vs祟り狐 後編 始まります。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
俺が久遠の所にまで向かうと、分身達が既に戦っていた。見ると、遠距離から射撃魔法で距離をとりながら戦っていた。
「『アアアアアアアアアア!!!』」
久遠は雷を全身から放ち、周りを見境なく破壊していた。
「フルドライブ!」
そして俺はフルドライブ:スピリットフォームを発動させる。するとバリアジャケットの黒スーツに新たに黒いベストが追加される。
既に三人の分身もフルドライブを発動させていた。というか分身もフルドライブ使えるのか……知らなかったよ。
そして三人とも俺の所に集合する。
四人の俺が久遠の前に並び立った。
「いいか皆…ここに薫さんや那美さんが来るまで時間稼ぎをするんだ」
俺は三人の分身に指示を出す。
すると分身Aが声をかけてきた。
分身A「それもいいが……まずは当初の作戦通りヒートバーナーを試してみたらどうだ?」
「どういうことだ?」
俺は分身Aに聞く。
分身B「つまりAが言いたいのは…薫さんがもし間に合わなかったときのことも考えて、まずは久遠の祟りをヒートバーナーで吹き飛ばしてみたらどうか?ってことだよ」
なるほど。
まずはそれを試すってことか……だが…
「……今の久遠の動きを止めるのは容易じゃないぞ?」
分身C「今俺達は四人いる。一人だと今の久遠の動きを止めるのは厳しいが……四人ならなんとかなるかもしれないだろ?」
「むう…確かに言われてみればそうかもしれないが」
俺がどうするか考えているとき……
「『アアアアアアアアアア!!!』」
すると久遠が俺達に向けて雷を放ってきた。
「「「「!?」」」」
俺達は咄嗟に上空へ回避する。
俺は三人に念話で知らせる。
『よし!当初の作戦通りヒートバーナーで久遠の祟りを全部吹き飛ばす!まずは久遠の動きを止めることに専念するんだ!!』
『『『了解!!!』』』
そして俺は射撃魔法を発動させようとするが……
分身A『オリジナル!もしものときのために力は温存しとけ!俺達でもヒートバーナーは撃てる!!』
分身B『そうだ。それに俺達は分身だ。やられてもすぐに復活できる!!』
分身C『だからそこでじっとしとけ!本体がやられたら……元も子もない!!』
と三人の分身が俺の事を
な……なんて良い奴らなんだ!?
確かに
だが……たとえ
だが問題もある。
分身だからこそ…本体の俺と違い
俺の現在の魔力量がAAAであるのに対し、分身の魔力量はAといった所だ。
当然魔力を使いすぎてしまえば……
恐らくヒートバーナーを全力で撃てば消えてしまうだろう。
分身達もそれは分かっているはずだ。
分身A「はぁあああ!
分身Aが久遠に剛炎の拳を放つ。
だが久遠は雷でそれを迎撃する。分身Aは吹き飛んでいくが……その後方から分身Bの
久遠は黒い障気でそれをガードするが、障気はスッパリと切られ久遠に当たる。
その影響で久遠の姿勢が崩れた。
分身C「
そしてその久遠の後方から分身Cが迫っていた。
分身C「
そして分身Cはフルドライブでパワーアップした
ドゴオオオオオオォォォンン!!!!!
