを増幅させるのにふさわしい星だからさ』と。

 

 

奴の憎しみ……。

 

それは自身を殺そうとした父親へのある意味での復讐であった。

 

デューンは幼少期、惑星城の王であった父親に殺されかけている。

 

当時、後継者であったデューンは義兄弟からもその命を狙われていた。

 

俗に言う跡目争いというやつだ。

 

そして義母に(そそのか)された王はデューンを暗殺しようとする。

 

しかしそのことを察したデューンの乳母が城の外へと脱出させていた。

 

だがその乳母さえも追っ手に見つかり、デューンの目の前で殺されてしまった。

 

そのときのデューンの年齢は七歳。

 

そんな小さな少年になんとかできるはずもなく、適当に逃げた教会で震えていたらしい。

 

そんなとき、幼い彼は崇められていたデビルの像に願った。

 

 

『僕の魂を捧げるから、父を殺す力をくれ』と。

 

 

すると奇跡的に祈りが通じたのか、デューンは無限の力を手に入れると、父と義母と腹違いの弟を直接手にかけ殺した。

 

そして砂漠の使徒の王となったデューンは地球へと侵略を開始するのだ。全ては忌まわしき父親を超えるために。

 

あまりの内容にモニターを見ている面々の表情は悲痛な面持ちであった。

 

特に純粋で優しい面を持つ海鳴の女性陣は、一様に悲しい表情をしていた。

 

そして再び始まる俺とデューンの戦い。

 

激しい攻防の末、どちらもそれなりのダメージを受ける。

 

だが戦い続けることによって徐々にデューンのパワーが上がっていった。

 

そして俺のパワーをデューンがついに凌駕した。

 

俺は数キロ程、吹き飛ばされると闘技場と思わしき広場で戦っているムーンライトとダークプリキュアの場面に遭遇した。

 

プリキュア達はそれぞれ因縁ある敵と戦っていた。

 

マリンはクモジャキーと、サンシャインはコブラージャと、ムーンライトはダークプリキュアと決着をつけるために戦っていた。

 

そしてダークプリキュアの側に控えていたサバークが俺に向けてエネルギー弾を放つが、隣にいたブロッサムが俺を庇う。

 

それにぶち切れた俺が真っ正面からサバークの顔面をぶん殴る。

 

するとその拍子でサバークの仮面が割れる。

 

そこで彼の正体が判明する。

 

 

『お父さん!』

 

 

『サバーク博士が……ムーンライトのお父さん!?』

 

 

なんとその正体はゆりの父である月影英明博士だった。

 

彼は三年前、『こころの大樹』の研究のためにフランスに行っていたとき、デューンの野郎に(そそのか)され、洗脳されてしまい『砂漠の使徒』の仲間になってしまった。

 

ゆりは変身を解除して月影博士に近付こうとする。

 

しかしそれを邪魔しようとする者が……。

 

 

『来るな!!よくも……よくも私の父を傷つけてくれたな!!』

 

 

ダークプリキュアだ。

 

 

『私の父』という言葉にゆりは驚愕する。

 

そこで判明したのはまたしても驚愕の事実であった。

 

なんとダークプリキュアはゆりの身体の一部を使って作られたクローンなのだ。

 

ゆりはその事実に茫然自失となり、座り込んでしまうが、ここでブロッサムがダークプリキュアからの攻撃を防ぎながら、彼女に喝を入れる。

 

 

『ゆりさん!しっかりしてください!ゆりさん!!』

 

 

『…………』

 

 

『ゆりさんのお父さんがこんなことになったのには、きっと何か深い訳があったんです!そのお父さんを守るためにも、ここで負ける訳にはいきません!!』

 

 

『ブロッサム……』

 

 

『ゆりさんは言いました。ダークプリキュアに打ち勝つことがかつての自分に打ち勝つことだって。私の憧れる強くて優しいゆりさんは……決して自分に負ける人ではありません!!』

 

 

『…………』

 

 

『お父さんを……自分の本当の気持ちを信じて下さい!!』

 

 

