最強ビショップのヴィクトリアくんの手腕やいかに!?
ヴィクトリアside
お昼の時間を過ぎた頃、僕はアルベドの元に行こうとして…………廊下で出会ったデミウルゴスに止められた。
「ヴィクトリア様、差し出がましいようですが、我ら守護者とヴィクトリア様は主従の関係にあり、ヴィクトリア様は主人であるのです、何かご用があるようでしたら、近くの者や本人にメッセージを飛ばして下さればすぐに伺いに馳せ参じます、ですので、わざわざ守護者の元まで歩いてまで参じてくださる必要はないのです」
と長〜い説明をされてしまった。
うーん、僕としてはナザリックを歩いて土地勘をつけたいし、何よりいい気分転換の散歩になる。
そのうえ、今みたいに守護者やメイドとあって世間話をすることでモチベーションも測れるからいいと思ってたんだけどなあ。
デミウルゴスのモチベーションは最高レベルだね、見た通り偽りなく。
「あはは、ごめんねデミウルゴス、留守にした時間が長かったから、挨拶がてらいろんな子たちと話しておきたかったんだ」
「なるほど、お見それいたしました、そういうことでしたらスケジュールを調整しまして面接の機会を………」
「おー、さすがデミウルゴス、そういう手もあったね」
同じ道を何度歩いたって新しい出会いはないわけだし、面接…………というより面談をしておいたほうがいいかもしれない。
モモンガさんと一緒にやったほうが効率…………いやいや、そんなレベリングじゃないし、これはそんな合理的だとかじゃなくてゆっくり時間をかければいいことだから、急くことはしなくていい……よね?
まあでも、面談に呼び出すわけだから呼び出す子に迷惑にならないようにしなきゃいけない、特に階層守護者とプレアデスには、存分に能力を発揮してもらわないとだし。
「ヴィクトリア様がよろしければ、不肖の身の私ではございますが、ヴィクトリア様のお手を煩わせることのない完璧なスケジュール調整をして見せます」
そう言って臣下の礼を取るデミウルゴス、やっぱり絵になるなぁデミウルゴスは。
スーツがかっこいいんだよねスーツが!ツリ目がちな顔もイケメンだし、ウルベルトさん流石ですわ。
「頼りになるなあデミウルゴスは、じゃあ、頼んでもいいかな?僕はいつでも空いてるから、デミウルゴスの裁量に任せるよ」
「『頼りになる』、とは、私には勿体無いお言葉です…………このデミウルゴス、全霊を持ってスケジュール調整に当たらせていただきます」
「よろしくね、あっ、それと、アルベドを僕の部屋に呼んでおいてくれる?」
「かしこまりました、すぐに向かうよう伝えましょう」
出来る男(悪魔)は違うねえ。
契約ごとに関しては悪魔の方が信用できる、天使や神様なんて平気で嘘つくし約束は破りまくる、そんなのに信仰を捧げるなんてただの馬鹿だね。
悪魔は必要なこと以外言わないだけで嘘はつかない、ある意味、もっとも公平に交渉が出来る相手かもね。
まあ、それもある程度の対等な立場あってのことだけど、人間なんて悪魔にとって足の小指の先で触ったら死ぬような弱い生き物だからね。
僕もデミウルゴスが10体くらいいたらやられちゃうだろうね。
「お願いするよ…………あぁそうだ、アインズさんはもうエ・ランテルに行った?」
「今朝早くからセバスとユリ・アルファを連れて転移門にて」
「ふむふむ……」
セバスとユリの2人はちゃんとやってくれるだろうから、モモンガさん含めた3人が減るから………僕の人選とは言えかなりの火力が減っちゃったなあ。
一ヶ月は帰ってこないだろうから、こっちはこっちのメンツでやりくりしなきゃだし、忙しいぞーこれは。
となると…………うん、ちょっと負担になるかもだけど、アルベドとデミウルゴスを頼ろう。
「わかった、デミウルゴスはアルベドを呼んだら一緒に来て、ナザリックの運営について考えたいから」
「はっ!わかりました、それではアルベドを呼んできますので、ヴィクトリア様は自室にてしばしお待ちを」
そう行って一礼して転移するデミウルゴス、うーむ、cool!coolだよウルベルトさん!やっぱり中二病は最強だね!
