やはり私の青春ラブコメは間違っている。   作:Lチキ

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色々作品やってますが、純粋な俺ガイルオンリーの作品は久しぶりです。更新は不定期ですがどうぞ皆様よろしくお願いします。




とにかく比企谷八幡は女の子である・・・・女の子である!

 最初に注意しておこう。

 

 別にどこぞの誰かに向けて親切丁寧に立ち入り禁止とか割れ物注意とか言うわけじゃない。

 

 これは私のためだ。

 

 勝手に勘違いされる事は不愉快で、理解できない事を理解できてる風に振舞われるのは寒気が走る。

 だからこれは私が私に向ける注意。

 

 これは間違った物語。

 

 初めからどこか間違った物語。

 

 青い春と呼ぶにはあまりに歪な物語。

 

 これは私の物語。

 

 間違え続けてしまった私の物語。

 

 

 

 

 間違え続ける私たちの物語。

 

 

 

 

 

 

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 『高校生活を振り返って』  2年F組 比企谷八幡

 

 青春とは偽善であり、悪である。

 青春、青春とうそぶく者達(主にリア充とか)は常に周囲と自分を天秤にかけている。

 周囲の認知と自分の存在価値を測り、今自分がどう振舞うかを決める。

 そのくせ心の内では、自分が一番大事と矛盾に独善を重ねたような状態に陥る。みんな仲良くとスローガンを掲げても何かが起これば自分以外の何を犠牲にすれば被害が最小限ですむか計算するのだ。

 このことから、青春=偽善の図式が完成される。

 さらに付け加えるなら、そんな彼ら彼女らを見ると背中に寒気が走り鳥肌が立ち精神的肉体的なダメージを与えてくる。

 誰かを傷つける行いは最早偽善を通り越して悪と糾弾してしかるべきだろう。

 リア充の存在とは迷惑と我慢の上に成り立っているのだ。

 例を挙げるなら、いつもがやがやと騒音を撒き散らし、他愛のない会話という無駄話に興じ学生の本分である勉学を蔑ろにする。

 テストがあるたびに文句をいい、点数が悪ければだるいだのうざいだのとのたまい自身の過ちに向き合おうともしない。

 それどころか仲間内で点数を比べ「お前より俺のほうが3点上だったぜ」などという不毛な闘争を繰り広げる。

 もはや一種の世紀末といっても過言ではないだろう。

 学校は勉強するだけの場所ではないと彼らはよく言うが、学校は勉強する場所だ。

 授業は勿論掃除などの日常生活も勉強の一環であり、それをさぼりあまつさえ箒と雑巾で野球してる奴らは真面目に掃除してる生徒や学校だけに飽き足らず野球というスポーツに対しても不誠実と言わざる終えない。

 では、なぜ彼らは学校に来ているのか。

 今時勉強なんて塾や家庭教師でも雇えば効率よく教えてくれるだろう。

 そも、勉強だけの場所だじゃないと暴論を吐く彼らは何の目的で学校という場所に来ているのか。

 代表的なものを上げるとそれは異性との出会いだろう。

 恋愛と呼ばれるものを目的として彼らは学校に来ている。

 つまり不順異性交遊するために来ているのだ。

 男は女と出会いセッ○スするために部活に精を出し、髪の毛をいじくり、筋トレをするの。

 セッ○スアピールという奴だ。

 さらに追求すれば、○○○○ために×××してあまつさえ(禁則事項)や(放送禁止用語)なんか(R-18)が(見せられないよ!)で○○○○しているのだ。

 校則どころか法律にも違反している。

 一説には童貞が許されるのは小学2年生までという。

 ということは、逆説的に男子のそれもイケメンとなれば毎日乱○パーティーとかしていてもおかしくはない。

 未だ模範的に清い体を保つ私としては穢れきった彼らを同じ人類としてみることは最早不可能だろう。  

 結論を言おう。

 

 リア充もげろ。

 

 

 

 

 

 

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 放課後の職員室、国語教師の平塚静は額に青筋を作り一枚の作文用紙を朗読する。ただし、後半につれ凛とした声は段々と弱まり最後の方なんて疲れたようにうな垂れていた。はて、何をそんなに消沈してるのでしょう?

 しかし、こうして自分の作文を誰かに読まれるとなんともいえないこそばゆさを感じる。それに、文章力の低さも合わさりなかなかどうして。

 もっとこうしておけば、あそこの表現はあっちの言葉を使えばと後悔が絶たない。

 もっと官能的な文章を書ければ、あそこの表現をエロく書けていれば、先生にあんな言葉やそんな表現を直接言ってもらえたかもしれないのに・・・・・・ちくしょう!!

