とりあえず決着。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
第三者side
高町家の大黒柱、士郎は美由希が一瞬だけであるが神速を使用したことに驚いていた。
(美由希が神速を使用しなければならない程の相手か…)
士郎はストレッチをしているヒエンに目を向ける。
(それに気のせいでなければ神速に
「士郎さんどうかしましたか?」
「ん?いや……なんでもないよ」
そこに桃子が話しかけてくる。
「それにしても二人ともこれで…互いに勝ち点1ですね」
「ああ。なんとも見応えのある試合だよ」
「どっちが勝ってもしっかり労ってあげないと。今日はご馳走にしなくちゃ」
「ああ、そうだな」
士郎は柔らかい笑みをしつつもヒエンをじっと見ていた。
恭也はヒエンがここまで善戦していることに内心驚いていた。彼が驚いたのは『御神流』の技を…基本の技とはいえ初見で捌いた彼の防御能力に驚いていた。
そして審判をしている近くで…二人の側で見ている恭也だからこそ
(ヒエンのやつ……明らかに神速に
神速とは『御神流』に伝わる奥義の歩法である。この神速こそが裏の世界で御神の剣士が
初見であればほぼ確実に
なぜなら神速は『
『神速の領域』とは、集中力を高めて超高速移動を可能にする状態に入ることを言う。これを発動させると、世界がモノクロに見えるようになる。
人間とは五感で周囲の状況を判断している。だがその中でも視覚が凄まじい集中力を発揮する場合……脳が他の感覚を遮断し、視覚にのみ全ての能力を注ぎ込む特殊な状態が起こる。
その時、通常では考えられないような視覚の能力が発揮される。本来見えるはずのない超スピードも
(本当に……予測のつかない奴だ)
恭也は少し笑いながらヒエンを見ていた。だがその目は……完全にターゲットを見つけたような目であった。
第三者side end
◆◆◆
ヒエンside
俺は周囲にバレないように回復魔法を発動させながらストレッチを行っていた。
ズルイと思われるだろうが……こちとら女装とプライドをかけているのだ。なりふり構ってはいられない。
それより問題がある。
それは第二戦目の最後で俺が負ける前に使われた技にある。
美由希さんが最後に使った技。
あれが恐らく『神速』だろう。
予想はしていたが凄まじい。
技に入る前の
実際に戦ってみて分かった。
神速使用中の御神の剣士は……その時だけに限るが……明らかに
普通なら反応すらできないだろう。
だが俺は
恐らく超直感のおかげである。
今まで高速戦闘をする敵とは何度か戦ったことがある。その経験もあったおかげで
だが……
神速の
反応はできても体がそれに追い付かないのだ。
(どうするか…)
あの神速を乗り越えなければ俺に勝ち目はない。今のままでは恐らくいや、確実に何もできないまま負けてしまう。
(せめて彼女と同じ領域……神速の世界にいければ……)
俺にも勝ち目はあるだろう。
だがどうすればいい?
俺も身体全体を加速させることができれば……
うん?
加速?
そのとき天啓がひらめく。
ある。
神速に対抗する手はある。
短距離高速移動魔法ブリッツアクション
ブリッツアクションで
だがこれは真剣勝負の場では……反則に近い魔法の力を使う。
しかし俺は柔らかく考えることにした。
そう。
これは
あっちだって御神流という飛天御剣流みたいなチートな
だったら問題ないよね(゜▽゜*)
◆◆◆
俺と美由希さんは三度向かい合う。
俺は常にブリッツアクションを展開できるように魔法の準備だけしておく。
そしてマルチタスクを駆使してどのような戦法で戦うか脳をフル回転させていた。
「泣いても笑ってもこれが最後の試合だ。両者とも悔いのないように」
「「はい」」
恭也君の話に二人同時に返事をする。
そして戦法が決まった俺は構えた。
すなわち……
「では、始め!!」
攻撃あるのみ!!!!
