シスコンで吸血鬼で鬼ですが何か?   作:エントさん

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朱乃は二つの恋をしています。


小話のお話その二
小話「朱乃話」


 私は『二人を愛している』。

 

 これはダメな事なのだろうか?

 

 

 

 彼の事を好きなったのはいつ頃からだろうか?

 

 きっかけは友達の紗凪ちゃんが言っていた。

 

『そばに居るとポカポカする』

 

 

 

 気になった。

 それはどんな気持ちなのか?

 母様や父様と一緒に居る気持ちに近いのか?

 日向に居るときの気持ちなのか?

 

 彼に会ったのはその話を聞いて数週間後の年越しの日だ。

 

 第一印象は『優しそうな人』だった。

 でも、紗凪ちゃんの『そばに居るとポカポカする』っていうのは理解できなかった。

 

 でも、彼の要さんの声を聞いた瞬間、私は理解した。

 《綺麗な声》

 これが私の要さんに対する『第二印象』だ。

 

 聞いているだけで落ち着く、そんな声だ。

 

 『朱乃ちゃん』

 

 胸が高鳴った。

 ドキドキと心拍数が上がった。

 紗凪ちゃんんは心配して私の名前を呼んでいた。

 

 それでもしばらくの間、私はそこに立ち尽くした。

 

 まだ私は小さかったけど

 

(あぁ、これが『恋』なんだ___)

 

 と理解した。

 

 顔が赤くなる。

 一目惚れ?二目惚れ?分からないけどこれが『大切な気持ち』という事は分かった。

 

 紗凪ちゃんが帰った後、お母様に聞いた。

 

「好きな人が出来ました。どうしたらいいですか?」

 

 我ながら本当に焦っていたんだと思う。

 しゃべり方が変だ。

 

 それに対してお母様はクスクス笑いながら「貴女のしたいようにしなさい」と言ってくれた。

 

 その夜、私は寝付けなかった。

 

 

 朝、起きるとお母様が傷だらけで私に覆い被さっていた。

 

 

 え、母様......?

 

 

 困惑する。数秒間声も出ず、ただ傷だらけの母様の顔を見ていた。

 

 そして、私は気づく、血の付いた剣を持って今にもこちらに斬りかかってきそうな男達に。

 

 私は咄嗟に叫んだ。助けを呼ぶ。

 子供の頃の私にはそのくらいしか出来なかった。

 

 泣き叫ぶ、でも男達はそんな私を尻目にこう言った。

 

「ここには結界が貼ってある。いくら助けを呼んでも無駄だ」

 

 『助けが来ない』その時の私にとってそれは

 

 《君は不治の病にかかりました》

 

 と、言われるも同じだった。

 

 助けが来ない。

 

 お父様もいない。

 

 私はもう死ぬ。

 

 お母様も死ぬ。

 

 要さんにもう会えない。

 

 愛する人に、もう__

 

 

 『会えない』

 

 

 涙が出る。大粒の涙が倒れているお母様の顔にかかる。

 

 死にたくない。

 

 別れたくない。

 

 私は『無駄』だと分かっていても叫んだ。

 

 助けを呼んだ。

 お母様を呼んだ。

 お父様を呼んだ。

 

 それでも助けは来ない。分かっている。

 誰も来てくれる訳がない___

 

 『大丈夫か!?』

 

 ___と思っていた。

 

 

 

 来てくれた。

 

 ゾクッ‼︎

 私は生まれて初めて背筋が凍るという感覚を体験した。

 

 助けに来てくれた彼に抱いた私の第一印象は『恐ろしい』だった。

 

『朱乃ちゃん!!』

 

 彼の声を聞いた瞬間、私は生まれて初めて体に電気が走るという感覚を体験した。

 なぜ彼は私の名前を知っているんだろう?私は彼に会った事があっただろうか?

 

 私は彼の声に『聴き惚れた』のだ。

 

 自分でもどうかしてると思う。

 殺気を撒き散らしてる人の声に聞きほれるなんて・・・

 

 でも、それも仕方ないのかもしれない。

 

 私が彼に持った第二印象は『凄く綺麗な声』だ。

 

 そう、彼と要さんと同じ、それ以上に綺麗で聴いていたいと思う声。

 何故か私の胸は心臓は物凄い勢いで動いている。

 

 怖いから?

 緊張が解けたから?

 

 違う。私はこの胸の高鳴りを知っている。

 これは、私が要さんに恋した時と同じ胸の高鳴りだ。

 

 

 苦しくて、辛くて、息が苦しい

 

 でも、嫌じゃない。

 

 

 私はこれが《恋》した時の胸の高鳴りと分かるとゆっくりと眠るように気絶した。

 

 

 __これは浮気?

 

 __これは不純?

 

 __これは恋心?

 

 でも、仕方ないよね。

 これは、紛れもない恋した時の気持ち、幸せな気持ち。

 

 そこに、不純も何もない。

 あるのは『好き』と言う気持ちだけなんだから___

 

 

 

 

 

 

 私は幸せな夢を見た。

 彼に、彼におぶられながらお話をする夢。

 

 いつまでも続いて欲しい夢。

 いつまでも見ていたい夢。

 いつまでも聴いていたい夢。

 

