オーフィスたんの無双だぁぁぁっ!!
※4000文字以下は納得できなかったからちょっと直したぁぁぁっ!
そしたらよりロリコンの時間になっちまったぁぁぁっ!!
今日もオーフィスの機嫌が悪い。
原因は解ってる……先日までの俺の行動だ。
「おーい」
「や」
「こっち向けよー?」
「や!」
元々ノリと裏工作のつもりで冥界に乗り込んだ訳だが、その際予想にもしてなかった思わぬ発見をした。
それだけなら良かったが、その思わぬ発見というのがオーフィスが妙に嫌ってるひんぬー会長がスキルを発現させていたのだ。
「一誠キライ」
「あー……俺が悪かったよ、だから何時までもそんな隅っこで壁となんて話してないで、こっち来て一緒にTV見ようぜ?」
「いやっ! 我は誤魔化されない!」
帰ってからずっとこの調子である。
ヴァーリと曹操なんかに『一誠が悪い』と呆れられる程度にやらかした自覚はあるし、伝家の宝刀の逆ギレも使うなんて考えは欠片も無い。
無いからこそへそを曲げたオーフィスの機嫌を直すのに手間取っているというか、考えてみたらこういうへその曲げ方をするオーフィスは初めてかもしれない。
「くすん……」
「って、何泣いてるんだお前は」
「すん……別に泣いてない」
長く人間である俺と過ごしたせいか、年月を重ねるごとに人間っぽい感情を見せるようになってるオーフィスはひんぬー会長を贔屓するのが本当に嫌だったらしく、顔は見えずとも声が涙声だ。
何つーかアレだな。
別にそんな関係じゃないけど、浮気バレてマジギレされるより、こうして泣かれる方が心に刺さりまくる世のお父さんの気持ちが今分かった気がしますね。
「くすん……一誠のばか」
「俺がバカなのはお前が一番よく知ってるじゃんか」
こっちを見ず、隅っこで肩を微かに震わせながら口にする俺を責める言葉に、半端の無い罪悪感に襲われて思わず空気を紛らす為につけたTVを消してしまう。
自業自得……というか、そうだよな、俺は独りだった所をコイツに拾われ、何時でも一緒だったから当たり前だと思ってんだ。
「そこまで敵愾心を抱いてるのかよ」
「最初から我はそう言った、なのに一誠はあの雌悪魔ばっかり……」
「いや、他の事については少々過ぎたかもしれないけど、スキルに関してだけは野放しに出来なかったんだよ。
うっかりミスって世界がおじゃんになりましたなんてなった後からじゃ色々と遅いだろ?」
「そんなの知らない……」
それが最近になって色んな奴と知り合って、色んな奴と関わる様になったせいで忘れていた。
俺はコイツが居なかった今が無かったって事を。
「知らないなんて言うなよ、ほらオーフィス」
「……」
人間はすぐ忘れてしまう。
当たり前の事に対する有り難みを簡単に忘れて、テメーで台無しにしてしまう。
原典は常にコイツと一緒だと思い出した俺は、物好きでアホで余計な知識ばっかりつけて……でも俺という人間の半分以上を形成する、チビな龍の神様の小さな背中へと近寄り、その名を呼びながら肩に触れる。
「ん……」
触れた瞬間、オーフィスの身体がピクンと動くが、振り払って来る気配は無い。
ずっと昔から変わらない、初めて会った時から同じ姿は今じゃ俺より小さく、月日の流れを改めて自覚させられる。
「なに……そんな事したって我は――ぁ……」
あぁ解ってるよ。この手を使った時点で調子が良いなんて百も承知だ。
でも俺がオーフィスに向けられる誠意はこれしか無いんだよ。
「ごめん」
ただ抱き締めながら謝る。
それしか俺は出来ないんだ。
「う……」
「悪かった、最近は他人と関わる事が多過ぎておざなりにしてたよ」
後ろから押さえ込む様にして抱き締め、悪かったと謝る。
