無限の龍と無神臓   作:超人類DX

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半月前の一誠と現在の一誠は最早別物クラスです。




止まらない進化

 俺は人間である。

 そして曹操からがめた500万が手元にある。

 

 つまり……俺はできる……っ!

 快楽の大海……っ! 豪遊……っ!!

 

「と、いう訳でリッチな買い物をしに行くぜオーフィス」

 

「うん」

 

 

 故に俺は羽目を外そうと思う。

 ちょっと金を持つと気持ちに余裕が出てしまう辺り、俺はやはり人間だぜ。

 JKにロリコンじゃないと、人生で二番目くらいに必死こいて説得するくらいに俺は人間なのだ。

 

 

 

「神々すら超越する人間が現れた」

 

 

 始まりは三大勢力の会談時に突如として現れ、各勢力のトップを楽々と捻り潰した事が始まりだった。

 無限の龍神と共に在り、無限の龍神に掛けられた風評を消滅させる為に力付くで全てに解らせる。

 

 そんな理由で神器とは別物の力を振い、破竹の勢いでその力を抑止力の如く見せ付ける人間を当然面白いと思わない存在も多々在った。

 しかし最早この人間を力でどうこうする事なぞ誰もできない。

 それこそ次元を遊泳している真なる赤龍神帝を上手いことけしかけでもしない限りは、誰も彼に触れることすら許されない。

 

 

「なるほど、面倒だから嫌だと……」

 

「はい、彼の性格は基本的にいい加減ですので。あと基本的に精神が子供です」

 

「そっかー……ところでソーナちゃんは、あの子のお友だち?」

 

「さぁ、少なくとも彼から『友達になってください』と言ってくれば吝かではありませけど」

 

 

 だが彼は人間だ。

 そして割りとダラダラな平和主義者だ。

 仕掛けでもしない限りは基本的に無害であり、話せば年相応の少年だ。

 ある意味その年相応の対応をされてムカムカする被害者――ソーナ・シトリーもまた彼の……一誠の態度に対して一種の吹っ切れを成し遂げた猛者の一人だった。

 

 

「彼の持つ『どんな治療も出来ない攻撃』について、受けた身としてはちょっと知りたいと思っていただけに、少し残念だね」

 

「……」

 

 

 夏休みに入り、冥界に帰省を果たし、若手悪魔の会合も無事に済ませたソーナは、一誠に渡された巨大な釘と杭を先の戦闘で腕と肋骨をへし折られたまま治らない魔王・サーゼクスとセラフォルーに説明混じりでぶっ刺してみた所、言った通りそれまで何をしても治らなかったダメージは一瞬にして完治した。

 

 しかも刺されたのに魔王二人に痛みは無く、禍々しいまでの大きさを誇っていた杭と釘も役目を終えたとばかりに砂の様に霧散した。

 

 刺して余ったら独自に調べて一誠の力の正体を見破り、ドヤ顔してやろうと思ったのにこれでは振り出し。

 

 

『ひんぬーひんぬーかいちょー』

 

『怒るなよー? 何なら揉んでデカくしてあげましょうか? ケケケケ!』

 

 

 

「…………………………………」

 

 

 今思い出すだけでもムカムカする。

 何が貧乳だ。何が揉んでデカくしてやろうかだ。

 このままの方が戦闘の邪魔にならないし、何より年食ったら垂れるでしょうが。

 だったら可も無く不可も無い美乳の方が絶対に良いに決まってるんだ。それを胸だ胸だと子供みたいに……。

 

 顔を合わせればヘラヘラして自分をバカにしてくる小生意気な後輩を思い出してしまったソーナは、魔王の御前だというのに冷たい殺気を纏いながら無表情で俯く。

 

「ソーナちゃん……?」

 

「…………。取り敢えず私が知る彼についての情報はこのくらいです。

まあ、近い内に私を崇める彼をお見せしますのでもう暫くお待ちを……ではこれにて」

 

「え"!? ちょ、ちょっと待ってソーナさん? それって一歩間違ったら彼が僕達悪魔に敵意を――え、ねぇ! 僕の話を聞いてよ!?」

 

 

 ソーナ・シトリーは実に寛大である。

 少なくとも、小生意気な人間の小僧に半笑いで貧乳だとバカにされて激昂はせど、本気で嫌うという事はしない辺り、ソーナ・シトリーは実に器が大きく……。

 

