緋弾のアリア   交渉科のアジテーター   作:車輌科ャー・スミス

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 ――空から女の子が降ってくると思うか?

 

 

 なんて言葉を使って自分の巻き込まれた事件を展開し始めるような鈍感主人公(ヤロウ)が空から降ってくると思うか?

 降ってくるんですわ、これがね。

 しかもエンジンが二基大破したジェット機ごと降ってくるとかどこまで巻き込まれ(主人公)体質なんでしょうねえ全く。

 

 待ちに待ってたよ主人公くん、本当に待ってたよヒロインちゃん。

 そりゃあもう周囲の視線を跳ね除けて二十歳で高2やるくらい待ち続けたんだ。

 

 遠山キンジ、神崎アリア、君たちの運命に便乗させてもらおうか。

 君たちは君たちが主役の物語を生きてくれ、それに手を貸すこともしよう。

 だが俺がこれから進める物語では脇役になるんだが勘弁してくれよ。

 

 

 俺の俺による彼女のための物語。

 

 

 開幕だ――

 

 

 

 ***

 

 

 今年で俺も二十歳となってお酒もタバコも大丈夫になっちゃうんだよな。当りに出会えるかは本当に運でしかない訳で、準備は重ねてきたものの果たしてどうなる事やら。

 全く中身を覚えてない校長のありがたいだろうお話を終えて、今年の所属クラス2-Aに帰ってきて席に腰を下ろした。

 うんうん。皆嫌な顔してるねえ。残念でした、これから一年間君たちは俺のクラスメイト(遊び相手)です。それが嫌ならさっさと外部の仕事でも採れるようになろうね~。

 

 さてさて目ぼしいクラスメイトは、ふむふむ、ほうほう。

 去年よりは面白そうだ。少なくともイジリがいはありそうで良かった。面倒クサいの(不知火亮)は過剰干渉しなければちょっかいかけてくることもないだろうし。

 

 遠山キンジ。探偵科(インケスタ)。東京武偵高入学時は強襲科(アサルト)でSランク判定だったが転科。HSS(ヒステリア・サヴァン・シンドローム)という家計由来の特異体質持ち。トラウマやら死別(仮)で本人は辟易してるみたいだが性的興奮でパワーアップとかなかなかに面白い(主人公)

 

 峰理子。探偵科(インケスタ)。武偵高に潜り込んでる犯罪者さん。おちゃらけた感じとは別にとっても優秀な頑張り屋さん。俺と近いものがある以上悪乗り時はいいコンビネーションを発揮できるだろう。同族嫌悪されなきゃいいが。意外と儚健気(はかなけなげ)ヒロインとみている。

 

 あとは乗り物バカ(武藤剛気)と空席にワンチャンあればいいくらいか。

 担任はやっぱり綴梅子(梅ちゃん)先生かな~俺のクラスだし。うわぉ高天原ゆとり(ゆとり姐さん)とかこんなとこで予想外してちゃ駄目だろ俺。

 それに何か、ピンクのちみっちゃい……。

 

 来たっぽいな大当り(正ヒロイン)

 神崎アリア。強襲科《アサルト》現役Sランク武偵。二つ名『双剣双銃(カドラ)』。14歳からロンドン武偵局に所属して武偵法を守ってミス無し99連続での犯罪者の逮捕歴。パないわ~。神崎かなえさん(お袋さん)の冤罪をはらすため日夜犯罪者(イ・ウー)を追っかけまわすガチ勢。

 

 大本命と予想してたが誰かさんの推理通りの展開になってるんじゃないのかこれ? 

 ちゃんと教えてもらってないけど間違いないだろうしここは乗っときますか。

 

「先生、あたしはアイツの隣に座りたい」

 

 ベタ!

 ご使命ですぜ遠山キンジさんよぉ、脱帽ですわ。始業式の日の登校中にヒロイン候補と一悶着起こしてフラグ建築完了してるとか、めがっさ主人公してるじゃないですかヤダー。

 

「よ……良かったなキンジ! なんか知らんがお前にも春が来たみたいだぞ! 先生! オレ、転入生さんと席変わりますよ!」

 

 ぁやっべ~、普段ならリア充轢き殺すマンの武藤剛気がアシストを入れただとぉー!! これ間違いなく動き出してるな。

 周りの空気も面白い感じになってる!!

