赤龍帝イッセーとリアスちゃんのベリーハード   作:超人類DX

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『俺はヒーローなんかになれやしない……今までも、これからも』








『でもリアスちゃんに「頑張って」と言われたら普段の500倍はやる気出せる』


魔王

 ライザー・フェニックスって悪魔を殺した時点で覚悟はあった。だから今更狼狽えやしない。

 実の妹を平然と殺すとほざけるまでに転生者であるあの男へ肩入れをしちまってる時点で、手加減するつもりも余裕もない。

 

 

「戦う前に提案だけど、人間界(ココ)で暴れるのはお互いにとって良くない。だから場所を変えないか?」

 

「それに対する拒否権は――」

 

「あると思ってるのなら、そのまま拒否でも逃走でもしてみなさい。

出来る出来ないが解らないキミじゃ無いだろう?」

 

「チッ……用意周到だなオイ」

 

 

 相手は魔王。

 リアスちゃんの兄貴で紛れ無き魔王。

 実の妹に向かって平然と殺しに来たとほざくその無表情から感じる気配は、この前殺したライザー・フェニックスなんぞ虫扱いなまでの強大な覇気を感じ、更に言えば『侵入した気配すら全く感じさせなかった』時点で逃げ道は完全に封じられたも同然。

 

 どんな手を使ったかは知らないけど、一見優男にしか見えなさそうなこの男は、痕跡を消したつもりの俺達を発見し、そして目の前に現れたのだ。

 最早戦って勝って殺すしか俺達のピンチは解消され無い。

 

 

「い、一誠……」

 

「大丈夫だリアスちゃん……。大丈夫だから……」

 

「…………」

 

 

 強さを探るまでも無く苦戦は確実に免れない。

 何せ相手はこの前の純血悪魔に加えて魔王ときた。

 表情というか、気配というか……とにかく逃げ場なんて無いと釘をしつつ俺達を連行するこの魔王からは強者オーラがバリバリな訳で……。

 

 逃げられないと悟って言われるがままに付いて行くしか今は道が無く、魔王を中心に展開された転送用だと思われる陣に入り、奴に連れていかれる形で殺し合いをする場所へと移動する。

 

 

「ここなら誰にもバレずに思う存分やり合えるよ」

 

 

 周囲の空間がねじ曲がり、目を覆うような光が止んだ先に広がるは、何処かの無人島だと思われる島の砂浜だった。

 

 

「何だここ……海岸?」

 

『転移か……ますます奴のテリトリーな訳だ』

 

 

 冷たい夜風が頬を撫で、身体を通り抜けていく。

 わざわざ戦うために移動させて来た理由はイマイチ解らんけど、魔王が言った通り……島ごとぶっ壊れる殺し合いをするにはおつらえ向きだと言える場所で間違いない。

 

 

「リアスは見覚えがあると思うけど、此処はグレモリー家が所持する小島だ。

だから誰の茶々も――綾瀬和正君も簡単には入ってこれない」

 

「……。そうなのリアスちゃん?」

 

「え、えぇ……兄の言う通り、この島の周りには特殊な障壁を何重にも張ってる島で間違いないわ。小さい時来たことがある……」

 

 

 リアスちゃんも昔来たことがある場所で殺し合い……ね。

 綾瀬和正にもバレないという辺りは微妙に本当かどうか疑わしいが、少なくともさっさとケリを着けるに越した事は無い。

 それが、逃げられる為に残された唯一の道なら尚更な。

 

 

「僕を倒せたら元の場所に戻れるようにしてある……その意味はわかるね?」

 

「殺るか殺られるかのデスマッチだろ?

ますます上等だぜ魔王――壊神・赤龍帝!」

 

 

 リアスちゃんを殺させる訳にはいかない。

 やっと自分を認識してくれる人との繋がりを失いたくない。

 こうしてピンチに陥いる事で、自分が思ってる以上にリアスちゃんに拘ってるんだなと自覚した俺は、紅いオーラみたいなものを放ち、その手に悪魔特有の魔力を溜め込んでる魔王の挙動を見落とさんと睨み、後ろで不安と恐怖で顔色の悪いリアスちゃんを後ろに下がらせる為に口を開く。

 

 

「リアスちゃん的には辛いかもしれないけど、俺はやる。だから下がってて」

 

 

 どうであれ兄。どうであれ肉親。

 この戦いにリアスちゃんを駆り出させる訳には行かない。

 そして死ぬつもりも無い。

 つまりそれは相手の命を奪うこと。

 

 

「し、死なないで一誠……!」

 

