外伝の続き書けたで候。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
「プリキュア……また随分とたくさんいるようですね……」
リフレインはというと、冷静に観察していた。
そして命じる。
「相手してあげなさい」
「「「チクタクゥ!!!!」」」
三体の合体モンスター達が動き出した。
「いくよ!」
「「「「ええ!」」」」
するとスターの合図と同時に、スター☆トゥインクルプリキュアの面々が動き出す。
「おうし座……スター・パンチ!」
スターは叫びながらピンクの星を作り出し、中モンスターに向かって、その星ごと殴り飛ばした。
それは文字通り、おうし座のように力強い一撃だった。
「ふたご座……ミルキー・ショック!」
「さそり座……ソレイユ・シュート!」
続けてミルキーが叫びながら青緑色の電気エネルギーを両サイドの星形センサーに溜め、そのセンサーから強力な二つの女神型の電撃を放ち、ソレイユも叫びながらさそりのマークのついた巨大なオレンジの炎の球を作り出し、大モンスターに向かって回転しながら蹴り飛ばす。
電撃と炎の球の複合攻撃によって、大モンスターは吹き飛んでいく。
どちらも某超次元サッカーアニメの選手として、普通にやっていけるのではないだろうか。
「いて座……セレーネ・アロー!」
「プリキュア!コスモシャイニング!」
今度はセレーネが叫びながら紫色の三日月を作り出し、それを弓に変えると、いて座のマークを纏ったトライデントの形をした矢を放ち、コスモは青い光のシャワーを小モンスターへとあびせかける。
こちらも弓矢と光のシャワーの複合攻撃で、小モンスターが吹き飛んだ。
三体共にあっという間にやられてしまった。
「すごい!すご〜い!めっちゃつよ〜い!!」
「感心している場合じゃないわ」
それを見ていたスパークルがはしゃぐが、フォンテーヌが諌める。
俺達が視線を向けると、光の矢を複数展開させたリフレインの姿があった。
「いくよ!」
「「「「ええ!」」」」
すると今度はエールの合図と同時に、HUGっと!プリキュアの面々が動き出す。
「フラワーシュート!」
エールはタクトのようなものを振って花の力を先端のクリスタル部分にチャージすると、薔薇型のエネルギー弾を放つ。
「フェザーブラスト!」
「スタースラッシュ!」
アンジュもタクトをハープのように奏でてから、自身の背中に水色の翼を生やし先端のクリスタル部分にチャージすると、翼を無数の水色のエネルギー弾に変えて放つ。
エトワールはタクトをフルートのように吹いてから回転し、星のエネルギーを先端のクリスタルにチャージすると、いくつものオレンジ色の星を作り出し、突撃させる。
「マシェリポップン!」
「アムールロックンロール!」
マシェリはギターを短く弾くと、大きな赤いハートのエネルギー弾を放ち、アムールはギターを短く弾いた後、回転しながら紫色の大量の小型のハートのエネルギー弾で攻撃する。
それぞれの必殺技が光の矢を突破し、リフレインへと炸裂した。
「すごーい!!」
俺を支えるように肩を貸すグレースはテンションを上げる。
先輩プリキュアの戦いぶりに興奮しているようだ。
「これならば……いくらあのリフレインでも……」
同じく俺を支えるように肩を貸す冷火も、プリキュア達の攻撃を見て驚いていた。
どうやらこの二組のプリキュアは、かなり戦い慣れているらしい。
だが奴と直接戦った俺には分かる。
その証拠に奴はバリアを展開させて、プリキュア達の複合攻撃をしっかりと防いでいた。
「プリキュア……少しはやるようですね」
そして奴はプリキュア達を一瞥してから、今度は俺へと視線を向ける。
「それに……ようやく思い出しました」
なんだ?
一体何を思い出した?