『自分の……気持ち……』

 

 

俺も一言、言った。

 

 

『一発ぶん殴ってやれ』

 

 

『え?』

 

 

『自分の言いたいこと……本音をお父さんにぶつけて……そのあと一発ぶん殴ってやれ』

 

 

『私は……お父さんを……』

 

 

『私達プリキュアの想いは、皆の想いは……ゆりさんと共にあります!!』

 

 

『!!』

 

 

そこでゆりは持ち直し、ブロッサムと協力することでダークプリキュアの攻撃を完全に防いだ。

 

 

『キュアブロッサム……ついでに大空氷炎、貴方達のおかげで私はもう一度戦う勇気を取り戻したわ。……ありがとう』

 

 

勿論、貴重なゆりのデレた瞬間は記録として残っている。

 

こんなの残してるってバレたらゆりに殺されるだろう。

 

だが問題ない。

 

バレなきゃよかろうなのだー!!!!

 

フハハハハハ(゜▽゜*)

 

そして変身を完了させたムーンライトは、ゆっくりとダークプリキュアに近づいていく。

 

 

『これで終わりにしましょう』

 

 

『いいだろう。私達はどちらかが消えるまで戦う運命(さだめ)

 

 

『たとえ私が消えたとしても、ブロッサムがいる、マリンがいる、サンシャインがいる。そして彼……ヒエンもいるわ』

 

 

『そいつらも全て倒すだけのことだ』

 

 

『簡単には倒されない。それがプリキュアの絆!!』

 

 

その言葉を皮切りに二人の……光と闇のプリキュアが激突した。

 

 

 

ドドドドドドドッッッッッ!!!!!!

 

 

 

二人の打撃音が響く。

 

ダークプリキュアも先程までとは違い、動きに鋭さが戻っていた。ムーンライトの攻撃も速さと鋭さが半端ではなかった。

 

二人は振り向くと、同時に自身のタクトを向けあった。

 

 

『くだらんな……この一撃で決着(けり)をつける!!』

 

 

『望むところ!!』

 

 

そして二人はタクトにエネルギーを収束させ、その身に纏う。

 

 

『プリキュア・ダークパワーフォルテッシモ!!』

 

 

『プリキュア・フローラルパワーフォルテッシモ!!』

 

 

そして互いにエネルギーを身に纏い、空中へと飛翔を開始した。

 

ムーンライトは紫の光を纏いながら、ダークプリキュアは赤い光を纏いながら互いに閃光となって激突する。

 

惑星城のコロシアム上を、紫と赤の閃光が何度も衝突する。

 

 

『はぁあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!』

 

 

『うわぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!』

 

 

そして二人は雄叫びをあげながら……真っ正面から激突した。

 

 

 

ドドドドドドドッッッッッ!!!!!!

 

 

 

『ぬ、ぬうぅ…………』

 

 

『く、くうぅ…………』

 

 

両者共に最大パワーを込める。

 

そこで俺は月影博士が目を逸らすように見ていることに気付く。

 

俺は彼に声をかける。

 

 

『目を逸らさないで下さい月影博士』

 

 

『だが私は……』

 

 

『これが貴方が望んでやった結果じゃないにせよ今、貴方の娘達が互いに命を懸けて死ぬ気で戦ってるんだ。貴方がいくら目を逸らそうと……その事実は変わらない』

 

 

『君に何が分かる!?私は……私は……娘達を……『だからこそ!!』』

 

 

俺は彼の胸ぐらを掴みながら怒鳴った。

 

 

『親のあんたがこの戦いから目を逸らしちゃダメだ!逃げちゃダメだ!この状況はあんたが作ったんだ!その事実から目を逸らすんじゃねぇ!現実から逃げるんじゃねぇ!あんたも大人なら……あいつらの父親なら……いや一人の男なら……覚悟を決めてあいつらの戦いの結果を、死ぬ気で見届けろ!!』

 

 

俺の叫び声が会場内に響く。

 

なんか滅茶苦茶恥ずかしいんですけどー!?Σ(゜Д゜)

 

その証拠に大人達がニヤニヤしながら見てきやがる!

