赤龍帝イッセーとリアスちゃんのベリーハード   作:超人類DX

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久々? ですが、イチャコラしてる感じ。

………ぶっちゃけ最後の晩餐みたいな感じですかね。



共依存

 悔しいから泣いてしまったのはちょっとカッコ悪かったかもしれないけど、出てくる涙はどうしても抑えられなかったんだ。

 

 だから泣いた。

 泣いて泣いて、悔しがってまた泣いて……リアスちゃんに慰められる真似までして貰いながらも泣いて――

 

 

「泣き虫赤龍帝君、今日も手合わせ願おうか?」

 

「うっさいな、言われなくてもぶっ倒してやるぜこんにゃろが!」

 

 

 今日も俺は、もっと強くなる。

 

 

 

 

 ガブリエルさんへの敗北により、一誠は更に強くなった。

 敗けをも糧にして貪欲に成長する……それことが一誠の本質なので、必然と言えば必然なのかもしれない。

 

 

「生身の人間でありながらよく此処まで強くなれたものだ……ってて」

 

「き、キミもね……くっ……染みる」

 

 

 赤と白の……鍛練とはいえ戦う姿は筆舌に尽くしがたい凄まじさがあった。

 殴れば殴り返し、蹴られれば蹴り返し、噛み付かれれば噛みつき返す。

 拮抗した実力同士の赤龍帝と白龍皇の戦いは、確かに宿命の戦いそのものだった……と、私は見ていて感じた様な気がする。

 

 

「で、どうだいリアス・グレモリー?」

 

 

 修行にしては途中から喧嘩っぽい戦い方になっていた一誠とヴァーリ君。

 どちらも互いが宿命の相手ということもあってか、意地でも倒れやるかという気迫もあり、終わる頃には互いにボロボロ。

 様子を見ていた私とアザゼル殿は倒れて動かない二人を回収し、一誠と私が今住んでる隠れ家にて擦り傷が切り傷の治療の為に消毒液を塗っているんだけど、アザゼル殿の若干いい加減な治療を受けていたヴァーリ君から唐突に聞かれた私は、思わず脱脂綿に浸した消毒液を一誠の腕に出来た切り傷に押し当てたまま目を丸くしてしまった。

 

 

「えっと、何が……?」

 

「いやな、キミもどうやら一誠やコカビエルと同じ力を持ってるらしいじゃないか。

しかも聞くところによれば赤龍帝の籠手の力である倍加を使いこなすというね。

だから聞きたいんだよ、アルビオンの力である半減の力を見た感想をね」

 

「いた、痛い痛い痛い!? 凄い染みる! 涙でる!」

 

 

 何処か期待するような顔で聞くヴァーリ君に私は理解した。

 どうやら私が一誠によって獲られたスキルを研ぎ澄ませる為にあんなにも白龍皇の力を使って戦ったんだと。

 

 ………。

 

 

「えっと……半減(Divide)モード――あ、出来た」

 

「っ!?」

 

「わ、リアスちゃんの髪の色が真っ白になっちゃった……」

 

「……! 驚いたな、ヴァーリの神器から発する白い龍(バニシングドラゴン)の力も感じる」

 

 

 一誠に教えて貰い、一誠から貰った名……正心翔銘(オールコンプリート)

 相手の力を自分のモノへとし、それを完璧に再現するというものなのだけど、ヴァーリ君に言われるがまま、以前一誠の赤龍帝の籠手を真似したみたいな感覚で呼び出してみると使えてしまった。

 どうにも観察すると自分の中にその力の使い方がインプットされるみたい……一誠がちょっと複雑そうな顔で私の白くなった髪の色を見る視線を気にしつつ、私は驚くヴァーリ君とアザゼル殿に出来た事を見せられることに成功した。

 

 

「思っていた以上だ。

アルビオンも驚愕してるぞ」

 

『赤いのから聞いた時はにわかに信じられなかったが……』

 

「でも使えるというだけで、使い手が弱ければ意味は無いと思ってるわ。

当然、そうならないように力を付ける修行は怠らないつもりだけど」

 