これでもし殴られでもすればしょうがないと思っていたが、オーフィスは何もせず、何処か困った様な声を出す。
「うー……!」
「ダメか? 許せないか?」
「あう……」
何かやってることが詐欺師みたいだが、言った事は全部本音だし、願わくば許して欲しいと思って謝っている。
フルフルと怒りを溜め込んでるのか、俺の行動に戸惑った様子で小さく頷いていたオーフィスは、やがて全員に込めていた力を抜くと……。
「許さないなんて言えないのに……一誠はズルい」
後ろか抱き締めてた俺の手に触れた。
一誠の関心を独り占めしてる雌悪魔が気に入らない。
一誠に笑ってもらってる雌悪魔がズルい。
一誠が我じゃない雌ばっかり構うと悲しくなる。
かつての我ならどうとも思わなかった事なのに、一誠を好きになってからは我の中で色々な気持ちが出てくる。
一誠はそんな我を『俺のせいで人間らしさってのが現れたんだろ』と言ってたけど、我は一誠にそう言われた時は嬉しかった。
人間……一誠と同じ人間。
身体は違うかもしれないけど、心は一誠と一緒。
だから我は、雌悪魔にばかり構う一誠を見て、雌悪魔も一誠もキライになった。
我のモノなのに、雌悪魔が横から奪った。
我だけに向けてたのに、他の奴に一誠が向ける。
それが嫌だから、それが悲しいから我は泣いた。
一誠に叩かれて出る様な涙じゃない……悲しいと自覚して溢れる涙を。
「ごめん」
一誠と初めて本当の意味で喧嘩をしたこの日、我は初めて後悔しながらも意地を張って謝れないでいた。
けれど、一誠が我を抱き締めながらごめんと言ってくれた瞬間、我の中にあった嫌な気持ちは全部消え、我は抱き締めてくれる一誠に抵抗はしなかった。
仲直り……我と一誠は仲直りする。
それが我が望む本当の気持ちだから。
「一誠……くすん……キライって言ってごめんね?」
「おー……おう、まあ今回ばかりは俺のせいだ」
悲しいから溢れる涙じゃない。
仲直りできて良かったという安心の涙を流し、我は後ろから抱き締めて我のお腹に優しく触れるその手に触れながら、キライだと言った事を謝ると、一誠は笑って我を許してくれた。
お部屋の気温を調整できるエアコンというので、寧ろ寒いと思うくらい冷えてたので、一誠から抱き締められると暖かい。
「キライって言ったのは嘘、やっぱり我は一誠が好き」
「へ、そーかい」
「一誠は? 一誠は我の事好き?」
「嫌いだったら十年以上もつるんでねーよ」
外からジージーと虫の鳴き声が聞こえるお部屋で、TVもつけずに我と一誠はくっつきながらのんびりとする。
時折我のお腹に触れてる一誠の手が動いてくすぐったくなったり、ぽかぽかしたりするけど……今日はあんまりムズムズはしなかった。
「TVでも見るか?」
「いい、このまま静かにこうしていたい」
寧ろ何物にも邪魔をされず、ずっとこうしていたい。
そして一誠が我を抱いてくれるように、我も一誠を抱き締めてあげたい。
この前一誠が隠してた本に描いてあったアレが使えそうだと思った我は、一誠の手に触れながら切り出した――
一誠は元来、中々に面倒見の良い性格だ。
それがここ最近、オーフィス以外の者達との関わりでより如実に現れた結果、オーフィスの嫉妬心を無自覚に刺激してしまうという事件に発展してしまった。
しかしながら、結局の所一誠にしてみれば『自分』という自我を確立できたのは、常に傍らに居たオーフィスのお陰だと最初から今までずっと確信しているので、全てをひっくるめて考えた場合、何よりも先に優先すべきはオーフィスだと今でもちゃんと思っている。
だからへそを曲げ、本気で泣き始めたオーフィスを見てしまえば、逆ギレなんて考えずにちゃんと謝るし、それにより元々一誠を本気で嫌いとは思ってなかったオーフィスとの仲を戻せるのも必然だった。