 

「友達になってくださいなんて甘い。

アナタに惚れたので一生涯尽くさせてください……とでも言わせましょうか……ふ、ふふふ」

 

 

 更に云えば実に強かな女の子だった。

 そしてその強烈な自我こそ……。

 

 

「求める為に強く……」

 

 

 ソーナ・シトリーの精神は確立され、その確立された精神力から生まれるものこそ、兵藤一誠が君臨する領域という名の扉を開けるための鍵となるとは、本人を含めてこの時はまだ誰も知らなかった。

 

 

 

 一誠はどうもアザゼルみたいなタイプと馬が合うらしい。

 本当にアザゼルと直接会って話し合いをした時はどうなるかと思っていたりもしてみたが、終わってみればトントン拍子に一誠とアザゼルは軽い同盟みたいなものを組んでいた。

 

 まぁ、その僅か後に北欧神話の主神をぶちのめした話が舞い込んできたときはビックリしていたがな。

 

 

「結果どう思うアルビオン? 俺はどれくらい鍛練を積んだら一誠に届く?」

 

『…………。正直に言ってしまうと今のままではほぼ不可能かもしれない。

赤いのの使い手を楽に殺し、神話連中をもぶちのめした奴は間違いなく人間から生まれた突然変異の存在だぞ』

 

 

 同盟を組んだ事により、これまではコソコソとアザゼル達にバレない様にと気を削いでいたが、これからは堂々と会い行って戦いを挑める事に無事なれた訳だが、相変わらず一誠の力は俺の遥か上の領域であることは変わらず、どれだけ鍛練を積んでいてもまるで届きやしない。

 当然悔しいと思うし、何れ一発当てて見せるつもりでもある……あるのだが。

 

 

『お前は奴と曹操とかいう小僧とくだらん事をするのが愉しいと思っているんだろう?』

 

「む……まあ、否定はしないよアルビオン。どちらも俺には無いものを持っているからな。

特にあの曹操はよくもまあ一誠の地雷を平然と踏めるよとある意味感心すら覚える」

 

 

 俺はアイツ等とバカをやることを楽しんでいる……。

 何というのか――偏見も無く普通に接してくるので、難しく考えずに居られるんだ。

 だから俺は――

 

 

「鍛えるぞアルビオン。一誠もそうだが、あの曹操にまで負けたくは無い」

 

黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)の使い手にはせめて勝たんとな。

ハァ、一誠という小僧が赤いのの使い手を殺ってくれたせいで張り合いが無さすぎるぞ』

 

「元々ソイツが一誠の地雷を完全に踏んだのが悪いんだろう。それに、生き残れもしなかった時点で実力なんてたかが知れている」

 

 

 もっと強くなる。

 弱い自分を認め、そこから強くなって挑戦する為に。

 

 

「さしずめ挑戦者って所だな……フッフッフッ」

 

 

 俺は死ぬまで挑戦者であり続けるさ。

 

 

 

 悪神ロキを下水道に放り捨てた……ね。

 いやー……エグいね一誠。

 

 

「ど、どうするんだ? サマエルをけしかけてオーフィスを人質に? それともハーデス殿と再び交渉して――」

 

「やってみろ。最早覚悟を決めてる一誠の進化のスピードは宇宙が膨張し続ける様に膨大で、果てしないんだ。あっという間に全部が壊されて終わりだろうな。

半年前なら食い下がれたと思うが、今や冥王ですら一誠は止められない。

ふふふふ……どうであれ神器すら持たない只の人間に神を含めた全ての存在が平伏してる――俺達にしてみればアイツは完全なる理想だ」

 

「だ、だが……どうも曹操みたいに気安く出来なくて……この前の事があるし」

 

 

 異常性と過負荷。

 神器を持たぬ一誠だけが至った境地は最早芸術ですらある。

 無限に進化し続け、夢と現実の狭間を行き交い出来るだなんて……恐ろしいにも程がある。

 しかし俺はそんなアイツを恐ろしいとは思わない。

 確かにこの前はチェーンソーを振り回す一誠にヴァーリ共々追いかけ回されて涙目になったが、アイツは話の聞かない神だの冥王だのとは違って人間だ。

 

