大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

祝!日間ランキング10位 2017 09/16

奇跡的に載ってた!!

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第百七十二話 心の花を守る伝説の戦士XLIV

ヒエンside

 

 

 

(どうしてこうなった……)

 

 

俺は今、体育館のステージの上でコブラージャと対峙していた。

 

 

「君は……()()()()()()()()()?僕の美しいステージを邪魔するというのなら容赦はしないよ?」

 

 

そして、この美しさ至上主義の砂漠の使徒の大幹部は、どういうわけか()()()()()()()()()()()()()()していた。

 

そんな俺は現在、全体的に黒いゴシックロリータの服に身を包み、黒いウィッグをつけて、薄い化粧をされていた。

 

そしてその成果もあってか周りのお客さんは、俺を本当の女の子だと信じて疑っていなかった。

 

 

「綺麗なお姉様……」

 

 

「誰なのあの人は!?学校で見たことないけど!?」

 

 

「あんな綺麗な人……見たことない……」

 

 

なぜこんな事態になったのか、それは今から約一時間半程前にまで遡る。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

ももかに家庭科室に連れてこられた俺とオールスターズの面々。

 

そして俺は今、扉の前で止まっていた。

 

なぜなら超直感の警鐘がここに来て最大になっているからだ。

 

 

【ジリリリリリ!!!!!!】

 

 

今までの経験から間違いなく言える。

 

中には俺にとって決して良くないものがあると!!

 

そうと分かれば逃げるが勝ちである。

 

 

「ももか。俺ちょっと、トイレに行ってくるわ」

 

 

「なんで()()()()()()()にトイレにいくの?さっき通りすぎちゃったよ?」

 

 

「ほらあれだよ。急にいきたくなるときってあるじゃないですか」

 

 

「はいはい。逃げようとしないでさっさと入る」

 

 

ガラッ

 

 

だが無情にも扉は開けられてしまった。

 

中にはファッション部員と思われる女子生徒四人がいた。というかつぼみのクラスにいた女の子達であった。そしてなぜか月影までいた。

 

 

「あ、来たんですねお兄さん!」

 

 

「いえ、人違いです」

 

 

「はいはい。観念しなさい」

 

 

背中を押され中へと入る。

 

オールスターズの面々もなんだなんだ?と言いつつ入ってくる。

 

家庭科室には彼女達五人がおり、その真ん中にはカーテンで覆っている物がポツンと置いてあった。

 

それを見た瞬間に嫌な予感しかしなかった。

 

 

「この中にはお兄さん様の衣装があります!」

 

 

「私達ファッション部全員で渾身の力を籠めて作った一枚です!」

 

 

「きっと似合います!」

 

 

「きっと()()()()()()()()です!」

 

 

「「「「さあ、カーテンを取ってみて下さい!!」」」」

 

 

ファッション部四人のこれでもかというほどの期待した眼差しが俺に迫る。

 

え?

なにこの既に外堀りを埋められたこの感じ?なんというかこう……もう時既に遅しみたいな。

 

本音を言えば見たくない。どうしても見たくない。だがこの希望に満ちた視線を裏切れようか?否、断じて否である。というか空気的に無理。

 

もし仮に俺が見ないという選択肢をとった場合……恐らくここにいる女子全員敵に回すことになるだろう。

 

うむ。

多勢に無勢だ。

 

なので俺は大人しく勇気を振り絞ってカーテンを取った。

 

そこには……

 

 

 

黒いゴシックドレスが飾ってあった。

 

 

 

それを見た瞬間、俺は既に逃亡していた。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「「「「「えーーーーーーーーーーーっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!????」」」」」

 

 

まさか俺が窓から逃亡を図ると思っていなかったのか、女子全員が驚いていた。

 

家庭科室に入った瞬間に即座に逃走用経路はチェック済みよ!

