外伝書けたで候。
今回はヒープリの三人が変身します。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
第三者side
時刻は七時三十分。
花寺のどかは、自室のベットの上で目を覚ます。
「ん……あれ?もう七時半か……ふわあ……」
のどかは欠伸をしながらベッドから起き上がり、歩こうとした。
しかし、床に落ちていたラテの玩具の赤いボールを踏んでしまう。
「あ……ふわっ?ふわあぁぁ!?」
のどかは足を滑らせて大きく転倒してしまう。
その時の衝撃と叫びで、一緒に寝ていたラビリンが目を覚ました。
「うぅ……いたたた」
「のどか、どうしたラビ?」
ラテが赤いボールをのどかの元へ持ってくる。
のどかはラテからボールをもらうと軽く投げ、ラビリンに謝る。
「ああ……ごめんね。起こしちゃった?」
「大丈夫ラビ」
それからのどかはすぐに着替えると、ラテを抱えて、鞄にラビリンを入れると、階段を降りてリビングへと向かう。
「おはよう〜」
「ワンワン!」
「おはよう。あれ?出かけるのか?」
「うん!今日はちゆちゃんとひなたちゃんと勉強する約束してるの」
「そうなのか」
リビングではのどかの父親、たけしがコーヒーを飲みながらテレビのニュースを見ていた。
『今朝は三日ぶりに雨が上がって、気持ちのいい土曜日となりました』
そんななか、たけしはふと気付く。
「トースト焼いてるけど、のどかの分も焼こうか?」
「大丈夫!メロンパンがあるんだぁ。楽しみに取っておいたんだもん」
のどかは冷蔵庫からいちごメロンパンを取り出すと、椅子に座る。
いちごメロンパンを半分に分け、片方をラビリンへと渡し、もう片方を頬張る。
「いただきま~す。あーむ……んん……う~ん!おいしぃ~!」
のどかはいちごメロンパンの味に顔を綻ばせ、鞄の中のラビリンも笑顔を浮かべていた。
それからテレビへと視線を移すと、映像はスタジオへと切り替わっていた。
『ここでスペシャルゲストをお迎えしましょう!P.P.アブラハム監督です!!』
『ハハハ……日本のみなさーん、グッモーニング!』
アブラハム監督が画面の左側から現れると、その姿を見たたけしは瞳を輝かせる。
「お!P.P.アブラハム!この人のパジャマパーティーの映画好きだったんだよ!あれ?でもあの映画何てタイトルだったっけ?」
「うーん、知らないなぁ……うん?なんか焦げ臭い?」
突然、のどかの鼻に何か焦げるような臭いがしてきた。
のどかの言葉に、たけしは何か思い当たる節があるのか声を上げる。
「ああ!忘れてた!!」
たけしは慌ててトースターの方へ向かうが、トーストは既に真っ黒に焦げていた。
「やっちゃった……」
たけしが呆然と焦げたトーストを見つめていると、そこへ他所行きの綺麗な服を着たのどかの母、やすこがやって来た。
「おはよう〜。この臭い……何か焦がした?」
「うっ……ハハハ……」
やすこの言葉にたけしは笑って誤魔化す。
「ふわぁ!どうしたの?その服……」
「ふふ、言ったでしょ?今日は小学校の同窓会があるって」
「そうだったね」
やすこの手には、小学校の同窓会の招待状があった。
そこには集合写真が写ってあり、小学生時代のやすこも写っていた。
