大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

今日のHUGっとプリキュアも面白かったですね。というか全員良いキャラしててマジ面白い。

特にルールーのツッコミが冴えてて面白いザマス。

敵キャラも個性的でいい感じだし。っていうかあの女幹部、どうみても芸人の平野ノラさんにしか見えない件について。

あと、話が変わるのですが……最近テイルズオブシンフォニアをやっているのですよ。

やっぱテイルズっていいですよね。

いやあ~
なつかしい(しみじみ(´∇`)

そしてこれだけはいえる。

コレットはかわいい(迫真)

脱線しましたな。

今回はvsギル・グレアム。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百二十話 前哨戦 決着編

ヒエンside

 

 

 

「フェイクシルエット!」

 

 

俺は幻惑魔法フェイクシルエットを使い、20人の幻影を呼び出す。

 

そしてその中に紛れてギル・グレアムの元へと向かっていく。

 

奴自身の強さも厄介だが、まずはあのデュランダルのユニット四機をなんとかしなければ近付くこともできない。

 

俺は奴を中心に囲うように動く。

 

するとユニット四機も奴を守るように配置される。

 

自動で動いているのか、はたまた手動で動かしているのかは分からないが防御主体に切り替えたのかもしれない。

 

俺はそのまま幻影に紛れて突貫する。

 

するとユニットから冷気のレーザーが放たれる。

 

俺は幻影を自動(オート)操作に切り替え、攻撃をかわすように指示を出す。

 

だが四機から放たれるレーザーは俺達を一掃するように動く。

 

四機のユニットはギル・グレアムの周りを回りながら連続でレーザーを放つ。

 

幻影もなんとかかわしているが徐々に数が減っていっている。

 

 

(だが今の奴の真上は……死角!)

 

 

俺は両手のグローブから炎を勢いよく噴射し、奴の真上へと回り込む。

 

そしてそこから砲撃を放った。

 

 

「ヒートバーナー!」

 

 

オレンジの砲撃が勢いよくギル・グレアムへと迫る。

 

 

「ほう……」

 

 

奴はどこか感心するような声を上げると、片手を上げてシールドを展開させる。

 

ぶつかり合うヒートバーナーと、ギル・グレアムのシールド。

 

だが奴のシールドは硬く、破壊するまでには至らない。

 

それを見た俺はさらに魔法を使う。

 

 

(真っ正面からダメなら横からだ!)

 

 

炎の分身(ファイアアバター)二人を呼び出し、側面から同じくヒートバーナーを放つ。

 

今、奴は四機のユニットを操り砲撃を放ちつつ、俺の攻撃をシールドで防いでいる。

 

つまりそれだけマルチタスクを駆使し、脳をフル回転させて魔法を使っているということ。

 

そして奴は恐らく操作魔法でユニットを操っている。

 

操作魔法というのは意外と複雑であり、魔力リソースの負荷が大きい。

 

いきなり高負荷で使うと立ちくらみを起こし、意識が飛ぶこともある。

 

俺も氷を操る訓練をし始めた当初は何度も気絶した覚えがある。その度にリニスに起こしてもらった。

 

そして魔法とは使用するとき術式、プログラムを起動させる必要がある。

 

その上、展開する場所・角度なども同時に計算しなければならない。

 

つまり……

 

魔法を使用する際はそれだけ演算能力を駆使しなければならないということ。

 

そしてギル・グレアムはユニットの操作、砲撃、シールドの展開……最低でも三つの工程を同時にこなしている。

 

以上のことから俺は……

 

 

(奴にこれ以上の魔法展開は不可能!)

 

 

と判断した。

 

 

 

しかし……

 

 

 

奴は俺の予想を容易に超えていく。

 

 

 

「戦略は悪くない……だが」

 

 

 

ギル・グレアムは二つの砲撃を()()()()()()()()()()して防ぐ。

 

 

 

()()()()()()()()……。

 

 

 

「まだまだ甘い」

 

 

 

そして奴のシールドから白銀の砲撃が放たれる。

 

ヒートバーナーは白銀の砲撃に押され分身に直撃する。

 

砲撃を食らった分身は呆気なく消滅した。

 

そしてその脅威は継続して砲撃を放っている俺にも及ぶ。

 

 

「ちぃっ!?」

 

 

俺はすぐに砲撃をキャンセルし、ブリッツアクションを発動させてその場から緊急離脱する。

 