 

そして俺は遅ればせながら気付いた。

 

なぜあの女の子達がああまで()()()()()()()()()()()のか……なぜ服を着るだけなのに()()()()()()()()()()()()()()のか……

 

全ては俺を女装させるためだったのだ。

 

だが逃げようにも後ろには十数人の少女達がおり逃げられない。ならば別のところから逃げればいい。

 

というわけで一階の窓から飛び降り、無事着地した俺はダッシュしようとしたのだが……

 

 

「逃がさないわよ」

 

 

俺に遅れることコンマ数秒後……

 

同じく窓から飛び出た月影ゆりという名のラスボスが……俺の前に立ち塞がった。

 

おのれ!

やはりお前が俺の前に立ちはだかるか月影ゆりイイイィィィ!!

 

俺は死ぬ気化して月影に話しかける。もちろん額から炎は出していない。

 

 

「お前……あの衣装、昨日の時点で知ってたな?」

 

 

「ええ。大分前から知っていたわ」

 

 

「ならば聞く。なぜ俺が()()()()()()()()ファッションショーに出なきゃならない?」

 

 

「サプライズよ。貴方……言ったら絶対に出ないでしょ?」

 

 

「当たり前だ。誰が好きこのんで女装なんぞするか」

 

 

「でも貴方……この前つぼみに言ったわよね?()()()()()()()()()()()()……と」

 

 

「ぐ……確かに言ったが、誰が女装して出るなんて予想できる!?」

 

 

するといつまでも諦めない俺に月影は一度だけため息をつくと……静かに語りだす。

 

 

「ある人から頼まれたのよ。『ぜひあの子にも楽しい思い出を……』と。貴方は()()()()……この希望ヶ花市に来たでしょ?本来なら……()()()()()学生生活を送っていたはずの貴方に……私達と同じように……『あの子も学生として、何か思い出を残せる手伝いをしてほしい』と……そう頼まれたのよ」

 

 

「……思い出?」

 

 

「そう。思い出よ」

 

 

俺達の会話を聞いている他の面々は、疑問符を浮かべているが……これは月影なりの配慮であろう。

 

俺はこの世界の人間ではない。

 

だからこそぼかして話したのだろう。

 

俺としても月影の言葉でこれを言い出した人が誰なのか大方検討はついている。その人の気持ちも正直嬉しい。だが……それとこれとは別である。

 

 

「確かに俺は望まずして……この希望ヶ花市に来た。それに『思い出を残してほしい』と言ってくれたその人の気持ちも純粋に嬉しい。だがな……これだけはどうしても言いたい。なぜ女装なんだ!?」

 

 

「ある人と、貴方の相方が情報提供してくれたのよ。貴方が過去に罰ゲームで……女装することになった映像を私達に見せてくれたわ」

 

 

「!?」

 

 

「そしてそれを見たつぼみ達は衝撃を受けて……インスピレーションが刺激されたのでしょうね。物凄い速度で……あっという間に……あの服を完成させたわ」

 

 

そうなのか。だが……

 

 

「今さらで悪いが……俺は出ないぞ」

 

 

「貴方ならそう言うと思ったわ。だから私と賭けをしましょう」

 

 

「賭け?」

 

 

「そう。決闘よ」

 

 

「はあ?決闘?」

 

 

「模擬試合よ。私が負けたら……貴方はファッションショーに出なくていい。だけど、私が勝ったら……あれを着てファッションショーに出てもらう。どう?貴方にとっても悪くない話だと思うけれど?それに私個人としても……貴方とは一度決着をつけておきたいと思っていたところだし」

 

 

俺は月影の提案に短く思考する。

 

そして答えた。

 

 

「良いだろう。俺もお前とはちゃんとした勝負をしたいと思っていたところだ。あのときは不意討ちの勝負みたいなもんだったし 」

 

 

俺の言葉に月影はあのときの俺との戦いを思い出したのだろう。顔が少し赤くなっていた。まぁ、あのとき始まった戦いのきっかけがな……なんとも言えん。

 

 

「…………時間もないし……ここで勝負しましょう。今の時間帯ならお客さんは体育館に行っているから問題ないわ」

 

 

「望むところだ」

 

 

そして俺達が構えだしたのを見ると、ももかが騒ぎだす。

 

 

「な、なんだか急展開すぎてついていけないけど……お、面白い展開になってきたー!!」

 

 

「いやいやいやいや!!急展開すぎますよ!!なんでいきなり決闘になってるんですか!?っていうかそこのピンク四人組!!なんでそんなワクワクした顔になってんの!?」

 

