無限の龍と無神臓   作:超人類DX

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……。最近どこでもソーナさんを推してる気がせんでもない。

※ちょっと直しました。
てか、ヴァーリきゅ……じゃなくてヴァーリくんについての反応の多さにオイラ驚き。


自由なる覚醒
ソーナさんかわいいよソーナさん


 貧乳会長と賭けをしてしまった事を今更撤回しようにも、彼女が冥界に戻ってるせいで出来ない。

 こんな時にこそ電話を使えば良い話なんだけど、俺があの人の番号なんざ知るわけ無いので連絡の手段がほぼ死んでる。

 

 

「……………と、いう訳だパシり諸君。

何とかしてあのひんぬーを悔しがらせたいので意見が欲しい。

さぁ、考えろ――でなきゃ崖からぶち落とす」

 

「我からもお願い」

 

『………』

 

 

 敵対意思は誰に対しても無く、勿論その中には悪魔もカウントされている。

 ともなれば、そうほざいておきながら冥界に不法侵入する訳にもいかないので、最終手段として考えつくのは誰かの意見を参照する事である。

 偶然にもここ最近は知り合いと呼べる者が多くなってたので、早速家に呼び出した知り合い面子共に事情を説明し、意見を求める事にした。

 

 これぞ三人寄れば文殊の知恵作戦である。

 

 

「いきなり呼び出すから何かと思えば……」

 

「お前は普段着な所を見て起きていた所だったんだからまだ良いだろう。

俺なんか、折角穏やかにブルーベリーを摘んでいる夢を見ながら幸せに寝ていた所を、ボディプレスで叩き起こされたかと思ったら拉致同然に連れてこられてしまったぞ……」

 

「な、なるほど、だからキミの服装が寝巻きだったんだな……。

というか、白龍皇の寝巻きが狐の着ぐるみパジャマというのは一体……」

 

「む、俺がこの格好で寝ることが変なのか?」

 

「そうは言わないが、何というかその……イメージと違うなと」

 

 

 ヴァーリ、曹操、ゲオルク、ジークフリート、ヘラクレス、レオナルド、ジャンヌ……だっけ? ぶっちゃけヴァーリと曹操以外の残り面子がイマイチ顔と名前の一致が怪しいので名前が合っているのかは知らないけど、取り敢えず三人処か倍近い面子の知恵を借りれるのだから、何かしら良い手が獲られると思う。いや、思いたい。

 

 

「一誠から買って貰ったんだけど……変なのか?」

 

「いや変とは言わないが――まさかの天然」

 

「むー俺は結構気に入ってるんだけどな……」

 

「ま、まぁ似合わないとは思ってないぞ、うん」

 

「そうか! ふふん」

 

 

 ヴァーリが曹操の部下と初対面なのはどうでも良いし、ヴァーリの格好が狐を模した着ぐるみパジャマだった現実に驚いていようが今は知らん。ていうか、俺があげた着ぐるみパジャマをマジで着て寝てたんだなコイツ。

 

 

「はいはい、ヴァーリがどんな格好で寝てようが良いだろうが。んな事より最近クールぶってるド貧乳をどうするかを考えてくれ」

 

 

 曹操部下の何とも言えない視線に対して、特に気にせず狐耳のフードをすっぽりと被ったままのヴァーリはどうでも良いのだ。

 今はどうすればあの小生意気になっちまったひんぬー会長からの意味不明ながらもやりたくはない罰を回避出来るかであり、さっきから雑談していて全く意見を出してくれない面子共に向かって手を叩いて意識を向けさせながら、早く言ってくれとお願いする。

 

 

「ちょっと待て一誠。

さっきからひんぬーだのド貧乳だのと言っているが、一体誰の事を言っているんだ?」

 

 

 軽く手を挙げた曹操が質問してきた。

 よく見てみるとヴァーリやその他共も同じ様な顔している。

 ……。そういやひんぬー会長と会った事無かったなコイツ等。

 

 

「ド貧乳生徒会長悪魔だよ。

ええっと、名前は確か支取蒼那といってた」

 

「は? いや待て、そんな名前の悪魔など聞いた事が無いのだが」

 