すると俺のすぐ前を白銀の砲撃が通過した。

 

そのまま俺は後ろへと下がる。

 

そして下にいるギル・グレアムを睨み付ける。

 

 

(なんて奴だ……様子見で放ったとはいえ、ヒートバーナーを軽々と撃ち返しやがった……)

 

 

少なくとも先程放ったヒートバーナーは、なのはのディバインバスターと同程度の威力はある技だ。

 

それをあろうことかギル・グレアムの奴は楽々と撃ち返したのだ。

 

しかし奴が脅威的なのはそれだけじゃない。

 

 

(……あのプレシアですら魔法を発動させるのに()()()()()()()()()()があったのにも関わらず……奴にはそれすらなかった)

 

 

以前俺が戦った『大魔導師』プレシア・テスタロッサですら魔法を使用するとき、()()()()()()()()があったのにも関わらず、ギル・グレアムにはそれすらない。

 

完全にノーモーションで魔法を使用している。

 

それも基本的に俺よりも魔力練度が高く、威力も上で……。

 

そういえば以前、リニスが言っていた。

 

 

(確か……『本当の強者というのは自分の力をそれこそ息をするように自然に扱う』……だったか)

 

 

そのとき俺は思った。

 

的を得ている……と。

 

プレシアも魔法を使用するとき、その威力、スピードが尋常ではなかった。

 

俺が奴との勝負に勝てたのは、能力を底上げするフルドライブを使用していたのと、奴が病気で身体が弱っており本調子じゃなかったというのもあるだろう。

 

それこそ奴が病気にかかっておらず、万全の状態であったのならば……正直、勝てたかどうか分からない。

 

 

(本当に……オーバーSランクを超える奴らは怪物みたいなやつばかりだな……)

 

 

そもそもSランク自体、一つのボーダーラインとなっている……というかオーバーSランクという言葉でひとくくりにされている。

 

それだけSランクというのは格が違う。

 

はっきり言って魔力ランクがSを超えている時点で人間をやめている。

 

ここで分かりやすく言うために有名なRPGゲーム……ドラゴンクエストで例を出すとしよう。

 

例えばレベル1の魔法使いがいたとする。

 

その魔法使いは体力も低く、直接の攻撃力も皆無に等しい。

 

だがこの魔法使いには三つの長所があった。

 

それが魔法の威力の高さ……使える呪文の多さ……そして魔力の多さだ。

 

その魔法使いはマジックポイント:MPが最高の999はあった。

 

そんな魔法使いはある魔物に集団で囲まれてしまう。

 

ピンチに陥る魔法使い。

 

だが魔法使いは焦ることなく自身の持つ一つの魔法を使用する。

 

その魔法は有名な死の呪文……ザラキ。

 

その魔法を使用した魔法使いは魔物達を瞬殺する。

 

いくら体力がなかろうと……物理的な攻撃力が低かろうと……それを補えるほどの力をこの魔法使いは有しているのだ。

 

たとえ歴戦の兵士であろうと、強力な魔物であろうと……たいていの者はこの魔法使いの前では無力だ。

 

死の呪文を連発されればすぐに即死させられるのだから。

 

簡単にいえばそれがSランクだ。

 

Sランクという理不尽の塊だ。

 

魔力が多いというのはそれだけで武器になる。

 

それを自由自在に操れるようになればなるほど……その脅威は更に上がる。

 

 

「…………」

 

 

俺は歯噛みする。

 

ギル・グレアムは基本的に俺よりも魔力が多く、魔力練度も優れている。

 

そして戦闘経験なども圧倒的に上だ。

 

こちらがフルドライブを使用して能力を底上げしているとはいえ……それでも相手の方がまだ上だろう。

 

だがそれを埋めることは可能だ。

 

 

(これは……オーバードライブを使うしかないか?)