 

「ゴホン・・・・なぁ比企谷。私が授業で出した課題は何だったかな?」

 

「『高校生活を振り返って』という題名の作文でした」

 

「そうだな。では、なんで君はこ、こんなアレなものを提出してるんだ!馬鹿なのか?それとも変態なのか!?」

 

 そういうと平塚先生は顔を真っ赤に火照らせ作文を机にたたきつける。かなり力が篭っていたのか机に隣に積み上げられていたノートが倒れる。

 そういえば、火照らせるという表現は何かにつけてエロいと思う。運動後の火照った体とか火照らせる、ホテラセル、ホテルでヤラせるみたいな感じでとにかくエロい。

 そんなことを考えていると頭をコツンと叩かれた。

 

「真面目に聞きたまえ」

 

「はぁ」

 

「君はアレだな。死んだ魚のような目をしているのに頭の中には花畑でもあるのか」

 

「女の子の頭の中なんていつか白馬の王子様が~みたいなのが少なかれずあるものですよ。むしろ少女マンガでも入ってるんじゃないですかね」

 

 平塚先生は頭を抱え不快、否、深いため息ついた。

 

「その異常なまでの偏見はなんなんだ・・・・まぁいい。それより、このふざけた作文はいったい何のつもりだ。言い訳くらいは聞いてやる」

 

 先生はギロリと音が聞こえてくるほどの迫力で睨みつけてくる。なまじ美人なだけにこういう視線は眼力が強烈で圧倒されてしまう。怖い。でも、少し興奮してしまいそうだ。

 

「言い訳も何も最近の高校生なんてそんなものですよ」

 

「こんな高校生がいてたまるか!そもそも、君は仮にも女子(・・)なんだぞ。もっと慎みを持ちなさい!」

 

 先生はバンバンと机を叩き怒りを露にする。その拍子に隣や前の机からバンバン物が落ちているがいいのだろうか?

 周りの先生らがひきつった苦笑いで床に落ちたプリントやらノートやらを回収してるのであまりよろしくはないのだろう。

 

「まぁまぁ先生落ち着いてください。そんなに怒ると小じわが増えますよ」

 

「余計なお世話だ!!」

 

 宥めようとしたが逆に怒らせてしまった。心なしか火に油を注いだ気がするが、恐らく気のせいだろう。

 

「どこかおかしな所があれば直しますよ。どこですか?」

 

「どこも何もすべてが間違っているということにいい加減気づきたまえ」

 

「そういわず、できればもう1度初めから読んでいただけると助かります・・・・特に最後らへん感情こめてお願いします」

 

 むしろ、そこ以外は別にどうでもいいのでお願いします。300百円払うから。

 

「断る!いい加減にしないとセクハラで訴えるぞ!」

 

 むー。なかなかにガードが固い。

 

「それにだ、こういう作文は普通自分の生活を省みるものだろう」

 

「だったらそう前置きしてくださいよ。これは先生の出題ミスですよ。最近のゆとり世代舐めないでください。それと全部じゃなくていいので○○○の部分だけでもお願いします!」

 

「くどい、言わんもんは言わん!まったく・・・・小娘があまり偏理屈を言うなよ」

 

「小娘って・・・・確かに先生からしたら私は子供かもしれませんがせめてそこは、生娘と言って下さい!」

 

「呼ぶわけないだろ!何を大声で言っているんだ君は!?」

 

 先生のほうが大声上げてるのに私だけお説教とか解せん。

 それに、別に誰かに聞かれたとしても私は気にしない。体育教師の厚木先生がお茶を吹きこぼしてゴホゴホ言ってるけど気にしない。

 

「君は慎み・・・いいやモラルを持ちたまえモラルを」

 

「えー」

 

「・・・・何か不満でも?」

 

 つい声に出てしまった不満にピクリと反応する先生。ここで素直に不満ですと言えばさらにお説教が続くだろう。なら、不本意でも謝るのが得策だ。だが

 

「慎みとか言いますけど。そんなの用は女の子に夢見ちゃってる男の妄想だと思うんですよ」

 

 あえて私は言ってやるのさ。

 意義あり!と。言ってはいないけど。

 

「大和撫子とか清楚系とか男は憧れてますけど女だって性に興味あるし、歴史的に見てもそれは証明されてます」

 

「・・・歴史だと」

 

 呆れ気味だが気になるのか先生は聞き返してきた。そのとき、小首をかしげるその仕草は破壊力抜群の可愛さだった。

 

「え、ええ。大和撫子の代名詞といえば和服です。ですが昔の人は和服の下に下着を履いていなかったそうじゃないですか。今の時代、ノーパンで外をうろつく女なんて露出狂の変態と認知されます。逆説的に昔の人はみんなエロかったんですよ」

