今回は地球にいるプリキュア視点。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
第三者side
その日、とある少年から「力を貸してくれ」と助けを乞われた少女達はそれぞれのグループで固まって待機していた。
Max Heartチームの一人である九条ひかりは少年から預かった使い魔の赤い小ライオンを膝に乗せて、先輩である雪城ほのかの部屋で、同じく先輩である
「ヒエンさんの話じゃ、デューンって奴がそろそろ動き出すって話だけど」
「ヒエンの推測は正しいメポ!空の方からなんだか嫌な気配を感じるメポ!」
「ミップルも感じるミポ~」
「確か砂漠の種から生まれるデザートデビルだったかしら……かなり強いらしいわ」
なぎさ、メップル、ミップル、ほのかが話す。ひかりはというと、机の上で珍しくでジッとしているポルンとルルンに気付いた。
「こ、怖いポポ~」
「ルルゥ~」
ジッとしているのではなく震えていたらしい。この二人は特別気配を感じることができるのだ。砂漠の使徒の気配を感知したのだろう。
ひかりが二人に声をかけようとしたとき、赤い小ライオンが吼えた。
「ガゥガゥ!」
するとひかりにある思念が伝わる。ひかりはそれを皆に伝えた。
「皆さん!合図が来ました!!」
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時同じくして、少年から紫の小ライオンを預かっていたSplash Starチームの
「ガゥ~」
「うぅ~だからかじらないでってば~」
舞のお団子頭から小ライオンが離れないのだ。それを見ていた
「その子、舞の髪がお気に入りみたいだね」
「噛みごたえがいいみたいチョピ」
「物凄くマイペースラピ……」
二人のパートナー妖精であるフラッピとチョッピもその様子を見ていた。
「ムプゥ~」
「フプゥ~」
ムープとフープはというと、小ライオンの周りを一緒に飛んで楽しそうにしていた。だがかじられている舞本人からしてみれば、たまったものではなかった。
「もう……皆も見てないでなんとかしてよ」
「でもその子、舞のことが好きだからやってるんだと思うよ?……学校にもついてくるくらいだし」
「姿が消せるみたいだから他の人にはバレないけど……でもおかげで頭の上にこの子が乗ってないと違和感を感じるくらいになってきたの……」
「あはははは……」
舞が項垂れるように語る様子を、咲は苦笑いしながら見ていた。そのとき……
「ガゥガゥ!」
「え!?本当!?」
小ライオンから舞にある思念が送られた。舞はそれを皆に伝える。
「皆!合図が来たみたい!!」
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アクセサリーショップ「ナッツハウス」にて5gogoチームは、現在待機していた。
そして少年から黄色の小ライオンを預かっていた夏木りんは、小ライオンにお菓子をあげていた。
「キッツ、お菓子食べる?」
「ガゥ~」
りんがポテトチップスをあげると小ライオンは嬉しそうに食べる。その姿を見ていた夢原のぞみ、
「キッツちゃん可愛いです~」
うららが小ライオンの頭を撫でる。
「ガォ~♪」
小ライオンも嬉しそうに頬擦りする。
「でも本当に不思議な生き物よね。この子って。確かヒエンの魂の一部……だったっけ?」
その様子を見ていた
「ヒエンいわく、性格も本人とほぼ同じらしいぜ」
茶髪の少年……
「この子、こんなに小さいのに魔法でよく手伝ってくれるから助かるよ」
「特に急いでいるときの転送魔法は、かなり助かる」
そこにクールな二人組、茶髪の青年
この青年二人……実は妖精のココとナッツの人間形態なのだ。
「あ、ナッツの言ってること分かるー!私も学校に遅刻しそうになったときに何度もお世話になったもんー!!」
すると会話を聞いていたのぞみが発言する。
「あ、私もですー!キッツちゃんにお願いしたらすぐ送ってくれました!!」
それに便乗するうらら。
だが彼女達は忘れていた。ツッコミ上等、チーム1常識人の彼女が聞いていることを。