 

 

しかし問題が一つある。

 

オーバードライブは基本的に一日に使うのが一~二回が限度だということ。

 

その理由は大きく二つある。

 

一つ目は魔力消費が大きいこと。

 

二つ目が身体にかかる負担が大きいことだ。

 

俺は以前、ハートキャッチプリキュアの並行世界で『砂漠の使徒』との最終決戦が終わったあと、出来る限りのオーバードライブの調整を相棒と行った。

 

そのかいもあって身体にかかる負荷も軽くなり、以前よりも長くオーバードライブの状態を保つことが出来るようになったが……

 

だがそれでもなれる数は限られている。

 

そもそもオーバードライブは展開するだけでもそれなりの魔力を消費する。

 

このあと闇の書の管制人格との決戦が控えている身としてはできるだけ使用は控えたい。

 

そこまで考えたとき……俺はふと弱気になっていることに気付く。

 

頬を叩いて気合いを入れる。

 

 

(しっかりしろ!オーバードライブは本当に最終手段だ!今は出来る限りの手を試せ!!)

 

 

ここでウジウジ悩んでいても仕方がない。

 

俺は眼下にいるギル・グレアムに視線を向けつつ、深呼吸した。

 

 

「スー……ハー……よし、落ち着いた」

 

 

そして攻撃を開始した。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

俺は再度、ギル・グレアムに砲撃を放つ。

 

 

「ヒートバーナーフルバースト!」

 

 

広域砲撃ヒートバーナーフルバーストが奴の方へと向かう。

 

奴は冷気のレーザーを終了させると四機のユニットを操り、自身を氷の三角形で囲み、ヒートバーナーフルバーストをガードする。

 

幻影は既に消滅していた。

 

そのことを確認していた俺は再びフェイクシルエットを使用し、幻影20人を呼び出す。

 

そしてギル・グレアムへと突貫する。

 

まずは奴にダメージを与えないと話にならないからだ。

 

奴のノーモーション魔法に注意しつつ、幻影に紛れて近付いていく。

 

 

「またフェイクシルエットか……」

 

 

それを見た奴は魔法を使用する。

 

 

《Stinger Blade.》

 

 

デュランダルの音声が聴こえたのも束の間、奴の周囲に魔力変換資質『凍結』が付与された白銀の魔力刃が軽く五十本は現れ、俺に襲いかかってきた。

 

 

(普通のシールドじゃ凍らせて脆くされるだけ……なら!!)

 

 

俺は自身の上から円で囲むように炎を纏う。

 

 

火炎の球体(フレイムオーブ)!」

 

 

そして一番剣群の薄い所からそのまま突撃する。

 

 

「本物はそこか」

 

 

【調和】の能力が付与されている炎の球体を纏いながら魔力で強化されている氷の剣群に真っ正面から突っ込んでいくが……

 

 

(く……威力が思いのほか強い!?)

 

 

身に纏っている炎の球体バリアーが勢いよく削がれていく。

 

俺は炎の質を柔から剛に切り替え、身に纏う炎の質を上げる。

 

 

剛炎の球体(ブレイズオーブ)!」

 

 

そして……

 

 

「うぉおおおおおお!」

 

 

なんとか氷の剣群を突破することに成功する。

 

 

「…………」

 

 

そして剛炎の球体(ブレイズオーブ)を解除し、そのまま形態変化を使う。

 

 

形態変化(カンビオフォルマ) 攻撃形態(モードアタッコ) 死炎の手甲(ミテーナ・ディ・ヒート)!」

 

 

すると奴も幻影を全員消滅させたのかそのまま四機のユニットを呼び寄せ、再び氷の三角形で防御を固める。

 

そして俺はそのまま攻撃を放った。

 

 

灼熱の加速(バーニングアクセル)!」

 

 

濃い炎の球体と強力な氷の三角形が激突する。

 

 

「おおおおおおお!!」

 

 

俺は今出せる全力を込める。

 

 

 

ピキキキッ……

 

 

 

すると三角形にヒビが入る。

 

 

「ほお……中々の攻撃力だ」

 

 

だが奴は焦ることなく言った。

 

 

「なら……こちらも本気を出そう」

 

 

そのときヒビが入っていた三角形が修復される。

 

 

「なにっ!?」

 

 

(脆くなっていた盾を直しやがった!?……ならこっちも!!)

 

 

rev2(リヴィジョンツー)!」

 

 

更なる自己強化で対抗する。

 

するとバーニングアクセルも強くなる。

 

 

「お、おおおおおおおお!!!!」

 

 

「更に勢いが増した!?」

 

 

ここで今まで冷静だったギル・グレアムから初めて焦るような声が聞こえた。

 

 

(今ここで攻撃を引いたらダメージを与えるチャンスはもうこない!なら……これで決めるしかない!!)