「是非そうしてくれ。

もしかしたらリアス嬢は綾瀬和正に対するジョーカーになれるかもしれないからな」

 

 

 半減モードから普通に戻りながら、私は自身のスキルについてもう少しだけ自分で解っている範囲で説明をしておく。

 まだ発現させたばかりで自分でもイマイチ何処まで再現出来るか解ってないみたいな所もあるのが正直な所で、更に自分を知り、自分を受け入れられる様にしなければとつい力が入ってしまう。

 

 

「処で話は変わるが、何でお前等は提供したこの住み家のベッドを使わないんだ? 全く使われてる形跡が見た限り無いが、何か不備でもあるのか?」

 

「あー……それはっすね。どうも今までホームレスみたいな生活してたせいで、壁に背を預けて寝るスタイルじゃないと眠れないんですよ」

 

「だからか、じゃあリアスは?」

 

「えーっと……その、一誠に助けて貰ってからずっとくっついて寝てたので、今もくっついて無いと眠れなくて」

 

「……。難儀だなそれは」

 

 

 私も強くなって、もっと安心して一誠と生きる生活をしたいから。

 

 

「まあ、イチャつくのは自由だし、それで良いなら何にも言わねーがよ」

 

「ど、ども」

 

「……」

 

 

 傷の治療も済ませ、アザゼル殿とヴァーリ君は帰ってしまった。

 何でもグリゴリを長いこと開けてると不審に思われるのと、私達の存在を隠さなければいけないから長居は出来ないという理由らしい。

 

 

「またな泣き虫一誠。今度は俺が勝つ」

 

「泣き虫言うな! つーかマジやめろよ、リアスちゃんの前で言うのとかマジやめて?」

 

 

 すっかり一誠を泣き虫扱いするようになったヴァーリ君に一誠がちょっと悔しげに転移した跡の床を最後まで睨んでいた。

 

 

「ったく、引き分け続きだからって……」

 

「ふふ……ご飯にしましょう、一誠?」

 

「ん……」

 

 

 別に私は一誠が泣いても幻滅とかカッコ悪いとは思わないから気にしなくても良いと思ってるんだけどな……とは敢えて言わないことにして、アザゼル殿から送られて来た食料を使って晩御飯の用意をしようと簡易的なキッチンに立つ。

 

 

「飯くらい、今まで通り俺に任してくれれば良いのに」

 

「私の作ったものは……美味しくない?」

 

「んーん、寧ろ好きだし、口で言ってる割りに楽しみだったりする」

 

 

 あの暗がりの……でも一誠と一緒だから安心だった洞窟での暮らしでは一誠に全部面倒を見て貰うというどうしようの無さだったけど、こうして戦う事になった以上はおんぶに抱っこというだけでは駄目。

 生憎、グレモリーの家に居た時は母やグレイフィアから手解きを受けているので、一般的な料理くらいは私にも出来る。

 

 …………。一誠の味付けの方が私は好きだけどね。

 

 

「うめーうめー」

 

「そう一誠に言って貰うと嬉しいわ、うふふ」

 

 

 でもやっぱり、私の作ったものを何でも嬉しそうに食べる一誠を見るのも好きだから。

 グレモリーに居た頃の贅沢な食卓じゃない、小さな小さな一誠との食卓こそ、何よりも嬉しい。

 

 

「ごちそうさまリアスちゃん。今日も超美味かったぜ」

 

「お粗末さまです。じゃあ食器を洗うから先にお風呂に入ってて」

 

「えー? 自分で食ったもんの洗い物くらいはさせてよ」

 

「良いから良いから。ちょっとくらいお嫁さんっぽい事させて? ね?」

 

「お? お、おっす……じゃあ」

 

 

 洗い物をしようとする一誠を押し退ける様にお風呂に入っててと促した私は、綺麗に食べてくれた一誠と自分の食器を洗う。

 ホント……こうしてるとお嫁さんになってる気分ね。

 一誠のお嫁さんか……ふふ♪

 

 

 

「ねぇ俺死ぬのか? 明日死ぬのかなドライグ?」

 

『何かある度にそれかお前は。別に死なんだろ』

 