 

 威風堂々と私は言い切った。

 みんなの憧れ大和撫子様は1日中ノーパンで過ごすようなエロい人だったと。さらに言えば清楚系アイドルとかだっていくら清楚清楚といっても所詮はアイドル。偉い人とエロい事をしてるかもだし、最終的にお金持ちやIT企業の人なんかと結婚するのだからそういう事だろう。

 他人に夢を見るなよ男子。

 女の子なら誰しもエロい事に興味があるのは当たり前であり、それを無理矢理押さえつけ偽りの自分を演じるなんてそれは嘘であり、悪である。

 そんな欺瞞を演じ続けるくらいなら私は人から白い目で見られても言い張ろう。

 

 私はエロい事が好きです!

 

「君は馬鹿か?それとも変態か?」

 

 割と決意をこめてる風だったのにあっけなく一蹴されてしまった。八幡ショック!

 

「偏りはあるが成績だって悪くない。眼はアレだがそれ以外見た目も悪くない。それなのになんでこんなに性格が残念なのか・・・・」

 

「先生の自己紹介ですか?」

 

 そのとき、風はとおり抜けた。

 

 見れば私の顔のすぐ隣に先生の拳が突き出されていた。しかもグーだ。おふ・・・・見えなかった、というか気配すら感じなかった。眼がマジだ。これはやばい。

 

「次は当てるぞ」

 

 これは最終勧告ととらえていい。

 なら、次は本当に当てる気だぜこのセンコウ。

 

「すいません先生・・・・・私も女なのでできれば顔以外でお願いします。まだ覚悟ができてないんですが・・・・SMとかリョナとか初めてなので優しく」

 

「そんな覚悟は決めなくていい。服を脱ぐな服を!」

 

 制服のボタンを殴っちゃうと痛いと思っての配慮なのに私の真心は先生に届かなかったようだ。それと、また体育教師の厚木がお茶を噴出し咳き込んでいたけど気にしな~い。

 平塚先生は疲れた様子で胸ポケットからタバコとライターを取り出す。箱の端を指でトントンと叩くと一本上に飛び出したタバコを加え火をつける。

 未成年としてはタバコのよさをいまいち理解できない私だが、美人とタバコの組み合わせの良さを理解できるのでいいね!ボタンを押しておこう。

 すると、先生は真面目な表情で言葉を選ぶようにゆっくりと語り掛ける。

 

「君は部活とかやってなかったよな」

 

「中学の頃から帰宅部のエースとして皆勤賞ですよ」

 

「部活じゃないだろそれ」

 

「バレー部エースの小島さん、卓球部エースの金川さん、帰宅部エースの比企谷さん(笑)と私の中学では女子3大エースとして有名でした」

 

「君だけ馬鹿にされてるじゃないか。なんだ(笑)って」

 

 同情めいた視線を向けられるが居心地が悪くなるのでやめてもらいたい。瞳を潤ませるな。襲うぞコラ。

 

「・・・・友達とかはいるのか?」

 

 友達いないだろ?と直接聞かなかった先生の優しさに今度は私の瞳が潤んでくる。襲うぞコラ。

 

「そうですね、まず友達の定義として私の下ネタに引かない人がいるならその子は私の友達かもしれませんが、愛想笑いしながら距離をあけてくる子は友達じゃありません」

 

「・・・・つまりいないということだな?」

 

「みんな自分に素直じゃないだけです。カマトトぶってるかシャイなだけですよ。困ったものですね」

 

 私がそういうと先生はうな垂れるようにため息をはく。ため息多いと幸せ逃げますよ?

 

「心配せずとも君以上に困った生徒はそうそういないよ。眼を見て察したし会話すると確信したがやはりいないか」

 

 眼を見て分かりましたか。すごいエスパーみたいですね。ユリ・ゲラーじゃなくて伊藤の方の。それと、話して確信したっていったい何を確信したのでしょう。ハチマンワカンナーイ。

 

「彼氏とかいないのか・・・・?」

 

 あ、私も今エスパーしちゃってますね。先生の目を見れば分かる。こいつどうせ彼氏いない暦=年齢なんだろって思ってますね絶対。ちょっとイラっと来た。

 

「・・・先生が彼氏になってくれれば私も彼氏もちですよ」

 

「ゴホッ・・・・ゴホゴホッッ」

 

 イラっと来たのでとりあえず告白してみたが思いのほか効果覿面だったらしく先生はタバコの煙でむせてしまった。

 さすがに悪いと思って咳き込む先生の背中をさすって、ついでにブラのホックをはずしたら殴られた。解せん。


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