 

 

俺は額の炎の出力も最大限に上げてさらにバーニングアクセルを強化する。

 

 

「おおおおおおおお!!!!」

 

 

「く……はぁあああ!」

 

 

そして強力な爆発が俺達を襲った。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

ドガァアアアアアアアンン!!!!!!

 

 

 

強力な爆発音が周囲に響く。

 

バーニングアクセルの余波で俺は海へと吹き飛ばされていた。

 

すぐに上昇すると俺はギル・グレアムを探す。

 

 

(どうなった?奴は……ギル・グレアムはどこだ?)

 

 

俺は周囲を警戒しながら様子を見るが……

 

 

「どこにもいない……」

 

 

奴の姿がなかった。

 

 

 

そのとき…………

 

 

 

ゾワリ……

 

 

 

不意に悪寒が走った。

 

 

「!?」

 

 

俺はブリッツアクションを使用して緊急加速して前方へと逃れる。

 

 

 

ドゴォオオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

すると俺が先程までいた場所を白銀の砲撃が通過する。

 

 

「砲撃!?一体どこから!?」

 

 

俺は周囲を見回す。

 

そしてその原因はすぐに分かった。

 

 

「ユニット!?」

 

 

デュランダルのユニットの四機の内の一つから放たれていたのだ。

 

そして俺は気付く。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「まずい!?」

 

 

すると一斉に四つのユニットから強力なレーザーが放たれた。

 

俺はグローブの炎の噴射で真上へと逃れる。

 

そして高速でその場から離脱する。

 

だが四つのユニットも俺の後についてくるようにプログラムされているのか、高速で追随してきた。

 

そして無数の白銀のエネルギー弾が俺を襲う。

 

俺はグローブの炎を微調整しながらエネルギー弾をかわしていく。

 

だがエネルギー弾はどんどんと増えていき、その数を増やしていく。

 

そして……

 

 

「ぐっ!?」

 

 

ついにエネルギー弾がかするようになってきた。

 

それだけじゃない。

 

 

(攻撃を食らった箇所が凍ってる!?)

 

 

黒スーツの一部が凍っていたのだ。

 

 

「くそ……こうなったら!」

 

 

俺は両手から砲撃を放つ。

 

 

剛炎の二重砲撃(ブレイズツインバスター) 拡散(ディバージ)!」

 

 

俺は空中に滞空し、周囲のエネルギー弾を一掃していく。

 

そしてある程度破壊すると……

 

 

 

 

 

 

「凍てつけ」

 

 

 

 

 

 

その身を氷のバインドで拘束されていた。

 

 

「なっ!?いつの間に!?」

 

 

すると白銀の砲撃が突然俺を襲った。

 

 

「ぐぁああああ!?」

 

 

俺は至近距離から砲撃を食らってしまいダメージを受ける。

 

全身を焼かれたような痛みに襲われる。

 

しかしバインドで拘束され続けているため身動きをとることもできない。

 

そして四つのユニットからさらに無数のエネルギー弾が放たれる。

 

 

 

ズドドドドドドッッッッ!!!!!!

 

 

 

「がぁああああ!?」

 

 

さらに全身を強烈な痛みが襲う。

 

エネルギー弾に込められている魔力の密度が尋常じゃない程に多い。

 

まるで機関銃を直接ぶつけられているかのような威力だった。

 

そして続けて第三波が放たれようとしたとき……

 

 

「ガァアアアアアア!!」

 

 

俺の肩に現れた相棒が調和の咆哮で砲撃を打ち消してくれた……と同時に俺を拘束していたバインドも調和の効果で打ち消してくれた。

 

さらに相棒は……

 

 

 

 

 

 

「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

全方面に調和の咆哮を放つことにより四機のユニットを破壊してくれた。

 

その影響で体力を大幅に消費した俺だがその隙を見逃さず、ブリッツアクションでその場から回避する。

 

そして許容以上のダメージを受けたことから自動治癒が発動する。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……サ、サンキュー相棒……」

 

 

「ガァウ~……」

 

 

相棒が泣きそうな表情でこちらを見る。

 

俺は相棒を心配させないように痛む身体を我慢しながら微笑む。

 

 

「だ、大丈夫だ……だから心配するな」

 

 

「ガゥ~……」

 

 

「安心しろ。自動治癒もあるから傷は塞がる」

 

 

(く……だが全身が焼かれるように痛む……)