「へえぇ。最近、アンタ達遅刻しないで頑張ってるなあって思ってたのに……裏でそんな理由があったのねぇ?」
「「は!?」」
のぞみと、うららはギギギッッ……と効果音が鳴るような動作で後ろを振り返った。
そこには鬼が立っていた。
鬼の背後には真っ赤に燃える炎が映っていた。
「こんの……ドバカ共があああぁぁぁ!!!!」
「「ご、ごめんなさ~~い!!!!」」
りんの一喝により、のぞみとうららは半泣きになりながら謝っていた。
全員呆れたようにその様子を見ていた。ナッツハウスではこのようなやり取りは日常茶飯事なのだ。
そしてりんは机の上にいる小ライオンにも怒る。
「あんたもよキッツ!今度から二人に頼まれても転送魔法なんて使っちゃダメよ?甘やかしたらこの子達の為にならないんだから……」
「ガ、ガウゥゥゥ……」
怒られて小ライオンはへこむ。
「別にあんたは悪いことしてるわけじゃないのよ?あんたが私達の為に役に立とうと頑張ってくれてるのはここにいる全員分かってるから。ただ、この二人を甘やかすようなことはしちゃダメよ?分かった?」
「ガゥ!」
「うむ。よろしい!」
小ライオンは元気よく鳴くと、りんの頭の上に乗った。そのとき……
「!?……ガゥガゥ!」
「本当なの!?」
「ガゥ!!」
そのとき小ライオンから、りんにある思念が送られた。りんはその内容を皆に伝える。
「合図が送られてきたわ、皆!!」
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フレッシュチームの四人組は
しかし肝心の四人組……桃園ラブ、蒼乃美希、山吹
「キュアプリプ~」
「ガゥ~」
「キュア~?」
「ガゥガゥ」
「「「「…………癒される」」」」
赤ちゃん妖精と小ライオンの戯れを見てその表情を崩していた。
少年から緑色の小ライオンを預かっていたいおりは、暇さえあればラブの家に一緒に遊びに来ていた。
当然、ラブの家にお世話になっている妖精のシフォンとタルトにも会うことは多い。よって小ライオンが妖精達と仲良くなるのに時間はかからなかった。
そして四人の様子を見ていたタルトはツッコミを入れる。
「…………あんさんら、現在進行形で女の子とは思えへん顔しとんで?」
「それくらいこの子達のやり取りは癒されるってことだよタルト」
「そうよ。可愛いは正義なのよタルト」
「この子達のやり取りは私達にとって癒しのハーモニーなのよタルトちゃん」
「可愛くて癒しは最強なのタルト」
「……そうでっか」
四人が間髪いれずに返してきた様子を見てタルトはやれやれと首を傾げる。
そして時計をチラリと見ると時刻は20:30を過ぎた辺りだった。
「ヒエンはんが連絡入れてきてから二時間くらい経ったなあ」
タルトの言葉に美希が反応する。
「確か敵が動き出したら合図がくるのよねブッキー?」
「うん。そしたらこの子が転送魔法でつぼみさんの家の植物園に連れていってくれるの」
いおりは緑色の小ライオンの頭を撫でる。
「一筋縄じゃいかない相手みたいだから用心しなきゃね……」
せつなが心配そうに言うが……
「大丈夫!」
ラブが皆を安心させるように話す。
「私達以外にもプリキュアの皆がいるし、そのために力を合わせるんだから!それに約束したでしょ?この戦いを乗り越えたら皆でクリスマス絶対楽しもうって!!」
そんなラブの言葉に三人がフッと笑う。
「全くあんたってば相変わらず能天気ね~」
「でもラブちゃんらしいよ」
「そうね」
その様子を見ていた小動物達も安心したように笑っていた。そのとき……
「ガゥガゥ!」
「え?」
小ライオンがいおりに何やら思念を伝えた。それを聞いたいおりはすぐに皆に伝える。
「皆!合図来たよ!!」
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「「起きるですぅ!!」」
植物園で眠っていたつぼみ達は、妖精達の大きな声で目を覚ます。
「どうしたのよコフレ~、そんな大きな声出してさ~…………ふわぁ」
えりかがあくびをしながらコフレに話しかける。
「えりか!