それを喰らい大きく吹き飛んでいく久遠。
分身Cはガントレットを解除すると両手のグローブをブースターに久遠の後を追いかける。
俺も彼らの邪魔にならない程度の距離で戦いを見守る。吹き飛んでいく久遠は風を操り、周囲に強力なカマイタチを放つ。
分身達は強化したラウンドシールドでそれを防ぐ。だがあまりの強さにラウンドシールドは破られ、分身達を次々と切り裂いていく。
「「「ぐぁああああ!?」」」
分身達は吹き飛ぶが、フルドライブで強化されているおかげかすぐに体勢を立て直し、三人とも久遠へと突貫していく。
そして久遠も身体に雷を纏い、高速移動で三人を一人で相手取る。
「『アアアアアアアアアア!!!』」
三人の分身は剛炎の拳で、久遠は鋭い爪で接近戦へと移行する。
分身A「
分身B「
分身Aが真っ正面から殴りかかると同時に、分身Bが炎を纏った蹴りを久遠の後頭部へと放つ。
だが久遠はそれらの攻撃を片手で防ぎ、鋭い爪で切り裂いていく。
分身A・Bは超直感でそれを感知していたのか化剄で受け流していく。だが受け流しきれないのか、所々黒スーツが切り裂かれていく。
そして唯一空いている分身Cが久遠の真上から踵落としをお見舞いする。だが黒い障気に阻まれ、片足を拘束されてしまう。
分身C「ちぃ!」
そしてそれで隙ができてしまったのか分身Cがそのまま久遠に引き寄せられ、右手の爪で身体を貫かれ串刺しにされてしまった。
グサリ
「ゴボッ!?」
爪に貫かれた分身Cは多量の血を吐き出す。
見ていられなくなった俺は突貫しそうになったが……
分身C『来るな!!』
分身Cから念話が届き、俺は思わず動きを止める。
分身C「やっと……やっと捕まえた!!今だ二人とも!!」
分身Cは串刺しにされながら久遠の腕を掴む。そして零地点突破・ファーストエディションを発動させ久遠を凍らせる。
分身A・B「「
そして分身A・Bの二人はこのチャンスを生かし、超至近距離から久遠にダメージを与えるため力いっぱい殴り付けた。
分身A・B「
ドゴオオオオオオォォォンン!!!!!!
さすがの久遠も超至近距離で前方と後方から同時に殴り付けられたせいか少し顔をしかめる。
そしてその隙に分身Bが久遠に抱きつき、零地点突破・ファーストエディションでさらに凍らせる。
その間に分身Aが少し離れ、腕をクロスさせ
分身A「オペレーションヒート」
分身Aは背中に炎の翼を展開させ、右手を前方に出す。そして左手で右手を支える。
その間にも久遠は凍っているにも関わらず、動き出そうとしていた。その証拠に黒い障気が氷から漏れていた。
分身B・C「「ぐっ!?負けるかああぁぁ!!」」
だが久遠を凍らせている分身B・Cも負けじとさらに凍らせる。
その間に分身Aの前には大きなオレンジの魔法陣が現れる。そしてエネルギーがチャージされた。
分身A「これで決める!いくぞ久遠!!」
「ヒートバーナー
ドゴオオオオオオオオオオォォォォォンンン!!!!!!
そして分身ごと巻き込んで久遠は巨大な砲撃に飲み込まれた。
ヒエンside end
◆◆◆
那美side
ドゴオオオオオオオォォォォォンン!!!!!!
神社全体に巨大な爆発音が響く。
その巨大な音に那美は思わず肩をビクリとさせる。薫の治療にあたっていたが……気になるのかチラチラと爆発音がなったところに顔を向けていた。
「那美様」
そのとき十六夜が那美に声をかける。
「ヒエン様ならきっと大丈夫です。今は彼を信じて薫の治癒にあたって下さい」
「十六夜さん……はい…」
そのとき那美の上にいるヒッツが彼女に思念を送る。
「ガゥ」
「ヒッツちゃんどうしたの?……あ、そうなんだ……良かった…」
ヒッツはこのとき那美に『無事だから大丈夫』と言ったのだ。那美の上にいるヒッツは分身である。
「うっ……」
そのとき眠っていた薫の目がピクリと開く。
「あ……薫ちゃん!」
「薫!」
那美と十六夜が薫に声をかける。
「……う、ウチは…一体……」
薫は頭を押さえながらなんとか起き上がる。
「薫ちゃん大丈夫!?何があったか覚えてる!?」
「ウチは確か……久遠にやられて……はっ!?そうだ…久遠は!?久遠はどうなった!?」
「落ち着いてください薫…今、現状を説明します」
「む……十六夜…頼む」
そして十六夜は現在の状況を説明した。
薫が久遠の雷にやられ気絶してしまったこと。そして今はあの少年が久遠と単身一人で戦い、時間を稼いでいること。そしてあの少年が薫が目覚めたとき…皆で来て欲しいと言っていたことを話した。
「……あのバカ弟子が…無茶しおって…」ボソッ
薫は無茶をする弟子に…つい鹿児島弁で悪態をつく。
「こうしちゃおれん。早くあのバカ弟子の所にいくぞ二人とも!!」
そして薫は立ち上がり行こうとする。
那美と十六夜も後を追いかける。
「うん?」
すると薫はいきなり立ち止まり首を傾げる。いきなり止まった薫に反応できなかった二人はぶつかってしまう。
「「ぶっ!?」」
二人とも女性として出してはいけない声を出す。
「ちょっと薫ちゃん!?いきなり止まらないで!!」
「そうですよ薫!ビックリしてしまったではないですか!?」
「す、すまん。そ、それより那美に渡しておくものがあったんだ」
二人に怒られついシュンとなってしまう薫。だが薫は懐に手を入れると一つの短刀を取り出す。
「あ、それって……」
「そう。これを実家から預かってたんだ」
「
それは那美の霊刀…
「一応、渡しておく。でも那美……もしものときは…」
「うん。分かってるよ薫ちゃん。大丈夫」
那美は薫の言いたいことを理解し、しっかりと頷いた。
そして三人が移動を開始しようとしたとき……
ドガアアアアアアァァァァン!!!!!