「この町にいたのは小学校までだから、みんなわたしのこと覚えてるかなぁ……フフッ」
「きっと覚えてるよ」
たけしの言葉にやすこは微笑む。
そこでのどかが時計を見て気付く。
「あっ……そろそろ行かないと。八時半にひなたちゃんのお家に集合なんだ」
「そんなに早くから?」
やすこの質問に、のどかは答える。
「午前中に勉強して、午後はお花見するの」
「土曜なのに大忙しだなあ」
「なんか半ドンって感じ?」
のほほんと話す両親。
のどかはのどかで、半ドンの意味が気になった。
「半ドン?なあにそれ??」
「お母さんが小学生の頃は、土曜日は午前中だけ学校があって『半ドン』っていったの」
「なつかしいなあ……授業が終わった後の午後のあの開放感!」
「へぇ……半ドンか」
そして数分後……
「行ってきま〜す」
のどかはラテを抱き抱え、ひなたの家へと出掛ける。
「いい天気!」
「ラビ!」
のどかはラビリンと話をしながら歩いていく。
「ねぇ、公園でお花見てこうよ」
「ラビ!」
「きっと綺麗に咲いてるよ。ちょっと急ごう!」
そう思い、急ぎ足で走っていると……
「キャッ!」
「うわっ!」
曲がり角で横から来た人物とぶつかってしまった。
「ふわっ……ごめんなさい」
のどかが謝ると……
「よんだフワ?」
「だあっ!」
前にいたのは同い年くらいの少女であった。
しかし、何かを押さえているような態勢を取っていた。
「えっ?」
「ご、ごめんフワ……」
「ふわ……?」
のどかは首を傾げる。
すると少女は立ち上がり、のどかに手を差し伸べる。
「大丈夫?」
「あっ……」
のどかはラテを抱えると、その手を取る。
「ありがとう。ウフフ……」
のどかは少女の優しさに少し嬉しくなった。
「ああ!キラやば〜っ!!」
「キラやば?」
すると少女は独特な擬音の声をあげると、のどかに名前を聞いてきた。
「ねえねえ、名前なんていうの?」
「えっと……花寺のどか」
「のどかちゃんか〜、お〜よしよしのどかちゃんかわいいねえ、いい子いい子」
そう言いながら少女はラテの頭を撫でる。
どうやらこの子はラテをのどかだと思っているようだ。
のどかは急いで訂正する。
「えっ!?あの……私がのどかでこの子はラテっていうの」
「へっ?」
一瞬、気まずい間があく。
すると、バス停の方から少女の友達が声をかけてきた。
「ひかる!早くするルン!!」
「バス出ちゃいますよ〜」
ひかると呼ばれた少女は大声で答える。
「うん、今行く!!」
そしてのどかの方に向き直る。
「キャンプするんだ〜。この町は星がキラやば〜なくらい見えるっていうからさ」
だがその間にもバスは出ようとしていた。
「早く早く!」
「ったく…」
「ちょっと待って!あ……私、星奈ひかる。のどかちゃん、ラテ、じゃあね!」
軽く自己紹介すると、ひかるはバス停で待っている友人の元へ向かい、のどかは手を振ってそれを見送る。
「ひかるちゃんか〜。なんか面白い子だね」
「ラビ!」
「「キラやば〜っ!フフフ……」」
そしてのどかは気を取り直して、再び走り出す。
「もう15分か」
のどかが郵便局の中の時計の時刻を見る。
既に8:15になっており、約束の時間まで残り十五分となっていた。
しかし走るのに夢中で水溜まりに足を踏み出してしまい、靴がぬれてしまった。
ポチャ!