「あ? んな訳あるか、本人がそう名乗ってたんだから間違い無い。なぁオーフィス?」

 

「………。雌悪魔の名前なんて我の頭の中に無い」

 

 

 コイツ等が冥界に現存する悪魔の名前と顔を全部記憶してるとは思えないというのに、何故ひんぬー会長の名前に聞き覚えが無いと断言出来るんだ――――と、思ったが、良く考えたらあの支取蒼那って偽名臭い気がしてきた。

 てことは本名があるのか…………あれ、よく思い返してみたら俺も知らんぞあのド貧乳の本名。

 

 

「……………。あれちょっと待てよ? 何だっけあの眼鏡ド貧乳の名前?」

 

 

 思い返してみると名前をまともに呼んだ事が無いというか、ひんぬー会長って呼んでたせいで本名を知らん。

 思わず知らないことに今更ながら気付いてしまった訳だが、そんな俺を見たパシり共が何とも言えんツラをしやがる。

 

 

「お、おいおいしっかりしてくれよ、どんな相手なのかも分からないのに意見もヘッタクレも無いじゃないか」

 

「言っておくが一誠、俺はハーフだが奴等に与しては無いからそのド貧乳悪魔が誰かなんてのは解らないぞ」

 

「それに眼鏡と貧乳というだけじゃイマイチ特徴としては分かりづらいですし」

 

 

 口々にそう言うパシり共に俺はちょっと言い返せない。

 確かに眼鏡で貧乳なんて何処にでも居そうだもんな……。

 チッ、地味なら地味で結構だが、何で地味眼鏡の貧乳なんだ……。あの地味っ娘め。

 

 

「ええぃ、クールぶってるだけで貧乳言われてマジギレする会長さんはこの際どうでも良い! んな事よりそのド貧乳がどうやったら巨乳万歳グレモリー先輩に負けるかだ! さっさと考えろこのパシリ共が!!」

 

『…………』

 

 

 もう名前なんて別にどうだって良い。考えたって知らんもんは知らんのだから。

 ちょっと勢い任せかもしれないが、さっさと対策しないと公開処刑されちまう事を考えれば傾向と対策を優先するのはまさに必然だ。

 

 

「グレモリー……というと、リアス・グレモリーか? サーゼクス・ルシファーの妹だったな確か」

 

「その魔王の妹とやらと一誠の言っているド貧乳会長とやはレーティングゲームをすると……ふむ、直接的な対応としてはリアス・グレモリー達を強くしてしまえば良いんじゃないか? お前が」

 

「………………。それだ!!」

 

 

 結果、ド貧乳よりも対戦相手のリアス・グレモリーを強くしてしまえば良いという――ぶっちゃけ何でこんな程度を思い付かなかったんだろうか的な案で行く事にした。

 が……強くしようにも具体的にどう強くすべきなのかが解らない。

 第一彼女達も冥界に帰ってるだろうし、どう接触するのかも解らない。

 

 

「……………。いや、何でお前程の男がそんな事を気にしてるんだ? 侵入した所でお前とオーフィスに奴等がどうこう出来るとは思えないぞ」

 

「そうだそうだ、第一奴等にそこまで気を使うなら、俺達にも少しは気を使って欲しいぞ」

 

『うんうん』

 

「あ? ゲームボーイプレゼントしただろうがよ。それで気を使ってねぇとかふざけんなコラ」

 

「でも……あれ古いゲーム」

 

「あ? 何だ獣使いコゾー? 聞こえねぇからもう一度抜かしてみろや?」

 

「……………。何でもないですごめんなさい……だから、全裸に剥いで男に飢えた女子高に投げ捨てないでください」

 

 

 何が気を使えだ。

 使おうが使わなかろうが、どうせ消えろって言ってもしつこく来るだろうがテメー等全員は。

 ったく、ちょっと甘い顔をするとすぐに図に乗りやがる……。

 

 

「そういえばレオナルドはそんな事をされたんだったな」

 

「……。女の人が怖くなった。教師も含めて獣みたいな目で襲ってきて……」

 

「ピ、ピンポイントでエグいな」

 