 

やめろ!

そんな生暖かい目で俺を見るな!

そんな優しい目で俺を見るなあああああああああぁぁぁ!!!!!!\(゜ロ\)(/ロ゜)/

 

 

爆発音が響く。

 

戦いがもうすぐ終わる。

 

 

『バ、バカな……』

 

 

『勇気……愛……友情……優しさ……悲しみ……喜び……たくさんの気持ち……皆の心……仲間との絆……命と心に満ち溢れたこの世界を、私は守る!!』

 

 

ムーンライトのフローラルパワーフォルテッシモが一段と輝き、ダークプリキュアのダークパワーフォルテッシモを打ち破った。

 

 

『バ、バカなああぁぁぁ!!!!』

 

 

『ハート……キャッチ!』

 

 

 

ドゴオオオオオォォォォン!!!!!!

 

 

 

そしてダークプリキュアは静かに地面へと落ちた。

 

崩れ落ちたダークプリキュアを月影博士が優しく抱く。

 

 

『おとう……さん……』

 

 

月影博士の腕の中で満足しきった表情のダークプリキュアは目を閉じると、その身体は粒子となって夜空へ舞い上がっていった。

 

俺達はそれを見送る。

 

するとそこでまたしても奴が現れた。

 

 

『はっはっはっ。とんだお涙頂戴だね。とっても面白かったよ』

 

 

柱の最上部でこちらを笑いながら座っているデューンの姿があった。

 

見ればデューンの身なりは綺麗になっており、ダメージも無くなっていた。

 

全快になったからか再び俺達の前に姿を現したらしい。

 

デューンは月影博士と会話をする。

 

まるで彼をからかうように……

 

まるで自分に憎しみを向けさせるように……

 

挑発するように会話する。

 

そしてデューンは俺達を始末するために動き出した。

 

 

『最後の希望「プリキュア」……僕が直々に絶望というものを味合わせてあげよう』

 

 

始まる最後の戦い。

 

まずは月影博士が俺達を庇うように前に出る。

 

月影博士も人間離れしたスピードやパワーでデューンに迫る。

 

サバーク博士として仮面で洗脳された際に、身体も強化されたのだろう。

 

だがその強化された力ですらデューンの圧倒的なパワーには敵わない。

 

ムーンライトとブロッサムも一緒に攻めていくが、やはりデューンには敵わない。

 

そして奴は圧倒的なパワーを持って三人を吹き飛ばす。

 

その影響か、つぼみ達の変身まで解除されてしまった。

 

まずいと思った俺はコッペ様にすぐにえりかといつきの二人を連れてくるようにお願いする。

 

コッペ様は俺の体力を回復してくれるとすぐに二人の元へと向かってくれた。

 

その間に俺はデューンが再び放とうとしていたエネルギー弾を止めるために向かった。

 

破裂しそうだったエネルギー弾をなんとか零地点突破・改で防ぐと俺の体力も全回復する。

 

全快になった俺はそのまま後ろで呆然となっていたつぼみとゆりに声をかけるが……

 

 

『…………二人とも……その……なんというかいつまでもそんな格好でいるのは……年頃の女の子として、どうかと思うぞ?』

 

 

つぼみとゆりは俺の言いたいことをなんとなく理解したのか、顔を赤くさせる。

 

だが何を勘違いしたのか胸元を隠しながら反論してきた。

 

 

『こ、こんなときに貴方は一体何をいってるんですか!?』

 

 

『…………貴方という男は……時と場所を考えなさいよ』

 

 

『ねぇ?おかしくない?なんで俺が怒られてんの?いつまでもそんなハレンチな格好でいるお前達が悪いんだろうが。俺はそれを注意しただけだ。つまり俺は悪くない』

 

 

『ハ、ハレンチ!?私達がハレンチ!?失敬な……好きでこんな格好になった訳ではありません!!』

 

 

『つぼみ変身よ。まずはデリカシーのないこの男を浄化するわよ』

 

 

『はい!』

 

 