 話せば大体許してくれるし、会いに行けば嫌々だけど飯を食わせてくれる。

 アイツはそんな……人として少し外れてしまった者達にしてみれば希望なんだ。

 

 

「俺は止めないさ、そもそも仲間になってくれとお前達を勧誘はしたものの束縛するつもりはない。

だからアイツを殺したいと思うのであれば自由にすれば良い……まあ、その時は勝手ながらアイツに付かせて貰うけどな」

 

『…………』

 

「アイツに普通に接してみろ。たまにチェーンソー振り回しながら追いかけ回されたり、コークスクリューパンチをテンプルに喰らう時もあるかもしれないが、それ以外は割りと普通で、本当に困ってたら助けてもくれるぞ? 誤解されやすいが、アイツは割りと自分が認めた他人に対しては面倒見が良いからな」

 

 

 だから俺はその希望に与えられるだけではなく、仲間として助けられる様になりたい。

 どんなに変人で、言ってる割りには他人の女に対して辛辣で、オーフィスには普通に優しくしてるロリコンだとしても一誠を仲間にする夢は諦めない。

 

 

「アイツとなら不可能だって可能に出来る……故に俺はアイツの腰巾着じゃなく相棒になる為に強くなるのさ」

 

「………。随分変わったな曹操……。

いや、変わった事に幻滅はしないが難易度が高すぎだぞ」

 

「上等だ、その分達成感は半端無いだろう?」

 

 

 それが俺……曹操の夢なのだ。

 

 

 

 ……………。誰かにロリコンと思われてる気がするのは果たして気のせいなのだろうか。

 まあそんな事は今どうだって良い。

 

 

「あーぁ、リッチな買い物気分も台無しだよ」

 

『…………』

 

 

 この屍だらけの空間をどう処理すべきか……なんですよねー。

 

 

「旧魔王派っていうと、あの時の褐色おねーさんのお仲間で、コイツん所の組織の派閥の一つだったね。

やーれやれ、探す手間が省けたのは良いが、人が買い物して良い気分な時に現れるべきじゃあ無いと思うぜ……っと、皆さんはもう口が聞けないんだったね? ゴメンゴメン」

 

 

 横で俺が買い与えたアイスキャンディをちゅぱちゅぱしとるオーフィスは興味無さげにしてる辺り、既に組織については殆ど何も考えてないんだろうが、所属者にしてみれば無限の龍神という名前だけで抑止力に繋がると解ってるらしく、わざわざ人間界まで連れ戻しに軍勢引っ提げて現れたせいで、リッチな気分は台無しだった。

 

 

「ったく、お前が考えもしないで作るだけ作るからこうなるんだ。

そら所属組からすれば名ばかりのリーダーが急に『必要ないから勝手にしろ』なんて言えば切れるわ」

 

「む……でもコイツ等は我に内緒でコソコソしてた。だから勝手にやれと言った我は悪くない」

 

「そうだけどよ……まあ良いや。もうコソコソする事も出来なくなっちゃったしねこの……なんだっけ? 旧魔王派の方々は」

 

 

 褐色悪魔のおねーさんと恋仲だったらしい、旧魔王の一人が何やかんやと五月蝿かったので持ってたアイスの棒を武器に叩っ切った事に罪悪感や後悔は今更無い。

 元々オーフィスの知らない所で勝手にやってたバカ共を潰す為に、わざわざ今までコソコソしていたのを止めて目立つような真似をしたんだからな。

 

 襲撃してきた場所も地元から離れた県外の寂れた海岸だったし、目撃した人間もゼロで騒がれることも無い。

 だが別に俺は神々に喧嘩を売るつもりも、ましてや無駄に敵を作る事もあんまりしたくは無いわけで……。

 

 旧魔王派と今の魔王派の関係の良し悪しによっては、悪魔達と完全に敵対しなければならなくなってしまうと思うと微妙にかったるいのだ。

 この前お話しした貧乳生徒会長さん達とも場合によっては殺し合わんとならんし……うーん、早計だったかな。

 

 

「ま、良いか。そうなったらそうなっただわ」

 

「ちゅぱちゅぱ」

 

 

 しかしウジウジ考えても仕方ないし、オーフィスの名前を使って余計な真似をしくさろうとしてた連中を幻実逃否でどうのこうのする気も無いと結論付けた俺は、妙に変なアイスの食い方をしているオーフィスの隣に座り、ちょっと溶けちゃった二つ目のアイツを食べることにした。