「………。俺はガチムチのゲイバーに『好きにして』なんて札を掛けられたまま放り込まれた」

 

「あ、あー……ヘラクレスは……まあ、うん」

 

「わ、私はフリフリの服を着せられたかと思ったら、むさ苦しい肥満男が大量にカメラ片手に汚らわしい視線を向けられる中を踊らされた事が……」

 

「俺と曹操は逆さ吊りにされた状態で公園の溜め池に突っ込まれたな……最近」

 

「あれか……頭がパーンってなりそうだったよな。一誠はそんな俺達を無視してオーフィスと釣りしてたけど。ジークフリートとゲオルクはあったか最近?」

 

「……………。持ってた剣をそこら辺の枯れ枝で全部へし折られた後、朝の生放送のニュース番組のスタジオに全裸にされたまま放り込まれた。

お陰で俺は全国ネットで顔が割れたどころか、各国のニュースでも取り上げられちゃったよ……あはははは」

 

「俺は……後ろから不意打ちしようとしたらそこで意識が途絶えていて、気が付いたら『私は女装趣味がある変態男です』なんて札を首にぶら下げられた状態で、ジャパニーズ腐女共の集会所のど真ん中で撮られまくってた………くらいか?」

 

 

 ほらな、普通そこまでされたら二度と関わろうとは思わない癖に、どいつもこいつもマゾの気でもあるのか知らんが、何食わぬ顔で俺達の所に来る。

 今回にしても、無理矢理拉致ったヴァーリはともかく、曹操達は普通に呼んだら普通に来たんだぞ? そこまでされてる癖にだ。

 

 

「しかしながら強いし、何て言うか普段は普通に親切なせいで毛嫌いが出来ない。

天然でやってるとするなら本当にタラシだぞ彼は」

 

「確かに……この前なんて偶然会っただけなのに飯をごちそうしてくれた処か、修行の手伝いまで普通にしてくれたぞ」

 

「あ、私は偶々店先で見ていたアクセサリーを『欲しいのか? じゃあ待ってろ』と言って買って頂きまして……ほら、このネックレス」

 

「僕はオーフィスと三人で動物園に連れていってくれた」

 

「俺は効率的な近接戦闘術を教えてくれてな。お陰で最近は不意の遭遇戦でも慌てなくなったぜ」

 

「………………。の、覗きのやり方を教えてくれた」

 

 

 ………な、バカだよなコイツ等は。

 まぁ、良い。どうであれグレモリー・ボイン達を強くするのは悪くない手ではあるし、ここは一つあのド貧乳を涙目にする為にやったろうじゃないの。

 

 

「まあ良い。曹操とヴァーリ行くぞ」

 

「「は?」」

 

 

 行ったことなんて無い……冥界とやらにね。

 …………。て、は? じゃねーよ。

 

 

「は? じゃねーよ、お前等も来るんだよ」

 

「え、な、何で?」

 

「………………。強くする為に数は多い方が良いだろ? かと云って多すぎると変な誤解をされかねないし、知ってる中ではお前ら二人はオーフィス以外で強いとは思える野郎だしね――んじゃオーフィス」

 

「ん」

 

 

 ふはは、見てろよひんぬーめ。

 そのクールぶった仮面を剥がしてメソメソさせてやんぜ、ひぇひぇひぇひぇ!

 

 

 

 

 

 や、ヤバイ……いや別にヤバくない? いやでまヤバイ。

 何がヤバイって……一誠が傍に居るとはいえ、禍の団の英雄派なんてやっちゃってる俺が、確定的に敵対してる悪魔の根城の冥界に来ちゃってるのがやばい。

 確かに俺は――俺達は他の派閥共とは違って世界征服だリセットには興味ないし、オーフィスと一誠と遊んで最近は楽しいとかメンバー共々思ってるよ? 思ってるけど、奴等からすれば俺達はやはり禍の団なのだ。

 

 い、いきなり攻撃とかしてこないよな? されても何とか出来る自信だけは一誠に半殺しにされまくってあるにはあるけど……う、うーむ。

 

 

「……………。な、何でアナタ達が!?」

 

「し、しかも何処から……!?」

 