「やはりヒエン様はどこにいってもヒエン様なのですね」

 

 

「ねぇノエルさん、それどういう意味で言った?」

 

 

すると映像を見ているノエルがポツリと呟く。

 

すかさず俺は突っ込むがスルーされる。

 

まあ気にせず映像に戻ろう。

 

 

『『プリキュア・オープンマイハート!』』

 

 

『大地に咲く一輪の花、キュアブロッサム!』

 

『月光に冴える一輪の花、キュアムーンライト!』

 

 

変身を完了させた二人は俺の隣に並ぶ。

 

 

『いくぞ!』

 

 

『はい!/ええ!』

 

 

三人で一斉に攻めていく。

 

デューンもこちらに攻めてきた。

 

俺達はコンビネーションを駆使して攻撃する。

 

ブロッサムとムーンライトがエネルギー弾を放つとデューンは吹き飛び、その後方から俺がビッグバンアクセルで攻撃する。

 

次第に攻撃がデューンに当たるようになっていく。

 

その証拠に奴の顔は焦燥にかられていた。

 

そしてデューンは苦し紛れにエネルギー弾を放つが、ある人物によって防がれた。

 

 

『サンフラワー・イージス!』

 

 

俺達の前にはマリンとサンシャインがいた。

 

二人も攻撃に加わり、デューンを更に追い詰めていく。

 

順調に攻めらていたからか俺はふと気を抜いてしまった。

 

そのとき……

 

 

 

ギロリ!!

 

 

 

デューンの視線が俺の方へと向き、攻撃をされていた。

 

 

『うお!?』

 

 

デューンは激しいラッシュで俺に攻めてくる。

 

こちらもなんとかガードしていくが、防戦一方となる。

 

 

『貴様さえ……貴様さえいなければ僕の悲願の砂漠化は叶っていた!貴様さえいなければ……貴様さえいなければあああああぁぁぁぁ!!!!』

 

 

奴は感情的になりこちらを怒鳴る。

 

そして俺を壁まで吹き飛ばした。

 

俺も咄嗟にバーニングアクセルを放つが、かわされ赤いエネルギーを凝縮したパンチを腹にくらってしまった。

 

 

『ぐふぅ!?』

 

 

俺は壁を貫通して吹き飛んでいく。

 

その際にアバラが再び折れてしまった。

 

直ぐ様、ブロッサムが俺を受け止めてくれるが俺は戦える状態ではなくなったため身を隠す。

 

その間にも三人でデューンを追い詰めていた。

 

ブロッサムも合流し、追撃を仕掛けていく。

 

フォルテウェイブとフォルテッシモの攻撃を食らわせた後に、スーパーシルエットになりハートキャッチオーケストラで決めようとするが……

 

だがデューンはそれすらも耐える。

 

それを見越していた俺は転送魔法でプリキュア達の前に出ると、準備していたダブルヒートバーナーを放った。

 

 

『ぐぁあああああああああああ!?』

 

 

俺達の最大攻撃を食らったデューンは白目を向きながら直立不動で気絶していた。

 

しかしすぐに目覚め俺達へと敵意を向ける。

 

 

『やってくれたねプリキュア……それに魔導師。でもね、この程度じゃ僕は倒せない。僕の憎しみは消えないよ』

 

 

『そういえば……デビルの像に願って無限の力を手に入れたとか言ってたな』

 

 

『ああ、そうさ。僕の力の根源は憎しみだ。憎しみが上がればあがるほど僕の力は強くなる』

 

 

『完全にプリキュアとは対極の力だな』

 

 

『僕の憎しみは増殖し、全てを破壊し、奪い尽くすまで……消えることはない。君達がよく口にする愛など、僕の前ではゴミだということを教えてやろう!』

 

 

デューンは力を込め始めるが……俺は奴にふと気になったことを呟いていた。

 

 

『本当にそう思ってるのか?』

 

 

『なに?』

 

 

デューンは俺に目を向ける。

 

 

『本当に……お前は愛という感情をゴミみたいに感じているのかと聞いたんだ』

 