じゃあしばらく部屋にいよーっと、万能デミウルゴスに任せて、僕はお昼寝を…………ってわけにもいかないんだよね。
防衛主任として、防衛能力の見直しをしないと。
各階層守護者とプレアデスの戦闘能力は把握できてる、階層ごとに様々な対策が施されてる、極悪なのが恐怖公の部屋行きの落とし穴かな。
気づいたら一面ゴキだらけの部屋に転移してるとかwwwwww…………そんな笑えない冗談を本気でやるんだからナザリックマジやばいって感じだよね。
1500人近い高レベルプレイヤーを門前返ししてきた折り紙つきの防御力の1/4くらいは恐怖公なんじゃないかと思う。
一度体験したらわかるよ、ゲームの中だってのに吐き気がしたからね。
まあ、入団してからはちょくちょく入ってみたりしたからさすがにもう慣れたけどね。
「よっ、と」
自室のベッドに腰掛けてデミウルゴスを待つ。
っとと、伝えるべき事をまとめたノートは、たしかこっちのほうに置いて…………。
コンコン
あったあった、ん?ノック?もう来たんだ、早いねえデミウルゴスってば。
「どうぞー」
「「失礼いたします、ヴィクトリア様」」
臣下の礼をとって入ってくるデミウルゴスとアルベド。
「そっちの椅子に座って」
「はっ、ありがとうございます」
「それでは失礼して」
椅子に座ってもらったところでインテリアボックスから適当な丸テーブルを選んで2人と僕の間に配置する。
そしてノートを丸テーブルの上に広げて置く。
「まずは忙しい中ごめんね2人とも」
「そのような事を気に病んでいただけるとは………勿体なきお言葉です」
「そんなことないよ、みんな充分すぎるほどこのナザリックを護ってくれているんだもの」
「はぅ………はぁ……有り難きお言葉、感激の極みでございます」
「喜んでもらえて何より、それで本題に入るけど、現在ナザリックの防衛の統括を任されている僕なんだけど、守護者統括のアルベドとナザリックの参謀たるデミウルゴスに、今後ナザリックを防御する上で必要なコトやモノがあれば何でもあげて欲しい」
「必要なコトやモノ、でございますか………」
デミウルゴスがメガネをクイッと持ち上げた。
かっけえなおい。
「そう、今僕たちがいる世界は、ユグドラシルとは大きく異なっているんだ」
「我々ナザリックの宝物庫にある、ユグドラシル金貨が使えないこと、レベルが限りなく低い、ということなどですか?」
「正解、他にも使える魔法の位階が驚くほどに低いことだね、試しに第二位階の回復魔法を使って人間を治療してみたんだけど、かなり驚かれたよ」
「第二位階ですら、人間には奇跡のように感じられるのでしょうか?それとも知能レベルが低すぎるのでしょうか?」
アルベドの後者の場合ならこの世界はもうナザリックのモノ同然に制圧できるだろうね。
まあモモンガさんは嫌がりそうだけど。
「私が使い魔にて簡易的にですが調べましたところ、どうやら、第三位階が使えれば一流のマジックキャスターと見なされるそうです」
「それは本当ですかデミウルゴス?」
「えぇ、本当ですよアルベド…………ヴィクトリア様、正直アインズ様にセバス・チャンを護衛につけるのは少々過剰かと思います………現在のユリ・アルファ1人、もう1人つけるならばナーベラル・ガンマあたりが適当かと」
セバスについては正当に評価してるんだね、仲間だもんね、うんうん。
「デミウルゴス!至高の御方に出過ぎた口を聞くものでは有りません!」
「ハッ!……ヴィクトリア様、申し訳ございません!このデミウルゴス、いかなる処罰も…………」
「私も、守護者統括としていかなる処断も……」
アルベドの叫びにも似た激昂に我に帰ったであろうデミウルゴスが椅子から降りて床に頭を擦り付ける見事な土下座でそう言ってきた。
かと思えば次の瞬間にはアルベドも同じ姿勢を取っていた。
いやいやいやいや!