そのとき目の前の社務所が吹き飛ぶ。
三人に強烈な衝撃が襲い、思わず目を閉じる。
「な、なにが……」
那美が何が起きたか目を開けて確認する。
そして驚愕した。
「ヒエン君!?」
そこには血だらけで倒れている少年の姿があった。
那美side end
◆◆◆
ヒエンside
久遠はヒートバーナー
俺は遠く離れた所……500mは離れた所からその様子を見ていた。当初予定していたヒートバーナーも久遠に見事直撃した。
これで済めばいいのだが……さっきから超直感の警鐘が収まらない。
これは……まだ続くと思った方がいいだろう…。
煙が晴れる。
そこには予想通り……
だが彼女から出る
ということは……
(浄化しきるには……まだ出力が足りなかったってことか)
俺はフルドライブの出力を最大まであげる。正直、フルパワーはまだ試したことがないが……そうでもしないと久遠に
ギロッ!!
久遠の怒りを満ちたような視線が俺を捉える。
そして彼女は動き出した。
「『アア……アアアアァァア!!!!』」
「!?」
俺は目を見開く。
なんと500mはあった距離を一跳びできたのだ。
そして久遠は腕を振りかぶり鋭い爪を……
俺も対抗するため腕を振りかぶり炎の拳を……
互いにぶつけ合った。
ガキイイイイィィィィンン!!!!!!
互いに後方へと吹き飛ぶが俺は両手から炎を出して体勢を立て直し、ブースターで突貫し、久遠は黒い障気を操り足場にすることでこちらへ突っ込んできた。
「おおおおおおお!!!!」
「『アアアアアア!!!!』」
再度、炎の拳と鋭い爪がぶつかり合う。
ドオン!
ドオン!!
ドオン!!!
ドオン!!!!
互いに空中で高速で打ち合うことで周囲に激突音が響く。
空中で久遠と近接戦闘をこなしながら、俺はあの圧倒的なパワーを持つ久遠に対抗できていることに内心驚いていた。
だが薫さんが目覚めるまでは、なんとか時間稼ぎをしなくてはならない。
よって今は久遠の攻撃を
ドオン!!!!!!
俺は何度目かとなる久遠との激突で離れると、体力の消費を抑えるため炎の質を剛から柔へと切り替える。
そして技を放った。
「
俺は両手に炎の円盤を生み出し、久遠へと放った。
久遠も対抗するため風のカマイタチを連射で放つ。
炎の円盤と風のカマイタチが激突する。
だがその激突を制したのは風のカマイタチであった。炎の円盤は2つとも一刀両断されそのままこちらへと放たれる。
俺は両手のブースターで横にかわし、新たな魔法を使う。
「
「『雷!!』」
久遠は右手をふるい、雷の砲撃を放ってきた。
ドゴオオオオオォォォォンン!!!!!!
炎の砲撃と雷の青白い砲撃が激突する。そしてそれを制したのは今度は炎であった。
炎の砲撃が久遠に直撃し、爆発が起こる。
だがここで予想外なことが起こる。
(なに!?あの強力な爆発の中を突っ込んでくるだと!?)
そして久遠はそのまま右腕に電撃を纏い、切れ味が増した爪を振るってきた。
俺も対抗するため
「
三度技が激突する。
ドゴオオオオオォォォォンン!!!!
