PMC探偵・ケビン菊地  灰狼と女神達   作:MP5

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34話  怪しい協力者

 この日、本社からあるものが大量に届いた。5.56NATOのAP弾が入ったマガジンボックスだ。

「何よこれ、APって意味何?」

「アーマーピアシング。ボディーアーマーを貫通させることが可能な特殊な弾丸だ」

「実は宏美さんが撮った兵士の写真を送ったところ、通常弾では防がれることがわかりましてね」

「それって、戦争になるって捉えていいかしら?」

「まだifだがな。全員アサルトライフルを装備し、各自調査に当たってくれ。あぁ、宏美は俺とバディな、戦えないから」

 

 

 

 

 

 

 二人はモルグ社にいたという、星空光喜と名乗る男性から話を聞くことができた。腕にはスイス製の高級腕時計がはめられていた。

「内部情報を教えてくれるか?」

「アンタらはどこまで知ってんだ?」

「そうだな、表向きは外資系総合商社だが、裏じゃ武器や薬物を売りさばいてるってとこだ」

「調べてんだな・・・俺はモルグの運輸部地場配送課にいたんだ、商品の主な搬入先は小さな雑貨屋。場所はこれに記してある」

 東京23区の地図を渡す。赤い点がつけられていた。

「裏のことはいつ知った?」

「半年前だったな。同僚に怒られてばかりの男がいて、勤務態度を改めないからソイツん家に行ったんだ。セキュリティー万全なマンションでな、俺より給料が良いのかと悪態ついたんだ」

「ほぅ」

「でもよ、ソイツいないんだよ。警備のおっさんに聞いても仕事に行ったって話でさ。俺は夜勤組の友人にも頼んで調べてもらったんだ・・・そうしたらよ、配送先にあり得ない場所にトラックを止めていたんだ」

「どこなの?」

「テナントが入ってない、空きビルさ」

「場所はわかるか?」

「秋葉原にある、サラミビルだ」

 

 

 

 

 

 

 夜中、街灯が少し点いてるだけの商店街に、ケビン一人でサラミビル前に張り込みをする。宏美を危険に晒さないためだ。

(案外暗い通りでよかった。ビル内に2名、入っていくな。ん、4名出てきたぞ・・・)

 出てきた4名がおかしいことに気がついた。冬にも関わらず夏を過ごすような恰好だったのだ。途端、トラックがビル前に止まり、荷下ろしする様子を見る。

(どうなってる、荷台に乗って行くぞ・・・これは重要だ)

 荷下ろしを終えたところを見計らい、Px4を運転手の背に突きつける。

「ここで何をしている?」

「荷下ろしですよ。なんすかいったい?」

「テナントのないビルに荷下ろしねぇ、おかしくないか?」

「・・・」

「荷物は何だ?さっき人間が荷台に入ってぞ、何が行われてんだ?」

 今度は左腕を運転手の頸部に回し、締め上げる。

「し、知らない、俺は何も!荷物は玄関前に置いてる!」

 荷台の扉が開いた音がしたかと思えば、AK74を武装した薄着男達が現れこちらに発砲してきた。運転手と一緒に身を隠し、隠れながら応戦する。窓から援護する二人を倒すと、最後の一人が接近戦を挑んできたため、カウンターからのアッパーカットを決めた。

「荷物を一緒に見ようか」

 運転手を先に行かせ、箱の中身を開けさせる。すると、先ほどの男達が持っていたAK74が入っていた。

「他の箱には・・・結晶状の物にPP-19か。なんか統一性ないな」

 オマルが爆破した倉庫にはF2000、このトラックにはAK74。それぞれ西側、東側の銃なのである。もちろん使用する弾が違うため、管理するには多額の資金が必要となる。したがって、AK74はモルグ社の取引先が購入したと考えた方が自然である。あのビルには武装犯罪組織がいると推理したのだった。

「どのみちお前は運び屋として咎められる。知っていることを警察及び俺に言ってくれ」

「俺は仕事がサボりがちだったんだ。ある時、主任に呼ばれたからクビを覚悟してたんだけど、夜間にまわってこの場所に、伝票のない荷物を運んでほしいって頼まれたんだ。おかげで給料もらえたし憧れのマンションも借りれたんだ」

「・・・知り合いの運び屋はこう言ったんだ。ワケのわからない荷物は絶対に運んじゃダメだ、例え大金を積まれても首を縦に振るなってな。アンタは運び屋としてやってはいけないことをしたんだ」

 その後警察が駆けつけ、運転手はおとなしく連行されていった。

 

 

 

 

 

 

 帰還したケビンは遅くまで残っていた宏美に声をかける。

「もう帰っていいんだぞ、捜査に支障が出るし」

「気になることがあったの」

「何が気になったんだ?」

「あの星空光喜って男よ。珍しい苗字だから調べてみたんだけど、そんな人間が存在しなかったの。彼は何者なの?」

「やはり、くさい奴だったか」

「どういうこと?」

「アイツの腕時計を覚えているか?あれは1個数百万以上するスイスのブランド時計だ、一介のトラック運転手が到底買える代物ではない。にも関わらずアイツは高給取りと悪態をつけたと言った。矛盾であると同時に奴は運転手ではない可能性がある」

「なるほどね。じゃあ何者なのよ?」

「恐らくだな、モルグ社に派遣されたCIA工作員。あれだけ情報を持って外部に漏らすんだ、従業員でもそんな真似はしない。それに右懐にP226があった、シグ製の銃なんて高くて買えない」

 




 なんか短くなってきたような気がする・・・

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