6月になりましたね。
では、どぞ( ゚∀゚)つ
ヒエンside
俺は上を見る。
雷が幾度も轟音を轟かせ、青白い光を何度も点滅させる。
俺は前を見る。
周りの景色は少し暗く、雪が降っていた。
俺は後ろを見る。
なんだか魔王城みたいな全体的に黒いお城がある。
っていうかここあそこだよね。
時の庭園ですやん!
◆◆◆
遡ること1時間前…
俺は翠屋でなのは、アリサ、すずかと話したあと、士郎さん、恭也さんになのはと知り合った経緯を話していた。
「…というわけでして」
「「………」」
2人の気持ちも分からないでもない。大切にしている娘や妹に、いきなり見ず知らずの男友達ができたら気になるだろう。俺だって気になる。
しかし、しかしだ!
「「………」」ジー
初対面の人間に向かって殺気を放ち、威圧をかけてくるのはどうなんでしょうかねえぇ!?
特にこの、目の笑っていない笑顔だけはやめてほしい。
寿命が縮みますorz
「ふ…冗談だよヒエンくん。ウチの娘共々よろしくたのむよ」
「まあ俺は妹2人を泣かせる真似をしなければ何も言わないさ」
決死の説明の下、俺に下心がないとようやく分かってくれたのである。というかタチの悪い冗談はやめてください。死んでしまいます。
そして俺は何とか解放された。
「はぁ~」
「だいぶお疲れみたいねヒエン?」
「お疲れさまですヒエンさん」
俺が小さく息を吐いていると、やってきたのはアリサとすずかだった。というかアリサに至っては既に俺を呼び捨てである。
なんでさ?
気になったので聞いてみたところ
「呼び捨てにしてもあんた怒んないでしょ?」
と断言された。
うん。
まあそりゃ友達になったし、俺もフレンドリーなのは嬉しいけどさ、なんというか俺にも一応年上としてのプライドみたいなものがあるわけでしてね?
「うーん。何て言えばいいのかしら?あんたいじりやすそうな雰囲気なのよ」
「良く言えば親しみやすいってことですよ」
アリサとすずかが笑顔で言う。
これはあれだろうか?
褒められているのだろうか?
だとすればいいことなのだろう。
よしプラスに考えよう。
アリサさんや。
もっと褒めてもいいんだぜ!
と考えていたところ、なぜかアリサから呆れたような目線を、すずかからは苦笑された。
なんでさ?
再度聞いてみると
「あんた途中から声出てたわよ…」
「あははは…」
とのコメントいただきました。
とりあえず、恥ずかしかったので黙っといてもらえるようシュークリームをおごった。賄賂じゃないよ。
話すのに夢中になってると時間もあっという間に過ぎ、俺の携帯にも新たな2人の友達の名前が刻まれた。
相棒のヒッツはというと、可愛いもの好きの桃子さんと美由希さんに抱きしめらたり、撫でられたりしていた。本人も満更ではなかったようだ。
そして楽しい時間も終わり…
帰る際、アリサとすずかはバニングス家の黒い車で送られていった。俺も乗っていけと言われたが、寄るところがあるからと丁重にお断りした。言えるわけがない。コンビニに立ち読みにいくなんて。
その時、バニングス家の執事鮫島さんと初めてお会いした。紳士的なオーラが天元突破していた。まさに絵にかいたようなザ・執事といった感じであった。
そして俺は高町家の皆さんに見送られながら帰った。その前に、なのはからタマには翠屋に来て会いに来ることを約束させられたが……そのときの恭也さんの顔がとても怖かったですorz
そして現在、俺は帰り道にあるコンビニで週刊紙の立ち読みをしている最中である。ちなみに読んでいるのは、ジ〇ンプのとある海賊マンガである。今、主人公が砂の能力者と最後の戦いをしている熱いところである。
他の作品も結構好きだが、やっぱり最初にこれを読んでしまう。なんせ前世でも一番最初に読んでたからね。
そしてマンガを読んで満足した俺はコンビニを出てそのまま帰ろうとしたのだが…そのときふと思い付く。
「なあヒッツ?」
「ガウ?」
俺が声をかけると頭の上にヒッツがピョコンと現れる。
「せっかくだし家まで転移魔法使ってみないか?」
「ガウ?」
「なんで?ってそりゃ1度も使ったことないからだよ。それにここから家までだし余程のことがない限り失敗なんてしないだろう?」
「ガウ?ガウガウ」
「よし、じゃあさっそく使ってみよう!と思ったけど、まずは人気のないところに移動しようか」
そして俺は人気のない路地に移動する。
「よし座標の指定は任せたぞヒッツ」
「ガウガウ」
俺は術式を展開し魔法を発動させる。
そのときに気のせいでなければある思念を聞いた。
「あ、まちがった」と。
────────
──────
────
以上のことからこのような展開になっている。
うん。
これからどうしよう…っていうかかなり寒いんだけどここ!?