 

「「「「ワクワク……ワクワク……」」」」

 

 

ももかのボケと、プリキュアリーダー四人組に果敢に突っ込むツッコミ要員こと、りんさんである。だが申し訳ないがそちらに構っている余裕はない。

 

俺も構え……月影も構える。

 

月影の体術レベルは以前戦った経験から考えて……美由希さんより強いと思われる。恐らく恭也君レベルと見ていいだろう。下手をすれば一瞬でやられるレベルだ。

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

俺達は互いににらみ合い、同時に駆け出した。

 

先行は月影からだ。

 

強力な正拳突きを仕掛けてくる。

 

俺はそれを化剄で受け流すと、月影の顔へ掌打を放つ。

 

だが月影もそれを回し受けで受け流し、カウンターで再び突きを放つ。

 

それを超直感で感知していた俺は、化剄で受け流しながらさらに接近する。そして月影に特殊な歩法の技をかける。

 

相手を巻き込むように動くことで相手を転ばせるのだ。

 

途端に転びそうになる月影。

 

 

「!」

 

 

だが咄嗟に俺の服の裾を掴んで転ぶのを防ぐ。そのせいで今度は俺が姿勢を崩すことになる。

 

俺はなんとか姿勢を整えるために後ろに一旦下がるが……

 

 

「!?」

 

 

だがその隙をつき、いつの間にか俺の懐に潜っている月影の姿があった。そして両手を貫手(ぬきて)に変え、強力な連続突きを放ってきた。

 

 

(あのときより速い!?)

 

 

俺は残像をも見えるようなスピードで放たれる連続突きを何とかギリギリ受けきる。

 

だが数発、俺の頬にかする。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

俺が防ぐスピードよりも月影の攻撃スピードの方が速い。つまり技の切り返しが俺より僅かに速いのだ。

 

 

(このままでは……)

 

 

必死に後ろに下がりながら受け止めていくが、反撃に出る隙がない。そして防戦一方になり徐々に追い詰められていく。

 

そのとき、俺は後ろにあった小石に足を取られ姿勢を崩してしまった。

 

 

「しまっ!?」

 

 

そしてその隙を逃さなかった月影は、俺の顔一歩手前で突きを止めた。

 

 

 

ピタリ

 

 

 

「勝負あり……のようね」

 

 

「はぁ……負けたか」

 

 

ここに俺の女装が決まったのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

大人しく俺は家庭科室に戻り、黒いゴシックドレスを手にとる。残念ながら俺のサイズにピッタリであった。

 

 

「本当にこれ……着なきゃダメか?」

 

 

「負けたら着るとそう決めたじゃないの」

 

 

「ぐ……」

 

 

確かに言った。

 

ええい!

男は度胸だ!

 

 

「分かった!着るよ!!着させてもらいます!!」

 

 

そして俺はせめてもの抵抗としてこの教室の中にいる女子全員に言った。

 

 

「あの……着替えるので……皆さん外に出てもらえません?」

 

 

「「「「「………………」」」」」

 

 

女子全員が俺の言葉の意味が分かったのか、顔を赤くしながらそそくさと出ていった。

 

そして最後に月影と、ももかがチラリとこちらを見ながら言った。

 

 

「「逃げちゃダメよ(だよ)?」」

 

 

「もう逃げないってば……」

 

 

俺は項垂れながら言った。

 

 

 

 

 

 

数分後……

 

 

 

 

 

 

俺はゴシックロリータの服を着たあと、黒いウィッグを被る。そして黒のローヒールをはき、黒いカチューシャをつけた。

 

 

「…………」

 

 

自分で言うのもなんだが……目の前には美少女がいた。なつかしきヒエちゃんがいた。

 

もう二度と会うことはないと思ったのに……。

 

そもそも人間というものは、髪型を少し変えるだけで、こんなにも印象が変わるものなのか。

 

悲しきことに……また女性物の下着をつける羽目になるとはorz

 

もう……後戻りはできない。

 

ステージに出ると決めた以上……もう死ぬ気でヒエちゃんを演じるしかねぇ!!