 夢の最後に彼はこちらを見ながら

 

『大好きだよ。朱乃』

 

 と言ってくれた。

 

 夢の中の私は顔を真っ赤にして俯いた。

 

『今日はここまでだよ。またね』

 

 夢の中で彼がそう言った。

 

 「行かないで!」そう声に出したかったけど言えなかった。

 

 

 声は、声は確かに彼だった。

 でも、私が見たのは『要さん』だった___

 

 

 

 

 

 

 

 起きた。

 目の前にあったのは要さんの顔でもなく彼の顔でもなく『むさいおっさん顏』だった。

「朱乃!!おきたグベバァッ!?」

 

 反射的に殴ってしまった。

 殴ってから気づいたけどあれはお父様じゃないか?

「お、お父様!?す、すみません!」

 

「いや、大丈夫だ。むしろもう少し強(グシャッ‼︎

 お父様の頭から(ぬき)が生えた。

 

「あらあら、あなた娘に何言おうとしてたんですか〜」

 お母様がふふふといつもお父様とプロレスごっこする時と同じ目で言った。

 お父様は眠っちゃった。

 

「朱乃、無事でよかったわ」

 お母様が私に抱きつきながら言った。

 私も静かに抱き返した。

 

「私もお母様が無事でよかったです」

 お母様が無事で本当に良かった。

 

 

 私とお母様は『無事でよかった』と何回も言い合いながら静かに泣いた。

 

 

 

 

 

 お父様とお母様、そして私で家族会議のようなものを開始した。

 

 内容は《私たちを助けた人物について》だ。

 お父様も「一度、礼をしたい」らしい

 お母様もお父様と同じ

 私は、正体を知って『会いたい』

 

 お母様は彼が来た時点でもう気絶していたため何も覚えていない。

 お父様は当然ながら知らない。

 私は、私は彼の顔を少しだけ見れた。

 

 私は彼の事をお父様とお母様に話した。

 

《鼠色の髪の毛》

 

《白い透き通るような肌》

 

《真っ赤な目》

 

《綺麗な声》

 

《コウモリの羽》

 

 ここまで話すとお父様が少し顔を顰めた。

 

 心当たりがあったみたいだ。

 私とお母様は問い詰めた。

 

「そいつは悪魔かもしれない」

 とお父様は言った。

 

 悪魔、お父様と堕天使と敵対している人達の事だった。

 

 それでも、私は彼に会いたい。

 そう、私が言うとお父様は

 

「分かった。お前なりに探せばいい。だが、お前は俺の娘だ。大切な、な」

「はい、お父様。私はいつまでもお父様の娘ですよ」

「あらあら、仲のよろしいことで。ふふふ」

 本当にいいお父様とお母様です。

 

 

 

 それから数年後。

 私は頑張って魔王の妹、リアス・グレモリーの眷属になることに成功した。

 

 というか、普通に人間の友人だと思ってたらある日

 

「私の眷属になって!」

 

 と言われた。

 それでリアスが悪魔だって初めて知った。

 これは嬉しいことだ。

 

 悪魔になれば悪魔の情報をゲットしやすい。

 つまり、彼に会える確率が高くなる。

 

 リアスには私のことを話している。

 リアスも話を聞いたら協力してくれるといった。

 

 いい王の元に来れて本当に良かった。

 

 

 

 

 それでも、情報は手に入らなかった。

 そんな人物本当にいるのか実は幻覚を見ていたんじゃないか

 そう考える方が利口かもしれない。

 

 それでも私は彼を探すのをやめなかった。

 

 

 

 そんなある日、久しぶりに要さんに会った。

 要さん、私の初恋の人。

 私の『昔』好きだった人。

 

 本当は会いたくなかった。

 要さんに何をした訳ではないけど後ろめたい気持ちがあった。

 

 私はまるで『彼』と『要さん』を比べたような気がしてとても後ろめたかった。

 

 

 だから、私は驚いた。

 私はもう要さんに『恋』する事はないと思ってた。

 

 なのに、相変わらず私の心臓はバクバクと高鳴っている。

 こんなの可笑しい。

 

 彼と要さんと付き合っているわけじゃないから二股じゃないかもしれないけど『二人を好き』これは立派な二股だと思う。

 

 久々に要さんと会って一緒にお昼を食べた。

 

 とても、とても楽しい時間だった。

 

 そして、確信した。

 

 

 私はやっぱり『貴方の事も好き』

 そして、『彼の事も好き』

 

 これは不純な気持ちなのだろうか?

 これはいけないことなのだろうか?

 

 もしそうだったとしても私はこの気持ちを大切にしたい。

 

 

 これは紛れもない私の『恋』なんだから____











主人公もモテモテ!!!

結構無理矢理終わらせちゃった・・・
風邪ひいて頭が回らんのです。
それでも、1日1本で頑張っていこうと思います!

というわけで原作との相違点

『姫島母健在』
『仲のいい親子』
『悪魔になった理由』

次は白音のお話にしようと思います。

本編の方では結構白音の伏線を張っているので分かる方には分かるんじゃないでしょうか?

では、また明日!

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