コフレの言葉に四人の意識が一気に覚醒する。
「デューン……あ、おばあちゃんは!?」
「そういえばあたし達あのあとデューンにやられて……」
「どうなったんだろう?」
「植物園に運ばれたみたいだけど……」
つぼみ、えりか、いつき、ゆりはそれぞれ声をあげる。その様子を見ていたコロンが説明する。
「皆、今は混乱してるだろうけど手短に話すよ。皆がデューンにやられた後、ヒエンがここに運んでくれたんだ。そして肝心のデューンは……キュアフラワーを惑星城で拐っていってしまったんだ」
「おばあちゃんが!?」
つぼみが大きな声をあげる。
「だが安心してほしい。ヒエンが言うにはキュアフラワーはちゃんと無事だから」
「よ、良かった……」
すると続いてゆりが話しかける。
「でコロン……その彼はどこへいったのかしら?見当たらないのだけど」
「あー……えっとだね……」
コロンが何か言いづらそうにしているとき……突如、植物園に光り輝く魔法陣が現れる。
「え!?なになに!?」
突然のことに狼狽えるえりか。
そして光が収まるとそこにはプリキュアオールスターズの面々が揃っていた。
「み、みんな!?」
「「「「え、えっと……」」」」
それぞれのリーダー四人組が助けを求めるように、各メンバーに視線を向ける。
すると皆を代表してほのかがつぼみ達に話しかけた。
「ヒエンさんからもうすぐ世界中に放たれるデザートデビルを倒すために力を貸してほしいって聞いてたんだけど……そういえば肝心のヒエンさんはどこに?」
「え!?そうだったんですか!?私達は知りませんでしたが……」
つぼみが他の三人に視線を向けるが、三人も首を横に振る。
皆を呼びつけた
「「もうすぐデザートデビルがやってくるですううううぅぅぅ!!」」
そして……
ドゴオオオオォォォォンン!!!!!!
突如凄まじい光が彼女達を襲った。
「「「「キャァァアア!?」」」」
光が収まってから全員で外へ出ると、そこには巨大な悪魔のような怪物デザートデビルが五体現れた。
大きさは40mはあろう巨体であった。
「ひとまず……」
「話はまた後ってことで……」
「今はとりあえず……」
「あのデカブツを……」
「倒しましょう!!」
ピンク色リーダー五人組が頷き合うと、各自の変身アイテムを取り出し、それぞれの敵へと向かっていった。
◆◆◆
希望ヶ花市は現在、混乱状態に陥っていた。たくさんの人々が逃げ惑い、子供は泣き叫んでいた。突然出現したデザートデビルの影響により、交通状態もマヒしていた。
その様子を見ていたなぎさとほのかは、互いに頷きあうとメップルとミップルが変化した変身アイテムであるハートフルコミューンに手をかざす。そして手を取り合って同時に叫んだ。
「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!」」
二人の身体をオーロラが包み、なぎさが黒を主体とした衣装に、ほのかが白を主体とした衣装に変わっていく。
「光の使者!キュアブラック!」
「光の使者!キュアホワイト!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
そしてホワイトとブラックの二人はデザートデビルへと指を差し告げた。
「闇の力の
「とっととお家に帰りなさい!」
それを見ていたひかりも、変身アイテムであるタッチコミューンを手に持ち、掛け声を放った。
「ルミナス!シャイニングストリーム!」
するとひかりの身体を優しい光が包み込んでいく。
神々しい光を纏いながらピンクを基調にした衣装を纏ったシャイニールミナスがその姿を現した。
「輝く命、シャイニールミナス!光の心と光の意志、
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「いくよ舞!」
「うん!」
二人のパートナー妖精であるフラッピとチョッピがクリスタルコミューンに変化する。
咲と舞は先端のクリスタルを回し、手を繋いで同時に叫んだ。