「ふわっ……ああ……わぁ〜やっちゃった……うう〜靴下までぬれちゃってる」
「ん〜……うわっ!」
「ああっ!」
するとのどかは地図を見ながら歩く女の子とぶつかってしまう。
「ふわっ……うう……ごめんなさい」
のどかは尻餅をつくが、女の子の方は大きい荷物に潰されるような形で、うつ伏せで倒れていた。
「う……うう……うううう……」
「えっ!?えぇっ!?大丈夫?」
女の子はうめき声をあげていた。
それを見たのどかは急いで駆け寄る。
「うう……こっちこそごめんね。地図見てたから、皆とはぐれて迷子になって……めちょっく!?」
「めちょっく?」
再び個性的な女の子に出会ったらしい。
女の子は涙目で質問する。
「ねえねえ、すこやか温泉って知ってる?」
「あっ、知ってるよ。私、案内するよ」
「えっ!?いいの!?」
「うん、任せて!」
時間がなかったが、のどかはこの女の子をどうしても放っておくことができなかった。
「友達の家が温泉旅館をやっててね。ペットが入れる温泉もあるんだよ」
「えーっ!楽しそう!」
のどかはこの街の温泉のことを話しながら、女の子を案内していた。
すると……
「あー!いたのです!!」
川にかかっている小さな橋の所に女の子の友人達がおり、赤い服の小学生くらいの女の子が声を上げる。
「はな先輩!こっちなのでーす!!」
「あー!みんな~!どこ行ったのかと思ったよ!!」
「それはこっちのセリフなのです!」
「気付いたらいなくなっとったわ」
「ママ〜迷子~」
赤い服の女の子は大声でツッコミを入れ、少しチャラそうな男性が呆れ、赤ちゃんが楽しそうに言う。
「タハハ……道に迷っちゃって、この子が案内してくれたの」
女の子の紹介で、のどかは軽くおじぎをする。
「あ……まだ名前聞いてなかったね」
「私、花寺のどか」
「花寺!?わたしも“はな”だよ!野乃はな!!」
「あはっ!はなちゃん!!」
「うん!」
同じ“はな”繋がりということで意気投合する二人。
すると紫の髪の女の子が呟く。
「3.87%」
「「「「「うん?」」」」」
「今日中に5件温泉を回るミッションの成功確率は現時刻で3.87%」
どうやら一刻も早く、温泉に入りたい様子。
その証拠にどこかソワソワしていた。
「ごめんごめん……」
「ルールー、いつになく張りきるね」
「温泉好きだから」
「ああ……」
そんなこんなでなんとか友人と合流できたはなは、再び温泉へ向かうことに。
のどかに別れを告げ、大きく手を振る。
「じゃあね、のどかちゃん!本当にありがとう!!」
「ばいばーい!」
のどかはそれを見送った。
「なんか楽しい人達だね」
「ラビー!」
そして再び走り出した。
「こっちで合ってるラビ?」
「近道だと思うんだけど、8時半に遅れちゃう。公園にはもう寄れないかな」
「「めちょっく!フフフ……」」
二人は、はなの言ってた言葉を言い合う。
のどかとラビリンの中で『キラやば〜!』と『めちょっく!』という言葉はよっぽど記憶に残る言葉だったらしい。
そしてのどかは、近道と思われる階段から降りる。
すると道路に出た。
「ふわ~!ここに出るんだ」
横断歩道の前に出るのどか。
「近道出来たね」
「よかったラビ」
すると、一人の幼い男の子がボールで遊んでいた。
しかしボールは道路へと飛んでいってしまう。
男の子がボールを拾いにいった直後、車が目の前に走って来る。
「あっ……うん?」
ブブー!!
「ワンワン……!」
「えっ?あっ!!」
「ラビ!!」
ラテが鳴いた事でのどかとラビリンもそれに気付く。
ブブー!!
「あっ……ああっ!」
少年は腰を抜かし、動けない。
ブブー!!
「いけない!」
のどかは咄嗟にプリキュアに変身し、男の子を救出する。
そして安全な所へ移動させると、そのまま飛び去って行った。
「あぁ……」