「待って待って2人とも…………どんな意見でもいいんだ、何でも言ってよ」
「しかしヴィクトリア様!」
平伏したままで顔だけをあげて食い下がるアルベド、いやそこは食い下がるべきところじゃない。
「今のデミウルゴスの意見は参考になった、確かにアインズさんの護衛にするには周囲のレベル的にセバスだと強すぎかな、って思い返して改めてそう感じたんだけど、デミウルゴスとしてはどう考えてそう答えたか説明して見せてくれる?」
「は、はい」
「あ、ちゃんと椅子に座ってね、床に伏せてたら埃………はメイドが掃除してくれるからひとつないけども、怒られそうだから早く座って、でないと僕、タブラさんとウルベルトさんに殺されちゃうよ」
「「た、ただいま!!」」
神速、という言葉すら置き去りにするほどの鮮やかな着席にちょっとだけ感動しつつ、デミウルゴスに説明を促す。
「では、理由の説明になりますが、まずセバス・チャンの『戦闘能力の高さ』と『発揮される状況』、そして先ほどヴィクトリア様がおっしゃった『周囲とのレベル差』です」
ふむふむ。
「彼の戦闘能力は階層守護者の半数が戦いたくない相手だと断言できる実力を持ち、全力を発揮する状態であれば守護者統括であるアルベドでも危険なほどでございます」
え?アルベドとタイマンでやべえってまじやべえんじゃね?セバスつっよ!
そんなセバスを作っちゃうたっちさんまじ鬼(畜)イケメン。
「しかし、全力を発揮できる状態というのは、どうやっても一目についてしまうほどに巨大、人間にとって畏怖の象徴とも言える姿に変わってしまうセバスでは、街中や一目につく場所での大規模戦闘は制限がかかってしまいます」
たしかに、セバスが本気出す=変身&巨大化だから、街中でそんなことになったら大騒ぎどころじゃない。
すぐに冒険者による討伐隊が組織されることだろうね、僕ならそうするかな。
「くわえて周囲とのレベル差がありすぎるため、セバス・チャンのレベルでは攻撃力が過剰であり、ナザリックの存在を秘匿して行動している現在、万が一にでも、下手に(ハエほどの価値もあるとは思えない)人間を殺傷してしまえば目立ってしまいます」
力加減を間違えてプチッといっちゃうかもしれないしね。
「さらに、調査の結果、エ・ランテルの治安もそれほど良いものとは思えないものでした、そのような場所に、極善の属性であるセバス・チャンを送り込めば、善意で誰でも助けようとし、要らぬトラブルを招き寄せる可能性もあります」
いきすぎた善意はトラブルの元、かあ……………漫画とかでよくある、裏の組織、ってやつに目をつけられたら厄介だね。
「なるほど、こうもはっきり言われると、セバスをつけたメリットがあるどころか揃ってデメリットになってしまうわけだね」
「ほとんどがデメリットとなります、ですが………」
と、ここまでスラスラとカンペでも読むように話していたデミウルゴスが不意に言いづらそうにモゴモゴしだした、かと思えば……。
「……………えぇ、と………彼の善の属性によって、人助け、ではありませんが、善い行いによって周囲の評価が高まり、結果としてナザリックについての情報秘匿や、また情報収集について有利になる可能性も、あるかと思われます」
と、デミウルゴスにしては珍しくセバスに肯定的かつ確定要素の薄い可能性………というより希望してない希望的観測のようなことを話した。
「善い行いが情報収集に繋がるか………アルベドはどう思う?」
「そうですね……人間は同族同士で殺し合う醜く無様な生き物ですが、なぜか同族同士での仲良しこよしゴッコが好きなようですので、デミウルゴスの言った可能性はセバス・チャンの性格上、『無い』ということは『無い』のではないかと………」
いきなり話を振られてもちょっと驚くだけでスラスラと話すアルベドにちょっとだけビビりつつ、改めてセバスについて考える。
「まとめると………セバスのナザリックらしからぬ行動はトラブルを誘発する可能性大であるが、人助け等による評判は良いものになるかもしれない………ということかな?」
「はい」
うーん、となると………セバスは表向き冒険者としての活動はちょっと見送ろうかな。
メッセージでモモンガさんを呼ぼうっと。
『モモンガさーん?』
『何かありましたか?ヴィクトリアさん』
『えーっと……………』
僕はモモンガさんにこれまでの話を説明した。
『……………それで、デミウルゴスの懸念通りになりそうだと僕は判断したんだけど、モモンガさんはどう思う?』
『そうですね…………一度セバスの冒険者登録は見送りましょう』
意外にもあっさりとモモンガさんは言った。
『意外!モモンガさんどうしちゃったの?』
『今はエ・ランテルの宿にいるんですが、都市の入り口からの道中でセバスが見境なしに人助けをするもので………たしかにデミウルゴスの懸念に現実味が出てしまって』
『あぁ〜〜………』
さすがだわセバス…………いやほんと凄いようん。
たださ、たっちさんでももうちょっと見境はあったと思うよ。
『スリを捕まえたり老婆を助けたりと、周りからは心優しいナイスミドル的に見られて評判は良さそうなんですが…………』
『今回の趣旨からは外れるんですよねー…………』
情報収集と『冒険』、この両方が釣り合わなくなってしまったらセバスのいる意味がない。
セバスが人助けすればするほど評判は良くなるけど、逆に良くなりすぎると結局は『町のお巡りさん』でしかない。
僕はそんな役割をナザリック地下大墳墓の執事、セバスに命じた覚えはとんとないんだけどねえ?