はやく帰りてえザマス。
「ガウガウ」
するとヒッツから思念が送られてくる。
「え?心配しなくても座標はもう間違えないから大丈夫?え、そうなの?」
「ガウ~」
「なるほど。というかこれ転移魔法じゃなくて次元転送だよな?」
「ガウ」
「てへっじゃないよ相棒…」
はぁ…
とりあえず気を取り直して周囲の探索でもしてみるか?ここが時の庭園なら間違いなく、あの人達が住んでるだろうしな。
この時の庭園には魔法少女リリカルなのはに出てくる登場人物達が住んでいる。
その登場人物というのが
フェイト・テスタロッサ
アルフ
プレシア・テスタロッサの3名である。
簡単に説明すると、フェイトとアルフはロストロギアジュエルシードを巡って、なのは・ユーノ組と激突する。そのあと、数々の戦いを経て仲良くなっていくのである。
プレシアはフェイトにジュエルシードを集めるよう命令する黒幕のような人物なのだが、その目的は忘れられし都「アルハザード」を目指すことであった。
実の娘アリシアを蘇らせようとするのだが、最後にはジュエルシードによる次元震を起こし、時の庭園が崩壊する中、アリシアの亡骸と共に虚数空間へと消えていくのだ。
普通に考えて今はまだ原作前であるので、フェイトもアルフもまだ小さい女の子だ。だがここで接触するのは非常に不味い。まだ6~7歳の女の子とは言え、強さで言えば確実に俺より強いだろう。
そして見つかれば必然的にプレシアとも会うことになるだろう。そうなれば、戦闘に入ることは目に見えている。今の俺では指一本触れることすらできやしない。こっちは魔法使用歴半年の初心者、あっちは「大魔導師」と呼ばれるほどの魔導師。どちらが勝つかは目に見えている。
なのでやることは決まっている。
俺はバリアジャケットを纏い、念のために死ぬ気の炎を発動させておく。そして姿が見えなくなる魔法ミラージュハイドを展開しておく。
だって見つかったら面倒だろ?
移動を開始しようとしたとき、ふと立ち止まる。
「あ、そうだ。ヒッツ、念のためにここの座標の位置、記録しといてくれ」
「ガウ~?」
「なんでって?言っただろ。念のためだよ念のため」
そして俺は移動を開始するのだった。
ヒエンside end
◆◆◆
リニスside
私はその日、役目を終えようとしていました。
私の主、プレシア・テスタロッサ。
プレシアは非常に優秀な魔導師であり、「大魔導師」としても名を馳せていました。
そのプレシアから私の使い魔としての契約。
それは彼女の娘、フェイト・テスタロッサを魔導師として一人前に育てること。
そして私はその契約を完遂しました。フェイトは私の出した課題を全てクリアし、私は彼女のデバイスも完成させました。
バルディッシュ
又の名を『閃光の戦斧』
色はフェイトの好む漆黒をモチーフに、宝玉は彼女の魔力色と髪色の金色にしました。
そして私はバルディッシュにある思いを込めました。
「闇を貫く雷神の槍、夜を切り裂く閃光の戦斧」
それはフェイトを守ってほしい、それと同時に彼女の思いを貫く強さとなってほしいという思いを込めて。
私はもうすぐ消える。
「フェイト、アルフそして…」
頭に浮かぶのは娘の様に可愛がり、時には妹のように接してきた2人の女の子。
1人は物静かで無口気味。でも普段は穏やかで心優しい少女。もう1人は感情表現が豊かで思いやりがあり、主人思いの女の子。
「プレシア」
そして自分の主。
最近は研究室に籠り、ますます体調を崩しています。自分の娘アリシアを生き返らせるために、また無茶をしているのでしょう。プレシアは本来は家庭的で、心優しい母親だったのですが…やはりアリシアを失ったのが大きかったのでしょう。段々と彼女は狂気染みていってしまいました。
私は…プレシアの目的を知っている。でもそれを…止めることはできなかった。
私は最後に交わしたプレシアとの会話を思い出しました。
『そうね、終わりね。杖を完成させたらさっさと消えなさい。あなたほどの高性能な使い魔、維持するのも楽じゃないのよ』
私はもうすぐ消える。
私が消えたあともプレシアはまた無茶をして、体調を崩していくでしょう。
唯一、心残りがあるとすればプレシア達の行く末を見守れないことでしょうか?