 

 

幻実逃否(リアリティーエスケープ)。今目の前に転がってる亡骸を否定し、何も無かった幻想に逃げるっと……よし、食ったら帰るぞオーフィス」

 

「ん……」

 

 

 亡骸さん達を現実とサヨナラさせてな。

 

 

 

 今日は楽しかった。

 一誠と一緒にちょっと煩い所に言ったり、海に行ったり……最近の一誠は我に優しい。

 家にずっと居ても追い出そうともしなくなったのも嬉しい。

 

 後は暗くなったら我と子作りしてくれれば完璧なんだけど、一誠はそれは嫌だと素直じゃないせいで出来ない。

 それならせめて一誠にくっついてポカポカしようと思い、我は家に帰ってお風呂に入れられた後はずっと一誠にくっついてみたけど、あんまり効果は無かった。

 

 

「むー……一誠は我が儘。

胸が好きだと言うから大きくしようとすると嫌そうな顔をする――何で?」

 

「は? そらお前……チビで餓鬼で胸無しのその姿じゃないと違和感だらけで嫌なんだよ」

 

「………」

 

 テレビを見て座る一誠の膝に座り、思っていた不満に付いて聞いてみても、一誠は何時もそれしか言わない。

 一誠が好きな姿になろうとこの特技を覚えたのに、何時だって一誠は笑いながらこのままじゃないと嫌だと言う。

 ならこのままで子作りして欲しいのにと言っても取り合わないのに……一誠はたまに変だ。

 

 

「餓鬼の頃はお前の方が俺より背も大きかったのに、気付けばロリコン呼ばわりされる程俺がデカクなっちまったし、呼ばれるのが嫌ならお前を相応に成長させた姿にさせれば良いと考えたこともある。

だがやっぱりお前はその姿で無いと俺は嫌だ。ボーッとしてて、言うこと考えることが極端で、チビで餓鬼なその姿じゃないとな」

 

 

 そこまで言われたら我はこのままの姿で居続けるけど……。

 

「それに体温とか高いからなお前。

冬には湯タンポとして最適だぜ」

 

「ぁ……そうやって抱き締めてくれるくせにそれ以上はしない一誠はやっぱり我が儘。狡い……」

 

「何とでも言ってろ。とにかく俺にとってのお前はこの姿なんだよ……あー……クーラー効きすぎた時は最適な温さだなやっぱ。しかも微妙に眠くなる匂いするし……」

 

 

 こうしてたまに我を後ろから抱き締めながらスリスリしてくる。

 本で読んだ焦らしという行為だとしたら一誠はやっぱり狡い。

 お陰でさっきから我のお腹が熱くて、ココが昨日よりも激しくムズムズするというのに、一誠は意地悪だ。

 

 

「Zzz……」

 

「寝た? むむ……また意地悪した一誠にはこうする」

 

 

 意地悪するなら仕返しをする。

 我を抱き締めながら寝ている一誠の腕を外し、一誠の方へと身体を向けた我は――

 

 

「えっと、本だとこうしてちゅーしながら……ベロを入れて……」

 

「むびゅ……」

 

「ん、んっ、んんっ……! ぷは……ぁ……これ、我好きかも……もっと、もっとぉ……」

 

 

 寝てる一誠を起こさないようにちょっと暗示を掛けて、我は新発見した好きな事をもっとする。

 これで他の雌の誰よりも早く、我が一誠と――ふふ♪




補足

どんどんと挑んではデストロイさせられていく一部勢力。

そしてその経験が更なる進化を促す。

完全覚悟注入状態の無神臓の一番恐ろしいところです。


その2
そして一誠と関わり、そして恐れず真正面から向き合う覚悟を持つ面々は、その精神を確立させて一誠と同じ領域へ…。



その3
寝込みに舌入れちゅーを仕出かすレベルには、一誠の秘蔵本に影響されちゃったエロロリオーフィスたんなのだった。


最後
直訳すると……

『やだー! オーフィスは黒髪ロングのロリ姿じゃないとな俺やだー!!』

って感じです。
まあ、初めて出会った頃の姿こそが一誠にとってのオーフィスたんであり、好きな姿なので変に巨乳化やら大人化されたくないんですよ。

あ、あれ……やっぱりこの一誠はロリコン?

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