「大丈夫っ!?」
「お姉ちゃんが助けてくれた……」
男の子の母親が急いで駆け寄る。
男の子に怪我はなく、無事であった。
「はあ……」
のどかは男の子が無事なことに安堵し、人気のない森で変身を解除する。
「危なかったラビ」
「クーン……」
「ありがとうラテ、あの子無事でよかったあ。二人とも行こう」
その後、のどかは無事ひなたの家にたどり着くことができた。
勉強の準備をしつつ話す三人。
話題は自然と今日の講師をしてくれる少年の話へ。
「ヒエンさんはまだ来てないんだね?」
「もう少ししたら来るんじゃないかしら?」
「たぶん遅れてくるんじゃない〜?」
三人はiPadのテレビ画面を見ながら呟く。
そこには今朝のどかの家で見たニュースが映っており、アナウンサーと映画監督と思わしき二人が話していた。
『私、監督の映画でパジャマパーティーを知りまして』
『ああ……ジャマシックパークですね』
「あ、お父さんが言ってた映画だ」
のどかは画面を見ながら呟く。
のどかの父親たけしは、映画監督アブラハムのファンであり、彼の作品であるジャマシックパークが気に入っている。
決してどこかの恐竜映画のパクリではない。
『新作もワンダフルですよ。主演は
と放送中であったが、ちゆがiPadを閉じる。
「勉強が先!」
「ああぁぁ……」
ひなたが観念するようにうなだれる。
こうして勉強会がスタートしたのだが……
「でね~!それがめっちゃおいしいパフェで……」
ひなたの集中力は数分と持たなかった。
「ひなた、また手が止まってるわよ」
「ああ……エヘヘ、ごめん。分かんなさすぎて気が散っちゃってさ」
ちゆの注意に、ひなたは苦笑いする。
「どこが分からないの?」
「あのね……」
のどかとちゆは真面目に集中できていたが、ひなたは勉強が苦手なのか、なかなか集中できずにいた。
ちゆに教えられながら、なんとかやっていると……
トントン……
「「「あっ!?」」」
突如、部屋のドアがノックされる。
「ちょっと待って!」
「隠れて!」
「「「うう……」」」
ちゆは急いでペギタン達に隠れるように指示を出す。
三匹は敷き布団に隠れる。
どうやらひなたの兄であるようたが、部屋に尋ねに来たらしい。
「なあに?」
ガチャン…
「やってるね」
「「お邪魔してます」」
「差し入れ、お隣から頂いたんだ。おいしいドーナツだってさ」
「やったあ!おにぃ!最高!!」
ようたが持ってきた差し入れをひなた……ではなく、ちゆが受け取った。
「ありがとうございます。勉強会が終わったらいただきます」
「ええっ!?」
ちゆの言葉に驚くひなた。
彼女の心境としては食べながら勉強したかったのだろう。
「じゃあ俺は出かけるからさ、勉強頑張れ」
「はーい」
こうして再び勉強会が始まった。
◆◆◆
時刻は一時間経過し、既に9:30を回っていた。
少年とメイド見習いの少女は未だに来ていない。
「二人とも……遅いね」
のどかが時計を見ながら呟く。
顔には不安や心配といった表情が、色濃く見受けられた。
「ちょっと旅館に確認を取ってみるわね」
たまらずちゆは、携帯電話を持って廊下へと出ると、旅館へ連絡を取りに行った。
ひなたは机にグデーッとしながら呟く。
「何かあったのかな?」
「どうだろうね?でもちょっと心配かな……」
すると連絡を終えたちゆが戻ってきた。
少し慌てているようだ。
「二人とも聞いて。今、母に確認してもらったらヒエンさんと冷火ちゃんは既に部屋にいなかったの」
「へ?それじゃ二人は、どこか出歩いてるってこと?」
「いいえ、それが
「え!?そ、それって……」
「ええ、
「「え、えぇ!?」」
のどかとひなたは驚く。
「とりあえず今はお母さんが警察に連絡してくれてるんだけど……心配ね」
そのとき……
ドゴォオオオオオオオンン!!!!!!