俺は開始と同時に突っ込む。
それは美由希さんも同じだったようで互いに超接近戦を繰り出すことになる。
「おおおお!!」
俺は美由希さんに空手の技を繰り出す。
「
これは相手の顔と腹に同時に殴りかかるという、初見でかわすのは結構厳しい鬼畜な技である。
だが美由希さんは驚くべき反射神経で俺の両手の突きを両手の木刀で防ぐと、横蹴りを繰り出してくる。
俺はそれをしゃがんでかわすと、彼女の足を払うように回し蹴りを放つ。
彼女はそれを軽くとんでかわすとクルンと回り、俺の頭へ
「うお!?」
俺はそれを十字受けで受け止め、彼女の足を掴んでそのまま一本背負いで投げ飛ばした。
彼女は空中でクルクルと回りながらトンと着地する。
そんな彼女に俺は言いたいことがあった。
「頭の上に踵落としとか鬼畜か!?」
「それをヒエン君が言うー!?最初に踵落とし、してきたのはそっちでしょー!それに最初の技……あれ空手の技でしょ?私じゃなかったらヤバかったよ!?」
「普通に防いでただろうが!」
「だからって女の子にあんな技使うのはどうなのよ!」
俺達は言い合いを続けながら再度接近戦へと移行する。
俺は美由希さんを中心に円で囲うように動く。
「またその動き…!」
体全体の余分な力を抜き、木刀の間合いを見切り、必要最低限の動きだけでかわす。
薫さんとの組み手でまた
「御神流……
再び連続で木刀の連撃が放たれる。猛攻ともいえる連続攻撃が俺を襲う。
だがその程度の連続攻撃!!
「薫さんのあの鬼畜な連続攻撃にくらべれば……翠屋のシュークリームより甘い!甘すぎるわ!!」
俺は木刀の間合いを見切り全てかわして、かわして、かわしまくる。そしてさらに言葉を続ける。
「知ってるか!?あそこでのんきに見ているストレートヘアーの女性はな、良い笑顔しながら高速で木刀でひたすら殴り続けてくるんだぞ!!思わずその神経を疑ったわ!!」
そのときピキッと何かが割れたような音が響く。だが俺はそれに気付かず言葉を続ける。
「あの人はな、ああ見えてドSなんだ!超ドSなんだ!思わず鍛えてほしいといった初日に逃げようと思った程にな!そんな薫さんの連続攻撃に比べれば!!美由希さんの
そして俺はそれらの猛攻をかわしつつ、彼女の横に位置取る。そして脇腹に両手を添える。
「
俺は
「甘いよ!!」
美由希さんはいつの間にか俺の側面に回り込んでおり、かわしていた。
「その程度の攻撃、恭ちゃんの鬼畜訓練の攻撃の速度に比べれば楽々かわせるよ!!」
すると又してもピキッと割れたような音が響いた。
「そっちだって知らないでしょ!私がいかに恭ちゃんという鬼畜男にどれだけ理不尽な訓練をさせられているか!!ちょっと技がうまくいかないからってすぐに何千回も反復練習させるんだよ!?」
美由希さんの攻撃速度が段々と上がっていく。
「こないだだって、模擬戦やってたらこっちが優勢だからってすぐに奥義使ってくるし!変な所で子供っぽいから困るんだよ!!そんな理不尽な環境に比べたらヒエン君なんてまだまだかわいい方だよ!!」
俺はそれらを化剄で防ぎながら言葉を返す。
「なにおう!俺の訓練の方がどうみても理不尽だろうが!ひたすら組み手組み手組み手だぞ!!」
「まだ反復練習がないだけマシじゃない!あれほど単調で辛い訓練もないよ!!」
ドドドドドドドッッッッッ!!!!!!
ヒュヒュヒュヒュヒュ!!!!!!!!
両者の攻撃と防御のスピードがどんどんと上がっていく。
「痛め付けられないだけマシだろうが!合格と言われるまで組み手が永遠に終わらないんだぞ!!」
「こっちだってノルマが何千回もあるんだよ!全部合わせたら万超えてることなんてザラなんだから!!」
ドドドドドドドドドドッッッ!!!!!!!!!
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュ!!!!!!!!!!
さらに両者の攻撃と防御のスピードは上がっていく。
「薫さんの方が鬼畜だ!!」
「恭ちゃんの方が鬼畜よ!!」
さらにさらに両者のスピードは上がっていく。
「薫さんの方がさらに外道だ!!」
「恭ちゃんなんてさらにその上をいく
さらにさらにさらにスピードは上がっていく。
「この分からず屋め!いいぞ!いい加減決着をつけようじゃないか!!」
「いいよ!御神の奥義見せてあげる!!」
そして俺達は互いに奥の手を発動させた。
「ブリッツアクション!!」
「神速!!」
そして二人の姿は消えた。いや、
ヒエンside end
◆◆◆
なのはside
なのははヒエンと美由希の試合を見ながら……ホトホト呆れていた。
前半は真面目な試合になっていたのに二人が会話を始めてから、空気が段々とおかしくなっていったのだ。
そして最終的にはどちらの訓練が辛いか、自分達の師匠がどれだけ鬼畜かと試合をしながら言い合いを始めてしまった。その本人達が聞いているにも関わらず両者とも
なのはは久遠を抱きながら、チラリと青髪のストレートヘアーの女性…薫の方を向く。
彼女から気のせいでなければ、黒いオーラが見えている。
そして今度は審判をやっている兄、恭也の方を向く。同じく黒いオーラが出ていた。
抱きかかえている久遠は怖いのか少し震えていた。
「よしよし、く~ちゃん大丈夫だからね~」
「くぅー」
久遠は丸まって寝始めた。
(もうこんな空気にして!ヒエン君と……あとはお姉ちゃんもお説教なんだから!!)
