とりあえず最終決戦に一直線。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
デューン達が惑星城で去ってから、俺はひとまず気絶している皆を植物園の中へと運んだ。コッペ様を運ぶときは何気に苦労したが。いや、別に肉体強化で普通に運べたけどね?
そして俺は全員を運び終えるとバリアジャケットを解除し、座り込む。すると疲れがどっと押し寄せてきた。
初めてオーバードライブを使ったが、身体に対する負荷もやはり大きい。だが……
(封印状態とはいえ、あのデューンを追い詰めることができた)
フルドライブでも手も足も出なかったデューンに攻撃することができた。この結果は俺にとって収穫だ。
だが奴は薫子さんをまんまとさらっていってしまった。だとすれば……これから本格的に動き出すと見ていいだろう。
奴の目的は封印された自分のパワーを取り戻すこと。
薫子さんのつけているペンダントには、ハートキャッチミラージュで封印したデューンのパワーが封印されている。
今頃、奴は本来の力を取り戻していることだろう。次に会うときはフルパワーの奴と戦わなければならない。
正史からいえば……ハートキャッチプリキュアの四人に任せておけば、なんとかしてくれるかもしれない。
だがデューンの奴は、俺に『屈辱は忘れない』と言っていた。つまり俺も奴のターゲットにされたということ。
あの執念深いデューンのことだ。俺がいくら身を隠そうと、表に出てくるまで地球の破壊をやめることはないだろう。
このままでは地球に本格的に侵攻を始め、こころの大樹を枯らし、砂漠化され、人々も結晶化されてしまう。
そもそもすべての人間の心の中には、一輪の花が咲いており、それをこころの花と称している。
ひとつひとつのこころの花は、地球の命を司るこころの大樹とつながっている。
つまり人々が幸せならば世界は生命力にあふれ……不幸ならば自然そのものが荒廃するのだ。
(とにもかくにもなんとかしないとな……)
と俺はここで植物園全体に、ある防御結界魔法を展開させた。
「ラウンドガーターエクステンド」
回復効果のある防御結界だ。気絶しているつぼみ達もこれで早く目覚めることができるだろう。俺自身もデューンから受けたダメージや、デザトリアンとの戦闘などの疲労もあるので少し休むことにした。
「「「「ヒエン~」」」」
そのとき妖精達が近寄ってくる。
どうやら隠れて様子を見ていたらしい。
とりあえず無事で良かった。
だが皆、自分のパートナーの様子を見て心配そうな表情になっていた。
「安心しろ。皆、気を失ってるだけだ。直に目を覚ますさ」
デューンも多少なりともダメージはあるだろうし、そんなに早くは動き出さないはずだ。休めるときにしっかり休んでおかなければならない。
「ヒエン、これからどうするんだい?」
するとコロンが話しかけてきた。
俺は答える。
「そんなの決まってるだろ?薫子さんを助けだして、デューンの野郎をぶっ飛ばす。ついでに砂漠の使徒も叩き潰す」
「でも砂漠の使徒の……惑星城の場所なんて分かるのかい?」
「大丈夫だ。こんなこともあろうかと薫子さんの傍に使い魔をつけておいた」
「い、いつのまに……」
「デューンの狙いは薫子さんだっていうのは分かっていたからな。念のために常に一緒にいるように頼んどいたんだよ」
そして俺は目を閉じて集中する。
薫子さんにはピンクの小ライオンピッツがついてくれている。心の中にいる相棒を通してピッツから送られてくる映像を確かめる。
どうやら気絶したままであり、どこかの部屋に幽閉されているらしい。
「薫子さんは無事だ。気絶して眠ったままだが」
「「「「本当ですぅ!?/でしゅ!?/かい!?」」」」
「ああ。デューンも今は側にいないみたいだ」
「ヒエン、その使い魔は大丈夫なのかい?」
「どういう意味だ?」
「敵には見つからないのかい?」
「ああ、そういうことか。大丈夫だ。周囲の景色と調和して姿を隠してるから。自然とひとつになってるし、恐らくバレない」
「そ、そうかい」
ミニッツ達の気配遮断は俺の超直感ですら見つけるのは厳しい。というか自然と一体化しすぎて全く分からないのだ。
俺は妖精達に伝える。
「お前達も今の内に休んでおけ。恐らくこれが砂漠の使徒との最後の戦いになる」
「「最後の戦いですぅ?」 」
シプレ&コフレが小さく首を傾げる。俺は説明する。
「デューンは本来の力を取り戻した後、次はこころの大樹を枯れさせるために動くはずだ。その後、デザートデビルを世界中に放ち、地球侵略のために本格的に攻めてくるだろう」
