シスコンで吸血鬼で鬼ですが何か?   作:エントさん

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不死鳥悪魔に宣戦を

 月曜の朝、今日の学校は午後からなので少し家でのんびりしている。

 本当のところ教師はいつも通り出勤しないといけないんだけど……

 『瞬間移動』って便利だよね?

 

 というわけで今家には紗凪と僕だけだ。

 紗凪はソファに座っている僕の肩に寄りかかってウトウトしている。

 

 うん、可愛い。『イメージ(保存幻覚)』開始。

 

 のんびりしていると僕はふと昨日の夜のことを思い出す。

「紗凪、いきなり美少女が自分の純潔を奪ってくれって言う時その美女はどんな気持ちなんだろうか?」

 

 紗凪が何を言ってるんじゃこの方はって顔をしている。

 

「兄さん、それは漫画のネタか何か?兄さんの漫画って純愛バトル系じゃなかったっけ?」

 

 いや、違うのよ。

 

「いや、ただ気になっただけだよ」

「普通の人はそんな事気になりませんよ」

 紗凪の目からハイライトが消える。

「もしかして兄さん。『実際誰かに迫られたんですか……』」

 

 ぎ、ギクゥ!

 この子やっぱり鋭い。

 これが女の勘って奴か……

 

「図星…ですね。誰ですか?朱乃ちゃん?無限?黒黒?白白?……それとも…リアスちゃん?」

 

 時が止まる。

 実際に止まっているわけじゃないけどそう思わされるくらいに紗凪の狂気(本能)が出てきている。

 

 というか紗凪、リアスちゃん朱乃ちゃん無限までは分かるけど黒黒と白白は猫だからね。

 兄さん猫に欲情するほど変態(アブノーマル)じゃないからね?

 

「あ、あぁ!紗凪に肩を揉んでもらいたい気分だなぁ。揉んでもらわないと兄さん発狂しそうだよ」

 いや、本当は今の状態の方が発狂しちゃいそうだけど……

 

「え!わ、わかりました!ただいま!」

 紗凪が恐らく音速を超えたくらいのスピードで僕の後ろに回る。

 は、早い。紗凪が敵だったら僕は首をはねられて死んでたな……

 

「あ、そういえば他のみんなは何処に?」

 紗凪は「あれ?聞いていなかったの」と言って紗凪は皆がどうしているか説明をしてくれた。

 

「黒黒は白白とお散歩。無限はまた決闘だってさ。アーシアは用事とかでリアスちゃんの所に行ってるよ」

 モミモミと肩をもみながら紗凪は言った。

 何気に肩もみが凄く上手な紗凪なのであった。

 

「そうかぁ。あれ?」

 机の上にアーシアちゃんのバックが置いてあった。

「兄さん、これアーシアのだけど忘れ物かな?」

 

 いやいや、流石のアーシアちゃんでもバックごと忘れるなんてことは……

「「ありそう……」」

 

 紗凪と声が被った。

 紗凪も同じことを考えていたようだ。

「兄さん、どうする?」

「う〜ん、仕方ないけど…持っていくよ」

 僕は足元に妖術式を表示させる。

 

 瞬間移動、これは妖術にとって基本中の基本。

 リアスちゃんたちで言うところの転移魔法だ。

 

「兄さん、じゃあまた後でね」

「戸締りはしっかりしてね」

 僕はそう言うと瞬間移動をして『オカルト研究部部室に行く』

 

 

 

 

 

 

「俺はキミの眷属を全部燃やし尽くしてでも君を冥界に連れ帰るぞ」

 ザワッ。

 オカルト研究部の部室。

 金髪でスーツを着崩したホストのような男が殺気をリアスたちに向ける。

 その殺気を受けリアス眷属は臨戦態勢になる。

 たまたま居たアーシアは聖水を手につけて然りげ無く反撃態勢をとる。

 銀髪の綺麗なメイド、グレイフィアは静かに立ち続ける。

 

 スゥゥ‼︎

『!?』

 ホスト風の男。『ライザー・フェニックス』の足元に四角い魔法陣の様なものが展開される。

 

 その光景に気づいていないライザーを抜いてオカルト研究部の部室内の全員が驚いた。

 

 

 『ゴチンッ‼︎』

 部室内に鈍い音が響く、魔法陣のようなものから出てきたのは『坂木要だった』

 出てきた要の頭がライザーの頭にクリーンヒットしたのだ。

 

「グガァ!!!」

「痛いッ!?」

 

 ライザーは後方に飛び、要はその場でしゃがみ込み頭を押さえている。

 

「よ、要さん!?」「先生!?」「あらあら……」「要さん、そのバック私の?」「……要さん、いきなりでもグッジョブ……」「あれは痛そうだね。あはは」

 

 リアス眷属はそれぞれ反応をしている。

 グレイフィアは「あんな術式初めて見ました……」と言っている。

 