「ひ、ひぃぃぃっ!? こ、怖そうな人達ばっかりですぅぅ!!」

 

 

 冥界はぶっちゃけると俺も初めてだ。

 なのでどんな世界なのかとかには地味に興味はあれど、来るべき時が来るまで足を踏み入れる事は無いと思っていたのだが、来てみると意外にも普通だというのが、オーフィスの転移によりやって来た冥界の………何だここ、デカい城での感想だ。

 というか……やって来て早々例の魔王の妹が凄いビックリした顔で俺達――というか一誠を見て身構えてるけど、お前何をしたからそんな怖がられてるんだ? 特にあの金髪はもう何かこの世の終わりですみたいな絶叫だぞ。

 

 

「わ、わわっ、わ、私達がな、なにか?」

 

 

 それでも魔王の妹の事はあるのか、すんごい吃りながらのおっかなビックリな様子で、シゲシゲ辺りを見渡しながら『デッケー城とか初めて見るわ~』とオーフィスと雑談している一誠にいきなりアポなしで現れた理由を探ろうと訊ねてきた。

 

 

「え、あ……おほぉう! 相も変わらずの素晴らすぃおっぱいっすね! チーッス!」

 

「…………」

 

 

 だが一誠はそんなグレモリーの態度を気にもせず、胸をガン見しながらだらしない顔だ。

 ぶっちゃけ俺もヴァーリもオーフィスも微妙な顔をしてしまったのは悪くないと思う。

 だって何か……不平等を感じるし。

 

 

「いやーアレっしょ? あのド貧乳とレーシングゲームするんでしょ?」

 

「ど、ド貧乳? レーシングゲーム? ……………。あ、レ、レーティングゲームの事? そ、そうですよ……非公式ながらこの度ソーナと――――え、何で知ってるの?」

 

「いや、何を隠そうそのド貧――あの人ソーナって名前だったんですね、はっ、支取蒼那でソーナね……なるほど。

まあ、あんなひんぬー会長は横に置いておいて、俺はその本人からそのゲームとやらをすると聞き、まあ、ぶっちゃけあのひんぬーを悔しがらせたいって理由で貴女達を強くしちゃおうぜー! ……みたいな?」

 

「はい?」

 

 

 ………。何だアイツ。リアス・グレモリーに親切なのは良いが、本人は別に強くないじゃないし奴の眷属とやらも話にならない。

 なのに何でそんな親切なんだ? 微妙に納得できないぞ。

 

 

「……。2秒で殺れそうな連中に何故あんな……」

 

「……同意するぞ曹操。

女ってだけで得とは不平等ささえ感じる」

 

 

 ヴァーリも俺と同じ様に思ってたらしく、納得できないといった顔がありありと出ている。

 女だからか? 乳がデカいからか?

 

 

「え、えぇ? つ、強くしてくれるってそんな……。

でも私達アザゼルって堕天使に鍛えて貰ってる最中で――」

 

「なに、アザゼルだと? アイツめ、最近留守にしてると思ってたらこんな所に居たのか。

おいリアス・グレモリーよ、アザゼルは今何処に居るんだ?」

 

 

 アザゼルから教えられてると聞いたヴァーリがリアス・グレモリーに問い掛けている。

 アザゼルと言えばヴァーリの義理の親らしいが……なるほど、カテレア・レヴィアタンが勝手な真似をしてからはどうやら堕天使と悪魔の間に協定でも結ばれたらしいな………まあ、仮にそれでオーフィスと一誠をどうこうするには足りなさ過ぎるが。

 なんて思っていると、リアスグレモリー達の後ろから男が現れた。

 

 

「何だ、知ってる気配が現れたと思ったら本物かよ……。マジで何しに来たんだよお前等?」

 

 

 堕天使・アザゼル。

 気だるそうな態度だが、隙は一切ない。

 流石に殺し合いの経験者であるな……強い。

 

 

「それはこっちの台詞だアザゼル。

何時から彼等と仲良しこよしをするようになったんだ?」

 

「うっすアザゼルさん」

 