「ぐ……ぐぐぐぐぐ!!!!」
「『アアアアアア!!!!』」
俺と久遠を中心に爆発が起こる。
だが中心にいる俺達は未だパワー比べをしていた。俺はさらに力を込める。
「お、おおおおおおおお!!!!!!」
「『アアアアアアアアア!!!!!!』」
両者とも雄叫びをあげながら力を込めた。
そして打ち勝ったのは俺であった。
と思っていた……。
すると突如、俺の身体が全体的に少し痺れ、力が少し弱まってしまったのだ。
その隙を見計らって……久遠は俺と激突していた右手をわざと引き、俺の
そのとき超直感が警鐘を放つ。
俺は咄嗟に防御魔法ラウンドシールドを展開して最大まで強化した。
そして久遠は雷を纏った左手を俺へと振るった。
ラウンドシールドと雷の爪が激突する。火花を散らしながら拮抗している。
しかし……
ピシ……ピキキ……
ラウンドシールドはヒビ割れ、ついにその凶刃が俺へと向けられる。
咄嗟に俺は炎を纏いクロスガードする。そして身体中の魔力をバリアジャケットの防御へと全てまわした。
そして……勢いよく切り裂かれ地面へと吹き飛ばされてしまった。
「グフッ!?」
口から勢いよく血が出る。だがなんとか歯を食い縛り、攻撃に耐える。
そして久遠は俺が地面へと落ちている間に……爪の猛威をふるい、高速で俺の身体を切り裂いていく。
そして地面に激突したあと……俺は勢いよく蹴り飛ばされてしまった。
ドゴオオオオオオォォォンン!!!!!!
俺は仰向けに倒れ、意識が朦朧としながらも……何とか起き上がる。
すると……俺の側にある人達がいた。
周囲に目を向けると……
泣きながら俺を呼ぶ那美さん……どこか苦し気な顔をしながら俺を見ている十六夜さん……そして俺を守るように久遠に立ちはだかる
◆◆◆
「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……」
俺はなんとか起き上がり、周囲に目を向ける。
「ヒエン君しっかりして!?」
「今、治療します!!!」
俺の側には那美さんと十六夜さんがいる。どうやら傷を治療してくれているようだ。
「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……」
ぼんやりする頭で考える。
(社務所まで……吹き飛ばされたのか…)
そして自分の身体を見る。
所々切り裂かれ黒スーツもボロボロで……出血も酷かった。ここまでボロボロにやられたのはセイバーオルタ以来かもしれない。
だが強化形態であったことと防御に魔力を集中させたことでなんとか生きていた。
ドガン!!
音が響く。
前を見ると、薫さんが久遠相手に一人で戦っていた。俺は十六夜さんに顔を向ける。
「いざ……よい…さん。俺はいいから……薫さんの……サポート……を…」
「こんな時に何を言っているのですか!?」
「速く…薫さんの……サポートに……回復なら……大丈夫…です。……相棒」
すると那美さんの頭の上にいる相棒が俺にフィジカルヒールを使用する。那美さんのヒーリングの効果もあってなんとか立てるまでに回復する。
そして俺は再び分身を三人出し、久遠と戦ってもらえるよう頼もう……と思ったのだが、出た瞬間に立ち向かっていってくれた。
「これは!?」
薫さんが驚いているが、分身達は何も言うことなく久遠に戦いを挑む。
「ふっ…。そういうことか…」
そして薫さんはこちらをチラリと見たあと少し笑って再び久遠に立ち向かっていく。
そんななか…俺は再び十六夜さんに話しかける。
「お願いします……。もう時間がないんです。俺はもう……動けるようになったので……大丈夫…です」
「勝算があるのですね?」
「あります……だから速く薫さんのサポートに…」
「分かりました……那美様、ヒエン様のことよろしくお願いします」
「は、はい」
そして十六夜さんは姿を消した。
恐らく刀に宿ったのだろう。
俺は那美さんに話しかける。
「那美……さん」
「ヒエン君……」
那美さんの目が赤い。
泣いているようだ……いや……泣かせてしまったらしい。
だがもう時間がない。
なので手短に話す。
「久遠に呼び掛けて……やってくれ…。那美さんの声なら……久遠に届く……はずだ…」
確証…なんてない。
とらハ3の原作では…成功していたが……この世界ではうまくいくとは限らない。
だが……
久遠の黒い障気は目覚めた当初よりは、
ならば那美さんの声が
俺はグッタリしながらも話しかける。
「頼む……もう時間がない」
「うん……分かってる。私、やるよ」
那美さんは持っている短刀をギュッと持つと……立ち上がった。
「だけどヒエン君はそこで休んでないとダメだからね!!そんなにボロボロなんだから!!」
「大丈夫。無理は……しない」
「約束だからね!」
そして那美さんは薫さんと戦っている久遠の元へと歩いていった。俺はそれをじっと見ていた。
ヒエンside end
◆◆◆
那美side
那美はボロボロになってグッタリしている少年をチラリと見る。少年は所々から血を流している。
なんとか応急処置としてヒーリング能力で傷口は塞いだが、速く病院へ運ばねば大変なことになる。
だからこそ……
(早く久遠から祟りを引き離さないと……!)
