今日は美由希の家庭環境を少し。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
キーンコーンカーンコーン
授業が終わりチャイムがなる。それを合図に我が2-Aの生徒も帰る準備を進める。俺も勿論、帰る支度を始める。
すると隣の美由希さんが話しかけてきた。ちなみに6月の始めに席替えをしたので美由希さんが隣になった。
「ねぇねぇ、調子はどうなの?」
「うん?どうとは?」
「あと二週間もすれば練習試合するでしょ?私、少し楽しみなんだ~」
戦闘民族の長女様に期待されてる!?
「俺なんて少しかじってる程度だよ」
「なのはから聞いたよ?ものすごく強いって!!」
なのはあああぁぁぁ!!
頼むからハードルをあげるなーー!!!
おかげで目を輝かせてる眼鏡っ子文系女子がここにいるんですけどーー!!!!
すると2-Aの面子が少しざわつく。
どうしたのかと思い、ざわつくを方を見ると
そしてその人は俺と目が合うと、嬉しそうな表情をして俺の名前を呼んだ。
「あ、ヒエン君!」
「おいっす」
俺は手をあげて挨拶した。
そこには以前、私立聖祥大付属小学校の屋上で怨霊と戦ったときにお世話になった巫女、神咲那美さんがいた。
◆◆◆
俺は今、美由希さんと那美さんの二人と帰っているところである。
二人は友人同士であり、楽しそうに話している。話によれば那美さんもタマに翠屋の仕事を手伝っていることがあるらしい。俺は見たことがなかったので日にちが被ったことがなかったのだろう。
美由希さんは、俺と那美さんが友人だとは知らなかったみたいで驚いていた。そういえば言ってなかった気がする。
俺は二人の後方を歩きながらボーッとその後ろ姿を見つめていた。
やはり美少女二人が並んで歩いていると癒される。ちなみに制服姿の那美さんを見たのはこれが初めてだ。
話は変わるが、俺は二週間後の美由希さんとの練習試合に向けてこの後、
そしてその人が特訓場所に指定したのが俺が以前、ジュエルシードに寄生された狂犬を倒した場所……
現在その神社の神主さんは諸事情により外国に出張に行っているため、那美さんが代理で神主を務めているのだ。
そして俺はその関係で那美さんに八束神社を使わせてもらえるよう頼み込んだという訳だ。
そうそう。
ちなみに美由希さん……那美さんが退魔師であることを知っており、妖狐である久遠のことも知っているらしい。
これなら俺となのはが魔導師であることを言っても問題ないと思うが、なのはがまだ家族に伝えていないので俺から言うわけにはいかない。なので那美さんには俺が魔導師であることは引き続き秘密にしておくようにお願いしている。
そして俺達は八束神社の階段下までついた。そこに俺達を待っている人がいた。
俺はその人に声をかける。
「お久しぶりです薫さん」
「やぁ、元気そうだねヒエン君。美由希ちゃんも久しぶり」
「薫さんお久しぶりです」
俺が稽古をつけてもらえるよう頼んでいた那美さんのお姉さん……神咲薫さんが待っていた。
◆◆◆
俺は神社のトイレで持ってきていた黒ジャージに着替え、いつもつけている籠手だけをセットアップする。普通の高校生が籠手を持っている訳がないので仕方がない。
っていうか買おうと思ったら結構高かったし。通販で試しにカタログを見てみたら、安いやつでも25000円と書いてあった。一介の高校生には少し厳しい値段である。
そして俺が準備を終えて神社へ向かうとそこには、ジャージに着替え終えていた薫さんがいた………のだがなぜか美由希さんまでジャージに着替えていた。そしてその手には短い木刀を持っていた。
まさか……とは思うが俺は二人の側まで寄っていく。
「お待たせしました」
「お、来たね」
「あ、様になってるねぇ」
薫さんと美由希さんが反応する。
「さてヒエン君、二週間後に美由希ちゃんと試合をする様だが……せっかく本人がここにいるんだ。軽く前哨戦などやってはどうかな?」
やっぱりか。
だがそれはそれでありかもしれない。
今の時点で美由希さんの実力は不明だ。ここで試合をすれば、どれだけ差があるのか、どんな戦い方をするのか、その対策を考えることもできるだろう。
「俺は特に問題ありません」
「私も大丈夫です」
俺と美由希さんの二人の返事に薫さんも満足そうに頷く。
「そうっこなっくちゃね。審判はウチがしよう。あと安心するといい。ケガをしても那美がすぐに治療してくれるから」
薫さんの側にはいつの間にか巫女服に着替えた那美さんの姿があった。
「治療なら任せてください」
「だから二人は思いっきりぶつかりあえばいい」
「「はい」」
俺達は7~8mほど離れた位置に立っていた。
そして俺は目を閉じ精神を集中させる。
俺の思考が段々とクリアになり、心も次第に落ち着いていく。
そして額に炎がつかない程度に死ぬ気化した俺は目を開く。
俺の雰囲気が変わったことに正面にいる美由希さん、審判の薫さんは驚いているようだ。しかし那美さんだけは慣れているのか普通にしていた。
そして俺は美由希さんに告げた。
「さて、やろうか」
ヒエンside end
◆◆◆
美由希side
美由希は、目の前の少年を観察する。だが彼女は内心少し驚いていた。
(雰囲気が変わった……!)