 

 

「はぁ……」

 

 

そして着替えを終えた俺はため息をはきながら、ドアを開けた。

 

 

「キガエオワリマシター」

 

 

少し片言なのは仕方ないと思います。

 

 

「ホント~?どんな感じ………」

 

 

「「「「「……………………」」」」」

 

 

「…………」

 

 

女性陣からの反応がない。俺は正直、女性陣とは目を合わせられないので視線を下に落としていた。すると……

 

 

 

 

 

 

「「「「「キャアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!??????」」」」」

 

 

 

 

 

 

悲鳴が聞こえた。

 

 

「こ、これは……予想以上だわ……」

 

 

「き……きれい……」

 

 

「すごい……」

 

 

月影……舞さん……ひかりさんが感嘆するように言う。ファッション部四人は…より一層目を輝かせていた。

 

そしてももかは、どこから取り出したのか色とりどりの化粧道具を持ってきていた。

 

 

「さぁ、後は綺麗にすれば、謎の美少女……ヒエちゃんの誕生よ!!」

 

 

「私も協力します!」

 

 

「私も協力させてください!!」

 

 

そこへアイドルの卵であるうららさんに、読者モデルの美希さんも加勢に入った。

 

わあー

こんなスペシャリスト達も中々居ないよねぇ。ホントスゴーイ。

 

そして俺は化粧のスペシャリスト達に綺麗にされるのだった。

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

化粧のスペシャリスト達によって無事完了した俺は現在、オールスターズと撮影会を行っていた。

 

なんでものぞみさんが、「ヒエンさん!あのときの罰ゲーム、皆との撮影会にしましょう!!けって~~い!!」と拒否する間もなく決めてしまったのだ。

 

俺の黒歴史がどんどんと広がって行く。まさか違う世界でも広まるとは。しかも女子中学生にですゼ……ナンテコッタイorz

 

そして撮影会が終了(全員と撮った)し、そろそろ時間的にファッションショーが迫ってきたそうなので全員で体育館へ向かうことに。

 

体育館へ行くと、プログラムも順調に終わっており、次は軽音楽部のライブなそうな。

 

例年通りであれば、プログラムのトリは軽音楽部らしいのだが、今回はファッションショーらしい。ああ……だからえりかとつぼみは昼頃、廊下で大きい声を出してたんだな。

 

そんなファッションショーに俺は出なければならないのだ。出なきゃ……いけないんだよなぁ。

 

 

 

ズーン…………

 

 

 

俺は少し沈みながら体育館の端を歩く。

 

一番先頭が月影、二番目がももか、その後ろを俺がついていく。相棒と久遠は動物なので、それぞれ舞さんとひかりさんが預かってくれている。

 

そして体育館裏にたどり着くと、既につぼみ達がいた。何やら震えている女の子二人を必死に慰めていた。

 

話を聞くと、観客が多過ぎて気持ちがついていけないそうだ。

 

なんでだろう。

その気持ち痛いほど分かるよ。

俺なんて……俺なんて……女装姿でファッションショーに出ないといけないんだぞ!?

 

俺は二人に歩み寄り……肩をポンと叩く。

 

 

「「へ?」」

 

 

「…………わたしもこの後のファッションショーがとても(いろんな意味で)こわいです」

 

 

変身魔法の応用で声を少しだけ変える。

 

声だけ聴けば完全に女の子である。

 

そりゃそうだ。

 

イメージは花澤○菜さんである。

 

 

「(精神的に追い詰められて)足が震えそうです……(精神的に追い詰められて)泣きそうなほど辛いです……正直、(精神的に追い詰められすぎて)逃げ出したいです。でも……ここで逃げ出したら……絶対に後で後悔します」

 

 

主に羞恥心で(迫真)

 

そして涙目で震えている軽音楽部の二人に俺なりに精一杯伝えた。

 

 

「だから……少しだけでいいんです。少しだけ……勇気を出しましょう?少しだけ……頑張ってみましょう?少しだけ……一歩踏み出してやってみましょう?」

 

 

あざとく涙目&上目遣いのコンボで言ってみる(棒読み

 

するとあら不思議……二人は顔を赤くさせて……

 

 