突如、すこやか市全体に爆発音が大きく響き渡る。
「「「きゃあああ!?」」」
「ラビ!?」
「ペエ!?」
「ニャア!?」
「ワン!?」
三人と四匹は驚く。
「「「な、なに!?」」」
皆が慌てて外に出る。
すると空の方に稲妻のようなものが見えた。
「あれってもしかして……ヒエンさんと冷火ちゃんに何か関係があるんじゃ?」
「その可能性は高いと思うわ」
「じゃあ急いでいかないと!」
三人は頷き合うと、稲妻が見えた場所へと向かっていった。
第三者side end
◆◆◆
ヒエンside
俺の前には三体の合体モンスターがいる。
さらにその後方にはリフレインが控えていた。
奴は話す。
「全員まとめてかかってこいとは……なめたことを言ってくれますね。ならお望み通り、相手をしてあげなさい!お前達!!」
「チク!」
「タク!」
「チクタク!」
すると三体が一斉に襲いかかってきた。
こちらもグローブから炎を噴射し、真っ正面から突貫する。
そして奴らの目の前に接近し、剛炎の拳を振るう。
「はあ!」
そこから高速で移動しながら三体に拳の連撃を叩き込む。
「チクゥ!?」
「タクゥ!?」
「チクタクゥ!?」
合体モンスター達は吹き飛んでいく。
俺はさらに高速で飛びながら、奴らを殴り飛ばしていく。
こいつら一体一体の動きはとても早い。
それに加え、多対一の乱戦なのだ。
射撃魔法や捕縛魔法など、とてもじゃないが使ってる暇はない。
スタミナだって持たないし、長期戦になれば不利になるのはこちらだ。
ここは高速戦闘で攻めて一気に叩き潰す。
まずは三体の距離を引き離し、一体ずつ確実に潰していく。
そして最初に中モンスターから倒そうとしたとき……
「!?」
俺は咄嗟にかわす。
「私を忘れてもらっては困ります」
「リフレイン!?」
本当、嫌なタイミングで邪魔をしてきやがる。
おかげで追撃のチャンスを逃してしまった。
「今です、お前達」
「「「チクタクゥ!!」」」
すると俺が攻撃をかわした直後の隙を狙って、三体同時に襲いかかってくる。
「ちぃ!?」
奴らは俺を中心に三角形のフォーメーション、トライアングルを組んで攻めてくる。
俺は奴らの高速の拳打を、超直感の感覚を最大まで引き上げ、必死に捌いていく。
(こいつら!?三体同時攻撃がここまで厄介とは!?)
相手の息を合わせる動きと、俺への息をつかせぬ動きのコンビネーションに翻弄される。
なんとか対応していた俺だったが、ついに捌ききれなくなり、俺は奴らの高速の拳打を食らってしまう。
「チクゥ!」
「ぐあ!?」
大モンスターのパンチで、俺は大きく吹き飛んでいく。
「タクゥ!」
「ごほっ!?」
すると今度は、中モンスターが回り込んでおり、アッパーカットで今度は背中から吹き飛ばされる。
「チクタクゥ!」
「ぐああああ!?」
さらに上空まで吹き飛ばれると、小モンスターの攻撃で地面へと叩きつけられてしまった。
「ぐ……」
俺はなんとか起き上がる。
これは冷火がやられるはずだ。
こいつらのコンビネーションは、恐ろしい程までに完成されている。
冷火は力を発揮する前に、この猛攻を受けて倒れてしまったのだろう。
「ぬ!?」
俺は左腕を上げてラウンドシールドを展開させる。
リフレインの稲妻攻撃が放たれていた。
「ぐ……おおおおお!」
奴の攻撃は重く、俺の立つ地面が陥没していく。
しかし、なんとか受け切った。
「はぁ……はぁ……はぁ……これはさすがに……見栄を張りすぎたかな」
合体モンスター三体は、力とスピードもある上にタフネス。
加えて奴らの背後には、強力な力を持つリフレインが控えている。
魔導師ランクでいえば、オーバーSランクはあるだろう。
これは控え目に言ってもピンチだ。
ピンチ過ぎて笑いまで込み上げてくる。
「ハハハハ……まさに万事休すってか」
するといつの間にか、合体モンスター三体と、リフレインが俺を見下ろすように近付いていた。
「……追い詰められ過ぎてついにおかしくなりましたか?この状況で笑っているとは」
「ふっ。そうかもな」
俺はそれを肯定する。
だが
もっと辛い状況など、いくらでもあったのだから。
「一つだけ聞いておきましょう。ミラクルンを……
「精霊?ミラクルンは妖精じゃないのか?」
「……冥土の土産に教えてあげましょう。ミラクルンは『明日』を司る精霊なんですよ」
「『明日』を司る精霊……」
そうか。