美由希が知っている少年は、お調子者で明るい性格をした普通の男の子といった印象であった。だが正面にいる少年は、鋭い眼光でこちらを睨み付け、どこか落ち着いた雰囲気を持っていた。普段の彼とはまるで正反対であった。
(これは……少し気合いを入れないといけないみたい)
美由希は眼鏡を外すと、目を閉じ深呼吸する。そして意識を切り替えた。
その顔に油断は一切なかった。
「お願いします」
美由希は小太刀のような長さの木刀を両手に構え、そして試合開始の合図を待つのだった。
美由希side end
◆◆◆
ヒエンside
目の前の少女……高町美由希。
なのはの姉にして俺のクラスメートであり友人の一人。
だが油断はできない。
彼女は、
正式名は『
だが名前が長いためほとんど『小太刀二刀・御神流』や、『御神流』と略されることが多い。
元々は
現在の使い手は士郎さん、恭也君、美由希さん。そして美由希さんの
そして『御神流』とは別に、不破家が伝える『御神流・裏』というものが実は存在する。ちなみに恭也君が使う方がこっちである。
なぜかというと恭也くんの父親:士郎さんの旧姓が不破なのだ。
不破士郎、暗殺武術『御神流・裏』の使い手であり師範代、そして恭也君の師匠でもある。
ちなみに美由希さんの扱うのが『御神流』となる。
前世でリリカルなのはの元となるとらいあんぐるハート3の設定集を読んだのだがこう書かれていた。
『技を極め完成の領域にある御神の剣士は全員が重火器や爆弾でも装備していない限り、100人でかかっても、倒すことはできない』 らしい。
まぁ、つまりは要約すると暗殺のプロ集団ということである。
ここで話に戻るが御神の剣士が扱う主な使用武器は小太刀2本、
そして御神流には攻撃の基礎というものがある。それが
それらの基礎の3つを習得すると、仕上げとして
心とは『目に頼らず、音と気配によって相手の居場所を察知する技』である。
そしてそれらの技術を修得すると……いよいよ『御神流』の奥義に入る。
御神の剣士に伝わる奥義。
その名も『
神速とは……
『自らの感覚時間を引き伸ばして移動する歩法技』である。
人間の意識集中を極限にまで高め、通常の時間の長さを数倍の長さに引き伸ばして感じとるのだ。
そして、その感覚時間の引き伸ばしが一定の限界を超えると、今度は肉体の方がその感覚についてこようとし、無意識にかかっていた筋肉のリミッターを外そうとする。
その瞬間、人間の100%の能力が引き出すことが可能になるのだ。
そのとき神速の使用者は風景の殆どが色を失うような感覚が起きる。つまり周りの景色がモノクロに見え、世界がスローモーションで動くような感覚になる。
だが当然、筋肉には限界を超える負荷がかかることになり、身体に大きな負担をかけることになる。主に足に負荷がかかり……鍛えていない者が使えば自滅する諸刃の剣の技である。
御神の剣士は神速を最後に習得することで正式に御神流の免許皆伝になるのだ。
俺は構え、目の前の少女を観察する。
美由希さんは油断なく構えているのか、隙は見当たらない。
現時点でいえることは間違いなく……美由希さんは俺より強い。
美由希さんが一体いつから『御神流』の修行をしているかは分からないが、恐らく今の俺より確実に対人慣れしているはずだ。
彼女は
だとすれば『御神流』の基礎ともいえる3つの攻撃技、
そして俺が彼女に対して最も警戒しなくてはならない技『神速』。
俺が彼女との練習試合を恐れている理由がこの技にある。
そして恐らく……『神速』は、魔導師が使う加速魔法や、高速移動魔法より
俺達魔導師は、魔力を使い魔法を発動させることによって高速移動を可能としている。だが御神の剣士は、それを
俺が彼女に対抗するために、
だが生身……素の身体能力の高さは
冷静に考えて見てほしい。
相手は10代後半の女子高生とはいえ暗殺武術の使い手であり、
かたやこちらは魔導師であり、近接戦闘の技術として武道の基本を修めたとはいえ、
どちらが生身の勝負で勝つかなど、これほど分かりやすい賭けもないだろう。
俺だって今まで死闘を乗り越えてきたという自負はある。
ジュエルシードを巡って数々の異形の化物とも戦った。
高速戦闘の得意なフェイトや、近接戦闘で破壊力があるアルフ、多種多様な魔法を使うクロノ、強力な砲撃魔法を使うなのはとも戦った。
異世界で黒化英霊とよばれるセイバーオルタや、バーサーカーいうサーヴァントといった怪物達とも戦った。
プレシアという大魔導師とも戦い打ち勝つことができた。
だがそれは
仮に……
管理局の魔導師達が、御神の剣士に……恭也君や美由希さんに挑んだとしても、恐らく勝てはしないだろう。
魔法を使ういや、そもそも
御神の剣士は、激しい修練や厳しい修行によって
セイバーオルタやバーサーカーなどの英霊達、奴等が使う圧倒的な魔力や宝具などといった化物級の力ではなく……人間が
過去の英雄達を英霊と呼ぶならば、御神の剣士達はこう呼んだ方が良いだろう。
『超人』…と。
もし仮に英霊といった存在と戦うことになったとしても、恭也君達なら勝てはせずともいい勝負ができる気がする。いや……でも……高町一家なら倒しててもおかしくはないか((((;゜Д゜)))
まぁ、話に戻るが俺は、今は魔法を使う訳にはいかない以上、素の身体能力だけで美由希さんに挑まなければならない。
幸運にも死ぬ気モードになっているおかげで、身体のリミッターは外れており身体能力は上がっている。
正直に言えば……この勝負は前哨戦であるため勝つ必要はない。
最悪……今の俺と美由希さんに
だが俺にだって意地がある。
クラスメートの女の子にそう簡単に敗ける訳にはいかない。
「では双方とも準備はいいか?」
薫さんが確認を取る。
「はい」
「大丈夫です」
俺と美由希さんが構えながら答える。
「では、試合始め!!」
そして俺達は互いに地をかけ激突した。
次回前哨戦開始。
では、また(・∀・)ノ