 要が頭を押さえてしゃがんでいるとライザーが物凄い剣幕で要の胸ぐらをつかんだ。

「貴様ぁ!俺がフェニックス家の者だと知っての狼藉か!!!」

「あ、ゴメンなさい?」

「全然気持ちが籠ってないわ!!!」

 

 ライザーは要を『本気』で殴ろうとする。

 

「落ち着いてください。ライザー様」

 

 立会人のグレイフィアに『涼しい顔』で止められる。

「邪魔をしないでください!そいつはこの俺に攻撃を仕掛け「あれは事故です。もし、それでもお怒りになるというのならこの部屋の結界を張っていた私にも責任はあります」……くっ!」

 

 私にも責任があります。つまり、『もし攻撃をするのなら私にもしなさい』という事。

 グレモリー家のメイド、しかし彼女は魔王の眷属で『女王』も務めている。

 

 そんな彼女を攻撃する。

 それは魔王、魔王眷属に喧嘩を売るということだ。

 

 いくらライザーでもそんな愚かなことはしない……いや、出来ない。

 

 

「あの、本当にすみません。大丈夫ですか?」

 要は胸ぐらをつかまれたが悪いのは自分なので取り敢えず謝る。

「所で貴様人間か?」

 

 ライザーはこのことは聞いておきたい。

 いきなり現れた。

 何らかの魔法だろう。しかし、彼から感じる雰囲気はどう考えても人間だ。

 

 人間でも魔術や魔法を使えるものはいる。

 しかし、そんな人間は極少数だ。

 

 それなら、人間の雰囲気をした人外と考えるのが妥当だろう。

 

「違いますよ?鬼と吸血鬼のハーフです。あ、こちらからも一つ貴方はどちら様でしょうか?」

 

「彼の名前はバンパーよ要さん」「いや部長ロンパーですよ!」「一誠君も間違ってますわよ。サイバーですわよ」「皆さんそれは酷すぎますよ!ディスチェンサーさんですよ!!」「……祐斗先輩、この新作羊羹美味しいですよ……」「あ、ありがとう。うん美味しいね」

 

 なるほど、ディスチェンサーさんか……

「改めて先ほどは失礼いたしました。ディスチェンサーさん」

「違うわぁ!!!!!」

「えっ……?」

「俺の名前はディスチェンサーじゃない!ライザーだ!ライザー・フェニックス!というか最後の奴らせめて名前の話をしろ!!」

 

 あ、ディスチェンサーさんじゃないのか…これはまた悪いことしたな。

「はぁ、もういい!リアスどうしても結婚は嫌だというのだな!!」

「えぇ、ライザー……」

 

「やはりこうなりましたか」

 リアスとライザーの会話にグレイフィアが割って入る。

「グレイフィア?」

 リアスが首をかしげる。

 

「お嬢様、ご自身の意思を押し通すのでしたら、ライザー様と『レーティングゲーム』にて決着をつけるのはいかがでしょうか?」

「__ッ!?」

 

(レーティングゲームってなんぞや?ていうかこの状況今更だけどなんぞや?)

 要は状況についていけていなかった。

 要が「うぅん」と唸っていると話は進んでいったらしく

 

「いえ、こんな後期ないわ。いいわよ。ゲームで決着をつけましょう、ライザー」

 

 まぁ、なんかゲームで金髪さんと戦うんだな。って事くらいは要も理解できた。

 

「おっと、帰る前にリアス、お前の眷属だけを見せてもらってはフェアではないだろう」

 

 そう言うとライザーの近くに魔法陣が展開する。

 その魔法陣からは次々と女性が出てきた。

 

 

 

(うわぁ)

 部室にいる全員の心の声が被った。

 

「どうだリアス!俺の可愛い眷属たちは!」

「え、あ、うん。良かったわね……」

 リアスは完全にゴミを見る目でライザーを見ている。

 

「そこの小僧、羨ましいか?」

 ライザーは一誠を見ながら言う。

「え、あ、はい。よかったっすね……」

 一誠までドン引きだ。

 

「まぁ、お前ではこんなこと一生出来まい」

 そう言いながら近くにいた眷属を抱き寄せディープキスをした。

 

《ズキュゥゥゥゥゥゥン!!!!!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 リアスは子猫の目を抑え、要はアーシアの目を抑える。

「みんな、ここに居たら目が腐るわ。早いけど帰りましょう」

『はい……』

 リアス眷属と要の声が綺麗に被る。

 

「お、おい、リアス……!」

 

 《バタンッ》

 扉は閉まった。

 

「では、ライザー様十日後に…」

 グレイフィアもそそくさとその場を去った。

 

 

 

「___え?」

 

 ハーレムは見せつけるものではない。

 そう思ったライザー君なのであった。











・主人公紹介
イメージ(保存幻覚)
 脳内に映像を保存する。
 後々見たいときに幻覚として見ることができる。
 これが使えたらデジカメなんていらないね!!!やった!



では、明日も!
よろしくお願いします!

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