「いやでもよう……俺みたいな社会不適合者がと思うと……」

 

 

 ガブリエルさんも強いが、白龍皇のヴァーリも強い。

 お陰で最近は生傷だらけだったりするんだが、それ以上にこの俺が人並みの生活を送れているこの状況は慣れない。

 当たり前じゃない方が当たり前だったこれまでの人生を思うと、今の状況に変なソワソワ感を覚えてしまう訳で……。

 

 

『早いとこ慣れるんだな、俺は寝る』

 

「何だよ、付き合いが悪いな」

 

 

 俺がこんな暮らし方をして本当に良いのかとすら思ってしまう。

 ドライグは呆れて話に付き合ってくれないで引っ込んでしまった後も、俺は綺麗な浴槽に浸かりながらも何か落ち着けず仕舞いだった。

 

 

「一誠……」

 

 

 慣れるしかねーよな。

 浴槽の端に後頭部を乗せ、立ち上る湯気に隠れる様にぼんやりと輝く電灯をボーッと見つめながら、今の環境に早く慣れてもっと強くなろうと思おうとしたその時だった。

 洗い物を終えたと思われるリアスちゃんの声が、お風呂場の扉の向こう側から聞こえ、電灯に視線を向けたまま返事しようと声を出そうとしたんだけど……。

 

 

「私も一緒に入って良い?」

 

「ぬへ!?」

 

 

 ドアが開けられ、ドア越しだったリアスちゃんの声がクリアになったのは別に良かった。

 けど、は? と思って視線を向けた先には……。

 

 

「ひょ!? ど、どどどどうした!? ていうか見えちゃってるんだけど!」

 

 

 何にも隠してない姿のリアスちゃんが、ちょっと恥ずかしそうにはにかみながら行儀悪い格好で浸かってた俺と目が合ったもんだから、心臓が止まるかと思っちゃった。

 

 

「この広さなら一緒にと思って……」

 

「え、い、いや確かにドラム缶風呂と比べたら広いしアレだけども」

 

 

 何にも身体に巻いてないリアスちゃんを直視するには、ちょっと精神力が足りない俺はだらけていた姿勢を正して後ろを向いてしまう。

 ヘタレと言われたらそれまでだけど、それでも直視したら色々とアレなんだよ。

 

 

「ちょっと待ってて、今身体洗うから」

 

「お、おぉ……」

 

 

 ドライグが引っ込んだ理由が今解ったぜ……と思いながらシャワーで身体を軽く洗い流し、長く伸びた綺麗な紅い髪を結わい付けてから、ボディーソープで身体を洗い始めるリアスちゃんを、現金ながらチラチラ伺ってしまう。

 

 何時見ても綺麗で、身体に付くモコモコと泡立ったボディーソープがまた変な想像心を掻き立てられるけど。

 

 

「その肩の傷、まだ消えないんだ……」

 

「ん……そう、ね」

 

 

 右肩に残る、あの野郎に付けられた傷はリアスちゃんの心と共にまだ残ってる。

 俺も俺で奴からトドメに貰った時の傷があるけど、やっぱり女性のリアスちゃんからすれば嫌なもんだろう。

 まあ、傷があろうと無かろうと俺はリアスちゃんを綺麗だと思ってるけどさ。

 

 

「隣……良い?」

 

「あ、はい」

 

 

 奴から受けた傷だからなのかは知らないけど、何れは何とかしてあげたいなとかぼんやり思いつつ、気付けばリアスちゃんをボーッとガン見していた俺は、泡を洗い落としたリアスちゃんの言われるままに浴槽に入ってきたリアスちゃんの為に場所を開ける。

 

 

「はぁ、やっぱりこうして一緒だと安心する」

 

「そ、そう言って貰えると実に嬉しいよ」

 

 

 やっぱり俺は死ぬのか? 美女と風呂とかまじ一年くらい前の俺からは想像もできないんだけど。

 ていうか、後ろ髪をアップに結わい付けたリアスちゃんのうなじキレーだなー……。

 

 

 

 

 なんて思いつつ、結局一緒にお風呂に入った俺達は、そのまま眠る為にベッド――では無く寝室の壁に背を預けて大きめのタオルケットを羽織る。

 