「俺も俺で忙しいんだよ。

これでも一応組織の為にやってるんだぜ? つーかお前等こそこんな所に何の用だよ? 特に兵藤とオーフィスと……お前は確か禍の団に入ってる男だよな?」

 

 

 アザゼルが俺を鋭い視線で見据える。

 チッ、割れてないと思ってたがそうでも無かったか――あ、まずい、それを聞いたリアス・グレモリー達が身構えてる。

 

 

「俺は単に一誠に引っ張られてしまったからというか……うん」

 

 

 別に敵意を持たれようが関係ないが、今事を起こすつもりは全くないので、考えうる敵意ありませんな態度を示してみる。

 

 

「あ、大丈夫っすよ。コイツ単なるパシリなんで」

 

「は? パシリ……?」

 

 

 一誠もヘラヘラしながら俺の背中をパシパシ叩いてフォローしてくれるが、パシリは酷いぞ……。

 

 

 

 

 

「……………………。そう来ましたか」

 

 

 一誠達が冥界のグレモリー家に無断侵入していたその頃、魔王達に提案される事に行われることとなったレーティングゲームに出るひんぬー会長――否、ソーナ・シトリーは、勝つ為に眷属達と切磋琢磨している最中に感じた『見知ってる気配』に目を閉じながらに思考を展開させていた。

 

 

「会長? どうかしたんですか?」

 

 

 急に修行の手を止めて瞑想しだす主に、兵士の駒を4つ使って転生した少年・匙元士郎が問い掛けると、ソーナは閉じていた目を静かに開け、ちょっとばかり好戦的な笑みを浮かべながら小さく首を横に振る。

 

 

「ちょっとばかり『嬉しい』事が近くであったみたいで」

 

「はい?」

 

「何でもないわ……。さ、続けるわよサジ、リアスとのレーティングゲームは勝たなければならないしね」

 

「は、はぁ……」

 

 

 眷属達がそれぞれ切磋琢磨している中、元士郎相手に肉弾戦のみでの修行に励むソーナが構える。

 今まで近接戦闘はさほど得意では無かったソーナだったのだが、ここ最近はその得意では無かったという文字が薄れる程に上達しており、近くで見ていた眷属達は華奢な主が魔力も何も頼らずに素手で厚さ十メートルの鉄の塊を粉砕していたのを見た時は、洒落じゃなく畏敬の念すら覚えた。

 

 故に元士郎は正直怖かった。

 主の事をひんぬー会長とバカにする、どこぞの化け物人間みたいに枯れ枝やら消ゴムの欠片を手に構えるソーナが……。

 

 

「ええっと、確かこう……かしら?」

 

「わっ!?」

 

 

 投げつけて来た消ゴムの欠片が銃弾の様に飛んで来たのを避け、避けた先にあった城壁を貫通しているという洒落にならない威力をそこら辺の文房具でやらかしてる主が……。

 

 

「の、伸びろライ――ひぇ!?」

 

「ええっと、確か彼はこう振って……」

 

「の、伸ばしたラインが会長の持ってる枯れ枝にバラバラにされて……どわっ!?」

 

「こう……ジャパニーズ・ジュードーみたいに投げる……だったかしら?」

 

 

 一目惚れ相手の主がどんどんと肉体派になっていく姿は、例え大外刈で投げ飛ばされた後、腕を取られて関節技を決められて役得だったとしてもちょっと悲しかった。

 

 

「ふふ、リアスの所に居るということはそういう事だと判断するわ一誠君。

だけど私がアナタを単に悔しがらせるために吹っ掛けたと思ったら大間違いよ……ふふ、ふふふふ♪」

 

「いでででででで!?!? か、会長ギブ! ギブっす!」

 

 

 ソーナ・シトリーはよくも悪くも……一誠のせいで変化を遂げてしまっていた。

 よくも悪くも……元凶に最も近い変化という。

 

 

 

 一誠君とオーフィス……それに他の誰かが二人ほどリアス達の元に居る。

 それはつまり一誠君が私との間に交わした賭けに勝ちたいが為、リアス達を鍛えにいったと見てほぼ間違いは無い。

 

 どうやら私に賭けで負けるのが本当に嫌な様だ。

 