「ふふん……承知!」

 

 

 死なないでという言葉に俄然気合いを入れた俺は、初めて戦う魔王に最初から本気で挑まんと俺の中に宿る相棒に言った。

 

 

「行くぜドライグ、最初から飛ばす!」

 

『Start up! Infinite break mode!!』

 

 

 己の道を突き進むために、俺は殺す覚悟を再び決める。

 正義の味方だと思っても無い。ヒーローになる資格なんて最初(ハナ)っから無い。

 

 

「最近の人間様は結構やるもんだぜ? 魔王様よォォォォッ!!!」

 

 

 あるのただ……守りたいと思う子の為に動く身勝手な男一匹だぜ!!

 

 

 

 

 狡いかもしれないけど、僕は既にキミがどんな赤龍帝でどんな力を持っているかを知ってる。

 

 

『Boost!』

 

「っ……だらぁっ!!」

 

 

 使用者の力を倍加させる赤龍帝の籠手(ブースデッドギア)は勿論の事、キミ自身の性質から覚醒したこの世で唯一キミだけのオリジナルな力もね。

 

 彼女と同質の……強烈な精神性と才能が織り成す能力(スキル)の事も。

 

 

「まっすくで正確な攻撃だ。でもそれ故に避けやすい。

それじゃあ僕には当たらないよ?」

 

『Boost! Boost! Boost! Boost!』

 

「ケッ、当たったら寧ろガッカリだっつーの!!!」

 

 

 自分自身の限界値を取り払い、無限に進化し続ける力は確かに恐ろしく、相手の戦闘技術を真似するラーニングも驚異に価する。

 安心院さんが言ってた話だけど、そのラーニング能力と無限進化のスキルを使った『破壊特化の戦闘技術(スタイル)』は、かすり傷程度のダメージですら取り返しが付かない程に極悪で恐ろしい。

 

 

「おっとと、若さゆえって奴かな。手癖が随分と悪い」

 

「んなろっ!」

 

 

 けれど当たらなければどうってことは無い。

 いくら闇雲に倍加させた力で攻撃してこようと、軌道さえ見切れば怖くなんて無いし、何より赤龍帝の少年……兵藤一誠の弱点は他にある。

 

 

「ほらどうした赤龍帝? ご自慢の力も空回りじゃないか」

 

 

 まず1つ目――彼は飛べる手段が限られている。

 僕達みたいな人ならざる者が当たり前の様に持つ飛行手段を彼は持っていない。

 

 

「しゃらくせぇ!! 黒神ファントムだ!!」

 

『Phantom Boost!!』

 

 

 故に彼は飛行(トブ)のでは無く跳躍(トブ)

 僕の煽りに言い返す代わりだと云わんばかりに、人間とは思えない跳躍力で空に立つ僕の下へと接近するのは確かに驚く事だと素直に思う。

 だけどわざわざ跳躍してまで僕に近付いて殴り掛からなければならない……それが二つ目となる弱点だ。

 

 

「速いね。けれど真っ直ぐ過ぎる……!」

 

「ぐおっ!?」

 

 

 安心院さん曰く、音速のスピードと攻撃力がある黒神ファントムの軌道が見えた僕は、真っ直ぐと跳んできた兵藤一誠君の突き出した拳を横に裁き、がら空きになった懐に膝を入れて牽制しながら、本気で二人を殺すという態度を見せつけるつもりで煽る。

 

 

「だから避けられる……。

だからこうやって隙だらけの君を僕は何時でも自由に攻撃出来る」

 

「ごほっ……く……ケケ! え、偉そうに言いやがって……!」

 

 

 跳躍の勢いを削いた兵藤一誠君の顔面に手を翳した僕は、本気で殺すつもりでバアルの母から受け継いだ滅びの力を溜め込んで撃ってみる。

 

 

「リアスから聞いてると思うけど、僕も一応滅びの力を持ってるんだ。

故に食らえば――わかるな?」

 

「うっ!?」

 

 

 殺意を見せながら魔力を掌に溜める僕に兵藤一誠君の表情が硬直する。

 これで喰らって死ぬようならこの先リアスを守れやしない訳だが……。

 

 

『俺を楯にしろ一誠! この程度の攻撃なぞはね飛ばしてくれるわっ!!』

 

「よしきた!『ドライグガード!!』」

 

 

 顔面に当たる寸前で、赤龍帝の籠手を装備してる方の腕を使い、僕の滅びの力が籠った魔力を防いで見せた。

 これは僕にしても中々予想外な行動であり、地に着地した兵藤一誠君を空に立って見下ろしながら次の一手を待つ。

 

