vs再び砂漠の王戦。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
俺達の前に再びデューンが現れた。
「会えて嬉しいよキュアフラワー」
「…………」
「50年前……お前がハートキャッチミラージュで封印した私の力、今こそ返してもらうぞ」
デューンは静かに告げる。
そして俺はキュアフラワーを庇うように前に出た。
「セットアップ
ボオン!!
俺を中心に魔力の嵐が巻き起こる。
「それを大人しくさせると思うか?」
その様子を見たデューンが不敵に笑いながら答える。
「あれだけボロボロにやられておきながらまだ立ち向かう勇気があるとは……大したものだね」
「おかげさまで……お前が見逃してくれたおかげですっかり全快だ」
「それは良かった」
そして俺は額の炎の出力を上げて言った。
「あのときとは違うぞデューン。お前が俺達の前に出てきてくれたのは好都合だ。今の力を封じられた状態のお前なら……皆の力で……ハートキャッチオーケストラで十分浄化できるからな」
正史では力を取り戻したデューンにハートキャッチオーケストラを使って破られていたが、今のこいつの状態であれば倒すことは可能なはずだ。まぁ、その隙があればだが。
「なめられたものだね。見たところ、君がプリキュア共の精神的支柱……なのかな?それじゃ、まずは君から叩きのめした方がいいか?」
その言葉にブロッサムが反応した。
「そんなのお断りです!ヒエンさんにもおばあちゃんにも、指一本触れさせません!!」
「だいたい!砂漠の王っていったって全然迫力ないじゃん!なのに、な~んか偉そうにしゃべっちゃってさ!!」
「ふっ。ずいぶん威勢がいいな」
マリンの言葉にデューンは一笑いすると、身体に赤いオーラを纏わせる。
そして挑発するように言った。
「さぁ、
「はぁああああ!!」
その言葉にいの一番に反応したのはムーンライトだった。まるで斬り込み隊長と言わんばかりに攻撃をしかけていく。
だがデューンは動きを見切っているのか、ムーンライトの鋭い攻撃も受け止め、かわしていく。
そして一度下がるが、横から接近していたサンシャインが連続攻撃をしかける。
しかしデューンは同じように攻撃を受け止め防ぐ。
そして後方からマリンが攻撃を仕掛けた後……
「ブロッサムインパクト!」
ブロッサムが上空から両手にエネルギーを溜め、それを放った。
ドォオオオオオオオオンン!!!!!!
エネルギー弾は見事デューンに直撃し、爆発が起こる。
プリキュア達も様子を見る。
「もしかしてやっつけた?」
マリンの発言に俺はすぐに忠告する。
「油断するな!あの程度でデューンがやられるはずがない!お前達は今の内にスーパーシルエットになれ!!」
そのとき赤い稲妻が上空に放たれる。
その衝撃で土煙も晴れる。
「まずい!!」
俺は形態変化で右手のグローブをガントレットへと変化させると、たたずんでいるデューンへバーニングアクセルを放った。
「ふっ!!」
デューンに直撃し、数メートル吹き飛ぶ。
「やはり現時点で一番邪魔なのは君のようだ」
「そいつは光栄だ」
デューンがこちらへ高速で迫る。
俺は防御に徹し、なんとか攻撃を受け流し、超直感でかわしていく。
それに
「く……」
しかしデューンの攻撃は、相変わらず重さが半端ではない。
この状態で力を封じられているのだから、力を取り戻したこいつがどれだけ強いのか想像ができない。
「皆、行きますよ!」
ブロッサム達に視線を向けると、ハートキャッチミラージュを使おうとしていた。
(よし!ここでスーパーシルエットになれれば……デューンを浄化できる!!)
スーパーシルエットになるにはプリキュア四人が揃わなければならないというのがネックであるが、なってしまえばこちらのものだ。
しかしそれはデューンも確認していたようで……
突如狙いを俺からブロッサム達に変え、高密度のエネルギー弾を放ったのだ。
「な!?しまった!?」
「「キャアアアアア!?」」
そのエネルギー弾はマリンとサンシャインに当たり、二人は変身が解けてしまう。
「他愛もない」
そしてさらに奴は高速でムーンライトに接近し、至近距離で赤い砲撃を放つ。今度はムーンライトまで倒れてしまった。
するとデューンはブロッサムに接近し赤い稲妻を放とうとする。
それを見た俺はブリッツアクションでブロッサムの前に移動し、再びデューンにバーニングアクセルを放つが……なんと至近距離でかわされてしまった。
(この距離でかわすだと!?)