「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」
二人の身体を薄い光が包み、咲は赤紫色を主体とした衣装に、舞は銀白色を主体とした衣装に変わっていく。
「花開け大地に!」
「羽ばたけ空に!」
そして二人は花鳥風月をモチーフにしたプリキュアへと変身する。
「輝く金の花!キュアブルーム!」
「
「「ふたりはプリキュア!!」」
イーグレットとブルームの二人はデザートデビルに指を差し告げた。
「聖なる泉を
「アコギな真似はお止めなさい!」
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「みんな、変身いくよ!」
「「「「イエス!」」」」
のぞみの合図に一同は頷く。
そして変身アイテムであるキュアモを手に取り、ボタンを押し同時に叫んだ。
「「「「「プリキュア・メタモルフォーゼ!」」」」」
のぞみ、りん、うらら、こまち、かれんの身体をピンク、赤色、黄色、緑色、青色とそれぞれの色をモチーフにした蝶の光が五人をプリキュアへと変えていく。
「大いなる希望の力、キュアドリーム!」
「情熱の赤い炎、キュアルージュ!」
「はじけるレモンの香り、キュアレモネード!」
「安らぎの緑の大地、キュアミント!」
「知性の青き泉、キュアアクア!」
「「「「「希望の力と未来の光! 華麗に羽ばたく5つの心! Yes!プリキュア
名乗りを上げた五人に続き、くるみも変身アイテムであるミルキィパレットを手に、タッチペンでボタンを押して叫んだ。
「スカイローズ・トランスレイト!」
するとくるみの身体を青いバラの光が包み込み、紫を基調にした衣装を纏った青いバラの戦士ミルキィローズが現れた。
「青いバラは秘密の印、ミルキィローズ!」
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「いくよ皆!」
「「「ええ!/うん!/はい!」」」
ラブの指示で、美希、祈里、せつなは変身アイテムであるリンクルンを構え、叫んだ。
「「「「チェインジ・プリキュア・ビートアップ!」」」」
するとラブ、美希、祈里、せつなの身体を桃色、青色、黄色、赤色の光が四人の姿をフルーツをモチーフにしたプリキュアへと変わっていく。
ラブはレモン色にツインテール、美希は薄い紫色のサイドテールに、祈里は山吹色のウェーブがかかったセミショートに、せつなは淡いピンク色のロングヘアーに変化した。
「ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」
「ブルーのハートは希望のしるし!つみたてフレッシュ、キュアベリー!」
「イエローハートは祈りのしるし!とれたてフレッシュ、キュアパイン!」
「真っ赤なハートは幸せの証!
「「「「レッツ、プリキュア!!」」」」
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そしてつぼみ達も変身アイテムであるココロパフュームを構えた。
「皆、いきますよ!」
「「「了解!」」」
そしてつぼみ、えりか、いつき、ゆりは光のワンピースに包まれ、それぞれのこころの種を
「「「「プリキュア・オープンマイハート!」」」」
つぼみ、えりかはココロパフュームを互いに吹きかけ、いつきも自身の身体に吹きかけていく。ゆりも舞うように光を纏う。
そして四人とも自身の色をモチーフにしたワンピースを身に纏うと、勢い良く名乗った。
「大地に咲く一輪の花、キュアブロッサム!」
「海風に揺れる一輪の花、キュアマリン!」
「陽の光浴びる一輪の花、キュアサンシャイン!」
「月光に冴える一輪の花、キュアムーンライト!」
「「「「ハートキャッチプリキュア!!」」」」
そして変身を完了させたプリキュア達が一斉に名乗った。
「「「「「全員集合!プリキュアオールスターズ!!」」」」」
そしてプリキュアオールスターズは街を砂漠化させようとしている怪物達に立ち向かっていく。