 

「キンジ、これ。さっきのベルト」

 

 うん、遠山キンジがよくワイヤーやら仕込んでたベルトだな。迂闊だぞー神崎アリア。

 

「理子分かった! 分かっちゃった! ――これフラグばっきばきに立ってるよ! キーくん、ベルトしてない! そしてそのベルトをツインテールさんが持ってた! これ、謎でしょ謎でしょ!? でも理子には推理できた! できちゃった!」

 

 ほらぁ! 峰理子が面白がって冷やかしにかかったぞー。

 

「キーくんは彼女の前でベルトを取るような何らかの行為(・・・・・・)をした! そして彼女の部屋にベルトを忘れてきた! つまり2人は――熱い熱い、恋愛の真っ最中なんだよ!」

 

 はっはっはー。透けて見えるぞ峰理子、適当にそれっぽい内容をでっち上げて焚き付けたいだけだなぁ。いいだろうその茶番付きあわせて貰うぞ全力で!!

 

「甘いな峰理子! 甘い甘すぎる!! 見ろ遠山キンジのバツの悪そうな顔を神崎アリアの苛立った顔を! そして遠山キンジのシャツに着目しろ! 汗が引ききっていない、これは自転車で全力疾走クラスの激しい激しい(・・・・・・)運動をしなければこうはならん! これは遠山キンジのみの特徴! 極めつけは2人のこのクラスに入ってきたタイミングだ! ここまで言えばもう分かるはずだ!」

 

「嘘でしょ!? 嘘だといってよコーちん!!」

 

「嘘なものか、甘い言葉を囁き、ヤルことだけヤって、抗議する声を背に向け、一人逃げてきた、それが答えだ」

 

「そんな、キーくんサイテー」

 

「止めるんだ峰理子よ。それでも彼女はこうして教室にやってきて、奇しくも同じクラスだった彼の隣の席を所望したんだ」

 

 思った以上に遠山キンジにヘイト集められたなあー。このクラス俺好きだ。

 

「理子は応援するよアリアの恋!」

 

 あぁ~いらん方気づいちまったな。

 て事は、だ。峰理子としては、()はそこまで近いところには居たくないだろうし。

 

 

  ずぎゅぎゅん!

 

 

 面白いほど煽られ乗せられたクラスの連中も流石に黙るよな。

 真っ赤っ赤になった神崎アリアが二丁拳銃で威嚇射撃をしたせいで静まり返る2‐A教室。

ちょっと心配になるぞお兄さんは、いくら学内で発砲可でもこんなに簡単だとな〜。

 

「れ、恋愛だなんて……くっだらない!」

 

薬莢の転がる音、硝煙の匂い。真っ赤なヒロイン、真っ青なクラスメイト。いや遠山キンジ(主人公)さんまで青くなっちゃ、プロローグならこのくらいで丁度良いのか。

 

「全員覚えておきなさい! そういうバカなことを言うヤツには、風穴あけるわよ!」

 

ナワバリ内の格付完了って感じかな? でもまぁ俺は別枠で居たいんでね。

みんな揃ってフリーズしてる中で、一歩ずつ神崎アリアに近づいて、彼女の銃を掴んで額と喉へ。

 

「是非あけてくれたまえ」

 

 やっぱり神崎アリアもこれには驚いて固まったみたいだね。

 武偵法9条。武偵は人を殺しちゃいけません。例えそれが犯人逮捕のために必要な攻撃であっても。

 だから他の皆も覚悟しておいた方がいいよ。こうやって急所晒したり命を捨てに来るような奴と対峙する可能性をさ。

 

  ゴつン!

 

「ぐぎぇっほっ」

 

 掴んでたのにそのまま額と喉突いてきやがったよ。

 

「誰よあんた! ふざけるのも大概にしなさい!」

 

 まあ結果オーライ。遠山キンジ(主人公)神崎アリア(ヒロイン)はフラグで繋がってる。遠山キンジはもう顔なじみだし、予定通り憶えてもらうシーンになったな。

 

交渉科(ネゴス)倉木(くらき)交輔(こうすけ)だ。仲良くやろうぜ」




ノリで書きはじめることにしました。

コーちんは一応誰だかの子孫設定です。
流石に一話でバレたくはない。

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