 

「か、かいちょ~ そんな肉体派な修行じゃなくて、もっと会長の持つ魔力の使い方の修行もした方が良いと思うんですけど……」

 

「してるわよ一応。

だけどリアスの滅びの魔力相手だと不利だし、結局悪魔も人間も最後に頼れるのは己の身よ。悪魔としての力を使わずとも相手を倒すのもまた必要な事なの、サジも覚えておきない」

 

「で、でも会長の場合その戦い方がアレを模倣してるというか……。け、消ゴムの欠片で分厚い鉄塊を粉々にした時はあの野郎に何かされたかと本気で心配したんですけど……」

 

 

 匙が言うアレだのあの野郎というのは、一誠君の事だ。

 あの日以降、眷属達もリアス達も已然として彼を化け物と見ていて恐怖している。

 まあ、輪ゴムでコカビエルを再起不能にしたり、魔王二人と堕天使と天使のトップ全員を相手取って無傷で下したともなれば単なる人間でない事は間違い無いし、事実私も一度は恐怖した。

 

 

「匙君の言うとおりですよ会長。

何というか、会長はどうも彼に拘り過ぎていると言うか……」

 

「そ、そう! それっすよ! 悪魔に対して敵対するつもりが無いって言ってるんだから放っておくべきだと思います!」

 

「…………」

 

 

 だけど怖がるだけでは私は永遠に貧乳呼ばわりされる処か、完全に……そこら辺に生えてる草と同じ認識のまま二度と関心もされなくなる。

 ……。あんな子供みたいなのにそこまで見下された挙げ句貧乳呼ばわり? 冗談じゃない、私は絶対に到達してやるんだから。

 

 

「そうね、私を貧乳だ貧乳だとヘラヘラとバカにして見下して来るドスケベ男に拘ってると言われたら拘ってるわ。

だって悔しいんだもん……あのヘラヘラした顔を悔しさに歪ませ、私に対して膝つかせながら手にキスでもして『自分はアナタに絶対服従です』とでも言わせたいじゃない? 貧乳貧乳とバカにしてる男が私に欲情するか試したいじゃない? 地に這ってる所を踏みつけ、脚を舐めさせたいじゃない?」

 

「え、えぇ……?」

 

「か、会長……」

 

 

 だから私は強くなる。

 なって、なってなってなってなってなってなってなってなってなってなってなって! 彼を私の所有物にしてやりたいのよ。

 

 

「アナタ達は思わないでしょうけど、私は思う。

あぁ……想像しただけでゾクゾクしちゃうわ、上層部や魔王様の眼前で私に告白させるなんて考えるだけで堪らないわ」

 

 

 私を貧乳だとバカにした報いは必ず受けさせる。

 だかはリアスを鍛えようが構わないわ……それでも勝つから。

 あは、あはは! アナタが手塩に掛けて鍛えたリアスに勝ったらどんなお顔をするの? 早く見せてよ……そしてそのお顔で私に必ずあの台詞を言ってね? あはははは!

 

 

 ソーナ・シトリー

 

 シトリー眷属・王

 駒王学園生徒会長

 

 備考……一度正体を知り、恐怖をしたものの自力で吹っ飛ばし、夢という名の呪いを受けた少女。

 

 

備考・婚厄者(メビウスオブフィアンセ)

   悪循完(バッドエンド)

 

 

「あ、あの、最近会長が何となくあの男に似てきてる気がしません? なんというか雰囲気が」

 

「……。気のせいでは無いかも。

第一、そこら辺に落ちてた小物を武器にして戦い始めてるし……」

 

「ど、どうするんですか? 会長は変にあの人に拘ってるし……」

 

「……。会長が彼に興味をなくしたら良いのだけど……」

 

 

終わり

 

 

オマケ・ヴァーリくんの格好

 

 

「ところでヴァーリ。お前のその格好はなんだよ? なんで寝巻きのままなんだ?」

 

「寝ていた所を一誠に叩き起こされ、着替える暇も無く連れてこられてしまったという経緯故だ」

 

「ほーん」

 

 