「「「ですう(しゅ~)ぅぅぅ!?」」」
シプレ、コフレ、ポプリがアワアワ慌てながら空中をさまよう。俺は三匹を落ち着かせるように話す。
「落ち着けお前ら。そんなときのために一応策は用意してある。うまくいけばデューンの奴を出し抜けるはずだ」
「「「ですぅ?(しゅ~?)」」」
「その策って一体なんなんだい?」
「簡単に説明するとだな……」
そして俺は妖精達に話した。
デューンの奴を出し抜くために仕掛けた策について、世界中に放たれるデザートデビル対策について。
「さっきも言ったけど……いつの間にそんな準備してたんだい?っていうか君、サラッと言ってるけど、とんでもないことしてる自覚ある?」
「それはまぁ、俺には
「「「「…………」」」」
「それに
「ヒエン……君、相当負けず嫌いだね」
「そんな褒めるな」
そして俺はアンジェ先輩に思念で話しかける。
『アンジェ先輩……
『プリキュアパレスごと結界で隠れたままです。今のところ……デューンにはバレてはいないようです』
『じゃあ
『了解しました。あとヒエン……』
『はい?』
『貴方が決めたことにとやかく言うつもりはありませんが……決して無茶だけはせぬように』
『了解です』
そして俺は続けて思考する。
ふと時間が気になったので時計を見ると、18時を指していた。今の時間帯なら
「一応、念のためにこの数日は固まって過ごしてほしいと言ったから、一緒にいるとは思うが……とりあえず
『ガァウ』
「サンキュー」
そして俺は映像を展開する。
すると目の前の映像には、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄
「…………っは!」
ふと目が覚める。
どうやら眠っていたらしい。
身体をボキボキとならす。
ラウンドガーターエクステンドのおかげで消費していた魔力と体力も回復していた。すっかり全快だ。
時計に目を向けると時刻は20:30を指していた。
あれから二時間は経っていた。
そうすればデューンの野郎も
そのときコッペ様がのそりと起き上がった。
どうやら目が覚めたらしい。
「「「わあ~!コッペ様ー!!」」」
するとシプレ、コフレ、ポプリが抱きつく。
そしてコッペ様は俺の方をジーっと見つめる。
どうやら状況説明をしてほしいらしい。
「実はですね……」
俺はあれから起こったことを説明した。
薫子さんがデューンによって連れ去られたこと、いよいよ本格的にデューンが動き出すかもしれないこと、俺の方もその対策準備は既に終えていることを説明した。
「安心してください。薫子さんは無事ですから…………って、ん?」
そのときピッツからある映像が送られてきた。
「どうしたんだい?」
「薫子さんが目を覚ましたらしい。それに……いよいよ本格的にデューンが動き始めるようだ」
「「「「えぇ!?」」」」
「今、フルパワーに戻りやがった。……急いで皆を起こせ。デザートデビルがやってくるぞ!!」
「「「「分かったですぅ!/でしゅ!/よ!」」」」
そして俺はさらに、心の中にいる相棒に控えている皆に合図するように伝える。
「相棒!皆に合図だ!!」
『ガァウ!』
よし、その間に俺は……先に殴り込みにいかせてもらおうか。
そして俺はピッツの座標を基に転送魔法を展開しようとすると……
「くぅ!!」
いつの間にか側にいた久遠が俺の肩に乗ってきた。
「え、久遠お前もくるつもりか!?」
「くぅ!!」
「いや、すまんが今回ばかりはお前を連れていけないんだ」
相手はデューンだ。
はっきり言ってあいつ相手に久遠を守りきれる自信はない。
そのとき久遠がポフンと幼女形態になり話す。
「くぅ。くおんもたたかう……あのときみたいな、ぱわーだせないけど……あしでまとい……には…ならない」
久遠は答える。
「それにヒエン、どうせむちゃする。くおん、しんぱい……」
「…………さいですか」
俺は何も言い返せなかった。
そのときコッペ様が俺の頭をポンと撫でた。どうやら鼓舞を入れてくれたらしい。
「ありがとうございます」
というより本当にもう時間がない。
とりあえず俺はコロンに皆へと伝言をお願いすることにした。
「コロン、皆に『惑星城に先に行っとく』って伝えといてくれ!相棒はここに残って皆のサポートよろしく!それじゃ!!」
「ガァウ!」
「ちょ、ちょっと待ちたまえ!?」
そして俺はセットアップすると同時に転送魔法を発動させ、デューンの元へと向かった。