「ヒエン……貴方は確か、そう名乗りましたね?」
奴はこちらを厳しい目で見ながら言う。
「その名前には聞き覚えがありましてね……今思えば、貴方のその姿にもどこか見覚えがありました。スーツのような服装に、鋭い眼光。そして何より……その額の炎……」
奴は続ける。
「貴方、一年前のクリスマス……かつてプリキュアを率いて、宇宙からの侵略者『砂漠の使徒』と戦った……あの魔導師ヒエンでしょう?」
リフレインの言葉にプリキュアの少女達が俺の方を驚いたように向く。
「砂漠の使徒ニャン!?」
「コスモ……知ってるの?」
「ええ。砂漠の使徒は、あらゆる星の資源を吸い尽くす質の悪い侵略者共よ。宇宙でも砂漠の使徒の名は有名だわ」
「私も聞いたことあるルン。砂漠の使徒に滅ぼされた星は数知れないって……」
コスモとミルキーが反応する。
ということはこの子達は宇宙人なのか。
恐らく彼女達は砂漠の使徒を壊滅させた後に誕生したプリキュアなのだろう。
だが今はその話に反応する余裕はない。
俺はリフレインと話を続ける。
「……だったらなんだ?」
「貴方はあのクリスマスの決戦で死んだと聞いていたのですが……生きていたのですね?」
俺は答える。
「……あのときはまだ世間も騒がしかったからな。ほとぼりが冷めるまで身を隠していただけだ。だから俺が死んだという情報が出回ったことは、正直俺にとっても都合が良かった」
「貴方には一応感謝しているんですよ?貴方がいなければ、今頃地球は砂漠の使徒によって壊滅していたでしょうからね」
「何を勘違いしているか知らないが……俺は別にプリキュアの皆を率いていた訳じゃない。俺だけでは砂漠の使徒に対抗できないから他のプリキュア達に力を貸してもらっただけだ」
「そうですか。ということは、ほとぼりが冷めた今、また本格的に活動を始めたと……そういうことですか?」
「まあ、そうなるな」
「では、ここにいるプリキュア達も貴方の差し金という訳ですか?」
リフレインはプリキュア達に視線を向ける。
そうか。
奴はここに現れた彼女達は、俺が呼んだと勘違いしているのか。
「いや、彼女達は関係ない。ここに俺がいることと、彼女達がいることは全くの無関係だ。だが、騒ぎを聞きつけてやって来てくれたんだろう。プリキュアになる子は総じて優しい子が多いからな」
俺が彼女達に視線を向けながら言うと、少し頬を赤くさせながら視線を逸らす。
「ヒエンさん……」
「お兄様……」
しかし俺の隣にいるグレースと冷火がなぜジト目を向けてくるのか、理由が全く分からない。
とりあえずスルーしておく。
そして俺としては、この状況を利用しない手はない。
「リフレイン、もう投降しろ」
一度は俺達が追い詰められたが、今度は俺達がリフレインを追い詰めていた。
だからこそ俺は奴へと呼び掛ける。
「お前の使役しているモンスターも全て倒した。あとはお前だけだ。まさかこの人数差で敵うと思っている訳じゃないだろ?」
HUGっと!プリキュアの人数が五人。
スター☆トゥインクルプリキュアの人数は五人。
ヒーリングっど♡プリキュアの人数が三人。
そして俺と冷火の二人を合わせれば合計で十五人。
さすがのリフレインと言えどもこの人数差では厳しいはずだ。
かつてシンフォギア世界で戦ったアダム・カドモンのような圧倒的な力でもない限り。
しかし奴にそんな強さはない。
「つまりチェックメイトだ。大人しく投降しろ、リフレイン」
だが、俺の言葉にリフレインは答えない。
俺は言葉を続ける。
「そして時間のループを今すぐやめて、すこやか市の人々も解放するんだ」
「時間の……?」
「ループ……?」
プリキュア達は俺の言葉に驚くが、説明している暇はない。
ここで奴を止めなければ、さらに大変なことになる。
リフレインは目的を成すためならば、手段を選ばず、非道な行為にも手を染める危険な思想を持っている。
その証拠に、時間が進まないようにミラクルンを捕まえ、すこやか市の時間を何度もループさせているうえに、その地に暮らしている人々の命まで脅かす。
自分の目的の為ならば、周りがどうなろうと知ったことではないのだ。