そして那美は久遠に呼び掛けた。
「久遠!!」
すると薫と分身達と戦っている久遠がピクリと反応する。
「久遠!私よ、那美よ!!」
「『……な………み……』」
「反応した!?」
「久遠の意識が!?」
薫と那美が反応する。
那美は声をかけ続ける。
「久遠!私はココにいるよ!!だから祟りなんかに……恨みや悪意なんかに……負けないで!!」
「『アア……な………み…………アアアアアア!!!!』」
「久遠思い出して!私達の思い出を!!さざなみ寮での…皆との……家族との大切な思い出を思い出して!!」
すると久遠から出る黒い障気の勢いが弱まる。
「『アアアアアア………アアアアア!!!!』」
だが祟りにまだ操られているのか久遠は那美に向けて強力な雷を放った。
バリバリバリバリ!!!!!!
「那美!?」
那美に当たると思われたとき、分身Aが那美を庇い消滅する。
「ヒエン君!?」
分身B「大丈夫……分身だ!いいから呼び掛け続けるんだ!!」
「はい!久遠!くおーーーーん!!」
久遠は頭を抱えて……その場で座り込む。そして何かを振り払うように頭を振り再び叫び声を上げ、那美に再び雷を向ける。
「『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』」
続いて分身Bが那美を庇い消滅する。
「久遠!がんばって!!」
すると久遠の意識が次第に戻ってきたのか……泣きそうな目で那美をじっと見つめる。
「『な………み…………た…す……け……て』」
「久遠!?」
「『くお……ん………もう……だれ………も……きず…………つ…………け……た……く………な………い…』」
「うん。助ける……助けるから……必ず助けるから……久遠!!」
そのとき那美は短刀を久遠へと向ける。
(今なら……久遠の意識がしっかりしてる今なら……行ける気がする!!)
「薫ちゃん!奥義お願い!!」
「あ、ああ!任せろ!!……いくぞ十六夜」『お任せを』
那美と薫はそれぞれの霊剣を構える。
「「
那美は霊剣:
薫は霊剣:
それぞれ構えた。
「「
そして互いに……
「
「奥義
那美は唯一自分が使える神咲一灯流の技を……
薫は神咲一灯流奥義を……
互いの叫び声と共に久遠に放った。
那美side end
◆◆◆
ヒエンside
俺は前をゆっくりと見る。
今、那美さんと薫さんが互いに技を放った。
とらハ3の原作では那美さんだけが技を放っていたが……今回は薫さんが奥義まで使った。
薫さんの奥義に至ってはなのはのディバインバスターフルパワーに匹敵するほどの強さがあった。
さすがにこれだけやれば久遠の祟りも離れるとは思うが……
そうこう考えている間に那美さんと薫さんの技が終了する。
そして久遠が姿を現す。
だが……
「『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!』」
まだ久遠の黒い障気はしぶとく残っていた。
「そんな!?」
「これでもダメなのか!?」
那美さんと薫さんが絶望的な顔をする。
だが確実に…久遠の黒い障気の量は確実に減っている。
あと一撃……デカイ一撃を当てればいける……はずだ…。
(もう少し……もう少しで……久遠の祟りを浄化できる……)
だがこれ以上、他に久遠に何がしてやれる?
ヒートバーナーによる浄化……
那美さんの鎮魂術の呼び掛けによる説得……
那美さんと薫さんによる神咲一灯流の技と奥義による浄化……
(もう少し……もう少しで久遠の祟りがなんとかできる。なにかないか?他に久遠の心を動かすような強力ななにかが!?)