 

「ベッドのあのフカフカ具合がどもうね……」

 

「私はどっちでも良いわ。一誠と一緒なら何でも……」

 

「あ、あはは……」

 

 

 何時ものスタイル。

 壁に背を向けて身体を預け、タオルケットにくるまいながらそのまま寝るというのは、最早変えようがないのかもしれない。

 リアスちゃんに物凄く密着されながら寝るのも、変わらないのかもしれない。

 裸は見慣れないけど、密着されることには慣れちゃってる辺り、俺は多分まともに寝ることは出来ないのかもしれない。

 

 

「リアスちゃんの髪は綺麗でサラサラだね。

やっぱりこの赤い髪が好きだな俺」

 

「ん……ふふ……♪」

 

 

 離れる気が全く無いとばかりに密着し、嬉しそうにするリアスちゃんの赤い髪に触れる。

 初めて直接見た時はバッサリと切り落としてて、痛ましさすら感じたけど、こうして元の長さに戻った今となっては二度と切り落とす事が無いようにしないといけない。

 

 

「ん、一誠……ココ、苦しくなっちゃったの?」

 

「え"? ……ま、まぁね。

リアスちゃんに抱き着かれもすれば無反応で済ませられる程精神オーバーしてないし……ご、ごめん」

 

 

 その為には、もっともっと強くなんなきゃな。

 ……。純粋に甘えたいリアスちゃんに対してあらぬ気分になっちゃうのは大変失礼なんだよ。

 

 

「謝らないで、私は嬉しいから。

ねぇ一誠…………する?」

 

「すっ!?」

 

 

 失礼なのに……うぐ、密着するリアスちゃんが頬を紅潮させ、瞳を潤ませながら言われるとガリガリ理性が削り取られちまう。

 

 

「一誠が欲しいって言ったら……卑怯?」

 

 

 慣れないせいの動揺で死ぬほど目を泳がせてる俺に、リアスちゃんが、ぶっちゃけ卑怯過ぎる言葉を囁くような声で聞かせながら優しく頬を撫でてくる。

 

 

「んっ……は……ぁ……♪」

 

 

 その時点で飛んだ。吹っ飛んだ……ぶち飛んだ。

 あのクソヤローじゃないが、ただただ俺の頬を撫でるリアスちゃんの手を取り、ちょっと飛んだせいで乱暴になって唇を重ねた。

 

 重ねる事で掴まれてない方の腕を俺の背中に回したリアスちゃんが、俺を引き倒す事により一つだけ気付いた。

 

 

「こうしたら寝られる……?」

 

「あ……」

 

 

 リアスちゃんと密着しながら……なんて情けなさ過ぎる条件だけど、横になって眠れるかれしれない事に、リアスちゃんを押し倒してる体勢でハッと気付く。

 

 

「だとしたら相当になっさけねぇじゃん俺……」

 

 

 どんだけリアスちゃんに頼っちゃてるんだよ俺は……と思わず情けなさと自己嫌悪に浸りそうになるが、優しく笑って見せたリアスちゃんに抱き寄せられ、大きな胸に顔を埋めた状態で小さく囁かれた……。

 

 

「お互い様……でしょ?」

 

「………」

 

 

 甘ったるい匂いでボーッとしてしまう。

 てか柔っこくてヤバイ……。

 

 そっか……一つ理解したわ。

 

 

「来て一誠……私をイッセーのものにして?」

 

「……。言い方が一々狡いぜリアスちゃん……ちくしょう、可愛いなもう!」

 

「きゃ♪」

 

 

 俺、リアスちゃんに引っ付かれてる事に一種の生き甲斐を感じてるんだなと。

 

 思っていた以上に女々しき自分に笑ってしまいながら、俺はリアスちゃんの身を抱き締めるのであった……。




補足

頼られる事に嬉しさを覚えてるだけならまだ何とでもなりますが、その相手がリアスさんじゃないと嫌だと思ってる。

つまり一誠も一誠で依存に片足突っ込んでる状態。


その2
この後メチャメチャ――した。

になんで此処からの続きはありません。

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