ここにいるほぼ全員、途中から呆れたような目で見ていた。何人か爆笑している人達もいたが。
というか今は道場の中央で試合をしているはずの両者の姿が見えない。やけにドドドドドドといった音や、ガキンといった音だけが道場内に響いていた。
なのはは思った。
(普通の試合してほしいの……)
なのはside end
◆◆◆
ヒエンside
俺と美由希さんは同時にブリッツアクションと神速を発動させた。だが彼女の姿はどこにも見えなかった。
俺はさらに魔力で視力を強化する。
するとようやく美由希さんの姿を捉えることができた。
ってこれだけ強化してやっと見えるのかよ!?
美由希さんは既に俺の後ろに回り込んでいた。俺はそれに合わせるように回し蹴りを放った。
すると姿を捉えられるとは思っていなかったのか、顔はかなり驚愕していた。
だがブリッツアクションで動きを加速させているとはいえ、動きのスピードは僅かに美由希さんの方が速かった。
彼女はそのまま俺の蹴りに合わせるように、蹴りを繰り出した。
バチイイイィィィンン!!!!!!
俺の蹴りと、美由希さんの蹴りが激突する。
そしてその激突で両者ともに少しよろける。だがそこから激しい接近戦へと移行する。
俺は右手で掌打を放つ。
美由希さんはそれを木刀で受け流すが、俺はそのまま彼女の腕を掴むことに成功した。
そしてそのまま左手で彼女の衣服を掴むと
だが逆に組み付かれ拘束されてしまう。
っていうか御神流には組技もあるのかよ!?
「御神流……
美由希さんは俺の
勢いよく倒された俺は背中の痛みをなんとかこらえる……が美由希さんはそのまま絞め技に入ろうとしていた。
させるか!
俺は無理矢理、回転蹴りをしながら起き上がる。そしてなんとか体勢を立て直す。
すると俺のブリッツアクションと美由希さんの神速の効果がきれたのか周囲の時間が普通に戻る。
すると……
ズキン!!
「ぐっ!?」
突然、頭痛がした。
無理もないか。
ブリッツアクションは本来なら
「驚いたよ……まさか神速についてくるなんて。どうやったの?」
「き……企業秘密だ。今は
「そう。じゃあこれで最後にしない?正直、もう体力が残ってないんだよね」
「そうしようか。俺もギリギリだし」
神速も同様に身体にかかる負担も相当デカイのだろう。俺は彼女の誘いに喜んで乗った。
そして俺達は互いに駆ける。
「「いざ……尋常に勝負!!」」
そして俺は拳を握り、美由希さんは木刀を握りしめ互いに攻撃を仕掛けた。
が……ここで事故が起こる。
二週間の無茶な訓練……度重なる試合……疲労……ケガ……そしてブリッツアクションで
その結果………
足をもつれさせて転んでしまった。
美由希さんを
ガッ
「「あ」」
ドガーン!!
そのとき俺はこけてしまったのだと気付いた。そして起き上がろうとして…
フニッ
うん?
そして地面がやけに柔らかいことに気付く。
フニッ…フニッ…
なんだこの病み付きになりそうな程の柔らかさは。
そして何度か揉んでいると……「……あ…あん……」といったどこか扇情的な声が聞こえた。
そして俺はようやく何かがおかしいことに気が付く。そのまま起き上がると……目の前には半泣き状態の美由希さんの顔があった。
そして気付く。
美由希さんを
俺は冷や汗をダラダラと流しながら周囲を見る。全員、唖然としたような表情でこちらを見ていた。
こんな感じで
( д) ゚ ゚
とりあえず何か言い訳のようなものを考えたが何も思い付かなかったので……素直に謝ることにした。
「す、すまなかった。でも大変やわらかかっ…「きゃあああああああ!?」ブヘラ!?」
パチイイイイィィィィンン!!!!!!
この美由希さんの一撃で俺は気絶してしまい、俺の敗北が決定したのだった。
そして……気絶から起き上がったあと…
ジゴクガマッテイタノデシタ((((;゜Д゜)))
これにてvs高町美由希練習試合編は終わり。
そしてとらハ3のストーリーを少しやってから本格的にA's本編じゃウラァー(゜▽゜*)
では、また(・∀・)ノ