「何度もその技を使われれば嫌でも慣れるさ」
そして俺はデューンに裏拳で横合いに弾き飛ばされ、森の中へと吹き飛ばされてしまった。
ドガァアアアアアアアンン!!!!!!
「ヒエンさん!?」
ブロッサムがこちらに呼び掛けるが、その隙をつかれて彼女も至近距離でエネルギー弾を浴びてしまった。
「キャアアア!?」
「愚かな奴らめ」
「もうやめてちょうだい!!」
そのときフラワーがデューンに声をあげる。デューンもフラワーの方に気付き、視線を向けるが……その視線を遮る者がいた。
ブロッサムだ。
タクトを持ち、デューンの前に立ちはだかった。
「キュアフラワーに……手出しはさせません!はぁああああ!!」
そして真っ正面からデューンに立ち向かっていく。だが……
ドォオオオオオオオオンン!!!!!!
デューンは人差し指に赤いエネルギーを収束させると、ブロッサムにそれを放ち、気絶させてしまった。
それを遠くで倒れながら見ていた俺は、己の浅はかさに思わず地面を叩く。
地面に軽くクレーターができたが今はどうでも良かった。
(スーパーシルエットになる隙さえ作れば……なんとかなると思った。だが甘かった……。あの野郎が……デューンがそれを黙って見ているはずがなかった!!!!)
頭では分かっていたはずなのにデューンの行動を予測できなかった。
そのことが俺の心に重くのしかかる。
その間にもキュアフラワーが果敢にデューンに接近戦を挑んでいたが、数秒でやられてしまった。コッペ様もデューンに飛びかかったが一撃でやられてしまった。
俺以外、皆やられてしまった。
もう後がない。
ならばもう
今、奴は全員倒したと思って油断しているはず。ならば今が攻撃を当てる最大のチャンス。
そして俺は相棒に話しかけた。
「相棒、オーバードライブシステムの微調整はどうなってる?」
『ガァウ!』
「丁度今終わったのか。タイミングがいいのか悪いのか……。じゃあさっそくで悪いが、使わせてもらうぞ?」
『ガウ!』
「オーバードライブシステム起動……
そして俺はオーバードライブを発動させた。
ヒエンside end
◆◆◆
第三者side
「つぼみ!みんな!?」
薫子……キュアフラワーは皆がやられていく様を見ていることしかできなかった。
そして全員を片付けたデューンはフラワーと向き合う。
「さぁ、いこうかキュアフラワー」
デューンが話したとき、気づけばフラワーは攻撃していた。
「おっと」
だがデューンはフラワーの踵落としを受け止めた後、拳を叩きつける。フラワーもそれをかわし、再度攻撃する。
二人は高速で空を飛び交い、肉弾戦を繰り広げる。だが封印されているとはいえパワーは圧倒的にデューンの方が上であった。
フラワーは予想以上に弱体化していたため、攻撃が効いていないのだ。
バシン!!!!
そしてフラワーの拳を受け止めた後、デューンは赤いエネルギー弾を至近距離でぶつけた。
フラワーはそのエネルギー弾の直撃をくらい変身が解除され、倒れてしまう。
「グォオオオオオオ!!!!」
それを見たコッペが咆哮をあげながらデューンに飛びかかるが、デューンのエネルギー弾を食らってやられてしまう。
「妖精ごときが生意気な……」
「コッペ……」
それを見ていた薫子もダメージで気絶してしまった。
そしてデューンは薫子に近付こうとしたとき……
「!?」
ブオン!!!!
すると何か風切り音のような音が響いた。
「さすがだなデューン……今の攻撃をかわすとは」
そこには先ほど吹き飛ばしたはずの少年がいた。
「君は……まだ動けたのか……いや、しかしその姿は?」
デューンは困惑していた。
吹き飛ばした少年の格好が少し変化していたからだ。
先ほどまで少年の姿は黒スーツに黒いベストを着ていたのだが、今はそれに黒いロングコートが追加されていた。
それになにより……
(なんだこの迫力は?)
少年の姿を見た途端に少し恐れている自分に気が付いた。
そして
(待て……なぜ今、僕は後ろに下がった?)