大体分かった。
リフレインがミラクルンを狙う理由が。
『昨日』を司る精霊と、『明日』を司る精霊。
リフレインとミラクルンは表裏一体なのだ。
だからこそ、ミラクルンは行き過ぎた行動を取るリフレインを止めようと、俺達に助けを求めてきたのだろう。
なら、ミラクルンのためにも、こいつらには絶対に負ける訳にはいかない。
折れる訳にはいかない。
「リフレイン、お前がなんのために時間をループさせているかは分からない。だがこれだけは言える。お前のやっている事は間違っている」
「……なんですって?」
「お前にも時間をループさせなきゃいけない事情や理由があったのかもしれない。だが、他の皆の時間を奪うなどもってのほかだ。ミラクルンのためにも……お前は絶対に止める!!」
俺は額の炎をさらに燃え上がらせる。
「やはり貴方は不快だ。視界に入れておきたくもない」
「ひどい言われ様だな」
「私から話すことは何もありません。それでは、さようなら」
リフレインがこちらに手をかざし、攻撃を仕掛けようとする。
そのとき……
「「「待ちなさい!!」」」
俺は
まさかと思い、見ると
「のどか!ちゆ!ひなた!」
俺は声を張り上げる。
「馬鹿野郎!三人ともなんでこんなところにいる!?今すぐ逃げろ!!」
するとのどかが言った。
「嫌です!!」
「なっ!?」
俺は驚愕する。
まさかあの大人しいのどかが否定するとは……なんというか少しショックを受ける。
そんな驚く俺を他所に、彼女達は畳み掛けるように言う。
「ヒエンさんが一体何に巻き込まれてるかは分かりません!でも私達は……貴方を助けたいんです!!」
「のどかの言う通りです!私達は貴方の力になりたい!!」
「うん!一人だけで戦うなんてみずくさいよ!!」
そして三人の側から小さなぬいぐるみのような物体が出てくる。
見ればウサギに、ペンギン、トラの小動物であった。
「ラビリン!」
「ペギタン!」
「ニャトラン!」
するとのどか、ちゆ、ひなたの目の前に、ステッキのような物が現れる。
「皆!やろう!!」
のどかの合図に三匹の小動物達が叫ぶ。
「「「スタート!!」」」
ウサギ達はステッキに飛び込み、顔だけを出した状態になる。
「「「プリキュア·オペレーション!」」」
するとピンクの光のワンピースを纏ったのどかは花のボトルを、青色の光のワンピースを纏ったちゆは水のボトルを、黄色の光のワンピースを纏ったひなたは光のボトルを、それぞれのステッキにセットする。
「「「エレメントレベル上昇(ラビ)(ペエ)(ニャ)!!」」」
のどか、ちゆ、ひなたはステッキについている肉球をタッチする。
「「「「「「キュアタッチ!」」」」」」
『『『キュン!!!』』』
花が重なるように舞い、水が交わるように流れ、光が溶け合うように弾ける。
そしてのどか、ちゆ、ひなたの三人はそれぞれ白衣を身に纏う。
するとのどかは髪が濃いピンク色のロングヘアーへと変わり、黄色い花に緑の葉の髪飾りをあしらっており、ピンクのハートのついたティアラを被る。
そしてピンクのパフスリーブのワンピースを着て、緑のリボンのついたショートブーツを履いている。
「「重なる二つの花!!」」
「キュアグレース!」
「ラビ!」
ちゆは二つに分かれた濃い水色のロングヘアーへと変わり、青色のハートのついたティアラが装着されている。
パフスリーブのワンピースであり、白と緑のフリルがついている。
そして、青色の雫のついたロングブーツを履いている。
「「交わる二つの流れ!!」」
「キュアフォンテーヌ!」
「ペエ!」
ひなたは金髪の猫耳型シニヨン付きツインテールになり、黄色のハートのティアラが装着される。
黄色いノースリーブのトップスを纏い、二の腕にはアームファーを装着されており、更に緑のフリルの着いたファー仕様のかぼちゃパンツを着用している。
足元には茶色のオーバーニーソックスと黄色のロリータパンプスを着用している。
「「溶け合う二つの光!!」」
「キュアスパークル!」
「ニャン!」
三人はステッキを向かい合わせ、告げる。
「「「地球をお手当て!ヒーリングっど♡プリキュア!!」」」
俺は予想外の光景に唖然とする。
「の、のどか達がプリキュア……だったのか」
まさかの展開に俺は茫然とする事しかできなかった。
次回は共闘。
そして転移した冷火達をハグプリが保護します。
では、また∠(`・ω・´)