「今度は我が一誠の事を抱き締める」
「いや、体格の差で無理があるだろそりゃ。
まさかお前、無理矢理成長でもするのか?」
「しない。今の我の姿を一誠が好きだと言ってるし、我はこのまま」
バカップルかお前等は! という突っ込みすらしたくなる仲直りからすぐ後。
仲直り直後と、誰も見てないせいで何時も以上に互いのスキンシップが多い一誠とオーフィス。
絵面からすれば間違いなくロリコンがやらかしてるソレに見えなくもないが、互いにそんな感情は無く、幼女の姿のオーフィスの提案にも一誠は何時もの嫌がりは見せずに言われた通りにしていた。
「こうして一誠が横になる我に覆い被されば、我も抱き締められる」
「あぁ……なるほど考えたな」
「一誠の読んでた漫画にあったのを参考にした」
「オイまた―――まぁ良いや今回は」
体格の差で一誠がオーフィスを抱き締めてた体勢から、逆をやりたいと言い出したオーフィスが、実は二人で一つとして使ってるベッドにポフンと飛び込み、横になった状態で一誠に向かって両手を広げ、緩やかに微笑みながらこう口にする。
「おいで、一誠……」
互いに横になれば体格の差はある程度無視できる。
一誠秘蔵の漫画本を読んで覚えていたオーフィスは、両手を広げながら微笑み、甘えようとする普段とは真逆に、まるで甘えさえてあげるとばかりに大きく受け止める姿勢を見せるその姿に、一誠はうっ……と若干圧されたが、同時に言い知れぬ魅力を今のオーフィスから感じた。
「……」
「? 今は誰の気配も無いのにどうしたの?」
「あ、いや、こういう時になると都合良くノックもベルも鳴らさずに来るアホ連中が本当に居ないなという確認というか……」
何時もならこの時点で一誠は拒否する。
『もっとボインじゃないとやだー!』とでも宣ってのらりくらりと逃げようとする。
だがしかし、さっきの事もあったのと今のオーフィスから妙な魅力を感じてしまい、言われた通りされてみても良いかも……と思う一誠は念入りに誰も来ないかを確認し、来ないということを確信すると、のそのそとベッドに乗る。
「っ……!」
「どうしたの? やっぱり我じゃ嫌だ?」
何時も使って毎回聞いてる筈なのに、今だけは変な気分を煽るベッドの軋む音に一瞬動きを止めてしまい、思わず無言になる。
それを見て、オーフィスが不安そうな表情で嫌なのかと聞いて来た事で頭をブンブンと横に何度も振り、『別にそんなんじゃねーし、俺ボイン派だから』と誰に対しての言い訳じみた台詞を内心呟いて抱いた妙な気分を無理矢理払拭すると、横になっていたオーフィスの上に覆い被さるようにして寄りかかると、そのまま小さな身体に身を寄せた。
「どう? 一誠が我より小さかった頃に、よくやったのと同じ」
身体を預けて来た一誠の顔を胸元辺りで受け止め、頭を撫でながら感想を問う。
随分と手慣れている様に見えるのは決して気のせいでは無く、初めて出会った時から変わらない小さなオーフィスの身体に全身を委ねる一誠は、その小さな胸に顔を埋めながら幼い頃の事を思い返す。
「そう……だったな。そういや……」
独りとなり、オーフィスと出会っても尚残っていた親からの愛情の飢えに苦しんでいた時、当時はまだまだ人間の感情なんて無いに等しかったオーフィスから今している事と同じことをして貰った事があったと、精神がそこまで変わってない自分に自嘲した気分を味わいながら、一誠はオーフィスに身を委ねる。
「大きくなってから一誠は言わなくなったけど、我は望むなら何時でもしてあげる」
「……へっ」
撫で撫でと頭を撫でられながら言われた一誠が恥ずかしさを紛らすかの様に小さく悪態を付く。