 

「チッ、流石にこの前の不死鳥悪魔みたいにとはいかないか。簡単にゃあさせてくれねぇみたいだぜ……」

 

「いやいや、まさか僕の力をその籠手で防ぎきるとは予想外だったよ。

結構本気で攻撃したのにキミは無傷だしね」

 

『当たり前だクソ餓鬼が。

所詮魔王こどきが俺達を消滅させられるか』

 

 

 だろうね。

 一度でも見捨ててしまった僕が思うことも口に出す資格も無いけど、この程度で死なれてはリアスを任せるなんて出来っこないのだもの。

 寧ろ此処までやりあって疲労とダメージも無さそうだし、ちょっと安心してる……声に出しては言わないけど。

 

 

「魔王を名乗るだけあって強い……。

リアスちゃんの兄貴様なだけの事もな。だが解せない」

 

『何がだ?』

 

「あの魔王……殺すって言ってる割りにはさっきから攻撃を仕掛けてこない。

全部俺の攻撃に反撃してるだけだ」

 

『確かにな……。しかしそれだからと云って闘いを放棄するのか?』

 

「ジョーダン。

あの魔王が何を考えてるのかは知らんけど、それでも当然ぶちのめす!」

 

 

 彼ならリアスを守れる。

 安心院さんの言う通り……彼はこの瞬間にも僕との戦いを糧に『成長』をしている。

 今も僕を倒そうという気迫がハッキリと伝わる強い目をしていて、この僕も少しだけワクワクしているぐらいだ。

 

 

「よーしそれなら『アレ』をやる――前にリアスちゃん!」

 

「は、はい! ど、どうしたの一誠?」

 

「えっとアレ欲しい! 元気出る応援的な一言を何でも良いから頼むぜ!」

 

『お前この状況で何を――』

 

「へ!?

あ……え、えっと……が、頑張って!!」

 

「おう、頑張る!!! よっしゃあ! 元気1000倍だぜ!!」

 

『……………。単純な奴……』

 

 

 そしてリアス自身も、彼の傍らに居る事に幸せを感じているのが目に見えて分かる。

 

 

「乗り越えろ。RPGゲームの村人Aが魔王に決して勝てない道理を壊せ……。

万事全ての力を理解し……昇華しろ! やっちまおうぜドライグ!『赤龍・矛神モード!!』」

 

『Welsh Dragon everything hero!!!!』

 

 

 うん……うん……解った。この子ならアレを殺せる。

 無限に成長し……無限に糧を喰らって進化できるこの子なら――

 

 

「喰らえや魔王! これが無神臓verリアスちゃんエディション――滅びのドラゴン波じゃァァァァ!!!!」

 

「…………。貴女の言う通り合格でしたよ安心院さん。この子ならリアスを――」

 

 

 僕とリアスと同じ滅びの魔力を波動の様に掌から放出するのを見た僕は――離れた場所から泣きそうな顔をしながら見ていたリアスに謝りながらその力を全身で受け止め――――

 

 

「お取り込みの所悪いけど、どちらも一旦ストップしてくれ」

 

「ぬっ!?」

 

「なに!?」

 

「え!?」

 

『っ!?』

 

 

 られなかった。

 僕と兵藤一誠の間に突如として割り込んできた一人の少女……? によって兵藤一誠から放たれた力は霧の様に霧散したのだ。

 

 

「やれやれ、往年の兆分の一にまで弱くなってる身としては冷や汗ものだったぜ」

 

 

 弊害により力を失っている――僕の目を覚まさせた一人の少女によって。

 投げ出そうとした僕の命は拾われたんだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兄と一誠の戦いから数日。

 見捨てたと思っていた兄は、戦いを途中で強制的に止めた私達と歳の変わらなそうな見た目をした人なのかどうかも解らない女の人によって『おかしいと気付いた』らしい。

 けれど私自身、いくら説明をした女の人が一誠の知り合いで、一誠自身が信用できる人の言葉でも兄に対する『怖い』という気持ちは拭いきれないのと同時に、グレイフィアまでもがあの男に堕ちたのが何よりもショックだった。

 

 

「許して貰うなんて思ってない。けど僕は誓ってキミとリアスのバックアップをする。

グレイフィアを奪われた間抜けな男だけどさ」

 

 

 グレイフィア……。

 どうしてアナタまで堕ちてしまったのか。

 いくら理不尽な力を持ってるとしても、本気で相思相愛だった心まで塗りつぶされてしまったなんて……。

 