デューンは思考する。
目の前にいる少年は遊び相手としては面白い相手であったが、恐れるほどではなかったはずだ。
現にさっきまで楽に倒せる相手であった。
だが距離をとってしまった。それも無意識に。あろうことかプリキュアではなくたかだか人間風情に……そのことがデューンのプライドを大きく傷つけた。
そして目の前にいる額に炎を灯す少年はデューンに話しかけた。
「デューン……お前は少しやり過ぎた。悪いがもう……容赦はしない」
そして少年とデューンの戦いが始まった。
第三者side end
◆◆◆
ヒエンside
俺は遂にオーバードライブを発動させた。
俺のバリアジャケットに新たに黒いロングレザーコートが追加された。
分かりやすくいえばボンゴレ
オーバードライブ:スピリッツフォームは俺とヒッツの
フルドライブが『能力の強化』であるならば、オーバードライブは『能力の極限化』だ。
リヴィジョンシステムの最終段階、
リンカーコアから送られてくるあふれる魔力を体の中だけでなく、バリアジャケットにも回し、ひたすら循環させることで全体的な能力を
その関係でバリアジャケットのデザインがロングコートになったのである。そして身体に負担がかかるほどの魔力量でも利用することが可能になったのだ。
だが当然肉体にかかる負荷も半端ではない。その上、魔力消費も激しい。射撃魔法や、砲撃魔法の威力も必然的に上がるが使用はできるだけ控えるのが望ましい。
それに限界を超えた強化のため出力を間違えてしまえば、俺の肉体は自滅してしまうという諸刃の剣でもある。
だからこそ相棒の微調整もギリギリまでかかってしまった。これでも
そして目の前には俺の不意打ちをかわしたデューンがいる。その目にはどこか困惑したような表情が伺えた。
「さすがだなデューン……今の攻撃をかわすとは」
「君は……まだ動けたのか……いや、しかしその姿は?」
そうか。
俺の姿が少し変わっていたから驚いたというところか?しかしこいつが困惑するところを見るとは思わなかったな。
それにしても……
俺は周囲を視線だけで確認した。
つぼみが……えりかが……いつきが……ゆりが……薫子さんが……コッペ様が……全員倒れていた。
すると身体の中からフツフツとなにかが込み上げてくる感覚があった。
(これは……怒りか?)
それを自覚したら俺の額の炎と、グローブの炎も今までより勢い良く燃え上がった。
なぜだろう?
出会った当初は、目の前にいるこいつは恐ろしい感覚がして冷や汗が止まらなかったのに……今は不思議と……
(負ける気がしない……)
俺は目の前の男に話しかけた。
「デューン……お前は少しやり過ぎた。悪いがもう……容赦はしない」
そして俺は奴の視界から消え、後ろに回り込んだ。
「な、消えただと!?」
「後ろだ」
そして俺はデューンの顔を殴った。
「ぶっ!?」
続いて横蹴りで吹き飛ばす。
「く……たかだか人間風情が!?」
デューンは体勢を立て直すと高速で接近戦をしてくるが、俺は全てかわしていく。頭に血が上っているのか直情的になっており、かわしやすい。
「なぜだ!?なぜ当たらない!?」
「…………」
強力なパンチや蹴りを化剄で受け流し、カウンターを入れていく。そしてパンチをクリーンヒットさせた。
そして俺は吹き飛ぶデューンを三重捕縛魔法で拘束した。
「これで終わりだデューン。オペレーション……ダブルヒート」
両腕をクロスに構え、ダブルヒートバーナーを撃つ準備をしようとしたとき……
「動くな」
突如聞こえてきた声に俺は動きを止めた。
目を向けるとそこには仮面を着けた銀髪の男が黒いエネルギー弾を薫子さんの方へと向けていた。
「お前は?」
だが俺の質問には答えずに、仮面の男はデューンに声をかけた。
「デューン様……お迎えに上がりました」
「サバークか」
(こいつがサバーク……)
そしてデューンはバインドを破壊すると、こちらへ目を向けながらサバークの方へと歩いていく。
そして薫子さんを抱き上げた。
俺はなんとかできないかと思考するが……
「おっと、おかしな真似はするなよ魔導師の男……奴らを傷つけたくなければな」
「ち……」
皆の方を向くと、ダークプリキュアが側で控えていた。すると上空から巨大な要塞、惑星城が現れる。
そして俺は何もできないままジッとしていた。
デューンは俺の方を見ると呟いた。
「この屈辱は忘れないよ魔導師君。色々と覚悟しておくことだ」
そして薫子さんを連れ惑星城にワープしていった。
サバークとダークプリキュアもこちらを一瞥すると、ワープで消え去った。
俺はただそれを見ていることしかできなかった。
次回、単身突撃します。
では、また(・∀・)ノ