やはり俺の浪人生活はまちがっている。   作:terror

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第6話です(・ω・)ノ
懇親会でバイキング店に来た続きです!


6.やはりそう簡単に友達などできない。

店に着くと約四十人の予備校生が入口で立ち往生していた。

うん。これ絶対他のお客様のご迷惑だよね。

 

少し時間がかかって先生が受付を済ますと、続々と生徒が店の中に入って行き、席に案内される。男女別々に各テーブル四人ずつだ。

全員が席に着くと、自由に食べ物取りに行っていいよとの指示が出たされた。ちらほらと席を立つ人に続き俺も席を立つ。

 

 

 

……いやぁ、先生が『みんなこの懇親会で友達作る』なんて言ってたからなんかリクリエーションでもあるのかなぁ。嫌だなぁ。とか思ってたけど……うん!ないみたいだね!

 

これで友達作るとか絶望的だろ。俺のテーブルなんてひどいぞ。誰一人喋らず黙々と食べてる。もちろん俺もね!

 

それに引き換え隣のテーブルでは、まるでろくろでも回すかのようなオーバーな手振りを交えながら話してるやつを中心に意識高い話で盛り上がっていた。……あのろくろ回しには見覚えがあるような気がするがきっと気のせいだ。うん、絶対。ロジカルシンキングで論理的に考えても絶対気のせい。

 

ほかのテーブルも見回してみると男子のほうはけっこう会話してないところが多いみたいだな。男は積極的に話ししないのだろうか、逆に女子のとこはみんな会話してるな。盛り上がってるところもあるし、その他もそこまで盛り上がっていないながらも、ちゃんと会話が続いている。……一つのテーブルを除いて。

 

三浦優美子のテーブルは、誰も喋ることなく気まずそうにしていた。

この予備校に通っている女子は見た限り言っちゃ悪いがみんな地味な子ばかりだ。それに比べて三浦はあの容姿であの派手さだ。周りの子が気後れするのも無理はない。あいつ威圧感すごいからな……。ぶっちゃけ怖い。携帯いじっている姿は怒ってるようにしか見えん。

あいつここじゃ友達作るの難しいかもな。作ろうにも馬が合わないんじゃどうしようもない。友達なんて無理して作るものでもないしな。

……俺も人のこと言えないけどな。この沈黙の空間にいるのも辛いので飲み物でも取りにいこ……。

 

 

 

 

飲み物を取りに行く途中でいいコーナーを見つけた。なんとここではワッフル、ホットケーキ、クレープを自分で焼いて、特にクレープはトッピングも自由にできるらしい。なんと素晴らしいことか。ふっ、俺の力を見せるときが来たな。これで残りの時間は問題なく潰せそうだ。

 

まず鉄板に油を軽くしき、クレープの生地の種をオタマですくって鉄板に広げる。この時生地を広く、薄く、円を描くように広げるのがポイントだ。そして、数十秒してからコテでひっくり返す。おぉ、完璧。前にほんとなんとなく動画で上手なクレープの焼き方を見た甲斐があった。

 

「ねぇ」

 

あとはもうちょいひっくり返した面を焼いてから完成だ。

 

「ねぇ」

 

よし、皿に盛り付けてっと……

 

「無視すんなし」

 

げしっと足を蹴られた。話しかけられてたの俺だったのか……。

俺に話しかける人なんていないからてっきり別の人かと……。

 

「いてっ。ってなに?俺のこと?」

 

三浦が腕を組みながら俺の後ろに立っていた。

 

「はぁ?あんた以外にだれがいんの?」

 

「まぁそうだな………。で、何か用か?」

 

「それ、あーしにも焼いてくんない?」

 

「いや自分で焼けよ……」

 

実際クレープ焼くのぜんぜん難しくないしな。

 

「めんどい。あと、あんた焼くの上手いし……」

 

「はぁ……。……じゃあこれやるよ」

 

俺はたった今焼いたクレープを差し出した。

 

「…いいの?」

 

「あぁ。また焼くし」

 

別にもう一枚焼くのも構わないし、それに早く相手の要求を呑んだ方が早く済む。

 

「……ありがと」

 

そう言って三浦は俺の焼いたクレープが乗った皿を手にトッピングコーナーに向かっていった。さて、もう一枚焼きますか。

まさかあいつが話しかけてくるとは思わなかったな。まぁ、もうこんなこともないだろ。

 

 

 

 

90分の食べ放題を終え、店の入口に集合した後、全員で集合写真を撮って解散となった。

 

家に帰ると既に小町たちも帰っていた。

 

「あ、お兄ちゃんおかえりー。友達できたー?」

 

「ただいま。……そうだな、まずどこからどこまでが友達か定義してもらっていいか?」

 

「……できなかったんだね」

 

「ばか、ちげーよ。あれだ、少し話したりはしたんだよ?」

 

途中で一回先生がテーブルに来て、隣の人と会話のきっかけをくれて、会話を繋げてくれたのだが、先生がいなくなるとなかなか会話が続かなくなり、しばらく経つとばったり会話が止まってしまった。

その人が頑張って会話を繋げようと頑張ってくれてただけに申し訳なかった……。ほんと隣が俺でごめんね。

 

「ふぅーん。楽しかった?」

 

「いや、辛かった」

 

「辛かったんだ……」

 

だってあの会話してて止まっちゃったときの沈黙って辛いじゃん?

辛すぎて我慢できずにまたクレープ焼きに席を立ったまである。

 

「あ、そうだ!お兄ちゃん明日何も予定ないよね?」

 

「別にないけど」

 

「うん知ってた!そのまま空けといてね〜!」

 

……知ってるなら聞くなよな。

明日何かあるのだろうか。そう思考を始めた俺だったが、バイキングで少し食べ過ぎていたこともあり、疲れていた俺は思考を止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第6話お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
次は4月16日(土)の話です!
それではまた第7話でお会いしましょう。

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