ヒエンside end
◆◆◆
第三者side
デューンは、惑星城の窓から地球を眺めていた。
少年から受けたダメージも現在は生命維持装置ですっかり回復している。
(たかだか人間風情が……この僕に……傷を負わせた)
デューンは目を閉じ、再び開ける。その顔は狂喜的な笑みを浮かべていた。
(奴らはキュアフラワーを助けにくるはずだ。そのときだ……そのときに奴らプリキュアの変身アイテム『ココロパフューム』を奪い、キュアフラワーの前でなぶり殺してやる。そうすれば僕の復讐は完了する。そして地球を砂漠化すれば……あの忌々しい父親を乗り越えたことになる。そのためには……あの魔導師が邪魔だ)
するとサバークから連絡が入る。
『デューン様、キュアフラワーが目を覚ましました』
「ロビーに連れてこい」
『了解致しました』
そしてデューンはロビーへと歩いて向かった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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薫子は目を覚ますと、サバークによって惑星城のロビーに連れてこられた。窓から見える景色には美しい青い地球が映っていた。
カツカツカツカツ…………
すると足音がロビーに響く。
薫子が目を向けるとデューンが現れた。
「お目覚めかいキュアフラワー?」
「デューン!」
そしてデューンは話し始めた。
「覚えているかキュアフラワー?かつて私とお前が戦ったこの場所を……」
「はっ!?」
すると薫子の目の前にはこころの大樹があった。
「こころの大樹!?」
「さぁ」
するとデューンは高速で薫子の側に近寄ると、赤いペンダントを奪う。
「なにをするの!?」
「私の力を返してもらおう」
パリン……
デューンはペンダントを握りつぶす。
するとペンダントに封印されていたエネルギーが飛び出し、デューンの中へと入っていく。
エネルギーの光に包まれると、デューンは少年の姿から青年の姿へと変わっていた。
力を取り戻したデューンはその感覚を確かめるように手を握り、開くといった行為を繰り返す。
そしてこころの大樹の方を向くと、何かを握りつぶすような動作をとった。するとこころの大樹に張られていたバリアがいとも簡単に破壊されてしまった。
「あぁ!?」
「一緒に来てもらおう」
そしてデューンは薫子を抱えるとこころの大樹に飛び移る。薫子を大樹の前に無造作に下ろすと、大樹に右手をつき話し出した。
「見るがいい……こころの大樹が枯れる瞬間を……」
「おやめなさい!!」
薫子が声をあげるがデューンは止まらない。
「お前が後生大事に守ってきたものを全てほろぼしてやる」
すると右手に滅びのエネルギーが収束されると、大樹に赤い線が入っていく。
そしてこころの大樹はみるみるうちに枯れてしまい、倒れてしまった。
「あぁぁ……」
薫子は口に手をつき目を見開く。
「なんということを……」
「こころの大樹は滅び、これで地球を守るものは無くなった。さぁ、地球の終わりだ」
そしてデューンは惑星城にいるサバークに命じた。
「デザートデビルを投下しろ」
『かしこまりました』
すると地球に惑星城からいくつもの砂漠の種が降下される。
その様子を見ていたデューンはさらにサバークに命じた。
「サバーク……地球に向けて映像を流せ」
『了解致しました。どうぞ』
そしてデューンは地球の人々に向けて話し始めた。
「人間共よ……お前達の地球は我々『砂漠の使徒』によって征服された」
デューンは淡々と語る。
「海も川も森も、お前達人間も……全て砂に埋もれるがいい」
そしてついに堪えきれなくなったのか大きな声で笑い始めた。
「ククククク……ハッハッハッ。アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!!!!」
そのとき……
「ずいぶんごきげんじゃないかデューン……力を取り戻してハイにでもなったか?」
「ハッハッハッハ…………なに?」
その
そして目を見開いた。
「貴様は……魔導師!?」
そこには黒スーツを着た少年がいた。
「こころの大樹を滅ぼして……デザートデビルも降下させ地球への侵攻もできて……そのうえキュアフラワーへの復讐もできて……気分がいいか?」
額に炎を灯した少年がいた。
「なぜ貴様がここにいる?」
珍しく言葉が荒いデューンに額に炎を灯す少年は淡々と答える。