俺はマルチタスクを駆使して必死に考える。
「みつ……弥太……祟り狐……神主……呪い……流行り病……」
思い付く限りの言葉を口に出す。
そのとき天啓がひらめく。
「なあ、相棒……これいけるか?」
俺は心の中にいる相棒にある考えを伝える。
『ガゥガゥ』
どうやらいけないこともないらしい。
「じゃあ頼む」
そして俺は起死回生の一手を使用した。
そして俺の前に…
【みつ】と【弥太】の二人が現れた。
◆◆◆
「キツネ……」
「久遠……」
【みつ】と【弥太】の二人は久遠の方にゆっくりと歩いていく。
すると薫さんと那美さんはこちらを向いて驚く。
「誰だ?」
「う……そ……」
ただし驚き方が対称的であったが。
「『み…………つ…………?や……………た………?』」
久遠が驚く。
すると黒い障気の威力が弱まる。
「キツネ……いいえ久遠……あなたなんでそんなに悲しそうな顔してるのよ?私に似てる癖に…」
「そうだよ久遠…。あのとき僕と約束したでしょ?幸せになるって…それなのにそんな悲しそうな顔してちゃダメだよ?」
「『みつ…………やた………くおん……ずっと………ずっと……あいたかった……』」
久遠は涙を流しながら……二人へゆっくりと近付いていく。
【みつ】と【弥太】は久遠に優しく笑いかけ、近付いてきた久遠を二人一緒に優しく抱き締めた。
「私もまた会えて嬉しいわ……久遠。それと……あなたに言わなきゃいけないことがあるの。…あのとき……急にいなくなっちゃってごめんね…?ずっと……探してくれてたんでしょ?……ありがとう……本当にごめんね……」
「『ううん……くおん……また…みつに…あえて……うれしい……』」
久遠はみつに抱き付く力を込める。
「久遠……話は聞いたよ。ごめんね……僕があのとき君を置いていったせいで……君をこんなに悲しい目に合わせてしまった。こんなのじゃ……僕は君の亭主失格だ……」
「『くおん……やたと……また……あえて……うれしい。だから……そんな……かなしいかおしちゃ……だめ……。くおん……なみたちと………たのしく……くらせてるよ?ちゃんと……しあわせに……なってるよ?くおん……やたとの……やくそく……まもれてるよ?……だから……そんなかおしちゃ……だめ……』」
久遠は弥太に抱き付く力を込める。
【みつ】と【弥太】そして久遠は…優しく笑いあった。
すると久遠に纏わりついていた黒い障気は……分離した。
俺達は久遠の祟りを完全に分離させることに成功したのだ。
そして俺は
俺は念話で残ってる分身Cに黒い障気を拘束するようにお願いする。
『頼む。準備はできてる』
分身C『大丈夫だ任せろ』
そして分身Cが零地点突破・ファーストエディションで黒い障気を拘束しようとするが逃げ回る。
分身C「
即座に逃げられないように氷で逃げ場を塞ぐように囲む……が逃げられる。
(まずい……このままでは…逃げられる可能性が……どうする!?)
俺が黒い障気をどう拘束するか考えていると……
「神咲一灯流
すると途端に黒い障気の動きが止まった。
「ヒエン君!今のうちに!!」
なんと那美さんが黒い障気の動きを止めてくれた。おそらく金縛りの一種なのだろう。
「サンキュー那美さん…」
俺は右手を黒い障気に……いや祟りに狙いを定め、右手を前方に突き出す。そして炎の翼を展開させ、魔法陣を展開させる。
「これで終わりだ。エネルギー全開!!」
そして俺は巨大な砲撃を祟りへと……放った。
「ヒートバーナー
ドオオオオオォォォォォンン!!!!!!
祟りに巨大な砲撃が直撃する。
俺は今ある魔力と体力を全て込める。
『アアアアアァァァアアア!!!!!』
そして……祟りは叫び声のようなものをあげて浄化されていった。
それを見届けた俺は意識を失った。
倒れる前に思ったんだが祟りって意志あったんだな……。
一応今回で祟り狐の戦闘は終わりです。
ここから本格的にA`s編に入っていきます。
では、また(・∀・)ノ