そのサポートをするために命じられた小ライオン達も一緒に向かっていった。
◆◆◆
希望ヶ花市にはびこっていたデザートデビルをあらかた片付けたプリキュア達は、小ライオン達のサポートもあり、世界各国に放たれたデザートデビル達を倒して回っていた。
少年からサポートを命じられたヒッツが衛星をハッキングしデザートデビルがいる場所を調べ、その場所へ小ライオン達が転送魔法でプリキュア達を運んでいたのだ。
そしてデザートデビルが現れてから数分後……
ある放送が流される。
『人間共よ……お前達の地球は我々「砂漠の使徒」によって征服された』
緑髪の青年デューンが姿を現す。
それをプリキュア達もデザートデビルと戦いながら……外国でその映像を見ていた。
『海も川も森も、お前達人間も……全て砂に埋もれるがいい』
そして大きな声で笑い始めた。
それを見ていたプリキュア達はこの男が少年の言っていた砂漠の使徒の黒幕デューンであることを確信する。
『ククククク……ハッハッハッ。アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!!!!』
笑い続けるデューンにそれぞれ厳しい目を向けるプリキュア達。だがこの後、それ以上に衝撃的な映像が流れ、彼女達の度肝を抜くことになる。
『ずいぶんごきげんじゃないかデューン……力を取り戻してハイにでもなったか?』
『ハッハッハッハ…………なに?』
そして全員思わず戦う手を止め、映像にかじりつき……目を見開いた。
『貴様は……魔導師!?』
そこには見覚えのある少年がいた。
『こころの大樹を滅ぼして……デザートデビルも降下させ地球への侵攻もできて……そのうえキュアフラワーへの復讐もできて……気分がいいか?』
二時間ほど前に普通に通信で話していた少年がいた。
少年は額に炎を灯し、黒スーツを着て鋭い眼光でデューンを睨み付けていた。
『なぜ貴様がここにいる?』
そのときデューンの言った言葉にプリキュア一同、同じ事を思っていた。
『お前がキュアフラワーを狙っていることは分かっていたからな。だからキュアフラワーの側には、常時俺の使い魔をつけていた』
そのときキュアフラワーと思われる女性の横姿が遠目ではあるが映された。
彼女の肩の上にピンク色の小ライオンが現れた。もう片方の肩には小狐も乗っていたが。
そして再び映像は少年とデューンに変わる。
二人は会話を続ける。
『そのおかげでキュアフラワーの居場所は最初から分かっていた。あとはお前が動き出すタイミングを見計らって、転送魔法でこの場所にやってきたって訳だ』
『転送魔法ね。相変わらずなめた真似をしてくれる。よほど死にたいとみえる』
『そっちこそ力を取り戻したからか、ずいぶん上から目線じゃないか。さっきまで俺にやられていた人物とは思えないな』
『あのときは封印された状態だったからね。力が出しきれずにいたのさ。今の私はあのときより……格段に強いぞ?』
両者は軽く挑発を繰り返しながら話す。
デューンは半笑いになりながら余裕を見せるように大きく手を広げて……少年は変わらずデューンを鋭く睨み付けていた。
『そうみたいだな。あのときよりも感じられるパワーが半端じゃない。今の俺じゃ、お前に触れることもできなさそうだ。だから限界を超えさせてもらう。
少年は黒いロングコートを纏う。
すると普段の少年からは感じられないほどの威圧感を感じ、映像を見ているプリキュア達も思わず息を飲む。
だが不思議と全く怖くはなかった。
『あのときの姿か、丁度いい。あの時の貴様を……いままさに……叩き潰したいと思っていたところだ』
『光栄だな。だが調子に乗るなよ、砂漠の王。なんでもかんでもお前の思い通りになると思ったら大間違いだ』
『その言葉そっくりそのまま返そう、魔導師。今は地球を守っていたこころの大樹も枯れ、砂漠の種であるデザートデビルも世界中にばらまかれた。これでもまだ言えるかい?たかだか人間風情が……「砂漠の使徒」に勝てると?本当にそう思っているのかい?』