 

「そういう事だ一誠君とドライグくん……そしてリアス・グレモリーちゃん。

この彼の言葉を信じる信じないは別にして、殺し合いは止めてくれ。

じゃないとやっとこさ僕側に引き込めそうな対転生者の味方が減ってしまう」

 

『現実世界でまさか貴様と会うことになるとはな……』

 

「対転生者に味方が欲しい……ね。

途中から解せないとは思ってたけど、アンタの掌って訳かい――相変わらずぶっ飛んでやがる。

しかし、ドライグと一緒に何度も見た夢の中で見せられた、アンタの理不尽なスキルの数々はやっぱり殆ど無いんだ?」

 

「まぁね、正確には無いんじゃなくて『使えなく』なってるだけなんだけど。

言彦に捻り潰されるくらい悔しいが、今の僕じゃあ単体であの転生者には勝てない。

だからこそ、キミとサーゼクスくんとリアスちゃんという味方を少しでも増やしたいのさ」

 

 

 突如として現れて戦いを止めた安心院なじみという女の人は薄く微笑みながら綾瀬和正を消す味方を増やしたいという話を聞いたのは数日前であり今はまた一誠と二人でその日を生きている……。

 

 

「例えば一撃で首を跳ねちまうとか? その後リアスちゃんと魔王さんで肉体を消し飛ばして再生不可にするとか」

 

『それで死ぬのか? 確か奴の神器は文字通り『何でもアリ』なんだろ? 何も無いところから沸いて復活したら笑えんぞ』

 

「あー確かにな。

ドラゴソボールの魔神ベゥみたいに無からも再生しそうだわ。

チッ、マジで厄介な力を持ってやがるぜあのクソ野郎」

 

 

 相手はあの綾瀬和正だ。

 単体で神を超越してるだの、世界最強だのと持て囃されてるだけの力がある男だ。

 いくら兄やあの安心院って人が味方であろうともそう簡単には切り崩せない絶対的な壁である事には変わりない。

 

 

「じゃあプロレスごっこしてる所を襲撃とか? ついでに嫌味で去勢してやろうぜ」

 

『現実的だが奴が対策を施してないとは思えんな。

そもそも前に実行しようとした寸前で勘付かれそうになっただろう?』

 

「ぅ……そ、そういえばそうかも……。

都合良く気付きそうだし――チッ、マジでうぜーぜあの野郎」

 

 

 ……。兄と安心院って人が私と一誠の前から姿を消してから数日。

 味方であったおかげで、引っ越す必要が無くなった根城に引きこもりながら対綾瀬和正についての話し合いをドライグとしている一誠は、ちょっとだけイライラしている様に見える。

 

 

『まあ、要するに殺せれば良い訳だし、期限を儲けてる訳でも無いから時間はまだまだある。

焦って失敗するよりは、ゆっくり考えながらも力を磨いているのが現在俺達が出来ることだと考えるべきだな』

 

「……。だな……ハァ」

 

 

 ご両親を目の前で殺され、揚げ句ご両親の名を汚したが故に一誠はあの男に復讐しようとしている。

 それを止めるつもりなんて私には無く……寧ろ何の力にもなれない自分自身にもどかしさを感じてしまう。

 

 

「ごめんなさい一誠……役に立てなくて」

 

「へ? いやいやいやいや寧ろ真逆だぜリアスちゃん。

リアスちゃんだって強くなってきてるし、俺の心の癒しにもなってますし? 役に立てなくてなんて言わんでくれよ」

 

 

 けれど一誠は私を役立たずと卑下する私に苦笑いしながら否定し、繋いでいた手を優しく握り返してくれた。

 それがどんなに私の心を暖かくしてくれるのか……そして一誠しかますます見えなくなってしまう理由になってしまうのか……。

 

 

「取り敢えず夜も更けたし寝ようぜ、明日も鍛練しないといかんし」

 

「う、うん……」

 

 

 もしかして私は一誠に知らず知らず洗脳されちゃったのか。

 そう思ってしまうほど私は一誠無しでは生きられなくなってしまっていた。

 いえ、洗脳なんて……。

 

 

「そういえば、ドライグのアシスト無かったらしょぼいけど、見てよこれ! リアスちゃんと同じ滅びパワーが出来るようになったんだぜ!」

 

『矛神モードとリアス・グレモリーとの過ごした日々が重なって無意識に習得したんだろう。

人間である一誠単体だと本家に遥か劣るがな』

 

「もし何も無く平和に生きて眷属を率いていたら、何も考えずイッセーの力を欲しがってたでしょうね……私は」

 