 結局こんな連中の為に一誠が理由ありきとはいえわざわざ時間を割く事に不平等さを感じながらも文句を言えずに見ているだけしか出来ない俺と曹操は、リアス・グレモリーに対して引かれてるにも関わらず、ヘラヘラとナンパじみた台詞をペラペラ吐いてる一誠を眺めつつ、アザゼルに此所に来た経緯を話す。

 

 

「何でも良いけど、リアス嬢達のお前に対するイメージが変な意味で変わったと思うぜ? 何せその着ぐるみパジャマだしな」

 

 

 そう言ってニヤつくアザゼルに今の格好について言及されたが、俺は無視した。

 別にあんな連中にどう思われようが知ったことじゃない。

 アルビオンは似合ってると言ってくれたし、俺は着たいものを着たいのだ、周りの視線なんて一々気にするなんて馬鹿馬鹿しいだけだし、一誠だってそういうタイプなんだ。

 

 

「ほら、リアス嬢の戦車や僧侶がガン見してんぜお前を?」

 

「知らん。…………。ちっ、おいそこの二人。言いたいことがあるなら言ってみろよ、チラチラ見られるのは好きでは無いんだよ俺は」

 

 

 全く、一誠に買って貰って気付いたこの着ぐるみパジャマの何がいけないんだ。

 寝心地抜群だし、何より同じく買ってくれた『コンコン抱き枕』と一緒に寝ると疲れも吹き飛ぶんだ。

 

 何よりデザインが気に入ってるというのもあるが、それを一々物珍しそうに見られるのはあまりいい気分じゃ無いぞ……ええっと、アザゼルの云う戦車と僧侶とやらよ。

 

 

「……。前に見たときは怖い人と思ってましたけど、意外と可愛いご趣味をお持ちみたいで」

 

「は?」

 

「ちょ、ちょっとだけイメージが変わったなー……って」

 

 

 名前も興味もないチビ二匹が俺に言ってくるが、最初のイメージだってどうせ碌なものでも無いんだろうし、どうでも良いな。

 

 

「おい一誠、脈の無いナンパをしている場合じゃ無いだろう? というかオーフィスがちょっと怖い……」

 

「ええい黙れ! おもちを目の前にして突撃しないバカは居ねぇんだよ!」

 

「あ、あはははは……」

 

「へ、下手な事が言えない……言ったら殺される」

 

 

 そんな事より、碌に何もしてないのに一誠から施しを受けるこのチビ二匹含めた連中にやっぱり納得が出来ない。

 俺なんて何百と挑んでは殺されかけてやっと最近はこの着ぐるみパジャマを買ってくれるくらいには親しくなれたのに……チッ、あんな邪魔そうなものを付けた女の何が良いのかやっぱり解らない。

 

 

「ふん」

 

「その格好で拗ねても可愛いだけだと思います」

 

「キミに言われてもどうとも思わないな。というかさっさとキミの主を守りに行けよ。じゃないと一誠に何かされてしまうぞ?」

 

「多分あの人は本当に嫌がる事はしないと思うので大丈夫です」

 

「ふん、知りもしないくせに……」

 

「まあ、知らないのは事実ですけど……。(あ、フードに付いてる狐さんの耳がピコピコ動いてる……)」




補足

まだ自覚してませんが、確実に植え付いてます。

悪循完は簡単に言えば……某スタンドの某ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム……と言えば分かるかと。

で、異常性である婚厄者は…………………背中を見て追いかけてしまおうと決意した彼の異常性を考えれば多分行き着きます。


 いやー……バカにされた相手を屈服させて足を舐めさせる慈悲があるソーナさんは可愛いよね? そう思いません? いやホント……。


その2

ヴァーリきゅんは、一誠に冗談で買ってもらったら着ぐるみパジャマを後生大事にしてます。

アザゼルから大笑いされましたが、本人は『あ、割りと悪くないじゃないか』とお気に入り化しており、マジでそれ着て寝てます。

後ろに尻尾、フードに狐耳着けたタイプの可愛らしいパジャマを……。


そしてそのまま冥界に乗り込んだせいで、ある程度彼を知る目撃者からはイメージチェンジに図らずとも成功してしまう。

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