「「は、はい……」」

 

 

見事説得大成功( ・`д・´)キリッ

 

 

すると俺の後ろにいた女給さん二人は空いた口が塞がらないような表情で……こちらを指で差していた。

 

 

「「だ、だだだだだ………だれ!?」」

 

 

誰って皆のアイドルヒエちゃんです(無表情

 

 

「完全に別人じゃないの……」

 

 

「すごーい!ねぇ、モデルやってみない?謎のアイドルヒエちゃん……絶対に売れるわ!!」

 

 

「遠慮します」(ニッコリ)

 

 

「「あ、あの!!」」

 

 

すると軽音楽部のボーカル二人が俺に声をかけてくる。

 

 

「「私達と……一緒に出てもらえませんか!?」」

 

 

あれえぇぇ?

どうしてそうなる?

 

 

「それもいいかもね。ここで司会なんてしてくれればさらに盛り上がるかも」

 

 

ももかが傍にあったマイクを渡してくる。

 

ええい!

もうどうにでもなれ!!

 

そして俺はマイクを受け取りテンション振り切って出ていった。

 

 

「あ、ヒエちゃん!ちょっと打ち合わせもなしに……」

 

 

「皆さんこんにちはー!!今日は明堂学園『明堂祭』に来てくれてどうもありがとうー!!」

 

 

『『『『『イエエェェェーーーーーーーーーイイイイイ!!!!!!』』』』』

 

 

俺の登場に会場が沸き上がる。

やはり花澤さんボイスは凄まじい(迫真)

 

 

「盛り上がってるー!?」

 

 

『『『『『イエエェェェーーーーーーーーーイイイイイ!!!!!!』』』』』

 

 

会場のノリは反応的にはかなりいいようだ。ならばここは……可愛い系アイドルでいってみるか。

 

 

「あは。皆元気いいね!!ここで軽く自己紹介!!私、ヒエっていいます!!ヒエちゃんって呼んでね?」

 

 

『『『『『ヒエちゃーーーーーーーーーーんんんんん!!!!!!』』』』』

 

 

もう俺に失うものなど何もない。

既に色々失いすぎて……もう後戻りできない状況だからな!!(錯乱

 

 

「はーい!ありがとうー!!さぁ、次はいよいよお待ちかね……軽音楽部の皆さんのライブです!!軽音楽部の皆さん……どうぞー!!」

 

 

軽音楽部の面々がスタンバイする。

 

ボーカルの二人も少し緊張しているようだが先程よりはマシだ。

 

 

「それじゃ準備はOKですかー?それでは、はりきって!お願いします!!」

 

 

とそこで演奏が始まり……ライブが始まろうとしたとき……

 

突如、明かりが消える。

 

そして前方に突然現れたバラを持った青髪の男を照らした。

 

 

「悪いけどそのステージ……この僕がいただくよ!!」

 

 

「「「「キッキイーー!!」」」」

 

 

もう今は見慣れてしまった砂漠の使徒の大幹部……コブラージャが前にいた。

 

おい。

なぜお前がここにいる?

というかライトは誰が照らしてるんだ?

 

俺は視線をライトの方に向けると、タイツをかぶった黒い兵隊のような奴がコブラージャにライトを当てていた。

 

確かスナッキー……だったか。

無性にどこぞのショ○カーの兵隊にしか見えない。

 

 

「僕の~うつくし~さに~ひれふす~のさ~にんげん~た~~~ちよおおお」

 

 

なんとも音痴な声でオリジナルの歌詞を歌う大幹部。いや、大幹部(笑)。

 

当然観客からしたら面白くないわけで……

 

 

『引っ込めー!!』

 

 

『音痴ーー!!』

 

 

『変人ーー!!』

 

 

『ナルシストー!!』

 

 

「失敬な!!」

 

 

さすがのコブラージャも罵倒の嵐に怒りを持ったらしい。

 

 

「ん?」

 

 

すると前にいる軽音楽部の()()()()()()()()()()言った。

 

 

「丁度いい。()()()()()()こころの花をいただくよ」

 

 

(あの野郎!?こんな場所でデザトリアンを生み出すつもりか!?)