 

『なにがいいたい?』

 

 

『お前は言っていたな?父と義母と腹違いの弟をこの手で切り刻み殺したと。お前の憎しみは、家族から命を狙われたことが始まりだ。だがこうも言っていた。乳母が城の外へ脱出させてくれた……と」

 

 

デューンの側にも味方になっている人はいたのだ。

 

 

『……確かにお前の家族はお前を殺そうとした。だけどお前のことを心の底から案じてくれていた人がいたのも確かだ。その人はお前のことを大切に思っていたんだ。お前のことを必死に守ろうとしていたんだ』

 

 

『…………れ』

 

 

『だからたとえ殺されるとわかっていても……命をかけてお前を城から逃がしたんじゃないのか!?お前に生きていてほしいから!!』

 

 

『…………まれ』

 

 

『その人はお前を小さな頃から育ててくれた乳母だったんだろ!?その人はお前のことを心の底から愛していたんだ!!その人にとっちゃ、命を懸ける理由なんて、それだけで十分だったんだ!!』

 

 

『…………だまれ』

 

 

『なのにデューン……お前はこんなところで何をやってるんだよ!?お前のやってることは何なんだよ!?他の星を攻めて砂漠化させて……命を奪う?そんなことをして……その人が喜ぶと思ってんのか!?その人はお前にそんなことをさせるために……命懸けでお前を助けたと本気で思ってるのかよ!?』

 

 

『…………だまれええぇぇ!!!!』

 

 

デューンは高速で接近し、俺の首を片手で持ち上げる。

 

 

『おごっ!?』

 

 

 

メキメキメキメキ……

 

 

 

『さっきから黙って聞いていれば、ペラペラペラペラ好き勝手なことをいってくれるね!!』

 

 

そして俺は壁に叩きつけられた。

 

 

 

ドガァアアアアアアアアン!!!!!!

 

 

 

『…………ごぼっ!?』

 

 

『『『『ヒエン(さん)!?』』』』

 

 

口から勢いよく吐血し、俺はズルズルと壁をずり落ちた。

 

 

『はぁ……はぁ……はぁ……』

 

 

俺は壁に手をかけなんとか起きようとするが、身体に力が入らなかった。

 

このときはダメージも限界だったからな。

 

意識も朦朧としていたのだ。

 

 

『君達に今から見せてあげよう。圧倒的な絶望というものを。はぁああああああああ!!!!』

 

 

デューンは雄叫びをあげると足元から紫色の不気味な雲を発生させながら、身体を巨大化させていく。

 

そして雲は帯状に広がり、瞬く間に地球を覆ってしまった。

 

デューンの巨大化によって惑星城も崩壊していく。

 

俺はなんとかなけなしの体力と魔力を振りしぼり、飛翔魔法を発動させて飛ぶが……既に限界を迎えていた。

 

しかしブロッサム達が俺を支えて飛んでくれたことでなんとか落下だけは免れていた。

 

 

『みんな!こっちよ!!』

 

 

そのとき薫子さんの声が聞こえた。

 

目を向けるとそこには、本物のこころの大樹に乗っている薫子さん、コッペ様、月影博士達の姿があった。

 

俺達は巨大化したデューンを見る。

 

奴は惑星クラスにまで大きくなり、こちらをにらみつけていた。

 

途中、俺の名を呼びながら超巨大すぎるビームを放ったがアンジェ先輩が発動させた瞬間移動でなんとかかわすことに成功する。

 

このままではまずいということでなんとかするために俺達はデューンの前に飛んでいく。

 

俺はつぼみが支えてくれているのでなんとか飛べていた。

 

そしてつぼみ達はハートキャッチミラージュを構えながら、俺を守るように前に並んだ。

 

 

『デューン……貴方の悲しみが終わらないのは私達の力が足りないから。憎しみが尽きないのは私達の愛がまだ足りないから。だから……だから……』

 

 

『だから私達は力を合わせましょう』

 

 

隣にいたゆりがつぼみの手に重ねる。

 

 

『あたしも合わせる!』

 

 