デューンの問いかけに少年は言い切った。
『勝てるさ』
少年は側から見える地球に目を向けて言った。
すると偶然なのかカメラに少年の顔が映ることになり、それを見ていた世界中の人々には……少年に直接語られるように聞こえたらしい。
『地球には……最後の希望が残ってる。まだ「プリキュア」がいる』
それを聞いたデューンはさらに笑う。
『アッハッハッハッハッハ!これは傑作だ!君の頼みの綱がプリキュアだったとは……だがもう終わりさ。プリキュアがこっちにやってくる頃には地球の砂漠化はもう完了している。見たまえ……この青い色も』
すると少年がポツリと呟く。
『まだ気付かないのか?』
『…………なに?』
そのとき通信らしきものが映像越しに聞こえてきた。
『デューン様!デザートデビルの数が物凄い勢いで減っています!!』
『なに!?』
デューンは思わず大きな声をあげる。
『それが……プリキュアです!!プリキュアが世界各国に現れ、デザートデビルを倒して回っています!!』
『プリキュア……だと?バカな……プリキュアは奴ら以外にいるはずが!?それになぜ地球に生命がまだ存在している!?こころの大樹は枯らしたはずだ!?』
『だから言っただろう。お前の思い通りにはならない……と』
少年の言葉にデューンは反応する。
『貴様が原因か魔導師!?一体何をした!?』
少年は落ち着いたように返す。
『逆に聞くがデューン……お前がこの地球にくることが分かっているのに、お前の狙いが分かっているのに……俺がなんの対策をしていないとでも思ったか?』
『…………どういう意味だ?』
『お前にも分かるように言ってやる。お前が枯らしたものは本当にこころの大樹か?プリキュアはお前が知ってる人間以外に本当に他にいないと思ったか?』
その言葉を聞いてデューンの顔色が変わった。
『まさか……全て貴様が仕組んだのか?』
『さぁな。そこまで答えてやるほど俺もお人好しじゃない。どうしても答えてほしかったら……答えさせてみろよ砂漠の王様』
少年はグローブに炎を灯し、構えた。
『サバーク……映像はそのままにしておけ。決めたよ魔導師君。まずはプリキュアからと思っていたが……気が変わった。全世界の人間が見ている前で……君をなぶり殺しにしてあげよう』
そしてデューンも身体に赤いオーラを纏わせ、構えた。
それを見ていたプリキュアの面々は焦る。
少年は一度デューンにボロボロに負けているのだ。
お見舞いにいったときに余計な心配はかけまいと痛みを堪えながら無理矢理笑っているのは見ていて辛かった。
だが心配する彼女達の思いなど露知らず……少年はデューンに向けて言った。
『上等だ。あんたには色々借りがあるからな。それも全部まとめて返してやるよ。デューンあんたは、いや貴様は……死ぬ気でぶっ飛ばす!!』
『それはこちらのセリフさ。ここまでコケにされたのは生まれて初めてだ。せいぜいあがけ……人間!!』
このときプリキュア一同思った。
『『『『『なに一人で勝手にやってるんですか!?』』』』』
と。
そしてこの放送を植物園に戻って見ていたハートキャッチプリキュアの面々も唖然としていた。
「「「「…………(゜Д゜)」」」」
そしてコロンは少年から預かっていた伝言を彼女達に伝えた。
「皆に彼から伝言があるんだ。『先に惑星城に行っとく』……だって」
「「「「…………」」」」
一瞬、静寂が植物園を包む。そして……
「皆さん、惑星城へ行きましょう」
「うん」
「そうだね」
「ええ」
ブロッサムの言葉に残りの三人も即座に頷く。
「そしておばあちゃんを助けて……デューンも倒して……あの人に言いたいことをいってやりましょう!!」
「さんせー!!」
「これはさすがにやりすぎかな……?」
「ええ。全部終わったら……話し合いが必要でしょうね」
そしてハートキャッチプリキュアの面々も惑星城へ向けてついに動き出した。
次回は再びvsデューン。
あともう少しで終わる~。
長かった~。
というわけで最後まで脳細胞がトップギアだぜ!精神で書いていきますー。
では、また(・∀・)ノ