 

 

俺は二人を庇うように前へと出る。

 

 

「君は……()()()()()()()()()?僕の美しいステージを邪魔するというのなら容赦はしないよ?」

 

 

え?

プリキュア?

 

俺は改めて自分の格好を見てみる。

 

ゴシックロリータの黒い服、黒のローヒールに、黒いカチューシャ。

 

うん。

プリキュアって派手な衣装多いもんね。見ようによってはプリキュアと見えなくもないな(゜-゜)

 

すると奴はさらにとんでもないことを言い出した。

 

 

「だが……見たところ()()()()()()()()()()()みたいだね?なら君からもデザトリアンを作らせてもらおうか」

 

 

俺のこころの花が枯れていると言い出したのだ。

 

そもそもデザトリアンは人間の心が持つ様々なコンプレックスから生み出されるモンスターである。劣等感やその人の持つ悩みが強ければ強いほど、デザトリアンも強くなっていく。

 

今、俺のこころの花が枯れているのは女装とファッションショーで精神的ダメージを負ったことで……精神が疲弊しているからだろう。

 

それに他にも問題はある。

 

デザトリアンは使()()()()()()()()()()()()のだ。

 

つまり……俺の心の叫びがこの衆人観衆の前でさらされることになる。

 

そんなことになってみろ。俺のこころの花は、除草剤を振りかけられた如く一気に枯れてしまうぞ。

 

俺が女装をした人間だということがバレてしまうのだ。

 

 

(そんなこと絶対にさせるわけにいかない!!主に俺の心のために!!)

 

 

それに……デザトリアン対策がないわけではない。その対策として俺は死ぬ気化する。

 

それを見たコブラージャは驚愕した。

 

 

「な!?()()()()()()()()()()()だと!?」

 

 

死ぬ気化して無理矢理前向きになる。要は気にしなければデザトリアンになることはないのだ。

 

 

「ええい!どうあっても邪魔をする気かプリキュア!!ならば行けスナッキー!!」

 

 

「「「「キイイィィィ!!!!」」」」

 

 

スナッキー達四人が俺に迫る。

 

こんな一般人が大勢いる前で魔法を使うわけにはいかない。ならば……

 

 

「シッ!!」

 

 

肉体強化で……体術で倒すしかない。

 

一体目のスナッキーに回し蹴りを放つ。

 

スナッキーが吹き飛んでいく。

 

 

「「キィイイイ!!!!」」

 

 

後ろから二体のスナッキーが俺に攻撃を仕掛ける。

 

それを超直感で感知していた俺は、バク宙でかわす。そしてスナッキーの後ろに回り込むと、横蹴りでまとめて吹き飛ばす。

 

そして最後の一体に目を向けると、一気に距離をつめ……

 

 

「せい!」

 

 

背負い投げで沈めた。

 

俺はコブラージャに目を向ける。

 

 

「へぇ、やるじゃないか。だがこれならどうかな!」

 

 

 

ブン!!

 

 

 

コブラージャがブロマイドを数枚投げつけてくる。

 

後ろにはボーカルの二人がいる。

 

ならばはたき落とすしかない。

 

 

「フッ!!」

 

 

両手でなんとかはたき落とすことに成功する。だが……

 

 

「甘いよ!!」

 

 

その隙にコブラージャに脇をすり抜けられる。そしてボーカルの二人組の前に立たれてしまった。

 

 

「しまった!?」

 

 

「こころの花よ!出てくるがいい!!」

 

 

「「キャアアアアアアア!!!!」」

 

 

コブラージャは能力を発動させると二人は光に包まれる。そして二人の身体が赤色の結晶へと変化する。

 

そして結晶の下についている赤色の水晶を弾き飛ばすとコブラージャは結晶を掲げた。

 

 

「ダークブレスレットの力を見せてあげよう。デザトリアンのお出ましだ!!」

 

 

「『カラオケ~!!』」

 

 

そして()()()()()()()()()……マイクとオーディオに合体させ、カラオケ型のデザトリアンを生み出したのだった。

 




次回はプリキュア少女ヒエちゃん。
プリティでキュアキュア死ぬ気でがんばります。

では、また(・∀・)ノ

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