『ではこれからのセバスの扱いについて、もう少し話し合って見るね』
『お願いします、ヴィクトリアさん』
『うん、あーそれとモモンガさん』
『なんでしょうか?』
『そろそろさ、口調変えない?』
『え?あ………えっと、わかりまs…………わかった、ヴィクトリアさん』
すごく言いづらそう………でもナザリックNPCの前で下手に出るモモンガさんを見せるのはあまりよろしくないんだ。
『うん、そんな感じだよモモンガさん、なれるまでガンバだよ』
ナザリックNPCにとってモモンガさんは42人中41人の【総意】。
対する僕は末席の42人目、そしてナザリックの裏切り者などに対する絶対防衛機構、つまり、ある程度は意図してみんなとは逆の意見、価値観を以ってナザリック全体を見る必要がある。
僕は自由に振る舞い、モモンガさんは支配者として振る舞う、意見が食い違おうとも結論は出す。
そうやってナザリックのみんなと生きていこうと決めたんだ。
『あっ、そうだ、よかったら宝物庫にいる俺のNPCも使ってください』
『モモンガさんのNPCというと、ドッペルゲンガーの?』
『はい、ドッペルゲンガーのパンドラズ・アクター』
いくら聞いても概要しか教えてくれなかったなあ、懐かしぃー。
『宝物庫の守護を命じてあるので、俺からの指示と言えば役に立ってくれる………はず』
『ちょっと、ちょっとモモンガさん?なんでそんなに不穏な雰囲気なんです?』
『その………ちょっと忘れたい記憶が………』
『あっ………(察し)』
そっかぁ…………ふぅん………。
『まあ、いいじゃないの、今は念願の死の支配者そのものだし、中二病の一つや二つ、受け入れてこそだよ?』
『…………重みが違う』
『おいごら浄化すっぞ』
『理不尽!?』
そんなI.Qの下がった若干阿呆な会話を一旦切り上げ、本題に戻る。
『俺とユリだけで登録しておきま………おくから、今夜、ナザリックのほうに戻りま……戻ったら、その時にもう一度話し合いましょう……じゃなかった、話し合おう』
『それがいいね、伝えておくよ』
メッセージを切ってデミウルゴスとアルベドのほうに向き直る。
「ごめん、アインズさんにメッセージを送ってた」
「そうだったのですか、てっきりお体の具合が優れないのかと………それで、お手数ではございますが?アインズ様はなんとおっしゃられたのですか?」
「とりあえず、セバスの冒険者登録は一時見送って、アインズさんとユリだけで一度登録するそうだね」
「セバス・チャンの扱いについてはどのように致しましょうか?」
「宿を借りたみたいだからユリとセバスを待機させてアインズさんだけ今夜こっちに帰ってくる、そしたらもう一度会議をしようって」
「かしこまりました」
アルベドとデミウルゴスは一礼した。
「うん、じゃあこの話題は一旦置いておくとして…………他に必要な物品とか、補填が必要なものとか無いかな?」
「ヴィクトリア様、先日アインズ様より達せられたスクロール作成に関して、現在問題が発生しております」
「問題?」
そう(いたって普通に)聞くとデミウルゴスはなぜか縮み上がるように身震いをさせた。
「は、はい、スクロール作成に使用するアイテムを揃えて試してはいるのですが、すべて失敗や、意図せぬ魔法になってしまう状況です」
「ユグドラシルでの製法ではスクロールが作れないわけか」
「その通りでございますヴィクトリア様」
「アイテムはいろいろ試してみた?」
「浪費を避けるため未だ実験は行なっておりません」
「ふむ………」
スクロール作成ができないということは、いざという時の防御策や切り札を揃えられないということ。
スクロールは大規模ギルド戦でも使われる重要なマジックアイテム、その用途は多岐にわたり、自分では使えない魔法でもスクロールを使えば一度だけ使用可能。
例えば戦士職が回復魔法のスクロールを仕込んだり、後衛が接近された時にテレポート、『上位転移』の魔法のスクロールを使って距離をとったり、相手の状態異常無効を剥がしたりする効果を持つスクロールでアンデット系プレイヤーを追い詰めるのに使ったり。
一番下の例は超ガチガチのギルドでもひとつあるかどうかの神器級の中の神器級アイテムのひとつだから、お目にかかれたことはないんだけどね。
そんな重要なマジックアイテムを補充できない、作成できない状況が続くのは、非常にマズイ。
つまり今は情報収集のため表で動くモモンガさんの支援ができない状況………控え目に言って最悪。
「…………物資に余裕はあるのかな?」
「総数を数えたところ、下級、中級アイテム類には困ることはないかと、上級以上のアイテムについては少々心許ないと思われます」
意外に切羽詰まった状態で草。
「それから、ナザリックの維持につきましてもユグドラシル金貨の支出が必要で、現在宝物庫より微々たる額が引かれている状況であります」
ユグドラシル金貨の補充も考えなきゃいけないのかい!!