犠牲を出すことも厭わない危険な相手だ。
するとリフレインは不機嫌そうに眉をひそめる。
「……せっかくの機会なのでこの場で全員始末しておきたいところですが……もう時間のようです」
「時間?」
「まさか逃げるつもりか?」
グレースと俺が呟くが、リフレインは否定する。
「逃げませんよ。ですがミラクルン……貴方の方こそ逃げられませんよ……全て徒労に終わります……
そのとき変化が起こる。
リフレインが空高く上がると、巨大な物体が姿を現したのだ。
「えっー!?何あれ!?」
スパークルが驚き……
「あれって宇宙船じゃ……」
「違うニャン……」
スターとコスモもつい漫才をするほどに驚く。
「何をする気なの?」
「あれって……時計?」
アンジュが疑問の声を上げ、エールが巨大物体の特徴を上げる。
そして俺はリフレインが何をしようとしているかを察知した。
「まさか……時間をループさせるつもりか!?」
リフレインは答える。
「そのまさかですよ、魔導師ヒエン。これが私が時間をループさせるためのアイテム……ダークライトです」
「調子よく解説してくれるところ悪いが……馬鹿かお前は?それを俺が黙って見ているとでも?」
「無駄な努力はやめておきなさい。貴方如きでは……止められません」
「なら、お望み通り……止めてやるよ!!」
俺は右手を向けてヒートバーナーフルパワーを放つ。
だがダークライトを囲っているシールドのような物に阻まれ、ヒートバーナーフルパワーは弾かれてしまった。
「なにっ!?」
「これは私が能力を最大限に発揮するための物です。頑丈に作っているのは当然でしょう?」
「ちっ……」
俺は思わず舌打ちする。
あのダークライトを壊せば、時間のループを止められると思ったのだが、それはできそうにない。
やはりこの元凶を引き起こしているリフレイン本人を倒すしかなさそうだ。
「ミラ〜!!ミラー!!!!」
そのときミラクルンが身体全体で光を放つ。
すると俺、冷火、グレース、フォンテーヌ、スパークルの手の中にピンク色のライトが突然現れる。
「ミラクルンライトミラ!すぐにそれをつけるミラ!!」
「ミラクルン!?お前話せたのか!?」
「ミラクルンライトの力で話せるミラ!それより早くライトをつけるミラ!ライトをつけると時間が戻っても記憶を失わないミラ!!」
なるほど。
時間が戻ると記憶がリセットされるのか。
なら、ここにいる人数分出せないのだろうか?
するとミラクルンは言う。
「……ごめんミラ。リフレインから逃げる時に力を使ってライトを出す体力がもう残ってないミラ……」
「そうか……気にするな。五本も出してくれれば十分だ」
だとすれば、これを持つのは俺達ではない。
「冷火!」
「はいお兄様!」
俺の意図を理解した冷火はミラクルンライトをエールに渡し、俺はスターへと渡す。
「えっ!?いいの!?」
「これはヒエンさん達の分じゃ!?」
「俺達なら大丈夫だ。それより君達の中の一人でもこのことを覚えててくれれば、またスムーズに集まることが出来る。だから頼む。どうか君達の力を貸してほしい」
「私からもお願いします。貴方達の力を貸して下さい」
俺達は頭を下げる。
するとエールとスターが笑顔で答えた。
「当然だよ!」
「任せて!」
この二人は見たところ、チームリーダーだ。
であるならば、この二人にミラクルンライトを渡しておけば、他のメンバーも自ずと信用してくれるに違いない。
すると俺達の様子を見ていたリフレインが呟く。
「ミラクルン、たった五本のライトではこの力は抑えられません」
いよいよ時計の針が12時を指そうとしていた。
「間もなく十二時……」
そして時計の針が12時を指すと、時計から赤黒いエネルギーが放たれ、すこやか市全体を覆う。
そして、時計が逆に回り始め……
時間が巻き戻った。
リフレインの時を巻き戻す巨大な時計は、ダークライトって名前らしいです。
ミラクルンライトが明日へ進ませる力があるのに対して、ダークライトは反対の作用、つまり過去に戻す力があるからだそうです。
次回は時間が巻き戻ってからのお話です。
では、また( `・∀・´)ノ