 

 

攻撃を受けてしまった俺はボロボロであった。

 

頭からは少なくない血が流れ、黒スーツも所々破れていた。

 

全身もキズだらけなのか血が滲んでいた。

 

だが自動治癒が発動したことにより応急措置程度には傷が塞がる。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 

すると俺の前にギル・グレアムが現れる。

 

 

「はぁ……はぁ……ミラージュハイドか……」

 

 

どうやら姿を消して攻撃していたらしい。

 

だが奴も見るからにボロボロであった。

 

どうやら俺の攻撃……バーニングアクセルはちゃんと通っていたらしい。

 

 

「…………」

 

 

「……はぁ……はぁ……まだ……止まるつもりはないのか?」

 

 

俺はギル・グレアムに話しかける。

 

 

「……最初に言ったはずだ。止まるつもりはないと!」

 

 

するとギル・グレアムはデュランダルを俺に突き刺してくる。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

俺は咄嗟に身体をひねりデュランダルをかわす。

 

だがギル・グレアムはデュランダルを器用に回すと再度俺を襲う。

 

俺は痛む身体にムチを打ちながら必死に槍をかわす。

 

反撃しようにも武器の扱いも一流なのかなかなか奴の懐にもぐりこむことができない。

 

それに先程の調和の咆哮で体力を消費したせいか身体が思うように動かないというのもある。

 

 

(くそ……こうなったら!)

 

 

このままでは勝ち目がないと見た俺は咄嗟に右手に炎を纏わせると奴の顔面に放った。

 

 

炎の礫(ファイアボム)!」

 

 

「くっ……」

 

 

炎の(つぶて)で奴の視界を一時的に塞ぐと即座に奴の後ろに回り込む。

 

 

(ユニットは全部相棒が破壊してくれた!なら、もう不意討ちをされる心配はない!!)

 

 

そして形態変化を使い、ビッグバンアクセルを放とうとしたとき……

 

 

 

突如背中に激痛が迸った。

 

 

 

「ぐ……がぁああああ!?」

 

 

俺はあまりの痛さに飛翔魔法を解除してしまう。

 

そしてそのまま真っ逆さまに海へと落ちていく。

 

 

(バ、バカな……ユニットはもうないはず……一体なにが……)

 

 

俺はなんとかダメージの元は何かを確認しようと後方に視線を向ける。

 

そこには……

 

 

「ま、魔力刃……」

 

 

数本の氷の魔力刃があった。

 

俺を斬ったのかその切っ先には血がついていた。

 

 

「これで終わりだ」

 

 

そしてそんな声が聴こえたとき……

 

 

俺の視界一面を白銀が占めていた。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

アースラでは三人の仮面の男達と少年、リニス、クロノの戦いを見守っていた。

 

そしてリニス、クロノは激闘の末にそれぞれリーゼロッテ、リーゼアリアの捕縛に成功。

 

残るはギル・グレアムただ一人。

 

その相手となっている少年はなんとかギル・グレアムに食らいついていたが……

 

 

『がぁああああ!?』

 

 

ダメージを受けた少年の叫び声がアースラに木霊していた。

 

 

「ヒエン君!?」

 

 

エイミィが叫ぶ。

 

 

「これ以上はもう見ていられません!武装隊!今すぐヒエン君の救出に!私はギル・グレアムを抑えます!!」

 

「「「「「はっ!!」」」」」

 

 

リンディは部隊に直ぐ様指示を出す。

当初の作戦としては少年・リニス・クロノの三人が捕縛対象である仮面の男達を抑えて捕まえる予定だった。

 

そして作戦通り……リーゼ姉妹を捕縛することには成功した。

 

しかし最後に残った一人……

 

 

ギル・グレアムは予想以上に手強かった。

 

 

相手をしている少年はあの『大魔導師』プレシア・テスタロッサに勝利している。

 

そんな実績があったからこそ、アースラクルーは少年なら大丈夫だと信じていた。

 

心のどこかであの少年ならなんとかしてくれると思っていた。

 

だが……

 

 

『ぐ……がぁああああ!?』

 

 

現実とは非情である。

 

 

「ヒエン……」

 

 

そしてクロノは拳を握りながらその映像を見ていた。

 

拳を握りすぎているのかその手には血が滲んでいた。

 

 

「クロノはここに残って部隊の指揮を!」

 