『私も!』

 

 

『コフレも!』

 

 

『シプレも!』

 

 

『ポプリも!』

 

 

『僕もだ!』

 

 

プリキュアと妖精の面々が元気よく答える。

 

すると全員の視線がこちらを向いたので俺も答えた。

 

 

『お、俺も……』

 

 

「「「「皆で力を合わせるですぅ(しゅ~)(んだ)!!!!」」」」

 

 

そして四人のプリキュア達と四匹の妖精達の手が重なり合い、心が一つになると、ハートキャッチミラージュが上空に浮き、その鏡が輝き出した。

 

 

『『『『宇宙に咲く大輪の花!』』』』

 

 

皆が同時に叫ぶと、ハートキャッチミラージュはさらに光り出し、その輝きを増し、全員が聖なる光に包まれた。

 

光はさらに増していき、どんどん膨張していく。

 

デューンと同じくらいの大きさになって光が消えると、純白の衣を纏った少女が現れ、涼やかな声で言った。

 

 

 

『無限の力と無限の愛を持つ星の瞳のプリキュア、ハートキャッチプリキュア!無限シルエット!!』

 

 

 

無限プリキュアとなったつぼみ達がそこにいた。

 

俺はというといつの間にか少女の肩の上にいた。

 

少女は聖なる光を纏っている。

 

『聖少女』の誕生だ。

 

聖少女の顔はどこかつぼみといつきに似ている。髪はえりかのようにウェイブがかかっており、髪の色はゆりと同じである。

 

首に巻かれているマントは妖精達が変化した物に似ていた。

 

デューンは憎しみを込めた拳で聖少女を殴ろうとするが、聖なる力によって弾かれる。

 

 

『憎しみは自分を苦しめるだけ』

 

 

聖少女は静かに言った。

 

だが、デューンは耳を貸さず、雄叫びをあげながら何度も拳を打ち付ける。

 

だが、全て弾かれてしまう。

 

するとデューンの表情に変化が見え始めた。

 

憎しみや憎悪に満ちていた目は次第に畏怖の表情へと変わっていく。

 

対してデューンを見つめる聖少女の双眸(そうぼう)は、優しさに満ち溢れ、澄みきっていた。

 

デューンは恐れているのか、一歩二歩と後退する。

 

聖少女は穏やかに微笑みながら言った。

 

 

『食らえ……この愛!』

 

 

右拳に聖なる光のエネルギーを収束させデューンに放った。

 

 

 

『プリキュア・(こぶし)パーーンチ!!』

 

 

 

デューンの胸に優しくポスンと聖少女の拳パンチが当たる。

 

するとデューンの身体から邪悪なエネルギーが一瞬の内に弾け飛び、爆発が起こる。

 

俺は聖少女の肩の上にいるため、前方にシールドのようなものが働き、俺にまで届かない。

 

だがその爆発はまるでビッグバンを思わせた。

 

そしてデューンの姿が元の青年の姿に戻り、少年の姿に変わっていく。その姿はエネルギーを封印されていた時の姿だった。

 

デューンの表情は柔和になっていた。

 

もう彼の表情には憎しみや憎悪といった感情は感じられなかった。

 

俺はデューンと少し話した後、彼の旅立ちを見送った。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

こうして俺達の戦いは幕を閉じた。

 

だがこの後の聖少女様とのやり取りにより、俺は失言をしてしまい、『ちょっと(こぶし)パンチ』という名の鉄拳制裁を食らうのだが……正直に言おう。

 

あのときはマジで死ぬかと思った(迫真

 

惑星クラスにまで大きくなった聖少女様のハイライトの消えた目で見られたときは恐怖で動けませんでした。

 

ちなみにそのときのやり取りももちろん見られたのだが、女性陣全員から呆れられたのは言うまでもない。

 

あ、そうそう。

その流れで異世界で戦った映像も見せたら見ていた全員から俺となのは、フェイトは仲良く正座で怒られることとなったのは別の話である。

 




次回後日談最終話。

事後処理について。

では、また(・∀・)ノ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。