ですが…
私はどうやらここまでのようです。
役目は終わってしまったのですから、素直に舞台から消えましょう。
「今までありがとうございました。フェイト、アルフ、プレシア。そして、今からそっちへ逝きますアリシア」
そして私はゆっくり目を閉じた…
リニスside end
◆◆◆
ヒエンside
幸か不幸か俺はフェイト、アルフ、プレシアの3人に接触することなく「時の庭園」を見回ることができた。
だが1つ大きな問題が起こった。
ここどこ!?
この城無駄に広すぎ!?
フェイトさんにアルフさん、よくこの城の中覚えられますね!尊敬します!!
と心の中で現実逃避しているとなにやら、白い雪に囲まれた森のような所に出た。
「あれ?ここは城の端の方……なのかな?っていうかいつの間にか雪降ってるし」
俺はキョロキョロと周りを見ながら歩いていると、ふと違和感を覚えて立ち止まる。
この感じ…
俺はこの感覚を覚えている。これはなのはのときと同じ…
俺の中の超直感が言っている。
『この森の中に入れ』と。
何が待っているかは分からないが…
あのときのように、なのはと同じように誰か苦しんでいる人がいるっていうなら…
迷ってる暇はない!
俺は森の中へと入った。
森の中へ入ると、超直感が急げと言っているのがわかる。俺はミラージュハイドが解けるのも構わず、全速力で走っていく。
「はぁ、はぁ、はぁ!」
そして森が開けた場所に出る。その中央に何やら光っているものを発見した。しかしそれは雪が少し積もっておりよく見えなかった。
目を凝らしてみるとそれは猫であった。だがその時点で俺はある人物に思い至った。
リニス
プレシア・テスタロッサの使い魔。
そしてフェイトとアルフの教育係、魔法の師匠でもある。まじめで温厚、優しく責任感のある強い女性である。魔法も「大魔導師」と呼ばれるプレシアの使い魔である影響か、魔法の知識も豊富で戦闘能力もすこぶる高い。
だが彼女は、プレシアとの契約を終えると消えてしまうのだ。
その彼女がなんでここに!?
そして俺は今が何年かを思い出す。
原作はなのはが小学3年生のときに始まる。だが現在なのはは小学1年生だ。よって、原作まではあと2年空いている。そしてリニスが消えるのは…
明確な描写などはなかったので分からないが、原作から確か2年前!
俺は現在の状況と前世の知識の情報を重ねて自分の行動の方針を決める。
どうして俺がリニスの消える場に遭遇できたのかはイマイチ分からないが…ここまで来たんだ!ならやることはひとつ!
リニスを救う!
俺はすぐにリニスのそばまで向かう。リニスは元の山猫の姿に戻り、今にも消えそうになっていた。
俺は前世の知識をフル稼働させる。
今、リニスはプレシアと使い魔の契約を終えて消えようとしている。つまりは魔力を送られていない状態。ならば今ここでリニスに魔力を送ればリニスを救うことができるはず!
現にフェイトは死にかけだったアルフを仮契約という形で魔力を送ることで救っていた。形は違うが、魔力を送ればリニスの体も元に戻る可能性はある。
「いくぞヒッツ!ディバイドエナジーだ!」
俺は両手をリニスに近付け、魔力を分け与える魔法ディバイドエナジーを発動させる。
薄いオレンジ色が小さな山猫の体を優しく包む。しばらく俺はディバイドエナジーをかけ続ける。すると消えかけていたリニスの体が段々と濃くなっていき、元に戻すことに成功した。
「ヒッツ今すぐ俺の部屋に転移するんだ。この子を一刻も早く休ませないと」
「ガウ!」
そして俺達はリニスを連れて時の庭園から転移したのだった。
ちなみに原作キャラに遭遇するのは転生者であるが故の理由があったり( ̄ー ̄)
では、また(゜◇゜)ゞ