 

 私は私の意思でイッセーに惹かれてる……絶対に。

 

 

「明日になったらその力の使い方を出来る限り教えるわイッセー……私で役に立つかはわからないけど」

 

「お、それはそれは嬉しいぜリアスちゃん。明日が楽しみだぜ!」

 

 

 洗脳なんて……あの男がやるようなチャチなものなんかじゃない。

 

 

「じゃあ寝よっか……はい」

 

「うん……」

 

 

 癖になったイッセーと寄り添って寝るもの。

 手を繋いだまま眠るのも。

 

 

「…………。にしてもマジで不明だなドライグ。

なんであのクソ野郎はリアスちゃんだけを追いやったんだろうか……。

誰が見ても美少女じゃん――――少なくとも奴に尻振ってる薄情もんより絶対に可愛いだろ」

 

『さぁな、だがどうでも良いだろ、結果的にそれが奴の失敗に繋がるんだ。

お前と俺……そしてリアス・グレモリーを生かしたツケと報いは必ず、裏切り者共ごと払わせる――違うか?』

 

「違いねーや」

 

 

 私の意思……私自身の気持ちで間違いないのだから。

 

 

「いっせー……んぅ……ずっと……いっしょに……」

 

「むむむ、それを言われると俺弱いんだけどなー」

 

『奴を殺す殺すと余裕無くやってきたお前も随分変わったな。

ふっ、それが良いのか悪いのか俺には解らんが』

 

「俺も解らないけど、リアスちゃんを助けた事に後悔はしてないよ」

 

 

 

 

 

 無意味な人生を自称女神とやらのミスで殺された俺は、お詫びとやらで獲た力と新たな姿で第二の人生を楽しんでる。

 ハイスクールD×Dというラノベの世界はあらゆる柵があるが、俺は生前持っていた知識を出来る限り利用して邪魔な芽を摘んできた。

 そう……摘んだ。俺の邪魔になりそうな奴を排除したり、先回りして解決したりと――ある程度を『残し』つつ自分の思い通りにやって来た。

 

 それはこれまでもそうだし、これからも変わらない。

 好きな女を囲い込む事をしようがなにしようが構わないとあの女神とやらから言われた以上、もはやこの世界はラノベの世界じゃないのだ。

 だから餓鬼の頃から邪魔になりそうな奴を――フラグを立てられそうな女の子を先んじて接触したりと行動し続けた。

 

 兵藤一誠……つまり赤龍帝でリアス・グレモリーの兵士としての物語は此処には無い。

 二人とも既に表舞台から下ろしたのは俺であり、俺の物語なのだ…………余計な真似をしかねないあの二人は邪魔なのだ。

 そもそも俺はラノベを読んでた頃からあの二人のキャラクター性が理解できず、仲良くなれそうも無かったからな――必然的に消すしかないだろ?

 

 

「ふふ和正様……」

 

「あー……あの……グレイフィアさん? 此処最近毎日来てるけど冥界に居なくて大丈夫なんですか? それにこの体勢は……」

 

 

 気に入った女性が例え既婚だろうが知ったことじゃない。

 このグレイフィアもまた……俺のものだ。

 

 

「許可ならちゃんと取ってます。だから――」

 

「にゃ!? また来てる! しかも和正にベタベタして!」

 

「和正先輩もデレデレしないでください――ムカつきます」

 

「そもそもグレイフィア様……こう何度も来られて本当に大丈夫なんですか?」

 

 

 皆……皆……俺の望む世界に。

 




補足

くどいようですが、このイッセーくんは一切……つーか確実にリアスさん一辺倒固定です。

例え他の美少女が真っ裸で迫ろうとも、今のイッセーくんは一切――それこそ眉すら動かさず真顔で

「ここって風呂屋じゃないんだけど」

とか言って、突き飛ばしますね。

理由は……まあ、何度も転生者が複数強とプロレスごっこしてるのを見て嫌悪してるからですかね。
 故にハーレム王思考はありません……てかリアスさんと出会う前は復讐脳で異性に対して興味はあれど、割りとどうでも良かったぐらいですから。


その2
矛神・赤龍帝モード

ドライグアシストにより、更に他種族の力を明確に引き出せるスタイル。

これにより、アシスト込みで人間なのにバアルパワーを会得……そしてこれより進化する事になる。



その3
ある意味――ホントに皮肉にもある意味で安心院さんと一番距離が近いサーゼクスさん。
 これでももし……もしもミリキャスちゃんが安心院はんに懐いたら………………。

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