今回は少し並行世界ならではの違いが出たり。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
「ん?」
俺はそっと目覚めた。
頭がボーっとする。
「つぼみ~ヒエンが起きたですぅ」
するとシプレの小さな顔が視界に入った。そしてシプレが移動すると……
「目、覚めました?」
「ああ……ん?」
目の前につぼみの顔があった。
「…………」
「体調はどうですか?」
「あ、大丈夫」
「そうですか。良かったです」
「うん」
つぼみが笑顔でこちらを見てくる。
どういう状況これ?
「あの……つぼみさん?」
「はい?」
「これ……どういう状況?」
「えっと……ゆりさんの攻撃でヒエンさんが気絶してしまったので目が覚めるまで私が見てました」
「ゆりさん?ああ……月影か。それに攻撃って……」
そして俺はその状況を思い出した。
「あー……確かにあれは悪いことしたかも」
「そういえばゆりさん、顔を赤くさせながらヒエンさんに謝っておいてほしいと言っていましたが……何かしたんですか?」
するとつぼみがジト目で言ってくる。
つぼみの目のハイライトが消えていないということが……こんなにも俺の心に余裕ができるのだということに内心驚いていた。
「あー……聞いても怒らないか?」
「……内容によります」
「…………言わなきゃダメ?」
「ここまできて何を言ってるんですか……」
「…………」
「分かりました。怒りませんから教えて下さい。ここで秘密にされる方が気になります」
「実は……」
そして俺は言った。
雨に濡れていた影響で月影の制服が透けていたので追いかけて黒いジャケットを渡しにいったこと。
そして月影と会話をしたあと、
そしてギャラリーまでできてしまい、後に退けなくなった俺達は決着をつけるために衝突しようとしたとき……
いつきに止められた俺が月影にやられたという訳である。
するとつぼみが聞いてきた。
「成り行きで……というところが少し気になりました。ゆりさんは訳もなく、戦いを挑んだりしません。そこには必ず原因があるはずです。ヒエンさんは何を言ったんですか?」
「じ、実は、服が透けているのを気にしてそうだったから……言ったんだよ」
「…………何を?」
「全然太ってる様に見えないし、キレイだったぞ?……って」
「…………」
「……そ、それで月影が蹴り技を繰り出してきたので必死に避けてたら……その拍子に……し、白い……パ、パンツも見えました」
「…………」
「そ、そこから一気に攻撃が苛烈になっていきましたですはい」
自然と敬語になっていく俺。
気のせいでなければつぼみの俺を見る目が段々と
「…………何が問題なのかは自覚はあるんですね?」
「はい」
それはもう……
この世界に来てから、身に染みて分かってますorz
今、冷静に考えたらちょっとヤバイこと口走ったな思いました。
「まぁ、ゆりさんに言った言葉の何が問題か気付けただけでも
「お、おう」
つぼみが優しい……だと!?Σ(゜Д゜)
いつものように堪忍袋の緒が切れることになると思ったのだが、そうでもなかった。
でも余計なこと言ったら、またいつもの展開になりそうなんで言わないでおこう。
「そういえば他の皆は?」
「ああ、えりかといつき、ゆりさん、コフレ、ポプリなら帰りました。もう遅いですし」
「え?」
すると俺は周りが夕方になってることに気付く。
急いでガバリと起き上がる。
腕時計の時間を確かめる。
時刻は普通に17:30を指していた。
デザトリアンが出たときはまだ昼過ぎであったはず……
「もしかして結構気絶してたのか?」
「えっと三時間ほど」
「その間ずっと膝枕してたのか?」
「は、はい」
「起こしてくれたら良かったのに。買い物行く約束もしてたのに」
「い、いえ!それはまた時間があるときにでもお願いします!よく眠ってらっしゃったので起こすのもはばかれましたし!!……それに寝顔もバッチリとれましたし(ポツリ)」
「最後の方、良く聞こえなかったんだがなんだって?」
「なんでもありません!」
つぼみが首を横にブンブン振る。
グー……
そのとき俺のお腹が勢いよくなった。
あ、そういえばお昼食べてなかったんだ。
「は、腹減った……」
「くぅ!」
そのとき傍にいたのか久遠が俺の頭の上に乗ってきた。
俺は久遠を掴むとジーっと見る。
「非常食……」
「くぅーーーー!!!!」
久遠が俺の手から逃れようとする……が俺からは逃げられない。すると側にいたつぼみが久遠を取り上げた。
「く、久遠ちゃんを食料として見るとは一体何を考えているんですか!?」
「いや、冗談よ?ほらワン○ースでもルフ○とサ○ジがチ○ッパーに言ってたじゃないか。非常食って」
「あれはアニメの話です!!」
この世界でも俺の世界と同じアニメは普通にやっている。
日曜日ならかいけつゾ○リや、クラッシ○ギアシリーズ、バトル○ピリッツシリーズなど。
スーパー戦隊シリーズでは、現在は天装戦隊○セイジャー、仮面ライダーシリーズでは仮面ライダー○ーズがやっている。
8:30枠では当然プリキュアはやっていなかった。というより別アニメがやっていた。
なんと驚いたことに……なのはがやっていたのだ。
もう一度言おう。
なのはがやっていたのだ。
言っている意味が分からないと思うが俺も分からない。
これを日曜日に花咲家でパンを食べながらテレビを見てたら……突然始まったのだ。当然、パンで喉を詰まらせたのは記憶に新しい。