だが、最近オーフィスと居るだけでロリコンと言われ続けて過度な接触を嫌がってた一誠の心を安心という気持ちでじんわりと覆っていくのだけは誤魔化せなかった。
「変わないな。
チビなのも、この匂いも何もかも変わってない」
オーフィスの小さな胸に顔を埋めたまま、ぼんやりとした口調で変わらない事への安心感を口に出す一誠。
本当なら姿を年月相応に成長させる事が出来たのに、自分の我が儘でそのままな姿を一誠は嬉しんでいる。
それは決してロリコンだからとかでない。
理解して貰うつもりも無いし、他人が聞けば言い訳にしか聞こえないのかもしれないが、一誠にとってのオーフィスというか存在は、初めて出会って今も変わらないこの少女の姿なのだ。
聞けばその前は老人だったと聞いてはいたが、性別の概念が無い時点でそんなのどうでも良く、今じゃ一誠が人間という理由で一誠とずっと一緒に居たいという気持ちの動くまま、只の擬態ではなく本当に人と何ら変わらない状態に変化までした。
その時点で例え種族は龍であっても姿は最早人間の少女と何ら変わらない。
そして一誠はその初めて出会った時の少女の姿をしたオーフィスが一番思い出深く、気に入っているからこそ……我が儘なまでに今の姿を望んでいるのだ。
「そもそもコイツは年齢不詳なのに、何でロリコンなんだよ……」
「え?」
「いや、何でもない」
どうにもロリコン呼ばわりされるとイラっとしてしまうのを改めて自覚する一誠の独り言にオーフィスは頭にハテナだ。
まあ、自分で『お前はそのまま』と言って幼女の姿のままにさせてるので仕方ない話なのかもしれない。
「…………」
「一誠……」
幼女姿の胸に成人まで3年切った男が顔埋めたり、顔を上げてその幼女とお互いの額をくっつけながら見つめ合ったりもすれば、第三者から見たら言われてもしょうがないのかもしれない。
「ちゅー……して?」
だが誰も今は見てない。
誰も邪魔をする者はいない。
異を唱える者だっていない。
だから額をくっつけ、見つめ合っている内にかすかに熱い吐息と共に婀娜っぽい声を出すオーフィスの『おねだり』に何時もなら『断固お断りだっつーの』とでも言って突っぱねてただろう一誠はこの時は何も言わず……。
「……」
「んっ……」
小さく、そして慎重に……。
浮浪者の様な生き方をせざるを得なかった自分を拾い上げてくれた龍神の少女と唇を重ねた。
見られてたら確実に何か言われてしまおうとも……。
「もっと……もっとちゅーがしたいよいっせー……はむ……んんっ……!」
頬を紅潮させたオーフィスが惚けた表情で何度も何度も求めるまま、徐々に激しく唇を重ねようとも――
「あははっ! い、いっせー……わ、我の胸は、ちゅーちゅーしたって何も、でないから……ぁ……!」
「……………………。あれ? これ、俺犯罪者じゃねーか?」
オーフィスの小さな胸に悪戯してる途中でハッと今の自分のやってる事に気付いても……。
だーれも見てないし、だーれも文句を言う者は居なかった。
「はぁ……はぁ……いっせぇ……」
「……。やっべ、これ以上は駄目だわ。
ヘタレじゃなくて色々と準備も何もねーし駄目だわ、うん」
急激に襲い掛かる罪悪感は、きっと気のせいだ。
補足
この後滅茶苦茶――となる前にハッとしたんでそこで止めました。
流石にこれ以上はね……。
その2
オーフィスたんに変に母性を感じる。
オーフィスたんの小振りなおっぱいに顔を埋めて安心し始める。
オーフィスたんに抱き締められて心が安らぐ。
……。それでも一誠くんは言い張ります――
『いや、オーフィスは俺より遥かに歳上じゃん?』
と……。
『ラ〇ァ・スンは私の母になってくれるかもしれない女性だった!』
とぶちまけられた、某赤い彗星さんの方が格好いいぜ!