「お前がキュアフラワーを狙っていることは分かっていたからな。だからキュアフラワーの側には、常時俺の使い魔をつけていた」
そのとき薫子の肩の上にピンク色の小ライオンが現れる。するともう片方の肩にはいつのまにか小狐も乗っていた。
だが少年は気にすることなく、デューンと会話を続ける。
「そのおかげでキュアフラワーの居場所は最初から分かっていた。あとはお前が動き出すタイミングを見計らって、転送魔法でこの場所にやってきたって訳だ」
「転送魔法ね。相変わらずなめた真似をしてくれる。よほど死にたいとみえる」
「そっちこそ力を取り戻したからか、ずいぶん上から目線じゃないか。さっきまで俺にやられていた人物とは思えないな」
「あのときは封印された状態だったからね。力が出しきれずにいたのさ。今の私はあのときより……格段に強いぞ?」
デューンはよほど気分が良いのか半笑いになりながら、大きく手を広げて言った。
「そうみたいだな。あのときよりも感じられるパワーが半端じゃない。今の俺じゃ、お前に触れることもできなさそうだ。だから限界を超えさせてもらう。
すると少年の姿は変わり、黒いロングコートを纏っていた。その姿を見たデューンはさらに笑いながら話す。
「あのときの姿か、丁度いい。あの時の貴様を……いままさに……叩き潰したいと思っていたところだ」
だが少年は気にせずそれに答えた。
「光栄だな。だが調子に乗るなよ、砂漠の王。なんでもかんでもお前の思い通りになると思ったら大間違いだ」
「その言葉そっくりそのまま返そう、魔導師。今は地球を守っていたこころの大樹も枯れ、砂漠の種であるデザートデビルも世界中にばらまかれた。これでもまだ言えるかい?たかだか人間風情が……『砂漠の使徒』に勝てると?本当にそう思っているのかい?」
デューンの問いかけに少年は鋭い眼光を向けて言い切った。
「勝てるさ」
少年は側から見える地球に目を向けて言った。
「地球には……最後の希望が残ってる。まだ『プリキュア』がいる」
それを聞いたデューンはさらに笑った。
「アッハッハッハッハッハ!これは傑作だ!君の頼みの綱がプリキュアだったとは……だがもう終わりさ。プリキュアがこっちにやってくる頃には地球の砂漠化はもう完了している。見たまえ……この
そしてデューンは違和感に気付く。
デザートデビルを放ってから既に五分は経過している。
普通なら五分もあれば……地球の三分の一は支配できているはずだった。
今まで襲ってきた星もあっという間に海は枯れ、森も枯れ、川も枯れた。砂漠へと……砂色へと変わっていたはずだった。地球も同じはずだった。
だが未だに地球は
すると少年がポツリと呟く。
「
「…………なに?」
するとサバークからデューンに向けて通信が入る。
『デューン様!デザートデビルの数が物凄い勢いで減っています!!』
「なに!?」
デューンが訳が分からないといった様子で聞き返す。
『それが……プリキュアです!!プリキュアが世界各国に現れ、デザートデビルを倒して回っています!!』
「プリキュア……だと?バカな……プリキュアは奴ら以外にいるはずが!?それになぜ地球に生命がまだ存在している!?こころの大樹は枯らしたはずだ!?」
「だから言っただろう。お前の思い通りにはならない……と」
少年の言葉にデューンは反応する。
「貴様が原因か魔導師!?一体何をした!?」
デューンが荒々しく話すが、少年は落ち着いたように話す。
「逆に聞くがデューン……お前がこの地球にくることが分かっているのに、お前の狙いが分かっているのに……俺が
「…………どういう意味だ?」
「お前にも分かるように言ってやる。お前が枯らしたものは
その言葉を聞いてデューンの顔色が変わった。
「まさか……
「さぁな。そこまで答えてやるほど俺もお人好しじゃない。どうしても答えてほしかったら……答えさせてみろよ砂漠の王様」
少年はグローブに炎を灯し、構える。
「サバーク……映像はそのままにしておけ。決めたよ魔導師君。まずはプリキュアからと思っていたが……気が変わった。全世界の人間が見ている前で……君をなぶり殺しにしてあげよう」
そしてデューンも身体に赤いオーラを纏わせ、構えた。
「上等だ。あんたには色々借りがあるからな。それも全部まとめて返してやるよ。デューンあんたは、いや貴様は……死ぬ気でぶっ飛ばす!!」
「それはこちらのセリフさ。ここまでコケにされたのは生まれて初めてだ。せいぜいあがけ……人間!!」
そして世界の命運がかかった戦いが遂に始まった。
次回は別視点。
では、また(・∀・)ノ