ただタイトルが予想と違った。
『魔法少女リリカルなのはINNOCENT』
であった。
ここで分からない人のために説明するが『魔法少女リリカルなのはINNOCENT』とは……
地球・日本の街「海鳴市」にて体感シミュレーションいわゆるバーチャルリアリティゲーム「ブレイブデュエル」が発明される。
そして主人公のなのはを中心に、元のキャラクターたちが主にこのブレイブデュエルのプレイヤーとして登場する。
そしてブレイブデュエルでの対戦や内外での交流などが物語の中心として話が展開される。
ちなみに魔導師・騎士は「デュエリスト」、魔法は「スキル」と呼称されている。
そしてリリカルなのは原作で魔法や戦闘にも関わていなかったアリサ、すずか、アリシアもデュエリストとして参戦しており、魔法が使えるようになっている。
その他にもStrikersや、なのはの格闘対戦ゲーム『魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE BATTLE OF ACES-』通称『BOA』や、『魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-』通称『GOD』に出てくるキャラクター達も登場する。
つぼみはこの『魔法少女リリカルなのはINNOCENT』にはまっているらしく、毎週楽しみにしているようである。
それを見ていた俺は冷や汗が止まらなかった。まさかこの世界でなのはが、日曜日の朝8:30枠に放送しているとは欠片も思っていなかったからだ。
だが考えてみれば……いけないわけでもなかった。このINNOCENTの話は簡単にいえば週間少年ジャンプの『友情・努力・勝利』をテーマにした少女達のバトルストーリーが描かれているからだ。
原作のリリカルなのはを元にした悲しい話は全くない。日曜日の朝8:30枠でいけないこともないのだ。
それに気になって調べてみたのだが、リリカルなのはの原作となる話自体はなかったのだ。
つまりこの世界では、INNOCENTの話が記念すべきリリカルなのは第一作目となる。
どうやら世界が違えばアニメのできる順番や、放送する番組も少し変わってくるらしい。
まぁ、俺の前世の世界ではINNOCENTはゲーム化や漫画化はあれど、アニメ化まではしていなかったからな。
だが……俺が別の世界ではあるが、なのはの世界から来たといったら皆はどんな反応をするのだろうか?
とりあえず……
伝えるにしてももう少し時間がほしい。
「まあ冗談はおいといて、そろそろ帰るか。お腹すいたし」
「そうですね」
「くぅー」
久遠はつぼみの頭の上でゆっくりとしていた。
「そういえば久遠、つぼみによくなついてるな」
「くぅ~」
「あははは。合宿でずっと一緒でしたから」
仲良くさせるためについていかせたのだが……どうやらうまくいったようだ。つぼみも少し人見知りなところがあるからか、久遠との相性も良かったのかもしれない。
まぁ、久遠の飼い主である那美さんと、つぼみは少し似たところがあるので久遠はそれを感じ取ったのかもしれない。
どっちも雰囲気的にほんわかしてるし。
「久遠って結構人見知りだからな。仲良くなれて良かった。そのわりに俺には初対面から結構態度でかかったけど……」
「くぅ!!」
「分かる久遠さん?その態度よ?」
久遠が何やら威嚇してくるが……全くもって怖くない。
「ヒッツちゃんと久遠ちゃん、ファッション部の皆に人気だったんですよ?」
「まあ、マスコットとしては見栄えはあるし……人気は出るわなあ」
今度ヒッツと久遠の人形作って商品化してみようかな?もちろん提案先は月村家とバニングス家ですがなにか?
そして俺達はゆっくり話しながら帰った。
ヒエンside end
◆◆◆
???side
それは真っ直ぐに地球へと向かっていた。
宇宙空間を赤黒いオーラーを纏いながら高速で移動していた。途中隕石らしきものに当たるが、その隕石すらも蹴散らして進んでいた。
その赤黒いオーラの中には一つの城……移動要塞……惑星城があった。
そしてその城の玉座に座る緑髪の少年が、サバーク博士に指示を出していた。
「サバーク……いつまでプリキュアを野放しにしておくつもりだ?」
「今しばらくお待ち下さいデューン様」
「手ぬるいのではないか?もしかして貴様……」
「既に手は打ってあります」
「ほう?どんな手を使っても構わん。プリキュアを倒し、こころの大樹を枯らすのだ」
「かしこまりました。してデューン様……ひとつお耳に入れておきたいことがございます」
「……なんだ?」
「最近、プリキュアの味方をする妙な男が現れました。その者は自らを魔導師と名乗っている様です」
「魔導師?何者なのだそいつは?」
「現在調査中です。分かっていることは額に炎を灯して……『炎』と『氷』を操り、妙な力で我らの邪魔をするということだけです」
「そうか。サバーク、そいつもろとも邪魔者は……全員消せ」
「心得ております」
そしてモニターは消えた。
緑髪の少年デューンはイスに座りながら呟いた。
「魔導師……聞いたことがない。一体何者だ……」
そして惑星城は刻一刻と地球へと進んでいく。
惑星城が地球に到着するまで……あと約三ヶ月であった。
ハートキャッチプリキュア編終了させるまで……下手したら40話くらいいくかもしれないorz
では、また(・∀・)ノ