…………NPCの維持にはレベルとかに応じてそれ相応のユグドラシル金貨を日払いか月払いかで消費していかなきゃいけないのは知ってるけどさあ。
異世界でも払わなきゃダメなのはどうなの…………。
ユグドラシル金貨の補填の方法は…………そう言えば誰か商人スキル持ちの人がいたっけ?
パンドラズ・アクターのドッペルゲンガーの能力でそれが使えれば…………いけるかも?
とりあえず、やることはふたつか。
「じゃあやることを言うよ?まず、ナザリック宝物殿の領域守護者、パンドラズ・アクターの能力を利用してユグドラシル金貨の補填を行うこと………次にスクロールその他のアイテムの作成に関して、この世界で入手できるあらゆるものを使用して実験を行うこと………最後に実験の経過や詳細をまとめたレポートを逐次提出するように、なお、ユグドラシル金貨については財政管理を担当するパンドラズ・アクターならびアルベドに一任する、実験に関してはデミウルゴスにすべて任せる、必要なものや人材があればすぐに報告すること」
「ヴィクトリア様、あらゆるもの、とおっしゃられましたが、何でもよろしいのでしょうか?」
若干笑みを浮かべたデミウルゴスが嬉々としてそう質問してくる、うん、やっぱり悪魔だよこの子。
「何でも、だよ?躊躇はいらない、たとえ生きたカエルでも人間の男性器でも内臓でも脳みそでも、何でも試してみてほしい………それに伴う物資の補給方法まで含め、全てを、デミウルゴスに任せるよ」
「はっ!ありがたき幸せ!!」
すっごい嬉しそうに笑うね君、まあ楽しそうならいいかな。
「こういうのは意外なものが成功の鍵だったりするんだ、デミウルゴスの頭脳に期待してるよ」
「お任せくださいヴィクトリア様、このデミウルゴス、すぐに成果を上げてご覧に入れましょう」
「うんうん、頼もしい限りだね、というわけで、さっそく取り掛かってくれるかな?」
「「御意に!」」
立ち上がって綺麗な臣下の礼をとった2人はリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンで転移していった。
さて、2人の頭脳があれば一月もないうちに成果は出るかな。
あとはセバスの扱いか、ナザリック内においたほうが楽かもしれない、けど、その運用だと善の属性を殺すんだよねえ。
「すべては、モモンガさんの到着待ちになるかな………」
僕1人じゃ何もできない、モモンガさんとナザリックのみんながいてこそのアインズ・ウール・ゴウン。
できるだけ、みんなの意見を尊重しよう。
アルベドとデミウルゴスがいるから手腕なんていらなかったんや!
さすがデミえもん(御都合主義)と言われるだけはある!
実際、こんな優秀な人材活用しない手はないよねっていう。
そしてセバス、待ちに入って早々人助けをする極善っぷりにヴィクトリア氏『お前はお巡りさんか』と困惑。
正直扱いに困る極善属性のセバス、彼は一体どうなってしまうのか………。
次回を待て!
そして、fgoのガチャで水着出たやつ爆死しろ!(八つ当たり)