 

そしてリンディが転送装置に向かおうとすると……

 

 

『これで終わりだ』

 

 

ギル・グレアムのそんな発言が聴こえた。

 

 

「え?」

 

 

リンディは思わず声を出す。

 

そして一同が見た映像は……

 

 

 

 

 

 

ドゴォオオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

巨大な白銀の砲撃に飲まれる少年の姿だった。

 

 

「ヒエン君!!」

 

 

そしてリンディの少年の名を叫ぶ声がアースラに響くのだった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

「……予想以上にダメージを受けてしまったか」

 

 

グレアムは砲撃を撃ち終わると様子を見る。

 

グレアムは最初の一撃……不意をついた砲撃で少年を仕留めるつもりだった。

 

仕留めるといっても本気で命を取るつもりなどなかった。

 

少年に仕留めると脅したときも、これ以上少年がこちらの邪魔をさせないようにするための方便のようなものであった。

 

あの少年はいつか管理局にとって必要な人材となり得る。

 

その力を……未来の可能性を……あの少年からグレアムは感じ取っていた。

 

だからこそグレアムは少年を無力化しようとしていたのだが……相手になった少年は予想以上に強かった。

 

 

(手加減をする余裕がなかった……)

 

 

グレアムの中にある種の後悔が生まれる。

 

あの少年はグレアムにはないものを持っていた。

 

熱き信念を持っていた。

 

グレアムが過去に無くしたものを持っていた。

 

だがその少年も……今はもういない。

 

 

「……許されるとは思っていない」

 

 

グレアムは呟く。

 

 

「だが私はもう……立ち止まる訳にはいかないのだ」

 

 

グレアムは後ろを向く。

 

 

「もう……引き下がれないのだ」

 

 

そしてグレアムは顔をあげる。

 

 

「リーゼ達は……捕まってしまったか」

 

 

彼女達から連絡がないということはクロノ達にやられてしまったのだろう。

 

そしてグレアムは飛翔魔法を展開してこの場から立ち去ろうとする。

 

今まで尽くしてくれた彼女達には悪いが……彼には彼女達を気にしている余裕はなかった。

 

恐らくアースラがこの戦いをモニターしているはずだ。

 

一刻も早くこの場から離れなければならない。

 

 

「少し身を隠さねばな……思った以上に体力と魔力を消耗してしまった」

 

 

そしてグレアムが移動しようとしたとき……

 

 

 

 

 

 

「どこへ行くんだ?」

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()

 

 

 

「まさか……」

 

 

 

(そんなはずはない……)

 

 

 

グレアムはそっと後ろを向く。

 

 

 

(あれで確実に……仕留めたはずだ)

 

 

 

そこには仕留めたはずの少年がいた。

 

 

 

(無傷で済むはずの……一撃ではなかったはずだ)

 

 

 

()()()()()()()()()()()()少年がいた。

 

 

 

「まだ勝負は終わっていないぞ……ギル・グレアム」

 

 

 

少年はボロボロだった。

 

 

 

だがその瞳だけは死んではいなかった。

 

 

 

そして少年は鋭い眼光で睨み付けて……グレアムに静かに告げた。

 

 

 

「そろそろ……決着をつけようぜ……」

 

 

 

戦いは遂に最終局面を迎えようとしていた。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

(ギ……ギリギリだった……)

 

 

俺は死炎の外套(マンテッロ・ディ・ヒート)を解除すると目の前の男……ギル・グレアムを睨み付ける。

 

咄嗟に防御形態を展開したおかげで奴の砲撃を防ぐことができた。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 

だが体力を大幅に消費したせいでもう動く余裕もない。

 

 

「君は……生きていたのか」

 

 

「はぁ……はぁ……ああ。かなりギリギリだったけどな」

 

 

「そうか」

 

 

そして奴はデュランダルをこちらに向ける。

 

俺は奴に告げる。

 

 

「もう正直、俺には余裕がない。だから……俺のとっておきで決める。どうだ?乗る気はあるかギル・グレアム?」

 

 

「いいだろう。ならば私も……特別な一撃で決めよう」

 

 

「上等だ……オペレーションダブルヒート」

 

 

俺は両腕をクロスに構えて起動詠唱(ワード)を唱える。

 

 

悠久(ゆうきゅう)なる凍土(とうど) ()てつく(ひつぎ)のうちにて 永遠の眠りを与えよ」

 

