PMC探偵・ケビン菊地  灰狼と女神達   作:MP5

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 彼の人徳がもたらしたは、善か悪か


黙示録5 アベンジャー

 韓国 ソウル 韓国国立中央博物館

 紺の眼鏡を掛けたト・ハジュンという偽名を使う男が学芸員としてツアー客に対しての説明を終わらせ、控室に戻ると着信音が鳴っていたスマートフォンを起動し、メールボックスを開く

 確認すると上司に貯まっていた休暇を10日分申請し、帰るためにバッグの中に書類を仕舞う。

 同僚のウルという女性がこちらを見る。

「珍しいですね。ハジュンさんめったに休暇取らないのに」

「たまには、親の所に顔を出さないといけないんですよ」

 男は愛嬌のある笑顔で言う。家にしているセーフハウスへと戻ると移動用の鞄を掴み、日本行きの航空券をスマートフォンで取った。

 

 

 

 

 

 

 スペイン マドリッド とあるバル

 デザインスーツを着たネル・デュークスという偽名を使うプラチナブロンドの髪を短めのポニーテールにした女性が同僚と飲んでいた。

「ちょっと失礼」

 スマートフォンでメールを確認すると、脱いでいたジャケットを手に掛け、店を出ようとする。

「ネル、男のとこかい?」

 同僚が酔った調子で言ってくる

「まぁね。一週間出張してくるから寄ってくるよ。」

 酔いを覚ますと、デザインスーツからジーンズとジャケットに変え、作戦用のバッグを抱え、日本行きの航空券で取得した。

 

 

 

 

 

 数日後・・・・・・ 日本 宮城 バー 20:35:55

 短めのブロンドを刈り上げた頭をした男、ゴーストはバーボンを水割りで飲んでいると横にイタリア系アメリカ人の二枚目男が座る。

「久しぶりだな、ゴースト。俺を呼んだからにはきっと何かあるんだろ?」

 彼のコードはシュガー、ニヤニヤと笑っていたがふとゴーストの話を聞くと顔を変えた。

「元DEAFASTA(麻薬取締局所属特殊部隊)のお前だから、呼んだんだ。アナコンダについて」

「どれだけの奴か、奴を知らないから言えるんだ。俺がDEAに所属していた頃、5人の諜報員が派遣されて、四回、アジトとされる場所に俺達とSWATの合同作戦で突入したが四回ともほぼ全滅に近い損害を受け、諜報員の指が10本、終いには当時指揮を取っていた捜査官は俺の目の前で家族もろとも爆死させられたよ」

 嘆くように酒を飲む。

「NAVSOGの作戦で、ギャンブルは死んだ。敵討ちだ。だから専門家のお前を呼んだ、シュガー」

「わかったよ。作戦を行うメンバーは?」

「今のところは3人だ。俺とスコーチ、そしてお前だ」

「用意出来る武器はどれくらいあるんだ?」

「後で見せる、ハワイ経由で昨日届いた」

「了解した、おっとお客様の登場だ」

 入り口を除き込むとフラりとスコーチと誰かが来た。

「久しぶりだな、シュガー」

資産(アセット)の爆殺魔、久しぶりだな」

「お前も、バックブラスト作戦以来だな証拠隠滅の天才」

 スコーチもシュガーもニヤニヤしながら、拳を合わせる。

「ゴースト、久しぶりです」

「ベクター、いつ以来だ?」

「トライ・ダガー作戦ですよ」

 常に眼鏡を外さず静かに暗殺する黒髪をスポーツ刈りにした韓国系アメリカ人、コードはベクター。

「幽霊のコードを持つあなたがいるのは心強いですよ」

「偵察にかけてはお前に勝てるやつはいない。参加に感謝するよ。ベクター」

 ベクターが注文したグラスとグラスをゴーストはカチリと打ち合わせる。

「スコーチ、これで全員か」

「いや、あと一人来るはずだ」

 ドアが開くと、ひっそりとラフな格好をしたプラチナブロンドの髪をショートカットにした女性が入ってくる。ゴーストは少し驚く

「お前なのか、ブルー」

「呼ばれたから、来たのよ。ゴースト」

 スコーチは笑うと

「お前以外に、電子工作担当は任せられないからな」

「ブルーがいるなら、心強い」とベクター。

「このメンバーかよ。全員ギャンブルに救われてるじゃねぇかよ」

 シュガーは愚痴る。

「全員、こっちのテーブルに来てくれ」

 スコーチが設計図を広げる。

「今回の作戦はアナコンダを確実に暗殺することが目的だ。奴の行動パターンを計測した結果、こことここ。

ホテルと会合の為のビルの最上階、この瞬間が狙い目だ。ブルー、情報を」

「了解、アナコンダ御一行、こいつらには護衛を30人程度防弾ベストは着用済み、武器はおそらく軽機関銃程度なら持ち込んでいるはず、確認出来たのはAK系統のみだが、用心はすること、護衛の何名かは元メキシコ陸軍特殊部隊GAFE出身よ」

「狙い目はホテルだ。時間帯としては明後日の19:00~24:00、奴等は最上階の一つ下、25階を全て貸しきりにしている。確実に殺しても問題はない」

「それでは、武器の場所に案内する。バンに乗り込んでくれ」

「掃除なら鮫島にお任せ」と書かれたバンに乗り込むと、とある倉庫街に向かう。

 到着すると、ゴーストは鍵を開け、暗証番号を入力してコンテナを開く。

 開くと、中には様々なライフルからサブマシンガン、拳銃にいたるまで、金額を予想出来ない位の武器が揃えられている。

「全員、好きな武器をとれ。弾も好きなだけある。」

 ベクターはSOPMOD M4に使いなれたAK-12、拳銃にはP226を、シュガーはMP5とP90、グロック17をホルスターに差し込む。

 スコーチはMP5とベネリM4に1911を、ブルーは悩んだ末に、HK416Cとロングバレル仕様のM4に、ワルサーPPQを

 ゴーストは手早く、SR-25をダッフルバッグに突っ込むと、MP7にSIG552に使いなれたCz75を装着する。

「全員、明後日が決行日だ。ギャンブルの敵討ちの為、体を休めておけよ」

 全員が、荷物をバンの中に整理して置くと、闇に姿を消した。

 

 

 

 




 

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