 

そしてギル・グレアムも詠唱を唱える。

 

するとデュランダルに強力な冷気が纏っていく。

 

俺も両腕をクロスさせるように前へと伸ばす。

 

肘側の噴射口から放つ柔の炎で姿勢を制御させ、クロスさせた両腕に膨大なエネルギーが凝縮される。

 

そして両者共に準備が完了すると……

 

 

 

「これで決める!ダブルヒートバーナー!!」

 

 

 

()てつけ!エターナルコフィン!!」

 

 

 

勢いよく放った。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

特大のオレンジ色の砲撃と、極大の凍結魔法が激突する。

 

 

 

「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」

 

 

 

俺とギル・グレアムは雄叫びをあげる。

 

 

 

ダブルヒートバーナーと、エターナルコフィンは拮抗していた。

 

 

 

炎は氷を急速に解かし、氷は炎を急速に凍らせていく。

 

 

 

俺は額の炎の炎圧を最大限にまで上げて強化すると同時に魔力全てを注ぎ込み、さらにダブルヒートバーナーを強化する。

 

 

 

二重強化で勢いをつける。

 

 

 

ギル・グレアムの魔力ランクは俺よりも多いSランクである。

 

 

 

ここで出し惜しみをしていては確実に敗ける。

 

 

 

するとダブルヒートバーナーはエターナルコフィンを徐々に押していく。

 

 

 

(よし!このまま押していけば……勝てる!!)

 

 

 

俺は勝利を確信する。

 

 

 

だが……

 

 

 

ギル・グレアムは底力を見せる。

 

 

 

「私は……私は……敗ける訳にはいかないのだ!!」

 

 

 

「なにっ!?」

 

 

 

するとエターナルコフィンは勢いをあげてダブルヒートバーナーを押し返す。

 

 

 

(これは……周囲の水分を吸収して……エターナルコフィンの威力を上げているのか!?)

 

 

 

「少年!君は言ったな!私の選択肢自体間違っていると!ならば……見せてみろ!君の覚悟を!!この魔法を……撃ち破って見せろ!!」

 

 

 

「上等だ!言われなくとも……撃ち破ってやるよ!!」

 

 

 

そして俺はさらに力を込めるがやはり地力ではギル・グレアムの方が上なのか徐々に押され始める。

 

 

 

「ぐ……くそ……」

 

 

 

俺の脳裏に以前異世界で戦ったセイバーオルタとの激突がよぎる。

 

 

 

今の状況はあのときとよく似ていた。

 

 

 

あのときは結局……セイバーオルタに押されっぱなしであった。

 

 

 

皆のおかげで勝てたが……結局一人では勝てなかった。

 

 

 

あのときの悔しさを忘れたことはなかった。

 

 

 

だからもう二度と……

 

 

 

(敗ける訳には……いかない!!)

 

 

 

「ギル・グレアム!」

 

 

 

俺は声を上げて奴に話しかける。

 

 

 

「俺はあんたの地力には叶いそうにない!だけど……あんたが敗ける訳にはいかないように……俺もあんたに敗ける訳にはいかない!あんたの行為を……絶対に認める訳にはいかない!!」

 

 

 

「ならばどうする!」

 

 

 

「だから……今から見せてやる!限界を超えた力ってやつを!!」

 

 

 

俺はワードを唱える。

 

 

 

限界突破(リミットブレイク)……オーバードライブ……スピリッツフォームrev3(リヴィジョンスリー)!!」

 

 

 

ドォオオオオン!!!!

 

 

 

そして俺はオーバードライブを発動させ黒コートを身に纏う。

 

 

 

俺は極限にまで強化され、そしてダブルヒートバーナーも極限にまで強化された。

 

 

 

「これは……威力が跳ね上がって……」

 

 

 

「うおおおおおおおおお!!!!!!」

 

 

 

そして爆発的に威力が上がったダブルヒートバーナーは、エターナルコフィンを飲み込んだ。

 

 

 

「これは……完敗だな……」

 

 

 

そしてギル・グレアムもダブルヒートバーナーに完全に飲み込まれた……。

 




ギル・グレアム戦ついに決着!

そしていよいよ闇の書が目覚める。

主人公は無事乗り越えることができるのか!?

でもちょっと急すぎたかな?

では、また(・∀・)ノ


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